■
唯「究極の選択!!」
- 名前: 管理人 2013/06/20(木) 16:27:23
- 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 00:35:05.95 ID:myUEOrwl0
澪「ここどこ?」
気がつくと私は真っ白な空間に一人でいた
澪「家にいたはずなのに」
澪「一体なんなんだ?」
澪「・・・」
澪「怖くなってきた」
澪「うう・・・」
澪「・・・あれ?こんなところに扉が」
澪「さっきまで無かったのに・・・」
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 00:39:09.62 ID:myUEOrwl0
澪「なんだ?この扉」
澪「何か書いてある」
『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』
『あなたの望む扉を開けてください』
澪「どういう事だ?」
澪「あ、また扉に文字が」
『明日は晴れ』
『明日は雨』
澪「なんだ?これ」
澪「う~ん、とりあえず晴れの扉を開けてみよう」
澪「えい」ギィィ
・・・・・・・・・
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 00:43:06.57 ID:myUEOrwl0
澪「ん」
澪「私の部屋・・・」
澪「変な夢だったな」
澪「今日の天気は、っと」
澪「晴れ・・・か」
澪「・・・」
澪(なんだったんだろう、あの夢)
澪母「ごはんよー」
澪「あ、今行くよママー」
澪(まあ気にしても仕方ないか)
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 00:47:06.95 ID:myUEOrwl0
学校
澪「おはよう」
律「おーっす」
紬「おはよ~」
律「もうすぐクリスマスだなー」
澪「今年は浮かれてる余裕ないぞ、受験なんだから」
律「分かってるって」
さわ子「はいみんな席についてー」
和「起立、礼、着席」
ガタガタ
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 00:51:14.35 ID:myUEOrwl0
憂「おはよう、今日も寒いね」
梓「うん・・・」
憂「梓ちゃんどうしたの?」
純「先輩たちの受験が心配で夜も眠れないんだってさ」
梓「そ、そんなことないもん!」
梓「・・・ちょっと寝不足なだけで」
憂「そっか、けいおん部の皆さんは受験なんだよね」
梓「律先輩が特に心配だよ・・・」
憂「大丈夫だよ、きっと」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 00:55:07.86 ID:myUEOrwl0
澪の自宅
澪「ふう、今日はここまでにしようかな」
澪「ちょっとだけエリザベスを・・・いやいや駄目だ」
澪「受験が終わるまで我慢!」
澪「さて、じゃあそろそろ寝ようかな」
澪「・・・」
澪「・・・」スヤスヤ
澪「・・・」
澪「あれ?」
澪「またこの夢?」
私はまた、真っ白な空間にいた
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 00:56:28.68 ID:Qik+6ri/0
ああ、質問の内容が前作とは違うのか…なるほど
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 00:59:08.83 ID:myUEOrwl0
澪「怖い・・・なんなんだよ~・・・」
澪「あ、また」
『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』
『あなたの望む扉を開けてください』
澪「早く目を覚ましてよ私・・・」
『明日のティータイムは紅茶』
『明日のティータイムは白湯』
澪「白湯って」
澪「・・・なんか気が抜けたな」
澪「ほんとに白湯が出たら面白いかも」
澪「という事で白湯の扉を」ギィィ
・・・・・・・・・
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:03:08.07 ID:myUEOrwl0
澪「・・・起きたのか」
澪(それにしても二日連続で同じ夢を見るなんてどうなってるんだ?)
澪(もしかしてお化けの仕業なのかな・・・)
澪(お化けが私にとり憑いて・・・)
澪「ひいっ!」
澪「・・・」
澪(とりあえず気にしないでおこう)
澪(・・・ほんとに白湯が出たらどうしよう)
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:07:09.61 ID:myUEOrwl0
放課後、部室
紬「それじゃお茶入れるわね」
澪「ありがとムギ」
澪(なんだ、ちゃんとお茶じゃないか)
澪(心配しすぎだったみたいだ、同じ夢を二日連続で見るくらいよくある事で・・・)
紬「あっ」
律「どうしたムギー?」
紬「えっと・・・」
澪(え?)
紬「お茶切らしてたみたい・・・」
澪「・・・」
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:11:36.76 ID:myUEOrwl0
紬「お湯を沸かした後で気づいて・・・」
律「ムギが悪いんじゃないんだから気にする事ないって」
梓「そうですよ!白湯でも寒い日にはごちそうですよ」
律「なんかおばあちゃんみたいな事言うんだな梓」
梓「べ、別にいいじゃないですか」
澪「・・・」
紬「ごめんね澪ちゃん、今すぐ取ってくるから・・・」
澪「あ、いやそんなんじゃないんだよ」
澪「私白湯大好きなんだ!」
紬「ごめんねみんな・・・」
律「だから気にするなってば」
梓「毎日ありがとうございますムギ先輩」
紬「・・・うふふ、こちらこそありがとう」
澪(まさかほんとに白湯が出るとは・・・)
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:15:34.22 ID:myUEOrwl0
自宅
澪(3年間で白湯が出た事は今日が初めてだった)
澪(まさかあの夢は本当にお化けの仕業?)
澪(うう・・・いやだよ怖いよお・・・)
澪(寝るのが怖い・・・)
澪「・・・」
澪「・・・」スヤスヤ
澪「・・・」
澪「また・・・怖いよ助けてよお・・・」
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:19:07.90 ID:myUEOrwl0
『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』
『あなたの望む扉を開けてください』
澪「でもこの選択肢自体はあんまり現実世界に影響がないから・・・」
澪「それだけがせめてもの救い・・・」
『秋山澪の父親が風邪をひく』
『秋山澪の母親が風邪をひく』
澪「・・・」
澪「なんだよこれ・・・」
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:23:11.54 ID:myUEOrwl0
澪「パパとママのどっちかが風邪・・・?」
澪「この扉を開けたら本当になっちゃうの?」
澪「・・・」
澪「私の選択次第で」
澪「パパとママが・・・」
澪「パパ・・・」ギ・・・
澪「ママ・・・」ギ・・・
澪「こんなの選べるはずないよ・・・」
澪「私には」
澪「選べない!」
澪「どっちかなんて選べない!」バン!バン!
・・・・・・・・・
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:27:08.78 ID:myUEOrwl0
澪「あっ」
澪「私、両方の扉開いちゃったかも・・・」
澪「どうなるんだ・・・?」
澪「とりあえずリビングに行ってみよう」トタトタ
澪「おはようパパ、ママ・・・」
澪母「おはよう澪ちゃん・・・」
澪父「おお、澪は無事か・・・良かった」
澪「どうしたの二人とも!?」
澪母「二人仲良く風邪ひいちゃって・・・」
澪父「まいったな・・・」
澪「わ、私看病するよ!」
澪母「いいのよ、私たちでなんとかするから」
澪母「澪ちゃんは心配しないで学校行ってらっしゃい」
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:31:13.60 ID:myUEOrwl0
澪「でも・・・」
澪(やっぱりあの夢は本当だったんだ)
澪(私のせいで二人とも風邪ひいて)
澪(のんきに学校なんて・・・)
澪母「大丈夫だから、ね?」
澪「う、うん」
澪(あの夢で選んだ選択は現実になる)
澪(しかも今日の夢は直接人に危害を加える選択だった)
澪(じゃあ明日は?明日はもっと・・・)
澪「・・・」
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:35:14.32 ID:myUEOrwl0
澪「ただいま」
澪母「おかえり澪ちゃん」
澪「風邪良くなったみたいだね」
澪母「うん、もう大丈夫よ」
澪「良かった・・・ほんとに良かったよママ」
澪母「ふふ、大げさね」
澪(私のせいだからな・・・)
澪(今日は学校に居てもずっと上の空だったし)
澪(部室にも寄らないで帰ってきちゃった)
澪(寝るのが怖い・・・)
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:38:10.82 ID:myUEOrwl0
澪「どうしよう」
澪「もう寝ない方がいいのかも」
澪「でも寝ないと集中力がなー」
澪「・・・」
澪「・・・」スヤスヤ
澪「・・・」
澪「寝ちゃったのか・・・」
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:41:09.10 ID:myUEOrwl0
澪「これ以上酷い選択は止めて・・・」
『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』
『あなたの望む扉を開けてください』
澪「・・・」
『岡田春菜がケガをする』
『佐々木曜子がケガをする』
澪「佐々木さんに岡田さん・・・」
澪「どっちかがケガってそんな・・・」
澪「ん?」
澪「扉の文字が消えていく・・・?」
『岡田春菜が』
『岡田』
『』
『平沢唯をこの世界に連れ戻す』
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:44:10.42 ID:myUEOrwl0
澪「なんだこれ?」
『平沢唯をこの世界に連れ戻す』
『佐々木曜子がケガをする』
澪「選択肢が・・・変わった?」
澪「この世界に連れ戻すってどういう・・・」
澪「お化けが出てくる・・・ってわけじゃなさそうだけど」
澪「なんで急に選択肢が変わったんだ?」
澪「いや」
澪「そもそも平沢唯って一体誰なんだ・・・?」
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:47:10.15 ID:myUEOrwl0
澪「知り合いに平沢唯って子はいないし・・・」
澪「誰かの知り合い?」
澪「あ、梓の友達に平沢さんっていたような」
澪「いや、まず『この世界に連れ戻す』って意味が分からない」
澪「・・・」
澪「でも片方が佐々木さんにケガをさせてしまう扉なら」
澪「こっちの平沢唯の扉を開けたほうがいいんじゃないかな」
澪「実害は・・・無さそうだし」
澪「よく分からないけどこっちなら多分誰も困らない・・・はず」
澪「ちょっと不気味だけど」
澪「平沢唯を・・・」
澪「この世界に・・・」
澪「連れ戻す・・・」ギィィ
・・・・・・・・・
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:50:33.03 ID:myUEOrwl0
唯「・・・え?」
私の名前は平沢唯です
唯「なんで私まだ夢の世界にいるの?」
私はこの夢の世界から・・・ううん、全部の世界から消えた・・・はずなのに
なんでここにいるの・・・?
唯「どうなってるの?」
私は夢を見ていました
私はその夢の中の選択で大事な人たちを・・・消していきました
消えた人たちは最初から世界に存在しなくなってしまいます
何人も、何人も消えていきました
そして最後の選択で私は私を消したのです
私が消える代わりに今まで消えた人が元に戻る
最後にその扉を開けた・・・はずでした
唯「消えてない・・・?」
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:53:09.29 ID:myUEOrwl0
唯「どうして消えてないの?」
唯「あの時・・・」
―――唯(じゃあね、みんな)―――
―――唯(じゃあね、憂)―――
唯「確かに私は消えたはずなのに・・・」
唯「一体どうなってるの?」
唯「消えたみんなは元に戻ったの?」
唯「わかんない・・・」
唯「それに、なんで扉が無いの?」
唯「この世界に来ると必ず扉が出てきたのに」
唯「全然出てこない」
唯「もうなんにも分かんないよ~・・・」
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:56:14.35 ID:myUEOrwl0
唯「ただこの夢が終わってないって事は」
唯「消えた皆は元に戻ったって事でいいのかな?」
唯「でも私は消えてないし・・・」
唯「う~ん」
いくら考えても答えは出ません
それに選択の扉も出てこないので、私はただこの夢の世界で立ち尽くす事しか出来ませんでした
唯「はあ・・・」
澪「うう・・・また来ちゃった」
唯「ん?」
澪「え?」
唯「あ・・・」
澪「ひっ・・・だ、誰?」
唯「澪ちゃん!」
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 01:59:06.83 ID:myUEOrwl0
唯「澪ちゃん!どうしてここに?」
澪「えっどうして私の名前を・・・」
唯「え?澪ちゃん何言って・・・」
澪「そもそもこの世界になんで人が・・・あ」
澪「もしかしてあなた・・・」
澪「平沢唯さん?」
唯「・・・」
澪ちゃんは私の事を覚えていない・・・?
どうして?
・・・なるほど、なんとなくだけど分かってきた
やっぱり私は消えたんだ
現実の世界から
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:02:07.19 ID:myUEOrwl0
唯「あの~」
澪「ひっ!」
澪「・・・平沢唯さんですか?お、お化けですか?」
唯「・・・ぷっ」
唯「あははは、お化けって澪ちゃん」
澪「うう・・・」
唯「私は平沢唯だよ、お化けじゃないから安心して」
澪「良かった・・・でもあなたは一体誰なんですか?なんでここに?」
唯「それは・・・」
それは私にも分からない
ただ分かる事は、私は現実世界からは消えてしまった
でも夢の世界からは消えなかった
それしか分からない
一体どうなってるの・・・?
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:05:12.36 ID:myUEOrwl0
唯「えっと・・・」
澪「あ、扉が」
唯「えっ?ほ、ほんとだ!扉が出た!」
唯(でもどうして急に扉が?さっきまで全然出なかったのに)
澪「今度は何だ?」
『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』
『あなたの望む扉を開けてください』
唯(どんな選択が・・・)
『平沢憂が消える』
『鈴木純が消える』
唯「!!」
澪「消える・・・?」
78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:08:10.59 ID:myUEOrwl0
澪「消えるってなんだ?」
唯「澪ちゃん」
澪「あ、えっとえっと」
澪(もうなんなんだよ~・・・頭がこんがらがってきた)
澪(今度の選択は『消える』?『消える』ってなんだ?)
澪(あとこの平沢唯さん。一体誰?なんでここに?私が連れ戻したのか?)
澪(連れ戻したってどこから?ああもう何が何やら)
唯(澪ちゃんも相当困惑してる)
唯(でも私も何が何やら)
唯「お、落ち着いて状況を整理しよう」
澪「は、はい」
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:11:08.97 ID:myUEOrwl0
澪「・・・というわけで・・・」
唯「・・・ふむふむ・・・」
唯(なるほど、今は澪ちゃんが夢を見てる張本人なのか)
唯(それで『私をこの世界に連れ戻す』って扉を開けたから)
唯(私は帰ってこれた・・・この世界にだけ)
唯(まあ現実世界では消えたままみたいだけど)
唯(扉が出なかったのも夢を見てるのが澪ちゃんだから)
唯(澪ちゃんが来ないと扉は現れない・・・)
唯(そして澪ちゃんは今回初めて『消える』扉を開ける)
唯「なんとなく分かったよ」
澪「私は全く分かりません・・・そもそも平沢さんは一体何者なんですか?」
唯「う~ん、なんて言ったらいいのか」
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:14:25.11 ID:myUEOrwl0
唯(澪ちゃんは私が消えてる世界にいるから)
唯(私の事はまったく知らないんだよね)
唯(『消える』扉もまだ開けた事がないからそんな事態信じられない・・・当然だよ)
澪「平沢さんの事を信じてないわけじゃないんですけど、やっぱり・・・」
唯「うん、信じられないのは分かるから気にしないで」
唯「でもこの選択肢を見て」
『平沢憂が消える』
『鈴木純が消える』
唯「消える、っていうのはほんとに消えちゃうの」
唯「世界に最初から存在しない事になっちゃうの」
澪「そんなバカな事が・・・」
唯(ほんとはこんな事したくないんだけど・・・)
唯「・・・試しに扉を開いて現実世界に戻ってみて」
唯「口で説明するのは限界があるから・・・」
唯(私最低だ・・・)
86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:17:27.68 ID:myUEOrwl0
澪「この扉を開いたら、どちらかが消えるんですか?」
唯「・・・うん、最初から居なかった事になるんだよ」
澪「二人とも梓の友達で・・・あ、でも平沢憂ちゃんって」
唯「私の・・・」
唯(妹だ、って言っても今は信じてもらえないよね)
唯「ううん、なんでもない」
澪(何かあるのかな?どっちも平沢って名字だし)
澪「じゃあ、鈴木さんの扉を・・・」
唯「・・・」
唯(今嬉しいって思っちゃった・・・私ってほんとに最低・・・)
澪「開けますね・・・」ギィィ
・・・・・・・・・
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:20:14.59 ID:myUEOrwl0
唯「行っちゃった」
唯「澪ちゃんに信じてもらえないと話が始まらないとはいえ」
唯「試しに開けてみて、なんて・・・」
唯「人の命を・・・ううん、人の存在を何だと思ってるの?私は・・・」
唯「酷すぎるよ・・・」
唯「せっかく世界が元に戻ったのに」
唯「また消えていくなんて」
唯「一体なんなの?この夢は」
唯「はあ・・・どうしたらいいんだろう」
唯「そもそもどうして選択肢が変わって『私を連れ戻す』なんて扉が・・・」
唯「考えても分かるわけないか・・・」
唯「こんな夢の事なんて・・・」
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:23:25.61 ID:myUEOrwl0
唯「まだかな澪ちゃん」
澪「・・・」
唯「あ、澪ちゃん」
澪「・・・」
唯「・・・消えたんだね、鈴木さんが」
澪「・・・」コクン
唯「これで・・・私の言う事信じてもらえたかな?」
澪「・・・」コクン
唯「じゃあもう一度話そう、今度は全部理解してもらえるまで話すよ」
澪「・・・」
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:26:10.59 ID:myUEOrwl0
唯「・・・というわけなんだよ」
澪「じゃあ平沢さんも私と同じ夢を見てて、最後は自分を消して・・・」
澪「消えたみんなを元に戻した・・・」
唯「うん」
澪「それを私が・・・連れ戻した」
唯「うん」
澪「信じられないような話だけど、今日鈴木さんが消えて・・・」
澪「信じるしかないみたいですね」
唯「うん」
澪「・・・」
唯(つらいよね、やっぱり・・・)
105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:29:12.11 ID:myUEOrwl0
唯(なんとかしてちょっとでも元気づけなきゃ)
唯「ねえ澪ちゃん」
澪「はい」
唯「私いくつに見える?」
澪「・・・はい?」
唯「ねえねえいくつに見えるかな?」
澪「えっと・・・」
澪「同い年くらいですか?」
唯「うん正解!同い年だよ!だから敬語はやめよう!」
澪「え、でも・・・」
唯「いいからいいから」
澪「わ、わかった」
唯「えへへ」
108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:32:28.17 ID:myUEOrwl0
唯「私けいおん部だったんだよ」
澪「えっ!?」
唯「信じられないのは分かるよ、覚えてないんだもんね」
澪「そう、だったのか・・・」
澪「ごめん、思いだせなくて・・・」
唯「仕方ないよ、私は消えてるんだから」
澪「そっか、私たち一緒にバンド組んでたんだ」
唯「うん、とっても楽しかった!」
澪「そう言われると照れるな」
唯「澪ちゃんは恥ずかしがり屋さんだもんね」
澪「・・・ほんとに、どうして思い出せないんだろう」
澪「きっと平沢さんとは仲が良かった・・・んだよね?」
唯「うん!とっても!」
澪「覚えてる平沢さんが羨ましいな」
109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:35:10.53 ID:myUEOrwl0
唯「私と澪ちゃんとりっちゃんとあずにゃんの4人で、いろんな事したんだよ」
澪「・・・え?」
唯「・・・そうだよね、澪ちゃんにとってはけいおん部は3人で・・・」
澪「い、いやそうじゃなくて」
澪「ムギは・・・?」
唯「?」
115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:38:50.66 ID:myUEOrwl0
唯「ムギ・・・ってなんの事?」
澪「いやムギだよ琴吹紬、キーボードで作曲担当で」
澪「いつもお茶を入れてくれる優しい・・・」
唯「な」
唯「何言ってるの澪ちゃん・・・」
唯「琴吹紬?キーボード?っていうかお茶?なんでお茶?」
唯「何の事・・・?」
澪「なっ・・・え?なんで?」
唯「誰?琴吹紬・・・ちゃん?」
澪「・・・」
澪「そっか・・・」
唯「・・・」
118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:41:23.15 ID:myUEOrwl0
澪「平沢さんがいた世界では、ムギが消えてたんだ・・・」
唯「!・・・そんな事って・・・」
澪「私が知ってる放課後ティータイムは私、律、ムギ、梓」
唯「放課後ティータイムって何?」
澪「私たちのバンド名だよ」
唯「私の知ってるバンドは・・・名前なんてなかったよ」
唯「私、澪ちゃん、りっちゃん、あずにゃんの4人」
澪「あずにゃんってのは梓?」
唯「あ、うん」
澪(あずにゃんって何だ)
唯(あずにゃんって誰も呼ばないんだ、私がいないと)
唯(琴吹紬をムギってのもどうかと思うけど)
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:44:34.54 ID:myUEOrwl0
澪「つまり平沢さんの前には、ムギが夢を見ていた」
澪「ムギも自分を消して世界を元に戻した・・・」
唯「その・・・『ムギちゃん』がいない世界で今度は私が夢を見て」
唯「次は私が消えた世界で澪ちゃんが夢を見る」
澪「なんなんだ一体・・・」
唯「終わりが来ないって事・・・?」
唯「この夢は誰かから誰かに移って」
唯「永遠に誰かを苦しめ続けるの・・・?」
澪「悪夢だな・・・本当の」
唯「そんな・・・この夢からは永遠に解放されないの?」
澪「・・・」
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:47:10.36 ID:myUEOrwl0
唯「・・・」
澪「とりあえず今回の選択肢を見てみよう」
『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』
『あなたの望む扉を開けてください』
澪「・・・」
『琴吹紬が消える』
『中野梓が消える』
唯「『ムギちゃん』かあずにゃんのどっちかが消える・・・」
澪「一体どうすればいい・・・?」
唯「・・・」
126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:50:08.06 ID:myUEOrwl0
唯「澪ちゃん」
澪「なに?」
唯「『私を連れ戻す』選択肢が出た時、何故か扉の文字が変わったって言ったよね」
澪「うん」
唯「なんでかな?」
澪「えっ?」
唯「なんでそんな事が起こったんだろう」
澪「それは・・・分からないよ」
唯「澪ちゃん、この夢の世界で何か変わった事とかしなかった?」
澪「変わった事?」
唯「扉を開ける以外に・・・なんでもいいから」
澪「扉を開ける以外には何も・・・」
澪「・・・あっ!」
130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:53:07.18 ID:myUEOrwl0
澪「私、その選択の一日前の夢で」
澪「両方の扉を開けた!」
唯「!」
澪「起きたら両方の選択肢が反映されてて」
澪「そしたら次の日の夢で扉の文字が変わって・・・」
唯「それだよ!」
澪「えっ?」
唯「私は今まで『二つの選択』の意味を取り違えてた」
唯「今までは『Aの扉を開ける』か『Bの扉を開ける』かが二つの選択だと思ってた」
唯「でも違うんだよ」
唯「澪ちゃんが両方の扉を開けて、さらにどっちも現実に反映されたって事は」
澪「『二つの選択』の本当の意味は違う・・・!」
131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:56:12.15 ID:myUEOrwl0
唯「それがまだ何か分からないけど」
唯「本当の意味にたどり着けたらもしかして・・・」
澪「すべて元通りに?」
唯「うん!もしかしたらだけど・・・」
澪「じゃあ考えないと!本当の『二つの選択』の意味を!」
唯「両方の扉を開ける事が出来たなら」
唯「『扉を一つ開ける』か『扉を二つ開ける』かが本当の選択?」
澪「でもそれじゃ何も変わらなかったし・・・」
唯「でもこの選択をしたら次また扉の文字が変わるかも」
唯「やってみる価値はあるよ・・・けど」
澪「・・・」
唯「これを試したら二人一気に消える・・・」
135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 02:59:15.60 ID:myUEOrwl0
唯(本当の『二つの選択』の意味を探すには)
唯(試すしかない・・・けど)
澪「・・・やるよ、私」
唯「澪ちゃん」
澪「平沢さんの話じゃこのまま誰かが消え続けるだけ」
澪「なんとかしないと結局皆消えちゃう・・・だから」
澪「ここはやるしかない」
澪「私が・・・この夢からみんなを救うんだ」
澪「平沢さんの事も救う・・・!」
唯「澪ちゃん・・・」
澪「心配しないで、私・・・大丈夫」
澪「ちゃんと皆を消した罪は背負っていくから」
唯「・・・ごめんね、ありがとう」
138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:02:07.35 ID:myUEOrwl0
澪「それじゃあ行くよ」
唯「うん」
唯「待ってる」
澪「ああ、また戻ってくるから」
唯「・・・」
澪「・・・んっ」バン!バン!
・・・・・・・・・
139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:05:06.71 ID:myUEOrwl0
唯「・・・」
唯「どうなるのかな」
唯「あんなこと言ったけど」
唯「この夢からほんとに解放されるの?」
唯「『二つの選択』の本当の意味なんてあるの・・・?」
唯「澪ちゃん・・・」
唯「ごめんね、つらい思いさせて・・・」
141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:08:30.43 ID:myUEOrwl0
唯「・・・」
澪「・・・」
唯「あ、澪ちゃん、どうだった?」
澪「両方消えてたよ・・・」
唯「そっか・・・」
『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』
『あなたの望む扉を開けてください』
澪「・・・」
『田井中律が消える』
『真鍋和が消える』
澪「ここで選択肢が変わったんだけど・・・」
唯「・・・」
澪「・・・変わらない」
唯「そうだね・・・」
143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:11:14.57 ID:myUEOrwl0
澪「くそ・・・!」
唯「澪ちゃん・・・」
澪「大丈夫、大丈夫だから探そう」
澪「『二つの選択』の本当の意味を」
唯「・・・うん」
唯「じゃあ今度は私が扉を開けるよ」
澪「平沢さんが?」
唯「『澪ちゃんが扉を開ける』か『私が扉を開ける』かでまた扉の文字が変わるかも」
澪「・・・やってみるしかないんだよな」
唯「うん・・・正解なんて見当もつかないから・・・」
澪「思いつく限りの事は試してみよう」
澪「出来る事は全部やるんだ・・・!」
149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:14:35.93 ID:myUEOrwl0
それから私たちは思いつく限りの方法で扉を開けた
『秋山澪が扉を開ける』か『平沢唯が扉を開ける』かでは和ちゃんが
一つの扉を『一人で開ける』か『二人で開ける』かではさわちゃんが
扉を『表から開ける』か『裏から開ける』かでは憂が
扉を裏から『一つ開ける』か『二つ開ける』かでは澪ちゃんのお父さんとお母さんが
それぞれ消えてしまった
私たちはあるかどうかも分からない正解を信じて扉を開け続けた
しかしどんな選択をしても扉の文字は変わらなかった
そうして状況は何も変わらないまま、澪ちゃんの大切な人たちが全員消えた
でも・・・
152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:17:45.98 ID:myUEOrwl0
澪「・・・」
澪「学校行こ・・・」
澪「お父さん、お母さん」
澪「ごめんなさい」
澪「・・・行ってきます」
澪「行って・・・きます」
澪「・・・」
―――行ってらっしゃい、澪ちゃん―――
澪「!」バッ
澪「・・・」
澪「行ってきます」
154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:20:10.48 ID:myUEOrwl0
学校
律「おーす澪」
澪「おはよ・・・律」
律「どうしたんだよ澪、最近おかしいぞ?」
澪「いや、なんでもないんだよ」
澪「なんでも・・・」
律「ったく、なんでもない訳ないだろ。なんて顔してんだ」
澪「はは・・・」
律(なんだってんだ澪のやつ)
律(こいつのこんな顔、初めて見たぜ)
159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:23:15.52 ID:myUEOrwl0
放課後
律「しかし私たちのけいおん部ももう終わりか~」
澪「・・・」
律「結局二人しかいないまま3年間過ぎちゃったんだな」
律「ま、あたしは澪と二人でも楽しかったけど・・・」
澪「・・・」
律「・・・ごめん、やっぱ楽しくなんてなかったよな」
澪「え?」
律「二人きりなんて、ろくに演奏も出来ないし・・・ごめんな澪」
律「あたしのわがままでけいおん部に誘っちゃって・・・」
澪「そんなことない!」
160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:26:21.97 ID:myUEOrwl0
澪「私は・・・楽しかったよ!」
澪「律と・・・」
澪(ムギと梓とさわ子先生と・・・)
澪(それに平沢さん・・・も)
澪(私は・・・)
澪「律と二人きりだったけど・・・楽しかった」
澪「最高の思い出だよ・・・」ポロポロ
律「え!?泣いてるのか!?」
澪「ちがっ・・・」ポロポロ
律「ごめんごめん、ちょっと意地悪しすぎたって!」
澪「そんなんじゃないんだ・・・こっちこそごめん」
律「う、うん」
164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:29:12.92 ID:myUEOrwl0
澪「なあ律」
律「ん?」
澪「私、律と一緒にけいおん部やれて良かった」
律「え?いきなりなんだよ」
澪「律と出会えて・・・良かった」
律「な、なんだよそれ・・・急に真剣な顔して」
澪「律」
律「ん?」
166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:32:06.60 ID:myUEOrwl0
澪「もし私がいなくなったら・・・どう思う?」
律「はあ?何言い出すんだよ」
澪「あ・・・そうだよな、ごめん」
澪「・・・」
律「・・・」
律「澪が何悩んでんのか知らないけど、きっとそれはあたしにも相談出来ないような悩みなんだろ」
律「無理に聞こうとは思わないけどさ、もし話せるときが来たら話してくれよ」
澪「・・・」
律「あたしたち・・・その・・・なんて言うかさ、一番仲良いっていうか」
律「・・・親友・・・ってやつだろ?」
澪「律・・・」
168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:35:24.70 ID:myUEOrwl0
律「ちょっとくらい頼ってくれてもいいんだぞ・・・」
澪「・・・うん」
澪「ありがとう、律」
律「・・・へへっ、やっと笑ったな」
澪「えっ」
律「久々に見たぜ、澪の笑ってる顔」
澪「律・・・」
律「さ、そろそろ帰るか」
澪「うん」
172:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:38:13.92 ID:myUEOrwl0
律「それじゃあな」
澪「あ、あのさ」
律「ん?」
澪「手、繋いでいいかな?」
律「な、なんだよどうしたんだよ今日の澪」
澪「駄目・・・?」
律「・・・駄目な訳ないだろ、ほら」
澪「・・・」ギュッ
律「・・・」ギュュ
澪「・・・りっちゃん」
律「え!?な、なんだよその呼び方」
澪「昔はそう呼んでただろ」
律「・・・そうだけどさ」
174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:41:11.05 ID:myUEOrwl0
澪「りっちゃん」
律「なんだ澪」
澪「りっちゃんも昔みたく呼んでよ」
律「ええ~」
澪「お願い」
律「・・・」
律「・・・澪ちゃん」
澪「うん」
澪「りっちゃん!」
律「わっ、元気になった」
澪「また明日!」
律「・・・ああ!また明日!」
また、明日―――
178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:45:01.20 ID:myUEOrwl0
でも
澪ちゃんはりっちゃんだけは消さなかった
最後まで一緒に居たい、そう言って・・・
つまり
この後に待っているのは
最後の選択だけになってしまった
180:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:48:45.41 ID:myUEOrwl0
澪「・・・」
唯「澪ちゃん・・・」
澪「・・・」
『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』
『あなたの望む扉を開けてください』
澪「・・・」
『消えた人間全員が戻ってくるが、秋山澪が消える』
『この夢を終わりにする』
唯「そんな・・・」
澪「最後の選択・・・か」
185:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:51:32.66 ID:myUEOrwl0
唯「なんで・・・?」
唯「やっぱり正解なんてないの?」
唯「私たちのやってきた事は無駄だったの?」
唯「そんなのってないよ・・・」
澪「平沢さん」
唯「え?」
澪「私はみんなを戻すよ」
唯「えっ・・・」
澪「決めてたんだ、最初から」
187:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:54:18.28 ID:myUEOrwl0
澪「ほんとは律とずっと一緒にいたい」
澪「ずっとずっと・・・死ぬまで一緒にいたかった」
澪「でもそれは律だけじゃない」
澪「私は私の身勝手で消した人たち皆と一緒にいたかったんだ」
澪「でも私はそんな世界をみんなから奪った」
澪「私に出来る事は、その世界をまたみんなの元へ返す事だけ」
澪「平沢さんに最後の選択の話を聞いた時から」
澪「最後になったらこうするって決めてた」
唯「そんな・・・」
澪「平沢さんの事は思いだせないけど、私のいない世界では皆と仲良くな」
唯「澪ちゃん・・・」ポロポロ
澪「・・・」
191:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 03:57:06.77 ID:myUEOrwl0
澪「この夢は」
澪「最後に自分が消える扉を選ぶ人のところにしか来ないんだよ」
澪「ムギや平沢さんみたいな優しい人のところにしか」
澪「私も、そんな人になりたい」
澪「きっと今までもそうして世界は続いてきた」
澪「誰かが一人、いない世界」
澪「そんな世界で私たちは生きていくのかも知れないな」
唯「澪ちゃん・・・」ポロポロ
澪「これが世界の正しい姿なんだよ、きっと」
唯「そんな・・・」ポロポロ
194:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:00:07.47 ID:myUEOrwl0
唯「やだよ・・・」ポロポロ
澪「泣いてくれるんだね、平沢さん」
澪「平沢さんの事、思いだしたかったな」
澪「きっととっても大切な友達だったんだろうって思う」
澪「記憶にはないけど・・・」
澪「5人の放課後ティータイムか・・・」
澪「きっと今よりもっと楽しくて、演奏もすごくて・・・」
澪「5人で笑ってみたかったよ・・・」
唯「うっ・・・うう・・・」グスグス
澪「じゃあ、さようなら平沢さん」
―――また明日!―――
―――ああ!また明日!―――
澪(ごめんね、りっちゃん)
澪(明日は)
澪(会えない)
197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:03:21.81 ID:myUEOrwl0
澪「私の選択は―――」
唯「待って!」ガシッ
澪「!?」
唯「待って澪ちゃん!」
澪「平沢さん、離して・・・!」
唯「きっとあるはずだよ!何か方法が!」
澪「・・・もう無理だよ!」
澪「こうするしかないんだ!」
唯「やだ!」
唯「私も夢を見てた時、すごくつらくて!すごく怖くて!」
唯「誰にも相談できなくて!一人で悩んで!」
澪「・・・」
唯「・・・寂しくて、悲しくて」
唯「でも・・・消える扉を選ぶしかなかった・・・」
200:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:06:08.63 ID:myUEOrwl0
唯「でも今は違う」
唯「一人じゃない」
唯「どんなに怖くても、一人じゃないから」
唯「なんとかなるって思える」
唯「澪ちゃんも私を信じて」
唯「きっと正解はあるよ」
澪「・・・」
澪「私だって・・・」
澪「ほんとは皆と一緒にいたい・・・」
澪「消えたくない・・・」
澪「でもこうするしか・・・」
澪「こうするしかないだろ・・・」
澪「・・・うわぁ~・・・わぁ~ん」ボロボロ
206:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:09:06.42 ID:myUEOrwl0
澪「うわぁ~・・・あ~ん」ボロボロ
唯「澪ちゃん・・・」
唯(一番つらいのは澪ちゃんなんだよね・・・)
唯「・・・」
唯「・・・?」
唯「・・・!」
唯「澪ちゃん!」
澪「えっ・・・?」グスグス
唯「ちょっと静かにしてて」
澪「えっ・・・何?」
唯「・・・っ!」
唯「わーーーーーーー!!!!」
澪「うわっ!」
208:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:11:55.78 ID:y5em2aRgO
なんだなんだ
210:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:12:33.17 ID:myUEOrwl0
唯「・・・」ワー
唯「・・・」
唯「・・・」ワー
唯「・・・やっぱり」
澪「ど、どうしたんだ?」
唯「この空間に」
唯「あるんだよ」
唯「扉がもうひとつ」
澪「!!」
211:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:13:04.04 ID:CWbhTvse0
なん…だと?
218:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:15:28.75 ID:myUEOrwl0
澪「でもなんでそんな事が・・・」
唯「私耳だけは良くてね」
唯「さっきの叫び声が、この部屋のどこかで反射して返ってきたんだ」
澪「やまびことか、こだまみたいな感じか・・・」
唯「それはもちろんこの二つの扉からじゃない、もっと遠くから返ってきた」
澪「でもこの空間は360度真っ白でこの二つの扉以外何もないし・・・」
唯「でもあるんだよ、もうひとつ」
澪「まさかそんな・・・」
唯「こっちだよ!」
澪「う、うん」
唯「わーーーーー!!」
唯「・・・」
唯「こっち!」
225:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:18:07.74 ID:myUEOrwl0
唯「・・・」
唯(あるんだ、もう一つ)
唯(もうすぐそこに)
唯「いてっ」ゴチン
唯「え?何もないのにぶつかった・・・」
唯「あ・・・」
澪「これは・・・」
唯「扉だ・・・」
澪「裏から見ると透明だけど」
唯「こっちからは見える・・・!」
澪「この角度からしか見えないようになってたのか・・・!」
唯「そっか・・・」
唯「『目の前の扉を開ける』か『隠し扉を開ける』・・・」
澪「これが本当の『二つの選択』・・・!」
229:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:21:10.24 ID:myUEOrwl0
唯「でもこの扉」
唯「何も書いてない・・・」
澪「そんな・・・」
澪「それじゃこの扉を開けたらどうなるか分からないって事?」
澪「ひどい・・・せっかくここまで来たのに」
澪「これじゃ開けたくても開けられない・・・!」
澪「どうして・・・最後の最後で・・・」
澪「うう・・・」
唯「・・・」
235:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:24:08.64 ID:myUEOrwl0
澪「どうすれば・・・」
唯「でも」
唯「もうこの扉に賭けるしかないよ」
唯「私たちはもうこの扉を信じるしかないんだよ」
澪「・・・」
唯「確かに不安だけど」
唯「きっと大丈夫」
唯「・・・行こう」
239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:27:22.45 ID:myUEOrwl0
澪(この扉がほんとに正解なのか?)
澪(この扉を開けたら)
澪(消えた人も元に戻らないで、私も平沢さんも消えちゃう・・・)
澪(そんな最悪の結末だってあるんじゃないのか?)
澪(怖い・・・怖いよ)
澪(せっかく平沢さんと友達になれたのに)
澪(ここでお別れになっちゃうかも知れない)
澪(それに・・・)
澪(またりっちゃんに会えるかも、って思ったら)
澪(消えたくないって気持ちがこんなに強くなるなんて)
澪(いやだ・・・)
澪(平沢さん・・・怖くないの?)
244:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:30:34.73 ID:myUEOrwl0
澪「平沢さん・・・」
唯「・・・唯でいいよ!」
唯「私、すでに澪ちゃんの事澪ちゃんって呼んでるし!」
澪(・・・)
澪(なんだろう・・・)
澪(記憶にないはずの、思い出せないはずの言葉が)
澪(なんでか分からないけどとっても懐かしい気がする)
澪(もう・・・)
澪(・・・大丈夫)
澪「・・・ゆ、唯」
唯「うん!」
248:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:32:37.48 ID:myUEOrwl0
澪「・・・私、唯と出会えて良かった」
澪「ちょっとの間だったけど、友達になれて・・・心強かった」
唯「私も澪ちゃんに出会えて良かったよ!」
唯「現実世界でも、夢の世界でも出会えて良かった!」
澪「この先に何があっても、ずっと友達でいてくれる?」
唯「うん!ずっと友達だよ!」
澪「・・・ありがとう」
唯「こちらこそ!」
唯「・・・それじゃいい?」
澪「・・・うん!」
唯澪「・・・」
唯澪「私たちの選択は―――」
ギィィィィィ・・・
249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:35:29.64 ID:myUEOrwl0
いつもと変わらない朝
でも今日はちょっと特別な日
12月25日、今日はクリスマスだ
憂「ふわぁ・・・ご飯作らなきゃ」
憂「クリスマス・・・か」
憂(小学校3年生の時だっけ)
憂(お母さんが、ほんとはサンタさんはいないって教えてくれたの)
憂(あの時は泣いちゃったんだよね)
憂(サンタさんか・・・)
憂(でもサンタさんがいない、なんてほんとは誰にも分からないよね)
憂(いない、って勝手に思ってるだけで)
251:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:38:15.31 ID:myUEOrwl0
憂(ほんとはちゃんといて)
憂(私たちの知らない間にプレゼントをくれてるのかも)
憂(誰も気づかない、誰にも気づかれないけど)
憂(誰も知らないところで素敵なプレゼントを―――)
憂(ってちょっとメルヘンだったかな)
憂(それに)
憂(私の、私にとってのサンタさんは)
憂(今までいろんなプレゼントをくれたもん!)
憂「ふふ・・・」
254:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:40:42.43 ID:myUEOrwl0
学校
憂「おはよう、今日も寒いね」
梓「うん・・・」
憂「梓ちゃんどうしたの?」
純「先輩たちの受験が心配で眠れない夜が続いてるんだってさ」
梓「そ、そんなことないもん!」
梓「・・・ちょっと寝不足なだけで」
憂「そっか、実は私もちょっと・・・」
純「梓も憂も心配性なんだから」
梓「中でも特に心配な先輩が・・・」
憂「え、誰の事?」
梓「え?いやいや別に・・・」
純「あはは」
257:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:42:43.61 ID:myUEOrwl0
律「おーっす」
紬「おはよ~」
律「今日はクリスマスだなー」
和「受験なんだから今年くらいは勉強しなさいよ」
律「分かってるって」
さわ子「はいみんな席についてー」
ガタガタ
タッタッタッタ・・・
ガラッ
澪「すみません、遅れました」
260:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:44:38.72 ID:myUEOrwl0
律「お、澪が遅刻か」
澪「間に合っただろ!」
紬「澪ちゃんおはよ~」
澪「あ、おはよう」
和「ほら早く席に・・・」
さわ子「まったく」
澪「す、すいませ」
タッタッタッタ・・・
澪「・・・」
265:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:46:38.54 ID:myUEOrwl0
さわ子「やれやれ、やっと来たわね最後の一人が」
律「ったく」
紬「うふふ」
和「いつまでたっても・・・」
ガラッ
唯「はあ・・・はあ・・・」
澪「・・・」
澪「唯」
唯「あ、澪ちゃん!」
澪「・・・おはよう!」
唯「うん!」
唯「おはよう!」
何一つ欠けていない世界
今度こそ本当に
いつもと変わらない朝が来た
267:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 04:47:04.86 ID:myUEOrwl0
唯「究極の選択!!」
おしまい
コメントを書き込む
コメントを読む(0) [けいおん!SS]
関連?商品
過去の名作たち
コメントの投稿(コメント本文以外は省略可能)