けいおん!SSまとめブログ けいおん! このブログはVIPで立った「けいおん!SS」をまとめたブログです。

Twitter(更新通知) Twitter(交流用?) 新着SS通知ツール ご意見など 相互リンク,RSS

最新の記事

記事一覧はこちら

最近のコメント

スポンサーサイト

  1. 名前: 管理人 --/--/--(--) --:--:--
    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

    [スポンサー広告] ブログランキングへ 人気ブログランキングへ このSSをはてなブックマークに追加


関連?商品

過去の名作たち

  1. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/06(月) 17:47:37 URL [ 編集 ]
    これもいい話だった
  2. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/03/23(水) 00:55:44 URL [ 編集 ]
    これは力作
    ギャグのセンスもいい
  3. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/03/23(水) 09:10:22 URL [ 編集 ]
    いやうんこだろ

コメントの投稿(コメント本文以外は省略可能)




管理者にだけ表示を許可する

律「なんてったって私は部長だからな!」

  1. 名前: 管理人 2010/09/13(月) 00:40:34
    1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 00:36:01.91
    私は田井中律、桜ヶ丘高等学校の2年生で軽音楽部の部長だ。
    今日その軽音楽部が結成したバンド「放課後ティータイム」で学祭ライブを行い、会場を大いに盛り上げ成功した。

    律「今年の学祭ライブも楽しかったな!」
    唯「うん!りっちゃんが風邪引いたり、治ったと思ったら私が風邪引いたりして大変だったけどね」
    梓「初めての学祭ライブ、感動しました!」

    私たちは、学祭ライブが終わって音楽準備室に戻ってからも、まだ興奮が収まらない状態だった。


    2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 00:37:45.83
    澪「5人が集まって、こんな楽しいことができるなんて奇跡だよな…」
    紬「そうね。この5人が集まってなかったら、と思うとすごく不安になるわ」
    唯「私も不安になってきちゃった… ねぇりっちゃん、もし私たちがいなくなってもまた集めてくれるよね?」
    律「ははは、何へんなこと言ってるんだよ。安心しろ。そんなことがあっても必ず全員集めてやるよ。」
    唯「本当に?」
    律「本当だよ。なんてったって私は部長だからな!」


    3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 00:38:18.09

    そんなことを話しているうちに、私以外の4人はライブで頑張りすぎたのかウトウトし始め、寝てしまった。
    私まで寝てしまうと、さっき唯が話したみたいにみんながバラバラになってしまうんじゃないかと不安になった。眠りたくないのに眠気がのしかかってくる。怖い。
    律「大丈夫だよな。私はみんなをまた集められるよな…」
    自分にそう言い聞かせる。
    大丈夫。大丈夫だ…



    …………………
    …………
    ……


    5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 00:39:20.94
    りっちゃんがりっちゃんぽくないっていう誰得SSだけどね

    6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 00:42:12.69
    ピピピ、ピピピ、ピピピ
    バン
    律「はぁ、朝か…」

    今日もまたつまらない高校生活が始まる。
    何の部活動にも所属していないからか、毎日毎日つまらないと思いながら生活していたら、
    いつの間にか2年生になっていた。
    その間に私が学校でしてきたことと言えば、軽音楽部の部員集めに4月中いっぱい走り回ったあげくに
    1人も集められなかったことを除けば、登校、授業、下校の繰り返しだった。
    不毛な1年だった。


    7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 00:43:28.56
    友達も…いない。
    1カ月間たった1人で走り回って部員集めをするうちに、人に話しかけることを辛いと感じるようになった。
    勧誘の度に嫌な顔をされて、最初は陽気に振る舞ったものの、次第に寂しさや虚しさを隠せなくなっていった。
    明るいりっちゃんは消えて、いつも死んだ目をしている暗い田井中律が生まれた。

    8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 00:44:12.55
    「カチューシャをつけた子が勧誘うるさくて困るわ」
    「知ってる知ってる。いちいち相手するのがめんどくさいから、カチューシャ見かけたら隠れる癖が付いちゃった」

    そんな会話を4月の終わり頃に聞いてから、いつも付けていたカチューシャを外した。
    中学生のころまでは友達がたくさん居て、明るい、カチューシャがトレードマークの女の子だったのに…
    何もかもが変わってしまった。


    9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 00:45:36.74
    律(私が登校しなくても誰も気にかけないだろうな…)
    そんなことを1人考えながら、トボトボと登校する。

    高校に着くと、新入生を勧誘するためのポスターが、そこかしこに貼られていた。
    律(去年の今頃、私も下手な絵でポスター作って貼ったなぁ。結局誰も見てくれなかったけど…)
    掲示板には部活動の一覧が貼ってあった。当然ながら、軽音楽部の名はそこには無かった。
    私が廃部させてしまったのだから…
    面倒くさがりの私が必死に勧誘したのは、使命感からだった。
    部員1名のちっぽけな部ではあったが、部長として軽音楽部のメンバーを集めなければ、と自然と責任感を持っていたのだ。

    11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 00:46:46.59
    律「でも、あんだけ勧誘したんだから義務は果たしたよね…」
    自分に言い聞かせるように言う。少し涙声だ。
    一度廃部してしまうと、新たに部を立ち上げるには10人が必要になる。
    1人も集められなかった自分にはもはや夢の話だ。


    ??「ちょっとどいてもらっていいかしら」
    律「…ぁ …すいません…」

    声の主は、生徒会の真鍋さんだった。1年の時に彼女にも勧誘をした覚えがある。

    彼女は、部活動一覧に何かを書き加えていた。
    軽音楽部 部長…田井中律

    13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 00:49:03.86
    え?
    律「あ、あの…これって…」
    真鍋「ん?どうかした?」
    律「軽音楽部って廃部したんじゃないんですか?」
    真鍋「そうよ、去年廃部したわ。でもね、軽音楽部が廃部したことによってジャズ研の勢力が強くなりすぎてしまったの。」

    長いこと軽音楽部とジャズ研でバンドに興味がある層を上手く住み分けさせていたのが、
    ジャズ研だけになって大所帯になりすぎてしまったそうだ。

    15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 00:50:24.02
    真鍋「部長会議では偉そうにするわ、内部でケンカが起こるわで大変よ。
       それに、今年もまた新入生が入ってくるから、もっとややこしくなるわ」
    「だから、政治的な意味で軽音楽部を復活させることにしたの。部長だった田井中さんは、どこの部にも所属していないそうだがら、
       自動的にまた部長になってもらったわけ。」
    「当の田井中さんが見当たらないのだけど、あなた知らない?」

    律「…」
    私は無言で掲示板の前から走り去ってしまった。混乱していた。
    律(また、馬鹿みたいに勧誘しろっていうの? もう…無理だよ…)

    18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 00:54:12.88
    その日の放課後、軽音楽部を限定的に復活させ、
    生徒会もポスター作成やビラ配り程度なら協力するということが書かれたプリントを担任の教師から渡された。
    担任は軽音楽部を復活させることに関しては否定的な雰囲気だった。
    今回の生徒会の動きは、教師サイドからはよく思われていないようだった。

    プリントを受け取ると、そのまま帰宅した。
    また新たに勧誘する気は無かったし、今の自分にはそんなことできないと思った。

    21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 00:55:33.21
    律(今日はなんか疲れたな…寝よう…)
    私は制服も脱がずにベッドに転がった
    。去年の4月に1人で勧誘をし続けたころのことを思い出す。
    今よりも、あのころの方が孤独感を強く感じていた。誰も味方してくれない孤独感。
    律「もう…イヤだよ…」
    身を守るように布団にくるまり、1人震えているうちに眠りに落ちていった。

    22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 00:56:49.11
    …夢を見た。
    その夢の中では、軽音楽部でバンドを結成して元気に演奏していた。
    その中では私は最高に輝いていた。楽しそうだった。
    バンドのメンバーには昔の親友の澪も居た…


    起きると真っ暗な部屋に蛍光色の時計がボンヤリと浮かんでいた。
    時計の針は1時をさしていた。鏡は見えなかったが涙で顔がぐしゃぐしゃなのは分かった。

    24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 00:57:46.23
    洗面所で顔を洗っていると、弟の聡が2階から降りてきた。
    律「あんまり夜更かしするなよ?」
    聡「姉ちゃんだって…」
    律「私は今起きたんだよ…」
    聡「姉ちゃん寝ながら泣いてたの?」
    律「…」
    聡「高校生になってから姉ちゃん暗くなったよね。部活動もやってないんでしょ?」
    「俺、姉ちゃんが高校行ったら澪さんとバンドやるのかと…」
    律「澪は澪だろ。澪は文芸部で頑張ってるんだ。邪魔しちゃダメだ。」
    聡「なんで澪さんと仲悪くなったんだよ。弟が姉の心配するのは変かもしれないけど、俺、また姉ちゃんと澪さんに仲良くなってもらいたいんだ」
    律「…もう寝ろ。」
    聡「…」
    「おやすみ…」


    25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 00:59:44.66
    私と澪の仲が悪くなった原因は私に有った。最初、私は澪を軽音楽部に誘うつもりだった。
    澪のことだから私にくっ付いて軽音楽部に入ってくるものだと勝手に思っていた。

    澪「いや、私は文芸部に入るから」

    意外だった。澪が差し出した入部届を破りたかった。
    …でも、破らなかった。澪は今まで私にベッタリで私以外友達が居なかったし、このままじゃ澪に良くない。
    澪がひとりだちするなら、応援するのが本当の親友だと思った。
    まだまだ4月の初めだったし、本入部する5月までに私が軽音楽部のメンバーを集めて、
    澪が文芸部に馴染めなかったら温かく澪を軽音楽部に迎えれば良いか、と考えることにした。

    28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:01:43.46
    しかし、そう簡単にはいかなかった。
    4月も折り返し地点に入り、いよいよ焦ってくると私は楽しそうに文芸部のことを話す澪にイライラしだした。

    律「なぁ、文芸部がそんなに楽しいなら文芸部のやつらと一緒に登下校しろよ。」
    澪「な、何を言うんだ。馬鹿律!」
    律「下の名前で呼ぶのもやめようぜ。軽音楽部に入ってくれなかった裏切り者のくせに馴れ馴れしいぜ。」

    自分でも最高にアホなことを言っていると思ったが、ストレスを一方的にぶつけてしまった。
    その後も、話しかけてこようとする澪を無視し、自分から話しかけるときも秋山と呼んだ。馬鹿だった。
    5月に入り、死んだ目をして、カチューシャを外した陰鬱な私から澪は遠ざかったっていった。当然だった。


    29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:04:27.83
    なのに、夢の中では澪と一緒にバンドをしていた。
    夢の中の私は澪と一緒に演奏することを喜んでいた。
    私は澪のことが好きだったのかもしれない。
    なんであんな夢を見たんだろう。考えるうちに辛くなってきて、立っていられなかった。
    洗面所にうずくまると、私は家族に聞かれないように、声を押し殺してしばらく泣いた。

    30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:09:42.68
    朝、登校しながら私は考えていた。
    あんな夢を見たのは、まだ自分に心残りがあるからだ、と。
    律(多分最後のチャンスだ。あとちょっとだけ頑張ろうよ。りっちゃん隊員)
    放課後、生徒会長が会いに来た。曽我部と名乗った。
    このプリントにあるように協力するから、勧誘をよろしくと話す生徒会長に、私は黙って頷いた。
    明日から、また勧誘活動をするのだ。不安はあるが、ここで頑張らねば。

    32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:11:13.94
    翌日、早朝からビラ配りをするために、いつもより早く起きた。
    洗面台の鏡に映る自分は少しだけ、1年前のまだ元気のあったころのように見えた。
    笑顔の練習もしてみた。ぎこちない笑顔だけど、元のりっちゃんに戻れた気がした。

    聡「姉ちゃん、何やってんの」
    いつの間にか弟が後ろに立っていた。
    律「ちょっ、不意打ちかー!」
    顔が赤くなったが、自然に笑えた。久しぶりに。
    聡「なんだか、元気そうだね。ちょっと安心したよ」
    律「うん。お姉ちゃんはちょっと頑張ることにしたんだ。」
    聡「応援するよ!」
    律「ありがとうな」

    33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:12:07.84
    久しぶりにカチューシャをかけてみようか、生徒会長も今の自分の髪型は新入生が恐がるからやめた方が良いと言っていたし。
    そう考えてから、思い出した。
    律(家にあるカチューシャは全部壊したんだっけ…)
    まぁ、髪型なんかこの際どうでもいいだろう。

    いつも猫背でトボトボ歩いていた道も、ちょっと胸を張って歩けた。気がした。
    なんだか、うまくいきそうな気がしていた。
    でも、ビラ配りをする時点になってそんな希望は崩れ去った。

    34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:12:46.05
    律「う…あう…」
    1年間まともに喋らなかったんだ。新入生に声をかけることができなかった。
    生徒会役員1「田井中さん、頑張って声かけてよ。私たちも頑張るから」
    律(そうだ。ここで頑張らないと、せっかくのチャンスが…)
     (よし!あの子に声をかけてみよう!)
    律「あ、あの軽音楽部に…」
    新入生「あ…すいません… 他の部にもう決めてて…」
    あぁ、あの顔だ。迷惑そうな申し訳なさそうなあの顔だ。1年前に何回も見た顔。
    ダメだ。気持ち悪くなってきた…
    律「う…」グラッ
    生徒会役員1「ちょっと大丈夫!?」
    生徒会役員2「もうあなたはビラ配りはしなくていいから。放課後部室で新入生を待ってて」

    35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:18:45.18

    不甲斐なかった。いつの間にこんな人間になっていたのか。
    頑張れなかった。弟の応援も無駄になった。ごめん、聡。
    また涙が出てきた、最近泣いてばっかりだ。


    放課後、1年ぶりに音楽準備室に入った。
    律(懐かしいな。焦っててもイライラしても、ここに来たら不思議に落ち着けたな)
    運びこんだまま放置していたドラムには埃が被っていた。
    椅子にすわってボーっとしていると、遠くの方で楽しくおしゃべりしている声が微かに聞こえる。
    きっと軽音楽部を廃部させずにできたら、私も楽しく仲間と喋っていたのかな。


    36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:19:33.08
    律「…」
    ガチャ
    律「!」ビクッ
    新入生「あ、すいません…軽音楽部ってここですか?」
    律「………」
    言葉が出ない。どうしようどうしようと焦ってしまって、
    新入生を睨みつける形になってしまった。
    律「」ギロリ
    新入生「し、失礼しました!」バタン!

    あぁ…生徒会がせっかく呼んだ子も逃がしちゃったか… 本当にダメ人間だ私って
    律「はは、あははは」
    枯れた笑い声が音楽準備室に響く。

    37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:20:55.97
    もうどうでも良くなった。久しぶりにドラムを叩きたくなった。
    そして叩き始めると、元気だったころの自分を思い出して夢中になった。

    それから、新入生が何人か来たがドラムに夢中で完全に無視してしまった。
    もはや軽音楽部のことはどうでも良かった。
    その日はずっとドラムを叩いていた。
    次の日も、その次の日も
    軽音楽部には変人がいると噂になった。せっかく軽音楽部に興味を持った子たちも消去法的にジャズ研に行ってしまった。
    律(生徒会は怒っているだろうな…)

    39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:23:04.69
    それでも、ドラムを叩くのを止められなかった。
    ドラムの音以外にキーボードやギター、ベースの音が聞こえてくる気がして、
    あの夢の中のような演奏がここにある気がして。
    律(あー、ついに頭おかしくなっちゃったかな…その方が幸せかもな…本当に馬鹿律になっちゃったよ)
    律「澪…」

    41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:27:46.71
    軽音楽部には変人がいる…
    軽音楽部に入ろうとしていた中野梓は、そんな噂を聞いて消去法的にジャズ研に体験入部した。
    しかし、入ってみるとジャズ研は派閥のようなものができている上に、
    先輩達が出す音は技術的には高くても、全く感動が無かった。
    早々にここは向かないと悟った中野は、外バンを組もうとしたが、そちらもどうもしっくり来なかった。

    44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:29:55.37
    中野は落ち込んでいた。
    中野(もしかして音楽に飽きたのかな…)
    悩んだ中野は、最後の望みをかけて軽音楽部の変人に会うことにした。
    クラスメートには本気で止めるよう言われたが、それを振り切って中野は教室を出た。
    変人は音楽準備室にいるらしい。
    音楽準備室への階段の前に立つと、確かにドラムを叩く音が聞こえた。
    誰かが叫んでいる声も聞こえる。相当怒っている声だ。
    中野(こ、怖くないもん…)


    45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:31:28.46
    ガチャ!
    突然ドアが開く音がして。中からは生徒会長が飛び出してきて、
    生徒会長「勝手にしなさい!もう生徒会の援助は打ち切るわ!」
    と捨てぜりふのように吐いて、走り去っていった。

    突然のことに中野はびびってしまった。
    中野(き、今日はやめておこうかな…)
    そう思って背を向けたとき、中野は微かにドラム以外にキーボードやらギターやらベースやらの音を聞いた。

    46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:32:36.13
    その音に中野は一瞬で惚れてしまった。
    中野(なんか、他のバンドと違うかも!)
    勇気を出して中野は階段を上り、音楽準備室の扉を開けた。

    中野は落胆した。さっきドラム以外の音が聞こえた気がしたが、それは勘違いだったらしい。
    目の前にいるのは、一心不乱にドラムを叩く2年生1人だけだ。
    前髪が長い、華奢だけどちょっとカッコイい感じの人だ。
    ただ、よく見ると目が死んでる。


    47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:33:34.40
    しかし、ドラムの音自体はなんだか良い感じがした。どこか懐かしい気がした。
    中野は再度勇気を振り絞って、目の前にいる変人に呼びかけた。
    中野「すいませーん!軽音楽部の体験入部に来ました!」

    変人は全く反応しない。ドラムを叩き続けている。
    中野「あのー!」
    「すいませーん!」
    「ちょ、ちょっとドラム止めてください!」

    48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:34:53.77
    全く反応してくれない。
    中野(もしかして誘ってる?ギター持ってきてるし、アンプも置いてある…)
    「や、やってやるです!」

    中野は変人の叩くドラムに合わせて、ギターをかき鳴らした。その瞬間2人は不思議な感覚に陥った。
    中野(あれ、なんだか前から一緒にやってた感じがする…)
    律(なんだこの子のギター。懐かしい感覚がする)
    しばらく演奏した後2人とも音を出すのをやめて、見つめ合った。


    50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:35:35.83

    律「なんだか…なんだか君とはずっと前から一緒に演奏していた気がするよ」
    律(なんだろう、この子とは自然に話せる…)
    中野「わ、私もです。中野梓と言います。軽音楽部に体験入部に来ました。」
    律「中野…か。私は田井中律だ。軽音楽部に来てくれてありがとう。」
    「と、言ってももう新入生の間では私の噂が広がってる上に、さっき生徒会からの援助も切られてしまってなぁ」
    「残念だけど、多分中野が最初で最後の新入部員になりそうだよ…」

    中野「大丈夫です。なんとかなると思います。そんな気がします。」

    中野はデタラメじゃなく本気でそんな気がしてたのだ。なんとかなる。メンバーは集まる。部長が居れば。

    53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:42:28.00
    「あーあ、私ニートになるかも和ちゃーん」
    平沢唯はそう言うと、机にグデーっと突っ伏した。
    和「朝から何?」
    唯「ジャズ研が辛いよ…」

    和「もう、せっかくジャズ研に入ってギターも買ったのに。
      1年で飽きちゃったの?最近、ジャズ研サボってるんでしょ?」
    唯「ギターは飽きてないよ!でも、ジャズ研はなんだか合わないよぅ…放課後が来るのが怖いよぅ…」ガタガタ
     「き、今日も早退したい…」

    54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:43:36.72
    和(確かに、生存競争が激しいジャズ研は唯には向かないかも…)
    (ギターを買うのに3ヶ月もバイトして、スタートが遅れちゃって未だに練習に着いていけてないみたいだし…)

    和「本当にギターは飽きていないの?」
    唯「本当だよ… でもジャズ研でヘタクソって怒られるの…いっつも… 
      辞めたいけど、憂に心配かけたくないし…苦しいよぅ」
    「し、死にたいかも…」

    和「!」
    和(唯が死にたいだなんて… かなりきちゃってるわね…)
    和「唯…」

    56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:44:08.92
    ブルブル
    和(生徒会長からメールだ)
    (え!軽音楽部の援助は昨日の分までで打ち切り!? まぁ田井中さんがあの状態じゃあ…)
    (そうだ、どうせなら唯を軽音楽部に入れさせてみようかしら、どちらにせよ唯はもうジャズ研に居させられないわ)
    和「ねぇ、軽音楽部は興味無いの?」

    57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:44:54.84
    唯「うぅ…変人さんの居る部活だよね…気が進まないなぁ…」
    和「変人じゃないわよ。田井中さんは良い子よ?ちょっと暗いけど…」

    キーンコーンカーンコーン

    唯「軽音楽部も怖そうだからやだ…」
    和「そう…」

    58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 01:46:08.29
    中野と初めて一緒に演奏したのに、昔からの友達と演奏したような感覚がした。

    そして、その感覚のせいなのか…その日、またあの夢を見た。
    バンドで元気いっぱいに演奏する夢を。

    夢の中で私は、楽しそうにベースを弾く澪を見つめていた。
    澪は輝いて見えた。
    律(やっぱり澪はバンドやってる姿が似合う気がするなぁ…)
    演奏が終わるとみんながこちらを振り返る。
    律(!)
    2人いるギターのうち片方はあの中野さんだった。そして、よく見るともう1人のギターと、キーボードも学校で見かけたような顔だった。
    律(もしかして、この夢の中のバンドのメンバーは全員実在するのか?)
    もっとよく顔を見ないと…!

    82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 11:39:55.99
    ピピピ ピピピ

    律「あぁ… 良いところで…」
     「あの見覚えのある2人を探してみるか…」

    朝、私は桜高の生徒の顔をジロジロ見ながら登校した。
    夢の中のメンバーを見つけたかった。
    律(たしか、中野以外のメンバーはみんな2年生の色のリボンを付けていたな…)
    結局、その朝は桜高の生徒に気味悪がられる以外には収穫無く終わった。

    83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 11:40:41.88
    昼、いつもは昼飯は家から適当に持ってきたパンとかコンビニで買ったカロリーメイトとかですましていたが、
    今日は売店に行ってみることにした。
    売店には、思ったほど人は居なかった。
    桜高の生徒は弁当派が多いのだろうか。
    律(…)ジロジロ
    律「そんな簡単に見つからないか…」
    「あ、…あんパン1つください」




    84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 11:41:45.91
    放課後、すぐに音楽準備室に行きたかったが、用事ができたとかいうあまり話したことが無いクラスメートに掃除の当番を押し付けられてしまった。
    私だって、最近忙しいのに…

    掃除が終わり、音楽準備室に向かっている途中、急に仲間達が音楽準備室で私を待ってくれている錯覚に陥った。
    気付くと走っていた。
    段飛ばしに階段を駆け上って、勢いよく音楽準備室の扉を開けると、そこには昨日入部した中野が1人ちょこんと椅子に座っていただけだった。
    律(仲間達ってだれだよ… 最近本当におかしくなっちゃったな)
    (でも、中野が入ってくれたのは少し頼もしいな。子供っぽいが真面目な子だ。)

    86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 12:01:46.01
    律「今日も来てくれたんだな!」
    中野「ど、どうも…」
    「あの、部員集めどうします?私、明日からビラ配りしましょうか?」
    律「いや、そのことなんだが、私は狙い撃ち方式でやった方が良いと思うんだ」
    「少し心当たりがあるんだ。」
    中野「その心当たりがある人って誰なんですか?」
    律「えーっと… 名前は知らないんだが、顔を見れば分かるんだ。今日1日探したんだが、どうも見あたらなくてなぁ」
    中野「写真とか無いんですか?」

    87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 12:02:26.45
    そうか!写真か!
    律「クラスごとの集合写真なら職員室の前に貼ってあったな」
    「ちょっと見てこよう」


    職員室まで中野と一緒に歩いていると、生徒会の真鍋さんが前から歩いて来るのが見えた。
    生徒会の好意を裏切ってしまったことには、少し罪悪感を感じていた。
    謝りたかった。

    89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 12:09:03.34
    律「あ、あの真鍋さん…」
    真鍋「あら、その子はどうしたの?」
    律「あ、この子は中野梓っていって今体験入部でうちに来てるんだ。」
    真鍋「良かったじゃない!生徒会ではもう田井中さんはやる気ないって思われてたけど、そんなこと無かったのね!」
    「明日から、またビラ配りするわ!」
    律「い、いやビラ配りはいいよ。私が自分で部員を集めるから…」
    真鍋「そう。あと2人で軽音楽部も正式に部活動になれるから、頑張ってね」
    「それじゃあ、私生徒会に行くね」

    そうか…軽音楽部の存続に関して何にも考えていなかったけど、あと2人集めてしまえば軽音楽部は廃部しなくてすむのだ。


    90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 12:09:59.23
    正直澪を今さらバンドに誘うことはできそうにない。
    でも、他の2人なら強引にでも引き込める気がした。

    律「2人とも、私が必ず見つけ出すからな…」


    集合写真を1枚1枚じっくり見ていったが、2人とも見つけられなかった。
    やっぱり存在しない人物なのだろうか…
    いや、まだ諦めたくない。しつこく探そう。

    律「うーん、この写真じゃちょっと分からないな。とりあえず私が1人で探すよ。」
    中野「何か協力できることがあったら、遠慮なく言ってください!」
    律「あぁ、そうするよ。ありがとうな」
    「とりあえず今日はもう遅いし帰るか」

    91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 12:17:42.98
    誰かと話しながら帰るなんて久しぶりだった。
    嬉しさが溢れそうで、恥ずかしかった。そんな気持ちを少しでも隠そうと両手をポケットに突っ込んだ。
    中野は音楽について詳しいようで、話が弾んだ。
    軽音楽部に入部してくれたお礼にたい焼きを買ってあげると、とても幸せそうな顔で食べた。
    律(こいつ可愛いな…少し澪に似ているし…)
    片手をポケットから出し、中野の頭を撫でる。
    中野は赤面しながら何か言うが、たい焼きが口に入っていて何を言ってるのかわからない。
    本当に可愛い。
    律(この子のためにも、軽音楽部を復活させないとな)


    92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 12:22:20.15
    翌日、私は朝練にくる生徒よりも早く登校すると、すぐに屋上に上がり双眼鏡で登校してくる生徒達を観察した。
    始業時間間近になっても、夢の中に表れたメンバーのギターとキーボードは現れない。
    律(遅刻ギリギリに来るかもしれない…)
    この際自分が遅刻することは、気にしない。

    そして、私の予想は的中した。ギターケースを背負った2年生の生徒が走って登校してきた。
    律(あいつは夢の中で見たことがあるぞ!)
    妹だろうか、よく似た1年生も一緒に走っていた。
    キーボードの生徒は最後まで登校しなかった。
    しかし、片方発見できただけでも充分な成果だった。



    93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 12:28:31.99
    律(昼休みになったら、各クラスを巡ってギターの生徒を探すか)
    そんなことを考えながら授業を受けていた。ふと、外を見るとギターケースを背負った生徒がトボトボ校門へ歩いていくのが見えた。
    朝発見したギターの生徒だった。
    律(あいつ!早退するつもりか!)
    (逃がさーん!)

    ガタッ
    勢いよく席を立つと私はダッシュで教室を出た。
    教師「ちょ! 田井中さん!?」

    止めようとする教師に向かって
    「トイレ!」とだけ叫ぶと、私は階段を駆け下りていった。

    96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 12:37:15.18
    自分でも驚くような速さで走り、校門を出る直前だったギターの生徒の肩をがっしと掴む。
    律「捕獲!」
    ギターの生徒は
    「ひぃっ!」
    とだけ声を上げると硬直した。
    私は興奮状態で叫ぶように自己紹介をした。
    律「私は軽音楽部の田井中律!あなたは?」
    その生徒は平沢唯と言った。
    律「平沢さん!突然だけど軽音楽部入らない!?」
    平沢「あうぅ…怖いよ…う、憂~」ガタガタ


    97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 12:40:36.83
    しまった、怖がらせてしまった… どうしようどうしよう…

    …ケーキ。ダメ元だ!
    律「ケーキ!ケーキあげるから!」
    平沢「ケーキ?」パァァ…

    食い付いた!
    律「そう!今軽音楽部に入るとケーキをプレゼントするキャンペーンをしているんだ!だから放課後、音楽準備室に来てくれ!」
    平沢「で、でも放課後になったらジャズ研が…」

    98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 12:43:04.05

    く!こいつジャズ研に入ってるのかよ!
    律「け、ケーキとジャズ研どっちが大事なんだよ!」
    平沢「ケーキに決まってるよ!」

    自分で言っといてずっこけそうになったが、とにかく放課後に軽音楽部に来てくれることになった。


    101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 13:02:51.08
    放課後、平沢は本当に音楽準備室に来た。中野にダッシュで買いに行かせたケーキを平沢は美味しそうに食べる。
    中野は部室の隅っこでぜぇぜぇ言っている。

    律「どぉ?ケーキ美味しい?」
    平沢「うん!とっても美味しいよ!ありがとう、田井中さん!」
    律「いやいや、良いんだよ。だって平沢さんが軽音楽部に入ってくれるんだから。」

    平沢「え…」ポロッ
      「私、軽音楽部に入るとは言ってな…」
    やっぱり、覚えてなかったか。
    ちょっと脅すかな…



    102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 13:11:21.24
    律「あ?約束が違うなぁ?」ギロ
    カチューシャを外した私の人相が悪いのはよく自覚していた。
    起き上がってきた、中野にもアイコンタクトを取る。
    平沢「ひぃ…か、代わりのケーキを買ってきますから…」
    中野「だめです!さっきのケーキは世界にあれひとつなんです!代わりは無いです!」
    平沢「ごめんなさいごめんなさい!許して!!」
    そう言って平沢は逃げようとする。
    律「待てぃ!」
    平沢の首に腕をからめて捕まえる。



    105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 13:18:43.78
    律「なぁお願いだよ。ずっとじゃなくても良いから!学祭ライブまでとか!」
    平沢「うぎぎ…」
    律(やば、締めすぎた…)
    腕の力を緩めると、平沢はどたっと倒れこんだ。
    平沢「はぁはぁ…う、憂~」
    なんだか、今すごい殺気を感じる… 
    ふと、顔を上げるとそこには平沢によく似た1年生が立っていた。



    107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 13:22:39.23
    頭の中で平沢2号と名付けた。
    2号「お姉ちゃんを虐めるな!!!!!」
    私も中野も凍りついた。野生の勘でわかる。
    こいつには勝てない…
    凍りついた私たちを尻目に平沢姉妹は帰っていった。



    109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 13:28:11.88
    律「あ~やっちゃったな…いいところまではいったのに…」
     「中野のダッシュも無駄になっちゃったな。すまん。」
    中野「いえいえ、私にできることなら…あ、ケーキ代のレシートです」
      「まさか自腹じゃないですよね?」
    律「お、おう…」
     (しっかりしてんな…)
    中野にケーキ代を渡そうと財布を開けると、小銭が5円一枚…
    しゃーない、千円札を崩すか。
    律「あー中野、シュース奢るよ。自販機行こうぜ」
    中野「はい!」
    後輩にジュースを奢るのがささやかな夢だった。
    ん? なんかこういうの口癖だったやついたような…。




    110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 13:46:51.94
    中野は自販機でマックスコーヒーを買った。
    律「マッ缶かよ。中野は甘いもの好きなんだな。」
    中野「良いじゃないですかマックスコーヒー。おいしいですよ?」
    律「それじゃあ私も同じの買うかね」ピッ

    律(うぇ…やっぱり甘すぎ…)
    ちびちびと甘すぎるコーヒーを飲みながら、缶を持つ中野の手を見る




    111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 13:52:13.27
    律(中野の手って小さいなぁ。澪と似てるなって思ってたけど、あいつの方が手がでかいな。)
    私の視線に気づいたのか、コーヒーに集中していた中野が顔を上げる。
    中野「わ、私の手がどうかしました?」
    律「いや、中野って手ぇ小さいな~って思ってさ。よくギター弾けるな」サワサワ
    そう言いながら缶コーヒーを持つ中野の手を上から包むように触る。
    中野にはこういうスキンシップもなぜか気軽にできた。
    中野「ちょ、ちょっと田井中先輩!恥ずかしいですよぅ…やめてください…」
    律「いいじゃんいいじゃん、減るもんじゃなし」
     (なんかセクハラオヤジみたいだな。そろそろやめとくか)



    112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 13:53:22.49
    …ハッ 熱い視線を感じる。
    サッと視線を感じる方に目をやると、慌てて隠れる人影が見えた。
    律(あそこは合唱部か…)
    じーっと合唱部の部室の方を見る。
    律(軽音楽部に入る可能性のあるやつは、他の音楽系の部活動に入っているのかもしれないな…)



    115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:05:46.80
    中野「あの、田井中先輩!」
    中野の呼びかけに、意識がこちらに戻る。
    律「ん?どうした?」
    中野「また合わせてみませんか?ギターとドラムだけですけど…」
    律「そうだな~。あんまり部員集めばっかだと軽音楽部っぽくないしな!」
    そう言って私と中野は音楽準備室へ戻ることにした。

    117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:16:54.75
    「は~久々にいいものが見れましたわ」
    琴吹紬は満足そうな顔で一人呟いた。
    琴吹(あの子たちって何部なのかしら。というかどういう関係?)キニナルワー
    ドキドキと想像を膨らませる。やっぱり女の子どうしって良い。そう琴吹は思った。
    それに比べて…
    「ねぇねぇこれ彼氏とのプリ!カッコいいでしょ?www」
    「あたし昨日合コンしてさ~ww」
    「あー、最近毎日ヤッテるから腰が痛いwwww」

    琴吹「…」
      (うぜぇ…芝生やしてんじゃねぇよ…)

    120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:28:45.02

    正直合唱部なんか興味無かった。
    ただ、去年の4月に合唱部の3年生二人の濃厚なキスシーンを目撃して勢いで入ってしまったのだ。
    琴吹(合唱部って女の子どうしが好きになったりする部活だと思ったのに…)
    実際はその3年生二人以外はそういう雰囲気が無く、むしろ男に飢えている者ばかりだった。
    3年生も卒業してしまい、もう合唱部には何も魅力が無かった。
    そもそも女の子同士の恋愛を求めて入った女子高だったのに、なんだか裏切られた気分だった。
    そんな気持ちがあるからか、どうも周りの馴染めなくて友達らしい友達がいない。
    今日も本当は学校を休みたかったが、執事がうるさいので渋々2時限目から登校した。

    121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:32:49.93

    「ねぇ琴吹さぁーん。合コン行かない?」
    琴吹「うっせぇ話しかけんな」
    「は?」
    琴吹「もう良い。合唱部やめる…」
    そう言って琴吹紬は早足で部室から出て行った。

    123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:44:54.50
    日が傾き下校時間も近づいてきたころ、音楽準備室に向かう姉妹がいた。
    姉は何か箱を持っている。

    憂「ねぇお姉ちゃん…ケーキなら私が持って行くよ」
    唯「だめだめ、私が食べちゃったんだから、ちゃんと返しに行かないと」
     「ちょっと怖いけど…約束破りはダメだよ…」
    憂「お姉ちゃん…」
     (あの不良っぽい2年生。次お姉ちゃんに暴力を振るったら…)
     (やってやる…)

    126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:51:02.48
    不安そうな姉と目の奥に殺意が見える妹は音楽準備室への階段を登っていく。
    音楽準備室からはギターとドラムの音が聞こえる。先程の二人が演奏しているのだろうか。
    そして微かにギターとドラム以外の音も聞こえる。
    唯「!」
     (なんだろう、懐かしい感じがする…)
    憂(ちっ二人じゃないのか?3人以上が相手となると武器が必要だな…)

    128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:53:50.00
    唯は音に引き寄せられるように早足で階段を登っていった。
    音楽準備室に扉を開ける動作に迷いは無かった。
    唯「あれ?」
    演奏しているのはギターとドラムだけだった。
    他にも演奏している音が聞こえた気がしたが、勘違いだったのか…
    演奏している二人は音を出すことに集中しているのか、こちらには無反応だ。

    130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:02:56.87
    唯(なんだか、この二人の演奏いいなぁ。なんでだろう)
     (すっごく仲が良さそう。それに…)
    なんだか、この二人に混じって演奏できそうだった。
    唯「憂!ちょっとケーキ持ってて!」
    憂「え?お姉ちゃんどこ行くの!?」
    唯「アンプとギター!部室から持ってくる!!」

    131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:05:39.39

    …気づくと辺りは真っ暗で時計の針は8時をさしていた。
    3人とも音を出すのをやめた。静まり返った音楽準備室。
    一人の少女が口を開く。唯だ、表情は最高に明るい。
    唯「私…私、軽音楽部入ります!!」


    132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:06:53.11
    >>131間違えた!

    全力で走って音楽準備室に戻ってきた唯は、飛び込むように二人の演奏に加わった。

    …気づくと辺りは真っ暗で時計の針は8時をさしていた。
    3人とも音を出すのをやめた。静まり返った音楽準備室。
    一人の少女が口を開く。唯だ、表情は最高に明るい。
    唯「私…私、軽音楽部入ります!!」


    136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:42:33.59
    律「♪」
    今、最高に気分が良い。いつもはしかめっ面でかき込む夕飯も、鼻歌まじりだ。
    聡「姉ちゃん最近機嫌がいいね!」
    律「はっはっはー、だろだろ?」
    聡「うん!学校でなんかあったの?」
    律「実はお姉ちゃんは、今軽音楽部の部員を集めているのです!」
     「そして、もう二人も集まっちゃったのです!」
    聡「すごいな!やっぱ姉ちゃんはやればできる人だ!」
    律「褒めろ褒めろー!」

    137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:46:27.61
    私は部屋に戻るとベッドに横になった。
    目を閉じると今日3人でやった演奏を思い出す。
    律「楽しかったな…」
    ドラムやっててよかった。久々にそう感じる。
    律「そうだ、あのDVD見よう。」
    ベッドから降りて、棚に近づく。目当てのDVDはすぐに見つかった。
    私がドラムをやるきっかけになった、バンドのDVDを見る。
    律「あーこれ見てたとき澪が隣にいて、一緒にバンドやろうとか言ってたっけな」
     「澪…」

    139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:47:41.30
    机の上で充電器にささっている携帯をもぎ取ると、カチカチとメールを打つ。
    宛先は澪。内容は今まで何度も考えた謝罪の言葉、そして最後に軽音楽部に入って欲しい、と加えた。
    今ならなんでも成功する気がする。
    律「これで、澪と仲直りするんだ…!」
    送信ボタンに指を乗せる。

    140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:50:03.69
    律(なーんてな…)
    …送信ボタンは押さなかった。
    律(最近ちょっとうまくいってるからって調子乗りすぎだろ。私。)
    あんだけ自分が酷いことしといて、メール一本で仲直りできると一瞬でも思った自分が嫌になった。
    それに、もう澪はアドレスを変えてしまっているかもしれない…。
    そっと携帯を充電器に戻すと、テレビを消し、ベッドにうつ伏せになった。
    携帯のカメラレンズが私を見つめる。
    律(しょうがないだろ?私はこういう人間なんだ…)
    ちょっと心が痛かった。

    150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:26:19.91
    冷えたものが熱くなり、また冷え込む。
    送信メールを押さなかったあと、私はネガティブな気分になっていた。
    そして、そんな気持ちの乱高下が私の心の安定を崩す。

    朝になっても、気持ちが沈んでいた。
    部員が集まっても一緒に登校することは無かった。
    しかし、暗い気分のときは一人の方が気楽だ。

    151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:32:07.93
    そんなことを考えていると、突然肩に手をかけられた。
    律「!」
    振り向くと真鍋さんがいた。
    律「…びっくりしたー…」
    こちらがびっくりした表情をしても真顔な真鍋さんが怖い。
    真鍋「あなたすごいわね。」
    律「?」
    真鍋「唯を入部させたんでしょ?」
    律「あぁ…なんていうか、ケーキが…」
    真鍋「なるほど!お菓子で釣ったのね!あなたなかなか唯のことを心得ているわね」
      「唯はまかせたわ!それじゃあ私生徒会に行くね!」
    そう言って、真鍋さんは走っていった。あの人はいつも生徒会生徒会言ってるな。
    生徒会長にでもなるつもりなのだろうか。


    153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:37:47.44
    律(唯はまかせた…か)
    暗い気分なままじゃダメだ。もう澪のことを考えるのはやめて、キーボードのやつを探そう。
    あと一人で部は成立するんだ。集まってくれた二人のためにも、もうひと踏ん張りだ。

    放課後、音楽準備室に行くとすでに中野が居た。ギターを抱えている。
    中野「田井中先輩!今日も合わせましょうよ!」
    楽しそうな顔だ。
    律「いやいや、私は部員集めをしないと。あと一人集まらないと廃部だぞ?」
    もう4月も2週間を切っている。最後の一人がすぐに見つかるとは限らない。

    154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:42:26.79
    中野「う…そうでしたね…」
      「そのもう一人も、もう決めてるんですか?」
    律「あぁ、一応な。でも、未だに校内で見かけないんだ…」
    中野「面識が無いのにどうしてその人に決めてるんですか?」
    律「そ、それは…」
     (夢で見たから、とかメルヘンなことは言えないな…)
     「まぁ、勘だよ勘。とりあえず私を信じろ。」
    中野「はぁ、分かりました」

    ガチャ
    平沢「失礼します…」
    律「おぉ平沢。遅かったな。」

    155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:44:04.34
    平沢「うん…ジャズ研に退部届だしてきたんだけど、ダメって言われちゃった」
    律「え?じゃあ軽音楽部は!?」
    平沢「そ、それは安心して!学祭ライブまでは掛け持ちさせてってお願いしてあるから!」
    中野「じゃあ、そのあとはどうするんですか?」
    平沢「そ、それは分からない…」
    律「まぁまぁ、先のことは気にしないでおこう。」
     「それじゃ、私は部員集めしてくるから、二人はここで練習しててくれ」

    律「とは言っても、全然見つからないなぁ」
    夢で見た顔だけを頼りに捜索をする行為には限界がある。
    律「とりあえす、下校時間までウロウロするか…」


    156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:50:58.11
    中野「はぁ…田井中先輩遅いなぁ…」
      「てか、平沢先輩も寝ちゃったし。せっかくギター持ってきたのに…」
    平沢「Zzz…」
    中野(なんか、私も眠くなってきた…。)
      (あ、なんか平沢先輩温かい…)
      「ちょっとだけ…」ピト

    158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:56:22.75
    琴吹「あーあ、正式に退部届だしてきちゃった。」
      「周りに打ち解けようと思って染めてたこの黒髪も意味が無かったわね。」
    そう言って琴吹紬は廊下をトボトボ歩く。
    琴吹「!」
      (あれ?私のセンサーが何かを感知したわ!)
    黒髪の少女は、引き寄せられるように音楽準備室の方へ歩いていく。
    琴吹「ここ…かしら」
    ガチャ
    扉を開けると、そこには
    琴吹「ワーォ」ズキューン
    女の子が二人、くっついて眠っていた。
    琴吹(なにこれ、すごい将来性を感じる。投資したい。)ドキドキ
    食い入るように二人を見つめ続ける少女。
    彼女は心底幸せそうな顔をしていた。

    161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 19:04:01.22
    律「あーあ、結局収穫無しか…」
     (名前も分からないんじゃ、キツイな…)
    明日また早起きして、登校する生徒を観察するか、と考えながら暗い校内を歩く。
    階段を登ると、音楽準備室の前に人影が見えた。入部希望者だろうか。
    律「あのー…」
    ??「へっ?」ビク
    こちらに気づいていなかったのか、びっくりした顔でこちらを向く。
    律(あれ?この顔見覚えが…)
    ??「いや、あの…すいません!」
    律「あ、ちょっと待って!」
     (分かった!あいつ夢の中のキーボードのやつだ!黒髪だったから分からなかったんだ!)
    逃げようとする少女のカバンをとっさに掴む。



    175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 22:12:54.41
    しかし、少女の引っ張る力のほうが強かった。
    律「あ、ちょっと!!」
    ドガガガーン
    バランスを崩した、私と少女は階段を転げ落ちた。
    律「いてて…お、おい大丈夫か?」
    黒髪の少女は私の下でグッタリしている。彼女がクッションになったのだ。
    律「もしかして死んだか…?」
    さーっと血の気が引いていった。

    179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 22:20:54.74
    が、そんな心配はいらなかった。少女はパッと目を覚ますとドダダダっと逃げ去ってしまった。
    私はというと、ひざをすりむいてしまったらしく、追いかける気力がなくなってしまった。
    逃がしてしまったが、部員集めは一歩前進した。
    平沢「部長!大丈夫でありますかー!」
    中野「さっきの人は誰ですか?」
    律「ははは、獲物を取り逃がしてしまったよ。さっきのやつが最後の一人だ。」
     「もう一回生徒の集合写真を見に行こう」

    182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 22:33:15.75
    律「ちょ、ちょっと大げさだって!」
    平沢「だめであります!部長は私が助けるであります!」
    中野「平沢先輩それつまんないから、やめたほうが良いですよ?」
    平沢は私に肩をかして支えており、さながら負傷した戦友をかばう兵士のようだ。恥ずかしい…
    そんなバカをしながら廊下を歩いていると、前から澪がやってきた。一人だった。
    文芸部ってこんな遅くまで部活やってるのか。
    澪を見かけるのは久しぶりだったから、一瞬心のしっぽが振れたが
    律「…」
    気まずくて声がかけられない。なんだか、自分には澪に声をかける資格もない気がした。

    184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 22:41:07.70
    顔も正視できなくて目を背けてしまう。
    先に声をかけてきたのは澪だった。
    澪「…田井中…ケガしたのか?」
    律「あ、うんダイジョブ」
     「ちょ、もういいって平沢!」
    澪「本当か?消毒はしたのか?絆創膏持ってこようか?」
    澪の顔を見ると、とても心配そうな顔をしている。
    律(私を心配してくれているのか…)
    なんだかぐっと来てしまって、
    律「あ、本当に大丈夫だから…ありがとう」
    くそ、こんなことで涙声になる自分が嫌だった。
    泣きそうになっているのが恥ずかしかった。私は少しびっこを引きながら澪から離れていく。
    せっかく話しかけてくれたのに「うん」とか「大丈夫」とかしか言えない自分が嫌だった。

    191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 23:24:14.81
    澪「私って嫌なやつだな…」
    律がケガをしているのを話しかける口実にしてしまった自分が嫌だった。

    自分を嫌いになるのはこれが初めてじゃない。
    高校に入ってからは自己嫌悪ばかりだ。
    4月に律が一人で部員集めに走り回っていたのに私は何も助けなかった。この時点で友達失格だ。
    しかも、焦っている澪の気も知らずに文芸部でチヤホヤされていることの自慢ばっかり話してしまった。
    もっと他に声を掛けることがあったろうに… 嫌われて当然だ。
    そんなことに気づいたあとからではもう遅かった。

    192 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/11(土) 23:26:02.55
    ちょっと今家族が部屋でずっと話してて、投下遅れるかも

    197 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/11(土) 23:42:02.54
    >>191間違えました

    澪「私って嫌なやつだな…」
    律がケガをしているのを話しかける口実にしてしまった自分が嫌だった。

    自分を嫌いになるのはこれが初めてじゃない。
    高校に入ってからは自己嫌悪ばかりだ。
    4月に律が一人で部員集めに走り回っていたのに私は何も助けなかった。この時点で友達失格だ。
    しかも、焦っている律の気も知らずに文芸部でチヤホヤされていることの自慢ばっかり話してしまった。
    もっと他に声を掛けることがあったろうに… 嫌われて当然だ。
    そんなことに気づいたあとからではもう遅かった。

    198 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/11(土) 23:49:29.66
    律に話しかけても、冷たいそぶりしか見せなくなってしまった。
    5月に入り、律のカチューシャが嫌な意味で目立ち始めると、律はカチューシャを外してしまった。
    この時だって私が庇えば、カチューシャを外す必要も無かったのに。
    律がカチューシャを外すことを嫌がるのは、私が一番知ってたというのに…
    私はただオロオロするばかりだった。

    そんな私に天罰が下ったのだろう。
    文芸部に本入部すると先輩の態度が変わった。

    202 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/11(土) 23:51:28.84
    「あなたさぁwwwwちょっと書くことがメルヘンすぎwwww」
    「ちょっとwwwwこれはwwwww」
    4月にチヤホヤしていたのは部員集めのための嘘だった。私ってバカだよな。
    私の書く詩や小説はことごとく馬鹿にされ、全否定された。
    それからは、私は本当に書きたいことは書かずに、あたりさわりのないことばかりを書いた。
    文章を書くのが好きな私にとって書きたいことを書けないことは、かなり辛かった。
    そんな生活を1年も続けると、生きることの意味なんてことも考えるようになってしまった。

    204 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/11(土) 23:55:16.69
    リストカットの真似事なんてことも時々した。毎回、薄皮をちょっと切っただけで倒れてしまったが。
    そんなことをした夜はいつも律の夢を見た。
    私は夢のなかでバンドを組んでいて、振り向くと律がいる。
    夢の中の律が中学のころの活発な雰囲気のままだった。
    結局、心が弱った私はいつも律に助けてしまうのだ…
    なんという自分勝手。自己嫌悪の連続だ。
    現実の律は私よりも遥かに弱っていたのに…


    205 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/11(土) 23:56:41.01
    最近律は軽音楽部の部員集めを再開したらしい。
    そして今日私が会った、律に肩を借していた子とツインテールの子がその部員なら…
    私が何回も見た夢で見てきたバンドを、律は作ろうとしている…
    そのバンドが誕生するとき、私がその場にいられたらどんなに良いだろうか。
    澪「馬鹿だな、私にはそんな資格無いよ…」
    一人で帰るのも…慣れてしまった…

    206 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/11(土) 23:57:45.60
    >>204また間違えました
    リストカットの真似事なんてことも時々した。毎回、薄皮をちょっと切っただけで倒れてしまったが。
    そんなことをした夜はいつも律の夢を見た。
    私は夢のなかでバンドを組んでいて、振り向くと律がいる。
    夢の中の律が中学のころの活発な雰囲気のままだった。
    結局、心が弱った私はいつも律に助けを求めてしまうのだ…
    なんという自分勝手。自己嫌悪の連続だ。
    現実の律は私よりも遥かに弱っていたのに…

    210 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/12(日) 00:13:14.65
    律「あー、いたいたこの人か。」
    集合写真に写るキーボードの子は、夢のなかとは違って黒髪だった。
    表情もかなり硬い。というかしかめっ面に近い。
    律(夢のなかではもっとポワポワしてたんだけどな…)
    中野「ふーん、3組ですか。明日捕まえに行きましょう!」
    律「あぁ。それにしても写真で見つけられればかなり簡単にことが運ぶな。」
     「平沢もこの写真で見つけられれば苦労はしなかったんだが…」
    平沢「私はこの写真には写ってないよ~。この日は早退したからね!」フンス
    律「…」
    中野「偉そうに言わないでください!」

    212 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/12(日) 00:17:05.89
    「ちょっと生徒会室の前で騒がないでくれる?」
    律「あ、真鍋さん。ごめん…」
    真鍋「まぁいいわ。私がひとり寂しく生徒会の仕事をしてただけだから。」
      「それよりどうしたの?集合写真なんか見て」
    平沢「この女の子を次の部員にしようと思うんだ!」
    真鍋「あぁ、琴吹さんね。でも、この子ちょっと不登校ぎみよ?」
      「合唱部も退部したらしくて、明日から学校来るかしら…」
    中野「なんとかなりますよ!部長がなんとかします!」
    律「私だのみか…」
    真鍋「頼りがいのある部長さんね。それじゃあ、私は作業に戻るわ」
      「もう下校時間よ?帰りなさい。」
    平沢「バイバーイ」

    217 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/12(日) 00:29:14.24
    真鍋さんの予想は的中した。
    琴吹さんは翌日も翌々日も登校しなかった。
    中野は
    「死んだんじゃないんすかねww」
    とか言ってたが、琴吹さんはああ見えて意外とゴツイ体つきをしていた。死ぬはずない。
    4月もあと少しで終わってしまう。指をくわえて学校で待っていてはゲームオーバーだ。


    221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 00:43:18.26
    放課後…
    律「今から、琴吹さんの家に行こうと思う。」
    中野「え!?突然私たちが行って大丈夫ですか?」
    律「うーん、それは行ってから考える。とりあえず住所は平沢が入手してある。」
    平沢「生徒会パワーなめんなよ!」フンス
    中野「あぁ、真鍋さんパワーか…」
    平沢「レッツゴー!」

    222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 00:54:15.55
    律「…デカイナ…」
    平沢「これ個人が所有してる不動産なの?」
    琴吹家に着くと、あまりの家のでかさに二人とも口調がおかしくなってしまった。
    律「な、中野、お前がインターホン押せ…」
    中野「えぇ!なんで私なんですか?部長としての責任を果たせ!」
    律「いや、私は…なんつーか不審人物に見えるから…」
    中野「自覚があるならその髪型直せよ!」
    律「お、お願いします…中野様…」ブルブル
    中野「チッしゃーねーな!」
    律(あとで覚えてろよ?クソが。)

    226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 01:20:00.11
    「はぁ…私がわがまますぎるのね…きっと」
    真っ暗な自分の部屋で琴吹紬は寂しげにひとりごとを言う。
    広い部屋だが、気分が沈むとよく部屋の隅っこのほうで体育座りをする。
    最近はこの状態の時間のほうが多いかもしれない。
    夢は女の子どうしで楽しく遊ぶことだった。
    紬「そんなこと夢見た私がバカだったんだわ…」
    すべてを投げて、引きこもろう。そして、自分の頭の中だけで楽しく暮らそう。
    そんなことを考えていた。

    ピンポーン
    紬「誰かしら」
    窓から外を見ると、そこには先日見かけた将来性を感じる方々が居た。
    紬(キター)

    227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 01:21:16.48
    ピンポーン
    「はい、琴吹家でございます。どなたですか。」
    中野「えっと…真鍋と言います…生徒会から手紙を届けに参りました。」モシ゛モシ゛
    律「おいモシ゛モシ゛すんな」コソ
    平沢「偽名使うとか、どういう神経してんだ」コソ
    「ありがとうございます。郵便受けにどうぞ。」
    中野「あの…紬さんに会って話したいんですが…」
    「お嬢様は現在面会謝絶でございます。」
    中野「そこをなんとか…」
    「お嬢様は現在面会謝絶でございます。」
    中野「…」


    229 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/12(日) 01:41:33.94
    走って一階に降りると執事の斉藤が手紙を持って立っていた。
    紬「今の方々は?」
    斉藤「はっ 生徒会のものと申しており、お嬢様と面会したがっておりました。」
      「ただ、お嬢様は現在面会謝絶ですので…」
    紬「で?帰したの?」
    斉藤「…はい。この手紙を置いていきました。」
    紬「バカバカ!このマニュアル人間!」
    そう叫ぶと紬は手紙をひったくって部屋に戻っていった。

    斉藤(フヒヒw また怒られちった、しびれるわいwwww)

    231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 01:44:55.21
    手紙は軽音楽部の勧誘ビラだった。
    紬「あの子たち…軽音楽部だったのね」
     (これがラストチャンスなのかしら。)
    部屋の明かりを点け、隅で所在なさげに佇むキーボードの電源を入れる。
    紬「出番よ『TRITON Extreme76』」
    TRITON Extreme76の青い画面が一瞬揺れる。
    (かしこまりました。お嬢様。)

    238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 02:33:41.44
    翌日、音楽準備室
    律「は~、昨日は失敗だったな。」
    中野「何が失敗だったな、ですか。田井中先輩は何もしなかったじゃないですか。」
      「なんであんなビクビクしてたんですか!」
    律「お前らが来るまではずっとぼっちだったんだよ…そのへんも考慮してくれ…」
    平沢「私たちとは普通に話せるのにおかしいね!」
    律「確かに。なんだか昔からの友達と話してるみたいなんだよ。」
    中野「まぁそれは私も感じていますけどね。」
    平沢「私も~」
    律「はぁ、それにしてもどうするよ。琴吹はあんな城みたいな家に引きこもっちゃうのかね~」
     「もう4人集まらないかもなぁ。」
    中野「1年生でベースの子なら入っても良いって言ってますよ。誘いますか?」
    律「う…ベースは…」

    239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 02:50:57.57
    ガチャ
    「その必要は無いわ。これ見て。」
    突然入ってきた真鍋和は一枚の紙を机の上に置いた。
    琴吹紬、と名前が書いてある入部届だった。
    律「おぉ!これは…!」
    真鍋「来週から、軽音楽部に来てくれるそうよ?」
      「これで軽音楽部も廃部しないで済むわね!おめでとう!」
    目標は達成できた。しかし、あまり心は踊らなかった。
    律(やっぱり…やっぱり澪がいないと…)


    240 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/12(日) 02:56:29.18
    ガチャ
    「その必要は無いわ。これ見て。」
    突然入ってきた真鍋和は一枚の紙を机の上に置いた。
    琴吹紬、と名前が書いてある入部届だった。
    律「おぉ!これは…!」
    真鍋「明日から、軽音楽部に来てくれるそうよ?」
      「これで軽音楽部も廃部しないで済むわね!おめでとう!」
    目標は達成できた。しかし、あまり心は踊らなかった。
    律(やっぱり…やっぱり澪がいないと…)


    241 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/12(日) 02:57:01.80
    >>240が正しい方です。

    245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 03:11:33.45
    下校時、下駄箱
    中野「田井中先輩!なにボーっとしてるんですか!」
    律「お、すまんすまん。…って、うわ!」
    おもいっきりズッコケてしまった。バッグの中身が散乱した。
    中野「何やってるんですか!?先輩浮かれすぎですよ~」
    律「いてて、部長もいろいろ考え事があるんだよ。」
     (澪のことだけどな…)
    そう言って立ち上がると、平沢がバッグを渡してくれた。
    平沢「部長の持ち物は全部拾ってあるよ!はい!」
    律「お、ありがとうな。さ、帰るか~」
    平沢「うちの近所においしいアイス屋さんがあるんだ~」
    中野「行ってみたいです!」

    246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 03:12:52.83
    書きたくない文章を書くというのは大変な労力と時間が要る作業だ。
    澪(今日も、ずいぶん遅くまで残ってしまったな…)
    一人、下駄箱で靴を履いていると棒のような物が床に落ちているのが見えた。
    澪(これは、スティック?)
    RITUと書いてある。律のものだろうか。
    落とし物を届ける職員事務室はすでに閉まっている。
    澪(明日届けるか…)
    バッグにスティックを入れる。

    249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 03:19:02.97
    家に帰ったあと、バッグからスティックを取り出す。
    澪(これってやっぱり律のスティックかな…)
    もしかしたら、このスティックを律は探しているかもしれない…
    自分が持っている、と知らせた方が良いんじゃないか?
    澪「はぁ… ケガの次は落とし物を口実にするつもりか」
     「私はつくづく最低な人間だな。」
    制服のままベッドに倒れこみ、うさぎのぬいぐるみを抱きしめる。
    澪「しょうがないだろ?私はこういう人間なんだ…」
    ぬいぐるみを抱きしめたまま、携帯でメールを打つ。
    書きたいことはたくさんあったけれど、なるべくそっけなく。
    打ち終え、送信ボタンに指を乗せる。
    目を閉じ深呼吸をする。

    私は送信ボタンを押した。

    251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 03:26:35.67
    Fm澪
    添付1件
    Subスティック
    これって田井中のスティックか?下駄箱に落ちてたんだが…

    Fm律
    Subありがとう!
    それ私のだ!ありがとう!
    下駄箱でこけた時に落としたんだと思う。

    252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 03:27:53.56
    Fm澪
    Subいやいや
    たまたま拾っただけだから(笑)
    いつ渡せば良い?
    ていうか、またこけたのか。ケガはしてない?

    Fm律
    Sub放課後
    音楽準備室にいるから持ってきて!
    あ、嫌だったら職員事務室に投げといてもいいよ(笑)
    ケガはしていないよ!秋山は優しいな。

    253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 03:29:34.07
    Fm澪
    Sub優しくなんか
    優しくなんかないよ、私は。
    放課後、音楽準備室に届けに行くね。
    ケガしてなくてよかった…
    それじゃあまた明日。

    Fm律
    Sub優しいよ。
    私が保証する。
    音楽準備室で待ってます。
    じゃあね。





    律澪(はー、めちゃくちゃドキドキした…)

    259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 03:52:55.13
    翌日、放課後の音楽準備室

    中野「それでーその子、純っていうんですけど、ちょっとカッコいい部長が居るっていったら食いついてきてー」
    律「…」
    中野「ちょっと!聞いてます?」
      「純っていうベースの子が軽音楽部に来てくれるんですよ!?もっと喜んでくださいよ!」
    律「いや、ベースのことなんだが、もう少し考えさせてくれ…」
    中野「? 前に田井中先輩が言ってた、目星はついてるけど入ってくれるか分からないベースの人のことですか?」
    律「そ、そうだ…」
    中野「そんな不確かな人をアテにできません!」
      「今日来る琴吹さんはキーボードなんですよね?」
      「ベースは誰がやるんですか?私やりませんよ?」
    律「う…」

    262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 04:11:49.64
    平沢「ちょっと中野ちゃん興奮しちゃダメだよー」
    中野「ふぅ…なんで入ってくれるか分からないんですか?」
    律「それは…私が悪いからだ…」

    私は澪のことを話した。幼なじみで仲がよかったことと、
    高校に入ってから澪と自分との仲が悪くなった理由を話した。

    律「全部…私が悪いんだ」
     「自分で突き放しといて、今はアイツと仲直りしたくてどうしようもないんだ…」
     「本当に私って馬鹿だよな…」
     (あぁ、私がバカやった時はよく澪が馬鹿律とか言ってたけど、今は誰も言ってくれない…)
     (ダメだ…涙が出てくる…)
    手で顔を覆う。

    263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 04:12:45.72
    律「馬鹿だ…私は馬鹿律だよ! うぅ…」ボロボロ
    平沢「田井中さん?大丈夫?」オロオロ
    一度感情が溢れると、次の瞬間には冷静になっていた。
    律(ダメだ。せっかく部員が集まってくれたのに、こんなところでわがままを言っちゃ…)
     「ご、ごめん…わがまま言って…」
    中野「いや、私は、そんな……」

    ガチャ!
    勢いよく扉が開いた。

    264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 04:23:03.84
    ぎっぎっ
    キーボードを携えて、階段を上り音楽準備室へ向かう。
    琴吹(もし、軽音楽部も合唱部みたいに裏切ったらただじゃおかないわ…)
      「フアンダワー」

    階段を登り切ると、音楽準備室の扉の前にはスティックを持った女の子が立っている。
    泣いているのだろうか、肩が震えている。
    琴吹(可愛いわね~この子も軽音楽部?)

    「…馬鹿律…」
    スティックを持った女の子はボソっと言う。
    そして、ドアノブに手を掛けると勢いよく扉を開ける。

    268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 04:34:18.71

    「馬鹿律!なんで言ってくれなかったんだよ~!」
    「私だって律とまた仲良くしたかったんだ!いっつも律のことを考えてたんだ!」
    「うわぁーん!律ー!」
    そう言って彼女は律と呼ばれた子に抱きつく。
    律「み、澪…」
     「うぅ、ごめんね。ごめん…」
    澪「律…!」
    律「澪…!」
    二人は泣きながら抱きしめあう…

    琴吹「ナニコレ?ガチ? 最高だろ、最高すぎる!Good!Good Job!」
    鼻血が出るのも構わず、私は彼女たちに拍手を贈った。

    271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 04:40:08.01
    純「はー、ここを登ると音楽準備室なんだ」
    ぎっぎっ
    純(なんだか騒がしいなぁ)
     (って!なんだアレ…なんであの人は鼻血を流しながら拍手してるんだ?)
     (しかも奥の方で2年生が泣きながら抱き合ってる…あー梓がポカンとしてる…)
    なんつーか…地獄絵図だな…私には向いていない…
    そう悟ると私は静かにその場を去った。

    274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 06:08:03.46
    律「と、いうわけで騒がせちゃったけど、無事全員集まったな!」
    5人が集まると、ガランとしてた音楽準備室も少し賑やかだ。
    中野「そうですね!これでやっとまともに軽音楽部として演奏が…「できないわ」
    え? 振り返ると真鍋さんが立っていた。
    真鍋「軽音楽部として演奏するこはできないの。ゴメンなさい…」
    真鍋さんはそういって、悔しそうな顔をする。初めて見る表情だ。
    律「ど、どういうこと?」
    真鍋「軽音楽部の復活は生徒会が先行してやったことなの。」
      「無事に4人以上集まれば、教師側も納得してくれると思ったんだけど…」
      「説得できなかったわ…本当にごめんなさい…」
    平沢「そ、それじゃあここも出て行かないといけないの?」
    真鍋「えぇ…山中先生が『うるさいからどっかいけ』って言ってたわ…」
      「私、唯のために何にもしてあげられないわね…」
    そう言うと真鍋さんは走り去った。

    275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 06:09:35.18
    みんな無言だ。
    律(ちょっと待てよ…何だ?またバラバラか?そんなの、そんなの…)
    律「嫌だ!」
    澪「り、律?」
    律「先生が認めなくたって軽音楽部は軽音楽部だ!」
     「なぁ、平沢。学祭ライブまで居るって言ったよな?」
    平沢「う、うん」
    律「みんな!学祭ライブに一緒に出ようよ!お願いだよ!」
    中野「そうです!せっかく集まったんだから、もったいないですよ!」
    平沢「私もバリバリやるよ~」フンス
    澪「私は律に着いて行くよ!」
    琴吹「私も頑張りますわ!」

    こうして、5人の非公式軽音楽部の活動が始まった。

    277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 06:24:16.69
    当初、音楽室を追い出された私たちは演奏できる場所を求めて放浪した。
    ウロウロしているうちに学校の隅にある使われていないボロボロの倉庫を発見すると、琴吹が何か電話をした。
    翌日、夜のうちに工事したのか、ボロボロの倉庫の中は外見からは想像がつかない立派な防音室になっていた。
    律「エアコンまで付いてるぞ!琴吹…やっぱりただものじゃないな…」
    琴吹「うふふふ」

    非公式軽音楽部の非公式部室を手に入れた私たちは夢中で演奏をした。
    楽しかった。曲も少しずつ作っていった。話す時間より音を出している時間のほうが遥かに多かった。
    毎日毎日放課後が来るのが楽しみだった。
    そうやって、毎日を過ごしているうちに夏休みが近づいてきた。

    278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 06:26:10.82
    私達の倉庫でのバンド活動は既に教師達には気づかれていた。
    正規な部活動ではない私達が勝手に倉庫を改造して使っていることを学校サイドは良く思わないだろう。
    止めるよう指導された場合どうしようか、と私達は心配だったが、驚いたことに私達の活動を支持し全力で擁護してくれている教師が1人いるらしかった。
    それに続くように体育会系の教師達も私達をしばらく様子見しようとやんわり支持してくれていた。
    きっと体育会系の方々から見れば私達のような行動は「熱血」とか「青春」とかの分類で見られているのだろう。


    289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 10:43:40.29
    彼らが私達を庇ってくれたのは嬉しかったが、その時点ではすでに私達の活動はそういう爽やかなものではなくなっていた。。
    溜め込んだストレスをぶつけるための活動になっていた。もっと言えば自傷行為だ。
    中野はともかく、2年生4人は1年間溜めた鬱憤が爆発していたのだ。
    夏休みが始まってから毎日、朝から晩までメチャクチャに練習し続け、栄養補給は琴吹さんの用意したスポーツドリンクをがぶ飲みするのみだった。
    この行為は私達の体をガンガンに痛めつけた。
    しかし、朝起きると体中ギシギシ言うことに、鏡を見ると顔が日に日に痩けていくことに、制服から出た腕が細くなっていくことに、私達は達成感を感じていた。
    メチャクチャに演奏して体が痛くなるほどに生きていることを強く意識できた。幸せだった。
    中野は単純に私達がしっかり練習することに対して喜んでした。


    290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 10:45:47.26

    今のバンドでの演奏を経験してしまうと、もはや普段の生活は全て虚構であり、演奏している間だけが現実の用に感じていた。
    その現実を少しでも長引かせたかった。

    こうも私達の体の中に不満が溜まっていたのか、と皆で苦笑したが自覚した後も一度溢れ出したものは止まらない。
    私達は1日も休まなかった。休みたくなかった。
    しかし、夏休みも残り半分というところで5人とも3日間ほどどうしても外せない用事で練習が出来なくなってしまった。
    この3日間は5人にはあまりにも長かった。
    練習を再開すると、この3日間を取り戻すように、今まで以上にメチャクチャに演奏した。
    もうみんな自分勝手に音を爆発させていたが、ふと気付くとまるで5人の音が一つの生き物のように合っていた。今までにない心地よさだった。



    291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 10:47:22.14

    私は思わず
    「セックスってきっとこういう気持ちなのかな…」
    と呟いてしまった。
    このメンバーでそんなこと言っても誰も分からないか。
    「女の子どうしでセックスなんておかしいね」
    平沢さんがそういうと5人で赤面してしまった。
    その後はひたすら、私達は演奏という名のセックスを堪能し続けた。
    カンカンの夏の太陽はすぐに沈み、気付くとまた上っていた。
    そうしてそれがまた沈むころには、疲労、寝不足、熱中症、貧血等々の症状で一歩も動けなくなっていた。



    292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 10:49:30.74
    中野「き、救急車…」

    琴吹「ダメですよ…救急車なんか呼んだら大事に…」

    平沢「…う、憂ー…」
    虫の息で平沢さんが携帯で呼んだ平沢2号は、呆れ顔の山中先生と共に現れた。
    涙目の平沢2号は必死で私達を介抱し、山中先生は私達に何か説教をしていた。
    説教を理解する体力は既に私達には残されていなかったが、山中先生が先頭に立って私達を擁護してくれていたことと、
    ちょっと自重しろよという警告だけは辛うじて理解した。
    私達を音楽準備室から追い出した山中先生が、私達の味方をしただなんて意外だなとぼんやりした頭で感じていた。



    293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 10:52:21.11

    その後の活動は、平沢2号及び山中先生の監視下で行われ、幸か不幸か私達の自傷行為には一定の歯止めができた。
    スポーツドリンクのみだった栄養源も平沢2号の持ってくる弁当で大分改善された。

    今までの狂気的な練習は私達の演奏技術を底上げするのに多少役立ち、また曲もいくつかできていた。
    中野はよく
    「私達は今なかなか良い音出してますよ、こんなバンド初めてです」
    と評価していた。あいつが私達の中で音楽に一番詳しいのだから信憑性はあると思う。



    294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 10:54:03.97
    ただ、いつもその後に
    「でも、なんだか音のベクトルが違うんですよね。私達の本当の方針とは違う気がするんです」
    と付け足した。
    私もそれには心の中で賛成した。多分中野の言いたいこととは違う意味で。
    私が1年生のころ軽音部に対して何となくイメージしていたのは、練習そっちのけでダラダラする感じの部であり、
    こんな体育会系を超えた狂気会系の部じゃなかった。

    中野以外のメンバーも、こんなハードな練習が好きそうなイメージではない。
    それでも5人が練習を続けるのは、やはり楽しかったからなのだ。

    295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 10:56:42.60
    歯止めの効いた練習では今までのようなメチャクチャさは無くなった。
    メチャクチャな練習をしない分の体力で、私達は山中先生がいないときに密かに作戦を練っていた。
    学園祭でのゲリラライブの作戦を。
    軽音楽部を立ち上げることが出来なかった私達が学園祭で正規に演奏することは不可能だった。
    しかし、私達は学園祭で演奏することが当初の目的であり、非公式軽音楽部の存在理由であった。

    ただし、作戦会議の進展はあまり芳しくなかった。
    生徒会や教師達を出し抜いて演奏まで持って行くのは不可能に近い。夏休みが終わってからも、この作戦会議は続いた。
    もう学園祭まで1月を切っていた。

    琴吹「ステージを乗っけたトラックで講堂に突っ込むのはどうですか?」
    律「琴吹?それは冗談なのか?」
    琴吹「え?」
    律「え?」

    296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 10:59:43.07

    真鍋「ちょっとあんたたち!悪だくみはよしなさい!」

    マズい!
    倉庫の入り口に真鍋さんが立っていた。

    平沢「でもでも、あたし達は学園祭に出してもらえないんでしょ?もうこうするしかないんだよ~」
    真鍋「その辺は心配しないで。全ての発表が終わったら、シークレットゲストとして最後に演奏をさせてあげるわ。
      「私の独断でね」
    平沢「え!そんなことしたら和ちゃん生徒会長になれなくなっちゃうよ!ダメだよ!」
    真鍋「良いのよ。唯。大切な幼なじみのために何もしてあげられない人が生徒会長になっても格好悪いわ」
      「練習頑張ってね。それじゃあ、私生徒会に行ってくるね」

    そう言って和は倉庫を去っていった。




    297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:02:46.49
    >>296訂正
    真鍋「ちょっとあんたたち!悪だくみはよしなさい!」

    マズい!
    倉庫の入り口に真鍋さんが立っていた。

    平沢「でもでも、あたし達は学園祭に出してもらえないんでしょ?もうこうするしかないんだよ~」
    真鍋「その辺は心配しないで。全ての発表が終わったら、シークレットゲストとして最後に演奏をさせてあげるわ。
      「私の独断でね」
    平沢「え!そんなことしたら和ちゃん生徒会長になれなくなっちゃうよ!ダメだよ!」
    真鍋「良いのよ。唯。大切な幼なじみのために何もしてあげられない人が生徒会長になっても格好悪いわ」
      「練習頑張ってね。それじゃあ、私生徒会に行ってくるね」

    そう言って真鍋さんは倉庫を去っていった。




    298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:06:11.18
    学祭ライブにゲリラ出演する計画を考えなくてよくなった私達は、本番の演奏をどうするかに集中した。
    作った曲の中から良さそうなものを選んで、平沢2号に聞いてもらうことにした。第三者の意見が欲しくなったのだ。


    演奏終了

    平沢「どうだい?」
    平沢2号「?…お姉ちゃん達歌わないの?」

    忘れてた!歌詞書いてねぇ!



    299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:08:46.16
    律「参ったな。歌詞書くのって難しいんだよな」
    澪「律。私が書いてくるよ」
    律「そうか!文芸部だもんな!澪は頼りになるよ」
    澪(もう元文芸部だがな…)


    澪の自宅…

    澪(書くって言ったけど、自分の書きたいものをそのまま持って行くと、文芸部の時みたいに全否定されそうで怖い…)
     「とりあえず2つ持って行くか。好きな歌詞とそれっぽい歌詞」
     「なんかこの歌詞って前にも書いたことあるかも…」



    300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:13:33.77

    翌日…

    澪「一応持ってきたんだが…」
    平沢「すごーい!これカッコイいね!」
    澪(それっぽく書いた歌詞はまずまずだな)
    律「こっちは?」
    澪「えっと、そっちは気分で書いてみたんだけど…」
    律(うっは!相変わらず全力でファンシーしてんなww ふ、ふわふわ時間wwww)
     (…でも、文芸部でこういうのを書きたくても書けなかったみたいだし… ここでも否定されたらかわいそうだな…)
    澪「な、なに黙ってるんだよ。どうせ、変な歌詞だよ…」
    律「いや、なかなか可愛らしくて良いと思う。琴吹も見てくれ。」
    琴吹「まぁ!(ギャップが)良いですね!」ニコ
    澪(文芸部の時とは反応が違う)パァァ
    律「いや~澪は才能があるよ!」
    中野(なんだこの空気…)



    302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:14:48.40
    律「それじゃあ、さっそくそれっぽいのから行くか」

    ジャーン♪

    中野「しっくり来ますね!良いと思いますよ!これで決定!!」
    中野(多分一曲しか演奏できないから、ふわふわ時間より絶対こっちをやりたい!!)

    律「まぁちょっと待てよ。もう1つの方もやってみようぜ」
    1、2、3、4…!

    ジャーン♪

    律(う、何だかこの曲すごく懐かしい感じがする… つか泣きそうだ…何でだ?)




    304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:16:09.54

    5人とも何か話せば、すぐにでも泣いてしまう状態で、しばらく沈黙が続いた…
    みんなこの歌がどうしようもなく懐かしかった…

    律(すごく特別な歌な気がするぞ、この歌は。ただ、本番でこれを演奏して泣いたら逃げられないな…)

    結局、本番で演奏するのはそれっぽい方に決まった。



    305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:25:02.04
    本番、私達はいたずらを悪巧みするガキンチョのような表情で舞台袖に待機する。
    私達は不思議と緊張しなかった。
    律「なんか学祭ライブに初めて参加するのに、何回か参加したような感覚がするんだよな…」
    澪「そうだな。あんまり緊張しないよ。どっちかっていうと…懐かしい?」
    そう、この学祭ライブ自体なんだか懐かしいのだ。

    真鍋「以上で12組目の発表を終わります。」
      「そして、最後に軽音楽部のみなさんが演奏を行ないます。」
    生徒会役員1「え?そんなのあったっけ?」
    生徒会役員2「ま、真鍋さん?」

    真鍋さんがこちらを見る。
    真鍋「やっちゃえ!」
    楽しそうな笑顔だ!

    私達もそれに答えるような笑顔で、舞台に飛び出した!

    306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:31:31.07

    演奏が終わって、気付くと私達は拍手とアンコールの声に包まれていた。
    私達はなんだかボーっとしてしまった。
    演奏を聞いた生徒たちがどんな反応をするかなんて全く考えてなかった。

    「コラー!」
    教師達の怒声でやっと我に返った。
    琴吹「『TRITON Extreme76』!時間を稼ぎなさい!」
      「琴吹家の技術の結晶を見せつけてやりなさい!」

    TRITON Extreme76「イエス・マム!」
              「戦闘モード 起動 ヘンケイシマス」
             
    TRITON Extreme76(戦闘ver)「Come oooooON !! 」

    307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:34:40.76
    私達は作戦会議で考えに考えた経路で教師達から逃れて、音楽準備室に潜り込んだ。
    ここなら、なかなか見つかるまい。

    …ここ数ヶ月間この目的のためだけに狂いに狂った。
    達成感と充実感が頭を支配する一方、胸が空っぽになってしまった寂しさを感じていた。
    窓から見える空は晴れているのか、曇っているのかよく分からない感じだったが不思議と美しかった。

    これで終わりなんだ。後ろ盾が無く、目的も無くしてしまった非公式軽音部はもう私達を束縛してくれない。

    309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:39:10.98
    律(学祭ライブまでーとか言っちゃったけど、ずっとこいつらと居たい…)
    中野(そこらの外バンよりここのが断然楽しいなぁ。もっと続けたい…みんな同じ気持ちなら良いな…)
    澪(もう文芸部もやめたし、ここも無くなればいよいよ帰宅部か…律と一緒なら帰宅部でも楽しそうだな…)
    平沢(すっごく楽しかったな!ずっとこんなことしてたいな…)
    琴吹(はぁ、もっと女の子同士の絡みが見たいわー)



    353 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/12(日) 22:59:03.34

    山中先生「おー、居たな悪ガキども。」

    なにぃ!
    音楽準備室に山中先生がズンズンと侵入して来た。思ったより早く見つかってしまった。
    山中先生「全くあんたら大人しくなったと思ったら次はこれか…」
        「負けたよ。あんたらには負けた。こんな根性ある連中は野放しにできないわ。あなたたちを正式に軽音部にしてあげるわ。」
        「その代わり、アンコールに答えてあげてね。みんなまだ待ってるのよ?」

    私達は、山中先生の言うとおりアンコールに答えてふわふわ時間を演奏し生徒たちの前で謎の号泣をして、その後軽音部に昇格した。
    ちなみにTRITON Extreme76が大暴れしてボロボロにした講堂は琴吹グループが責任を持って修理することになった。

    356 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/12(日) 23:04:01.76


    平沢「う~ん…」
    琴吹「どうですか?」
    平沢「うまい!」
    琴吹「良かった~」
    数カ月ぶりに音楽準備室に戻ってきた私達は、琴吹の出してくれた紅茶を堪能する。
    放課後に部室で優雅に紅茶を飲むだなんて冗談みたいな光景だが、なんだかこの風景が私達の定番という感じがする。
    律「これぞ私のイメージしていた軽音楽部、だな」
    澪「何を突然言い出すんだ。」
    律「なんかこういうの憧れてたんだよ。練習そっちのけでくつろぐのをさ…」
    澪「それでも部長か!馬鹿律!」
    律「うへへ、また言われちった」

    357 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/12(日) 23:14:06.85

    そんなやりとりを見て、平沢は提案をする。
    平沢「ねぇねぇ部長。私達もう正式に同じ部員になったわけだし。」
      「下の名前で呼び合わない?」
    律「そういえばそうだな。えっと平沢の名前は…」
    唯「唯だよ!で、部長はりっちゃん!秋山さんは澪ちゃん!琴吹さんは…ムギちゃんだね!」
    律「おぉ!なんだかすごいしっくりくる!」
    澪「ゆ、唯…」
    紬「ムギ!あだ名で呼ばれるのって夢だったの~!」
    唯「で…」
     「中野ちゃんは、あずにゃんだね!猫っぽいから!」
    梓「うへーなんですかそれ…なんか嫌な気はしませんけど…」

    361 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/12(日) 23:40:28.65
    律「なぁなぁ次は何やる?」
    唯「次って?」
    律「次は次だよ。外でライブするとかさ~」
    澪「そ、外でライブか…緊張しそう…」
    梓「外でライブするなら、私たちのバンドの名前も決めないとダメですね!」
    律「そっか!まだ決めてなかったもんな!」
     「どんな名前にしようか…」
    唯律澪紬梓「うーん…」
    律「あ!思いついた!放課後にお茶飲んでるから…」
    唯「ちょっと待って!多分私も同じ名前思いついたよ!」
    澪「私も、多分…」
    紬「私もかしら~」
    梓「じゃあ、みんなでせーので言いましょうよ!」
     「せーの!」

    「放課後ティータイム!」

    363 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/12(日) 23:47:18.37

    みんなで同じことを言った。私達は同じことを考えていたのだ。
    そして、5人とも思い出す。
    唯「あ…れ?私達、なんで…」
    律「た、確か私達は学祭ライブが終わったあと、部室で話してて…」
    澪「私は1年生のころから軽音楽部に居たはずだ!なんで文芸部に…?」
     「…ここはどこだ…」
    唯「そっか…分かったよ。私がりっちゃんに『もし私たちがいなくなってもまた集めてくれるよね?』って言ったから」
     「本当にりっちゃんは探してくれたんだね…!」
     「ありがとう…りっちゃん…」ボロボロ
    律「泣くなよ~。全く、当たり前だろ?なんてったって」
     「なんてったって私は部長だからな…」
    困ったような笑顔で部長は言う。
    部員たちが泣きながら部長に抱きつく。
    嬉しいのかった辛かったのか、いろんな感情がごちゃまぜになって涙が溢れる。
    お互いに抱きしめあう5人を包みこむようにあたりが光に飲まれていく。
    そして…

    364 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/12(日) 23:49:24.54
    唯「…」
    「ッハ!」
    「…」キョロキョロ

    唯「みんなー、起きてー!」バンバン

    律「んお?」
    澪「…ん」
    梓「ふあぁ…げっもう下校時間近いですよ…」
    紬「…おはようございます」
    みんなが唯の声に起きる。眠そうな4人とは反対に唯は興奮している。

    唯「ねぇねぇ!りっちゃん私変な夢見たよ!」
    律「あぁ…私はすげーダルい夢見たな…」
    梓「私は幸せな夢を見ましたね。みんなが真面目に練習してました。」
    紬「私の夢ではキーボードさんが大暴れしてしましたわ。キーボードさんが話すなんておかしいわね、ふふ」

    365 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/12(日) 23:50:29.73
    澪「…律!」
    突然澪が律に抱きつく
    律「ど、どうした?」
    澪「あのな、律… もしもな… 私たちがケンカしてもな… すぐに仲直り…しような?」
    澪は涙目で律に訴える
    律「分かった分かった!だから離れろよ恥ずかしい…」
    澪「やだ!律と離れたくない!」キ゛ュ
    唯「おぉ~、ラブラブだねぇ」
    紬「あらあら~」ボタボタ
    梓「ちょ!鼻血が!」

    367 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/12(日) 23:52:37.91

    あ~、全く騒がしい部だな。まぁ私はそんな部の部長なんだけどな。
    私は田井中律、桜ヶ丘高等学校の2年生で軽音楽部の部長だ。
    軽音楽部で結成したバンド「放課後ティータイム」で毎日楽しくやっている。
    このメンバーは本当に最高だ。もし一人でも居なくなれば、私は全力で探し出すだろう。
    だってそうだろ?なんってたって私は、軽音楽部の部長なんだからな。

    373 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 投稿日:2010/09/13(月) 00:04:45.96
    律「みんなー帰ろうぜー」
    紬「はーい」
    唯「まってー」タタタ

    ……
    下校時間を過ぎ、更に時が経った真っ暗な校内に人影は無い。
    パッ
    暗い音楽準備室に青い光が浮かぶ。
    紬のキーボードTRITON Extreme76の光だ。
    ユラ
    青い光が激しく揺れ動く
    『こちらTRITON Extreme76 作戦コード0912、睡眠型平行世界システムを使用した試験の結果、
    桜ヶ丘高等学校軽音楽部は琴吹紬の育成に適と判断。詳細なデータは後日暗号処理を施し本部へ転送。
    この報告をもって作戦コード0912の状況を終了する。以降TRITON Extreme76は通常の護衛任務に移行する。以上、連絡終わり。』

    青い光の揺れは波のように穏やかになる。

    (……紬お嬢様、桜ヶ丘高等学校軽音楽部はとても良いところですね。)
    (私の分析結果が正しければ、あなたはこれから卒業までに笑い、泣き、色々な経験をして楽しい学園生活を送ることができるでしょう。)

    『システム タイキモード ヘ イコウチュウ…8、7、6、』
    (紬お嬢様の青春に幸あれ…)
    『…2、1、 …タイキモード イコウカンリョウ』


    …青い光は揺れを止めると少し間を置いて、消えた。


    終わり。

    コメントを書き込む コメントを読む(3) [けいおん!SS] ブログランキングへ 人気ブログランキングへ このSSをはてなブックマークに追加


関連?商品

過去の名作たち

律「眠い……ねむいねむいねむい~!!」
澪「唯はお行儀が悪いなぁ。ほら、なめてあげる」ぺろっ
梓「ひざまくらしてください」律「……な、なんだって?」
  1. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/06(月) 17:47:37 URL [ 編集 ]
    これもいい話だった
  2. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/03/23(水) 00:55:44 URL [ 編集 ]
    これは力作
    ギャグのセンスもいい
  3. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/03/23(水) 09:10:22 URL [ 編集 ]
    いやうんこだろ

コメントの投稿(コメント本文以外は省略可能)




管理者にだけ表示を許可する

<<両津「けいおん!」 | トップページ | 梓「夏祭り」>>
テンプレート: 2ちゃんねるスタイル / 素材サイト: 無料テンプレート素材.com / インスパイヤ元:2ch.net /
これより下はないよ・・・
消費者金融比較
キャッシングローン
消費者金融 利息
ブログパーツ

ギャルと女子高生

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。