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憂「もう、高校三年生か……」

  1. 名前: 管理人 2010/09/11(土) 11:38:36
    1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:46:23.96
    平沢家

    唯はN女大に合格した。結果、唯は大学の学生寮で暮らすこととなった。

    憂は、一人で家に暮らしていた。

    憂「なんか、家が広くなったなぁ…………」

    今日は、桜高の始業式があった。今日から憂は、高三となったのだ。

    憂「寂しいなぁ。お姉ちゃん……」


    3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:47:59.70
    憂「あ、もう、こんな時間。ご飯作ろう」

    時計にはP・M6:00と表示されている。

    憂はキッチンへと向かった。

    憂(お姉ちゃんがいなくても、ちゃんと生活しなきゃ!)

    憂(お姉ちゃんに依存してばっかじゃ駄目なんだ!)

    憂はご飯を作り終える。

    5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:49:37.19
    そして気づく。

    憂(また、二人分作っちゃった……)

    憂(…………お姉ちゃんと一緒だったころの癖、抜けてないなぁ)

    憂(……残すのももったいないしね。全部食べよ)

    憂(…………太っちゃうなぁ。ははは)

    憂(このままじゃ、私、おでぶさんになっちゃうよ。お姉ちゃんに会っても、別人って思われるかもなぁ……)

    7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:51:06.02
    憂(ははは……)

    憂(……はぁ)

    憂(……ううん! だめだめ! お姉ちゃんがいなくなったって、死んだわけじゃないんだ!)

    憂(それに、お姉ちゃんに心配かけたくないし!)

    憂(笑おう。暗い顔じゃ、お姉ちゃん心配しちゃうよ)

    8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:52:42.49
    憂はリビングに、二人分の料理を持っていった。

    憂「いただきます」

    ムグムグ ムグムグ ムグムグ 憂「……普通」 ムグムグ

    自分の料理を褒めてくれる相手がいないと、モチベーションが下がる。

    憂(いつもはお姉ちゃんがいたのに……)

    憂は食べ終わると、食器を洗いに、再びキッチンへ向かった。

    9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:54:20.64
    憂「…………お姉ちゃんがいないと、こうも静かなんだなぁ」

    憂「…………そうだよね、一人しかいないんだもの」

    憂「…………一人って、つらいなぁ」

    憂「…………もう、やだな」

    皿洗いを終える。


    10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:55:38.16
    リビングへ向かう。

    憂「TVでもみよっと」

    憂「面白いの、やってないかな」

    憂「…………うーん。どれも、つまらなさそうだなぁ」

    憂「…………いいや。部屋戻ろう」

    憂はTVの電源を消すと、自室へ向かった。

    12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:57:07.86
    憂部屋

    憂「勉強でもしようかな」

    憂「受験生だしね」

    憂「……そっか、もう受験生なんだ」

    憂「うん。勉強した方が良いだろうな」

    憂「よし、そうしよう」

    13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:59:16.98
    カキカキ カキカキ

    憂「……何か、静か過ぎて気味悪いな」

    憂「……ラジオでも、つけようかな」

    憂は机を離れ、ラジオの電源を入れにいく。

    ラジオ『所ジョージのオールナイトニッポンゴールド!』

    憂(うん。すこしBGMがあったほうがいいよね)

    そのまま机に戻る。

    15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:01:13.31
    カキカキ カキカキ

    憂「えーと。ここにλが入ってるから……」

    憂「……うん、よし。出来た。答えは……あってる」

    憂「………………うん」

    憂(…………お姉ちゃん)

    17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:02:38.81
    そのとき、インターホンの音がした。

    憂「あ、今開けまーす」

    憂は玄関へと向かった。

    憂(こんな時間に誰だろう?)

    憂(もしかして……)

    玄関の扉を開ける。

    ――純がいた。

    20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:03:59.41
    純「またまたー。梓じゃないんだから、強がんなくたっていいんだよ」

    でも、すぐにばれた。

    憂「強がってなんか、ないもん」

    憂は口を尖らせた。

    純「本当?」

    憂「本当だもん!」

    純「でも、泣いてるよ」

    21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:04:57.68
    憂「え?」

    純「ほら」

    純が憂の目元をぬぐう。

    憂「……本当だ」

    純「無理しなくて、いいんだよ」

    憂「……眼に、ゴミが入っただけだよぅ」

    16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:01:46.31
    憂(今、何やってるんだろうなぁ)

    憂(悪い男の人とかと、一緒になってないかな)

    憂(彼氏とか、いるのかなぁ)

    憂(大丈夫だよね、女子大だもん)

    憂(きっと、今頃律さんとかと一緒にわいわいやってるんだろうな)

    憂(……………………いいなぁ)

    18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:03:18.60
    純「やほー、憂」

    憂「純ちゃん……どうしたの?」

    純「お姉ちゃんと離れ離れになった憂が、しょげていないか心配になっちゃったんだ」

    純「いてもたってもいられなくて、来ちゃったよ」

    憂「……べつに、大丈夫だよ」

    嘘だ。

    24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:06:35.97
    純「はいはい。あがらせてもらっていい?」

    憂「いいけど……純ちゃん、お母さんとかになんかいわれない?」

    純「両親共働きでね、家には私に小言を言う人はいないんだ」

    憂「ふぅん」

    純「と、いうわけであがらせてねー」

    25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:07:59.84
    純は憂の脇をすりぬけ、玄関に入る。靴を脱ぎ、そのままリビングへ。

    憂「あ、ちょっと!」

    憂は純の後を追いかけた。

    不思議と、寂しくなくなった。

    純が来てくれたことが、嬉しかった。

    26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:08:44.39
    ****************************************

    純「あ、お土産持ってきたんだ。はい、ミスド」

    憂「あ、うん。ありがとう」

    純「私、ポンデリング食べるから」

    憂「うん」

    純は、リビングに置かれたテーブルの近くに、ゆっくりと腰を下ろした。

    27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:09:35.39
    純「いやー、私たちも、もう高三だねー」

    憂「うん。早いね」

    憂は二人分のコーヒーを運んできた。

    純「お、サンキュ」

    憂「……そうだ。純ちゃんは、どこの大学に行くの?」

    28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:10:51.05
    純「私かー。私は……どこでもいいな!」

    憂(……純ちゃんらしい答えだな)

    純「憂と一緒なら!」

    憂「…………………………へ?」

    純「なーんて、冗談冗談」

    29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:11:53.21
    憂「な、な、なーんだ。お、驚かせなないでよ、もぉー」

    純「うは。マジにとっちゃった?」

    憂「まさか。冗談だっててて、わかってたよ」

    純「…………まだ、驚いてるのね」

    純「憂はどこにするの?」

    30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:12:34.38
    憂「え? 私?」

    純「うん。やっぱN女?」

    憂「うーん。でも、あまり気が進まないんだよなー」

    純「何で?」

    憂「純ちゃんと、一緒じゃなきゃ嫌だもん」

    憂は純を、まぁるい瞳で真摯に見つめた。

    純「…………………………へ?」

    31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:13:07.34
    純が動揺する番だった。

    憂「冗談」

    憂はいたずらな笑みを見せた。

    純「あ、ああ、そうだよね……」

    冗談だとわかっているのに、どきどきしている自分がいた。

    32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:13:42.68
    二人はその後、談笑した。

    ジャズ研の話。

    梓の話。

    午後の紅茶は午前に飲んだ方がうまい、と言う話。

    温くなったコーヒーを飲み終え、一息ついたころには、もう日付が変わっていた。

    憂「あ、もう12:00だ」

    33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:14:22.71
    純「あ、本当だ。そろそろ帰るね」

    憂「――待って」

    純「え?」

    憂「ほら、夜道は危険だし、今日はうちにとまらない?」

    純「…………いいの?」

    憂「うん。大丈夫、変なことしないよ!」

    純「じゃあ、お言葉に甘えて……」

    34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:15:13.10
    憂「パジャマとって来るね!」

    純「う、うん」

    憂「とってきたよ!」

    純「はやっ!」

    憂「私のなんだけど、合うかな?」

    純「……うん、ぴったり!」

    憂「よかったぁ!」

    35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:15:55.29
    純「じゃ、私はどこで寝れば?」

    憂「私の部屋?」

    純「え、いいの?」

    憂「うん」

    憂「二人で一つのベッドになるけど、いい?」

    純「いい、けど」

    憂「よかった! じゃあ、行こうよ!」

    憂の手に引かれて、純は半ば強制的に、憂の部屋で寝かせられることになった。

    37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:16:30.41
    憂部屋

    純「そういえば、中学校の修学旅行のときも、こんな風に寝たね」

    憂「そうだねー。もう、あれから三年もたってるのかぁ」

    純「時間が流れるのは、早いね」

    憂「…………うん」

    純「ねえ、中学校のときにいた、Hちゃんっておぼえてる?」

    憂「あ、うん。お下げの子でしょ」

    38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:17:02.21
    純「あの子ね、東大目指してるんだって」

    憂「へえ! 頭良かったもんね」

    純「すごいなぁ。何か、溝みたいなもの感じちゃう」

    憂「……そだね」

    シングルベッドに、二人で寝るのはすこし窮屈だ。

    41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:17:59.90
    それでも憂には、心地よかった。

    純と……誰かと一緒にいることが、心地よかった。

    憂「ふわ~ぁ。純ちゃん、私、眠くなっちゃった。寝るね」

    純「うん。お休み」

    数分ほどして、憂の寝息が聞こえた。

    純はむくり、と起きだした。

    憂の顔を覗き込む。

    中学生のころから変わらない、でもどこか大人びた顔つき。

    42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:18:43.63
    純は、憂の頬を触る。

    ぴくん、と憂が反応したような気がした。

    柔らかくて、あったかくて。

    抱きしめたい衝動に、駆られた。

    すんでのところで、それをおさえこんだ。

    純(………………憂)

    43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:19:25.72
    純はそっと、憂の唇に自分のそれを近づける。

    重ねる。それは長い長い、一瞬。

    感触は頬よりも、柔らかかった。羽毛のように、ふわふわしていた。

    そして憂の唇は、すこし甘かった。

    唇を離す。憂は起きていないようだ。

    純「…………大好きだよ、憂」

    その呟きは、誰にも聞こえないけれど。

    ****************************************

    44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:20:27.36
    憂が眼を覚ますと、時計の針は九時をさしていた。

    憂「……ふぁ~あ」

    憂「…………あれ?」

    憂(今日って、平日だよね)

    憂(なのに九時ってことは…………)

    憂(遅刻ううううううううううううううううううううううううう!!)

    45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:20:58.49
    憂の傍らにいるはずの純はいない。

    代わりに机にメモ用紙。

    『あまりに寝顔が可愛かったので、起こしませんでしたー

    先に学校行ってくるね                        純     』

    憂「うう、もう、純ちゃんったら……」

    毒づきながらも、許せる気になった。

    46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:21:39.76
    学校!

    数学教師「で、ここにγが――」

    ガララッ

    憂「すいません! 遅れました!」

    数学教師「……珍しいな、平沢が」

    憂「すいません……」

    羞恥に頬を赤らめながら、憂は自分の席に座る。

    47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:22:17.44
    数学教師「じゃ、再開するぞ。それでだ、ここにωを代入して――」

    憂は純の方を見やる。

    目が合った。

    憂(今、目が合ったよね?)

    純(わー、ごめーん!)

    憂(もう! おかげで遅刻したじゃない!)

    純(反省してるよー)

    憂(…………もう)

    48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:22:59.94
    お昼休み!

    梓「今日は何で遅刻したの?」

    憂「目覚ましかけ忘れちゃった」

    純「憂らしくないねー」

    憂「う、うん」

    梓「そうだ。純、覚えてる?」

    純「な、何?」

    梓「けいおん部に新入生来なかったら、入ってくれるんだよね?」

    49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:23:29.33
    純「えー、本当に入るの?」

    梓「当ったり前じゃない。ただでさえ廃部寸前なんだから」

    純「うーん。入ってくるでしょ、きっと」

    憂「新歓っていつなの?」

    梓「あさって」

    憂「何の曲弾くの?」

    梓「ごはんはおかず、とふわふわ時間、かな」

    50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:25:32.82
    憂「来るといいねー、新入部員」

    梓「うん。あ、そういえば、唯先輩の調子はどう?」

    憂「うーん、あまり連絡とってないんだ」

    梓「そか」

    憂「心配?」

    51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:27:33.76
    梓「う、ううん! ちょっと気になっただけよ!」

    憂(……心配、してくれてるんだなぁ)

    純「よかったねー、憂」

    憂「な、何が?」

    純「心配してくれる人、他にもいてさ」

    憂「…………まあ」

    梓「わ、私はそんなに心配してないもん!」カァァ

    52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:28:57.11
    放課後!

    憂「純ちゃん、帰ろ!」

    純「ごめん、ジャズ研あるんだ」

    純は、また今度ね、と言いながら、ジャズ研部室へ行く。

    憂「えー、じゃあ、梓ちゃんは?」

    梓「私も部活。今度は一人でやらなきゃいけないからね」

    53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:30:45.25
    憂「そっかー……」

    梓「ごめんね」

    憂「……あ!」

    梓「何?」

    憂「私も、手伝ってあげる!」

    梓「え? 何を?」

    憂「新歓ライブ!」

    梓「え、でも、憂は部員じゃ……」

    憂「じゃあさ、私が部員になるのはどうかな?」

    56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:33:48.14
    梓「――――へ?」

    憂「部員ならいいんでしょ?」

    梓「う、うん」

    憂「なら、私も部員になるよ」

    梓「いいの?」

    憂「うん。家に帰っても、暇なだけだし、それに……」

    梓「それに?」

    憂「……もう、高校生活最後でしょ。だから、今のうちに思いで作っておきたいんだ」


    58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:34:29.09
    梓「…………憂」

    憂「いいでしょ?」

    梓「うん」

    憂「ありがとう!」

    憂は笑う。つられて、梓も笑みをこぼした。

    60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:38:26.98
    音楽室!

    憂「先生、今日からよろしくお願いします!」

    さわこ「いいけど……急に、何で?」

    憂「音楽に目覚めたんです!」

    梓「と、言うわけなんで、憂と二人で新歓やります」

    さわこ「いいけどねぇ……憂ちゃん、楽器出来るの?」

    憂「ギターなら……」

    61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:39:19.22
    さわこ「ギターは梓ちゃんがやってるのよ。他は?」

    憂「ああ、なら――」

    迷った。それ以外に弾ける自信がない。

    憂「――ハーモニカ、なんてどうでしょう」

    思い切って、言ってみた。未経験で、一度もやったことがない。

    律たちがいたら、既視感を感じていたに違いない。

    ****************************************

    63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:40:11.62
    梓「さわこ先生は、職員会議で出て行ったから、二人だけかー」

    憂「うん、何か新鮮だね」

    梓「だね。じゃあ、早速練習しようか」

    憂「わかった!」

    憂はハーモニカを吹く。

    梓「へえ、なかなか上手いじゃん!」

    64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:40:43.27
    憂「ありがと。…………何か、上から目線?」

    梓「あ、ごめんごめん。嬉しくなっちゃって」

    憂「まあいいや。でも、本当に上手く吹けてる?」

    梓「うん! 練習したら、もっと上手くなれると思うよ!」

    憂「えへへ、そうかな」

    憂は頭をかいた。

    梓「じゃあ、次は私の演奏聴いてね」

    憂「うん!」

    ****************************************

    65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:41:42.56
    >>62 ほのぼのが好きな俺にそんなこと言われても…

    平沢家!

    憂(梓ちゃん、凄かったな……)

    憂(演奏もプロ並みだし……声も綺麗だし)

    憂(梓ちゃんに負けないように、私も頑張んなきゃ!)

    憂(でも、ハーモニカなんてどうやったら上手く吹けるのかなぁ)

    憂(練習したら上手くなるって言ってたけど、練習の仕方がわからないや)

    ピンポーン

    憂(…………純ちゃんかな?)

    憂は玄関へ向かった。

    ****************************************

    66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:42:54.54
    純が、玄関先にたっていた。

    憂「やっぱ、純ちゃんかー」

    純「へえ、わかったんだ」

    憂「うん」

    純「どうしたの? 浮かない顔して」

    憂「うん、実はね…………」

    憂はけいおん部に入ったことを言った。

    67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:43:24.75
    憂「それでね、純ちゃんに聞きたいんだけど……」

    純「何?」

    憂「……ハーモニカって、どうやって吹くの? 上手にさ」

    純「ハーモニカ? 私もあんまやったことないなぁ」

    憂「そっか…………」

    純「うーん。でもさ、何でハーモニカにしたの? もっとやりやすい楽器あったんじゃない?」

    68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:44:03.77
    憂「まあ。じゃあさ、何の楽器がいいかな?」

    純「キーボード、とか?」

    憂「キーボード、かぁ。うちにはないなぁ」

    純「あ、私の家に一個あるよ。やってみる?」

    憂「え、いいの?」

    純「うん。どうせ、使わないしね」

    69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:44:35.00
    純宅

    憂「へー。純ちゃんの家って、はじめて来たよ」

    純「そうだっけ?」

    憂「うん。で、キーボードはどこ?」

    純「私の部屋。大抵の楽器は、私の部屋にあるんだ」

    憂「へー、すごいな」

    純「じゃ、部屋においでよ」

    憂「うん!」

    71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:45:10.00
    純部屋

    憂「へえ、本当だ! キーボードある!」

    純「へへー」

    憂「弾いてみていい?」

    純「うん」

    ♪  ♪

    純「うーん、何か今ひとつ」

    72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:45:46.78
    憂「うう、どうしたら…」

    純「ほら、こんな風に……」

    ♪ ♪ ♪  ♪

    憂「すごい! 上手」

    純「いやー、それほどでもー」

    憂「んーと、こうかな?」

    ♪ ♪ ♪  ♪

    純(飲み込み早!)

    憂「どう?」

    純「うまくなってるよ! じゃあ次は……」

    二人の練習が終わったのは、一時間ほど経ってからのことだった。

    73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:46:23.07
    鈴木家玄関前

    憂「今日はありがと! 純ちゃん!」

    純「いやいや、なんの」

    憂「なんか、とてもうまくなった気がするよ…」

    純「気、じゃなくて、本当にうまくなったよ……」

    純(何しろ、私より上手になったもんな)

    憂「そうだ! お礼するよ。何か欲しいものある?」

    74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:47:07.77
    純(欲しいもの……)

    純「キス?」

    憂「へ?」

    純「わわわ、なんでもない!」

    憂「そ、そう?」

    憂(いま、キスって言ったよね……)

    憂(よし……)

    75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:47:58.67
    翌日、放課後!

    梓「……で、キーボードにしたの?」

    憂「うん。ハーモニカは無理なような気がしてね」

    梓「まあ、いいけどね。でも、なんか憂が紬先輩に見えてきた」

    憂「紬さんに?」

    梓「キーボードが紬先輩ってイメージだから、ね」

    梓は遠い目をした。

    76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:48:46.59
    憂「ねえ、梓ちゃん」

    梓「何?」

    憂「寂しい?」

    梓「…………ちょっと、ね」

    梓「一人で頑張るぞーって、張り切ってたんだけどさ」

    梓「こうしてみると、寂しくなっちゃってね」

    憂「…………そっか」

    梓「まあいいや! とにかく、練習しよ! もう時間もないんだし。明日に迫ってるんだし、新歓!」

    憂「そうだね、頑張ろう!」

    梓憂「おー!」

    77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:49:35.22
    翌日 新歓ライブ――体育館

    梓「えーと、軽音部です! 部員は、二名しかいませんが………………」

    梓はMCが終わった後、憂と目配せし、演奏を始める。

    流れるような旋律が、体育館を包んだ。

    小気味いい歌詞が、一年生の鼓膜を震わす。

    その音楽は、聴く人の耳を捉えて放さない。

    梓「――ありがとうっ!」

    梓の科白の一瞬後、怒涛のような拍手が、沸きあがった。

    78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:52:39.20
    放課後! 音楽室!

    梓「新入生、来るかな?」

    憂「……来る、と思うよ。精一杯やったんだし」

    梓「だよね。早く、来て欲しいな」

    梓の期待にこたえるように、音楽室のドアが開いた。

    一年生数名「あの、部活見学に着たんですけど……」

    初々しいその態度に、梓は頬を緩める。

    梓「――ようこそ、軽音部へ!」

    梓の晴れ晴れとした笑顔に、一年生はすこし見とれていた。

    ****************************************

    79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:55:08.04
    純「こんばんわー」

    純が憂の家に来たのは、その日の八時のことだ。

    憂「あ、純ちゃん。あがってあがってー」

    純「お邪魔しまーす」

    憂「と、言っても私以外誰もいないけどね」

    純「それもそうだね」

    憂「今日の新歓、見に来てくれた?」

    80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:57:41.94
    純「ごめん。私もジャズ研で忙しくてさ」

    純「部員は入ったの?」

    憂「まだわからないけどね」

    憂「――多分、入ってくれると思うよ」

    純「……そっか」

    純は何故か、一抹の寂寥を感じていた。

    憂「…………純ちゃん?」

    82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:58:34.17
    純「……………………」

    憂「…………純ちゃん!?」

    純「……あ、ごめん、すこしぼーっとしてた」

    憂「疲れてるの?」

    純「あ、うん。それもあるかもしれないけど――」

    憂「けど?」

    純「何か、ものかなしいっていうか」

    83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:59:07.04
    憂「……もしかして」

    純「……何?」

    憂「……軽音部、入りたかった?」

    純「……まぁね」

    純「楽しそうだなーって、思ったし」

    憂「そっか」

    純「うん」

    憂「ねえ、純ちゃん」

    純「ん?」

    憂「軽音部、入らない?」

    84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 01:00:00.28
    純「……いいの?」

    憂「駄目ってことは無いよ」

    純「……本当に?」

    憂「本当に」

    純「本当に本当?」

    憂「本当に本当」

    純「………………」

    憂「………………」

    85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 01:00:54.87
    純「………………かな」

    憂「え?」

    純「入ってみよう、かな」

    憂「本当?」

    純「うん。入る。高校三年なんだし、好きなことやりたいしね」

    純「それに―――」

    純は憂を見つめた。

    小悪魔のように、瞳を細めて。

    純「憂と、一緒がいいしね」

    86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 01:01:54.77
    それは本音だった。

    それが本音だった。

    憂はきっと、頬を赤らめて驚くに違いない――そう、高をくくっていた。

    しかし、憂は意に反して。

    憂「…………私も、一緒がいいな」

    純「…………え?」

    憂「私も、純ちゃんと一緒がいいな」

    87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 01:02:55.80
    純「…………何かの冗談?」

    憂「ううん。冗談じゃないよ。私の本心」

    純「…………からかってたり、しないよね」

    憂「うん」

    憂の瞳には、迷いがなかった。それは、憂の言葉が真実だ、と示唆しているようにも思えた。

    純「…………うれしい」

    88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 01:03:43.21
    憂「私もうれしいよ。純ちゃんに、やっと言えたんだもん」

    純「この前も、言ってなかった?」

    憂「あれは、どんな反応するかなーって」

    純「………………」

    憂「そういえばさ」

    純「なに?」

    憂「私にキス、してきたよね」

    89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 01:04:23.91
    純「え、お、起きてたの?」

    憂「ほっぺ触ってくれたおかげでね」

    純「ご、ごめん! 悪気はなかったの! 衝動に駆られたの!」

    憂「うん。だからさ、今回は、お互いの合意を得た上でキスしようよ。無理やり、とか寝込みを見計らって、とかじゃなくて」

    純「……え?」

    憂「私は純ちゃんとキスしたいな。純ちゃんは?」

    憂はきっぱりと言った。

    90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 01:04:55.81
    純「私は――、私も、したい」

    言うのはかなり、恥ずかしい。

    憂「じゃあ、どっちもキスしたいってことで。しようか」

    純「今?」

    憂「うん。私は今、キスがしたいな」

    純「……うん。わかった」

    91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 01:05:36.77
    憂「じゃあ、はい」

    憂は純のところに詰め寄り、そのまま目を閉じた。

    純「……え?」

    憂「純ちゃんから、私にしてよ」

    その科白に、純はつばを飲み込む。

    ええいままよ! そう心の中で叫びながら、純はその唇を、憂の唇に触れ合わせる。

    92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 01:06:49.17
    柔らかい肉感。どこか懐かしい、感触。

    憂の鼓動が聞こえてきそうなほど、接近している。

    甘い味がする。イチゴの味。

    純は唇を放す。

    憂が目を開ける。

    93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 01:07:55.01
    憂「ねえ、純ちゃん」

    純「うん?」

    憂「これからも、ずっと一緒にいようね」

    大学生になっても、社会人になっても、ずっと――。

    憂「一緒にいてくれるよね?」

    94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 01:08:54.40
    純「もちろん」

    純「ずっと一緒にいよう」

    死ぬまで、ずっと、一緒に……。

    純「約束するよ、憂」

    躊躇いもなく答えていた。
                                   終わり

    95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 01:09:35.29
    番外編  憂と純と

    ある日の学校

    憂「ねえ、純ちゃん」

    純「なーにー?」

    憂「私たち、友達? それとも恋人?」

    純「え?」

    96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 01:10:11.92
    憂「どっちなんだろ」

    純「えー、えー、えーっと」

    憂「恋人かな?」

    純「うーん、恋人ってのは何か違う気がする」

    憂「じゃあ、何だろ? 友達?」

    97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 01:10:51.76
    純「もっと、親しい関係のような気が……」

    憂「あ、じゃあさ、『親友』かな?」

    純「あ、しっくりくる」

    憂「そっか、まだ親友かぁ」

    憂(いつか、恋人って認識されたいなぁ)

    98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 01:11:52.38
    憂(そのためにも、コミュニケーションを……)

    純「…ねえ、憂」

    憂「へ?」

    純「やっぱり、恋人にならない? そっちの方が、いいなーって」

    純の科白に、憂は少し驚いた。

    99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 01:12:27.40
    憂「……私でいいの?」

    純「うん。むしろ、憂がいいな」

    憂「――――嬉しいな」

    純「よし、今日から『恋人』ね」

    憂「うん。純ちゃん」

    純「あのさ、恋人なんだから、呼び捨てにして欲しいなーなんて」

    憂「うん、わかったよ、――純」

    何だかとても、新鮮で。

    純「ありがと、憂」

    何となく、お礼を言ってしまった。
                                   終わり

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