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過去の名作たち

  1. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/08/08(日) 00:38:13 URL [ 編集 ]
    すごい面白いけどスレタイがイミフ

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憂「ひき潮の証明」

  1. 名前: 管理人 2010/08/07(土) 13:11:59
    1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 22:59:48.68
    書き溜め済み(投下が止まった時は規制)・約60レス・若干シリアス系です。
    テンプレ気味のストーリー展開ですが、2作目にして恐らく最後のSSなので、大目に見ていただければ幸いです。


    2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:01:53.60
    「もう、お姉ちゃんったら…。」

    小さな呟きが口から漏れた。

    思わず周りを見回して誰もいないことを確認すると、今度は意識して口に出してみる。

    「…部室まで届けに行こうかな。」

    手にした音楽の教科書には、丁寧な字で『平沢唯』と名前が書かれている。

    でも、お姉ちゃんの筆跡ではない。だって、落とし物なんてしないと言い張るお姉ちゃんの代わりに、私が書いたんだもの。

    やっぱり名前書いておいて良かったね。

    音楽室への階段を登りながら、教科書を渡す時のお姉ちゃんの反応を想像すると、ふっと笑みが浮かんだ。

    3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:05:16.55

    「失礼しまーす。お姉ちゃん、いる?」

    「あ、ういー! どうしたの?」

    軽音部の皆に囲まれながら、今日もお姉ちゃんは満面の笑顔で迎えてくれる。

    「お姉ちゃん、教科書の落し物だよ。」

    「ええー! 私が落し物なんて、奇跡だよ!」

    「奇跡じゃなくて必然だよ…。」

    思わずツッコミを入れたら、その笑顔はさらに輝いた。

    今日も楽しそうだね。そう言いながら教科書を渡すと、お姉ちゃんの顔が一転して反省の色に染まる。

    「う、うい…。怒らない…?」

    「いいよ、お姉ちゃん。今度からは気を付けてね?」

    「う、うん! ありがとう!」

    別に怒ったりしないよ、厳しく注意はするけどね!

    そんな私の言葉に、部屋に流れる空気がまた一段と温かくなった。

    5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:08:20.93

    あ、あずにゃんそれでね…と、お姉ちゃんは梓ちゃんと教科書を囲んで何やら相談し始める。

    それを横目で見ながら、とりあえず椅子に腰掛けた。

    「ね、憂ちゃん。ケーキ食べていかない? 一つ余っちゃったの。」

    目の前にケーキを置かれる。顔を上げると、紬さんの穏やかな笑顔。

    甘い紅茶の香りが心地良い。昼にお弁当を食べたけれど、やっぱりケーキは別腹…。

    「じゃ、じゃあお言葉に甘えて…。いただきます。」

    もぐもぐ。…美味しい。

    「あ、憂! 口の周りにクリーム付いてるよ。…やっぱり姉妹だね。」

    梓ちゃんに指摘されて顔が熱くなるが、お姉ちゃんと似ていると言われて、むしろ嬉しい気もする。

    「えへへ。あ、でも梓ちゃんもクリーム付いてるよ。」

    「え、嘘っ?」

    「…嘘。」

    「もー!」

    6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:11:24.57
    梓ちゃんの膨れっ面を眺めていると、お姉ちゃんの気持ちが少し分かる気がするな。

    すると、お姉ちゃんも同じように膨れっ面を見て、目を輝かせた。

    「あずにゃーん!」

    「むぐぐ…。もう、抱きつかないで下さいよ。」

    「いいじゃん、減るもんじゃないしー。」

    微笑ましいという形容はこの2人のためにあるんだろう。そう思った時、

    「…さっきの話だけどさ、」

    と澪さんが口を開いた。

    「『私の恋はホッチキス』のボーカル、やっぱ唯と梓でやらない? 私はベースに専念したいんだ。」

    「い、いやでも私、歌はかなり苦手だしギターだけで精一杯なんですが…。」

    「いいじゃん、減るもんじゃないしー。」

    言い淀む梓ちゃんに、お姉ちゃんが追撃をかける。ここは私も…、

    「そうだよ梓ちゃん、来年は部長さんなんだから、ボーカルくらいやっとかないと!」

    う、憂…。と目を潤ませる梓ちゃんに、律さんと紬さんがダメ押しした。

    「梓、やっちゃえやっちゃえ!」
    「そうよ梓ちゃん、頑張って!」

    8 名前:三点リーダの使い方は今後もルールを守ってないです、すみません[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:15:35.56

    「う…。もう、分かりましたよ。じゃあ今日から歌の方も練習しておきます…。」

    梓ちゃん陥落。頑張ってね、応援してるよ。

    「じゃあ決まりだね! あずにゃんよろしく!」

    「は、はいっ!」

    あれ…?

    「梓ちゃん、『やってやるです!』じゃないの?」

    「憂…。憂だけは信じてたのに…。」

    何を?と聞き返そうとしたら、突如お姉ちゃんに、

    「私、トイレ行ってくる!」

    と高らかに宣言され、遮られてしまった。

    はしたないよ、と注意しようと思ったら、

    「あ、私もです…。」

    梓ちゃんまで…。

    10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:17:58.88

    …すぐ戻るから!という言葉を残し、2人はドアの向こうへ消えていった。

    「すみません…。お姉ちゃん、はしたない…。」

    「いやいや、気にしてないよ。」

    優しい笑顔で、律さんがフォローを入れてくれる。

    「ほんとお姉ちゃ」

    ―――ドン!

    ん?

    鈍い音がドアの外から聞こえた。そして、何だろうと思う間もなく、

    「ゆ、唯先輩っ! 唯先輩っ!」

    悲痛な叫びが響いてくる。

    ついさっきまで穏やかな心音を奏でていた心臓が、激しく警鐘を打ち鳴らし始める。

    誰もが言葉を失い静止してしまった時間の中で、私は真っ先に部室を飛び出した。

    12 名前:トラックくらいしか他に思い付かなかったのでごめんなさい[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:20:25.81

    …この光景は、きっともう一生忘れないだろう。

    階段に目を走らせて最初に視界に入ったのは、梓ちゃん。階段中ほどの手すりに縋り付いている。

    そして…、

    「お、お姉ちゃんっ!」

    茫然自失で動かない親友の脇を駆け抜け、階段下の踊り場に倒れている大切な人を抱きかかえた。

    「お姉ちゃんっ! 大丈夫っ!? ケガは!?」

    「う……、うい……?」

    お姉ちゃんの頭を支える手が緋色に染まるのを見て、全身を悪寒が走り抜ける。

    目に涙を浮かべた必死な顔が、お姉ちゃんの2つの瞳に映っていた。



    「……唯先輩っ!」

    でも、梓ちゃんが駆け寄ってきた時には、もうお姉ちゃんは私に応えてくれなかった。

    その瞼は閉ざされ、私を映していた瞳も隠されてしまう。

    「お、お姉ちゃんっ!」

    13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:23:00.45

    ――――――――――――――――――――――

    あの後、紬さん達が救急車を呼んでくれて、お姉ちゃんは病院に運び込まれた。

    そして今、集中治療室の扉の上に光る『手術中』の赤いランプを見つめ続け、もう2時間が過ぎようとしている。

    危急を聞いて駆けつけた両親も、ベンチに腰掛け、私と同じようにランプを見つめていた。

    …張り詰めた緊張感を反映するかのように、鉛のような重い沈黙が続いている。

    付添って来てくれた軽音部の皆は、もう涙を堪え切れずに肩を震わせていた。

    でもそんな中で、梓ちゃんだけが恐ろしいくらい無表情。

    「梓ちゃん。…お姉ちゃん、きっと大丈夫だよ。」

    そう声をかけてみても、うん…、と虚ろに返事をするだけだった。

    15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:26:00.39

    …部室でケーキを食べていたあの時から、もう何時間経ったんだろう。そんな疑問がぼんやり湧いた時、

    「…みんな、もう夜遅いから帰りなさい。」

    お父さんの言葉が沈黙を破った。

    「いえ…。私たちは大丈夫です。」

    「ありがとう。でもそろそろ帰らないと、親御さんも心配するよ。」

    律さん達は渋ったが、お父さんの声の中に、娘だけでなくこの場の皆を気遣う響きを聞いて、皆はようやく重い腰を上げた。

    「…分かりました。」

    「また明日来ます…。」

    思い思いの別れ言葉を口にして、みんなエレベーターホールの方へ行ってしまう。

    4人の背中を見つめていると、お姉ちゃんを見守る力が半減してしまったような、そんな寂しさに囚われた。

    17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:29:00.68

    「憂、あなたももう帰りなさい。明日学校あるでしょ。お母さん達が残ってるから。」

    「…嫌だ。」

    お母さんの言葉に対し、小声でぽつりと反論した。もしかしたら生まれて初めてかも知れない、親への反抗。

    「…憂、帰るのよ。後でちゃんと連絡するから。」

    「やだっ!!」

    今度は、声を抑えたりしなかった。

    でもお母さんは、私の大声に全く怯まない。

    「病院なんだから静かにして。唯は大丈夫だから、憂は帰りなさい。」

    …私が駄々をこねても、お姉ちゃんが助かる確率が上がるわけじゃない。

    それでも、お姉ちゃんのそばを離れたくなかった。

    扉一枚隔てているのも、もどかしいくらいなのに。

    19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:32:00.21

    …もう一度、拒否の言葉を繰り返そうとした時、私と両親との間の空気に割って入るように、ふっと赤いランプが消えた。

    とっさに集中治療室に目をやるが、なかなか扉は開かれない。

    お姉ちゃん…。

    扉の向こうで待っているはずの大切な人の無事を願って、祈りの形に手を組んだ。

    …神様なんて、いるかどうか私には分からない。

    それでも、お姉ちゃんを想う気持ちが運命を好転させる力に昇華されると信じ、全身全霊を込めて無事を願った。

    20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:34:00.15

    …ものの10秒程度だったのかも知れないが、私にとっては永遠とも思える時間が過ぎた後。

    ようやく扉が開かれ、白衣を纏った医者が、ゆっくりと歩み寄ってきた。

    「…! お姉ちゃんはっ!?」



    「一命は、取り留めました。」

    …良かった。本当に良かった。…張り裂ける寸前だった胸をほっと撫で下ろす。

    けれど、そんな一瞬の安堵に気付くこともなく、医者は無情な真実を語り続けた。

    「…ご家族の方ですね? 落ち着いて聞いて下さい。」

    …え?

    「唯さんは、…もう、意識が戻らないかも知れません。」

    次の瞬間、視界が暗闇に閉ざされる。

    「う、憂!?」

    お母さんの手に背中を支えられた感触を最後に、今までかろうじて保っていた意識が、ぷつん、と途切れてしまった。

    22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:37:00.05

    ――――――――――――――――――――――

    うっすらと瞼を開けると、普段から見慣れている天井が、いつもと同じように視界に入る。

    目だけ動かして枕元の時計を見ると、針は午前7時ちょうどを指していた。

    ああ…、あれは夢だったんだ。絶対そうだよ。

    「…あ、起きた? 大丈夫かしら? ちょっと話があるから、まず顔洗ってらっしゃい。」

    お母さんの声が耳に入る。…仕事で出張だったはず。どうして家に、それも私の部屋にいるんだろう?

    この疑問に対する答えを得るのが怖くなって、再び目を硬く閉じた。

    「憂? まだ寝てるの?」

    でも、お母さんの声に記憶の回復を強制される。まず思い出してしまったのは、部室を飛び出した時の階段での光景。

    一つの記憶はもう一つの記憶を蘇らせ、私の意思とは無関係に、それは最後まで連鎖した。

    …向き合うべき現実から逃避を続けても、何も得られないことは分かっているつもりだ。

    だから、真実を正面から受け止める勇気を胸に込め、…意を決してベッドから起き上がった。

    23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:40:00.18

    「お母さん、おはよう。」

    「…おはよう。顔洗ってらっしゃい。」

    「お姉ちゃんは?」

    「…憂。まずは、」

    「お姉ちゃんは?」

    「……。」

    「ねえ、お姉ちゃんは?」

    私の執拗な問いに諦めたのか、お母さんは重い口を開いた。

    「唯はね。…意識が戻らないままかも知れないって。」

    24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:43:06.94

    …医者から一度聞かされていたけれど、心はまだそれを真実として受け容れようとしていない。

    けれども、私の耳がお母さんの声に潜んでいた諦観の響きを聞き取ってしまい、その事実は、確かな真実性をもって心を深く深く抉った。

    暗転した日常は過去の明るさを際立たせる。お姉ちゃんとの楽しい思い出が走馬灯のようによぎった。

    でも、そんな幸せな走馬灯を見続けたくても、すぐに冷酷な現実に引きずり戻される。

    深い闇に侵されていく心が、希望を絶たれて悲鳴を上げていた。

    けれど、そんな私をよそに、お母さんは静かに言葉を紡ぐ。

    「軽音部の梓ちゃんから話は聞いたわ。あれは、誰が悪いわけでもない、事故だった。お医者様も最善を尽くしてくれたし。」

    だから、今は唯の回復を信じて待つしかない、と。

    今のお母さんの声に、もう諦めは込められていなかった。

    そこにあったのは、2人の娘の幸せを願う優しい気持ちだけ。

    …溢れる激情に涙を堪え切れなくなった瞬間、お母さんがそっと肩を抱いてくれる。

    冷たい現実に耐えられなかった私は、温かいお母さんの胸の中で、ずっとずっと泣き続けた。

    25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:46:28.25

    ――結局今日は学校を休み、一日中自室に篭りっ放し。この時から、私の心に悪魔が棲み付いてしまったのかも知れない。

    放課後に軽音部の皆が来てくれたみたいだけれど、お母さんに対応してもらい、私は部屋から出なかった。

    …どうしても頭に引っかかることがあったから。

    それは、忘れもしない、昨日の階段の光景。

    あの時確か、梓ちゃんは手すりを掴んでいた。すると恐らく、お姉ちゃんはその隣を歩いていたのだろう。

    その途中で、お姉ちゃんは階段から踊り場まで転げ落ちた。

    それは、梓ちゃんが手すり側にいたせいで、掴まるものがなかったから。

    …そして何より、梓ちゃんがお姉ちゃんを助けてくれなかったから。

    あの時、バランスを崩したお姉ちゃんは、救いを求めて梓ちゃんに手を伸ばしたはず。

    それが掴まれることなく空を切った瞬間の、お姉ちゃんの絶望をどうしても想像してしまう。

    それが事実だとしても梓ちゃんの過失は責められない、と自らを戒める。

    それでも、親友を責める悪魔の感情は、もう私の心に深々と根を張り巡らせていた。

    26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:49:15.79

    思い返せば、梓ちゃんは昨日の病院でも、他の皆と違って無表情で心ここにあらずの感があった。自責の念に駆られていたのかも知れない。

    法の裁きは、彼女の過失を罪と認めはしないだろう。

    それでも私の心は、それをどうしても許さない。

    悪魔の感情はふつふつと煮えたぎり、それを心の奥に追いやろうとどんなに努力しても、意味をなさなかった。

    だって、一生絶たれることのない絆で結ばれた最愛の人を、ほんの一瞬だけの不運で、呆気なく失ってしまったのだ。

    梓ちゃんが少しだけ手を伸ばして、お姉ちゃんを掴んでくれていれば。

    …たったそれだけなのに。

    梓ちゃんが僅かの頑張りを怠ったせいで、取り返しのつかない災厄が降りかかることになった。

    ……。

    やっぱり明日、梓ちゃんと直接お話ししよう。梓ちゃんが先輩想いの子だってこと、私はよく知っている。

    だからお話さえすれば、こんな嫌な感情、すぐに消え去ってくれるよね…。

    そんな淡い期待を抱き、手早く学校に行く支度をしてから、ベッドの中に潜り込んだ。

    27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:52:00.05

    ――翌朝。

    自分の席から教室を見回しても、まだ誰もいない。当然か、まだ始業まで1時間もある。

    1日空いただけなのに、1ヶ月振りくらいに来たような懐かしさを何故か感じていた。

    「梓ちゃん…。」

    小さな呟きが漏れる。今度は意識して口に出してみた。

    「学校、来るのかな…。」

    お姉ちゃんの教科書を拾った時にも、独り言を言ってみたのを思い出す。

    あの時は。会いに行くのが楽しみで、躊躇なんて微塵もなかった。

    でも今は。会ってしまうのが怖くて、躊躇を抑えるのに必死になっている。

    …躊躇してしまう原因は、自分でよく分かっていた。

    あの事故は梓ちゃんのせいじゃない。

    昨日からずっと、何度も何度も自分に言い聞かせているけれど、それでも、心に刺さった棘は抜けてくれない。

    梓ちゃんときちんとお話しして、早くこの棘を抜いてしまいたい。

    でも逆に、話すことで棘が一層深く刺さってしまうかも知れない。

    この矛盾が、躊躇を生んでいる。…だから、会うのが怖いんだ。

    28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/06(金) 23:55:00.05

    もう一度、独り言を口にしようとした時、

    「やった、一番乗り! …じゃなかった、おはよう憂。」

    …ああ、純ちゃんか。

    独り言の代わりに、安堵と失望の入り混じった溜息が漏れた。

    けれど、その時ドアに目をやったせいで、溜息を吐き切る間もなくもう一つの人影に気付いてしまう。

    「あ、梓ちゃん…。」

    「憂っ!」

    私のかけがえのない親友が駆け寄ってくる。

    「憂、昨日はいきなり押し掛けちゃってごめんね。もう大丈夫なの?」

    「う、うん…。」

    29 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/06(金) 23:58:00.08

    「昨日憂の家に行く前にね、軽音部の皆で、唯先輩のお見舞いに行ったんだよ。」

    …初耳だ。昨日お母さんからそんなことを聞いた記憶はない。

    「あ、私も行こうと思ったんだけどね、ジャズ研なかなか休めなくて。」

    「そ、そうだったんだ。」

    事故のことを責める感情を顔に出さないようにしながら答えた。

    そんな私に対して、梓ちゃんや純ちゃんの表情からは純粋な想いが伝わってくる。

    「唯先輩…。」

    梓ちゃんが誰ともなしに呟いた。

    親友を責めようという感情が薄れていくのを感じる。

    やっぱり梓ちゃんを責めるなんて、親友失格だ。

    でも…、

    30 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:00:07.71

    「あの事故でね、軽音部は休部措置になって、学園祭に出られなくなっちゃったんだ。」

    「…へ、へえ。」

    「ちょっと残念だなぁ。」

    「……。」

    その瞬間、一度は消えかけた感情が、再び炎を上げた。

    学園祭に出られなくて残念? それって誰のせい?

    …梓ちゃんのせいじゃん。

    ちょっと手を伸ばしてお姉ちゃんを掴むだけで、誰も不幸にならずに済んだのに。

    お姉ちゃんは今この瞬間も幸せに過ごせているはずだったのに、ありきたりな日常さえ享受できなくなってしまった。

    でも、梓ちゃんは、学園祭なんか出られなくたって安穏と生きていける。

    それなのに、残念だなんて…。

    31 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:02:59.98

    「憂、どうしたの?」

    「……。」

    梓ちゃんのせいじゃないと諭す自戒と、梓ちゃんのせいだと責める気持ち。2つの相反する感情による壮絶な葛藤が、私に沈黙を強いた。

    「憂?」

    「…あ、ごめんごめん。何?」

    梓ちゃんと純ちゃんが心配そうな顔で見つめている。顔に出てしまったのかも知れない。

    「…憂、大丈夫? 体調悪いなら、やっぱり休んだ方がいいと思うよ。」

    「そうだよ、私達から先生に言っておくからさ。」

    2人の声色から、私を案ずる純粋な気持ちが聞き取れる。

    「じゃ、じゃあそうさせてもらおうかな…。」

    そう言って立ち上がり、見送りの提案を丁寧に断って教室を出た。

    梓ちゃんを責める気持ちが伝わってしまったら申し訳ないから?

    いや違う。

    本当は、混迷して荒れ狂う感情が、今にも爆発しそうだったから。

    だから、この場から逃げ出したくて仕方がなかった。

    33 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:06:00.00

    …廊下を歩いていると、のんびりと自分の教室に向かう生徒達とすれ違う。

    そんな集団を避けるように、下を向いて早足で歩き続けた。

    …やっと下駄箱に着いた。手早く靴を履き替え、再び早足で歩き始める。

    周りの生徒達に、逆走する私を気に留める様子はない。

    大方、忘れ物でも取りに行くところ、と見られているのだろう。午後から雨との予報だったので、傘を取りに帰っていると思われているかも知れない。

    でも、今日はもう学校に戻るつもりはない。

    …ようやく校門に辿り着いた頃、気が付くと小走りになっていた。

    なぜだか分からない。

    でも、校門を出た時には、もう足が勝手に走り出していた。

    34 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:09:00.16

    ――無我夢中で駆け続けて辿り着いたのは、お姉ちゃんの入院している病院。

    最初は家に向かって走っていたつもりだった。

    でも、遠く太宰府へ向かう飛梅のように、足は自然とここへ私を運んだのだ。

    …早くお姉ちゃんに会いたい。

    息を切らしながら受付で面会許可をもらい、病室へと向かうエレベーターに乗った。

    「お姉ちゃん…。」

    独り言で呟くのは、やはりこの人の名前。

    もう一言続けようとした時、音声案内とともにエレベーターのドアが開いた。

    目指す病室は、エレベーターからすぐそこだ。

    逸る気持ちを抑え、ノックしてから静かにドアを開けた。

    「お姉ちゃん?」

    今度は独り言ではなく、返答を期待した呼びかけ。

    応えてくれないことは分かっているけれど、呼びかけずにはいられなかった。

    35 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:12:00.04

    「……。」

    静寂が支配する病室に、私の声が虚しく反響した。

    お姉ちゃんはずっと眠ったまま。あの日から、私の呼びかけに応えてくれなくなった。

    私の目の前にいるはずなのに、お姉ちゃんがどこか遠くの世界に行ってしまったかのような寂しさに囚われる。

    …よく見ると、その華奢な腕には、たくさんの点滴が繋がれていた。その変わり果てた姿が痛々しくて、思わず目を逸らしてしまう。

    すると、逸らした先に、色鮮やかな何かが視界に入った。白色を基調とする病室の中で、その色彩は際立って見える。

    それは、千羽の鶴が織り成す想いの結晶。

    さっき梓ちゃんが言っていたことを思い出した。昨日軽音部の皆でお見舞いに行った、と。

    恐らく、たった一日で千羽鶴を完成させて持って来たのだ。きっと授業中にも作業していたに違いない。

    そう想像すると、心の泥沼の中に一滴、明るい感謝の気持ちが湧いてくる。

    でも、そんな一滴の感謝は、あっという間に暗い泥沼に呑まれてしまった。

    理性は行動を律し得ても、心の中までは届かない。

    親友を赦そうという自戒は、事故の過失を責める感情を拭い去ることは出来なかった。

    36 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:15:09.01

    「お姉ちゃん…。私、梓ちゃんのこと、恨んじゃってるかも知れない。」

    「……。」

    「そんなの良くないって分かってるよ。親友のことを責めるなんて。」

    「……。」

    「でも私、もう梓ちゃんと今まで通り付き合える自信がなくなっちゃった…。」

    「……。」

    「やっぱり私は、」

    途中で言葉を切った。震える携帯を手に取ると、お母さんからの着信。

    学校を休んだことが伝わっているだろう。早く帰れと催促しているのかも知れない。

    病院内での通話禁止、と注意を促す張り紙に目をやり、電話には出ずに電源を切った。

    「病院では電話しちゃいけないもんね。だからしょうがない、まだ帰らないよ、えへへ。」

    「……。」

    返答の無い孤独な会話。それでもお姉ちゃんと一緒にいられるなら構わない。

    37 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:18:32.21

    ――気がついたら、外はもう暗くなっていた。空腹も忘れてしまっていたらしい。

    窓から空を見上げると、どんよりとした暗雲が立ち込めている。

    その遥か上には、月が浮かんでいるはずだ。

    けれど、それを見たくても、厚い雲が隠してしまっていた。

    …寂しいけれど、流石にそろそろ帰らなくては。

    「お姉ちゃん、また来るからね。」

    「……。」

    ドアを閉める時、お姉ちゃんを見守る千羽鶴が、もう一度目に入る。

    また明日も来よう、と心に誓った。

    38 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:21:09.01

    ――病院を出ると、携帯を開いて着信履歴を確認してみた。

    お母さんだけでなく、梓ちゃんや純ちゃんの名前が目に飛び込んでくる。

    私は、梓ちゃんの親友だ。私自身は、お互いがそう思っていると信じている。

    …そして、それはお姉ちゃんもそう。

    梓ちゃんを本当に可愛がっていた。『ゆいあず』として一緒に町内の演芸大会にも出ていたっけ。

    どうしてそんな人を責めてしまうのだろう。

    お姉ちゃんのお見舞いに行って少し気持ちが落ち着いたと思っていたけれど、それとはまた別の感情のような気がする。

    自分で自分の気持ちが分からない。

    39 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:24:00.00

    すると、悩める私を嘲笑うかのように雨がぽつぽつと降り始めた。

    天気予報では午後から大雨になると言われていたのを思い出す。

    傘、持ってないや。でも確か学校に置き傘があったはず。

    家に走って帰るよりも、学校に寄った方が濡れずに済むかな。

    …今朝、学校から出た時と全く正反対。

    遠くに見える校門に向かって、全力で走り出した。

    でも今朝と違って、すれ違う人はいない。

    もうとっくに下校時間は過ぎていたから。

    校門を通り抜け、昇降口へ。

    「…あった。」

    傘立てに置かれた2つの傘。その内の1つが私のだ。

    41 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:27:00.04

    忘れ物のように置きざりにされたもう1本の傘を見ていると、私の忘れ物も思い出した。

    …ギー太だ。正確には私の、ではないけれど。

    あの事故の日は慌しくて置きっぱなしにしてしまったし、昨日は学校に行ってないし。

    多分音楽室で、帰らぬ弾き手を待ち続けているのだろう。

    なら、病室に置いてあげよう。

    お姉ちゃんも、ギー太も、喜んでくれるはずだ。

    下校時間は過ぎているけれど、忘れ物を取りに来た、と言えば入れるよね。

    そう考え、音楽室の鍵を借りに職員室へ向かった。

    42 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:30:00.13

    …幸い、職員室にはまだ電気が点いている。

    少し遠慮がちにノックして、ゆっくりドアを開けた。

    「…失礼します。」

    「ん? あら、憂ちゃん。」

    「あ…。」

    さわ子先生だ。

    「忘れ物かしら? とっくに下校時間は過ぎてるわよ。」

    「はい、ちょっとギー太を…。」

    「…。ああ、ギー太ね。音楽室の鍵、開いてるわよ。」

    「あれ、そうなんですか?」

    私の問いに対し、先生はただ笑顔を作って見せたただけだった。

    「…? あ、じゃあ行ってきます。失礼しました。」

    44 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:33:00.00

    なんだか意味ありげな笑いだった。

    でも、音楽室への階段を登るにつれて、そんなことは意識の外へ飛んでしまう。

    …ここでお姉ちゃんが落ちたんだ。

    あの時の光景がまざまざと蘇った。

    でもギー太を取りに行くためには、ここを通らなければいけない。

    重い足を無理やり持ち上げ、階段を登り続ける。

    やっと踊り場。あと半階分だ。



    ――♪

    え?

    賑やかな雨音に入り混じって、音楽室から微かに歌声が聞こえてきた。

    ――♪

    誰だろう?

    階段を登り切り、ドアを細目に開けてみた。

    45 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:36:00.04

    『今の気持ちをあらわす辞書にもない♪』

    …梓ちゃんだ。

    え、どうして…?

    もう下校時間は過ぎているのに。

    そもそも、学園祭に参加できないはずなのに。

    これ、『私の恋はホッチキス』のボーカルだ。

    『言葉さがすよ♪』

    私に気付くことなく、一心不乱に歌い続けていた。

    …でも、2番だけだ。1番と最後のサビは飛ばしている。

    そんな違和感に気付いた時、歌声が不意に止まった。

    「…あれ、さわ子先生ですか?」

    46 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:39:09.54

    まずい。まだ心の準備ができていない。

    動転した私は、階段を駆け下りた。

    …そして気付いたときには、もう昇降口。

    2本ある傘の内の1本を掴み、降りしきる雨の中を駆けていく。

    でも、校門を出たところで足を緩めた。

    振り返ると、誰もいない昇降口が見える。

    たぶん気付かれなかったんだろう。

    動揺する心の中に、なぜか後悔の念が生まれるのを感じる。

    梓ちゃんに会えば良かった?

    いや、そんなことはない。現に事故のことを責める感情で胸が痛い。

    やっぱり、自分で自分の気持ちが分からなかった。

    47 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:41:59.48

    ――家に帰ると、夕食もそこそこに、いつもよりもずっと早く寝る準備を始めた。

    今日は走ってばかりで疲れちゃったから。

    そう自分に言い訳して、ベッドに潜り込む。

    …今この瞬間、お姉ちゃんは何をしているのかな。やっぱり眠ったままだろうか。

    ……。

    せめてお姉ちゃんの部屋に行きたい。

    そんな思いが、既に横になっていた私を動かした。

    起き上がって部屋を出ると、

    「…あれ、憂。どうしたの?」

    お母さんだ。

    「あ、うん、ちょっと。」

    「あ、そういえば昨日、軽音部の皆さんが、唯のギターを持ってきてくれてたわよ。」

    「…え?」

    「昨日言おうと思ったんだけど、憂すぐ寝ちゃったから…。憂からも、お礼言っとくのよ。」

    48 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:45:00.13

    ギー太が…?

    慌ててお姉ちゃんの部屋に入ると、持ち主を待つギターが確かに置かれていた。

    その光景が、幸せだった頃の思い出を一気に蘇らせる。

    初めてギー太を買った時のお姉ちゃん。はしゃぎすぎて、少しうるさかったかも。

    それから、私に弾き方を訊いてきてくれたよね。凄く嬉しかったよ。

    梅雨のある日、ギー太を学校に置いて来た時には、本当に寂しそうだったね。

    他にも、添い寝したり、服を着せてみたり。

    大切な宝物だったんだよね。

    …赤の他人が見たら、ギー太は単なる一本のギターにしか見えないかも知れない。

    でも私は、この楽器に数え切れないほどの輝く思い出が宿っているのを知っている。

    だから、お姉ちゃんの思い出をもう少し味わっていたくて。

    私は、そっとギー太を手に取った。

    49 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:48:07.62

    優しく弦を弾くと、微かな音が鳴る。

    でもその音は、あっという間に空気の中に溶けて消えてしまった。

    もう一度鳴らしても、音は再び寂しく響くだけ。

    それは、当たり前のこと。

    なのに、私の心を揺らがせた。

    ギー太と私は、今までずっと、お姉ちゃんのそばで過ごしてきた。

    でも今は、ギー太がどんなに美しく音を奏でても、私がどんなに必死に声をかけても、もうお姉ちゃんには届かない。

    雲のような過去と泥のような現在の狭間にあるのは、たった1つの不幸。

    砕け散った幸せのかけらを必死にかき集めようとしても、掌で掬った水が指の隙間から漏れてしまうように、全ての幸せを取り戻すことは出来なかった。

    どうして不幸って、唐突に訪れて取り返しのつかない傷跡を残していくのだろう。

    …神様はいつだって不公平だ。

    お姉ちゃんじゃなくて、いっそ私が階段から落ちれば良かったんだ。

    お姉ちゃんと代わってあげたい。

    お姉ちゃんの幸せが、私の幸せなのだから。

    50 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:51:05.61

    ――パサッ

    ふと、何かが落ちる音がした。

    見ると、机の脇に音楽の教科書。何かの拍子に落ちてしまったんだろう。

    あの日、私が拾った教科書だ。

    思わず手に取ると、ページがぱらぱらとめくれ、…見覚えのある、2種類の筆跡が目に飛び込んでくる。

    1つは、お姉ちゃんの筆跡。これは当然だ、お姉ちゃんの教科書なんだから。

    でも、もう1つは私の筆跡ではない。私が書き込んだのは、名前欄だけだもの。

    …もう1つは、梓ちゃんの筆跡だった。

    それは、『私の恋はホッチキス』のボーカルに関するメモ。

    きっとお姉ちゃんと梓ちゃんで、パート分担を相談していたんだろう。

    53 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:54:04.33

    『1番メインVo.: 唯先輩』

    これは梓ちゃんの筆跡。

    『2番メインVo.: あずにゃん』

    これはお姉ちゃんの筆跡。

    この欄は、一度消した後に再び書かれた形跡がある。本当は澪さんの名前が入っていたのかも知れない。

    そして、

    『最後のサビ: 二人一緒!』

    …二人一緒。ふふ、お姉ちゃんらしいね。

    本能のおもむくままに動いているように見えて、実は周りへの気遣いも決して忘れていない。

    お姉ちゃんはそういう人だ。

    だから。

    お姉ちゃんの幸せが、私の願いであるように。

    私の幸せが、お姉ちゃんの願いなんだ。

    でも、それだけじゃない。

    お姉ちゃんの願いは、私だけじゃなく皆の幸せだ。もちろん、梓ちゃんを含めて。

    55 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 00:57:00.10

    ――翌日。

    「憂っ。」

    教室に入った私に真っ先に声を掛けてくれたのは、やっぱり梓ちゃんだった。

    「おはよう。昨日、大丈夫だった?」

    「うん。もう大丈夫だよ。」

    やっぱり昨日音楽室を覗いたことは気付かれなかったみたいだ。

    「ほら憂、昨日のノート。」

    休んだ分のノートを受け取ると、純ちゃんが文句を言う。

    「あー、憂ばっかりずるい! 私にも貸してー!」

    「ダメだよ。純はただ寝てただけじゃん。」

    「梓のケチー。そんなんじゃ、誰もお嫁にもらってくれないよ。」

    「なっ。そんなことないもんっ!」

    膨れっ面の梓ちゃん。何度見ても見飽きないな。

    …あの事故のことで梓ちゃんを責める感情は、もう完全に拭い去られていた。

    56 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:00:00.88

    他愛のないおしゃべりの後には、少し退屈な授業。それが終われば放課後だ。

    「はぁ、やっと授業終わったー。」

    「純は寝てただけじゃん…。ノートは貸さないからね。」

    「えー。じゃあもう梓には頼まないもん! 憂、助けてー。」

    「え、どうしようかなー。」

    梓ちゃんは腕でバツ印を作っている。でもまぁ、減るもんじゃないし…。

    いいよ、と言ってノートを渡した。

    「ありがとうっ! さっすが憂!」

    「もー、甘やかしすぎだよ。」

    また梓ちゃんは膨れっ面。でも今度はすぐ元の顔に戻ってしまった。

    いや、元の顔じゃない。何か強い意思を感じさせる顔。

    「あ、私ちょっと用事あるから。じゃあね。」

    「あれ、梓どこ行くのー?」

    「うん、ちょっとね。」

    「ふーん。じゃあねー。」

    57 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:03:00.15

    その用事が何か、私には心当たりがあった。

    「…純ちゃん、私も用事あるから、じゃあね。」

    「えー。しょうがないなぁ…。じゃ私も部活行くかな。」

    「頑張ってね!」

    「うん。じゃあね!」

    教室を出ると、純ちゃんは、ジャズ研の部室に向かった。

    私が向かうのは、…音楽室。

    因縁の階段を上り、昨日と同じようにドアを細目に開けてみた。

    59 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:06:00.14

    ――♪

    梓ちゃんの歌声が、音楽室に響いていた。

    昨日と同じで、2番だけ。

    それは、1番を歌うはずのお姉ちゃんが、いないから。

    …ふと、梓ちゃんの姿に、昨日1人でギー太を弾いていた自分を重ねてしまう。

    私は正直、ギー太を弾いたって慰めにしかならないと思っていた。奏でる音はお姉ちゃんには届かないのだから。

    それは今の梓ちゃんも同じはず。なのに、一生懸命に歌を練習し続けている。

    たぶん昨日と同じように、下校時間を過ぎても続けるのだろう。先生が残っていたのも、きっとそのためだ。

    でも、どんなに練習したって、学園祭には出られないのに…。

    それに、仮に出演できたとしても、…お姉ちゃんが回復する見込みなんてないのに。

    それでも梓ちゃんは歌い続ける。

    きっと、明日も明後日も、毎日毎日。

    その歌声は、もはや喜怒哀楽の情を超えた何かを帯びていた。

    60 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:09:05.30

    『もう針がないから買わなくっちゃ♪』

    …気が付いたら、音楽室の中に足を踏み入れていた。

    『ララまた明日♪』

    2番が終わり。この次は間奏の後にもう1度、サビを繰り返す。

    「あれ、憂?」

    歌を止めた梓ちゃんの驚く声が聞こえる。

    今の気持ちを何と表現すれば良いのかは分からない。

    でも、一つだけ分かることがあった。

    …もう私は立ち止まれない。

    62 名前:>>61投下遅いですか?3分おきって聞いたんですが[] 投稿日:2010/08/07(土) 01:11:00.66

    『キラキラひかる願い事も♪』

    私の口が、最後のサビを歌い始める。

    ここは、梓ちゃんと一緒に、お姉ちゃんが歌うはずの部分。

    私が練習したって、そもそも軽音部の部員じゃないし、学園祭にも出たりはしない。

    それでも、歌いたい。

    そう思わせる何かが、私を駆り立てる。

    『グチャグチャへたる悩み事も♪』

    梓ちゃんも私の歌に加わった。

    2人の声が重なり、音楽室は歌声で満たされる。

    そして同時に、私の胸も熱情で満たされていく。

    『そうだホッチキスで閉じちゃおう♪』

    渾身の歌が、部屋いっぱいに響き渡った。

    63 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:14:00.11

    『――また明日♪』

    2人で、最後まで歌い切った。

    「……。」

    「憂、急にどうしたの? びっくりしちゃった。」

    「えへへ、梓ちゃんが練習してるとこ見てたら、つい…。」

    「…あ、でも、練習付き合ってくれてありがとう。」

    梓ちゃんの笑顔が眩しい。

    一時とはいえ、事故の過失を責めていたことを、親友として恥じた。

    「…お姉ちゃんと歌うはずだったんだよね、これ。」

    「憂、はずだった、じゃないよ。」

    「え?」

    64 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:16:59.97

    「これは、唯先輩と一緒に歌う曲。」

    決然と言い放った。

    その声は、お姉ちゃんの回復を信じて疑わない響きに満ちている。

    「唯先輩は、きっと大丈夫。」

    「……。」

    「憂、私はそう信じてるよ。」

    信じるだけで願いが叶うなら、誰だってそうするだろう。でも、それだけで願いを叶ってしまうほど世界は甘くない。

    それでも、梓ちゃんを見ていると、お姉ちゃんが戻って来ると信じられる気がした。

    「…そうだね。私も信じるよ。」

    「ありがとう…。」

    「梓ちゃん、応援してるよ。」

    「うん! 頑張るよ。」

    65 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:18:59.90

    ――この後、下校時間が過ぎて夜遅くになるまで、2人で練習を続けた。

    「…憂、そろそろ帰ろっか。先生に迷惑かかっちゃうし…。」

    休部措置中だけれど個人的に練習するなら許可してあげる、とさわ子先生が大目に見てくれているのだ。

    「確かに迷惑かけるわけにはいかないね。」

    「先生に感謝しなくちゃ。」

    本当なら、ずっとずっと練習していたかった。

    でも、明日だってその次の日だって、練習は出来る。…その意思さえ揺らがなければ。

    だから仕方がないと、音楽室を出た。

    「…あれ?」

    何か落ちている。

    66 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:22:00.12

    「憂、どうしたの?」

    拾い上げたカードには、『秋山澪ファンクラブ会員証 NO.0001』 と書かれていた。

    「これ…、和さんのだよね。なんでこんなところに…。」

    「ふふ、意外とおっちょこちょいなのかも。」

    「え、そんなことないと思うよー。」

    「…あっ! トンちゃんのエサ、忘れてた!」

    「梓ちゃん、人の事言えないじゃんっ。」

    エサやり当番は、えへへ、と笑って水槽のところに走っていった。

    少し背伸びしてエサをあげている小柄な姿は、少し頼りなさ気に見えるかも知れない。

    でも、その小さな体に宿る心の優しさと意思の強さを、私は改めて感じていた。

    68 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:25:01.65

    ――翌日。

    「…話がある?」

    登校中の通学路で会った梓ちゃんは、開口一番に話を切り出した。

    「そう。和さんが、放課後生徒会室まで来て欲しいっていう話だよ。」

    「分かった。でも、どうしたの?」

    「あれ、昨日の夜メールが来なかった? 軽音部の活動再開を先生方に提案してくれるって。」

    「ほんと!?」

    「それで、憂にも来て欲しいらしいんだ。…多分、関係者だからじゃないかな。」

    …関係者。

    お姉ちゃん絡みの話だろうと予想はついた。

    でも、どのような心の準備をすればいいのか、よく分からない。

    「大丈夫だよ、憂。」

    そんな私を見透かしたように、梓ちゃんが優しく声をかけてくれた。

    69 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:28:00.42

    学校に着くと、軽音部の皆さんと和さんが、教室の前で待ってくれていた。

    「あ、お二人さん! 今日もまた仲睦まじそうで。熱いねー!」

    「もう、律先輩、からかわないで下さいよ。」

    膨れっ面の梓ちゃん。

    以前と同じ、軽音部らしい和やかな空気が流れた。

    でも、皆の顔には、以前にはなかった何かが宿っている。

    それは、梓ちゃんの歌声が帯びていたのと同じもの。

    …それが何なのか、今の私には理解できるような気がした。

    70 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:31:00.12

    梓ちゃんが頬をしぼませるのを見てから、遠慮がちに質問を発してみる。

    「皆さん、今日の放課後って…。」

    「ああ、生徒会で軽音部の休部措置の取消しを提案するの。」

    誰ともなしに投げかけた疑問に、和さんが答えてくれる。

    「憂ちゃんも、来たいでしょ?」

    「行きます!」

    もちろん即答。

    「良かった。昨日メールしたんだけど返信なかったから、ちょっと心配してたのよ。」

    え、メール?

    「あれ、そんなの着てないような…。」

    慌てて携帯を確認するが、やはりそんなメールは来ていない。

    72 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:33:30.11

    「…あ、ごめんね。皆に同時送信したつもりが、操作ミスで憂ちゃんだけ抜けてたみたいだわ。」

    「和、意外とおっちょこちょいだなー!」

    律さんが、昨日の梓ちゃんと同じ感想を述べる。

    「うふふ。でも、しっかり者のイメージとは裏腹な、」

    「そういう意外性のあるギャップが、」

    「いいんですよね!」

    紬さん、澪さん、梓ちゃんが連携すると、珍しく和さんは顔を赤くした。

    「も、もう! 先生方を説得するのって大変なんだからね!」

    「大丈夫! 軽音部に不可能はないのだっ!」

    律さんが自信満々に宣言する。他の皆も頷いて同意を示した。

    「あ、そういえば和さん、このカード落ちてましたよ。」

    「え? ああ、ありがとう。どこにあったの?」

    73 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:35:59.99

    「音楽室の前に…。」

    「ああ、あの時か…。驚いたわ、下校時間過ぎてるのに憂ちゃん達が歌っているんだもの。」

    「え、聞いてたんですか?」

    「ええ。でもなんか2人が良い雰囲気だったから、声をかけないで帰っちゃった。」

    「声かけて下さいよー。」

    和さんは、そんなクレームを笑って受け流して、私と梓ちゃんを見る。

    「じゃ、頑張りましょう。放課後またね。」

    「はい!」

    「よろしくお願いします!」

    75 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:39:00.33

    そして放課後。

    授業終わりに純ちゃんにノートを貸したり返してもらったりしていたら、なんだかんだで遅くなってしまった。

    梓ちゃんと一緒に生徒会室へ行くと、案の定、他の皆さんは既に廊下に揃っている。

    「すみません、お待たせしてしまって…。」

    「大丈夫だよ、憂ちゃん。」

    でも、澪さんがフォローを入れてくれた。

    「よーしっ! 皆の者、準備は良いかっ?」

    律さんが声高らかに鼓舞すると、

    「「おーっ!」」

    皆が声で応えたのに対して、紬さんだけは、声だけでなく右腕を高々と振り上げて応えた。

    「他の皆、腕も振れー! もう一回だ!」

    …でも、二度目の気合注入は、突然開かれたドアに遮られた。

    ドアを開けるやいなや、その人物は口を開く。

    「ちょっと、静かにし…、って皆!」

    「あ、和さん。」

    76 名前:>>71>>74アドバイスありがとうございます[] 投稿日:2010/08/07(土) 01:42:00.37

    「和っ! 先生方の説得、私たちに任しときなっ!」

    そう威勢良く宣言して生徒会室に踏み入ろうとする律さんの腕を、和さんが掴んで引き止めた。

    「ああ、もう大丈夫よ。」

    「はひ?」

    「私がもう説得しといたわ。案外すんなり納得してくれた。」

    「ふへ?」

    「軽音部、また活動できるわよ。学園祭にも出ていいって。あと1ヶ月だけど、頑張って。」

    「やったー!」

    律さんは飛び上がって和さんに抱きついた。澪さんと紬さんも抱き合って喜んでいる。

    ということは、

    「やったね、憂!」

    …梓ちゃん、あったかい。

    「ほ、って言って欲しかったわ…。」

    タイミングの悪いツッコミを入れる和さん。

    おっちょこちょいかも知れないけど、やっぱり頼りになるね。

    77 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:45:15.48

    「じゃあ、今日から練習再開だっ!」

    「「おー!」」

    律さんの鼓舞に、今度は全員、右腕を振り上げて応える。

    「澪、ちゃんとエリザベスは持って来てるか?」

    「当たり前だ!」

    「あ、ティーセットも持って来てるわよ、安心してね。」

    「流石です…、ムギ先輩。」

    軽音部の皆を突き動かしている想いが、私の胸も満たしていく。

    「わ、私も練習、見に行ってもいいですか?」

    「「もちろん!」」

    返事はもちろん即答だった。

    78 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:47:59.97

    …そして今日から、和やかな放課後の音楽室が戻ってきた。

    最初は、梓ちゃん一人だけだった。

    でも今は4人。私も入れれば、5人。

    皆、自分達の音楽を、そして幸せを取り戻すために、練習に励んでいる。

    口には誰も出さないけれど、全員がお姉ちゃんの回復を信じていた。

    …初めは梓ちゃんが一人で歩み始めた、幸せを取り戻すための小さな一歩。

    今は皆が一緒になって、千里の道を踏破すべく、一歩一歩、歩みを進めている。

    それは、解せぬ他人からすれば、単に演奏の練習に打ち込む姿にしか見えないだろう。

    でもこれは、重く尊い意思を宿した、前進のための偉大な一歩。

    私はもう、後悔と未練の泥沼に足を踏み入れることは絶対しない。

    いくら過去を悩んでも悔やんでも、その先には進めないのだから。

    79 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:50:59.93

    ふと窓の外を見上げると、満天の星空。もちろん主役は、大きな満月。

    それは、今は見えない太陽の存在を、穏やかな月光で確かに示していた。

    なんだか懐かしい。地上を照らす光の中に、そう思わせる温もりを感じる。

    その時、澄み渡った夜空の彼方に、一筋の流れ星が光った。

    ――♪

    同時に、梓ちゃんの歌声が音楽室に響き始める。

    音の連なりの内に秘められた真実の声を、私は確かに聞き取った。

    それは、ベース・キーボード・ドラムの伴奏を得て、耳にした者に絶対の希望と信頼を与える不思議な力を生み出し続けていた。

    80 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 01:54:05.76

    ――1ヶ月が過ぎ、今日は学園祭の日。

    軽音部の演奏を聴きに来た人々で、講堂は溢れかえっている。

    私はそれを、後ろの壁際から見渡した。群集の期待が熱気を帯び、演奏の始まりを待ち焦がれる空気が充満している。

    …前にもこんなことがあった。あの時も、あの人は忘れ物を取りに帰って遅刻した。

    でも、みんな待っているから大丈夫だよ。

    ―バタンッ

    勢い良く扉が開き、誰かが駆け込んでくる。

    すぐに私に気付き、Vサインを決めてから、また走り出した。不釣合いにも見える千羽鶴をギターケースに下げて、舞台へ向かって駆けていく。

    …これって奇跡?

    ううん、きっと違う。

    だって、ずっと信じてたから。

    「…奇跡じゃなくて必然、だよね。」

    また一つ、小さな呟きが漏れる。

    その独り言は、今までで一番、幸せに満ち溢れていた。

     おしまい。

    83 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 02:00:38.17

    律「いやー、皆、お疲れ様っ!」

    ドンパフッ! ドンパフッ! ドンドンパフパフッ!

    唯「あれれ…。ういー、これどうやるの?」

    憂「あ、ここ引っ張るんだよ。」

    パフッ!

    唯「おお!」

    憂「良かったね、お姉ちゃん♪」

    紬「うふふ、唯ちゃんも憂ちゃんも、お疲れ様。」

    澪「憂ちゃん、今回出番多かったなー。」

    律「なんたって、主役だからな。」

    憂「えへへ、ありがとうございます。」

    紬「迫真の演技だったわよ。」

    憂「いえ、皆さんの足を引っ張ってしまって、すみません…。」

    84 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 02:03:00.01

    律「それはそうと、澪は全然出番が無かったなー。」

    澪「う、うるさいな。いいんだよ、恥ずかしいし…。」

    律「二言三言しかしゃべってなかったじゃん。ロミ」

    澪「その話はよせ、ジュリエット!」

    紬「私、もっと出番欲しかった…。」

    梓「ムギ先輩…。というかそう言う律先輩だって、あんまり出番が無かったような…。」

    律「何をっ! 中野ぉ!」

    梓「むぐぐ、ごめんなさいごめんなさい!」

    唯「あ、和ちゃんもグッジョブだったよー。」

    和「あら、ありがとう。でも私、本当はおっちょこちょいじゃないのに…。」

    唯「えー、でも方向音痴じゃん!」

    和「ゆ、唯に言われるとショックだわ…。まぁでも唯は頑張ったわね、良い演技だったわよ。」

    唯「えへん!」

    85 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 02:06:00.04

    梓「唯先輩はいつも目立つ役回りですね。」

    唯「そういえば、前回と似たような展開とオチだったね。」

    憂「場面がころころ変わるから、演じるのが大変だったよー。」

    梓「クレームは>>1が受け付けます。」

    唯「…あれ、そういえば誰か足りなくない?」

    律「ん? 唯のお父さんお母さんなら、料理の準備をするって言ってたぞ。あ、医者は打ち上げに呼んでないし。」

    唯「いや、なんかもう1人だけいたような…。」

    律「そう? 聡は今回出てないけど…。」

    さわ子「忘れないでよ! ここにいるわよ!」

    唯「うわ! 相変わらず神出鬼没だね。」

    さわ子「失礼しちゃうわ、私も活躍したのよ!」

    律「はいはい。じゃあ全員揃ったところで挨拶だ! せーのっ!」

    一同「見てくださった方、ありがとうございました!」

    86 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 02:08:00.08
                     -─……‐-    __ノ}_
                      / : : : : : : : : : : : : : : `⌒\ : : : :}_
                . : : : : : : : : : : : : : : :\ : : : : : :\: : : :<
              _  /: : : : : : :/: : : :/: : : : : : :}: : : ヽ : : :ヽ: : : 〔
        <⌒: : : \{ : /: : : : : : : : : : : : : : : : :| : : : : : : : : ∨: :く
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      ∠: : : : : : : : : : :/:| :i : : : |i: : :/|: : : : : : : :⌒ヽ: :}: :|: : : : 〉
       ∨: : : : : : : :ヘ : | :i : : : |i: :/ V{: : L 八|   |:/∨ : : |/
        厶; : : : : : : : : ミ| :i : : : |∨    \|    x‐ミ  | :八|      ………あれ?
         厶 : : : : : : : : :|从 : : :|    __       〃⌒  iイ
         く: : : : : : : : /´∧ : :|  x=ミ       ::::::: {ノ
          \/`ー'∨ { (\|   ::::::::      '     |
                      `ー-ヘ      _     人
                      \    ` ’  /}⌒>──-
                  ___ /个:=-  .._ イ /        ヽ
                 /   / /│ \  //    /
               /       〉 |    }/ /  |          }
                        〈  \/けト. /  | l {         |
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                  \  | | { {ノ/|│J |  〉  ∨ /      〈
               ∨   \|   しl |│_ノ  /    ∨      }
                 〉   八  \く/|∧| /   ∨         /

    87 名前:1 ◆ksesikc4os [] 投稿日:2010/08/07(土) 02:09:30.60
    おしまいです。
    最後、やりたいと思っていた純ネタが出来たので満足できましたw
    読んでくださった方、支援してくださった方、ありがとうございました!

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唯「お姉ちゃん!」憂「なぁに?唯ちゃん」
唯「ムギちゃん!パワーをメテオに!」紬「どんとこいです!」
律「でぃーえす買ったしwwww」
  1. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/08/08(日) 00:38:13 URL [ 編集 ]
    すごい面白いけどスレタイがイミフ

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