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唯「さくらんぼ」

  1. 名前: 管理人 2010/10/18(月) 16:03:48
    1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/17(日) 19:06:40.63
    憂が好きです。

    ずっとずっと、今までずーっと好きでした。
    そして、これからもずーっと好きです。

    いつも一緒に居たい。離れたくない。
    憂を抱きしめた時の
    腕の中に残るぬくもりが恋しいから。


    目を瞑れば憂の笑顔が浮かびます。
    真っ暗闇の中に居ても
    憂の笑顔は眩しいくらいに輝いていました。


    憂――大好きだよ。


    4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 19:10:59.52
    紬「唯ちゃん?どうしたの?」

    目を瞑っていた私にムギちゃんが問いかけました。

    何でもないよ、と笑顔で返事をします。

    紬「そう。あんまり思いつめちゃダメよ」

    そう言い、私の目の前に
    今日のデザートである美味しそうなパフェを置きました。

    小さな透明カップに入れられ
    下から、コーンフレーク、チョコ、生クリーム
    リンゴ、バナナなどの果物が断層に重ねられています。

    そして一番上にちょこんと小さな果実。
    そう、久しぶりに見ました。

    ――さくらんぼ。


    7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 19:15:20.26
    紬「さあ、食べましょう」

    唯「うん、いただきます」

    甘くて美味しいパフェ。
    甘いのなら何でも好きです。

    ムギちゃんが持ってくるお菓子も好きだけど
    やっぱり一番は憂が作ってくれたお菓子です。

    ――憂のお菓子が食べたいなぁ。

    紬「美味しい?唯ちゃん」

    唯「うん。とーっても」

    ムギちゃんはよかった、と笑顔で言います。


    10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 19:23:07.02
    少しの間カチャカチャと云う
    スプーンとカップが触れ合う音だけ部室に響きました。

    話を切り出さない私を見るに見かねたのか
    間を置いてからムギちゃんが優しく言ってくれました。

    紬「それで相談と言うのは?」

    唯「うん……」

    紬「まあ、大体分かるけどね。憂ちゃんのことでしょ?」

    私はこくりと頷きました。
    何でもお見通しなムギちゃんは凄いです。
    やっぱり相談事はムギちゃんに限ります。

    普段おっとりしているけど
    人一倍、皆のこと大切に想っていて
    優しく接してくれるムギちゃんは天使の様です。

    11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 19:27:35.82
    唯「私さ……憂のことが好きなんだ」

    紬「でしょうね。普段の唯ちゃんを見てれば分かるわ」

    唯「……軽蔑しない?」

    ムギちゃんは、前に女の子同士が
    イチャついているのを見るのが好きと言ってました。

    でも憂――妹のことが好きだとどうなるか不安でした。

    ムギちゃんは否定することなく優しい笑顔で
    素敵なことじゃない、と言ってくれました。

    そして椅子から立ち上がり、私の隣へ移動してきました。

    12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 19:30:36.43
    紬「人が人を好きになるのに、性別や血縁何て関係ないもの」

    紬「皆、その人だから好きになるのよ」

    紬「唯ちゃんは憂ちゃんね」

    ムギちゃんの言葉を聞くと、胸の奥が軽くなった気がします。
    空々しい発言では無いことが表情から分かりました。

    月並みな言葉かも知れませんが
    ムギちゃんから言われたことが嬉しくて
    それがすーっと安堵感で私を充たしてくれます。

    14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 19:33:35.60
    やっぱりムギちゃんに相談して正解でした。
    私の不安を一瞬でかき消してくれます。

    紬「唯ちゃん泣いちゃダメよ」

    いつの間にか涙が頬を伝い制服へと零れていきました。
    そして私の口にも。

    ――しょっぱかった。

    ムギちゃんがハンカチで涙を優しく拭いてくれました。

    15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 19:37:08.62
    唯「でも、憂に何て言えばいいのか」

    紬「唯ちゃん達に必要なのは切っ掛けよ」

    唯「切っ掛け……?」

    紬「そう。二人を後押ししてくれる切っ掛け」

    唯「でも、切っ掛けって……」

    ムギちゃんは「うーん、そうね」と軽く唸りました。
    その間私はムギちゃんから目を逸らし
    目の前の食べかけのパフェを見詰めました。

    17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 19:39:55.72
    殆ど食べてしまい、さくらんぼだけが取り残されています。
    私は、パフェのさくらんぼを最後に食べるのが好きです。

    素手で掴み、食べようかな、と口へ運ぼうとしたら
    ムギちゃんが手の平をポンっと叩いて言いました。

    紬「それだわ!」

    目は凄くきらきら輝いていました。

    19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 19:44:02.05
    唯「さくらんぼ?」

    紬「そう、さくらんぼ」

    こんなただのさくらんぼが何の役に立つのか
    私にはさっぱりでした。

    普通の甘い果実。
    食べる以外に使い道が?

    紬「唯ちゃん、見てて」

    ムギちゃんはそう言うと
    自分のカップのさくらんぼを掴み、口の中へと運びます。

    そして、もごもごと口を動かしました。

    20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 19:48:28.82
    そんなムギちゃんを不思議に思い、じっと見詰めました。

    十秒くらい経ったころでしょうか。
    ムギちゃんが手の平に先程のさくらんぼを取り出しました。

    種と一緒に出てきたヘタは綺麗な輪っかを描いていました。

    口元をハンカチで拭い、ムギちゃんは言います。

    紬「どう?唯ちゃん」

    唯「んー綺麗に輪っか出来てるね」

    紬「口の中で舌を使って結ぶのよ」

    紬「唯ちゃんもやってみて」

    21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 19:51:26.71
    食べるように勧められてさくらんぼを口へ含みました。

    少しぬるくなったさくらんぼ。
    舌の上でころころ転がします。

    あ、先に実を取ってからヘタを食べればよかったですね。
    ムギちゃんみたいに
    実を食べながらヘタを残すのは難しいかな……。

    一度口から取り出し、実だけを先に食べました。
    ムギちゃんがクスクスと笑っています。
    私もテレ笑いで返しました。

    23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 19:54:09.30
    そして再びヘタを口の中へ。
    ムギちゃんと同じ様に舌をもごもご動かします。

    こう、舌でヘタを押したり丸めようと必死に動かしますが
    上手くいかないようです。

    諦めてヘタを手の平に吐き出しました。
    当然結ばれてはおらず、元の状態でした。

    紬「あら、残念ね」

    唯「無理だよ。むずかしいよ」

    24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 19:56:20.07
    紬「結構簡単だけどね」

    紬「舌で輪っか作って、歯を使って端っこを通すの」

    紬「後はスッと吸っていけば完成ね」

    ムギちゃんは、簡単そうに言いました。
    いっぱい練習でもしたのでしょか。

    紬「唯ちゃんにも、そのうち出来るようになるわ」

    唯「そうかな……でもこれが何の役に?」

    25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 20:01:27.07
    ムギちゃんはそっと私の耳元に顔を近づけささやきました。

    紬「――――――」

    唯「…………っ!」

    ムギちゃんの言葉を聞くと
    私は見る見る顔が紅くなっていくのが分かりました。

    紬「わっ。唯ちゃん顔真っ赤。かわいい!」

    唯「ムギちゃんが……そんなこと言うから……」

    ムギちゃんが勢いよく抱きついてきます。

    私は恥ずかしさから
    最後のほうは、もごもごと口ごもってしまいました。


    26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 20:04:16.23
    唯「でもでも、そんなことしたら――」

    言い終わる前に
    ムギちゃんの人差し指が私の唇に優しく触れました。

    紬「言ったでしょ。唯ちゃん達に必要なのは切っ掛けだって」

    そしてそのまま唇に付いていたパフェを指で拭き取ってくれました。

    紬「唯ちゃんはお姉ちゃんなんだから。リードしてあげなきゃ!」

    唯「リード……」

    27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 20:07:08.95
    紬「さっ。お話はもう終わり。帰りましょ」

    唯「ふぇ?もう?」

    部室から押し出されるように出ました。

    帰り道では、胸の中が不安いっぱいで
    気が気ではありませんでした。

    紬「そんな暗い顔しないの」

    唯「うん……」

    紬「後は唯ちゃん次第よ」

    紬「じゃあね。また、明日」

    唯「うん。またね。今日はありがとう」

    28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 20:11:14.70
    バイバイと手を振ります。
    一人になると寂しくなります。

    ――憂に会いたい。

    ――けど……。

    ふらふらと重い足取りで家へと向かいました。

    途中でアイスを買ったりしていたら
    家につく頃にはすっかり空が暗くなっていました。

    でも、家の電気が点いていません。
    憂は居ないのでしょうか。

    29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 20:15:12.50
    唯「ういーただいま」

    唯「ういー?居ないのー?」

    返事がありません。
    でも靴はあります。

    いつもなら笑顔で出迎えてくれるのに。

    ――ご飯作っているだけだよね?
    ――泥棒に捕まっていないよね?

    なんて思いながら
    恐る恐る二階へ行きました。

    30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 20:18:25.62
    二階へ上がると憂が居ました。
    こちら側に背を向けて
    こたつの前で何かもそもそと何か食べてる感じです。

    でもご飯の匂いも全くしないのに
    何を食べてるんだろうと思い、近づきました。

    歩く音にも気付かないのか、憂は何かに夢中です。

    とりあえず声をかけましょう。

    唯「憂?」

    32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 20:23:41.61
    憂「っ……!」

    憂は目を丸くしてこちらに振り向きました。

    ただ声をかけただけなのに
    そんなにビックリすることないのにね。

    唯「もー、居るなら居るって言ってよ」

    唯「全然返事ないんだもん」

    ――心配したよ。本当に。

    憂「あ、ごめんねお姉ちゃん」

    憂「すぐ準備するから――」

    34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 20:28:43.51
    ふとこたつに目をやると
    お皿の上には大量のさくらんぼがありました。

    さくらんぼ――ムギちゃんの言葉が頭に浮かびます。

    もう一回やってみようかな、そう思いました。

    お皿を手に取り一つ口へ運びます。
    さっき練習したとおり動かすけどうまくいきません。
    歯を使うって言ってもね、難しいんだよね。

    憂が不思議そうな、でも、ちょっぴり不安な顔をしていました。
    ていうか憂は何でさくらんぼを食べてたんだろう。
    パフェとかに入れるわけでもなく。
    さくらんぼだけを、何で?

    さくらんぼ――ちょっと聞いてみよう。

    35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 20:33:36.19
    唯「ういーしってるー?」

    憂「な、何を?」

    ――さくらんぼのヘタを口だけで結べるとキスが美味いんだってー。

    憂がこくりと頷きます。

    ちょっとだけ私の鼓動が早くなるのを感じました。
    憂の前でキスと言ったことと
    そう言ったことで何か部屋の空気が変わった気がしたからかな……。

    そんな私を憂は黙って見詰めています。
    そんなに見詰められると恥ずかしいよ……憂。

    36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 20:39:50.73
    唯「んっぺ……」

    手の平に出されたヘタは、やっぱり結ばれていません。

    うまくいかないことが恥ずかしくて、思わずテレてしまいます。

    唯「練習してたんだけどなぁ」

    練習だよね。うん。練習。

    ――何の?

    憂は私より物知りだし、頭もいいから――。
    言っても大丈夫。
    聞いても大丈夫。

    唯「ういもさー、練習してたんだよね?」

    唯「ヘタを口だけで結ぶのを」

    37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 20:44:38.17
    押し黙る憂を見て
    憂が何をしてたのか、何をしたいのか解りました。

    憂「えっと……」

    唯「ううん、隠さなくてもいいんだよー」

    私はニッコリ笑顔で言います。

    憂「う、うん。練習……してた」

    そうだ、憂だって練習を――。
    なら私が引っ張ってあげなきゃ。
    リードしてあげなきゃ。

    ――私がお姉ちゃんだもん。

    38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 20:50:49.84
    ゆっくり憂の隣へ座り、身を乗り出して近づきます。

    端整な顔立ち。
    ちょっと紅いほっぺた。
    くりくりできらきらした垂れ目。

    そしてぷるっとした唇。

    それらが目と鼻の先に在りました。
    どことなく扇情的で鼓動が高鳴ります。

    ドキドキと鳴る心臓を押さえ込み、憂に言います。

    唯「じゃあさ、一緒に練習、してみる……?」

    憂「練習……?」

    唯「うん練習。ムギちゃんが教えてくれたやり方――」

    39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 20:56:33.42
    ――言っちゃった。

    憂はどんな反応するんだろう。
    嫌われる?拒絶される?
    でも、言わなきゃ。

    憂のことが好きだから、先に進まないと。

    身体が熱いです、顔も上気しているでしょう。
    脇の下から汗が下へ伝っている感触です。
    匂わないか不安です……。

    憂「お姉ちゃん……それって、キ――」

    言い終わる前に憂の唇へ人差し指を当てました。
    ムギちゃんが私にやったみたいに優しく。

    40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 21:01:26.50
    唯「したいの?したくないの?」

    ちょっと強気になって言いました。

    憂「し……たい……」

    この言葉が聞けてよかった。
    大丈夫だよ私。上手く出来るよ。

    こたつ上のさくらんぼを一つ掴み口へ。

    自分と、少し震えている憂を落ち着かせるために
    これ以上ないってくらいの笑顔を見せました。

    憂のおでこには
    薄っすらと汗が出ていて髪が少し張り付いています。
    憂も緊張しているんだよね。

    41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 21:06:16.57
    そんな憂の髪の毛を掻き分け
    私のおでことごっちんこ。

    さっきより一層憂の顔に近づきました。
    潤んだ憂の瞳が私を見詰めています。

    憂の肩に置いた手から震えが伝わってきます。
    思わず手に力が入ってしまいました。

    ――大丈夫だよ、怖がらなくても。
    ――私に任せて。憂を安心させてあげるから。

    でも、唇が触れるか触れないかのところから先に進めません。
    私もまた、怖がっているからでしょうか。

    焦らしているわけではないけど
    唇が触れそうで触れないギリギリ感が
    私の――多分憂も情欲をそそったと思います。

    43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 21:13:16.77
    そんな中、憂が目を閉じました。
    頬は過去に見たこと無いくらいに紅くなっています。

    ごめんね、私から行かなきゃいけないのに。
    今行くよ。

    口の中に溜まった唾を飲み一呼吸入れました。

    目を瞑って、暗闇の中に居る憂は
    怖がっているのかもしれません。

    でも大丈夫。私が力いっぱい抱きしめてあげる。
    私はここに居るから。離さないから――。

    そして、意を決して私は憂の頬に手を添え



    憂と私の唇が一つに重なりました。


    44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 21:17:36.79
    唇が軽く触れ合いくすぐったい感触。
    軽い口付けでも判る弾力性。
    それらが互いの身体を感じさせ、震えさせました。

    しばらくの間、ただ唇が軽く触れ合うだけの口付けを交わします。

    ――憂とキスしちゃった。

    口付けを交わした直後は
    頭の中がいっぱいで考え付かなかったのですが
    これが私のファーストキスでした。

    47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 21:20:55.27
    ――とっても甘い気がします。

    パフェを食べてたから?
    アイスを食べてたから?
    それとも憂の唇だから?

    でも、難しいこと考えたくありません。

    世界で一番好きな人――愛している人とキスが出来た。

    ただ、その事実が私を得も言わぬ幸福感に浸らしてくれます。


    50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 21:26:14.16
    そうだ“練習”しないと。
    一度憂の唇をついばみ
    舌を使って憂の口の中へさくらんぼを入れました。

    そして後を追うように私の舌も入れます。

    憂「んっ……」

    入れて直ぐに憂の舌と私のそれが触れ合いました。
    ゾクゾクと背中を駆け巡る快感。
    それがどことなくクセになりそうでした。

    絡み合う舌がくちゅっと云う水音を奏で
    私達はくぐもった声を出します。

    憂の唇を甘くついばみ、舌を絡め、甘噛みをただただするだけです。

    憂「あっ、はぁ……ちゅ……んん」


    52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 21:32:08.02
    ふいに私の口の中に暖かいさくらんぼが入ってきました。

    私もそれを返すように押し付けました。
    薄く開いた口から艶かしい音が響き
    憂と私の口を行き来するたびに唾液が漏れます。

    それは顎を伝い首筋を流れ、私達の襟元を濡らしました。
    制服に沁み込んだ分だけ憂との関係が深まる気がします。

    それから憂は手をだらんとさせ、身体がふらつきそうになりました。

    ――離さない!

    そう強く思い、瞬時に左手を背中へ
    右手は憂の左手をぎゅっと力強く握っていました。

    力強く握られる手が、私達をより一層硬く結んでいるようでした。

    54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 21:38:28.68
    不意に頭によぎる練習のこと。
    わけもなく憂の舌の上で結ぼうと試みます。

    自分ので出来るわけもないのに、他人ので出来るわけないよね。

    唯「うぃ……あ、んっ……」

    憂「おねえ……んんっ……」

    唯「うい……うい……あぁ……ちゅ」

    憂「ふっ……だ……んん……あっ」

    口を必要以上に開いてしまってたためか
    ぽろりとさくらんぼが零れてしまいました。

    零れたさくらんぼを見詰め、少し唇を離す私達。

    55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 21:45:54.38
    唯「はあ……はあ……ゴクン」

    憂「おねえちゃん……」

    唯「うい……」

    唇を通じて一つになった私達。
    一旦唇から離れると寂しさを覚えました。

    ――まだ足りない。

    憂をそのまま仰向けに寝かせます。
    早くアレが欲しかった。
    何も無しじゃ、やっぱり――こわい。

    トロンとした目の憂から目が離せません。

    消えてしまうわけではないのに。
    離れてしまうわけではないのに。
    ただ見詰めていたかったのです。

    手探りでこたつ上のさくらんぼを掴みます。
    ガチャンとお皿がひっくり返りますが気にしません。

    56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 21:51:23.41
    そしてそのまま勢いよく口へ入れます。
    幾つかまた零れますが構っていられませんでした。

    口の中は新しい味で広がります。
    早く、とせがむ自分を押さえつけ、ゆっくりと憂にまたがり
    唇に引き寄せられるようにまた口付けをしました。

    もう自分が自分じゃないみたいで
    ただひたすらに憂を求め続けました。

    頬に添えた手からは熱が伝わり
    背中に回された憂の手からも熱が伝わります。
    こうして一つになった私達は快楽に溶けていくようでした。

    実を噛み砕くと、憂と私の唾液で交わり
    私達の口の中を甘い甘い液で満たしてくれました

    一生の思い出に残りそうな甘いファーストキスです。

    57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 21:57:13.42
    あれからどれくらい時間が経ったのでしょうか。
    いつの間にかさくらんぼも無くなっていました。
    多分、憂が飲み込んでしまったのでしょう。

    でもそんなこと無視して私達はひたすら唇を求め続けました。

    リビングを艶かしい音でいっぱいにしています。

    鼓動も高鳴りっぱなしで痛いくらいです。
    本当に心臓が飛び出してきそうな、それくらい激しい鼓動でした。

    そして満足したのか私はゆっくり顔を上げました。

    59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 22:04:37.18
    憂と私の唇には透明な糸が引かれています。
    憂の表情はなんともいえない艶っぽさが出ており
    とても愛しく感じました。

    そして興奮を落ち着かせるため
    その糸を巻き込みもう一度口付けをします。

    そのまま憂をぎゅっと優しく抱きしめました。
    憂のぬくもりを腕に残すために。

    私はゆっくり唇を離しました。
    そして憂の頭を優しく撫でます。
    小動物のように縮こまった憂は
    とてもかわいく、愛でたくなります。

    私が唾液だらけの口元を人差し指で拭いてあげると
    憂に笑顔が戻りました。

    60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 22:08:42.91
    憂「お姉ちゃん……」

    唯「ういー。さくらんぼ無くなっちゃったね」

    憂「うん……無くなっちゃったぁ」

    そっと顔を近づけ耳元で優しくささやきました。

    唯「明日も“練習”しようね」

    憂「うん…………」

    61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/17(日) 22:15:41.84
    練習。うん練習だね。さくらんぼを使った練習。

    今日はさくらんぼを介しての口付けだったけど
    いつか普通に出来るかな。
    いや、私達なら明日にでも……。

    切っ掛けとなったさくらんぼにありがとう。
    また頼っちゃうかもしれないけど
    その時はよろしくね。雰囲気が出るから。

    さあ、明日は何が起きるかな……。
    本当に楽しみだね、憂。





                        おしまい

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