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「琴吹紬の密かな挑戦」

  1. 名前: 管理人 2010/09/20(月) 15:37:41
    1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 00:43:34.72
    こんにちは、琴吹紬と申します。
    桜高軽音部所属、毎日楽しく暮らしています♪
    わたしは、自宅から少し離れた学校へ通っています。
    なので、軽音部では唯一の電車通学です。

    両親は心配のようで、斉藤さんに送迎を言いつけましたが…。

    出来るだけ色んなことをしてみたい。
    自分の目で、体で、たくさんの経験を積みたい。
    わたしは精一杯、両親に頭を下げました。
    紬を電車通学させてください、と。

    そんな苦労の甲斐もあり、晴れて電車通学の毎日です♪
    しかし、わたしにはまだまだ達成していないことがあります。


    4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 00:48:28.50
    そう、座席に座ることです。
    通学も帰宅も満員とまでは言いませんが、たくさんの人が電車を利用します。

    一度でいいから…座ってみたいのです。

    そして、座りながらメールを打ってみたいのです。
    はしたないことだとはわかっています。
    両親がこんな姿を見れば…悲しむかもしれません。
    でも、そんな思い出もあっていいと思いませんか?

    わたしはこの楽しい高校生活に、悔いを残したくないのです。
    気合いはあれど、なかなか実行出来ずにいました。

    なので、どうすれば座席を確保出来るかを考えてみました。

    5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 00:57:41.77
    まず、自宅又は学校の最寄り駅からの座席…絶望的です。
    自宅の最寄りでは、既に空席なし。
    だから、いつもドア付近の手すりにつかまって景色を眺める…

    それがダメなのです!
    ドア付近の手すりなんて…試合放棄もいいところです!
    もし、ドアから一番近い座席…端が空いたなら、それは幸運。
    ですが、もし座席の真ん中辺りが空いたら?
    ドア付近に居れば、移動距離が長い。
    その間に、空席は埋まってしまいます。

    「端っこ」の人気は高いです。
    もし「端っこ」が空いたとしても、そこを狙うライバルはたくさん居ます。
    「空いた!」と思って座ろうとしても、それまで端から2番目に座っていた人が、端につめてしまう可能性が高いです。
    そしてその隙に、端から2番目ですら、座席の真ん中辺りのつり革に掴まる人に取られてしまうのです…。

    すると、どうなりますか?
    座ろうと移動したにも関わらず、座れないわたし。
    こんなの、澪ちゃんじゃなくても恥ずかしいです…。


    6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 01:04:49.81
    ここで掴んだポイントが一つ。
    思わぬ空席にも即座に対応出来る場所…。
    それは、「座席の真ん中辺りのつり革に掴まる」ことです。

    そこから全てが始まる、と言っても過言ではありません。

    しかしこれもまた、ただの準備に過ぎないのです。
    次のポイント…それは、「空く座席を予測する」です。
    学生が多い朝の車内なら、制服で予測することも可能です。
    しかしわたしが利用する線は桜高生が多く、他は桜高より遠い学校の生徒。
    この「学生狙い」は通用しないと言うわけです。
    服装とは別のことで予測をしなければなりません。
    なのでわたしは、色んな人を観察しました。
    座席を立つ前の行動…皆さんいくつかの共通点がありました。


    7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 01:09:44.10
    それは、「定期や切符を用意する」です。
    スムーズに改札を通るためでしょう。電車を降りる前に、定期や切符を予め用意する方が多いのです。
    他には、開いていた本や携帯をしまうなど、そこにはたくさんの「前兆」がありました。
    その行動を目にした場合…その座席は空くということ。

    でも、気の早い人も居ます。
    何も考えず、その行動に走る人だって居ます。
    それらはただの、「前兆」にしか過ぎません。
    行動には、決定打が必要なのです。

    そして、決定的なものをわたしは見つけました。

    電車が止まる瞬間、或いは止まった直後のことです。

    8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 01:12:48.55
    座っている人が、つり革に目をやる場合があります。
    そう…席を立つため、つり革に掴まる人が居るのです。
    もちろん、全員が全員つり革を確認するわけではありません。

    しかし、つり革を確認する人は、100%席を立つのです。
    その行動を目にすれば、空席を事前に察知出来る!と言うわけです。


    9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 01:15:27.23
    空席確保のポイント。
    「座席の真ん中辺りのつり革に掴まる」
    「空席の前兆を探す」
    「つり革に目をやる人に全てを賭ける」

    以上、この三つをわたしは導き出しました。

    10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 01:19:15.90
    今日、わたしの密かな挑戦が始まります。
    何だかんだ言いましたが、チャンスは帰りの電車に絞っていました。

    だって、朝はたくさんのケーキやお菓子を持っています。
    そのケーキやお菓子を、わたしの勝手な挑戦で崩してしまったら…。
    楽しみにしていてくれる、皆に顔向け出来ません。

    部活も終わり、一人ホームで電車を待っていました。

    「まずは座席の真ん中辺り…よし!」


    11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 01:24:41.49
    電車に乗り込むと、わたしは計画通りその場所を確保しました。

    (これで準備万端ね~...ふふふ)

    そのことで既に達成感を感じ、座席に目をやるのを忘れてしまっていました。

    (…あっ!)

    「端っこ」が空きました。
    しかし、すかさず端から2番目の方がつめてしまいました。
    空席になった端から2番目は、その前に立っていた方が座ってしまいました。

    不覚です…。

    空席はすぐ、埋まってしまいました。


    12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 01:28:33.67
    (次の駅で挽回しなくては…)

    つり革を強く握り直しました。

    次の駅に停車前。
    今度はわたしが立っている斜め前の方が「前兆」を示しました。

    (携帯を閉じた…)
    (鞄にしまって…定期を用意した…)

    (くる…!)

    その予感は的中です!
    その方は、席を立ちました!

    ですが…。


    13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 01:31:41.16
    停車した電車に乗り込む老婦人が見えました。
    お年寄りには、席を譲らねばなりません。
    人として、琴吹家の人間として。
    人を敬う気持ちを忘れてはなりません。

    お年寄りや、妊娠中の方。
    小さなお子さんや、体調の優れない方。
    いくら席が空こうが、その人たちにはお譲りしなければなりません。

    「…どうぞ♪」
    「あら、ありがう。親切なお嬢さんね~。」
    「そんなことありません♪」

    当たり前のことをしたまでです。

    その後チャンスは訪れることなく、電車を降りるときが来ました。

    「ああ…今日はダメだった。でも明日があるもの!」


    14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 01:38:16.08
    翌日。
    部活を終え、いつも通り電車に乗り込みました。
    立ち位置は完璧。乗客のチェックも怠らない。

    何だか今日は成功しそうです!

    ゆっくり止まる電車。
    わたしの目の前に座るのは男子学生。

    携帯をしまい、手すりを確認しました。

    (いける…!)

    三つがそろいました!
    スロットで言うところの、BBです!

    お父様、お母様、紬をここまで育ててくれてありがとう。
    紬はまた一つ、夢を叶えることが出来そうです。

    (…あれ?)

    わたしは電車を降りました。


    15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 01:45:29.66
    「待って下さい!忘れ物です!」
    「え…?俺?」
    「はい、この定期、電車にお忘れでした!」

    男子学生が座席を立った後、そこには定期入れが残されていました。
    それを見たわたしは、とっさに定期入れを持って彼を追いかけていました。

    「あ、ありがとうございます。」
    「いえいえ♪では♪」

    せっかくのチャンスでした。
    でも、この後困るであろう人を見過ごすわけにはいきません。

    「結局、座れなかったな~…。」

    そう思いながら、また次の電車を待ちました。


    16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 01:53:36.30
    初めて降りる駅でした。見慣れない風景に、少しドキドキしました。
    そして電車はすぐに来ました。

    (あれ…空いてる?)

    一人座れるほどのスペースが、そこにはありました。
    ライバルが多い「端っこ」でした。

    (座って…いいのよね?)

    わたしは腰掛けました。
    浅く、緊張したように。すると、自然に笑顔がこぼれました。

    (あ…メール!)

    鞄から携帯を取り出し、メールを打ちました。


    17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 01:59:52.46
    帰り道
    律「おっ!ムギからメールだ。」
    澪「わたしもだ。」

    平沢宅
    唯「ムギちゃんからメールだ~。」

    中野宅
    梓「ムギ先輩からメール、珍しいな。」


    紬「また一つ夢が叶いました!」


    律澪唯梓「…どういうこと?」

    こうしてわたしの挑戦は、成功を収めました。
    せっかく編み出したポイントは、一つとして使われませんでしたが…。


    18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 02:09:26.13
    でも今は、別の楽しみを見つけました。
    定期を車内に忘れた彼です。

    特に会話をするわけではありませんが、彼はわたしを見つけると、必ず軽く会釈をしてくれます。
    その度、わたしは笑顔を返すのです。

    座席ではなく、彼を探すのが今では習慣になりました。

    毎日楽しい電車通学、わたしは幸せです♪



    終わり。


    19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 02:14:27.43
    くそう誰も見てないか 切ない

    21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 02:19:45.58
    >>20
    見てくれてるなら澪編も書くから付き合ってくれよ!

    23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 02:22:39.87
    >>22
    俺も大好きだ

    25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 02:29:48.42
    やっぱ百合にすべきであったか

    27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 02:35:25.97
    もう調子乗って澪編もいっちゃいます
    これは百合だぞ!ちょっと百合だぞ!!!!!!

    29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 02:37:26.36
    秋山澪の密かな挑戦


    こんにちは、秋山澪です。
    桜高軽音部所属、毎日勉強に部活に大忙しです。
    軽音部には部員が5人、1つのバンドを組んでいます。
    わたしはベースを担当。お金を貯めて、頑張って買いました。
    この大切な、フェンダージャズベース左利き仕様。

    そうです、わたしは左利き。
    この世の中は、左利きには生きにくいのです。


    31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 02:40:34.64
    誰かと並んでごはんを食べる時、自分の座る位置を考えたりしますか?

    わたしは考えます。
    だってわたしが一番左じゃなきゃ、右利きの子と肘がぶつかるんです。

    国語の授業でノートをとっている時、小指の横側が黒になることがありませんか?

    幸い、わたしはなりません。
    その代わり、その他全授業で黒くなります。
    真っ黒です、真っ黒。

    字だって、右利きの書きやすい構成になっています。
    気付いていましたか?

    皆が普通に使う道具も、わたしには使いづらい物ばかりです。
    楽器、ハサミ、缶切り、マウス、改札、自販機の挿入口…挙げればキリがありません。
    どれも右利き用になっています。


    32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 02:42:49.02
    こんな右利き社会。
    左利きの人間は、自分でも気付かないストレスに見舞われるそうです。
    寿命だって、右利きに比べて短い傾向があるそうです。

    だからですか、わたしの髪が少し薄くなってきたの。
    毛穴、もう死んだのですか。


    35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 02:44:48.21
    何で右利きに産んでくれなかったのかと、ママに八つ当たりしたこともあります。

    ママは言いました。
    「それも澪の個性じゃない」と。
    生きにくさまで感じて、それが個性なんて。
    もちろん、左利きはスポーツの世界で重宝されることは知っています。

    でも、スポーツをやっていないわたしには、ただのコンプレックスです。
    体育でソフトボールだった時のこと。

    わたし、ずっと攻撃側のチームに回りました。グローブがないんだもん。

    どちらを応援しても、悲しい結末が待っている。
    勝った喜びも負けた悔しさも、どちらもピンと来ません。
    せっかくのチームプレー、自分が中途半端な立場で終わる気持ちがわかりますか?


    36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 02:46:39.47
    右利きが良かった。
    右利きになりたい。
    昔からそう思っていました。
    幼い頃、律に左利きだと騒がれたことがあります。

    …泣いてしまいました。

    そんな律に、今日はこんな話をされました。

    37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 02:48:28.25
    律「なあ澪。左利きの双子説知ってるか?」
    澪「何だそれ?」
    律「一卵性双生児って、片方が右利き、もう片方が左利きが多いらしくてさ。」
    澪「へえ、初耳だな。」
    律「ミラーツインって言うらしいんだ。
      でも澪は一人っ子だろ?」
    澪「そうだぞ?」
    律「それはな、澪。
      澪には右利きの双子の片割れが居たはずなんだ。」
    澪「おいやめろ」
    律「本当は、澪は一人っ子じゃないんだよ。
      産まれるはずの片割れが居たんだ…。」
    澪「」
    律「受精段階では双子だった。でもその子は何らかの原因があって、母体に吸収されてしまったんだ。」
    澪「」
    律「澪ってさー、発育いいじゃん?
      きっと会わずとして離れ離れになった片割れの分も、澪が育つ運命だったんだよ。」
    澪「」
    律「澪…おい聞いてっか?」


    38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 02:50:13.21
    途中から意識が遠のいてしまいました。
    もう律と話したくありません。絶交です。
    元々、アイツはわたしにちょっかい掛けてばかりです。
    親友だと思っていましたが、ただのおもちゃなのです。
    そう気付きました。

    そして同時に決意しました。
    わたし、秋山澪は…右利きになります。


    39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 02:52:12.42
    ありとあらゆる動作を右で行います。
    まずはお箸からはじめてみました。

    …いきなりの挫折です。
    でも負けるわけにはいきません。
    今日の夕飯のハンバーグは、お箸で突き刺しかぶりつきました。

    ママは怒りました…そんな品のない食べ方をするな、と。

    ママが怒るのは無理ありません。
    でも、わたしの決意は固いのです。

    ママを説得しました。
    今まで左利きで生きてきた辛さ。
    そして右利きになることへの挑戦、決意。


    41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 02:54:23.24
    ママは黙って頷きました。きっと呆れたのでしょう。

    お弁当は、フォークにしてもらうことになりました。

    それだけではありません。
    ドアノブに掛ける手も右、メールを打つ手も右。
    ペットボトルのフタも右手で開けました。
    右手は添えるだけで、結局ボトルを左手で回してしまう自分がいました。

    眉毛のお手入れも右手でしました。
    するとどうでしょう、見事失敗です。

    でもめげません。
    わたしは、右利きのわたしに生まれ変わるのです。


    42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 02:57:55.50
    翌朝。
    右利きへ道のりは、まだまだ始まったばかりです。
    朝は律と一緒に登校しています。絶交…するつもりですが。

    律「お~はよ~!」
    澪「お、おう…おはよう。」

    右手を挙げてみました。
    律気付いた?今のわたし気付いた?

    バカ律は気付くわけもありませんでした。

    誰かの顔を見るたび、右手を挙げて挨拶をしました。
    律だけではなく、誰もそこに触れることはありませんでした。


    授業が始まりました。
    右手で字を書く…それはさすがにハードルが高すぎます。
    人生には、突破しなければならない壁と、回避すべき壁があります。


    44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 03:00:14.50
    今のわたしには、「回避すべき壁」でした。

    受験生なので、授業には集中せねば。

    でもいつか越えてみせる。
    そう誓いを立て、ペンは左手で握りました。
    でも、昨日までのわたしではありません。

    消しゴムは左手で使いました。
    すると…あることに気付きました。

    ペンから手を離し、消しゴムに持ちかえる。
    この当たり前で、疑問を持ったことすらない行動。
    その無駄が省けました!

    (これはテストで使える…よし。)

    そう思うと、自然に笑みがこぼれました。


    45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 03:04:06.82
    お昼休みがきました。
    軽音部4人と和。いつものメンバーで机をくっつけます。

    他愛もない会話。おいしいお弁当。
    右手でフォークを握るわたし。

    フォークなら何とか、右手でも大丈夫です。
    お弁当のおかずは小さめに作ってあるから、難なく食べられます。

    しかし、誰もわたしの挑戦には気付かないままでした。


    唯が分け目を変えた時。
    誰もが気付かず、声をそろえて「地味」だと言いました。

    利き手を変える…地味なのか?
    この生きにくい世の中に悩んだわたし。
    その悩みを解消する策が、唯の分け目程度に…地味なのか?

    何だかちょっと、悲しいです…。


    46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 03:07:37.28
    朝ほどの勢いはなくし、部活です。
    部活には梓も来ます。梓なら…気付いてくれるんじゃないか!?
    さすがにベースは…左じゃなきゃ弾けない。
    右利きようのベースを弦を逆さに張り替えて使う、と聞いたことはありますが、
    それは一から練習するようなものです。
    バンドはみんなの力で成り立っています。
    わたしのこの挑戦で、みんなに負担を掛けるわけにはいきません。

    (右利き用のベース…買おうかな。)

    今軽音部はティータイム。
    ケーキを食べながら楽しい会話…でもわたしの耳にはほとんど入ってきません。
    もちろんスプーンを持つ手は右。しかし誰も気付いてくれません。

    (はあ…)

    憂鬱なまま、練習に入ります。


    47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 03:10:10.86
    律「何か今日…まとまり悪くないか?」
    唯「りっちゃん、気のせいじゃない?」
    梓「わたしも思いました。何かリズムが悪いって言うか…」
    紬「そうかしら?楽しかったわ~。」

    ごめんなさい、わたしのせいだ。
    右利きになることばかり考えて、全然集中出来ませんでした。

    帰りもまた、律と二人きりです。
    こいつはやっぱり、散々幼なじみだと言い合ったくせに、わたしの挑戦には気付いてくれませんでした。
    その程度の仲なんだ。だからあんな話するんだ。

    もう、本当に絶交だからな!


    48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 03:13:14.99
    律「なあ…」
    澪「何だよ。」
    律「わたしがした話、そんなに気にした?」

    (…!)

    律「気にしたよな。悪かった。」
    澪「何の話だ?」
    律「今日の澪、ずっと右手使ってもの食べてたじゃん。」

    (気付いてたのか…!)

    律「ごめんな。ちょっと面白い話聞いたもんだからついいじめたくなって…」
    澪「わたしには本当にショックな話だったんだぞ!」
    律「ごめんごめん、わたしは左利きの澪が好きだよ。」
    澪「な、何言ってんだ…」
    律「ほんとだぞ?左利きじゃなかったら、この立ち位置も定着してないだろ。」


    49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 03:17:51.90
    いつも律は、わたしの右に居ました。
    今まで気付かなかったけど、それが自然でした。
    もしかして律は、考えてわたしの右を選んでいたのか…?

    律「それに、さ…」
    澪「!急に何すんだ…」
    律「手繋いでも、利き手が空くんだぞ?」

    律に手を握られてしまいました。


    今のわたし、顔赤くないか…?

    澪「やめろ、離せよ…」
    律「やーだ!今日はこれで帰る!」
    澪「ちょっと律…恥ずかしいんだけど…」
    律「言ってんだろ、左利きの澪が好きだって…」


    その日はそのまま、手を繋いで帰りました。


    50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 03:22:08.60
    左利きは、やっぱり生きにくいです。
    でも律の左側は、とても居心地がいいです。


    夕飯の時、ママはスプーンを用意してくれました。

    「ママ、お箸ちょうだい。」


    今日は、お箸を左手で握って食べました。


    「こら澪、お皿からシチューすすらないの!」



    終わり。

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  1. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/09/20(月) 23:59:02 URL [ 編集 ]
    これは良い
  2. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/09/21(火) 03:01:17 URL [ 編集 ]
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  3. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/09/21(火) 23:48:18 URL [ 編集 ]
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  4. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/09/21(火) 23:49:05 URL [ 編集 ]
    うわミスった
  5. 名前: Boldy ◆laiP19uM 2011/01/09(日) 09:14:47 URL [ 編集 ]
    Post number 790 on keionmatome.blog129.fc2.com
    Hola,

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    <a href=http://ss20.myftp.org/>Boldy</a>
  6. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/03/17(木) 01:00:43 URL [ 編集 ]
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  7. 名前: 駄目人間名無しさん ◆- 2011/03/17(木) 10:28:06 URL [ 編集 ]
    本家の空気を良く出しているな。良作。

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