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澪「アイマァハァングリースパイダーユアァービューティフォーコックローチ」

  1. 名前: 管理人 2010/10/10(日) 10:39:29
    1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 00:00:17.65
    梓「唯先輩ッ!!」

    唯「あ、あずにゃ……!」

    澪「チッ」

    梓「澪先輩……唯先輩に何してるんですか?」

    澪「別に?」

    梓「じゃあ唯先輩から離れてください」

    澪「嫌だって言ったら?」

    梓「力ずくで退かします」


    3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 00:05:29.40
    夕暮れ時の部室での出来事。
    梓が勢いよく部室の扉を開けると、ソファに押し倒されている唯と上気した澪の姿があった。
    おまけに唯の制服は開けてしまっている。
    梓の口振りからするとこのような状況になっていると気付いていたようだ。
    唯から離れるつもりもなく梓を小馬鹿にした口調で返答する澪が余裕の笑みで梓を見やる。
    言葉が通じないと思った梓はおもむろに姿勢を低くして、次の瞬間澪へ向かって駆けた。

    梓「このっ!」

    上体を起こした澪に梓の体当たりが決まる。
    澪は後方に吹っ飛び派手な音を立てて机に埋もれた。
    梓が口角を上げる。

    梓「油断するからですよ」

    唯は顔全体を使って思いっきり、澪はやや目を見開いて驚いている。

    唯「あ、あ、あずにゃん何してるのっ!? 澪ちゃん大丈夫!?」

    梓「澪先輩には大して効いてませんよ」

    唯「へっ?」

    4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 00:12:23.13
    澪「でも驚いたな。思ったよりずっと早い」

    澪は埃を払いながら立ち上がる。
    痛そうな素振りは微塵も見せていない。

    澪「腐ってもゴキブリってことか」

    ニヤニヤと笑いながら梓を見つめる。

    梓「……この蜘蛛女……唯先輩の前で何言ってるんですか」

    梓の眉間にシワが寄り、ツインテールが少し跳ねた。
    怒気をはらんだ言葉をぶつけても尚、澪は余裕の表情だ。

    澪「そうかそのおさげ……触角か。なるほどな、道理でその姿でも速いわけだ」

    唯「あ、え? 二人とも……?」

    唯は二人の会話について行けずただオロオロとしている。

    8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 00:23:49.18
    澪「あーあ、せっかく美味しく戴こうと思ってたのに。梓の所為で台無しだ」

    澪「せっかく唯と仲良くなったのに……」

    梓「食べるためでしょ?」

    澪「食べる……ね。ある意味そうだけどさ、どうせなら人間らしく食べようと思ってさ」

    梓「最悪です。この変態」

    澪「私の”食べる”は梓みたいなのを捕食することを言うのが正しいよな」

    梓「いつもは恥ずかしがりで怖がりなくせに今日はやけに自信満々ですね」

    澪「当然だろ? 捕食対象にビビる奴がどこにいるんだよ」


    10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 00:32:17.15
    梓「今の澪先輩で私に敵うと思ってるんですか?」

    澪「ゴキブリのくせに私に向かってくるなんて馬鹿だな、梓は」

    梓「そうですか、わかりました……死にたいんですね」

    梓が怒りで震えている。

    澪「やってみろよ」

    唯「ちょっと……二人とも何言ってるの? やめなよ……」

    梓「……」

    澪「……」

    二人に唯の声は届いていない。
    双方とも姿勢を低くして睨み合っている。

    11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 00:41:28.92
    梓「死んでも知りませんからね!!」

    梓が再び澪に向かって飛び掛かり右腕を振り下ろす。
    澪はそれを両腕で受け止めた。

    澪「ぐっ……!」

    梓「らあっ!」

    着地した梓は左足で澪の脇腹を蹴り抜いた。

    澪「ごはっ……!」

    吹っ飛ばされて物置の扉に激突する。

    澪「あ……うぐ……」

    梓「まだ許しませんよ……?」

    唯「や、やめてえええっ!!」

    梓が澪に詰め寄ろうとした時、唯の叫び声に引き止められた。

    12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 00:50:09.83
    梓「唯先輩……」

    唯「な、何やってるのあずにゃん……こんなの……怪我じゃすまないよ!?」

    梓「唯先輩は澪先輩にされていた事を忘れたんですか?」

    唯「だからってこんな……」

    梓「大丈夫ですよ、怪我なんてすぐ治っちゃうんですか――!?」

    唯「あずにゃん?」

    梓「しまっ──!」

    いつの間にか梓の両足に白い繊維状の物がへばり付いていた。
    それを取り払おうとしたが間に合わない。
    澪の一撃をまともに受け、運悪く窓に激突して校舎から放り出されてしまった。

    梓「がはっ!」

    澪「のんびり喋ってるからだぞ」

    唯「み、澪ちゃん!?」

    13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 01:08:34.20
    校庭に落下する梓は苦虫をすり潰したような顔でブレザーのボタンを乱暴に開けさせた。

    唯「いやあっ!? あずにゃん!!」

    澪「唯、梓を見てろよ」

    唯「えっ……?」

    梓「くそおおおおっ!!」

    梓が澪への怒りを叫ぶ。
    そして……

    バチ
    バチバチ

    背中、ブレザーの下から黒い羽を生やし、ばたつかせて難無く校庭に着地した。

    唯「え……何がどうなってるの?」

    澪「見ただろ? ゴキブリが羽で飛んだんだよ」

    14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 01:18:06.63
    唯「ゴキ……ブリ?」

    梓「う……」

    見せてしまった。
    梓は唯を直視できない。
    唯がどんな顔をしているのかが怖かった。

    澪「……さてと。梓ー、戻ってこないのかー?」

    梓「くうぅぅ……!」

    怒りと恐れが渦巻く。
    澪先輩を殺してやる。
    唯先輩に拒絶されるのが怖い。

    澪「階段でゆっくり戻ってきてもいいけどその頃には食べ終わってるかもな」

    その一言で梓は覚悟を決めて部室へと飛び立った。

    15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 01:26:16.05
    澪「お帰り、ごきぶり」

    梓「……」

    気に食わない。
    梓は澪を潰すことだけを考え始める。

    澪「おいおい、唯がいる前でそんな格好して……私を殺したらHTTのみんなが梓のことをどう思うか」

    梓「うるさい黙れ」

    梓が澪に一瞬で詰め寄り澪を床に押さえつけた。

    澪「ぐっ……」

    梓「……」

    澪「いいのか? 唯の前でこんな……」

    梓「死ね」

    梓は躊躇せずに右拳を顔面に叩き付ける。
    澪は首を捻ってそれをかわしたが梓の本気を感じ取ると今までの態度を改めた。

    澪「く……もう形振り構わないってことか。仕方ない……唯に見せるのは嫌だけど」

    16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 01:42:21.86
    澪の下半身が膨らみ、スカートから毒々しい色をした足と胴体が現れた。
    その反動で梓が振り落とされる。

    梓「っ!」

    そこに居るのは肥大した下半身から足が六本(手を含めれば八本)生えている蜘蛛だった。
    半分人間で半分蜘蛛。
    梓と同じような人であり虫だった。

    澪「はあ……梓も馬鹿だな、そんな本気になるなんて。……死ぬぞ」

    梓「うるさいです」

    その様子を見た唯は言葉が出なかった。
    しかし言葉を出さなければ大変なことが起きてしまうと思い必死に声を搾り出す。

    唯「二人ともやめて……ねえ」

    17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 01:56:37.14
    梓「私の生活を台無しにしてくれましたね」

    澪「それはこっちの台詞。あーあ、せっかく人間らしく狩をしようと思ったのに」

    梓「あれはただ言い寄って押し倒しただけでしょ? 普段の食事と変わらないんじゃない?」

    澪「……。この姿を見られたらどの道お仕舞いだな。私も梓も」

    梓「……」

    梓が恐る恐る唯の顔を見る。
    案の定恐怖で顔が引きつっていた。

    梓「せめて澪先輩はここで死んでもうことにします」

    澪「ははっ、ゴキブリが私に勝てるわけないだろ」

    唯「二人ともやめてってばあっ!!」

    唯が二人の間に割り込んだ。
    これには梓も澪も驚く。

    18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 02:03:33.06
    唯「なんだかよくわからないけどもうやめてよ! 私たち大切な仲間でしょ!?」

    梓「唯先輩……」

    梓は驚いた。
    自分のこんな姿を見てもまだ仲間と言ってくれる。
    そしてやはり唯先輩は唯先輩なのだと思った。

    梓「ふふ」

    澪「ははは……」

    唯「へ?」

    梓「唯先輩は……馬鹿ですね」

    澪「そうだな」

    唯「な、なんでっ?」

    梓「普通こんな姿を見たら絶交ものですよ」

    澪「だよなあ」

    19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 02:13:57.06
    唯「え、えへへ……」

    空気が和んだ。
    これで仲直りしてくれればいい。
    仲直りできてから色々聞こう。
    唯はそう思った。だが。

    梓「でも、まずはそこのビビり先輩に痛い目に遭って貰います」

    澪「そうだな、いい機会だ。エサだってことを解らせてやる」

    唯「あ、あれ……?」

    二人はやり合わなければ気が済まないらしい。

    梓「もう遠慮することがなくなりました。思いっきりやれます」

    澪「それはこっちも同じだ」

    唯「ね、ねえってば……」

    梓「はっ!」

    梓が飛び上がり半回転して天井に足をつける。
    そのまま天井を蹴って澪に一撃を見舞う。

    21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 02:23:54.07
    梓の一撃は床に着弾した。

    梓「えっ!?」

    澪「どうした? そんな遅い攻撃が私に当たるわけないだろ」

    元居た場所から5メートル離れていた澪がおちょくる。

    澪「ゴキブリを捕食するんだから私の方が早いのは当然だよな?」

    梓「ちっ……まだまだこれからです」

    唯「……」

    今の攻撃で腰を抜かした唯に梓が話し掛ける。

    梓「そうだ唯先輩。これが終わったらセッションしましょう」

    唯「……え、え?」

    梓「そこでお願いがあるんですけど、私の教室からギターを取ってきてもらえませんか?」

    梓「唯先輩がそれを取ってくる頃には終わってますから」

    唯「でも……!」

    22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 02:36:23.96
    澪「それがいいよ」

    澪が賛同する。
    唯が居ない方が思いっきり動けると考えてのことだった。

    梓「というわけでお願いします」

    唯「それはいいけど二人はケンカしちゃ……」

    梓「大丈夫ですから」

    唯「……わかった」

    今の二人には何を言っても通じないと判断したのか、唯は大人しく梓の言う事に従った。
    走って部室を出て行く。
    それを見届けた後、再び両者が牙を剥く。


    23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 02:46:08.72
    澪「ふっ!!」

    梓との距離を一瞬で縮めて梓を殴りつける。
    あまりの速さに梓は避けきれない。

    梓「ふぐっ……きゃあ!?」

    澪「鈍間」

    間髪居れずに足で梓を蹴り上げる。
    宙に浮いた梓を左手で掴んで先程壊れた窓へと投げ捨てた。

    梓「くそっ……!」

    梓は校庭へ着地。
    澪は蜘蛛の足を使って壁を伝い降りてきた。

    24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 02:57:43.72
    梓の羽がバチバチと音を立て始めた。

    澪「何だよ、飛んで逃げるのか?」

    梓「……」

    澪の挑発を無視して飛び立つ。
    梓は空中から攻撃するつもりだ。

    梓「うあああっ!!」

    澪に仕掛ける。
    空中からの攻撃は飛べない澪にとって厄介だった。

    澪「くっ!」

    梓「ざまぁです!」

    飛行速度なら澪の速さにも引けを取らない。
    梓が一気に畳み掛ける。

    梓「はあっ!」

    澪「ぐあっ」

    梓の蹴りが澪の身体を吹っ飛ばした。

    25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 03:04:53.19
    梓「油断してるからそういうことになるんですよ」

    澪「ふうん……油断してるのはそっちだろ」

    梓「え……あっ!」

    澪から伸びる白く太い糸が梓の右の羽に付着していた。

    梓「やばっ……!」

    澪「油断するなよ梓ぁ!!」

    澪が糸を一気に巻き取る。
    梓は澪に吸い寄せられる。

    梓「うっあっ……!」

    澪「……らああああっ!!」

    引き寄せた梓を力の限りの左ストレートで迎撃した。
    梓が呻き声を上げて元居た場所へ帰っていき、そこから転がりながら校庭の外れまで吹っ飛ばされた。

    26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 03:13:07.12
    梓「っ……ぁ……」

    びくびくと小さな身体が震えている。
    梓は相当のダメージを負ったようだ。

    澪「忘れ物だぞ」

    そう言ってもげてしまった黒い羽をその辺に捨てた。

    澪「これで飛べなくなっちゃったなぁ?」

    梓「はぎ……っあ゛……」

    梓はまだ立ち上がれない。
    そこへゆっくりと六本の足で近づいてゆく。

    澪「もう勝負ついちゃったけどさ、もうちょっと楽しませてよ」

    元々大きい蜘蛛とゴキブリとではゴキブリが一方的に捕食されるのみだ。
    唯一の利点の飛行能力を奪われた梓は肩で息をしながらうずくまっている。

    澪「ほら、立たないと」

    梓を無理やり立たせたところで、梓が蹴りを放ってきた。

    澪「おっと、そうでなくちゃ楽しめないよな」

    澪の猛攻が始まる。

    27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 03:21:12.42
    唯「はあ……はあ……!」

    梓の教室にギターを取りに行った唯は、その帰りに窓から梓と澪の姿を見かけて急いで校庭に向かっていた。
    梓が尋常でない吹っ飛び方をしている。
    唯から見たらいつ死んでもおかしくないような様相だった。
    梓のギターと今度こそ何が合ってもケンカを止めるという思いを胸に抱いて校庭に飛び出す。

    唯「はあっ……げほっ、澪ちゃんもうやめてえっ!!」

    叫び声が校庭に響いて澪の動きが一瞬止まった。
    だが再び梓に向かって長い足で歩み寄る。

    唯「澪ちゃん!!」

    一方の梓は辛うじて立っているものの羽はもげ、片方の触角はちぎれ、片方の腕は捩れていた。

    梓「ゆ……せんぱい……」

    澪「唯にお別れを言ったほうがいいんじゃないか?」

    28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 03:30:27.97
    嘘か本気か、澪は梓に尚も攻撃を仕掛けるようだ。

    梓「くも女め……」

    澪「元気がいいな梓は」

    梓「ちいっ!」

    梓は澪が目の前に来た時を見計らい全力で唯の元へと駆け出した。

    澪「さすがゴキブリ、しぶといなっ!」

    澪もその後を追う。

    梓「唯先輩っ! ギターを出してください!」

    唯「へっ?」

    梓「早くっ!!」

    唯「は、はいっ!」

    唯がギターを取り出した。
    梓はそれを奪い取るとギターのヘッドを澪に向けた。

    29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 03:38:53.24
    梓「はあはあ……唯先輩、ありがとうございました」

    唯「あ、うん。それより大丈夫なの……?」

    梓「大丈夫です」

    澪「演奏は梓が居なくなってから私と唯だけでゆっくり奏でるよ」

    梓「いいえ、澪先輩には暫く大人しくしていてもらいます」

    梓「このジャイアントキリングビームライフルで!」

    唯「ビーム……ライフル?」

    梓「Giant Killing Beam Rifleです。私は何だかんだいって敵が多いですから。こんなこともあろうかと科学の結晶を持ち歩いてるんです」

    澪「そんなので……」

    梓「倒せますよ」

    澪「やってみろよ!」

    澪が糸を飛ばす。
    梓は澪に狙いを定める。

    30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 03:46:16.86
    梓「くらえっ! G.K.B.R.ッ!!!」

    梓がギターについているアームを回してから押し込んだ。
    砲身(ギターヘッドの先端)から眩い光が収束して一瞬で澪を貫いた。

    澪「ぐあっ……!?」

    澪はその場に崩れ落ちた。

    唯「澪ちゃーん!?」

    唯が澪の元へ駆け寄る。

    唯「澪ちゃん! しっかりして澪ちゃん!」

    梓「大丈夫ですよ」

    唯「大丈夫って……!」

    澪の腹には風穴が開いている。
    いつの間にか澪の下半身は人間のそれに戻っていた。
    人間の腹に穴が開いていて大丈夫だとは唯には思えない。

    31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 03:54:44.67
    梓「私たちは特別なんです。そのくらいで死んだりしませんよ」

    唯「ほ、ほんとう?」

    梓「はい、ほんとうです。すこし……やすめば……」

    言いながら梓の膝が折れた。
    そのまま地面に突っ伏す。

    唯「あずにゃあん!」

    梓「わ、たしも……限界です。ちょっとねます。おやすみです……」

    そう言って梓は寝だした。

    唯「え、あずにゃん?」

    唯「わ、私はどうすれば……いいのかな?」

    こうして梓と澪の小競り合いが一段落した。

    32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 04:03:12.48

    ――――――――――――

    梓が初めて軽音部に興味を引かれたのは唯達が1年生の時の学園祭ライブ。
    その演奏の録音を聞いてギタリストに憧れて、自分が桜校に入学したら軽音部に入ろうと決めたのだ。
    しかしいざ入学して新歓ライブを見た梓は不穏なものを感じ取った。
    演奏は感動するくらい良かったのだが何か嫌なものが引っかかる。
    第六感が危険を知らせていたが、あのギタリストに会いたかったことと嫌な感じの正体を確かめる為に軽音部の部室へ向かった。
    嫌な感じの正体は部室の扉を開けるとすぐに解った。

    澪「……」

    こいつは危険だと虫の知らせが教えてくれた。
    今すぐ逃げなければと思うもあっさり捕まってしまう。

    律「確保ーーーー!!」

    梓「ギャーーーー!!」

    33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 04:13:49.61
    部室で先輩の話を聞いていた梓は軽音部に興味を持った。
    人の良さそうな先輩達にも好感が持てた。一人を除いて。

    勘だったが澪のことを他の部員は殆ど気付いていないようだった。
    ギターの唯なんかは警戒心や疑心というものが全く見受けられない。
    そして唯から何か不思議なものを感じ取った。
    梓にはそれが何なのか解らなかったがその感覚はどこか心地よくて悪い気はしなかった。
    そんなこんなで唯に好感を抱く。
    やっと会えた憧れのギタリストを、こんな無垢な人をみすみす餌にするわけには……。
    そう考えた梓は命がけで軽音部への入部を決めたのだった。

    梓が入部してから、澪は蜘蛛であり自身の天敵であると言う事を知った。
    唯が実はあんなだった事も。
    尊敬の念はしぼんでいったが代わりに暖かいものが膨らんできて……。
    何だかんだ言っても唯の事は好きなのだ。
    それ故に外敵から守らなければと日頃から澪をマークしていた。

    梓自身が捕食の対象なので当初は生きた心地がしなかったがどうやら澪は取って食べるつもりはないらしい。
    怖い事には変わりないが段々と軽音部の生活に馴染んでいった。

    澪の性格は恥ずかしがりで怖がりで大人しい。
    が、相手が梓のような捕食対象なら話は別だ。
    途端に強気になるし狩の時には獰猛な一面を覗かせる。

    つまり梓はよくからかわれたり馬鹿にされたりするのである。

    ――――――――――――


    34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 04:33:22.38
    あの戦いから数日後。
    自宅療養していた澪と梓が部室に顔を出した。

    唯「澪ちゃんあずにゃん! もう大丈夫なの?」

    梓「はい。ご心配をおかけしました」

    澪「別に梓の心配はしてなかったんじゃないのか」

    律「みーおー? 他に言う事があるだろ?」

    澪「う……あの、唯……この前はゴメン。もうしないから許して……」

    唯「あはは……ちょっとびっくりしたけどもういいよ」

    梓「唯先輩を押し倒して糸垂らすとか最悪です」

    唯「こらー私が許したからもういいの」

    36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 04:49:15.81
    律「梓にも言う事あるだろ?」

    澪「え……こんなごき――あいたっ!?」

    額にチョップがささる。

    澪「あうー……梓、ごめん」

    梓「いいですよ。私も澪先輩のお腹に穴開けちゃいましたし」

    唯「よし、これで一件落着だねっ!」

    律「だな! ムギーお茶にしようぜ」

    紬「はーい」

    この日の部活は平和に終わった。


    38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 04:56:42.48
    和やかムードな帰り道。
    突然唯が立ち止まった。
    どうやら学校に忘れ物をしたらしい。

    唯「ごめんみんな、先に帰っててー」

    そう言って学校へ戻っていく唯。
    唯はしょうがないなぁ等と言いつつ4人で下校していると今度は紬が

    紬「私、今日はここで……」

    と、別れを切り出した。
    そして別れの挨拶を済ませた後に一言。

    紬「澪ちゃん梓ちゃん、もう”おいた”しちゃだめよ?」


    39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 05:07:17.11
    梓「はい」

    澪「あ、うん……え?」

    紬「それじゃあ」

    紬は別の道へ歩き出した。

    律「んじゃ帰るか」

    澪「……ちょっと待って律」

    律「ん、どした?」

    澪「ムギに私と梓の事を言ったのか?」

    律「いや、言ってないけど……」


    42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 07:29:10.52
    澪「でも”おいた”はダメだって……」

    律「ムギの事だから私達の会話と空気で読み取ったんじゃないか? それか唯が言っちゃったとか」

    澪「そう……かな?」

    律「そうだろ?」

    梓「……」

    澪「……なあ、ムギ?」

    振り返った時には既に紬の姿は何処にもなかった。


    44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 07:40:14.95
    律「あれ、さっきまで歩いてたのに……」

    梓「……なんだか嫌な予感がします」

    澪「私もだ」

    律「ムギに限ってそんな……」

    梓「……私ちょっと学校見てきます」

    澪「私も。律、悪いけど先に帰っててくれ」

    律「おい澪……」

    澪「大丈夫、変な事はしないよ」


    45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 07:53:17.05
    梓と澪は学校へ向かい走り出した。

    梓「……そんな事言ってまた唯先輩を」

    澪「律と約束したんだ。もうしない」

    梓「へえ」

    澪「なんだよ?」

    梓「そういえば律先輩は澪先輩の事知ってるんですか?」

    澪「ああ、まあ……」

    梓「もしかして昔襲ったとか?」

    澪「食べるぞゴキブリ」

    澪「……律は昔、私達が小学生だった頃に色々助けてもらったんだ」

    49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 08:31:31.42
    澪「当時は今ほど慣れてなかったし、元々私にとっては敵っていう認識だったから怖かったんだ。人が」

    澪「それで上手く喋れないから友達も出来なくていじめられたりした」

    澪「でもそんな時に律と出会ったんだ。よく話し掛けてくれてさ」

    澪「最初は怖かったけど段々仲良くなって今では……って何言わせるんだよ」

    梓「私はそこまで聞いてないです」

    澪「このゴキめ……まあそういうわけで律とは親友だから私の事は全部知ってる」

    澪「お前の事も話してあるから」

    梓「……」

    澪「律はそんなに心が狭くないから大丈夫だぞ」

    梓「澪先輩じゃあるまいし分かってますよ」

    澪「はあ? 不潔が移るから寄るなよ」

    梓「私は綺麗好きです」

    52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 09:00:48.16
    学校へ到着すると真っ先に部室へ向かった。
    二人には唯がそこにいると気配でわかるのだ。

    澪「居るな」

    梓「居ますね、二人」

    澪「やっぱりムギが……」

    焦って部室に入ろうとする澪を梓が止める。

    梓「待ってください。中の様子を確認してからでも遅くないです」

    梓と澪は部室の扉に耳を当て中の様子を探った。

    唯「あっ、ムギちゃん……そんなに大きいのはいらないよぅ」

    バァン!!
    左右の扉が激しく吹っ飛ぶ。

    54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 09:28:03.18
    澪「おいムギっ!!」

    梓「またこのパターン!! ムギ先輩何やってるんですか!!」

    唯「うわあびっくりした!」

    紬「あらあら、来ちゃったの?」

    そこにはソファの上で組み伏せられている唯と大根を手に持つムギの姿が。

    澪「……ほんとに何してたんだ?」

    紬「唯ちゃんに大根を食べさせようとして……」

    梓「はい?」

    唯「そんなに大きい大根は要らないよぅムギちゃん」


    60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 11:04:20.82
    紬「おいたはダメって言ったのに」

    澪「おいたしてたのはムギだろう」

    紬「私はただ大根の素晴らしさを唯ちゃんに知ってもらおうとしただけ」

    梓「何で大根なんですか。それに組み伏せてまですることですか」

    紬「だって私も唯ちゃんが欲しかったんだもんっ。さあ唯ちゃん大根を食べて」

    唯「さすがにそのままはちょっと……」

    紬「じゃあ沢庵はどう?」

    紬は唯に沢庵を差し出した。

    唯「沢庵なら……」

    梓「ちょっと待って下さい」

    澪「ムギ……今どこから沢庵を出したんだ?」

    64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 12:01:27.42
    紬「どこからでもいいでしょう?」

    梓「ムギ先輩からは危険な感じはしないけど……ただの人間には思えません」

    澪「お前……何者だ?」

    紬「もうっ、こんなことなら二人が居ないうちにしちゃえば良かったわ」

    そう言ってムギが手の平を梓に向けた。

    梓「何を……」

    紬「おしおきだべ~」

    梓「えごっ……!」

    紬が手の平から何かを射出し梓に命中した。
    梓は仰向けに倒れて苦しんでいる。

    67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 13:02:56.29
    澪「何だ……ムギお前、何をした?」

    紬「梓ちゃんにも大根の良さを知ってもらおうと思って」

    澪「はあ……?」

    澪が梓の倒れている辺りを注視する。
    そこには水滴と白い塊が散乱していた。

    澪「大根……?」

    紬「そう大根。澪ちゃんも如何?」

    澪は危険を察知して紬へ向き直る。
    紬は先程と同じように手から大根を射出。
    それを糸のネットで防ごうとするも突き破られて澪も梓同様廊下に倒れた。


    69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 13:10:17.81
    梓「やってくれますねムギ先輩……」

    梓がよろよろしながら立ち上がる。

    澪「……成る程な。野菜じゃあ何も感じられないわけだ。ゴキブリより性質が悪い」

    紬「二人とも大人しく帰ってくれない? 今から唯ちゃんと大根の良さについて朝まで語り合いたいのだけど」

    唯「朝まではちょっと……」

    紬「夕飯は大根があるから大丈夫っ!」

    梓「そんな事言って唯先輩に変な事するつもりでしょう」

    澪「それに今更見過ごすわけないだろ。ここには知ってる奴しか居ないから遠慮は要らないよな」

    澪のスカートの中から白い糸が垂れてくる。

    70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 13:25:41.71
    にらみ合いが続く。
    最初に動いたのは梓だった。
    素早い動きで部室に進入する。
    紬はすかさず大根を連続で射出する。
    ものすごい量の大根が部室の壁に当たり砕けていく。

    梓「動いていればそう簡単には当たりませんよ!」

    紬「そうかしら?」

    紬は両手の平を梓に向かって構えた。

    紬「ピクルススプラッシュ!」

    紬の手からは無数の半輪切りにした沢庵がショットガンのように放たれた。

    梓「なっ!?」

    避けれるような距離、範囲ではないと判断した梓が咄嗟に防御の体勢をとる。
    無数の凶弾が容赦なく梓を襲った。

    梓「……っ! ぐぅ!」

    梓の制服と身体が一瞬でボロボロになる。
    殺傷能力の高い沢庵が梓の血を吸ってオレンジ色に染まった。

    71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 13:37:57.72
    梓「……ぁ」

    痛みで気絶しかけたが何とか踏み止まる。

    唯「あ……!」

    紬「この技をまともに受けても立っていられるなんてやるわね……」

    紬が何やら思案している隙を突いて澪が紬との距離を詰めた。

    澪「油断したなムギ。その能力は強いけどそれ以外は普通の人間と変わらないみたいだな」

    澪の蹴りが紬の頭部を狙う。
    それは防がれたが唯から引き剥がすことには成功した。

    澪「唯は返してもらうぞ」

    紬「スピードは中々だけどパワーはイマイチね、澪ちゃん」

    澪「……ごめんなさいさせてやる」

    72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 13:48:19.88
    澪が地面を蹴る。

    紬は沢庵ショットガンを繰り出そうと手をかざすが澪は部室を縦横無尽に駆けて的を絞らせない。

    澪「唯! 部室の外に出てろ!」

    唯「でっでも!」

    澪「いいから早く!」

    唯「わ、わかった!」

    唯が部室の外へ出たのを見計らって澪はさらにスピードを上げる。

    紬「とりあえず撃ってみるべきかしら」

    紬は双方の手から大根を高速で撃ち出した。

    床に壁に天井にドラムに大根が叩き付けられる。

    澪「いつまで撃ちつづけるんだ……?」

    紬「弾切れにはならないわよ澪ちゃん?」

    74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 13:55:07.74
    澪「嘘だろ……」

    逃げつづける澪に疲労が色濃く表れて来た。

    澪「はあ……は……」

    これだけの団幕を張られては迂闊に近づけない。
    部室はいつの間にか水々しい大根おろしで溢れていた。
    澪はそれに足を取られてしまう。

    澪「うあっ!?」

    つるっすてーん。
    派手に転んだ澪目掛けて大根が容赦なく襲い来る。

    澪「がっ……うぐっ!」

    次第に澪の身体が大根おろしに埋もれていく。

    紬「……もう終わり、かな」

    紬が溜息をついた。

    梓「何言ってるんですか?」

    紬「上ッ!?」

    真上から梓が紬を押さえに掛かった。

    75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 14:05:23.64
    紬「しまった……えいっ!」

    梓「うわっ! なんて力……!」

    紬「梓ちゃんじゃ私に勝てないわよ?」

    梓「ちっ……癪ですけどそうみたいですね……いつまで寝てるんですかっ!」

    澪「うぐ……お前がのろのろしてた所為だろ……」

    紬「えっ」

    澪「腕をしっかり抑えてろよ梓!」

    梓「いいから早く!」

    紬「あっ……」

    澪「はっっ!!」

    76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 14:15:20.41
    澪の一撃で紬は部室奥に叩きつけられた。
    すかさず澪は糸で紬を拘束する。

    紬「いたた……あ、捕まっちゃった」

    澪「ゴキブリにしては上出来だな」

    梓「蜘蛛にしてはまあまあのスタミナですね」

    澪「食べるぞ。唯ーこっちに来てくれ!」

    恐る恐る部室を覗く唯。

    唯「み、みんな大丈夫?」

    澪「まあ……一応は」

    梓「まあ……」

    唯「うわっ二人ともまたそんなに怪我して!」

    澪「それより……ムギをどうする?」

    77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 14:34:41.16
    梓「今度こそHTT崩壊でしょうか……」

    紬「その心配はないわ」

    紬が力を入れると糸の拘束がとけた。

    澪「うそっ……!」

    梓「ちょっと! もっとしっかり抑えて下さいよ!」

    紬「待って。まずはみんなに謝らなければいけないわ」

    そう言って深々と頭を下げる。

    紬「ごめんなさい……」

    澪「……」

    梓「どう言う事ですか?」

    紬「実は貴女達の力を見させてもらったの」

    78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 14:44:59.19
    澪「何でそんな……」

    紬「貴方達は感じている? 今この町に恐ろしい気配が近づいている」

    梓「そんな気配は感じません」

    澪「ゴキブリより優れてる私もだ」

    梓「ビビりの癖に」

    紬「そう……私にしかわからないのね。でも確かに桜ヶ丘に何者かが来る」

    澪「そうだったとして今の大根パーティーとなんの関係があるんだ?」

    紬「その何者かは恐らく澪ちゃんと梓ちゃんを狙っているんじゃないかと思うの」

    梓「どうして……」

    紬「二人はほら、アレだから……」

    80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 14:55:16.18
    梓「アレって……まあ言わんとしていることは分かりますけど」

    紬「だから二人の力を見させてもらったの。それと……思ったより仲が良くて嬉しかったわ」

    紬がニゥトっと笑う。

    紬「私たち三人が協力すれば来るべき者に太刀打ち出来るはずよ!」

    澪「なんか……」

    梓「癪です……」

    紬「ごめんなさ~い。実は……」

    澪「分かってるよ。こういう役をやってみたかったんだろ?」

    梓「沢庵めちゃくちゃ痛かったんですけど……」

    82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 15:06:31.53
    唯「……へう?」

    紬「ゴメンね唯ちゃん。お詫びに大根あげるね」

    澪「なあ、もし私たちが来なかったらどうしたんだ?」

    紬「そしたら唯ちゃんと大根パーティー……」

    梓「大根のくだりは本気だったんですか」

    紬「――か、ら、の! 濃厚な……」

    澪「おい」


    83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 15:14:32.39
    翌日の放課後。

    律「話は聞いたけど……部室生臭いぞ」

    紬「ごめんなさい」

    唯「ムギちゃんの沢庵おいしーね!」

    梓「まあ美味しいですけど……パリポリ」

    澪「ごはんがないとな……パリポリ」

    澪「ゴキブリと沢庵て合うのかな?」

    梓「ビビりは残飯でも食べてればいいんですよ」


    84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 15:23:58.03
    紬「まあまあ。はいお茶どうぞ」

    澪「ありがとう」

    梓「いただきます……あれ」

    梓「澪先輩、私の紅茶に糸が入ってるんですけど」

    澪「えーっ、まさかぁ。ミルクの間違いじゃないか?」

    梓「そのでかい胸から糸でも出してるんですか?(笑)」

    澪「こっち向いて喋るなよ、油が飛んでくるだろ」

    梓「自分より小さいものにはやたら態度でかいですね」


    87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 15:35:10.10
    唯「でも昨日はびっくりしたよ~」

    紬「ごめんね唯ちゃん……」

    唯「いいっていいって。それより二人が助けに来てくれたって分かった時嬉しかったよ」

    澪「ほ、ほんと?」

    唯「うんっありがとー澪ちゃん!」

    澪「へへへ……」

    梓「ちょっと蜘蛛先輩、唯先輩をフェロモンで釣るのはやめてくださいよ」

    澪「ちょっと黙ってろ」

    唯「あずにゃんもありがとうね!」

    梓「いえそんな……えへ」

    澪「ごきにゃんもありがとうね……」

    梓「だああああーー!! やるんですかいいですよ相手になりますよ!?」

    澪「はぁー!? そんなに食べて欲しいのか!?」

    88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 15:45:35.16
    律「ふんっ!」

    ゴス。

    澪「あいたっ」

    唯「めっ!」

    ベチーン。

    梓「へぶっ」

    紬「来るべき日に備えてみんな仲良くしないと!」

    律「そうだぞ! 私は役に立てないけど……そんなんで死なれたら堪んないぞ」

    唯「そうだよ……仲良くしてね?」

    澪「わ、わかってるよ」

    梓「……はい」


    89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 15:55:17.01
    そんなこんなで危機が迫っていると知りながら特に何もせず一週間が過ぎた。
    そして週明けの月曜日。
    澪と律はいつものように待ち合わせをして学校へ向かうが、澪の直感が危機を告げた。

    律「どしたー澪? いきなり立ち止まって」

    澪「……律」

    律「もしかして、アレの日か?」

    澪「ああ……律、今日は学校休め。学校には先生を含めて殆ど誰も居ないみたいだ」

    澪「なんだろう……人払い? そんな芸当が出来る奴なのか……?」

    律「大丈夫か?」

    澪「まあなんとかするさ。家にいて一人で襲われるよりは学校で三人で返り討ちにしてやった方がいいだろ?」

    律「わかった、無理するなよ。なんだったら私の貸してやるからな」

    澪「あはは、期待してないけどありがとな」

    澪は一人学校へ向かった。

    90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 16:04:43.20
    学校へ着くいたが人の気配が殆ど無かった。
    その代わり嫌な感じは段々と強くなる。

    澪「うう……怖いよぅ」

    紬「澪ちゃんっ!」

    澪「ひゃあああああああ!!」

    紬「だ、大丈夫?」

    澪「あ、ああムギか……だいじょう――」

    梓「うわあーーー!!」

    澪「ひぎゃあああああああっ!!!」

    梓「ブフッ。おはようございます澪先輩」


    92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 16:14:50.59
    澪「まずは腹ごしらえかな」

    梓「まあまあ、それより学校の中にいるみたいですね」

    紬「ええ……とにかく行ってみましょう」

    澪「ゴッキーはこんな日でもギター持ってきたのか」

    梓「うるさいです。またお腹に風穴開けますよ?」

    だべりながら校内へ入る三人。
    そこには嫌な気配が充満しており根源を特定できない。
    そこでゆいいつの人の気配がする職員室へ向かうことにした。

    梓「失礼します」

    一応ノックをして入室。
    職員室には見知った顔の先生が一人だけ居た。

    さわ子「いらっしゃいにゃん」

    紬「さわ子先生……?」

    さわ子「そうだにゃん。今日は他に誰も居なくて困っていたところなのにゃん」

    澪「先生……どうしたんですか?」

    95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 16:34:54.59
    澪「まずは腹ごしらえかな」

    梓「まあまあ、それより学校の中にいるみたいですね」

    紬「ええ……とにかく行ってみましょう」

    澪「ゴッキーはこんな日でもギター持ってきたのか」

    梓「うるさいです。またお腹に風穴開けますよ?」

    だべりながら校内へ入る三人。
    そこには嫌な気配が充満しており根源を特定できない。
    そこでゆいいつの人の気配がする職員室へ向かうことにした。

    梓「失礼します」

    一応ノックをして入室。
    職員室には見知った顔の先生が一人だけ居た。

    さわ子「いらっしゃいにゃん」

    紬「さわ子先生……?」

    さわ子「そうだにゃん。今日は他に誰も居なくて困っていたところなのにゃん」

    澪「先生……どうしたんですか?」

    96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 16:37:19.65
    さわ子「にゃんにゃーーーん!!」

    さわ子の口からおどろおどろしいものが姿を表す。

    澪「ひっ!? あれが……」

    紬「あれが正体……猫ね」

    梓「うあああっ!?」

    その猫のようなものが霊体となりさわ子から出現。
    梓の口に目掛けて入り込んだ。
    梓は恐怖で動けない。

    梓「ああああっっ!?」

    紬「梓ちゃん!!」

    澪「…………」

    澪も恐怖で動けない。


    97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 16:39:42.52
    猫の霊体が梓の中に完全に入り込むとさわ子は糸切れ人形状態で倒れた。

    澪「あ……ひ……」

    紬「梓ちゃん……大丈夫?」

    梓「……」

    梓「大丈夫だにゃん」

    紬「……だめね」

    澪「……取り憑いたのか?」

    梓「ただのツマミかと思ったら中々しっくりくるにゃん」

    紬「最悪ね」

    澪「ぐっ……」

    梓「ほら」

    梓「早く逃げないと食べちゃうのにゃん」

    101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 17:00:55.50
    紬「澪ちゃん!」

    澪「うんっ」

    紬が合図して二人は職員室を飛び出した。

    澪「ど、どうするムギ!」

    紬「部室へ行きましょう!」

    澪「わかった!」

    その時後方の職員室の扉が吹っ飛び、中から巨大な猫が姿を表した。

    澪「うわっ、なんだよあれ!?」

    紬「まさか……梓ちゃん!?」

    澪「あれが!?」

    体長5メートルを超える巨大な猫が澪達を追いかける。

    猫梓「お前たち鈍過ぎるにゃん」

    102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 17:09:52.94
    澪「くっそ! ムギ、乗れ!」

    澪の下半身が大きく膨れて蜘蛛のそれになる。
    紬はそこに跨った。

    澪「スピード上げるぞっ!」

    紬を乗せて部室へ向かう。
    しかし澪のスピードを持ってしても猫を振り切る事が出来ない。

    澪「なんて早さだ……!」

    紬「嫌な予感の正体は猫……私たちはごはんとおもちゃくらいにしか思われてないわね」

    楽しそうに追ってくる巨大な猫梓を見て呟く。

    澪「ううううっ……ころされるぅ……!」

    半泣きで必死に逃げる澪。

    紬「うーん……とりあえず反撃してみるね」

    紬が猫梓に向かって手をかざした。

    103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 17:18:11.88
    大根を射出。
    猫梓に命中。
    しかし猫梓は止まらない。

    澪「どうなった!?」

    紬「あんまり効いてないかも……」

    澪「うああああんっ! ムギィ~!」

    紬「お、おちついて澪ちゃん! とりあえず撃てるだけ撃ってみるね」

    大根をガトリング。
    廊下をフルに使って被弾を最小限に抑える猫梓。
    紬は攻撃の手を休めないが猫梓もスピードを落とさない。

    紬「それならっ!」

    紬は天井に向かって大根を撃ち出した。
    大根は天井で弾けてすりおろされて廊下に広がる。


    104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 17:27:50.56
    しかし猫梓はツメを使って難無くすりおろし廊下を越えてくる。

    紬「……」

    澪「どうだ? やったかっ!?」

    全力で飛ばしているため脇見をする余裕の無い澪が聞いてくる。

    紬「……とっ、とりあえず部室に!」

    澪「もうやだあああっ」

    澪の跳躍で階段を上りきって部室に駆け込み、扉を閉めた。

    澪「どどどどどうしようムギっ」

    紬「澪ちゃん糸を出して!」

    澪「いとっ!」

    だばー。
    澪から大量の糸が垂れる。

    106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 17:36:05.97
    猫梓「にゃんにゃん」

    その巨体で軽やかに階段を駆け上がる。

    猫梓「ここかにゃん!」

    猫梓が部室の扉を突き抜けて入ってきた。

    紬「澪ちゃん!」

    澪「よしっ!」

    仕掛けて置いた糸が猫梓の身体に絡みつく。

    猫梓「なんだにゃん?」

    紬「そのままくるんじゃって!」

    澪「分かってる!」

    糸で猫梓をがんじがらめにする。

    猫梓「ぷへっ。気持ち悪いのにゃん」

    しかし猫梓が暴れると糸は切れてしまう。

    107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 17:45:16.38
    澪「うそっ」

    猫梓「ほんとにゃん」

    猫梓が前足で澪をなぎ払った。

    澪「げえあっ!?」

    紬「澪ちゃん!!」

    澪が猫梓の一瞬の攻撃を避けれずドラムセットに突っ込む。
    続いて猫梓が紬をにらむ。

    猫梓「お前の大根の所為で身体が水浸しなのにゃん」

    紬「沢庵もあるのっ!! ピクルス――」

    紬が沢庵ショットガンを打ち出そうとするが突然猫梓の姿が消える。

    紬「えっ?」

    澪「ムギっうしろ!」

    108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 17:54:41.65
    猫梓「お前はのろいにゃん」

    紬を前足で叩きつけてそのまま押し潰した。

    紬「むぎゅう……!」

    澪「ムギィーーーー!!」

    それを目の当たりにした澪が梓猫に体当たりをかます。

    猫梓「うごっ……まあまあ早い……にゃん!」

    澪「っが!」

    澪を尻尾ではたき落とす。

    澪「げほっ……くそ」

    猫梓「蜘蛛は足を一本ずつもいでいくのが楽しいのにゃん」

    猫梓は馬鹿にしきった表情で澪を眺めている。
    と、その時。猫梓の意思に反して前足が動いた。

    109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 18:04:08.73
    猫梓「にゃん?」

    下から持ち上げる力が猫梓の前足を跳ね除けようとしている。
    猫梓はそれを押し潰そうと力を入れるが前足はどんどん浮いて来る。

    猫梓「ぐぬぬ……!」

    紬「わ……私……パワーには自信が……あるのぉっ!!」

    猫梓「にゃにゃん!?」

    紬が力を振り絞って猫梓を跳ね除けた。
    猫梓は体勢を崩す。

    紬「澪ちゃんっ!!」

    体勢を立て直した猫梓の牙が紬を襲うが間一髪で澪が紬を拾った。

    澪「こ、こわかった……」

    紬「澪ちゃんありがとっ!」

    111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 18:16:04.20
    猫梓「ちょっと楽しくなってきたにゃん」

    澪「くそお……ゴキネコめ……」

    紬「澪ちゃん」

    澪「ん?」

    紬「猫梓ちゃんの懐に行きたいの。出来るかな?」

    澪「……や、やってみる」

    猫梓「にゃにゃんっ」

    猫梓が飛び掛かってくる。
    紬を乗せた澪がそれを寸でのところでかわしていく。

    猫梓「その調子にゃん!」

    澪「このっ……!」


    112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 18:27:28.70
    噛みつき、引っかき、尻尾。
    それらが澪を仕留め損ねると部室に傷跡を増やしていった。

    澪「はあっ……はあっ」

    猫梓は少しずつ澪との間合いを詰めていく。
    そうして段々と逃げる範囲を狭められ、澪は部室の角に追いやられた。

    猫梓「どうしたのにゃん?」

    意地の悪い笑みを浮かべて前足を構える。

    紬「別にっ!」

    紬が大根を猫梓の顔面に射出した。
    猫梓はそれを前足で払いのけると目前には澪がいた。
    猫梓がそれに食いつこうとした瞬間、澪は糸を足場にして空中で方向転換する。

    澪「よしっムギ!」

    紬「はいっ!」

    猫梓の下から声が聞こえた。

    猫梓「にゃに!?」


    113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 18:37:39.33
    紬は猫梓の腹に右手を添えて叫んだ。

    紬「ラディッシュパイルバンカー!」

    部室全体を揺るがす激しい揺れと油圧系の音が鳴り響いた。
    紬がゼロ距離で撃ち出した巨大な大根が猫梓の腹部を貫く。

    猫梓「ゲボアッ!!」

    びちゃびちゃと血を吐く猫梓。
    腹部からもおびただしい血が流れている。

    猫梓「グボッ……く……そったれにゃん……グパパパパーー!」

    猫梓の口から霊体の猫が飛び出し、梓から完全に追い出されたそれが実体化する。
    それは体長1メートル程度の猫で先程の巨大猫のような身体能力は見受けられない。

    猫「ごはっ……仲間ごと攻撃するとか最悪なのにゃん……」

    114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 18:46:37.57
    紬「観念して! 今なら見逃してあげる」

    猫「くう……仕方ない、今のゴキブリより性能は劣るがさっきのメガネ女をもう一度乗っ取るにゃん。……人払いが裏目に出たかもしれないにゃん」

    猫は部室を飛び出して職員室へと向かい始めた。

    紬「そうはさせないっ!」

    紬はすぐさま後を追った。
    部室に残されたのは猫を追い出した事で元の身体に戻った梓とそれを棒立ちで見つめる澪。

    梓「……」

    澪「……梓?」

    澪がふらふらと梓の元へ歩み寄り膝を突く。
    梓は巨大な猫に変化していた所為で制服が破れてしまい今は一糸纏わぬ姿だ。
    腹部の怪我と流れ出る血が痛々しい。
    澪はそっと梓を抱きかかえた。

    澪「おい梓……生きてるか?」

    116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 18:54:50.98
    梓「……うぷ、げほっ」

    咳き込みながら血を吐き出すも返事を返す。

    梓「生きてますよ……えふっえふっ。……あの猫はどうなりました?」

    澪「今ムギが追ってる。それにしても流石ゴキブリはしぶといな。まあサービスで止血しておいてやろう」

    梓「それはどうも……。うあ、私裸じゃないですか……やだなあ」

    澪「ゴキブリなんだからいいじゃないか」

    梓「嫌ですよ。澪先輩ブレザー貸してください。癪ですけど無いよりマシです」

    澪「糸で全身巻いてやろうか?」

    澪が糸で作った即席の包帯で梓の腹部を止血する。
    梓はゆっくり起き上がり渋々貸されたブレザーを羽織った。

    澪「っと、のんびりしてられないな。私はムギを追う。ゴキブリはホイホイで休んでろ」

    梓「律先輩に言いつけますから」

    梓を部室に残し澪はムギを追って職員室へ向かった。

    117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 19:09:51.07
    梓「……うぷ、げほっ」

    咳き込みながら血を吐き出すも返事を返す。

    梓「生きてますよ……えふっえふっ。……あの猫はどうなりました?」

    澪「今ムギが追ってる。それにしても流石ゴキブリはしぶといな。まあサービスで止血しておいてやろう」

    梓「それはどうも……。うあ、私裸じゃないですか……やだなあ」

    澪「ゴキブリなんだからいいじゃないか」

    梓「嫌ですよ。澪先輩ブレザー貸してください。癪ですけど無いよりマシです」

    澪「糸で全身巻いてやろうか?」

    澪が糸で作った即席の包帯で梓の腹部を止血する。
    梓はゆっくり起き上がり渋々貸されたブレザーを羽織った。

    澪「っと、のんびりしてられないな。私はムギを追う。ゴキブリはホイホイで休んでろ」

    梓「律先輩に言いつけますから」

    梓を部室に残し澪はムギを追って職員室へ向かった。

    118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 19:11:37.55
    紬「待てー!」

    猫「お前の言う事なんて聞く必要ないにゃん! ……ん?」

    猫は職員室へ向かっていたが突然別の方向へ駆け出した。

    紬「えっ? どうして……」

    とにかく後を追う紬。
    猫と紬が玄関に辿り着くと猫は邪悪な笑みを浮かべ、紬は驚愕した。

    猫「すごいにゃん……さっきのゴキブリ以上の逸材だにゃん!」

    紬「う、憂ちゃん!? どうして……!」

    憂「おっきい猫! あ、紬さんおはようございます。何だか今日は人が少ないような……」

    猫「いただきにゃす!」

    猫が姿を霊体に変えて憂の口へと入り込む。

    憂「んっ!? ん、んぁ……おぶっ!?」

    紬「しまった!」

    119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 19:18:26.57
    憂の身体がガクガク震えてからピタリと静止する。
    うなだれていた頭を持ち上げて紬を睨む瞳には狂気が見え隠れしていた。

    猫憂「こ、これほどまでとは……! これなら猫の姿にならずとも力を限界まで引き出せるにゃん!」

    紬「ああ……憂ちゃん……」

    猫憂「……さてと。そこの沢庵にはさっきのお礼をさせてもらうのにゃん」

    紬「くっ!」

    紬は沢庵ショットガンを放とうとするも憂の身体の事を考えて躊躇してしまった。
    猫憂は紬の動作など最初から気にしていない様に殴りかかる。

    猫憂「ふんっ!」

    紬「うきゃっ!」

    力任せに振り下ろされた拳は紬を10メートル近く吹き飛ばし壁に叩きつけた。
    猫憂はその後を追い壁に大の字で張り付く紬の腹部に膝をねじ込む。
    前のめりになった所に組んだ手を叩きつけ今度は地面に貼り付けた。

    紬「むぎゅ……!」

    猫憂「これはすごいのにゃん! 無敵と言っても差し支え無いのにゃん!」

    己の力に歓喜する猫憂。
    紬はピクピクと痙攣している。

    120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 19:27:52.88
    澪「ムギッ! 今の音は……」

    遅れて玄関にやって来た澪が口を大きく開けて驚く。

    澪「憂ちゃん!?」

    猫憂「遅かったのにゃん。お前がのろのろしてるから沢庵がボロ雑巾になってしまったにゃん」

    澪「ムギ!? しっかりしろ!」

    全く反応しない。

    澪「……憂ちゃんに取り付いたのか、お前」

    澪が猫憂を睨み付ける。

    猫憂「ふふっまあ待つのにゃん。とりあえずこの沢庵をすりおろすのにゃん」

    澪「なっ!? おいやめろっっ!!」

    猫憂は制止も聞かずに紬を玄関目掛けて全力で蹴った。

    121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 19:36:07.42
    もの凄い勢いで地面にぶつかりながら吹っ飛ぶ紬。
    玄関を抜け木々を砕いても尚止まらず、校門脇の壁をも破壊した。

    澪「むっむぎいいいいいいいいい!!」

    猫憂「イヤッホウ、GOOLなのにゃん!」

    その言葉で澪の堪忍袋の緒が切れた。

    澪「いい加減にしろよお前っ!!」

    六本の足は一瞬で間合いを詰める。
    しかし澪の左拳は空を切った。

    猫憂「おっと! お前はこの姿に遠慮とかしないのかにゃん?」

    澪「……っ!!」

    益々澪の怒りが爆発する。
    抑え切れない感情が拳を震わせ、禍々しい殺気となり溢れ出す。

    122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 19:45:45.32
    下の階の衝撃が部室にまで響いてくる。
    加えて寒気のするような恐怖と慄くほどの怒気が離れていても感じ取れた。

    梓「澪先輩……どうなってるの……?」

    梓「行かなきゃまずいような気がする。でも裸はやだなぁ……あ、そういえば」

    梓はさわ子の遺産を身に付け部室を出た。
    階段を降り始めた時一際大きく校舎が揺れる。

    梓「早くしないと……!」

    梓はまず職員室で落としたであろうギターを拾いに向かう。
    一階へ着いた頃、戦場は玄関を抜けて広場の辺りへと移っていた。
    職員室へ飛び込んだ梓はさわ子の横に寝ているギターを発見。

    梓「……よし! G.K.B.R.は壊れてない!」

    ギターを担いで玄関へと急いだ。

    123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 19:55:51.95
    澪と猫憂の戦いは熾烈を極めていた。
    一階の校舎は既にボロボロ。
    外壁も容易く壊れてしまうためまるでお菓子の家みたいだなと澪は思った。

    猫憂「おねむの時間はまだなのにゃん」

    お菓子の家で遊ぶ夢から帰って来ると血の味が口に広がり現実に引き戻される。

    澪「うっぐ……このっ」

    胸倉を掴んでいた猫憂の手を掴み二本の足で蹴り飛ばした。
    猫憂は数メートル飛ばされたが綺麗に着地した。

    猫憂「おうふっ」

    猫憂「その調子なのにゃん」

    澪「はあはあはあ…………くそっ」

    肩で息をしている澪に対して猫憂はピンピンしている。

    126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 20:05:14.33
    「謝っても許さないからな!」

    猫憂「何言ってるのにゃん。この状況で謝るも何もないのにゃん」

    澪「梓を傷付けてムギをボロボロにして憂ちゃんまで乗っ取って……!」

    猫憂「ゴキブリをやったのはそっちにゃん」

    澪「うるっさい!」

    澪が愚直に突っ込み荒削りな攻撃を仕掛けるが難無くかわされてしまう。

    猫憂「にゃんっ!」

    澪「あぐっ!?」

    猫憂はラリアットを繰り出し、それを食らった澪は頭を地面に打ちつけた。
    倒れた澪の蜘蛛足を一本掴み、胴体に脚をかけて引っ張り始める。

    澪「ひぎっ!? ……あ゛あ゛あ゛っ!!」


    127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 20:14:22.89
    猫憂「ホウホウホウホウ……!」

    澪「うぐぁああああ……!!」

    猫憂「ホーーーーウ!!」

    猫憂は力任せに澪の蜘蛛足を引き千切った。

    澪「……っ!! ……っあ゛!!」

    澪が声にならない叫びをあげてのた打ち回る。
    猫憂はそれを蹴り飛ばす。
    そして近くにあった桜校の石像を土台ごと引っこ抜くと澪に向かって投げ飛ばした。

    猫憂「ブチュッと潰れてしまえにゃん!」

    石像が着弾すると衝撃で桜校が揺れる。
    周りは砂煙に包まれた。


    129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 20:25:00.76
    澪「ひうっ! …………え?」

    圧倒的な質量が澪に襲いかかる瞬間。
    黒耀の羽を纏った蜚蟲が澪を抱きかかえ飛翔した。

    猫憂「まだ何かいたのにゃん……チッ」

    澪「……た、助かったよあず――」

    澪「うわあぁあっ! 誰だお前っ!?」

    豚「ふう、危なかった……って何ですかその言い草は。落としますよ」

    澪を抱きかかえていたのは羽を生やしギターを担いで豚の顔を被りゴスロリメイド服を着た梓だった。

    澪「何だよその格好は!」

    梓「それは……うぐっ、それより降りますよ。元々飛ぶのは得意じゃないし澪先輩重いです」

    130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 20:36:19.18
    地上に降りると梓は澪にブレザーを返した。

    梓「これ……ええと、その、あ、ありがとうございました」

    澪「ふえっ、あ、うん」

    そっぽを向きながらいそいそとブレザーを羽織る。

    梓「……あー、それで、部室に衣装があるのを思い出して……でも背中が開いている服がこれしかなくって」

    梓は言いながら背中の羽を動かしてみせた。

    澪「ゴキロリメイドか。それでどうして豚の被り物してるんだよ」

    梓「ヘルメット代わりです。で、足は大丈夫なんですか?」

    澪「すっごく痛いぞ。……ただでさえスピードで負けてたのにこれじゃあな」

    梓「2対1でもダメですかね?」

    澪「どうだろうな」

    131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 20:45:22.15
    猫憂「今更ゴキブタが一匹増えても意味無いのにゃん。いや、多少は面白くなるかもにゃん?」

    猫憂が歩き始める。

    梓「いちいちムカッと来ますねあの猫」

    澪「そうなんだよ。今は恐怖よりもイライラが先に来てる」

    梓「くそー憂の身体じゃなかったらGKBRをお見舞いしてるのに……」

    澪「ほら、走って来たぞ。死なないように気を付けろ……よっ!」

    澪が無数の糸を撃ち出す。
    それらを全て避けながら猫憂が懐に飛び込む。
    二人は後方へ飛び退くが梓は足を掴まれてしまう。

    梓「あ――!」

    そのまま地面に叩きつけられた。


    134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 20:55:11.92
    梓「かはっ……!」

    澪「梓っ!」

    梓「こ、の!」

    梓が起き上がり反撃するも猫憂には当たらず。
    逆に隙を突かれて梓の腹部、丁度傷のある辺りに親指を刺し込まれた。

    梓「っっいぎぃ!!」

    猫憂「ははははは」

    梓「んぎっ! ……ひぐぅっぅぅううう!」

    グリグリと親指を傷口にねじ込まれて梓の身体が痙攣する。

    澪「は、な、れ、ろっ!」

    猫憂「おっと」

    澪の攻撃にカウンターで裏拳を入れる。

    澪「ぶぺっ!」

    136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 21:05:06.66
    梓「はぁっ……はぁっ……くのっ」

    猫憂から解放された梓も攻撃に転ずる。
    猫憂は二人をいなしながら弄ぶ。
    数的有利ではあるが負傷している二人では歯が立たない。
    立ち向かうのが無駄に思えるほど一方的な展開だった。

    梓「うぶっ!」

    頭部を殴られて豚の被り物が吹っ飛ぶ。
    豚を身代わりにした梓は猫憂との距離を取った。

    梓「ヘルメットが無ければ即死でした……やっぱり触角出してないとダメだなぁ」

    澪「げほっ……ぜえ……ぜえ……」

    梓「ひゅー……ひゅー……」

    澪「か……」

    梓「……?」

    澪「帰りたい……」

    梓「……」

    138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 21:16:00.38
    二人の動きは段々鈍くなり益々猫憂との差がつけられてゆく。
    涼しい顔をしている猫憂。
    足を一本無くし、追加で一本折られた澪。黒髪は汗と血と砂でぐしゃぐしゃになりブレザーは素より身体もボロボロだ。
    梓の黒く光っていた羽も傷つき汚れてしまい最早飛べそうに無い。ゴスロリメイド服の腹部は赤黒い血で滲んでしまっている。

    澪「……やっぱり死ぬ前にそのギター使ってみないか?」

    梓「それしかないですね。私たちが死んでも憂の身体は取られたままでしょうし」

    澪「ムギの分くらいはお返ししてやりたい」

    梓がストラップを引っ張り背中のギターを構える。

    猫憂「?」

    梓「うい……ごめん……!」

    梓が猫憂に向けてビームを撃ち出した。

    猫憂「むおっ!?」

    139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 21:25:51.55
    ビームは校舎に命中し爆発が起こる。

    猫憂「ふう、危ないのにゃん」

    梓「うそ……」

    澪「避けられた……」

    梓「澪先輩足止めしてください」

    澪「無理言うな。出来るならとっくにやってるよ」

    梓「じゃあどうしましょうか」

    澪「……大人しく死ぬとか?」

    梓「それは嫌です」

    澪「私も。……仕方ない、足止めするか」


    140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 21:35:16.10
    澪「何だったら私ごと打ち抜いてもいいぞ」

    梓「わかりました」

    澪「……いや、最期に梓を食べる事にしようかな」

    梓「……まああいつよりは澪先輩に食べられる方がマシかもしれませんね」

    澪「えっホント? ……実はちょっと前から食べたかったんだよね」

    梓「ずっと前から食べる食べるって言ってたじゃないですか」

    澪「いや、その……ちょっと前から人間的な意味で食したいな……なんて」

    梓「……マジですか」

    澪「割と」

    梓「まあ、少し位なら……」

    澪「……」


    141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 21:44:41.67
    梓「今の内に言っておきます。怪我の手当てしてくれてありがとうございました。ブレザーも」

    澪「う、うん……」

    梓「何だかんだ言って楽しかったです」

    澪「何が?」

    梓「色々とです」

    澪「……そうだな。もっとみんなと部活やりたかったな」

    梓「ですね」

    澪「出来ればもう一度唯と……」

    梓「ありえないですやめてください。私だって唯先輩と……」


    144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 21:54:32.54
    澪「唯のあの独特な感じが最高に良いんだ」

    梓「それには同意ですね。子犬を愛でるような不思議な感覚が心をくすぐります。唯先輩って何者なんでしょうね」

    澪「さあなぁ。とにかく近くにいるだけで心がざわつくんだ……ほら」

    梓「ああ……こんな感じにですね…………え?」

    猫憂「もう終わりかにゃん? じゃあそろそろいただきますするのにゃ……ん?」

    梓、澪、猫憂が一斉に正門へと目を向ける。
    そこには遅刻ギリギリで息を切らせてやって来たわんこがいた。

    唯「はぁはぁ……あれー誰ともすれ違わなかった……もしかしてアウト!?」

    梓「ゆっ、唯先輩!?」

    唯「あずにゃん! それに憂と澪ちゃんも! よかった~遅刻かと思ったよ~」

    澪「唯! こっちに来るな!」

    唯「どしたの澪ちゃん……って二人ともどうしてそんなに傷ついてるの!?」

    145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 22:05:23.83
    猫憂「ん……? なんだあいつ……なんか美味そうだにゃん」

    梓「なっ!? やめてっ! 唯先輩を食べるなんて許さない!」

    猫憂「だーかーらーお前の指図は受けないのにゃん」

    唯「二人とも大丈夫なの!?」

    猫憂「ちょっと味見してやるにゃん!」

    唯「憂……?」

    澪「そいつは憂ちゃんじゃない!」

    猫憂「にゃんにゃん!!」

    猫憂が唯に狙いを定めて飛び掛かる。

    梓「あっ! 唯先輩逃げてぇ!!」


    147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 22:15:16.96
    猫憂「いただきにゃす!!」

    唯「めっ!!!!」

    猫憂「ぐひっ!!?」

    唯が叫ぶと猫憂の動きが止まった。

    猫憂「な……!? 身体が動かないにゃん……!」

    澪「唯の声に憂ちゃんの身体が反応した……!?」

    唯「澪ちゃんとあずにゃんに酷い事しちゃダメでしょおっ!?」

    猫憂「んがっ!?」

    唯が猫憂の額を小突いた。

    梓「えっ!?」

    猫憂「ぐっ、お、おげぇぇぇええ!!」

    猫が憂の口から飛び出す。

    148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 22:25:13.59
    澪「やった! あいつ憂ちゃんの身体から追い出されたぞ!」

    梓「憂の身体が仇になったんだ!」

    猫「ぐへぇなんだこいつ! ならこいつの身体を貰うにゃん!」

    梓「あっ!!」

    澪「やめろぉ!」

    猫が唯に乗り移ろうとする。
    しかしそれは大根によって阻止された。

    猫「へぶぉっ!?」


    150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 22:36:14.12
    澪「サンキュー!」

    猫「お……お……! くそっ! 誰でもいいから乗っ取ってやるにゃん!」

    澪「そんなことさせるわけないだろ!」

    澪が糸を使って猫を縛り上げる。
    繋がれた糸を振り上げて猫を空中へ放り、さらに無数の糸を撃ち出し空中で固定した。

    猫「おおうっ!?」

    澪「梓ぁっ!!」

    梓「わかってます! G.K.B.R.ッッッッ!!」

    既にギターを構えていた梓が猫に向かってビームを放った。
    ビームは糸にからまった猫を穿つ。
    穴の開いた猫は地面へと落ちた。


    154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 22:46:22.12
    猫「ぉ……」

    澪梓「やったーーーー!!」

    唯「うわっ! え……何がどうなったの?」

    澪「ありがとう唯ぃいい!!」

    唯「うわっぷ! ちょっと待って澪ちゃん! 憂が寝ちゃって……」

    梓「やりました! 私やりましたよ唯先輩ッ!!」

    唯「のおわっ!?」

    澪と梓に抱きつかれて唯と唯に抱きかかえられていた憂が押し倒された。

    唯「お、重いよ二人とも! 憂が潰れちゃうよ~!」


    155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 22:59:50.38
    梓「あっすいません」

    澪「嬉しくってつい……」

    唯「二人とも大丈夫?」

    梓「まあなんとか」

    澪「死ななきゃ安いよ」

    唯「えっと……これってアレだよね、終わったんだよね」

    梓「はい、先輩のおかげで」

    澪「そういえばあいつを忘れてたな」


    156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:08:25.85
    猫「……」

    澪「唯、私たちは仕上げをするから憂ちゃんを保健室に連れてってやってくれ」

    梓「私たちもすぐ行きます」

    唯「うん、わかったよ」

    唯は憂をおぶって校舎へと入って行った。

    澪「私が多めにもらうからな」

    梓「それはありえないです」

    澪「それよりさっさとしようか……」

    梓「ですね……」

    澪梓「いただきます」


    157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:16:13.27
    斯くして梓と澪に訪れた危機は去った。
    数日後、梓と澪と紬が回復すると軽音部は平常運転へと戻っていった。

    澪「いやー今回ばかりは死ぬかと思った」

    律「あの日のお前達ボロボロだったもんな」

    梓「私はまた制服を新調する羽目になりました……」

    澪「私もお気に入りのパン……いや何でもない」

    唯「でもこうしてみんなが無事でよかったよ」

    律「だな!」

    紬「はーいお茶が入りましたよー」


    159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:25:06.00
    梓「それにしても……憂が人払いを押しのけて学校に来るとは思わなかったです」

    紬「おかげでサッカーボール体験しちゃったわ」

    澪「そういえば唯も学校に入ってきてたよな?」

    唯「え? 何の事?」

    梓「あの日学校に来る時何も感じなかったんですか?」

    唯「う~ん……さあ?」

    澪「唯が分からないんじゃ仕方ないか」

    梓「ですね」


    160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:34:14.11
    澪「そういえば梓、食べさせてくれるんだよな?」

    梓「はい? 何の話ですか?」

    澪「とぼけるなって。あの時私に言っただろ、食べてくださいって」

    梓「言う訳ないでしょうそんな事。言ったといえば澪先輩私に告白しましたよね?」

    律「何ィ!?」

    紬「ええっ!?」

    唯「うそー!?」

    澪「こ、こく……! そ、そんなわけあるか!!」

    梓「しおらしくしながら言ってたじゃないですか」


    161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:42:12.28
    澪「はあっ!? そんなに食べられたいのか?」

    梓「食べたいのは蜘蛛先輩の方でしょ? 何ですかまた告白ですか?」

    澪「よし表に出ろ。洗剤かけてやる」

    梓「そんなに興奮してると糸漏らしますよ?」

    澪「そろそろ黙れよゴキブタ」

    梓「何ですか内弁慶」

    唯「もうっ! 二人ともやめなよ! せっかくみんな元気になったんだからさ……」

    澪「唯……」

    梓「唯先輩……」

    唯「もっと仲良くしよ? ね?」


    162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:51:07.47
    澪「えっ……いいの?」

    唯「へ?」

    梓「今のは私に言ったんですよ」

    澪「いや私だろう」

    唯「あの、二人に言ったんだけど……」

    澪「まあ、そう言われちゃあ仕方ないかな。梓はどうだ?」

    梓「そうですね、私もいいと思いますよ澪先輩」

    唯「うん?」

    澪「それじゃあ……」

    唯「澪ちゃん? スカートの中から糸が垂れてるよ……?」

    梓「では……」

    唯「ふぇ、ちょ、あっ――」

    澪梓「いただきますっ」

    163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:59:06.53

    ――――――――――――――――

    音   ?「猫がやられたようだな……」

    に   ??「奴は四天王の中でも際弱……」

    の   ???「しかし収穫はあった……」

    和   ?「あの姉妹の力……美味しそうだケロ……」

    訪   ??「なんとしてもあの力を手に入れたいワン……」

    る   ???「では私が行こう……まずはあの虫ケラ共を消してやるコケ……」

    信   ?「フフフフ……待っていろよ……」

    て     「「「ハハハハハ……!」」」







    END

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梓「絶対に言いませんからね?」
憂「猫のように」
梓「王様ゲーム…ですか?」
  1. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/10/10(日) 17:10:37 URL [ 編集 ]
    スレタイからは想像できねえwww
  2. 名前: AA ◆- 2010/12/17(金) 01:06:09 URL [ 編集 ]
    スレタイで三十分笑い転げた
  3. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/17(金) 03:10:13 URL [ 編集 ]
    >澪のスカートの中から白い糸が垂れてくる。

    エロすぎ

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