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唯梓「ただのラブソング」

  1. 名前: 管理人 2010/09/25(土) 11:24:23
    1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 04:02:12.41
    夕暮れ時。

    西日が差し込む六畳一間、築三十年を数える家賃が安いだけが取り柄の部屋。

    床には足の踏み所も無い程に散らばるゴミの数々。

    ゴミ箱があったと思しき場所は今は一際高いゴミの山。

    辛うじて畳が見えているのは、玄関からベットへと続くさながら獣道の様な部分だけ。

    それすらも、得体の知れない粘着物の如き物で覆われ、靴下を汚さずにはいない。

    そんな無惨なこの場所も、かつては幸せな空間になるはずだった。


    2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 04:04:44.69
    それも今では夢の残骸。

    バイトを終えて帰宅すると、買ってきたコンビニ弁当を半ば無理矢理口に詰め込む。

    勿論またゴミが増える事になるが、最早そんな事は気にもならない。

    夕日が沈む時間になると、私はただの習い性で部屋の灯を点ける。

    紐を引っ張るだけで、照明灯の傘に渦高く積もった誇りが降るがどうでもいい。

    ただ無気力に身体をゴミの山に横たえる。

    すえたような不快な匂いも、最早鼻が麻痺して受け付けもしない。

    3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 04:05:41.27
    背中で押し潰すゴミの感覚にも慣れてしまった。

    何も考える事も無く、ただ雨漏りの染みが拡がる黄ばんだ天井に焦点の合わない視線を向ける。

    ふと部屋の片隅に心を奪われそうになり、慌てて目を閉じた。

    そこはこの部屋で唯一の美しい空間。

    ゴミの床から四本の脚で支えられた木の椅子

    ここだけは白さを保った壁紙の貼られた壁。

    そして、そこにはかつて私が持っていた物よりも小振りな真っ赤なギターが立て掛けられている。

    4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 04:06:39.89
    それはかつては幸せな空間になるはずだったこの場所に、唯一欠けてしまったモノが残したギター。

    いつしかまどろみに落ちた私に、誰かが呼び掛ける声が聞こえた気がした。

    「そんな恰好で寝ないで下さい。」

    今更、そんなのどうでもいいよ。

    「駄目です。明日の朝洗濯するんですから、ちゃんと寝間着に着替えて下さい。」

    洗濯機なんてもうずっと使って無いし、中に詰め込んだ衣類もきっとカビだらけだよ。

    「もう、訳が分からない事を言って、ごまかそうとしても無駄ですよ。」

    5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 04:07:45.42
    それは懐かしい声。

    しかし現実では有り得る筈の無い、この世界から欠けてしまった最愛の人の声。

    「もう、本気で怒りますよ!」

    うん、お願いだよ。こんな私を叱ってよ。例えこれが夢でもいいから。

    「はぁ?全く懲りない人ですね。そんなに叱られたいんですか?」

    うん、お願い。そして、私を目覚めさせてよ。

    「わかりました。それでは、えいっ!」

    突然、鼻を摘まれて驚いて目を開く。

    視線の先には、私を見下ろす最愛の人の顔。

    7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 04:08:55.66
    「目が覚めましたか?」

    唯「あず・・・にゃん?」

    梓「まだ寝ぼけてるみたいですね。顔でも洗って来て下さい。」

    唯「え、あ、うん。ホントにあずにゃん、なの?」

    梓「ふふっ、その呼び方は久し振りですね。」

    唯「そ、そうだったかな?」

    梓「はい。私が卒業して、この部屋で一緒に暮らし始めた時に、その呼び方も卒業した筈ですよ。」

    唯「そ、そうだったね、梓。」

    梓「やっとお目覚めみたいですね、唯。」

    8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 04:09:48.72
    唯「あの、でも・・・。」

    梓「まだ駄々を捏ねる気ですか?いい加減にしないと本当にいなくなっちゃいますよ?」

    唯「そ、それだけはもうイヤだよっ!お願い、もう何処にも行かないでよっ!」

    慌てて小さな身体を抱き締める。
    間違なく感じられる温かい存在に、身体中の細胞の一片にまで喜びが溢れて来る。

    梓「もう、すぐに抱き付く癖は相変わらずですね。」

    鼻腔には懐かしい匂いも感じられる。

    五感全てを使って、彼女の存在を確かめる。

    9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 04:10:42.81
    梓「わかりました。どこにも行ったりしませんから。」

    唯「ホントに?ホントにどこにも行ったりしない?」

    梓「私は嘘はキライです。知ってる筈ですよ、唯?」

    唯「う、うん。そうだよね、梓。」

    梓「分かったら寝間着に着替えて下さい。お布団敷いちゃいますから。」

    唯「うん、分かった。」

    梓「着替えた服はちゃんと洗濯籠に入れて下さいよ。」

    唯「うん。すぐ入れて来るよ。だから・・・。」

    梓「わかってます。ちゃんと待っててあげますから。」

    12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 04:11:34.37
    急いで寝間着に着替えようとして、ズボンに足を取られてその場で転倒してしまう。

    そんな私を彼女は呆れた顔で見下ろしている。

    梓「はぁ、いつまで経っても、そのおっちょこちょいは治りませんね。」

    唯「エヘヘ、でもなんか可愛いね。」

    梓「なにがですか?」

    唯「梓の言う、おっちょこちょいって言葉の響きが。」

    梓「か、からかわないで下さいっ!もう、先に寝ちゃいますよ!」

    唯「ダッ、ダメだよぉ。もうちょっとだけ待ってよぉ。」

    梓「はいはい。もう、甘えん坊さんですね、唯は。」

    13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 04:12:26.22
    着替えを済ませて、洗濯籠から戻ってきた私を彼女は、布団の脇で座って待っていてくれた。

    梓「それじゃあ、電気消しますよ。」

    唯「いいよぉ。」

    明かりの消えた部屋で、一つの布団で互いに抱き締めあうように眠りにつこうとした、その時。

    梓「なにか忘れていませんか、唯?」

    唯「え?」

    梓「もう、約束した筈ですよ。おはようとおやすみの・・・キスをするって。」

    唯「あ、そ、そうだったよね!ごめん、梓。」

    14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 04:13:19.17
    梓「べっ、別にしたくなければ無理にしなくてもいいんですよ。もう、寝ちゃいます!」

    唯「ダ、ダメだよぉ。ちゃんとキスしようよぉ。」

    梓「もう、次に忘れたら承知しませんからね、唯!」

    唯「もうぜーったい忘れないよ、梓。例え何年、何十年経っても・・・。」

    梓「わかりました。今日だけは特別に許してあげます。」

    瞳を閉じた梓の唇に優しく唇を重ねる。

    甘い感触が唇から全身を駆け巡る。

    梓「それでは、おやすみなさい、唯。」

    唯「おやすみ、梓。」

    15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 04:14:09.27
    翌朝、カーテンを閉め忘れた窓から差し込む朝日に目が覚める。

    腕の中には、まだ少しあどけなさの残る寝顔で、穏やかな寝息をたてる梓。

    私はその存在を確かめるように小さくその名を囁いてみる。

    唯「・・・梓。」

    梓「ん・・・あ、おはようです、唯。」

    唯「エヘヘ。」

    梓「な、なんですか、朝っぱらから?」

    唯「ううん。ただ、私の事を唯って呼ぶようになっても敬語で喋る癖は、相変わらずだなぁって。」

    16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 04:14:58.47
    梓「自分でもよくわからないですけど、なんだかこの方が落ち着くんです。」

    唯「むふふ、そうかそうか。」

    梓「なっ、なんですかっ、それはっ!」

    唯「にひひ、別になんでもないんだよ、梓。」

    梓「もう!そんなに・・・変ですか?」

    唯「ううん。梓らしくて可愛いかなぁって。」

    梓「あ、朝っぱらから、からかわないで下さいっ!」

    唯「ごめんごめん、梓ぁ。」

    梓「まったく、唯って時々イジワルです!」

    17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 04:15:50.45
    唯「ホントにごめんね。だから・・・」

    梓「だから、なんですか?」

    唯「・・・お願いだから、もうどこにも行かないでよぉ。」

    梓「・・・また寝ぼけてるみたいですね。」

    唯「だって、だって梓は・・・。」

    梓「私がなんですか?」

    唯「・・・ねぇ、梓。これは夢なのかな?」

    梓「確かめてあげましょうか?」

    唯「どうやって?」

    18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 04:16:40.90
    梓「こうやってです。」

    梓の唇が私の唇に重なる。

    それは間違なく梓が今ここにいる証。

    唯「ホントに夢・・・じゃないんだよね、梓?」

    梓「さぁ、そこまで言われると、もう私にもわかりません。」

    唯「そ、そんなぁ。もうイヤだよ、そんなのぉ。」

    梓「わかりました。それでは、これだけは間違ない現実を見せてあげます。」

    唯「・・・ど、どれ?」

    梓「あそこを見て下さい、唯。」

    梓が指差した先には、寄り添うように並んで立つ2本の赤いギター。

    梓「これが紛れもない現実です。」


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  1. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/09/26(日) 01:23:47 URL [ 編集 ]
    いいね。
  2. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/09/26(日) 02:16:23 URL [ 編集 ]
    前提となる話が欲しいね
    過去編って感じの

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