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憂「月だよお姉ちゃん」

  1. 名前: 管理人 2011/01/22(土) 19:42:28
    1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/20(木) 23:11:06.90

    憂「ほら、みてみてお月さま!」

    唯「ほんとうだ、綺麗だねえ」


     皆さんこんにちは、平沢憂です

     今日はお姉ちゃんと一緒に宇宙にやってきました!

     まん丸な宇宙船の窓からは地球で見るよりも大きなお月さまの姿が見えます


    憂「うん! とってもおっきいねえ!」

    唯「ういーテンション上がりすぎだよー、あはは。

    唯「でもねでもね、お月さまより憂の方がずっとずっと綺麗だからね」

    憂「お、お姉ちゃん」

     こんなこと言っちゃうなんて……どうやらお姉ちゃんの方が興奮してるみたいです

     でも、それも不思議はありません。

     だってこれから二人で、あのお月さままで行けるのですから


    3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/20(木) 23:14:20.78

    憂「地球も見えるよ」

    唯「さっきよりずっと小さいや。もうこんなに遠くに来ちゃったんだねえ」

    憂「そうだね・・・」

     まっくらな空間にひとつきりで浮かぶ青い地球の姿は、なんだかさびしく見えます

     何十億年もの間、地球はずっと孤独だったのでしょう

    唯「どうしたの?」

    憂「ううん、どうもしないよ?」

    唯「なんか悲しそうな顔してたよー」

     そんな顔をしたつもりはないのですが……

     お姉ちゃんはこういうときとっても鋭くて、いつも私をびっくりさせるのです

    7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/20(木) 23:19:21.27

     私はお姉ちゃんにさっき感じたことを話しました

     お姉ちゃんは話を聞き終えるとまじめな顔をして一回うなづくと、

     それからにっこりと笑って私の手をつかみました

    唯「大丈夫、一人じゃないよ」

    憂「?」

    唯「ほら、だって!」

     お姉ちゃんは、私の手をつかんだまま窓の外を示しました

    唯「地球はいつもお月さまと一緒なんだから」

    憂「・・・うん! 一緒だね、お姉ちゃん!」

    唯「それにね、毎日お日様も月と地球を照らしていてくれるし、

     火星や水星や木星やテンモーセイも一緒なんだよ。」

    唯「こんなに仲間がいっぱいいる地球は一人ぼっちじゃないからね」

    憂「お姉ちゃん、テンモーセイじゃなくて天王星だよ」くす

    唯「てへへ、そうでした」

    8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/20(木) 23:24:21.72


     たしかに地球はひとりではありません

     お姉ちゃんのぬくもりを手に感じながら眺める地球は

     孤独な惑星なんかじゃなく、しあわせな宝石です。


    憂(ずっと一緒・・・お月さまと地球って、私とお姉ちゃんみたいだな) 

     思わずそんな恥ずかしいことも考えてしまいます


    唯「うーいー」

    憂「ふえっ、なに!?」

     また心の中を読まれてしまったのかと思って慌ててしまいます

    9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/20(木) 23:29:22.15

    唯「機械がピーピーなってるよ。これからどうするんだっけ」

    憂「あ、そろそろ着陸が近付いてきたんだね」

    唯「ボタンがいっぱいあって分からないよお」

    憂「ちょっと待ってて、取扱説明書を読むから。えっと・・・」

    唯「てきとーに押せば大丈夫かな?」

    憂「うん、適当に・・・ってだめだよお姉ちゃん!」

    唯「え・・・もう押しちゃった・・・」

    憂「お姉ちゃんのばかあ!墜落しちゃうかもしれないのに!」

    唯「どうしよう・・・」

    10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/20(木) 23:34:22.59

     お姉ちゃんがどんな操作をしたのかは分かりませんが、

     コンピュータの表示や窓外の様子からして宇宙船はますます月に近づきつつあるようです

    唯「うい・・・ひらさわ号墜落しちゃうの?」

    憂「わかんない、・・・たぶん、大丈夫だと思うけど」

    憂「念のため宇宙服を着て椅子に座ろう?」

    唯「うん」

    12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/20(木) 23:39:23.03

     さっきまで静かだった船内はしだいに振動をましてきています

     月の重力圏に捉えられた影響なのでしょうか

     地球よりずっと弱く、人間の身体がふわふわと浮かびあがるような月の重力でも

     金属製の宇宙船にははっきりと作用するのです。

     私たちはコクピットに備えられた席につき、シートベルトを二重に巻いて着陸を待ちます

     がたがたとした震えが、船の振動なのか、自分の身体の振動なのかわかりません

     私は墜落のこわさからぎゅっと目をつぶっていました

     ふと、右手に違和感を感じて目を開くと、お姉ちゃんの分厚い手袋越しの手が私に重ね合わさっていました

    唯「ねえ、憂。お月さまで兎さんに会えるかなあ」

    13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/20(木) 23:51:01.75

    憂「月に兎さんはいないと思うよ」

    唯「ええー、いるよお。学校で習わなかったの」

    憂「うーん・・・」

    唯「月には兎さんが暮らしていて、お餅をついてて」

    唯「あっ、それから海もあってお魚さんが獲れるかも!」

    唯「兎さんいっぱいいたら一匹くらい連れて帰っちゃだめかなあ」

    憂「ふふふ」

     お姉ちゃん、本当に兎さんを信じてるのかなあ

     あまり言ってお姉ちゃんの夢を壊したらいけません

     けれど、お姉ちゃんのおかげでさっきまでの怖さはなくなってしまいました

    15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/20(木) 23:58:02.24


    唯「着いたっ!」


     船は無事に月面へと辿り着きました


    憂「うん、よかったあ」

    唯「扉あけるよお」

    憂「うん!」


     そして三重構造の隔壁を越えた外の景色は、一面の月世界!

    16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 00:05:02.68

    憂「お姉ちゃん、月を歩くときはかるーくジャンプするんだよ?

     あわてちゃ駄目だからね?ヘルメットも取ったら危ないよ、それから」

    唯「そんなに言わないでも平気。憂こそ転ばないでね」

     言うがはやいかお姉ちゃんはぴょんぴょんと飛んで先に行ってしまいます

    唯「ぴょーん、ぴょーん」

    憂「わっ、待ってお姉ちゃん」

    18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 00:16:59.31

     地球から遠く離れた大地を、ゆっくりと踏み締める

     宇宙服ごしの脚に伝わる感触は、かたいようなやわらかいような不思議なものでした

    唯「ふんす!」

    憂「? お姉ちゃん、何やってるの?」

    唯「この一歩は人類にとっては小さいが、平沢姉妹には大きな飛躍である!」

    憂「それって逆なんじゃ」

    唯「これでいいの。さあ、憂もどんどん一歩を踏み出そう」



     私たちは二人並んで月面を進んでいきます


    唯「ぴょーんぴょーん」

    憂「ぴょーんぴょーん」

    唯「ぴょーんぴょーん」

    憂「ぴょーんぴょーんっ」


    22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 01:14:38.44

     私たちの宇宙服は臍帯のようなビニール被覆の長いケーブルでつながれています

     あたりは静かで、ケーブルとスピーカが届けてくれるお姉ちゃんの息遣いと

     自分の動作音しかしません。


     小高い丘のてっぺんにさしかかったところで私たちは立ち止りました

    唯「ぴょーんっ・・・と、ずいぶん進んだね。ひらさわ号があんなに小さく見えるや」

    憂「お姉ちゃん、二人っきりだね」

     なんだか急に照れくさくなります


    23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 01:23:32.46

    唯「この景色ぜーんぶ憂のものだよ!」

    憂「私そんなに欲張りじゃないよお。半分はお姉ちゃんにあげる」

    唯「おお、こんなに広いとごろごろしきれませんな」

    憂「えへへ・・・お掃除も大変そう」

    唯「こんなに綺麗なのは兎さんがお掃除してるからかなあ」

    憂「どうだろうねえ」

    唯「どうなのかなあ」


    25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 01:58:24.50

    唯「ちょっと汗かいちった」

    憂「・・・あれ、なんだろう?」

     ひらさわ号とちょうど反対側の斜面の向こうに何か人工物らしきものが見えます

    唯「行ってみよう」

    憂「お姉ちゃん待って」

     通信ケーブルでつながった二人は一定以上離れられないのです

    憂「もしかしてアポロの忘れものかも・・・」

    唯「ごみを捨てていくなんてひどいよ!」

    26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 02:13:47.66


    憂「これは、アポロではなさそう・・・」

     人工物は何かの乗物から切り離された部品のようです

     しかし、それはどうみても数十年も昔のものには見えません

     ひらさわ号に搭載されているのと同系統のデザインでした


    唯「あっ、向こうにも落ちてるよ!」

     言われてみれば確かに、少し行った先にも、そのまた先にも人工物の影がありました


    28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 02:18:56.90

     人工物は点々と曲線を描きながら遠くまでつながっています

    唯「こんなお伽話ってあったよね。兄妹のお話」


     ぴょーんぴょーん、と人工物の道筋を跳ねていきます

     お姉ちゃんから離れないように気を使っていると、自然にリズムは同じになって

     ぴょーん、ぴょーん 私たちは跳ねる二匹の兎さんみたいです


     ぴょーんぴょーん

     ぴょーんぴょーん


    29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 02:27:31.33

     この乗物の持ち主は一体どうしたんだろう?

     月ではものが風化しないので経年劣化のようなものは見られませんが、

     しかし機械のつくりからしても、これは絶対に最近の宇宙工業製品です

     ひょっとして、なにかのトラブルに巻き込まれてしまったのでしょうか……

     宇宙でのトラブルは命の危険をもたらしかねない恐ろしいものです


     だとしたら……この跡を辿ってその向こうに行こうとしてるのも、

     危険な行動なのかもしれない


     不安におそわれて「引き返そう」と提案しかけた、その時でした。

    30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 02:34:42.43

    「うわーん!」

     急に声が聴こえたのです


     二人して顔を見合せます

    唯「今の憂・・・じゃないよね」

    憂「うん、今のって・・・」

     空気のない月面では音も声も存在しません

     今のはどこかの無線電波をキャッチしたスピーカからの音声です

    「誰か助けてー!」


    31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 02:44:58.42

    憂「お姉ちゃん・・・こわい」

    唯「向こうに誰かいるんだ。助けに行かなくちゃ!」

     私の手を引いてお姉ちゃんは駈け出しました


     声は何度もとぎれとぎれに届きます

    唯「ひょっとしてこの声・・・」

    憂「?」

    唯「なんだか聞き覚えのある声なんだけど・・・あっ、あれ!」

    憂「えっ!?そんな!?」


    32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 02:53:48.63

     あまりの光景に目を疑ってしまいます

     そこにいたのは身近な友人たちでした

    唯「やっぱり、澪ちゃんだ!それにあずにゃんまで!」

    憂「どうしてこんなところに・・・いや、そんなことより」

    唯「おーい二人ともー」

     お姉ちゃんは手を振りながら二人に駆け寄って行きます


     目の前の出来ごとの異常さを気にしていないのかな

     確かにあれは澪さんと梓ちゃん……

     でもその二人は、たくさんの兎の群れに囲まれて立っていたのです!


    33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 02:59:22.82

    梓「えっ、唯先輩!?」

    唯「奇遇だねあずにゃん」

    澪「ひっくひっく」

    唯「どうして泣いてるの?」

    澪「ひっく・・・唯の幽霊が見える。ということはここは天国なんだ・・・」

    梓「先輩、落ち着いてください」

    唯「私たち死んでないよ」

    憂「お、お姉ちゃん、兎、兎だよお!」

    唯「ほら見たことか、やっぱり兎はいたでしょ。お姉ちゃんの言ったとおり」

     お姉ちゃんは自慢げに腰に手を当て親指を立てます

     もうなにがなんだかわかりません


    34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 03:03:23.09

    梓「憂たちもハネムーンに月旅行に来てたんだね」

    憂「そんな梓ちゃん、ハネムーンだなんて・・・」

     ハネムーン。ハネムーンなんでしょうか

     月に来ている以上そうかもしれないけど、こうしてはっきり言われると恥ずかしいのです

    憂「それより、これ・・・」


     兎さんは輪に闖入した私たちをも取り囲んでしまいました

     品定めをするように、赤い瞳でこちらを観察しています

    憂「いったいどうなってるの?」

    35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 03:11:01.50

    梓「この兎たちが通せんぼして、宇宙船に帰してくれないんだ」

    唯「それで澪ちゃん泣いてたんだね」

    梓「はい・・・。この兎たちなにか怒ってるみたいで」

    澪「うう、ぐすっ」

    梓「もう、澪先輩しっかりしてくださいよ」

    澪「ごめんよ梓・・・、私梓を守らなくちゃいけないのに」

     澪さんはどうやら梓ちゃんのおしりにしかれてるようです


    38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 03:19:29.15

    唯「ふむふむ、ほうほう」

    梓「先輩、兎の言葉がわかるんですか!」

    唯「うん。やっぱり第二外国語でロシア語とっといてよかったよ」

    憂「お姉ちゃん、すごい!」


     ソ連時代からの宇宙開発の名残でしょうか

     お姉ちゃんによれば、兎さんたちの言葉はロシア語だったのです

     月の共通語は最初に月面着陸をしたアメリカの言葉かとばかり思っていました

     先入観というものはこわいものです

    39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 03:28:18.55

     お姉ちゃんはしきりにうなづいたり、

     身振り手振りをしながら兎さんとお話をしました

     数分ばかりしてお姉ちゃんは振り返りました

    唯「兎さんたちが怒ってる理由がわかったよ」

    梓「なんだったんですか」

    唯「あのね、あずにゃんたちが月の兎さんのお餅をふんづけちゃったのが原因だって」

    梓「お餅・・・?」

    澪「そういえば、途中でそんなの見たかも・・・」

    唯「兎さんたちにとって、すっごく大切なものだって言ってるよ」

    41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 03:35:05.21

    澪「そうだったのか・・・」

    梓「兎さん、ごめんなさい! 許してくれませんか」

     兎たちは小さな首を横に振ります

    唯「ダメだって」

    梓「そんな・・・」

    澪「うう、やっぱり私たちは地球に帰れないんだ・・・!」


    憂「ねえ、私たちが代わりのお餅をつくってのはどうかな」

    梓「えっ、憂?」

    憂「私、お餅をつくの上手なんだ。お正月用のお餅はいつも家でつくってるんだよ」

    42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 03:42:00.79

    唯「兎さんたち、それなら良いって言ってるよ!」

    憂「やったあ!」


     さっそく杵と臼が運ばれてきました

     人間サイズの臼も杵も、小さな兎さんには不釣り合いですが

     重力の少ない月世界では彼らでも扱いにこまることはないのかもしれません


     杵の先でふかしたもち米をぐりぐりとつぶします

    唯「準備オーケーだよ」

    憂「お姉ちゃんはお餅を返すのお願いね」

    唯「よしきた!」

    44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 03:46:19.13

     ぺったんぺったん 二人でお餅をつきます

     私もお姉ちゃんも慣れたもので、つきと返しのタイミングに迷いはありません

     ぺったんぺったん

     ぺったんぺったん

     ぺったんぺったん 月のお餅が出来上がっていきます


    唯「ういー」


     ぺったん


    憂「お姉ちゃん!」


     ぺったん


    45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 03:54:52.00

    梓「憂、私にも手伝わせて」

    憂「うん、いいよ」

    唯「あずにゃん、お餅を飛ばさないように気をつけるんだよ」

    梓「分かってます・・・これ、けっこう軽いね」

    澪「わ、私もやる!」


     今度は梓ちゃんと澪さんに交替です

     ぺったんぺったん

     二人の動きはぎこちないけど、堅実にお餅をついています

     これって二人の共同作業ですね

     ……ってそれは、私たちもだった

     おかしな状況のせいか、へんなことばかり考えちゃうよ

    46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 04:02:51.66

    唯「終わったー!」

    憂「やったね、お姉ちゃん」

     何度かの交替ののちついにお餅は完成しました

     出来上がったお餅はシャンパンタワーのように高く積み上がっています


     兎さんたちもとってもよろこんでるようです

    唯「いっぱい働いたから許してくれるって言ってるよ」

    梓「兎さん、本当にごめんなさい」

    澪「ごめんなさい」

     頭を下げる二人に、兎さんたちはあわてた風です

     ロシア語は分からないけど、「まあまあ頭をおあげください」って感じなのかな?


    47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 04:15:48.04

     ぺったんぺったん

     ぺったんぺったん

     ぺったんぺったん

     ぺったんぺったん

     まだ耳の奥にお餅の音が残っています

     ぺったんぺったん……

    49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 04:22:50.00

    唯「兎さんかわいいね」

    憂「そうだね」

     月の兎さんたちは地球の兎さんとおなじでふわふわとした毛をもっていて

     きっとじかに触れたらやわらかそうです

    唯「ういー、この兎さんたち地球に連れ帰ったらだめかなあ」

    憂「お姉ちゃん、ひらさわ号は積載量が限られてるから・・・」

    唯「だめー?」

    憂「ごめんね、お姉ちゃん」

    唯「じゃあ、あずにゃんと澪ちゃんは」

    澪「いや、私たちは自分の船があるから」

    梓「それにこれ以上、お二人の邪魔はできませんよ」

    憂「あ、梓ちゃん・・・」

    50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 04:28:56.15

     そろそろお別れの時間がやってきました

     不思議と名残惜しいですが、宇宙服の空気にも限りがあります

     特に先に来ていた二人は、急いで船に戻らなくてはなりません。


    梓「じゃあ、お世話になりました」

    澪「二人とも本当にありがとう。二人で良い時間をすごしなよ」

    唯「ばいばーい」

    憂「さようならー」

    52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 04:33:54.30

    唯「私たちもひらさわ号に帰ろうか」

    憂「うん、お姉ちゃん。でもその前に背中にまわした手をこっちに見せてね」

    唯「ぎくっ」

     お姉ちゃんの手の中にはふわふわの兎さんがいました

    憂「もうっ、誘拐するつもりだったの?」

    唯「てへへ、冗談だよお」

     どうでしょう、危ないところです

     ……けれど、もしお姉ちゃんがいなかったらこの状況はどうにもなりませんでした

     梓ちゃんも澪さんもずっと船に帰れないままだったし、私だってそうでしょう

     お姉ちゃんにはいっぱい感謝しないといけないね

    憂「お姉ちゃん、ありがとね」

    唯「???」

     きょとんとした顔です

    53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 04:37:19.71

     ぴょーんぴょーんぴょーん


     足跡をたどって、来た道を返していきます

     お姉ちゃんの足跡と私の足跡

     二人の痕跡はリズムよく月の大地に刻まれています

     この足跡、ずっと残って行くのかなあ


     ぴょーんぴょーんぴょーん


    55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 04:42:12.94

     兎さんたちも、船の入り口まで見送りに来てくれました

    憂「さようならかわいい兎さん!」

    唯「ダスビダーニヤ!」

    憂「だすびだーにや!」

     名残惜しくも、扉はしまります

     いまや月世界は三重の隔壁と強化ガラスの向こう側です


    唯「そういえば、海に行き忘れたねえ」

    憂「そうだねえ」

    56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 04:47:52.51

    唯「しまったなあ、月の海水浴したかったのに」

    憂「お魚さんも見たかったね」

    唯「でも、楽しかったよね!」

    憂「・・・うん!」


     お姉ちゃんと一緒で、いっぱい楽しかったよ


    憂「また今度来ようね!」

    唯「きっとだよ!」


     ジェット噴射をはじめた船は

     コンピュータの自動操縦によって目覚ましい速度で地球へと帰還して行きました

    57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/21(金) 04:52:25.55


     私たちは暗い夜空に浮かぶ月を見るたびに思い出すでしょう


     以上が私とお姉ちゃんの月旅行の顛末です


     そういうわけで月の砂と、兎さんからもらった杵とは

     いつまでも私たち姉妹の宝物なのでした






     おしまい

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梓「つぎはこの星をヤッテヤルデス」
唯「異物感」
純「琴吹先輩って少し怖い……かな?」
  1. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/22(土) 22:29:09 URL [ 編集 ]
    悪くわない
  2. 名前: ◆- 2011/01/23(日) 01:16:23 URL [ 編集 ]
    なにこれこわい
  3. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/24(月) 04:51:42 URL [ 編集 ]
    才能感じた
  4. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/24(月) 20:22:27 URL [ 編集 ]
    ほのぼのでよかった

    ピロシキー―!!

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