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唯「あずにゃんと付き合うことになったの!」
- 名前: 管理人 2010/09/06(月) 21:28:14
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:40:29.85
夜。
平沢家。
憂「…………へ?」
憂はその言葉の意味が、わからなかった。
憂「……どういうこと?」
唯「だから! 私ね、あずにゃんとカップルになったんだよ!」
憂「……………………嘘」
唯「ほんとだよ!」
唯「今日、告白してくれたの! 『唯先輩のこと、大好きです』って! 私、OKしちゃったよ」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:41:37.74
唯はえへへー、と幸せそうに頭をかく。
憂(嘘嘘嘘嘘嘘!!! ありえない!)
憂(なんで梓ちゃん? なんで私じゃないの? 告白したって……、私がお姉ちゃん好きなこと、梓ちゃん知ってるはずなのに……)
憂(そうか……)
憂(横取り、された…………)
憂(あの泥棒猫……おとなしそうな顔しやがって……)
憂(………………………………小ざかしい)ギリリッ
唯「憂! 包丁をなんでそんなに強く握り締めてるの!? こわいよ!」
憂「え、ああ。なんでもないよ。それより、ご飯もう少しで出来るから、待っててね」
唯「う、うん……」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:43:01.91
憂「あ、お味噌汁が沸騰してる! 火止めなきゃ!」
憂は火の元をとめようと――。
唯「今度、デートする約束してるんだー」
ぐゎら ぐゎら ぐゎら …… と、なべの蓋がおちた。
煮えくり返った。
煮えたぎっている味噌汁が、なべの外に出ようとしている。
憂(……………………デート?)
憂(あの女、そこまで手を回して…………)
沸騰しきった味噌汁が、なべの外に押し出される。
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:43:37.75
憂(………………悔しい)
憂(なんで、梓ちゃんが…………)
唯「ごはんまだー?」
憂「…………あ」
ようやく、味噌汁が駄目になっていることに気づく。
憂「作り直さなきゃ…………」
憂ははあ、とため息をついた。
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6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:44:34.18
翌日、学校
梓「憂、おはよう」
憂「…………………………」
梓「? どうしたの?」
憂「話しかけないで?」
梓「え? 何で?」
憂「…………………………」
梓「あー、わかった。好きな人とられて悔しいんでしょ」
憂は歯噛みした。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:45:14.11
梓「ごめんねー。うふふ」
憂「…………チッ」
梓「へえ。憂が舌打ちするの、始めてみたよ」
憂「黙れ」
梓「はいはい」
何だか馬鹿にされてるようで、憂は机に突っ伏した。
梓「あら。いじけちゃった?」
憂「……………………」
梓「………………子供みたい」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:46:03.95
憂「……………………」
梓に殺意を覚える。
その感情を、必死に押しとどめる。
憂(殺しちゃ駄目。お姉ちゃんが悲しんじゃう)
憂(お姉ちゃんが幸せならいいの。梓ちゃんと付き合っても)
憂(お姉ちゃんが、幸せなら……)
憂(…………寂しい)
憂(…………何で、何で、なんでなんでなんで!?)
憂(…………何で、私じゃないの?)
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:46:41.15
純「おはよー」
梓「あ。純、おはー」
純「おやぁ? 梓、ご機嫌ですな。何かあった?」
梓「えへへへ。ちょっとね」
純「何々?」
梓「ひみつー」
純「えー、教えてよー」
梓「やだー」
憂はその二人の会話を聞きながら、そっと眼を閉じた。
総てが夢だったらいいな、そう思いながら。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:47:18.01
夜
平沢家
唯「今日はね、デートする日にち決めたんだ」
憂「…………そうなんだ」
唯「うん! 今週の土曜日!」
憂は思い出す。たしか、今日は水曜日だ。あと3日後か。
憂「…………楽しみ?」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:48:00.20
唯「うん! だって、初めてのデートだもの!」
憂「…………そっか」
憂(お姉ちゃんが、楽しめたらそれで…………)
憂(お姉ちゃんが、お姉ちゃんが、幸せなら…………それ、で…………)
唯「あれ? 憂どうして泣いてるの?」
憂「……へ?」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:49:07.58
>>15 エリだ
憂は目を擦る。
涙が付く。
憂「本当だ。私、泣いてる……」
唯「大丈夫?」
憂「……うん。気にしないで」
唯「う、うん…………」
何で泣いてるのだろう。
憂(お姉ちゃんが幸せなら、笑わなければいけないのに)
本当に、何で泣いてるのだろう。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:49:56.83
土曜日!
唯は早朝から家を出た。
憂一人が、家に残った。
憂「……暇だな」
憂「お姉ちゃん、楽しんでくるかな」
憂「お姉ちゃん、梓ちゃんと仲良くやれるかな」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:50:41.48
憂「お姉ちゃん………………」
憂「…………何か、家が広くなったみたい」
憂「お姉ちゃんが、修学旅行行ってるみたいだよ」
憂「…………暇だな」
憂「ういー、アイスー」
憂「………………」
憂「何やってんだろ、私」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:51:23.36
憂「……………………寂しいな」
呟くと同時、頬に暖かいものが伝った。
憂「…………このごろ、泣いてばかりいるなぁ」
憂「どうしちゃったんだろ、私」
憂「お姉ちゃんが幸せなら、それでいいのに…………」
憂「何で、こんなに悲しいのかな?」
答える声は、もちろんない。
憂の独白は、えんえんと続いた。
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:52:08.32
同日、夜
唯「ただいまー! うい!」
憂「お姉ちゃん、お帰り」
唯「じゃあ、荷物ここに置いとくね」
憂「…………え?」
唯「梓ちゃんに誘われたんだよー。明日も休みだし、私の家に泊まっていきませんかって」
唯「じゃ、行ってくるねー!」
憂「ま、待って!」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:53:12.04
>>20 悪いがヤンデレじゃない
>>21 エリのスレってそんなにあったっけ?
憂の制止を無視して、唯は梓の家へ向かう。
ぱたん、と玄関のドアが閉まる音がした。
憂「…………お姉ちゃん」
その呟きは、決して誰にも聞こえない。
唯の置いていった、お土産の入っている袋が、くしゃり、と音を立ててくずれた。
中から出てきたのは、可愛らしい人形。
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:53:54.51
憂はそれを一瞥した後。
思いっきり、蹴り飛ばした。
人形が、玄関と衝突する。
憂は息を荒げる。
憂(お姉ちゃんが、幸せなら…………っ)
憂は壁を殴りつけた。
どめりっ、という音がして、壁が拳大に凹む。
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:55:07.57
憂(………………梓ちゃんに、バージンまで奪われるんだね)
憂(もういい)
憂(もうわかった)
憂(こんな家、出てってやる)
憂(もうお姉ちゃんにも未練はない)
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:55:57.75
憂(こんな家、出てってやる!)
憂(お姉ちゃんなんか、もう知らない!)
憂(もう、本当に、知らないんだから!)
完全に、頭に血が上っていた。
憂は何の準備もせず、着の身着のまま家から飛び出した。
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:56:54.01
>>28 姫子の方が好きだ
同日、街中
行くあてはなかった。
ただ、放浪しているうちに、自分の家への帰り道がわからなくなった。
憂(まあ、いっか)
憂(もう、帰らないんだし)
憂(明日、帰ってきたら驚くだろうな、お姉ちゃん)
憂(何しろ、私がいないんだもの)
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:57:41.24
憂(餓死しちゃうんじゃないかな? あはは!)
憂(ははは…………)
憂(………………はあ)
憂(どこに行こう)
憂のお腹が、ぐうと鳴る。
憂(何か、食べたいな)
憂(あ)
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:58:17.57
憂(お財布、持ってきてないや)
憂(どうしよう…………)
憂は自販機の前を通りすぎようと、――――思わず自販機の前で、足が止まった。
憂(飲みたいな…………)
憂(お金、ないしな…………)
憂(私が、餓死するんじゃないかな、はは、そんな)
憂(…………やだよぅ)
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:58:51.67
?「何飲みたいの?」
突然、背後から声をかけられて驚いた。
サイドテールの人が、いた。
桜高の制服を着ている。リボンの色から三年生だ、とわかった。
憂「え?あ、あの?」
?「飲みたいんでしょ?」
憂「あ、はい」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 19:59:52.16
>>37 何のことだ?
?「どれ?」
憂「え、いいんですか?」
?「うん。おごりだよ」
憂「え、じゃあ、コーラで……」
?「うん。わかった」
サイドテールの人はお金を入れて、『コーラ』を選択し、下の取出し口からコーラを手に取った。
?「はい、あげる」
憂「あ、ありがとうございます」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:00:41.66
憂はコクコクとコーラを飲む。
と、視線に気づいた。
憂「何ですか?」
サイドテールの人が、憂を見てくるのだ。
?「え、いや、何か似てるなーって」
憂「誰にですか?」
?「私のクラスのね、平沢唯って子。知ってる? 知らないよね」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:02:06.81
>>41 レズよりはいいだろ。いや個人の価値観だけど
憂は驚いた。まさか、唯のクラスメートとは思わなかった。
憂「……知ってます」
言うのはすこし、躊躇ってしまった。
?「え、本当?」
憂「はい。だって――」
憂「私、妹なんです」
?「あ、もしかしてういちゃんっていう子?」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:03:02.25
憂「知ってるんですか?」
?「うん。唯ちゃんがね、よく出来た妹だって、いっつも言ってるよ」
?「へー君がういちゃんかー。なんて漢字書くの? ういって」
憂「憂慮の憂です」
?「へー。あ、私は瀧エリって言うんだ。エリって言ってね」
憂「は、はい……エリ、さん」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:03:44.84
エリ「エリだけでいいよ、ま、いっか。それより、唯ちゃん家って、こっちだっけ?」
憂「いえ、もっと向こうです。どこにあるのかは、わかりませんけど」
エリ「えー? じゃあ、何でこんなとこに……、道に迷ったの?」
憂「そ、それもありますけど……」
エリ「けど?」
憂「私、家出してきたんです」
エリ「家出!?」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:04:27.56
憂「は、はい」
エリ「親御さん心配してるんじゃないの?」
憂「いえ。両親はめったに帰ってきませんし……お姉ちゃんもいません」
エリ「泥棒入っちゃうよ」
憂「……いいんです。あんな家」
エリ「駄目だよ。家族ってのは大切にしなきゃ」
憂「……………………」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:05:13.73
エリ「多少、嫌なところがあってもさ、それを認め合って、そして付き合っていくんだよ。それが家族でしょ」
憂「…………お姉ちゃんが」
エリ「お姉ちゃんが?」
憂は家出した理由を話した。
唯に対する鬱屈と、梓への嫉妬を語った。
エリ「……そんなのが、家出の理由?」
憂「そんなのって……」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:05:48.18
エリ「そんなのはそんなのだよ。ただの我が侭じゃない」
憂「…………そうかも、しれません」
エリ「お姉ちゃんが――唯ちゃんが幸せならいいんでしょ?」
憂「…………はい」
エリ「なら、なおさら喜ばなきゃ。バージン卒業! ってことでお赤飯でも炊いて上げなよ」
憂「………………」
エリ「少なくとも、憂ちゃんが家出してたら、誰も幸せになれないよ」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:06:28.28
エリ「皆、悲しむだけだよ」
憂「………………はい」
エリ「家まで、送ってってあげようか?」
憂「…………いいんですか?」
エリ「うん。いいよ」
憂「……ありがとうございます」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:07:24.19
エリ「気にしないで。まず、桜高に向かおうか、そこから唯ちゃん家に行こう」
憂「…………はい」
エリ「あれ、憂ちゃん泣いてるよ?」
憂「え?」
エリ「ほら、可愛い顔なんだから、泣き顔は似合わないよ」
エリは憂の目元をぬぐう。
やわらかくて、あったかい。そんな指先の感触が、憂の頬を赤らめさせた。
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:08:08.06
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同日!
平沢家玄関前!
エリ「やっと付いたね」
憂「はい。ありがとうございました」
エリ「いやいや、お礼なんか要らないよ」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:09:06.18
憂「あの、あがってきませんか?」
エリ「え? いいの?」
憂「はい。何かご馳走します」
エリ「うーん、じゃあ、焼きそばがいいな」
憂「焼きそば、ですか?」
エリ「うん…………駄目?」
憂「いいえ。作れますよ。あ。あがって待っててください」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:09:56.46
エリ「うん。わかったー」
エリは平沢家に入った。
エリ「…………なんで壁が凹んでるの?」
憂「あ! 気にしないでください!」
エリ「人形も綿がはみ出てるし…」
憂「気にしないでください!」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:11:06.36
平沢家内!
数分して、焼きそばがエリの前に運ばれた。
エリ「うわー、香ばしい匂い! プロを感じるね!」
憂「ありがとうございます」
モグモグ エリ「うん、味も絶品!」 モグモグ
憂「えへへ」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:11:51.76
エリ「すごいね、どこかでお料理習ったの?」
憂「いえ。自然と身に付きました」
エリ「へー。才能だねえ」
憂「エリ先輩は、お料理しますか?」
エリ「うん。私は一人暮らしだからね」
憂「そうなんですか?」
エリ「うん。だから、私も自然と身に付いたね」
憂「何のお料理が自信ありますか?」
エリ「焼きそば、と言いたいとこなんだけど……豚肉の洋風旨煮、かな」
憂「何でですか?」
エリ「一番初めに作った料理なんだよ、だからかな」
エリはふと、目を細めた。
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:12:35.90
数分後
エリ「……、よし、完食! 美味しかったよ!」
憂「ありがとうございます」
エリ「また食べたいなー。今度、来てもいい?」
憂「はい。もちろんです」
エリ「ありがとー。流石、唯ちゃんが出来た妹、と褒めただけあるよ」
憂「…………はい」
気恥ずかしくなった。
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:13:46.92
>>58 今日のA・M3:00くらいに紬も書いたぜ
エリ「じゃ、そろそろ私は帰るかな」
憂「あ、はい! 今日はありがとうございました!」
エリ「いやいやこちらこそー」
そして、エリは外に向かう。
憂は玄関から、エリの姿が見えなくなるまで手を振り続けた。
また会いたいな。そう思った。
****************************************
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:14:27.72
翌日、朝!
平沢家!
唯「ただいまー。お泊り、楽しかったよー」
憂「お帰り。どうだった?」
唯「修学旅行みたいな感じだよー」
憂「……あ、あのさ、え、えっちぃこと、した?」
唯は首をかしげる。
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:15:14.52
憂(な、なあんだ。考えすぎだったかぁ)
憂(よく考えたら、付き合って間もないもんね)
憂(でも、良かった)
憂は安堵の息を漏らした。
唯「どうしたの?」
憂「何でもないよ」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:15:57.22
唯「あ、私ね、朝ごはん食べてないんだ」
憂「あ、丁度良かった! 今出来たとこ!」
唯「え! 何? 今日は?」
あのね、と憂は語を継ぐ。
憂「――お赤飯だよ!」
終わり
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:16:46.77
番外編 梓と憂と
教室
憂「おはよう! 梓ちゃん」
憂は読んでいた本から眼を離すと、教室に入ってきた梓に挨拶してきた。
梓「……何よ、憂。気味が悪いほど元気ね」
憂「うん。土曜日にいいことあったんだ!」
梓「あ、その日なら唯先輩と私が……」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:17:22.92
憂「うん、知ってるよ」
梓「悔しくないの?」
憂「ううん。むしろ、梓ちゃんたちを応援してるよ!」
梓「……何なのよ、数日前とは別人じゃない」
憂「達観したんだよ」
梓「本当に、何があったの?」
憂「へへ、秘密」
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:18:15.15
と、そこに純がやってきた。
純「おはよー、みんな」
梓「あ、純。お早う。髪切った?」
純「あ、わかる?」
憂「うん、わかるよ。とても似合ってるよ」
純「へへー。ありがとう」
純は鼻を掻いた。
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:19:23.24
>>67 紬のほうは入れたんだけどね…
純「あれ? 憂何読んでるの?」
憂「え、これ? これは――」
憂は本の表紙を見せて、答える。
憂「美味しい焼きそばの作り方って本なんだ」
終わり
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:20:05.23
番外編 ある火曜日の放課後
唯は梓に、放課後講堂に来てください、と言われていた。
講堂は、放課後は使われない。そのせいか、幽霊が出る、という噂を聞いたことがある。
唯は若干それにおびえながらも、講堂の扉を開いた。
梓がいた。
凛、とした雰囲気を漂わせていた。
梓「――唯、先輩」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:20:55.21
梓が唯に詰め寄ってくる。
唯「ど、どうしたの? あずにゃん」
梓「私、唯先輩に言いたいことがあったんです……」
唯「な、何?」
梓「はい、それは――」
梓の頬は、柔らかな朱色。
白い肌に美しく、赤が映えていた。
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:21:49.91
なぜだか唯まで、緊張してしまう。
梓は深呼吸をして、そして。
梓「私、唯先輩のこと大好きなんですっ!!」
まくし立てるように、言った。
唯「へ?」
混乱していた。
梓「な、何度も言わせないでください! 私、唯先輩のことが、大好きで仕方ないんです!」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:22:35.96
唯「それって、つまり……」
ごくり、と唯はつばを飲み込む。
唯「……告白、だよね」
梓「……はい」
唯はなんというべきか迷った。
梓「……駄目、ですか?」
梓が何かを懇願するみたいに、見上げてくる。
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:23:25.93
唯は
唯「いいよ」
明確な意思を持って、答えた。
梓を、かなしませたくなかった。
梓の不安げな表情を、見たくなかった。
唯「付き合おう」
梓「いいん、ですか?」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:24:14.47
唯「うん。実は私も、……私も、あずにゃんが好きなんだ」
本音だ。一片の嘘のない、事実だ。
梓「…………嬉しいです」
梓は唯に、ぎゅっと抱きついてきた。
唯「あずにゃん……」
唯は梓を、抱き返す。
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:25:03.83
梓「……梓って、言ってください」
唯「え?」
梓「梓って、一度でいいから呼んでください」
唯「じゃ、じゃあ……。私のことも、唯って言ってくれない? 一度だけでいいから」
梓「はい。…………唯、大好きです」
唯はすこし、新鮮に感じた。
唯「私も、大好きだよ。……梓」
そう言って、再び熱く抱擁する。
梓の柔らかさを、心地よく感じていた。
終わり
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:25:45.20
番外編 ひとりずもう
憂(エリ先輩のために、家で作ってきたお弁当……渡すの、恥ずかしいな)
三年二組の教室の前、平沢憂は葛藤していた。
憂(お弁当、早く渡したいんだけどな……)
憂は教室をちらり、とのぞき見る。
憂(楽しく談笑してるし、邪魔するのもな……)
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:26:22.78
憂(いや、でも先輩は焼きそばパンしか食べてないから。お腹はすいているはずだ)
憂(だから、渡したほうがいい)
憂(でもなあ。教室に入ったら、お姉ちゃんにも見られちゃうし……)
憂(でも、早く渡さないと、お昼休み終わっちゃうよ)
憂(そうだ、渡さなきゃ! そのために朝早くから起きて、作ったんだもん!)
憂(お姉ちゃんに見つかっても、そんなの気にしなければいいんだ! だって、私はエリ先輩に用事があるんだから!)
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:27:06.30
憂(………………………………でもなぁ)
憂(はずかしいなあ)
憂(三年生のクラス行くだけでも一杯一杯なのに)
憂(その上、お弁当渡すなんて…………絶対変な人だって思われる…………)
憂(どうしよう…………)
エリ「あれ、憂ちゃん?」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:27:59.03
憂「うっひゃあ!?」
エリ「あ、やっぱ、憂ちゃんだ。どうしたの? こんなとこで」
憂「あ、あのそれは」(もう吹っ切れて、言ってしまえ!)「え、エリ先輩に、お弁当渡しに
来たんです!)
エリ「え? 渡しに? 私に?」
憂「はい!」
エリ「いいの?」
憂「はい! これどうぞ!」
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:28:41.94
憂はお弁当の小包を渡す。
エリは受け取る。
エリ「ありがとう。味わって食べるよ」
憂「―――はい!」
エリ「………………」じーっ
エリは憂を見つめている。
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:29:35.29
憂「え、へ、何ですか?」
エリ「そうやって赤くなっている憂ちゃんて、可愛いなあって」
憂「え、え、え」
ぼんっ、と憂の顔がますます紅潮する。
エリ「じゃあね。お礼に今度、私も弁当作ってくるよ」
憂「え、そんな、悪いです」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:30:16.44
エリ「いいっていいって。」
憂は少しばかり悪いなあ、とか思いながらも。
密かに、エリの作ってくる弁当を期待していた。
憂(エリ先輩のお弁当、どんなのだろう……?)
今からわくわくしていた。
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87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:30:55.16
エリ「はい。憂ちゃん」
後日、エリ先輩が弁当を渡してきた。
梓たちのところに戻って、弁当をあける。
中身は――。
梓「…………焼きそばだけ?」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 20:31:52.82
憂「うん、焼きそば、だけ……だね」
憂は、焼きそばのびっしりと詰め込まれた弁当箱を見ながら、エリ先輩らしいなあ、と思った。
焼きそばを口に運ぶ。
憂「美味しい……」
エリ先輩の、味がした。ような気がする。
憂は意識せず、顔を綻ばせていた。
終わり
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