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過去の名作たち

  1. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/02/11(金) 07:24:50 URL [ 編集 ]
    和ちゃんイケメン!
  2. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/02/11(金) 09:03:40 URL [ 編集 ]
    憂ちゃんかわいい
  3. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/02/11(金) 22:10:46 URL [ 編集 ]
    のどかやな~
  4. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/02/11(金) 22:44:54 URL [ 編集 ]
    「女が好きなんじゃなくて、好きになった相手がたまたま女だっただけ」って言葉、
    何度も聞いたことあるけど、初めてその意味がわかった気がする
    一人の人を愛するきれいなきもちが本当に美しく描かれていて、胸がいっぱいになりました

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唯×和 短編集

  1. 名前: 管理人 2011/02/11(金) 02:18:11
    4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/08(火) 23:15:13.92
    唯「あう~」プシュー

    和「ほら唯、しっかりしなさい。テストは明日なのよ?」

    唯「だって全然分かんないんだもん……」

    和「どこが分からないの?教えてあげるから」

    唯「どこが分からないのかも分からないよ」

    和「重傷ね」

    唯「やる気出な~い……」グター

    和「一緒に勉強しようって言ったのは唯でしょ?全くもう……」

    唯「だって和ちゃんと一緒にいたかったんだもん」

    和「じゃあ勉強……」

    唯「勉強は嫌~」

    和「……」


    76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/08(火) 23:18:19.87
    唯「ねえねえ、何かして遊ばない?」

    和「ダメ。テスト前日なんだからちゃんとやらないと」

    唯「ぶ~、けちー」

    和「はいはい。ほら唯もやらないと、補習受ける羽目になっちゃうわよ?補習になったら休みの日も遊べなくなるかも」

    唯「それはやだなあ……」

    和「じゃあ早く勉強するわよ」

    唯「ん~……和ちゃんがちゅーしてくれたら勉強するー」

    和「はあっ!?」

    唯「和ちゃんがちゅーしてくれたらやる気出しちゃうよ?」

    和「ダメよ」

    唯「けちー」

    77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/08(火) 23:20:56.91
    和「ケチで結構。私は勉強続けるから、唯もとっとと始めなさい」

    唯「む~……じゃあ明日のテストで80点以上ならちゅー!これでどう?」

    和「何言って……」

    唯「お願いだよ和ちゃん!ご褒美があれば私頑張れるし!」ズズイッ

    和「ち、ちょっと……もう。ご褒美目当ての勉強なんか意味ないのよ?」

    唯「……ダメ?」

    和「う……。はあ、分かったわ。80点以上取れたら……その、き、キスしてあげるから」

    唯「わ~い♪ありがとー和ちゃんっ!」ダキッ

    和「こ、こらっ!抱き着かないの!」

    唯「よ~し、やるぞー!」

    和「ふう……」

    唯「ふんすふんす!」カキカキ

    和(現金な子ね……ま、唯がやる気出してくれたからいっか)

    78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/08(火) 23:24:16.07
    ……

    唯「……」

    和「……」

    唯「……」

    和「それで?何点だったの?」

    唯「…………ななじゅう、きゅうてん」

    和「……」

    唯「……ちゅーは?」

    和「残念だったわね」

    唯「そんな~!あと1点だったんだよ!?」

    80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/08(火) 23:29:08.23
    和「あと1点だったとしても、約束は80点だったでしょ?」

    唯「あう~……」ヘナヘナ

    和「もう、そんなに落ち込まないの」

    唯「だってえ……」

    和「はあ……」

    唯「……」ズーン

    和「唯」

    唯「……な~に?」

    和「私ね、90点だったの」

    唯「えっ、自慢!?」

    82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/08(火) 23:30:24.32
    和「違うわよ。だからね、その……」

    唯「???」

    和「80点以上だから、ご褒美に……き、キスを……」

    唯「えっ、いいの!?」パアアッ

    和「い、いいも何も……私のご褒美だし」

    唯「そっかそっかあ。えへへ……」

    和「え、えっと……」

    唯「和ちゃん、目閉じて?」

    和「う、うん」

    唯「和ちゃん……90点、おめでと」

    和「ありがと……今度は唯ももっと頑張らないとダメよ?」

    唯「分かってるよお。それじゃあ和ちゃん、ん~……」

    和「ん、唯……」

    チュッ

    おしまい




    98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 01:00:46.80
    キーンコーンカーンコーン

    唯「和ちゃーん」

    和「唯」

    唯「和ちゃんもう帰るの?」

    和「うん。今日は生徒会ないから」

    唯「えへへ、それじゃあ一緒に帰ろう?」

    和「いいけど、部活はいいの?」

    唯「今日はお休みなんだぁ」

    和「そうなんだ」


    104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 01:07:11.17
    >>103
    大丈夫
    むしろ唯和スレが盛り上がってうれしい



    ――
    ―――

    唯「そういえば和ちゃんと二人で帰るの、なんだか久しぶりだね」

    和「そうね。私は生徒会、唯は部活があったからね」

    唯「えへへ、和ちゃーん」ギュー

    和「わ、ちょ、ちょっと唯!」

    唯「ぎゅー」

    和「…もう、しょうがないわね」


    105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 01:09:57.26
    テクテク テクテク

    唯「…それでね、りっちゃんがねー」

    和「ふうん」

    唯「…そしたら澪ちゃんが『うわーっ』て!」

    和「まったく、趣味が悪いわね」クスクス

    唯「ほんとだよね。でも面白かったなぁ」

    和「うん」

    106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 01:11:23.28
    和「……そういえば唯、進路はもう提出したの?」

    唯「うん、この間出してきたよ」

    唯「軽音部のみんなと同じ大学にしたんだぁ」

    和「…そうなんだ」

    107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 01:13:08.58
    唯「和ちゃんは大学――」

    唯「…あ」

    和「?」

    唯「……和ちゃんと、別々になっちゃうね……」

    和「……そうね」

    唯「……」

    和「……」


    108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 01:15:24.82
    唯「……ずっと、一緒だったのにね」

    和「うん」

    唯「幼稚園ではじめて仲良くなったのが和ちゃんで……」

    和「そういえばそうだったかしらね」

    唯「高校も、和ちゃんと同じがよかったから一生懸命勉強して……」

    唯「部活入ればって、進めてくれたのも和ちゃんで……」

    唯「今思えば…ずっと隣に居てくれたのに……」ジワァ

    唯「グスッ…わたし……」

    和「え?ちょ、ちょっと唯、泣いてるの?」

    109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 01:17:52.12
    唯「わたし…なんにも恩返しもできないで……グスッ」

    唯「ヒック…大学も別々で……」

    和「唯……」

    唯「うわーん!和ちゃーん!」ガバァ

    和「わぁっ」

    唯「和ぢゃんごめんねぇー!」ギュー

    和「ちょっと、また…!」

    唯「うぐぅー」グスグス ギュー

    和「……もう」

    110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 01:20:25.15
    和「唯、なにもそんなに泣かなくても……」

    唯「だって、卒業したらもう一緒に学校行ったり、一緒に帰ったりできないんだよぅ…?」

    和「別にもう会えないわけじゃないんだから」

    唯「でもぉ……」グスグス

    和「まったく……それじゃあこうしましょ」

    和「唯、この手のカタチ、覚えてる?」パカッ

    唯「?」

    唯「……あ」

    和「思い出した?昔唯が何かのテレビで見て真似してたやつ」

    唯「たしか小学校のとき」

    和「そうね」

    唯「それで、二人だけのお別れの挨拶にしてたんだよね!」

    和「いつの間にかやらなくなっちゃったけどね」

    111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 01:23:08.62
    唯「でも、それがどうして?」

    和「この挨拶を覚えている間は大丈夫」

    和「卒業して大学生になっても、社会人になって働くようになっても」

    和「この二人だけのサインがあれば、私達はずっと幼馴染で、ずっと親友」

    和「そういうのはどう?」

    唯「……ヨボヨボのおばあちゃんになっても?」

    和「うん」

    唯「二人だけのサイン……」パカッ

    唯「……えへへ」

    和「泣き止んだみたいね」

    唯「うん!」


    112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 01:25:30.40
    和「それじゃあ、私家こっちだから」

    唯「の、和ちゃん!」

    和「?」

    唯「和ちゃん、この平沢唯、人生17年間本当にお世話になりました!」

    唯「それで……えへへ、これからも、よろしくお願いします」

    和「……こちらこそ、ありがとう」

    和「これからもずっと、よろしくね」




    120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/09(水) 02:06:31.77
    「お誕生日おめでとう、お姉ちゃん!」

    「おめでとう、唯」

    「憂も和ちゃんもありがとー!」

    11月27日0:00

    今日はお姉ちゃんの18歳の誕生日です。

    夜にはまた軽音楽部のみなさんを呼んでパーティをするのですが、まずは日付が変わる瞬間に私とお姉ちゃん、和ちゃんの三人でささやかなお祝いをしています。



    121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/09(水) 02:07:31.37
    「はい、じゃあプレゼント」

    和ちゃんのプレゼントの包みは何やらずいぶん大きいようです。

    「わあ、ありがとう!開けていい?」

    「ええ、もちろん」

    お姉ちゃんは逸るようにがさがさと包み紙を乱雑に除けていきます。

    そして箱に書いてある品名を見て、それまで輝いていたお姉ちゃんの表情が凍りつきました。

    「和ちゃん……なにこれ?」

    「なにって、書いてあるじゃない。ヘルシーオイルバラエティギフト」

    「……これじゃお歳暮だよぅ」

    私としてはとても助かるのですが、確かに女子高生同士が誕生日プレゼントとして贈るものとしてはちょっと、いやかなり変わっているかもしれません。

    「あら、お気に召さなかったかしら」

    「そんなことないけど……だって和ちゃんからのプレゼントだもん」



    122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/09(水) 02:09:29.11
    「そう言いつつ、明らかに落ち込んでる顔よ。そうね……何か欲しいものはある?」

    「うーん……和ちゃんが欲しい!」

    「……はぁ?」

    お姉ちゃん、それは中々の爆弾発言だよ。

    言われた当事者の和ちゃんもぽかんとしています。

    「明日……じゃないか、今日、軽音楽部のみんながうちに来る前にデートしよ?」

    「ああ、そういうこと……わかったわ。まあデートという言い方もどうかと思うけれど」

    どうやら、お姉ちゃんは和ちゃんと二人きりでお出かけがしたかったようです。

    そういえば、最近あんまり和ちゃんと一緒にいられなくて寂しいとこぼしていたことがありました。これもちょうどいい機会でしょう。



    123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/09(水) 02:13:46.91
    「やったー!楽しみだなあ」

    「はいはい、それならもう寝なきゃね」

    「楽しみすぎて寝られないかも!」

    「そしたら寝不足でデートよ。どうせするなら万全の状態で楽しみましょう?」

    「えへへ……うん」

    さっきは突っ込んでいた割に、ごく自然に和ちゃんもデートって言っちゃってます。

    そして自分で言い出したにもかかわらず、和ちゃんの口からデートという言葉を聞くとお姉ちゃんも照れて赤くなっています。相変わらず可愛いです。

    「じゃあさじゃあさ、一緒に寝ようよ!」

    「まあ、今日一日くらいはあなたの言うこと聞いてあげるわ」

    「わーい、これで和ちゃんは私のものだね!」

    だから、爆弾発言だってば。

    最早和ちゃんはスルーしています。幼馴染だけあって、お姉ちゃんの扱いに関しては流石熟練しています。

    「それと、憂も一緒に寝よ?三人で寝るなんて久しぶりだし!」

    とはいえ、思わぬところで恩恵に与れたので、爆弾発言大いに結構です、はい。



    124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/09(水) 02:17:32.12
    ― ― ― ― ―

    「お姉ちゃん、ご飯できたよ」

    「あ、あと五分……」

    「もう、今日は和ちゃんとデートなんでしょ?早く起きなきゃ」

    「デート……そうだよデートじゃん!待ち合わせに遅刻しちゃうぅぅ!」

    そう言いながら寝ぐせだらけの髪をなびかせどたどたと居間にお姉ちゃんが駆け込んできます。

    「まだ寝ぼけてるみたいね。私はここにいるわよ」

    「あれ、和ちゃんなんでここに……あ、そっか……」

    「やっと正気を取り戻したみたいね」

    和ちゃんは呆れたように溜息をひとつ吐き、えへへと頭をかきながらお姉ちゃんも朝食の席に着きます。

    「で、今日は行きたいところとかあるの?」

    「え、えーっと…うーん……」

    焼き鮭に箸をのばしたままお姉ちゃんが考え込みます。

    どうやら特に何も考えてなかったようです。

    125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/09(水) 02:21:40.74
    和ちゃん、溜息ふたつ目。

    「じゃあ、散歩がてら買い物でもどうかしら。何か改めてプレゼントも選びたいし」

    「えっ……悪いよ、そんな」

    「細かいことは気にしないの。いつもお小遣いをすぐに使い切るあなたと違って、私はちゃんと貯金してあるの」

    「ぐぬぬ、痛いところを……でも、せっかく貯金してあるのに私のために……」

    「もう少し計画性を持ちなさいな。それに、貯金はいつか大切な時に使うためにしていて、それが今だと私は思った。それだけよ」

    「うぅ……和ちゃーん!大好き!」

    それを聞いて感極まったようにお姉ちゃんが和ちゃんに抱きつきます。

    我が姉ながら、いい幼馴染をもったものです。

    はいはい、と相槌を打ちつつ、今度はお姉ちゃんの頭を和ちゃんが撫でます。

    さて、朝から仲がいいのは結構なのですが……

    「二人とも、早く食べなきゃご飯冷めちゃうよ」

    126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/09(水) 02:25:43.94
    ― ― ― ― ―
    「じゃあ、いってくるねー!」

    「皆が来るまでには戻るから」

    「うん、いってらっしゃい」

    お姉ちゃんたちを玄関でお見送り。パタンと玄関のドアが閉まると行動開始です。

    こんな素敵なイベント、見逃すわけにはいきません。さっそく尾行です。

    早起きして予め用意しておいた帽子にサングラス、マフラーとマスクに厚手のコートを装備します。これできっと誰も私だと気がつかないはずです。

    さあ、では見失う前に早く追いかけましょう。

    商店街へと向かう道を辿っていると、案外まだ遠くに行ってなかったようで、すぐに二人の後ろ姿を発見しました。

    どうやら、お姉ちゃんが和ちゃんの腕に絡みついていて上手く歩けないようです。時折何やら話しているようですが、ここからでは聞こえません。

    ここは危険を冒してでも近づくことにします。
    きっと大丈夫、私ならできる!






    127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/09(水) 02:29:27.92
    「そんなにひっついたら危ないじゃない、歩きづらいわよ」

    「だってせっかくのデートだもん、和ちゃん分を補給しなきゃね」

    ああ、近づいたとたんこれです。
    やっぱりいかなるリスクと引き換えにしようと会話の聞こえる距離を保たなくてはならないと確信しました。

    二人は結局腕を組んだまま、商店街に並ぶ店のひとつへと吸い込まれていきました。あの店は……確か雑貨屋さんだったかな?

    気づかれないように気配を消しつつ私も続けて入店します。
    周りのお客さんが一瞬ぎょっとした顔で私を見てきますが、そんなこといちいち気にしてられません。嗤われようと罵られようと蔑まれようと、私は私の正義を貫いて見せます。

    と、いけない。
    自己の世界に没頭しているうちに二人は少し離れたスペースに移動してしまいました。あそこはアクセサリーコーナーだったはず。アクセサリーとはいっても基本的に女子高生向けの比較的安価なものが中心です。

    「あ、これ欲しい!」

    そのコーナーの一角で、歓声をあげてお姉ちゃんが何か手にとりました。
    あれは、もしかして……

    128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/09(水) 02:35:31.81
    「ペアリング?」

    「うん、和ちゃんと私でおそろい!」

    お姉ちゃんはそれを満面の笑みで和ちゃんに差し出して見せます。

    シンプルな、ちょっとお姉ちゃんらしからぬ大人びた印象を受けるシルバーのリング。

    「確かに素敵だけど……ペアリング、ねえ」

    「私とおそろい、いや?」

    自信なさげに上目遣いでそんなことを尋ねるお姉ちゃんを見て、いやだと言える人間がいるでしょうか。いや、いるはずもありません。

    そして、いかにクールとはいえ和ちゃんも人間です。

    「……わかったわよ。あなたの誕生日だし、今日はわがままを聞くって言っちゃったからね」

    「やったあ!」

    「でも、あんまりあなた好みのデザインとも思えないけど」

    確かに和ちゃんの言う通りで、お姉ちゃんはどちらかといえばもう少し可愛らしいもの方が好きだったはずです。

    129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/09(水) 02:40:14.75
    「えへへ、和ちゃんがこれを着けたらすっごく似合うだろうなあって思って」

    「あなたへのプレゼントなのに、私に似合ってどうするのよ」

    「私がいいって言うんだからいーの!」

    「まあ、贈られる相手がいいと言うのならなら構わないけど」

    そう言うと、どこか困ったように、でもちょっと笑みを浮かべながら、和ちゃんはリングを手にレジへ向かおうとします。
    しかし、お姉ちゃんが和ちゃんと腕を組んだままで立ち止まってしまったため、結局和ちゃんもその場に留まらざるを得ません。

    「ちょっと待って、半分は私が出す!」

    「あのねえ、これはあなたのための誕生日プレゼントなんだから……」

    「私が着ける分は和ちゃんが、和ちゃんが着ける分は私が、ね?」

    「……お金はあるの?」

    「こんなこともあろうかと、来月のお小遣いを前借りしてきました!」

    「それは威張ることじゃないわよ。それに、来月分を月をまたがないうちに使い切っていいの?」

    「私だって、和ちゃんが大切だもん。今が大切な時だもん!」

    「……そこまで言うなら止めないわ」

    130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/09(水) 02:44:24.16
    クールにあしらっているように見えますが、和ちゃんはどこか嬉しそうです。
    普通の人が見てもわからない程度の表情の違いですが、幼馴染ならわかります。今のように遠くから見つめていても分かったのは少し誇らしい気分です。

    もちろんお姉ちゃんもそのあたりは分かっているはずで、あんな風にあしらわれながらも機嫌が良さそうです。とはいえ、和ちゃんと一緒にいるときにお姉ちゃんが不機嫌なほうが珍しいのですが。

    無事会計を済ませ店を出ると、二人は商店街を離れます。
    向かう先は、どうやら私たちが子供のときよく遊んでいた公園のようです。

    公園に着くと、二人並んでブランコに腰かけます。
    きいきいと軽くブランコを揺らして楽しそうにしているお姉ちゃんも可愛いです。

    「ねえ和ちゃん、早速指輪着けてみようよ」

    「はいはい」

    「まずは私が着けてあげるね!」

    「なんだか気恥ずかしいわね」

    そう言いながらも、和ちゃんは右手を差し出します。
    とりあえずお互いに着け合いっこするのは和ちゃんも自然に受け入れているあたり流石と言わざるを得ません。

    131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/09(水) 02:48:28.63
    「そっちじゃないよぉ……指輪は左手の薬指なの!」

    「それは婚約指輪でしょう」

    「そうだよ。ねえ、和ちゃん……昔した約束覚えてる?」

    「……『私、大きくなったら和ちゃんのお嫁さんになるね』」

    「覚えててくれたんだ。流石は和ちゃんだね」

    「忘れるわけないじゃない」

    「えへへ、嬉しいな」

    「それで、今になってどういう風の吹きまわしよ」

    「……もうすぐ、卒業しちゃうからさ。和ちゃんは違う大学に行っちゃうし、今を逃したら、ずっとプロポーズできない気がして」

    たどたどしく、それでも誠意をこめて訥々と話すお姉ちゃんを、和ちゃんは目をそらさずに見つめます。

    「和ちゃんは馬鹿みたいって笑うかもしれないけど、和ちゃんと離れ離れになっちゃうのが不安で、怖くて……何か形として残るものがほしかったんだよね」

    132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/09(水) 02:52:23.55
    そこまで言葉を紡ぐと、耐えきれなくなったようにお姉ちゃんの瞳からぽろぽろと涙が零れ落ちました。

    「本当、あなたは馬鹿ね。私があなたを笑うはずがないでしょう?」

    そこまで言うと、和ちゃんは自分の鞄からリングの包みを取り出しました。

    「ほら、左手かして」

    そして、お姉ちゃんの手を取り、その薬指にリングを通します。
    お姉ちゃんはついに声をあげて泣き出します。

    「和ちゃん……大好きぃ……」

    「私もよ、唯」

    そして今度は、お姉ちゃんの番です。
    涙をぐしぐしと拭い、和ちゃんの左手を握ります。

    「ふつつか者ですが、よろしくお願いします!」

    そう涙声で言いながら、お姉ちゃんは九十度の礼をします。

    「はい、喜んで」

    そして、和ちゃんの返事を聞いたとたんに、ぱあっと嬉しそうに顔をあげます。
    その極々簡潔な返事のひとことひとことを噛みしめるように、ゆっくりと、リング交換を完結させました。

    133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/09(水) 02:56:48.24
    それからはしばらく照れたようにもじもじしていたお姉ちゃんでしたが、急にはっと何かに気付いたような表情をした後、この上なく真剣な、そしてこの上なく緊張した顔つきになって「式」の手順を進めました。

    指輪交換の後といえば、最早相場は決まっています。

    「真鍋和さん、あなたは健やかなるときも、病めるときも……ええっと、なんだっけ……と、とにかく、永遠の愛を誓いますかっ?」

    「はい、誓います」

    「で、では、その……誓いの……キ、キスをっ!」

    「はい」

    そうして和ちゃんは幸せそうに笑い、二人の顔はゆっくりと近付き、そして――――




    ――――――これ以上は、野暮ってものですよね?




    永遠の愛を誓い合っているであろう二人に背を向け、気づかれないように公園を離脱します。

    今からパーティの準備をして間に合うか少し心配ですが、あの二人の幸せのお裾わけがあるから私も頑張れます。

    こんな最高の誕生日を、私が台無しにするわけにはいきません。

    改めて、お姉ちゃん、おめでとう!

    134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/09(水) 02:58:48.27
    以上です。長々と失礼しました。




    211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/11(金) 00:01:59.40
    初体験は、中学校の時。
    相手は、幼稚園の頃からの幼馴染。
    とはいってもそれは世間一般で言われているような行為を指すのではなく、でも、もしかすると、それより複雑かもしれないこと。


    212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/11(金) 00:03:08.90
    ― ― ― ― ―

    「おはよう、唯……ちゃん」

    「あ、和ちゃんおはよう」

    初体験、それは、この幼馴染を呼び捨てにすること。
    小学校までは「ちゃん」だとか「さん」を付けないで友人のことを呼ぶと先生に叱られていた。でも、中学校に上がるとそんな制約は無くなり、周囲の友人たちは思い思いに互いを呼び合っている。
    そこで、私もそれに便乗して幼馴染を「唯」と呼び捨てにしてみようと思うのだけど、なんだか気恥かしくてその度ごまかしてしまう。

    そんな訳で、今日も失敗。
    「初体験」までの道のりは、どうやら中々険しいらしい。


    214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/11(金) 00:09:59.85
    ― ― ― ― ―

    その日も結局失意に沈んだまま下校することになった。家に帰りつき、夕食、お風呂を済ませると居間でテレビを見ることもなく部屋に閉じこもる。さっさと宿題を終わらせ、翌日の授業の準備を済ませるとなんだか手持無沙汰になる。
    そんな時、頭に浮かぶのはいつだって同じ人のことだった。

    あのうっかり者の幼馴染は宿題を忘れてはいないだろうかと思って念のためメールを打つ。「文字ならいけるかも知れない。もし何か言われれば打ち間違えたと言えばいいのだ」とも一瞬考えた。
    しかし、そんな風に逃げ道を用意している自分が嫌になって、結局「宿題ちゃんとやった?」と、彼女の名前抜きの文面にした。
    それはそれで逃げなのかもしれない。頭の中で色々渦巻いて訳がわからなくなる。

    そのままベッドにもぐりこんだところで、あれこれ考え込んでしまって目がさえてしまって眠ることなど出来やしない。
    布団を頭から被って、唯、唯と口に出してみる。それだけでなんだか恥ずかしくて頬が熱くなる。

    なにをやっているんだ、私は。


    215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/11(金) 00:18:08.03
    ― ― ― ― ―

    転機が訪れたのは、その次の日だった。
    その日も今までと同じように呼び方を変えることはできず、鬱屈としたまま放課後を迎えることになった。

    「唯ちゃん、帰ろうか」

    「うん」

    いつものように、一緒に教室を出ようとする。
    「またね、真鍋さん」だとか「唯ちゃんまた明日」だとか、クラスメートたちは思い思いに私たちに声をかける。
    そんな中、誰が投げかけたのかもわからない言葉に、思わず耳を疑った。

    「唯、バイバイ」

    彼女も、自然にバイバイと返す。
    ただ、余りのショックに打ちのめされてしまって、相手の名前までは耳に入らなかった。

    先を越されてしまった、というのと同時に、なんだか幼馴染を取られてしまったような感覚に襲われる。
    それが悔しくて、悲しくて仕方なくて、気が付いたらその場から走って逃げだしていた。


    216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/11(金) 00:26:07.39
    ― ― ― ― ―

    勢いで学校を飛び出してしまった。
    今の私はきっと酷い顔をしている。息は上がって、髪はぼさぼさで、涙はぼろぼろと溢れ出している。
    こんな顔のままじゃ家にも帰れない。仕方がないので、いつもの通学路にある公園に立ち寄り、ブランコに座って心を落ち着かせようとした。

    なにをやっているんだ、私は。

    今まで散々繰り返してきた自問自答だった。
    自分自身の中にある、幼馴染への思い。それは陽だまりのような温かい気持ちであったり、底冷えしてしまうような醜い独占欲だったりして、どうやってそれと付き合っていけばいいのか、私にはわからなかった。


    217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/11(金) 00:34:40.34
    しばらくきいきいとブランコを軽く揺らしていると、公園に駆け込んでくる人影が一つ。
    それは、私の幼馴染。

    ぜいぜいと肩で息をしている様子をみると、彼女も走って追いかけてきたのだろう。なんだか申し訳なくって、また泣いてしまいそうになる。

    「和ちゃん……よかった、見つかった」

    私の前まで駆け寄ってくると、息も絶え絶えに言葉を絞り出し、そのまま彼女はわんわんと泣き出した。

    「ごめんね、私頑張るから、私のこと嫌いにならないで」

    「私が、唯ちゃんを、嫌い?」


    218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/11(金) 00:43:51.77
    「だって、私と一緒に帰りたくないから、和ちゃんは先に行っちゃったんでしょ?」

    「そんな訳ないでしょう。私たち、幼馴染じゃない」

    「でも、なんか最近和ちゃんよそよそしかったし……」

    「それは……」

    それは、あなたのことをずっとずっと考えていたから、なんて言えるはずもない。
    だけど、私が言い淀むのを見て、更に向こうの誤解は深まってしまったかもしれない。

    「和ちゃんが言ってくれれば、頑張って私の嫌なところ直すから。だって、和ちゃんには、これからも大好きな幼馴染でいてほしいから」


    219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/11(金) 00:51:45.99
    その言葉を聞いて、やっと何故私がここまで呼び方なんて細かいことにこだわっていたのか理解できた気がする。

    私も彼女のことを大好きで、だからこそ二人の間の距離を縮めたかったのだ。

    その関係の変化の象徴、わかりやすい形として「唯」という呼び名にこだわっていたのだろう。

    そしてそれに対するわだかまりは、単なる恥ずかしさだけじゃなくて、拒絶される恐怖。

    でも、もう迷うことはない。
    自分のために泣いてくれる幼馴染相手に、何を恐れる必要があるだろう。


    220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/11(金) 01:00:46.10
    もやもやとした気持ちに整理がついても、まだ少し恥ずかしさはある。
    けれど、ここで勇気を出さなければ彼女の幼馴染でいる資格などない。
    ブランコから立ち上がり、彼女の眼を見つめて、必死に言葉を紡ぐ。

    「嫌なところなんてないわ。だって……唯は、私の大切な幼馴染だから」

    やっと言えた。
    胸のつかえが取れたようで、なんだかほっとしていると、唯がいきなり抱きついてきた。
    驚きながらも、私も片手を唯の体に回しながら、彼女の頭をそっと撫でる。
    抱きつき癖は昔と全然変わらない。

    「これからもよろしくね、唯」

    返事の代わりに、唯は腕に込める力を強めた。
    今はただ、こうやって唯の温もりを感じていたかった。




    おしまい!

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過去の名作たち

あずにゃん「唯先輩それバタフライじゃないですよー」
唯「じゃあ私も来年生徒会長に立候補しようかな」和「マジで!?」
紬「ドーン・オブ・ザ・ムギちゃん」
  1. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/02/11(金) 07:24:50 URL [ 編集 ]
    和ちゃんイケメン!
  2. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/02/11(金) 09:03:40 URL [ 編集 ]
    憂ちゃんかわいい
  3. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/02/11(金) 22:10:46 URL [ 編集 ]
    のどかやな~
  4. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/02/11(金) 22:44:54 URL [ 編集 ]
    「女が好きなんじゃなくて、好きになった相手がたまたま女だっただけ」って言葉、
    何度も聞いたことあるけど、初めてその意味がわかった気がする
    一人の人を愛するきれいなきもちが本当に美しく描かれていて、胸がいっぱいになりました

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