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けいおん!SSまとめブログ けいおん! このブログはVIPで立った「けいおん!SS」をまとめたブログです。

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唯「ポケうい、ゲットだよ!」

  1. 名前: 管理人 2010/09/30(木) 21:20:31
    5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 12:05:05.40

     ダーダダラダタターン♪

    唯「ムギちゃんにマスターボールをもらったから、とりあえず憂を捕まえたよ!」

    唯「最初こそ抵抗してたけど、そこはなんせマスターボール!」

    唯「一週間もすれば、憂はすっかり私をトレーナーと認めて、なんでも私の言うことを聞くようになったね!」

    唯「毎日家事をやることで、ちょっとずつレベルを上げさせていってるよ」

    唯「ムギちゃんによると、次のレベルアップで何か技を覚えられるらしいね!」

    唯「そしたら戦いができるようになって、こんな地道なレベルアップとはおさらばだよ!」

    唯「どんな技を覚えるんだろう。楽しみだなぁ」

     ギュウゥー タッ ターン!


    6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 12:10:06.53

     翌日

    憂「おねーちゃーん」

    唯「おー、おはよー憂ー」ナデナデ

    憂「おねーちゃん♪」

    唯「ごはんできてるー?」

    憂「おねーちゃん!」コクン

    唯「ありがとー、じゃ起きよっか」

     ギシッ

     トン トン トン

    唯「おー、すごい朝食」

    憂「おねえちゃん」

    唯「うん、おいしいよ憂!」パクパク

    憂「おねーちゃん♪」

    唯「よし、それじゃ学校に行こう!」


    7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 12:11:45.42

     2年教室

    紬「唯ちゃんおはよう!」

    唯「ムギちゃんおはよー。あっ、その機械!」

    紬「今日くらいに技を覚えるだろうから……頻繁に確認したくって、つい買っちゃった」

    唯「すごいなー。ポケモンの状態とか能力とか、みんな分かるんだよね? 高かったんじゃ……」

    紬「そんなこと無いわよ。……それより、早く憂ちゃんを見せてくれない?」

    唯「あ、うん。……どう、ムギちゃん?」

    憂『おねーちゃーん♪』

    紬「……うん、うん」

    紬「やっぱりレベルが上がってるわ。新しい技も覚えてる」

    唯「ほんとに! やったぁ!」

    紬「はい、これが今の憂ちゃんの情報よ。よく覚えておいてね」

     うい Lv6

     てんしのキッス PP10


    8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 12:15:57.28

    唯「ガーン!」

    唯「だめだ……これじゃあ戦えないよ」ガクッ

    憂『おねえちゃーん……』

    唯「またレベル上げしなくちゃいけないのか……」

    紬「ううん!」

    紬「諦めちゃだめよ、唯ちゃん!」

    唯「ムギちゃん、けど……」

    紬「考えてもみて。この技の効果は何?」

    唯「キスをして相手を混乱させる……そうだよね」

    紬「そのとおり……それなら、なにか策は浮かばないかしら?」

    唯「……まさか」

    紬「そのまさかよ」


    11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 12:20:34.70

    紬「混乱の効果は相手の動きを封じ、ダメージを与えることが可能」

    紬「戦いに勝利することだって、十分可能よ」

    唯「……」フーム

    憂『おねいちゃーん』

    唯「やってみる価値はあるね」

     ガチャ

    律「おっはよー!」

    唯「りっちゃん勝負!」

    律「へっ?」

    唯「いけっ、うい!」ボンッ

    憂「おねえちゃーん!」

    律「いやいや、なんだよ急に!」


    13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 12:24:43.98

    唯「何って……ポケモンバトルだよ」

    律「私はポケモン持ってねーっつーの!」

    律「私だけじゃないぞ、この世の誰だって、ソフトはともかくポケモンは持ってない! 唯もだよ!」

    唯「……フンッ! もう語るべき時は過ぎたようだね!」

    律「なんだよ」

    唯「うい、やっちゃえ! 覚えたての技をりっちゃんにかましてやるんだ!」

    憂「おねえちゃん!」ムンッ

     バッ

    律「おいぃーっ!?」

    憂「……」ダキッ

    律「えっ……?」キュン

    憂「おねえちゃーん」
    ギュウ

    憂「おねーちゃーん……」


    14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 12:29:50.45

    唯「うい、どうしたの?」

    律「……な、なんだよぉコレ」

    憂「おねえちゃん……」ギュー

    唯「そうじゃないでしょ、キッスだよキッス!」

    紬「待って、唯ちゃん! 伝え忘れていたことがあったわ」

    紬「とにかく憂ちゃんを一度ボールに戻して!」

    唯「わ、わかった!」シュッ

     ポムッ

    律「はふぅ……」コテッ

    唯「この勝負はお預けだよ、りっちゃん」

    唯「……それで、ムギちゃん? 伝え忘れてた事って?」


    15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 12:32:31.56

    紬「唯ちゃんは、ポケモンの技の熟練度というものを知っているかしら?」

    唯「熟練度? ううん、知らない……」

    紬「じゃあ説明するわ。熟練度はポケモンの最新作から導入されたシステムでね」

    紬「ポケモンは技を覚えたばかりの状態では、その技をうまく使うことができないのよ」

    唯「へぇー、そんなことが……」 ※ねーよ

    唯「じゃあ技を使えるようにするにはどうしたらいいの?」

    紬「このあたりは唯ちゃんのトレーナーとしての腕前が光るわね」

    紬「技を覚えた状態は、あくまでポケモンの体格やパワーがその技を放てる水準になったというだけで」

    紬「ポケモン自体はまだその技を扱うことができないの」

    紬「だから、トレーナーが技の使い方をポケモンに教え込まなきゃいけないのよ」

    唯「なるほどね。技を使えるようになるにも訓練が必要なんだ?」

    紬「そうなるわ。だから今はまだ……」

    唯「わかった。勝負はまだできないんだね」


    16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 12:36:12.74

    憂『おねえちゃーん……』

    唯「ううん、憂のせいじゃないよ」

    唯「でも、トレーナーとして訓練はビシバシいくからね!」

    憂『おねえちゃん!』

    紬「それじゃあ唯ちゃん、そろそろ……」

    唯「あ、うん。そだね」

     ボンッ

    唯「授業がんばってね、ういー」

    憂「おねーちゃーん」タッタッタッ

    唯「……よしっ、私も頑張ろっと」フンス

    律「……」

    紬「あら……」

    律「……」


    17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 12:40:11.77

    ――――

     1年教室

    憂「はぁー……」

    純「おつかれ……」スッ

    憂「ありがと、純ちゃん」ズズー

     ベココッ

    純「全部飲んだ!?」

    憂「あ、ごめん。ボーッとしてた」

    純「いや、いいんだけどさ……」

    純「大丈夫? 最近の憂、目に見えて疲れてるよ?」

    憂「えぇ? そんなことないよ」

    純「お姉さんにつきあってポケモンごっこしてるらしいけどさ……」

    憂「しっ! だめだよ純ちゃん!」

    純「……ごめん」


    18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 12:44:39.96

    純「でも体は大事にしてよ?」

    純「それで倒れちゃったら、それこそお姉さん悲しむよ?」

    憂「うん、分かってる……」

     ガチャ

    梓「おはよー、純」

    純「おはよ、梓」

    梓「……憂、オ・ハ・ヨ・ウ」

    憂「おねーちゃーん」

    梓「だめか……」

    純「……」

    梓「憂がポケモンになっちゃって一週間……」

    梓「一体いつになったら元に戻ってくれるのかなぁ」

    純「……」


    19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 12:48:37.20

     とんで放課後

    唯「ういー、迎えに来たよー」

    憂「おねーちゃーん!」トテテ

     ポシュンッ

    純「いまだに原理がわかんない……」

    梓「え?」

    梓「モンスターボールなんだからそりゃあ憂は入るでしょ」

    梓「仮にもポケモンなんだし」

    純「そうなんだ。じゃあ私、ジャズ研にいってくるね」

    梓「あ、うん。じゃあ……」

    梓「……もう、唯先輩! 待ってくださいよーっ!」トトッ

    ――――

    純「……」ボォーン…

    純「……あれの中、一回入ってみたい」ボソ


    20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 12:51:46.28

     音楽準備室

    憂『おねーちゃん』コロ…

    唯「ん?」

    憂『おねーちゃん、おねーちゃん』

    梓「出してほしいって言ってるみたいです」

    澪「……そうなのか?」

    梓「だてにトンちゃん係やってませんよ」

    澪「ぜ、ゼニィ!」

    梓「……」

    澪「似てなかったか……?」

    梓「いえ……できればカメックスに挑戦してほしかったです」

    澪「……」


    23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 12:55:36.15

    律「……それはそれとしてさ、憂ちゃんを出してやろうぜ!」

    唯「だめだよりっちゃん!」

    律「何でさ。こんな狭い所に閉じ込めてたらかわいそうだろ?」

    唯「だって憂はポケモンなんだよ。ポケモンはボールに入ってるものだよ!」

    憂『おねえちゃぁん……』

    律「……唯。同じ言葉を言われたと想像してみろよ」シュッ

    唯「へ……?」

     ボンッ

    憂「おねーちゃん!」ヒシッ

    憂「おねーちゃん、おねえちゃぁん!」

    律「唯にとってポケモンが何なのか知らないけどさ」

    律「アニメやゲームと違うんだ。想像力を働かせろ……今は」

    唯「想像……」


    24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 12:59:18.99

    紬「唯ちゃん」

    唯「……なあに?」

    紬「ボールはもう必要ないんじゃないかしら?」

    紬「ポケモンがよく懐いてるなら、いちいちボールで拘束する必要もないのよ」

    紬「実際、ポケモンマスターを目指すトレーナーの多くはボールを使わずにポケモンを連れ歩いてる」

    紬「ボールから脱却するのは、優秀なトレーナーとして不可欠なのよ?」

    唯「そうなの?」

    紬「ええ」コクリ

    唯「そっか……じゃあもうボールはいらないね」

    憂「おねえちゃーん♪」スリスリ

    梓「嬉しいって言ってますね」

    澪「そのくらい分かるさ」


    25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:03:11.23

     夜 平沢家

    唯「ふぅー……今日の部活は大変だったなー」

    憂「おねえちゃん、おねえちゃん♪」トテトテ

    唯「お、うい。どうしたの?」

    憂「おねえちゃぁん」スリン

    唯「んー……?」

    憂「おねえちゃ、おねえちゃぁん……」

    唯「甘えたいの? んーよしよし♪」ナデナデ

    憂「おねえちゃんっ」プルプル

    唯「あら、ちがうの」

    憂「おねえちゃん……」

    唯「なんだろう……どうしたの、うい?」

    憂「むーっ」

    憂「……ちゅ、ちゅう!」


    26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:06:49.19

    唯「へっ、ちゅう?」

    憂「おねえちゃん、ちゅう!」

    唯「……あぁ! そうだ、特訓!」

    唯「すっかり忘れてたよー。そうだったそうだった」

    唯「サボろうとしないで憂はえらいなー。よしよし」ナデナデ

    憂「おねぇちゃん……」カアッ

    唯「よし、それじゃ始めよっか」

    唯「覚えた技はてんしのキッスだったね」

    唯「よし、トレーナーの腕の見せ所だよ!」

    憂「……」ドキドキ

    唯「うーん」

    唯「やっぱり理論なんかより実践から入るのが平沢流だよね」

    唯「見よう見まねでもまずやってみることが大事だね!」


    27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:10:16.18

    唯「……て、てんしのキッスかぁ」

    唯「ってことは……う、ういと……」

    憂「おねえちゃーん」

    唯「わ、わかってるって」

    唯「いい? 今から憂にてんしのキッスを教えるよ」

    唯「憂にしてみせるから、その感覚をきっちり覚えるんだよ」

    憂「おねえちゃんっ」コクコク

    唯「……ふぅーっ」

    唯「い、いくからね?」ドキドキ

    憂「ん」

    唯「あ、こら。憂は目閉じたらだめだよ。覚えるんだから」

    憂「お、おねえちゃん……」
    キュンッ


    28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:15:06.14

    唯「よぅし……」

    憂「……」ドキドキ

    唯「……んっ」チュッ

    唯「んー」チュウゥ

    憂「おれえひゃむ……」

    唯「はっ……」チュッ…

    唯「い、今のがてんしのキッスだよ……」

    唯「次は憂がやってみて……」

    憂「……ふっ」チュムッ

    憂「んんうっ」チュウウゥゥ

    唯「ふむううう!?」

    憂「んはぁっ」チュパッ

    唯「う、ういー……」


    30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:20:09.04

    唯「な、なんだろうね?」

    唯「私だけかな……」

    憂「おねえちゃん?」

    唯「いやぁいやぁ、何でも!」

    唯「ところで今のてんしのキッス、完璧だったよ! あれなら十分戦いで通用するよ!」

    憂「おねえちゃぁん」ムー

    唯「な、なんですかな……?」

    憂「んっ」チュッ

    唯「やあうっ……わ、わかったよ、練習続けようんんっ!」

    憂「ふっ、んむっ、おね、ちゃんっ」チュッチュッチュチュ

    唯「ま、待って待って! ひゅむうんっ!」モガッ

    憂「ん、んんふっ、はぁちゅっ……」ニチュル

    唯「はらぁ、まいめに、ひゃるからぁ……こんらのぉ」


    33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:25:21.46

    ――――

     3時間後 純の部屋

     ボォーンボォーンベボボボォーン♪

    純「ん」

    純「メール……憂か」パカッ

    純「なになに」

    憂『ワクワクしちゃう計画とかグダグダすぎる展開とか』

    憂『ぜんぶホッチキスでとじてやったぜ!!』

    純「……いみふ」

    純「あ、まだ長いな……」カチカチ

    憂『というわけで、お姉ちゃんの彼女になりました平沢憂です♪』

    純「ええっ!」

    純「どういうことなの……」カチカチ


    34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:30:24.14

    憂『純ちゃんには説明してなかったよね』

    憂『私と紬さんが練った今回の計画――』

    憂『「めざせポケモンマスター作戦」のこと』

    憂『おかげで結構な迷惑をかけちゃったと思うから、今ここで謝罪しておきます。ごめんなさい』

    純「いえいえ」

    憂『この作戦は、私がポケモンになるという形で逆にお姉ちゃんをゲットするという』

    純「はいはい……」カチカチ

    憂『本来なら、キス、ディープキス、クンニリングス、セックスと段階を』

    純「はいはいはいはい」カチカチカチカチ

    憂『まぁそれだけお姉ちゃんが魅力的って事だね』

    純「やっと終わりかな……?」

    憂『あまったマスターボールは純ちゃんにあげるよ』

    純「……なんですと?」


    36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:35:40.82

    憂『途中で計画を大幅に縮めちゃった私が言うのもなんだけど』

    憂『この作戦は効果抜群だよ』

    純「……」

    憂『特に、疑いを知らない人にはね』

    純「疑いを知らない人……」ドクン…

    純「だったら……私は」

     ドクン…ドクン…

    憂『どう使うかは、純ちゃんの自由だけどね?』

    純「……」

     ドクン……


    37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:40:20.48

    純「……」

     カチカチカチ

    純『おめでとう。あと、ありがとう』カチカチ

    純『有意義に使わせてもらうよ』カチカチッ

    純「っと」ポチッ

    純「……さあて」ムクリ

    純「そうと決まれば、このままじゃいけないね」

    純「……梓はたぶん、私を捕まえてはくれない」

    純「憂が喋らなくなって、けっこう悲しんでたからね」

    純「私にボールを投げてくれるなんてことは有り得ないと思う」

    純「と、なると……マスターボールを投げるべきは私自身」

    純「……」ポクポクポクポク

    純「そうだっ」チーン


    38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:45:12.14

     翌朝 音楽準備室

    梓「お早うございま……」ガチャ

    憂「梓ちゃん、大変だよ!」

    梓「……憂? 何で……いや、それより今……」ブルブル

    憂「梓ちゃん? どうしたの、しっかり!」

    梓「ういいいぃぃー!!」ブワァッ

    憂「えええええっ!?」

    ――――

    憂「……ってわけで、もう私はポケモンじゃないんだよ」

    梓「そ、なんだ……よかったぁ」グシュグシュ

    憂「梓ちゃん鼻水……」

    憂「って、それよりも! 梓ちゃん、聞いて!」

    梓「え……?」


    39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:50:17.93

    憂「ううん、見てもらった方が……梓ちゃん、水槽を……」

    梓「トンちゃんの……?」

     プクプク…

    梓「……あ、あれっ!? トンちゃん? トンちゃん!?」

    梓「う、憂! トンちゃんはどこ!?」

    憂「それが……朝来たら、水槽にこんな紙が貼られてて」ピラッ

    梓「これは……」

     『うるわしき軽音楽部諸君よ』

     『貴女がたの後輩であるスッポンモドキは我が掌中に在る』

     『この意味が分かるのなら、放課後中野梓を屋上へ来させよ』

     『ただし、必ず一人でだ。そうでなかった場合、一切は残響である』

    梓「くっ……トンちゃん!」グシャッ

    憂「梓ちゃん、どうしよう……」


    40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:55:09.00

    梓「……ふー」

    梓「憂……私に何かあったら、私のこのムスタングは任せるね」

    憂「梓ちゃん……行くの?」

    梓「行くしかないよ。私にしかトンちゃんは救えない」

    憂「……」

    梓「ごめんね、憂。だけど、私には……軽音部のみんなが一番なんだっ……」

    憂「う、うん。そっか」

    憂「頑張ってね、梓ちゃん」

    梓「うん、任せて」

    梓「誰とも分からない人に……私たちの軽音部を壊させたりしない!」

    梓「……トンちゃん待ってて……必ず助けるから」ボソッ

    憂「……」


    42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:00:21.81

    ――――

     放課後 屋上

    純「……」シュッ

    純「……」パシッ

    純「はぁ……ったくもう」

     ギ…キィ

    純「……来たね」フッ

    梓「純……? 何で、ここに……」

     バタァン

    純「愚問すぎ」

    純「私がここにいる理由……梓がここに来た理由に他ならないよ」

    梓「純……」ギリ

    梓「トンちゃんを、どこへやったのっ」


    43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:05:06.23

    純「ふふ……うーん、教えてほしい?」

    梓「……その為にここに来たんだよ。どうなろうと覚悟はできてる!」

    梓「純っ! トンちゃんの居場所を教えてっ!」

    純「……読解力ないのかなぁ」ポリポリ

    梓「は……?」

    純「言ったよねぇ。我が掌中にあり、ってさ」スッ

    梓「マスターボール……まさか!?」

    純「悪いねぇ、梓。軽音部の後輩を取り戻しに来たんだろうけどさ」

    純「あんたの後輩、もう私のポケモンなんだ」

     ヒョオオ…

    梓「トン、ちゃん……」

    梓「そんな……嘘……」


    44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:10:33.84

    純「……返してほしい?」

    梓「返してよ! 大事な部員なんだから……」

    純「でもさー。タダじゃあだめだよね」

    梓「お金ならいくらでも払うよ! だから」

    純「ノーンノーンノーン。お金じゃないよ」

    純「ポケモンって、交換するものでしょ。相手のポケモンが欲しいならさ……」

    梓「……どういう」

    純「とても単純な話」

    純「トンちゃんと梓を交換しようってこと」

    梓「っ……」

    梓「私に、純のポケモンになれってこと?」

    純「いやぁ、私は別にどっちでもいいよ。私は手に入れたトンちゃんをポケモンとして好きにするだけだし」

    梓「そんなのっ……ぜったいぜったいだめっ!!」


    45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:15:08.43

    梓「はー、はー……」

    純「……」

    純「じゃあ、決まりだね?」カチッ

     ボフン

    梓「トンちゃん……」

    純「さ、その子は私が軽音部に届けてあげるから」

    純「梓……おとなしく掴まろうか。ま、暴れても絶対逃げらんないけど」

    梓「……わかった」スゥ

    梓「……にゃん」

    純「……」シュッ

     ポシュウ

    純「あずにゃん、ゲットだね」


    47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:21:04.04

     音楽準備室

    律「ありがとなー、佐々木さん」

    純「いえいえ。それじゃあ失礼します」

     ガチャ

    澪「そうだ、大木さん。梓を見てないか?」

    純「梓……ですか?」

    純「ごめんなさい、分からないです」

    澪「そうか……。ありがとう」

    純「では、また」パタン

     テク テク

    梓『にゃーん』

    純「なんだね、あずにゃん?」

    梓『……うにゃあ』


    48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:25:40.43

    純「梓、なんて子は知らないよ?」

    純「あずにゃんなら知ってるけど」

    梓『にゃあっ……!』

    梓『……にゃ』

    純「分かればよろしい」

    純「さーて、部活も休みだし帰りまっかー」

    梓『にゃーん』

     テク テク

    ――――

     純の部屋

     シュッ ボムッ

    梓「にゃあ……」クタッ

    純「ボールの中ってけっこう疲れるのかな」

    純「まぁ、どうでもいっか」


    50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:31:18.41

    純「じゃ、あずにゃんはここで待ってて」

    純「私は着替えてくるから」

    梓「にゃーん」

     ガチャ バタン

    純「……」

    純「えーっと」

    純「どうしよう……」

    純「いつまで経っても梓が突っ込まないから、勢いで捕まえてきちゃったけど……この先なんも考えてないよ」

    純「ちょっとコントしたかっただけなのに、梓ってば大マジなんだもん!」

    純「あ゙ーアイツもうほんっと手つけられない!」

    純「ここは私がトレーナーとして」

    純「人の言うことを考えなしに信じてばっかじゃ危ないんだってことを教えてやろう!」

    純「……よ、よーし! やーるぞー!」


    51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:35:31.86

     ガチャ

    梓「にゃあー」

    純「おーまたっせ」ヒョコッ

    梓「にゃ……にゃああっ!?」ワタワタ

     パタン ガチャリ

    純「おー、どうした梓、そんなに慌てて」

    梓「う……にゃ」カアッ

    純「なーに赤くなってんのさ。下着姿くらい、学校でしょっちゅう見てるでしょ?」

    純「それとも、もう何されるか分かってるのかな。フフ、鍵なんてかけたらそりゃそうか」スタスタ

    梓「にゃ、うみゃあ……」プルプル

    純「震えちゃって。可愛いね、梓」

    純「それとも、歓喜にうち震えてるとか?」

    梓「にゃああ、にゃああっ!」

    純「どっちでもいいか」


    52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:40:14.06

    純「ねぇ、梓ぁ……私、ずっと梓が欲しかったんだ」サワッ

    梓「にゃ、ふっ」

    純「こうやって梓を私のポケモンにして……さっ」ドン

    梓「みゃあっ!」ドサッ

    純「私の好きにできるなんて……すごくうれしい」

     ギシィッ…

    純「……」

    梓「うみぃ……」カアッ

    純「梓って、近くで見るとこんな綺麗な顔してるんだね」

    純「髪も気持ちいい……」サラッ

    梓「にゃうう……」


    53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:44:54.91

    純「じゃ、梓。キスするよ」

    梓「……」コクッ

    梓「……ん」

    純「……」

    純「ふ、ふふっ」

    純「梓のキス顔、かわいいっす」チュム

    純「……にぇー?」

     チュッ

    梓「にうう……」

    純「え。へ? 何? あれ?」

    梓「じゅ、じゅんっ!」ガバッ

    純「なるほどぉーっ!!」


    54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:48:49.38

    純「ふん、くっ……」グイィ

    梓「にゃああっ……」グググ

    純「ちょ、ポケモン……力強すぎっ」グ…

    梓「にゃんん♪」チュム

    純「んむううぅっ」

    純「ってえい!」ドンッ

    梓「ひゃんっ」

    純「……」ハァ…ハァ…

    純「……」ゴシッ

    純「何してんの? 梓」

    梓「にゃ」

    純「もういいよ、それ」

    梓「……そ」


    55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:55:46.09

    梓「なにしてんの、って」

    梓「純が言いだしたんだよ」

    梓「キスするって言ったから、キスした……」

    純「それ、だけ?」

    梓「ううん。それはただのきっかけだよ」

    梓「純のことが好きだからキスしたんだ」

    純「……」

    純「マジっすか……」

    梓「うん、本当」

    梓「ポケモン……純がトレーナーなら、なりたいって思った」

    梓「なれて嬉しいって思ってる」

    純「……素直に気持ちぶつけすぎっしょ」

    梓「だって……」

    梓「ここだけは、絶対嘘つきたくないって思ってたから」


    57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 15:02:57.45

    純「……」

    純「その、何だろう」

    純「……ゴメンッ!」

    梓「いいって、トンちゃんは約束通り帰してくれたし」

    梓「それより、何より、私は……」

    梓「純が好きって言ってくれたことが、嬉しいよ……」

    純「ち、ちがっ」

    梓「大好き、純……」チュウ

    純「待っ……」

    純「ん、うぅ」

    梓「んむっ」ニュ

    純「ぅ……」


    58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 15:10:29.28

    純「ん、やらぁ。あじゅ、さぁ……」

    梓「……」チュポ

    梓「ごめんね、純。まだ早すぎるのかも」

    純「じゃ、なくて」

    梓「でも自制がきかなくって。もう純の全部手に入れちゃう」クニッ

    純「やっ、馬鹿梓……正気に戻ってよ!」

    純「何してるか分かってんの?」

    梓「……」コスッ

    純「っぅ」ピク

    梓「……強姦、なのかもね」

    梓「純がこういう事いやがってるのは分かってるよ。でも」

    梓「純だって、私に同じこと……しようとしてくれたよね」

    梓「私を犯すつもりだったんだよね?」


    60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 15:17:57.55

    純「……」

    梓「ずっとずっと私のしたかった事を」

    梓「純から……ね」

    純「私はっ」

    梓「……私は嬉しくって!!」

    純「っ」ビク

    梓「もう……止まれっこないんだ」

    梓「純がちょっと私をからかうつもりだったとしても」

    梓「そんなイタズラ心は……マスターボールにでもしまっておいたら良いんだよ」

    純「……なに、そんな怖い顔……して……」

    梓「……」チュクッ

    純「ふぁっ」

    純「だめっだめっ」フルフル

    62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 15:24:53.29

    梓「駄目?」

    梓「そんなの、私が言いたかった」ツプ…

    純「あ、あ……指ぃ」

    梓「特別な関係を望まないでもなかった」

    梓「でも、友達でいい……そう思ってた。思い込めてた」ズ…

    梓「そんなスポンジみたいにほろほろした私の心のバリケードを」ズププ…

    純「い、や……痛ぁ……」

    梓「純が、食べつくしちゃったんだよっ」ズプゥ

    純「――っ!!」ビクンッ

    梓「……」ヌルッ

    梓「指、赤くなった……初めてなんだね、純」

    梓「うれしい……」ペロッ

    純「ひ、う、ううぅっ」


    63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 15:31:35.86

    純「あう、さぁ……なんでぇ」

    梓「……」

    梓「何回も説明してあげられるほど、冷静な頭は残ってないよ」ヌリッ

    純「っ、ううあぁ……」ポロポロ

    純「、う、く……」ゴシッ

    梓「ん、純のおっぱい」ポフッ

    梓「いいな、おっきくて。やわらかいし」

    純「……」

    梓「ずるい」

    純「……」

    梓「……」フン

    梓「純。こうなったのは自分のせいだってこと、自覚してよね」

    純「……っ」


    64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 15:37:39.02

    純「わかってるよっ、そんなの」

    梓「だったら……」サワッ

    純「……ん、はぁっ」

    梓「ふふ……」グイッ

     プル

    梓「はむ……ちゅ」カプッ

    純「んくっ……は、ぁ」

    梓「ん、んうー」ピチャチャ…

    純「あうう……っ」

    純「あ、はぁっ」ブルッ

    梓「純、気持ちいいの?」

    純「う、ん。良いよぉ、梓ぁ」

    梓「よかった……」チュパッ


    65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 15:42:26.16

    純「……梓ぁ」

    梓「んう?」チュウ

    純「はっ……あ、好きぃ」

    純「好きぃ、梓、ぁ……」フルッ

    梓「……」

    梓「……」ペロ

    純「う、ううんぅぅ……」ボロボロ

    梓「……しょっぱいよ、純」

    純「ご、めぇん、ごめん……!!」

    梓「少しだけなら良いよ。泣いてる顔もかわいいし」ペロ…

    純「梓ぁ……うう、うあああぁぁ……」

    純「ごめんん、ごめ、なさ、ひ……」


    66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 15:46:53.66

    ――――

     夜 梓の部屋

    梓「じゅーんっ」ツン

     コロ…

    純『……ぶひ』

    梓「えへへぇ」ニヘラ

    純『あ、あずさ……やっぱりこの鳴き声は』

    梓「すっごく可愛いよ?」

    純『……ぶひー』ブーブー

    梓「うん、よしよし」

    梓「それじゃ、お休み」

    純『ぶぅ』ゴロン

     パチン


    67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 15:52:11.63

    純『……』

    梓「……くー」

    純『ははっ……まぁ、しょうがないよねぇ』

    純『弾がこもっているとも考えず』

    純『危険なものとも考えず』

    純『引き金をひいたら大事件っと』

    純『誰が私に同情してくれるって言うのさ……』

    純『……っあー、もう』

    純『ブヒブヒブーヒー』

    純『ブッヒッヒ……』

    純『ん……ぐぅ……くぅ』


    68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 15:57:13.03

     翌朝 1年教室

    憂「……あっ、梓ちゃん」

    梓「おはよ。……どうしたの?」

    憂「えと、その……昨日、どうなった?」

    梓「ああ、アレ……」フッ

    梓「いつもの純のおフザケだったよ」

    憂「へっ……?」

    梓「でも私も身に沁みたかな。ちょっとは人を疑うクセをつけないとね」

    梓「もう遅いのかもしれないけど」スタスタ

    憂「あずさちゃんっ」

    梓「ん?」

    憂「今日、純ちゃんは……どうしたんだろうね?」


    69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 16:01:42.68

    憂「……」

    梓「……さあ」

    憂「梓ちゃん」

    憂「人の疑いかたなら、私が教えてあげるよ?」

    憂「私、けっこう疑り深いからね」

    梓「……」フゥ

    憂「会話間に必要以上の間があるとき」

    憂「重要な話題に対して、曖昧に、興味なさげな返答をしてきたとき」

    憂「その人は嘘をついてる可能性が高いよ、梓ちゃん」

    梓「……」ゴソ

     コロ…

    憂「……」

    憂「何がなんだか……」


    70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 16:07:06.13

    梓「私と純は、こういう形で落ち着いたってこと」

    梓「わかってくれるよね、憂」

    憂「……同じ立場にあった私から言わせてもらうと」

    憂「その中ね。すっごく苦しいんだよ」

    憂「外の世界はぼんやり見えるだけ」

    憂「触れることもできない、抱きしめられても、温もりはほんの少しだけしか感じられない」

    憂「人間扱いさえしてもらえない」グッッ

    梓「……」

    憂「私が計画を早めたのは、お姉ちゃんとのキスに我慢できなかったっていうのもあるけど」

    憂「何より、狭くて寂しい、水槽に入れられたみたいなボールの中が」

    憂「お姉ちゃんのポケモンでしかない私が、たまらなく嫌だったから」

    梓「……ふぅん」

    梓「私はそんな事なかったけど」


    71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 16:11:29.14

    梓「憂がそうだったってだけで」

    梓「私にとって何でもなかったように」

    梓「純も案外、ボールの中を気に入ってるかもしれないし」

    憂「どうだろ……それは分からないけど」

    憂「純ちゃんは寂しがってると思うなぁ」

    梓「……」

    憂「……」

    梓「まぁ、さ」

    梓「それもあくまで、憂の予想じゃん」

    憂「確かにね」

    憂「……もうひとつ、予想のついたことがあるけど」

    憂「そんな風に受け取られるんだったら、言わなくてもいいかな」

    梓「……うん」


    72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 16:16:22.09

    ――――

     放課後 音楽準備室

    梓「……」

     プクプク…

    唯「トンちゃんが戻ってきてよかったねーぇ」

    梓「ハイ。……」

    律「……」

    唯「あずにゃぁん、どーしたの?」ガバッ

    梓「にゃ、にゃんでもない……れす」

    澪「何故チョークスリーパーをかける」

    唯「あっ、間違えちゃった」パッ

    梓「ゼハァッ」


    74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 16:21:17.71

    唯「だいじょーぶ、あずにゃん?」

    梓「へ、へーきです」ゲホッ

    梓「そ、それに! 唯先輩は憂と付き合ってるんですから」

    律「……」

    梓「私には抱きつくんじゃなく、チョークスリーパーでなきゃだめなんですよ!」

    唯「あずにゃーん!」ガシィッ

    梓「ぐ、ぐぅ……」

    澪「これは完璧に入った!」

    紬「梓ちゃん、死ぬわよ?」

    梓「グギギ……」ジタバタ

    澪「唯っ、いいかげんに……」

     ポトンッ

    紬「あら? これは……」


    76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 16:26:33.55

    唯「あずにゃんのポッケから出てきたのかな?」ギリギリ

     テンッ テン

    澪「一昨日のモンスターボールじゃないか……」

     コロコロ…

    梓「……」カクン

    唯「なんであずにゃんが持ってるんだろ」ギリギリ

    紬「唯ちゃん、梓ちゃんが……」

     …ピタ

    律「……」

    澪「律、とってくれ」

    唯「りっちゃん?」ギリギリ

     ドクン…

    律「……」スッ


    77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 16:31:27.57

    律「……」カチッ

     ボンッ

    純「うわっ、たっ!?」ドスン

    澪「えっ」

    唯「鈴木さんっ!?」ギリィッ

    純「へっ……あれ、軽音部?」

    純「あ、あずさ……?」

    紬「まだ辛うじて生きてるわよ」

    唯「どうかな?」パッ

    梓「ふ、ふうぅぅっ」

    澪「ゴキブリ並みの生命力だな」

    純「あずさ、あずさっ」ユサユサ

    梓「……ん、純……」


    78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 16:35:19.08

    純「……よかった。びっくりしたよ、もう」

    梓「……」

    紬「でも、どうして純ちゃんがボールの中に?」

    純「それは……」

    唯「じゃあ、お茶でもしながら話そーよ!」

    唯「私も興味あるしー?」キラキラ

    純「……そうですね」

    澪「じゃあ、予備の椅子を出してくるか」

    純「え? どうしてですか?」

    澪「……5つじゃ足りないだろ?」

    純「いえ、でも、1、2、3、4……5人しかいませんよ?」

    紬「……りっちゃんがいない」

    澪「どこ行ったんだ? あのバカは」


    79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 16:40:10.13

    梓「ボール……」

    唯「なに、あずにゃん?」

    梓「ボールはどこですか……純を……」

    澪「……」キョロ

    澪「まさか、律……?」

    紬「電話してみるわ!」カチカチ

     プルルルルッ プルルルルッ

    紬「……出ない」

    唯「りっちゃん、どうしたのかなぁ……?」

    純「……私、思ったんですけど」

    唯「純ちゃん、なにっ!?」

    純「田井中先輩も……アレで誰かを捕まえようとしてるんじゃ」

    紬「……」ゴクッ


    80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 16:45:37.80

    澪「そういえば、最近律って」

    紬「やめてよっ!」

    澪「ひぇっ!?」ビクッ

    紬「りっちゃんがそんな事する訳ないじゃない……」

    紬「信じていよう? きっと大丈夫だから」

    唯「ムギちゃん……」

    澪「……悪かった」

    純「ごめんなさい……失礼なことを」

    紬「いいのよ。さ、お茶の準備をしないと」

    唯「……澪ちゃん、もう一個イス用意しよっ」

    澪「ああ。そうだな」ニコ


    81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 16:49:19.77

    ――――

     平沢家 玄関先

    律「はー、はーっ」

    律「……ふーっ」

     ピンポーン

    律「……」

     トッ トッ トッ

     ガチャ

    憂「律さんじゃないですか」

    律「やっほ」ポイッ

    憂「どうし……」ポシュウ

     カチッ

    律「……憂ちゃんゲット」


    83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 16:56:15.86

     ブー ブー

    律「なんだっ」ビク

    律「……ムギ。今度はメールか」パカッ

    紬『1年の合宿で行った別荘を手配しておいたわ』

    紬『グッドラック、りっちゃん!』

    律「ムギ……」

     オネエチャアーン

    律「……いや、これは罠だな」

    律「なら、むしろ……」カチカチ

    律『ありがとう、助かった』

    律「よしっ」ポチッ

    律「……憂ちゃん、邪魔するよ」ガチャッ


    84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:00:51.85

    律「鍵穴は……埋める必要ないな」

    律「かわりに内側の鍵はガムテープでガッチガチにしとけば良いか」カチャン

     ジィー バリッ ジ…ジ ビッ

    律「うし……」ゴソ

    憂『律、さん……』

    律「悪いな、憂ちゃん……」

    律「2日前、教室で憂ちゃんに抱きつかれてから」

    律「ずっと。ずーっと。憂ちゃんとセックスする事ばかり考えてた」サス…

    憂『……い、いやですっ!』

    律「分かってるさ。だからこんな手段をとってる」

    律「……心配するな。唯が帰ってくる前には終わらせるから」

    律「もっとも、それがどれだけ夜遅くかは分かんないけど」

    憂『……』


    85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:07:16.19

    律「あそこへの片道が確か40分くらいだったな」

    律「広い場所だし、入念にやるだろうから、捜索に最低2時間」

    律「3時間半か。それだけあれば、じゅーぶんセックスできるな」

    憂『……させません』キッ

    律「まぁ……私も華奢なほうだけどさ」

    律「家で家事してるだけの憂ちゃんよりかは力あると思うんだ」

    憂『……甘く見てもらっちゃ困りますよ』

    憂『ドラムのスティックとフライパンなら、どっちが重いかという話です』

    律「大体動かすのは菜箸だろーに」

    律「まっ、確かめるのが早いだろ……なっ!」シュッ

     ボンッ

    律「ういちゃーん!!」ガバッ


    87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:11:38.14

     ギシッ

    憂「くぅっ」ヨロッ…

     ドサァッ

    律「んーっ」チュウ

    憂「ふむ、ぐっ」ドンッドンッ

    律「はふっ……」グイィッ

    憂「っ、くうっ!」

    律「……はぁっ」

    律「ほら、な」

    憂「まだ、こんなもんじゃ……」ググッ

    律「……」

    憂「……う、あああっ!」

    律「さーてと。そんじゃ、好きなだけさせてもらおっかな」ゴソッ

    憂「い、やぁ……」


    88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:17:13.00

    ――――

    憂「……」ガクッガクッ

    律「ん、は、あっ……くふぅっ!」ビクビクッ

     ニチュクゥッ

    律「うはああぁぁ……♪」ゾクゥン

    律「憂ちゃんサイコー……」ドサッ

    憂「っ……」ギリ

    律「んっふ……」チュム

    律「あむ……ん、は」レロ…クチュッ

     チュ チュ… クチャ

    憂「……」

    律「……もう、7時か」ピチュッ

    律「しょうがないな」


    89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:21:50.49

    律「さてと……そんじゃな」ゴソゴソ

    憂「……」

    律「……憂ちゃん」

    律「今日のこと、どう処理するかは憂ちゃん次第だけど」

    律「……いや、なんでもない」ゴソ

    憂「あ……」チラッ

    律「……よし、と。あっ、鍵固定しちゃったんだっけ」

    律「剥がすのめんどくせーな」バリバリ

    憂「……」コソッ

    憂「……」ギュッ

    律「もー、なんでこんなにやっちゃったかなぁ。うし、取れた」ビビィ

    憂「……ふっ!」シュッ

     ポシュンッ


    90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:27:21.70

     テンッ テン

    律『……はい?』

    憂「律さん」

     カチッ

    憂「捕まえました」

    律『……』

     カチャン

    憂「……」ガチャ

    律『ま、まって! どこ行こうってわけ!?』

    憂「台所ですが」

    憂「お姉ちゃんはまだ帰ってませんけど、晩ご飯を作っておかないといけませんから」

    律『……はだかんぼで?』

    憂「大きな問題はないと思います。ひとまずは」


    91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:32:15.70

     台所

    憂「……うーん」

    律『えっと……憂ちゃんも冷凍食品とか使うの?』

    憂「いえ、めったに使わないんで溜まってしまって……」

    憂「おまけにお姉ちゃんのアイスもたっぷりで」

    憂「スペースがないから何か使っちゃわないといけませんね」

    律『……へ』

    憂「ミックスベジタブルとむきエビと冷凍ゴハン……」ガサガサ

    憂「えびピラフライクなチャーハンにしよっかな」

    律『……』

    憂「……さて、スペースもできたし」

    憂「律さん。入れちゃいますね」

    律『う、ういちゃん……』


    93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:36:35.72

    憂「ボールに長いこと入っていて、分かった事がいくつかあります」

    憂「このボールの中は、重力を無視できたり、対衝能力に優れていて安全だったりはします」

    憂「だからコロコロ転がったり、落っこちても中の人は平気なんです」ツン

    律『……』コロ…

    憂「でも、温度変化に対する機構は、はっきり言ってオマケレベルです」

    憂「密閉こそされていますが……もし沸騰したお湯の中に落としたりしたら中は地獄ですね」

    律『憂ちゃん、やめてくれっ!』

    律『私がしたことがとんでもないことだってのは分かってるけどっ』

    律『こ、こんなことしちゃだめだ!!』

    憂「つまり周囲の温度が変わってしまえば、その中の温度も……まぁ、徐々にでしょうが変わっていきます」

    憂「……いちいちグツグツ煮込んであげるのはガス代の無駄になりますんで」

    憂「律さんは冷凍庫で凍らす事にしました」

    律『やだ……やだぁ……!!』


    97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:42:16.05

    憂「いいじゃないですか、凍死なんて日本じゃなかなかできないですよ」

    憂「まぁ、その体なら……ボールが多少は手助けしてくれるでしょうから、6時間は持つんじゃないですか?」

    律『やだっ、憂ちゃん、ごめんなさいっ、本当にごめんなさいっ!!』

    律『まだ生きてたいんだ! ……聞いてくれよっ!!』

    憂「……べつに、焚火でもして投げ込むんでも私は構わないんですけど」

    憂「新聞紙とかたまっちゃってますし」

    律『……っ』

    憂「さてと。じゃ、冷凍庫があったまっちゃうんで、そろそろ」スッ

    律『あ、ぁ……いや、いやだっ!!』

    律『私にできる償いならなんでもっ、一生かけてやるからさぁっ!!』

    憂「ですから、それで許してあげますって」コトン

    憂「冷凍庫の中で、一生罪を償っていてください」

     バタンッ


    98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:47:58.87

    ――――

    唯「ただいまー……」

    憂「おかえり、お姉ちゃん」

    唯「……ういー」ギュッ

    憂「?」

    唯「あずにゃんがね……悪い子だった」

    憂「……」

    唯「私、なんか不安だよ……」ギュウ

    唯「今日、りっちゃんが部活中にいなくなっちゃったんだけど」

    唯「……りっちゃんは、悪い子じゃないよね?」

    憂「……」

    憂「私は律さんじゃないから、わかんないや」

    憂「……ご飯できてるよ」


    99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:00:13.64

    ――――

     深夜

    唯「……」コソッ

     パチン

     パアッ

    唯「へへっへ……」

    唯「いちばん悪い子は私だったりします!」

    唯「ういがアイス一個だけしかくんないからいけないんだもん……」

     ガララッ

    唯「……ん? なんだろこれ」スッ

    唯「霜ついてる……」ゴシゴシ

    唯「……マスターボールだ」

     …バタン


    100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:05:48.16

    唯「え……」ジィッ

    唯「中に、誰か……いる……」タラッ

     カチッ カチカチッ

    唯「あ、開かない……なんでぇ」

    唯「凍ってるからかな……そしたらお湯掛けないと……」

    唯「そうだ、お風呂場に……」トトッ

     浴場

     キュ キュ

     ジャバー…

    唯「お願い、開いてっ……」カチャカチャ

    唯「開いてよぅ……!」

     カチリッ


    102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:10:40.62

     ボフンッ

    唯「ひゃっ、さむぅ……」

    唯「で、でも開いたよ。早くお湯掛けてあげな……」

    唯「きゃ……」

     ゴトンッ

    唯「……り」

    唯「……ううんっ、ううんっ」 

    唯「とにかくお湯をかけるだけだよ!」グッ

     ジャバアアァ…

    唯「大丈夫ですからね。しっかりして下さい!」

    唯「……らちが明かないよ。浴槽に……よいしょっと」

    唯「あたたまってくださいね。どなたかは存じませんがっ」


    104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:14:55.72

     ジャアア…

    唯「起きて、くださいよ……」

     「……」

    唯「……りっちゃんっ!」

    唯「……」

     キュ キュ キュ

    唯「おねがい……」

     ジャアアアアアー

    唯「神さま、りっちゃんを助けて……」

    唯「目を覚まして、りっちゃん……」

    律「……さ」

    唯「!!」


    105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:20:58.61

    唯「りっちゃん、がんばって……」グッ

    唯「助かるよ、ぜったい助かる!!」

     ジャアアアアア

    律「……さい」

    唯「うん、うんっ」

    律「ご、め……さ」

    唯「……」

    律「う……あ……?」ムクッ

     ピシシッ

    律「ってぇっ!!」

    唯「りっちゃん!!」


    106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:25:11.57

    律「ゆ、い……」

    唯「りっちゃん……よかった」グスッ

    律「……かんぜんに死んだと思ってた……」

    律「唯が助けたのか……?」

    唯「うん、そうだよ!」

    律「……」

    律「……バカヤロぉ」プイッ

    唯「え……」

    律「なんで、助けたんだよ……」

    律「死のうって思ってたのに」

    律「あんなに怖ぇって知ったら……もう、死ねねえよ」

    唯「りっちゃん……? よくわかんないよ」


    108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:30:22.59

    律「でもやっぱ、唯は私を助けちゃいけなかったって」

    律「……私は。憂ちゃんをレイプしちまったんだから」

     サアアアアァ…

    唯「……うそ」

    律「本当だ」

    律「ボールで憂ちゃんを捕まえて……部屋の鍵をガムテープで固めて逃げられないようにして」

    律「……押し倒した」

    唯「うそだよ……ねえ、りっちゃん……」

    唯「憂は……私と付き合ってるんだよ? きのう言ったよね?」

    律「あぁ……分かってる。頭じゃいくらでも分かってるんだ」

    律「それでも、ボールを手に入れたとき、考えられたのは……」

    律「これを使って、憂ちゃんを手際よくレイプすること……それだけだったんだ」

    唯「……」


    112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:35:12.16

    律「……それで、な」

    律「そのあと……全部のあと。私は、ひとり台所におりたんだ」

    律「それで私は、冷凍庫の食材の陰にボールを置いて」

    律「スイッチを押した」

    唯「……」

    律「あとは憂ちゃんが冷凍庫の開いてるのに気付いて、バタンと閉めてくれたよ」

    律「罪悪感にさいなまれた……なんて理由じゃなくって」

    律「もともと死んでやるつもりだったんだ」

    律「最低な事をするって、頭では分かってたから」

    律「……死ねなかったけど」

    唯「ごめん……」

    律「いや、いいさ……見捨てろって方が酷だよ」


    114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:40:06.62

    唯「……そうだね」

     シャアアアア…

    唯「りっちゃんのしたことを知ってても……私はりっちゃんを助けたと思う」

    唯「それは多分、私が本当の意味で当事者じゃないからかもしれないけど……」

    唯「思う限りでは、やっぱり私はりっちゃんを死なせたりしない」

    律「……」

    律「バッカじゃねーの……」

    唯「ひどいなぁ」

    唯「……だってさ。仲間なんだもん」

    唯「りっちゃんは同じ立場だったら、私を殺す?」

    律「……」

    律「……いや」


    115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:45:03.40

    唯「そういうことなんだよ」

    唯「ひどいことしたり、バカなことしたら」

    唯「横っ面叩いて、前を向かせてあげるんだよ」

    唯「それが仲間なんだと思う……きっと」

    律「だな。……だったら……殴ってくれよ」

    唯「あ、そっか」ブンッ

    律「ははっ、バッカでふっ」メキョ

    律「……はなっつら、らの?」ポタポタ

    唯「次はムギちゃんのぶんっ!」ゴオオォォ

    律「ひっ」

     ドゴム

    唯「連撃っ澪ちゃんのぶんっ!!」ガゴオンッ

    律「へぶんっ」


    118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:00:12.27

    唯「そして……あずにゃんのぶんだよっ!」ビュン

    律「うわああああああ」バシィンッ

     ボチャ… ボチャ…

    律「はらじがやべぇ」

    唯「当然の報いですよ」

    律「らな……」

     キュ キュ キュ

    律「はらじがとまったら、うち帰るよ」

    律「憂ひゃんとろことは、あほで解決してきたい」

    律「むうかしいだろうけど……」

    唯「……うん。がんばって」

    唯「私も憂に説得してあげるから」

    律「いいよ、そんなの……」


    120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:06:11.54

    唯「……」

    律「……ふーっ」ザバァ

    律「ありがと、唯。もう行くわ」

    唯「あ、着替えとか……」

    律「……そうだな。頼むわ」

    唯「ん。それじゃあ服脱いで体拭いて、待っててね」

     ガララ… パタン

     トン トン トン

    唯「……」

     コンコン

    憂『……なぁに?』

    唯「うん……なんだろ。とにかく入るよ、うい」ガチャ


    123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:10:09.54

    憂「どうしたの? こんな時間に……」

    唯「起こしちゃった……?」パタン

    憂「ううん。起きてたから……」

    唯「……」

    唯「……そうなの?」

    憂「うん……そうだけど?」

    唯「……まだ寝てなかった?」

    憂「うん。……」

    唯「眠れなかった……」

    唯「わけではない、と」

    憂「うん」


    124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:15:31.14

    唯「うい……だいじょぶ?」ギュッ

    唯「体、やな感じしない?」

    憂「するよ。するけど……」

    憂「お姉ちゃんがぎゅってしてくれてるから、もう忘れちゃいそう」

    唯「ぎゅー」

    憂「えへへ……」

    唯「……」

    憂「……お姉ちゃん」

    唯「んー?」

    憂「用事、あるんじゃないの?」

    唯「……うん。その」

    唯「りっちゃんのこと……許してほしいんだ」

    憂「……」


    125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:20:54.12

    唯「……」ギュー

    憂「律さん、どんなふうにしてた?」

    唯「こおりがとけた時ね……ごめんなさいって言ってて」

    唯「私がりっちゃんを助けた事に……怒ってた。りっちゃん、死にたがってたから」

    唯「それと……難しいけど、憂と仲直りしたいって」

    憂「……」

    唯「ういぃ……」ギュウウ

    憂「お姉ちゃんさ、梓ちゃんと純ちゃんの話、してくれたでしょ?」

    唯「うん……」

    憂「すごい人が友達にいるな、って思ったよ」

    憂「私は律さんを許せなかったから……」

    唯「……」ギュー


    127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:25:22.80

    憂「でも、ちょっとだけだけど……こうも思った」

    憂「私も悪いんじゃないかって……」

    唯「……」

    憂「ポケモンごっこを始めたのは私」

    憂「マスターボールを作ることに決めたのも私」

    憂「律さんに抱きついたのも私」

    憂「私のせいで……律さんのほんとの生き方が狂っちゃった」

    唯「……」

    憂「……それでいて、なお」

    憂「律さんを助けにいけなかった」

    憂「このままじゃ死んじゃうって分かってて……それでも救い出しにいけなくって」

    憂「……最低だよ、私」


    128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:30:59.99

    唯「……ふぅ」

    唯「んよいしょっ」ムクッ

    憂「わっ……な、なにお姉ちゃん?」

    唯「憂。着替え持って下いこっか」

    憂「……まだ、心の準備が」

    唯「だいじょーぶ。お姉ちゃんがついてるって」

    憂「……なら」

    憂「いこっか」

    唯「ようし! んじゃ、これとこれとこれっ」パパパッ

    唯「手つないでこ?」

    憂「うんっ」

     ギュ

     トッ トッ トッ

    129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:35:31.49

     ガチャ

    律「遅かったな、ゆ……」

    律「……」ゴクッ

    憂「……」

    律「あ……ぇ」

    唯「おふたりさん」

    律憂「っ」

    唯「相手の心と体に対して」

    唯「自分の心に対して」

    唯「ひどいことしましたね?」

    律「……ああ」

    憂「はい……」


    130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:40:42.29

    唯「でも、できることなら許して欲しい」

    唯「もとのように仲直りしたい。そう思ってますね?」

    律「ああっ」コクン

    憂「……」コク

    唯「ではでは! 御唱和下さいっ」

    唯「ごめんなさい!」

    律憂「ご、ごめんなさいっ」

    唯「またお友達になってください!」

    律憂「また友達になってください!」

    唯「はーい拍手ー!!」パチパチ

    律「ってそうすんなりいくかーっ!」ポギャン

    唯「いたぁっ!」


    131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:46:01.23

    律「まったく……」

    律「憂ちゃん、ほんとにごめんな。あんなひどいことして……」

    憂「……」

    律「正直、その。私が凍って死んじまっても、それがある意味当然だったと思う」

    律「けど、私。……唯に助けてもらってさ。死にかけるのは、ほんとに怖くってさ……」

    律「だから……ごめんっ! 私は死なない……生きたままこの罪、あがなうことにした!」

    律「私みたいなしょぼい人間が死ぬ事なんかより……もっとちゃんとした方法で、憂ちゃんの傷を治してやりたい」

    律「……頼むよ」

    憂「……」スゥ

    憂「そうですか」

    憂「私からも、すこしだけ言わせて下さい」

    律「ん……」


    134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:05:40.08

    憂「私……本当は気付いてました」

    憂「律さんが私を襲った事には、私にも非があるってことに」

    律「なに言ってんだよ、憂ちゃん。そんな」

    憂「聞いてくださいっ」

    律「……ごめん」

    憂「……マスターボールは私が用意させたものだってことは、聞き及んでいますよね?」

    律「ああ。ポケモンマスター作戦、だっけか」

    憂「律さん。もしボールがなければ、私を……その、しませんでしたか?」

    律「……どうだろう」

    律「もしかしたら、いつかは別の手段で襲っていたように思うよ」

    憂「……じゃあ」

    憂「二日前、私が抱きついていなかったら……どうですか?」


    135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:11:06.62

    律「……」

    律「そういえば……」

    律「今となっては想像だにできないけど……それまで憂ちゃんには何の感情も抱いてなかったような……」

    律「あの一件がなかったら……もしかしたら、って言えるかもしれない」

    憂「ほら」

    憂「私にも非があったじゃないですか」

    律「けど、そんなのっ」

    憂「些細なことかもしれません」

    憂「でも私にとっては、すごくすごく大きなこと……になってしまうところでした」

    憂「……もし、律さんが死んでいたら」

    憂「そんなの、に一生苦しめられていたと思います」

    憂「律さんを助けに行かなかったことを、一生悔やんでいたと思います」


    136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:15:55.32

    憂「だから、律さん」

    憂「生きてくれてありがとうございます」

    律「っ……」ピク

    憂「……これからも、仲良くしてくださいね?」

    律「私は、ただっ……」グスッ

    律「うい、ちゃ……ん……う、ああうぅ……」ボロボロ

    唯「顔をあげなせぇ、りっちゃん」ポン

    憂「……お姉ちゃん?」ポン

    唯「二人とも。これに懲りたら二度とこんなことはしないように!」

    律「ははっ……ほんと、こりごりだよ」

    憂「うん。私もかな」

    唯「ウム。大団円だね!」

    唯「おしまい!」


    137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:20:05.52

    ――――

     1年教室

    梓「ねぇ憂。こないだの話なんだけど」

    憂「へ?」

    梓「ほら、あの。人の疑いかた……ちょっと普通に教えて欲しいんだけど」

    憂「んーん。今は教えらんない」

    梓「えっ。どうして?」

    憂「目標になる人ができちゃったから」

    憂「その人みたいになれるまでは、誰かにものを教えるなんてできないって思ったんだ」

    梓「また唯先輩?」

    憂「お姉ちゃんもそうだけど……ね」

     ガチャ

    純「ぶひぶひー」


    138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:25:07.84

    憂「おはよ、純ちゃん」

    純「ぶっひー」

    梓「じゅ、じゅん……?」オロオロ

    純「ぶぶひひ」

    梓「うああぁぁ、純ぅ、ポケモンの純はやだよー!!」ガシィッ

    純「……まーた簡単に信じちゃって」

    梓「……はっ!」

    憂「純ちゃんに任せてよさそうだね」

    純「ん? 何が?」

    純「うあ、そうだ憂。宿題おしえて」

    憂「うん、いいよー」

    梓「矛盾がほとばしってる」


    139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:30:16.78

     2年教室

    唯「いやー、もうほんと大変だったんだよ」

    紬「でも私も冷凍庫入ってみたいわ!」

    律「入るか? マジで」

    律「……あー、そうだムギ。そういや」ゴソ

    紬「何かしら、りっちゃん?」

    律「はい、マスターボール。ムギに返しとくな」

    紬「あら……もういいの?」

    律「そんなのがあると、誰が何しでかすやら分かんないからなー」

    唯「ムギちゃんに返すことにするよ。もういらないし」

    紬「そう……それじゃ今度は澪ちゃんにでも渡してみようかしら」

    律「私の話、最初っからぜんぶ聞いてなかったのかなー?」


    140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:35:19.90

    紬「冗談だってば。確かにこれはもう必要ないわね」ググッ

     ベキキィ

    律「ひしゃげた」

    紬「もう温度変化に耐えかねてもろくなっちゃってたし、どのみち使えなかったわね」

    紬「それに、こんなものなくても……あなた達は、ね?」

    律「うん?」

    唯「うん!」

    律「……あ、なんだ。唯たちのことか」

    紬「あら。そうでもないわよ?」

    律「へっ?」

    紬「まぁ、いずれ分かると思うわ」

    紬「その時は今度こそ。私の用意した場所に来てちょうだいね?」

    律「えぇー? なんだよそれ……」


    142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:40:03.16

     キーンコーン カーンコーン…

    律「ったくぅ」ムスー

     ブー ブー

    律「む、澪しゃん」

    澪『昨日、何があったんだ?』

    律「……」カチカチ

    律『メールじゃ長すぎる。』

    律『ティータイムのときがいいな』カチャチャ

    律「……」ポチッ

    律「よし、と」パタン

    律「……」

    律「……まさか、な」


     おしまい

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過去の名作たち

唯「幻影の覇者!」
唯「澪ちゃん、最初のポケモン何にするか決めた?」
唯「好きなポケモン?」

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これより下はないよ・・・
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