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憂「学園祭」

  1. 名前: 管理人 2010/09/14(火) 14:56:08
    1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:52:09.35
    憂達が高校三年生になって、早数ヶ月――――……

    昼休み   教室

    憂「梓ちゃんって、今年はライブやるの? 学園祭で」

    梓「まさか。軽音部もつぶれたしね」

    憂「そっか、そうだよね……」

    梓「学園祭まで、あと二週間くらいかな?」


    2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:53:15.50
    憂「うん」

    純「何の話?」

    憂「梓ちゃんが、学園祭でライブやるかって話だよ」

    純「へ? 梓やるの?」

    梓「やらないよ。受験勉強で忙しいしね」

    純「なーんだ。やらないのか」

    3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:53:54.11
    梓「純だって、受験あるんだから。頑張んなさいよ」

    純「わかってるけどさー」

    梓「わかってるなら、やった方がいいわよ。あとで浪人しても遅いんだし」

    純「うーん、それはそうなんだけどさ」

    純「文化祭も最後なわけじゃん?」

    純「もっとはっちゃけたいって言うか」

    4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:54:35.17
    憂「私も、かな。思い出くらい作っておきたいし……」

    純「あ、そうだ! 私達三人でバンドやらない?」

    梓「え?」

    純「私はベース、梓はギター、憂は……何やりたい?」

    憂「うーん、ギターなら出来るけど……」

    梓「ギター二人いてもねぇ」

    5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:55:17.78
    憂「あ、キーボードなら!」

    純「じゃあ、憂はキーボード! 完璧じゃん!」

    梓「ま、待ってよ! マジでやる気?」

    純「もちろん!」

    梓「で、でも勉強が……」

    純「ねえ、梓。友達と勉強、どっちが大事?」

    6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:55:59.34
    梓「……その質問は卑怯だよ」

    純「勉強なんて、いつでも出来るでしょ? でも文化祭は今しかないわけで」

    梓「まあ、そうだけど」

    純「ね? だからやろうよ、バンド! 私たち三人でさ!」

    梓「でも、今からじゃ体育館の使用届けとか……」

    純「飛び入り参加OKじゃん!」

    7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:56:46.65
    憂「今からでも学園祭でライブ出来るってこと?」

    純「そういうこと!」

    梓「でも、練習してないし……」

    純「大丈夫! ある程度は指が覚えてるでしょ!」

    梓「そ、そうだけど……」

    純「けど?」

    8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:57:26.07
    梓「……わかったわよ! やるわよ! バンド!」

    純「始めっからそういえばいいのにー」

    梓「で? 何の曲弾くの?」

    純「うわぁ、早速やる気」

    梓「やるんだったら、早めに取り組んだ方がいいでしょ」

    純「まあね」

    9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:57:58.53
    梓「で。何の曲やるのよ」

    純「うーん、あ! 『U&I』は?」

    梓「唯先輩が作った?」

    純「うん。そう!」

    梓「まあ、いいかもね」

    純「あれ? 歌詞ある?」

    10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:58:33.86
    梓「歌詞は……憂、ある?」

    憂「うん。お姉ちゃんからもらったんだ、歌詞のコピー」

    梓「よかった~」

    純「これで、演奏する曲は決まったね」

    梓「他に決めることは?」

    純(梓、意外とノリノリ?)

    11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:59:12.16
    憂「あとは……生徒会に参加届け出すくらいかな?」

    梓「じゃあ、私が出してくるよ!」

    憂「えーと、職員室行ったら参加届けの紙がもらえるから、それにメンバー名とか記入して……」

    梓「行ってくる!」

    梓は教室から出て行った。

    12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:59:47.49
    純「お昼休み終わるまでに帰ってくるかなぁ?」

    憂「さあ、どうだろ」

    純「意外とやる気出てるよね、梓」

    憂「ライブ、やりたかったんだね」

    純「うん。軽音部もなくなって、暇そうにしてたからね」

    憂「今回のライブ成功させてさ、梓ちゃんを喜ばせようよ!」

    純「――うん。頑張ろうね」

    13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:00:40.74
    梓「ただいま~」

    純憂「はやっ」

    梓「なんかすんなりOKされたよ」

    憂「へえー」

    梓「三年生は優先的に参加できるみたい」

    純「ああー、だからか」

    14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:01:30.18
    梓「うん。あ、あとバンド名なんだけど。勝手に決めたから」

    純「なににしたの?」

    梓「昼時ランチタイム」

    純憂「………………」

    梓「え? なんか変?」

    純「いや、変じゃないけど……ナンセンス?」

    15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:02:22.62
    梓「で、でも、ぴゅあ☆ぴゅあ、とか、ハニースィートティータイム、とかよりは良くない?」

    憂「ま、まあ……」

    梓「ば、バンド名くらいいいじゃん! 名前なんて飾りで、演奏が大事なんだよ! ね?」

    純「まあ、そうだけどね」

    梓「でしょ? 演奏頑張ろうよ!」

    純「うん、まあ、そうだね! 頑張ろうか!」

    16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:02:59.59
    憂「だね!」

    梓「あれ? 私達どこで練習するの?」

    純「音楽室は?」

    梓「うーん、あそこは器楽部にのっとられたんだよねー」

    純「ジャズ研部室、使う?」

    梓「え、いいの?」

    17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:03:46.79
    純「うん。多分使わせてもらえると思うよ」

    梓「今日の放課後から?」

    純「うん。あ、でも楽器持ってきてないじゃん」

    梓「あー、そうだった。じゃあ、明日からかな。練習」

    純「うん。そうしよっか」

    18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:04:18.34
    ****************************************

    翌日

    放課後     ジャズ研部室

    純「と、いうわけでここ使わせてもらうぞ」

    二年「あ、どうぞ……」

    純「あ、気にしないで練習続けてて。ほら、梓、端っこの方使うぞ」

    梓「あ、うん」

    19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:05:29.91
    憂(なんか純ちゃんが格好よくみえるよう!)

    純「じゃ、はじめよう」

    梓「うん」

    純「えーと、あ、忘れてた」

    梓「何を?」

    純「ボーカル」

    21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:06:04.11
    梓「あ! 誰やるの?」

    純「梓やってみる?」

    梓「わ、私声には自信がないな」

    純「私も。……憂、やってみない?」

    憂「え? 私?」

    梓「うん、いいね。憂ならきっとうまく歌えるよ」

    22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:06:35.76
    憂「うーん、じゃあ……やってみようかな」

    梓「ありがとう! よし、これでボーカルも決まったし、完璧じゃん?」

    純「あとは練習するだけだね」

    梓「うん。練習頑張ろう! おー!」

    純憂「おー!」

    二年一同(うるさいなぁ……)


    23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:07:23.07
    数時間後

    梓「今日はここまでにしようか?」

    純「うん。そうだね」

    憂「ジャズ研の子達、皆帰っちゃったしね」

    純「本当だ。あー、鍵取りに行かないと」

    梓「え? 何で?」

    純「最後に部室を出た人が鍵を閉めることになってるんだよね、ここ」

    24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:07:57.27
    梓「ふーん」

    純「じゃ、私取りに行ってくるから」

    梓「んー」

    純はジャズ研部室から出て行った。

    梓「いやー、ギター弾くの久々だけど、思いのほかうまく出来たよ」

    憂「私のキーボード、どうだった?」

    25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:09:50.32
    梓「かなりうまいよ。ぶっつけ本番でもいけるんじゃない?」

    憂「えへへ」

    梓「あーあ、あと一人入ってくれれば、軽音部も廃部にならなくてすんだのにな」

    憂「うん……私と純ちゃんが入っても、あと一人足りなかったもんね」

    梓「うん。残念だったなぁ」

    憂「…………」

    26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:10:43.10
    梓「ま、でもさ。まだ軽音部があったら、こうやって三人でライブする機会なんてなかったわけだから」

    憂「そうだね」

    梓「こうやって、高校最後の文化祭で、親友とライブやるってのもいいと思うんだ」

    憂「……だね」

    純「お待たせ」

    梓「あ、早いね」

    29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:11:42.18
    純「そう? まあいいや。帰ろう」

    憂「ちょっと外、暗いね」

    梓「あれ? 鍵はどうするの?」

    純「刺したままでいいって」

    梓「無用心だね」

    純「まあまあ」

    ガチャリ

    純「よし、帰ろっか」

    30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:12:40.68
    ****************************************

    翌日からも、梓たちの練習は行われた。

    そして、土曜日

    梓「今日は学校もあいてないし……どこで練習しようか?」

    憂「うーん。私もキーボードないしなぁ」

    純「梓、家にキーボードあったりしない?」

    梓「あるわけないでしょ」

    純「だよね……」

    31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:13:19.73
    憂「じゃあさ、今日は思い切って遊ばない?」

    梓「あ、いいね。昨日まで必死に練習してたんだから、今日くらいはいいよね」

    純「うん。遊ぼう!」

    憂「どこ行こうか?」

    梓「あ、この前出来た水族館は?」

    純「いいね。そこにしようか」

    ****************************************

    33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:14:01.20
    水族館

    純「こうやって、友達と水族館行くのって初めてだなぁ」

    梓「うん。修学旅行とかでしか行かないからね。水族館って」

    純「なんか、幻想的な雰囲気だね」

    憂「だね」

    梓「あ、亀……トンちゃんみたい」

    35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:15:09.53
    憂「そういえば、トンちゃんってどうしたの?」

    梓「紬先輩がひきとってくれてる」

    純「あ、私向こうのエイがいるとこ行ってるね」

    梓「迷子にならないでね」

    純「まさか。子供じゃないんだから」

    憂「じゃあ、私は熱帯魚のところ行くね」

    36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:15:56.23
    梓「うん、いってらー」

    憂は熱帯魚のスペースに、純はエイやマンタのスペースに向かった。

    梓(一人になっちゃったな)

    梓(たまにはいいかもね、一人で水族館歩くの)

    水族館の中は薄暗く、水槽から放たれる光だけが眩しかった。

    38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:16:34.08
    梓(あ、クラゲ……)

    藻のように漂うその姿に、梓は眼を奪われた。

    梓(……可愛い)

    梓(…………よく考えたら、クラゲをこうやって、まじまじ見るの初めてだなあ)

    クラゲのいる水槽だけは、闇のように暗かった。

    代わりに青白い光輝を、クラゲ自身が発していた。

    39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:17:24.16
    梓(何だかとても、神秘的……)

    何分経っただろう。

    純「あーずさっ!」

    梓「うひゃうっ!」

    梓「な、何だ純か。びっくりさせないでよ」

    純「いや、何度呼んでも反応なかったんだ」

    梓「え? 何度も呼んだ?」

    梓「うん。とりつかれたように見入ってたよ」

    40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:17:59.92
    梓「そ、そう……」

    純「でもまあ、梓が目を引かれるのも無理はないかもね」

    梓「でしょ? こんなに綺麗なんだよ」

    純「うん。クラゲって思ったより綺麗だね」

    梓「うん――」

    41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:18:32.46
    純「何かの本で読んだんだけどさ。ベニクラゲって死なないらしいよ」

    梓「へえ、そんなクラゲいるんだ」

    純「うん。死ねないクラゲなんだって」

    梓「死ねない、か」

    純「可愛そうだよね。死にたくても死ねないなんて」

    梓「かもね」

    43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:19:03.90
    純「――ねえ、もし私が死んだらさ、泣いてくれる?」

    梓「何? いきなり」

    純「何となく、感傷的になったんだよ」

    梓「そういうのは感傷的って言うの?」

    純「私の中では言うよ。それで、梓は泣いてくれる? 私が死んだら」

    梓「純が死んだってわかったら、私は泣くでしょうね。だから誰にも知られずに死んでね、そのときは」

    純「そんな死に方あるの?」

    梓「死なないでって言ってるんだよ」

    44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:20:42.48
    純「……そっか」

    梓「それにしても、クラゲって見ていても飽きないね」

    純「だね」

    梓「ねえ、純」

    純「ん?」

    45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:21:48.87
    梓「今回のライブ、成功させようね」

    純「うん」

    梓「怒涛の拍手もらえるようなさ、演奏しようよ」

    純「うん」

    梓「ずーっと記憶に残るようなさ、そんなライブにしようね」

    純「うん」

    梓「ライブ終わったらさ、最高だったねーって笑えるようにさ」

    純「うん――絶対」

    47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:22:27.48
    梓「私、嬉しくて泣くかもしれないけど、その時はよろしくね」

    純「そのときは、梓の涙拭いてあげるよ」

    梓「純も泣いてるんじゃない?」

    純「かもね」

    憂「あ、ここにいたんだ。梓ちゃんたち」

    梓「憂。もう見終わったの?」

    48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:23:17.95
    憂「うん。あ、クラゲ?」

    梓「うん。クラゲ」

    憂「綺麗だね、宝石みたいに輝いて」

    梓「でしょ」

    憂「ああ、何かロマンティック」

    49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:24:06.90
    梓「わかる、現実味がなくなるよね」

    憂「うん」

    三人はクラゲの水槽を見やる。

    一緒に仲良く並びながら。

    50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:24:55.04
    月曜日

    梓「来週だよね、学園祭」

    純「うん。もう時間もないし、頑張って練習しよう!」

    憂「だね! 頑張るぞー!」

    純憂梓「おー!」

    ジャズ研部員(やかましいなぁ……)

    52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:25:41.01
    火曜日

    純「昨日は全部出来なかったね」

    梓「うん。だから今日は通してやってみようか」

    憂「それがいいね」

    純「よーっし、1、2、1、2、3、4!」

    53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:26:13.98
    水曜日

    梓「あー、日に日に胃が痛くなるなぁ」

    憂「緊張しちゃうね、どうも」

    純「不安だよね、いくら練習しても」

    憂「うん。成功させたいね」

    梓「だね。今日も練習頑張ろう!」

    54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:27:10.65
    木曜日

    憂「あとすこし!」

    梓「ああー! どきどきする!」

    純「もう、勉強なんか手につかないよー」

    梓「うん。受験生なのにね」

    純「ま、学園祭終わったら頑張ればいいよ! それまでは目下、ライブのことだけ考えよう!」

    憂「うん!」

    55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:27:59.42
    金曜日

    梓「いよいよ来週だね」

    憂「うん。私達がやれることはやったし、――成功するよ」

    純「うん。絶対ね」

    梓「じゃあ、今日は最後の確認程度に練習しよっか」

    憂「だね。変に根詰めて、体調崩してもなんだしね」

    56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:28:47.54
    そして――文化祭当日

    舞台裏

    純(どうしよう……かなり緊張してる)

    純(心臓もバクバクしてるし、手もかなり汗かいてる)

    純「憂、緊張するね」

    憂「うん、かなり」

    57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:29:27.92
    純「いやー、トチらないか心配だよ」

    憂「だよね」

    梓「な、なーに辛気く、臭い顔してるの」

    純「梓は平気なの?」

    梓「も、もちろガッ ……舌噛んだ」

    純「やっぱ緊張してるのね」

    58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:29:57.72
    梓「……うん。そりゃあね」

    純「緊張しない方がおかしいよね」

    梓「でも、純たちがいるから、すこし心強いかな」

    純「え?」

    梓「すこしだけどね。すこし」

    純「……正直じゃないなあ。かなりって言えばいいのに」

    梓「個人の感覚よ」

    純「確かに」

    60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:30:50.57
    アナウンス『それでは、昼時ランチタイムの……』

    純「始まるね」

    梓「いよいよだね」

    憂「絶対、成功させようね」

    純梓「――うん」

    そして、舞台の幕が開いた。

    61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:31:46.78
    幾百の視線は、総てステージにいる三人に向けられていた。

    期待と好奇の入り混じった視線を、三人は感じていた。

    憂「あ、皆さん、こんにちわー!」

    憂がMCを始める。

    憂「えーと、私達は……」

    63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:32:22.72
    憂のMCが、体育館にいる全員の耳に響く。

    衆人環視に晒されながらも、憂の声は震えることなく轟く。

    そして、憂のMCが終わると同時、体育館内の静寂が強まり――。

    憂「それじゃあ聞いてください! 『U&I』!!」

    ――演奏が始まった。

    その激しい旋律は、或いは聖歌の様でもあった。

    64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:33:55.60
    ”君がいないと何も出来ないよ
     君のご飯が食べたいよ

     もし君が帰ってきたら

     とびっきりの笑顔で
           抱き着くよ”  

    客席が沸き立つ。

    梓のギターが激しさを増す。

    65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:35:52.21
    ”君がいないと謝れないよ
     君の声が聞きたいよ
     君の笑顔が見れれば

     それだけでいいんだよ

     君がそばにいるだけで
     いつも勇気もらってた
     いつまででも
     一緒にいたい
     この気持ちを伝えたいよ ”

    歓喜と驚喜と声援が、客席から聞こえる。

    スポットライトを浴びた三人の演奏は続く。

    66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:38:19.59
    ”晴れの日にも雨の日も
     きみはそばにいてくれた

     目を閉じれば
     君の笑顔
     輝いてる

     君がいないと何もわからないよ
     砂糖と醤油はどこだっけ
     もし君が帰ってきたら
     びっくりさせようと思ったのにな”

    天上の天歌のような歌声が、その滑らかな韻律が、体育館にいる人々の心を奪う。

    67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:40:12.33
    歌詞は続く。

    客席にいるしべ手の人が圧倒され、感動に震える。

    優雅なメロディが、人の魂を飲み込む。

    高揚が伝わってくる。

    興奮が伝わってくる。

    69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:41:24.32
                  ” 思いよ

                   届け    ”

    憂「ありがとう――っ!!!」

    憂の科白が終わった瞬間

    体育館を吹き飛ばすほどの拍手の豪雨が、三人に浴びせられた。

    少しばかり眩しいスポットライトの中で、

    憂達は静かな達成感をおぼえていた。
                                   and more…

    70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:42:03.84
    エピローグ       祭りの後に

    憂「学園祭、終わっちゃったね」

    三人はジャズ研部室にいた。

    三人以外誰もいないそこは、いやに静かだった。

    純「うん。終わっちゃった……」

    71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:42:42.25
    梓「……虚無感がひどいね」

    純「心にぽっかり穴が開いたみたい」

    梓「陳腐な表現だね」

    純「でも、本当にそんな感じ」

    純「好きなドラマが終わっちゃったときよりも寂しい感じ」

    憂「……これで、最後だもんね」

    72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:43:48.30
    梓「……うん」

    純「泣いても笑っても、最後、か」

    梓「……おかしいな、泣きそうだよ」

    純「もう泣いてるじゃん。梓」

    梓「そういう純こそ、泣いてるよ?」

    73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:44:30.18
    純「え? 本当?」

    純は目元をぬぐう。

    純「本当だ……泣いてる」

    憂「あはは、純ちゃん泣き虫だな~」

    純「……憂もね」

    三人全員の声は、震えていた。

    74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:45:05.91
    梓「――成功したよね? ライブ」

    純「うん。した」

    憂「大成功だよ」

    梓「楽しかったよね? ライブ」

    憂「うん」

    純「楽しかったね」

    75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:46:02.84
    梓「また……出来るかな?」

    純「…………」

    憂「…………」

    純「……出来るよ、きっと」

    梓「いつ?」

    純「大学行ったらさ、また、皆で出来るよ」

    梓「その時は――」

    純「もちろん、唯先輩達と一緒にさ」

    76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:46:55.38
    梓「……よかった」

    純「ねえ。笑おうよ」

    梓「え?」

    純「だって、泣いてばっかじゃつまらないよ。笑おう」

    梓「……うん」

    憂「そうだね」

    77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:47:46.59
    純「ほら、皆もっとスマイルスマイル!」

    梓「こう、かな?」

    純「そうそう、いい笑顔!」

    梓「私、ちゃんと笑えてる?」

    純「うん。あ、でも待ってね」

    梓「え?」

    78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:48:32.42
    梓がきょとんとしていると、純がハンカチを取出して、梓の目をこしこしと拭いた。

    純「笑顔に涙は似合わないよ」

    梓「そう、だね」

    純「ほら、憂も笑って!」

    憂「う、うん」

    純「――うん。やっぱ皆、笑顔の方がいいよ!」

    79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:49:17.00
    梓「笑顔浮かべてると、何だか自然に楽しくなってくるね」

    純「うん。楽しくなってくるんじゃなくて、楽しいんだよ」

    梓「だね」

    純「ねえ、皆。打ち上げ行かない?」

    梓「え?」

    純「今日のライブの打ち上げ。ね?」

    80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:50:01.13
    憂「いいね。カラオケにする?」

    純「うん。食べて飲んで歌って、遊ぼうよ!!」

    梓「そうしよっか」

    純「決まりね! じゃあ、行こう!」

    憂梓「うん!」

    いつかまた、ライブを三人で出来るよう、今日という日を忘れないでおこう。

    口には出さずとも、誰もがそう思っていた。
                                                fin

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律「・・・なんだよ澪、こっち来るなよ。こっちは私達の陣地だぞー」
いちご「…あずにゃん」梓「!?」
和「そういえば、講堂の使用届的なものの提出がまだなのよ」
  1. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/09/15(水) 01:37:07 URL [ 編集 ]
    良作品

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