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唯「私の妹がこんなに可愛いわけがない」

  1. 名前: 管理人 2010/10/19(火) 18:46:50
    91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/18(月) 23:22:23.73
    朝、目覚めて最初に見るのは憂の顔。
    毎日毎日私を起こしてくれる。

    いつもと変わらない声。
    いつもと変わらない顔。
    いつもと変わらない起こし方。
    いつもと変わらない憂の暖かい手。

    憂に引っ張られて勢いよく目覚める私。

    憂「おはよう。お姉ちゃん」

    唯「おはよう。うい」

    笑顔が眩しく、とても可愛かった。


    92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/18(月) 23:30:55.79
    憂が可愛い。そう思った。
    自分とたいした違いが無い顔だけど
    憂の顔はとても可愛く思った。

    でも自分の顔は可愛いと思わない。
    今、鏡で見る顔はとても変に見えた。

    髪の毛はボサボサ、目も半開き、口から涎が垂れていた。
    こんな女の子は可愛くないよね?

    ――あれ?じゃあ同じ顔の憂も?

    顔を洗ってる隣でタオルを持っている憂をチラリと見た。

    ――やっぱり、可愛い!

    94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/18(月) 23:39:18.73
    憂「どうしたの?お姉ちゃん?」

    唯「な、何でもないよーー」

    憂「ふふ、変なお姉ちゃん」

    唯「あははは……」

    うーん。変なのかな。やっぱり。

    私と憂。どこがどう違うのだろう。
    どうしたら憂みたいに可愛くなれるのかな。

    鏡の前でにらみっ子。
    ふくれっ面に睨みつけたり、アッチョンブリケもしてみた。

    うーん。やっぱり変……。

    憂「も~。お姉ちゃん動いちゃ髪の毛、梳かせないよぉ」

    95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/18(月) 23:46:01.58
    憂が毎日髪の毛を梳かしてくれる。
    毎朝必要以上に跳ねる髪の毛は、私一人では太刀打ち出来なかった。
    私一人じゃあ時間がかかってしまうので憂にも手伝ってもらう。

    憂が櫛を使い、私の髪の毛を梳かす。
    スッと撫でる様に梳かす。
    櫛が髪の毛を通るだび、心地よさが私を包んでくれる。

    唯「えへへ。ごめんねー」

    憂「いいよ」

    ニコッと笑顔になる憂。
    やっぱり可愛くて、目が離せない。
    ついつい頭を撫でてしまった。

    97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/18(月) 23:53:39.90
    唯「よしよし」

    憂「わっ、どうしたの?」

    唯「ううん。憂がね――」

    憂「ん?」

    唯「なーんでもないよ~」

    可愛いと言うのは止めとこう。
    簡単に言っちゃうともったいないから。

    でも――その怒った顔も可愛いよ。

    憂「もう!言ってよ」

    唯「えへへ、ひーみつっ!」

    憂「あっ、お姉ちゃん」

    私はちょっとテレてリビングへ下りていった。

    後ろから待ってー、と憂が言うけど待たないよ。
    今はちょっと顔が紅いから恥ずかしいな。

    98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 00:00:05.43
    憂「もう、朝から変なお姉ちゃん」

    唯「そうかな。それよりお腹すいちゃったよ」

    憂「あっ。そうだね。ご飯作るね」

    唯「わーい。憂のごーはーんーー」

    憂「うん。すぐ出来るからまっててね」

    憂のご飯は世界一!
    他にこんなに美味しいご飯は知らないよ。
    こんなに美味しいご飯を毎日食べられる私は幸せだね。

    エプロンを着た憂は新婚の奥さんを思い浮かべる姿だった。
    思わず目を奪われた。

    それからご飯を作ってる間ずっとゴロゴロしながら見詰める。
    憂の一挙一動全てを頭の中に入れて、記憶しておきたかった。

    99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 00:09:15.40
    憂「どうしたの?そんなにこっち見て」

    唯「んー内緒だよー」

    憂「またぁ」

    ちょっと呆れ気味の憂。
    やっぱりそんな顔も可愛いね。
    どうしてかな。そんなに可愛いのは。

    ――頭が良いから?
    ――料理が上手だから?
    ――しっかりしているから?

    なんか全部私が持ってないもの。

    私も全部手に入れれば憂みたいに可愛くなれるのかなぁ。

    100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 00:15:41.90
    憂「はい。ご飯できたよ」

    憂「お姉ちゃん?」

    唯「あっ、ごめんごめん、ぼーっとしてた。今行くよ」

    ちょっと物思いにふけっていた。
    頭が混乱する感じだ。
    でも憂に心配をかけちゃいけない、そう思い無理に笑顔になる。

    大丈夫。憂の笑顔を見れば悩みなんて吹き飛ぶから。

    憂「うん?食べよっか?」

    唯「うん!いただきます!」

    101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 00:22:13.18
    唯「おいしいねーー!」

    憂「えへへ、お姉ちゃん毎朝そればっかー」

    唯「本当に美味しいもんー」

    身体がジワジワと温かくなり心が充たされる感じだった。

    ――美味しいご飯をありがとう。

    私にはこんな言葉しか言えないけど、精一杯の感謝を伝えているよ。

    憂はちょっとビックリした顔して私を見る。
    顔はちょっと紅かった。

    ――紅い顔でも可愛いね。

    憂「もうっ……やっぱりお姉ちゃん今日、変だね」

    唯「ふふふ……」

    103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 00:30:49.52
    俯いて足をブラブラさせて、恥ずかしさを隠そう。
    はやく治まらないかな。

    憂「お姉ちゃん?風邪ひいてるの?」

    唯「ふぇ?」

    トコトコと私の隣へ移動してきた。
    そして自分のおでこを私のおでこにくっつける。
    冷やりと冷たいおでこ。
    目の前には憂だけ。憂しか見えなかった。

    憂「うーん。熱はないかな」

    憂……近いよ。

    目が近い。
    頬が近い。
    鼻が近い。

    ――唇が近い。

    104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 00:36:52.30
    ドキドキと高鳴る鼓動。
    憂を見ると心臓が暴れる。
    自分では抑えきれないようだった。

    憂――私を静めて。

    唯「うい……」

    憂「ど、どうしたの?」

    唯「いたいの」

    憂「いたい?どこ?お腹いたいの?」

    違うよ。痛いのは――。

    唯「ここがいたいの」

    そう言って私は憂の手を取り自分の胸に押し付けた。

    106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 00:42:39.78
    憂「へ……あっ」

    唯「……」

    憂「お、お姉ちゃん?」

    憂の手が胸に触れた瞬間、私の中にある箍が外れた気がした。

    唯「ういー……」

    憂の顔が段々近づく。
    私の唇は吸い込まれるように憂の唇を目指していった。

    憂「あっ、ちょっ、ちかっ……んっ」

    憂の唇を奪ってしまった。


    108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 00:48:44.54
    そのままゆっくり押し倒し、憂にまたがった。
    憂は顔を背けるが頬を両手で押さえる。

    ただただ憂の唇が欲しかった。

    憂「あっダメっ。おねえちゃ……」

    憂の言葉は聞こえるけど身体は止まらなかった。
    震える手で押さえ、血走った目をする私は
    憂からどう見えているのだろうか。

    怖がっているのかな。

    でも自分の欲求のが勝っていて、この行為が止めれなかった。

    唯「はぁっ……うい……」

    憂「ダメーーっ!」

    110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 00:54:05.18
    ――ドンッ!

    唯「あいたっ」

    憂に思いっきり突き飛ばされてしまった。
    テーブルに頭をぶつけ、目から星が出た。

    憂「あっ、ごめんね、ごめんなさい」

    頭を押さえる私に必死に謝り一生懸命頭を撫でてくれた。

    唯「もう……大丈夫」

    そう言い、憂を見る。
    憂はちょっとビクッと身体が振るえた。

    憂「あっ、私今日、日直だったの!先に行くね!!」

    唯「あ……うい……」

    113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 01:02:00.59
    ――やってしまった。そう思った。

    バカか私は。何をやっているんだ。
    後悔の念が襲うが時はすでに遅い。

    溜め息が漏れた。

    唯「ごめんね」

    誰も居ないリビングでつぶやいた。

    116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 01:07:46.31
    それから食器を片付け登校の準備をする。
    一人の準備はつまらない。

    「お姉ちゃん、早くー」と言う言葉も聞こえなかった。

    リップクリームを塗るために鏡を見た。
    酷い顔だった。

    こんな酷い顔の私には憂のお姉ちゃんの資格なんかないのだろう。
    双子と間違われるくらいそっくりな私達。

    でも鏡に映る私は、いつも見る憂とは違っていた。
    私の妹はこんなに変な顔じゃない。
    いつもキレイで私を見ていてくれるのに
    鏡の中の憂は酷い有様だった。

    私はそっと鏡を伏せる。

    ――学校行こう。

    117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 01:14:34.92
    唯「いってきまーす」

    返事の無い出発はとても寂しかった。
    学校へ行く足取りも重かった。

    唯「はぁ……」

    また溜め息が漏れた。
    溜め息を繰り返すと必要以上に心が重くなる。
    早く元気になろう。そう思った。


    唯「みんなーおはようー」

    律「おーっす」

    紬「おはよう唯ちゃん」

    澪「おはよう唯」

    教室では元気な私を演じるんだ。
    みんなに気を使っちゃいけないからね。


    118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 01:24:17.47
    今日はいつも以上に授業に身が入らなかった。
    頭の中は憂でいっぱいだったから。
    憂は今何をやってるのかな。
    勉強しているかな。

    怒っているかな。

    そして二時限目、三時限目と時間は進む。
    憂のこと以外頭に入れたくない授業は苦痛だった。

    そんな中校庭から声が聞こえた。
    聞くと心地よい、お姉ちゃんと呼ぶ声が気持ち良い憂の声が。

    憂はあずにゃんと純ちゃんと一緒に並んで歩いていた。
    遠目だけど、元気そうかな。
    違った、やっぱり顔は曇っていた。
    なんとなく分かる。

    120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 01:31:57.62
    ばつが悪くなったので手帳を取り出し
    中に挟まっている憂の写真を見た。

    ちょっと無表情に近いけど、どことなく笑っていた。

    ――可愛い。

    その後の授業は全部憂の写真を見て過ごした。

    先生に注意されるけど笑ってごまかした。


    121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 01:35:52.95
    お昼時。みんなでご飯を食べる。
    でもふと気付いた。お弁当が無い。
    忘れちゃったかな。多分憂も。

    律「ゆいーご飯どうしたんだー」

    唯「忘れちゃったみたい、えへへ」

    澪「相変わらず唯はおっちょこちょいだな」

    紬「唯ちゃん、私の分けてあげる」

    唯「わーい、ありがとう!」

    ぎゅっとムギちゃんに抱きついた。
    ふわりと良い香りが漂う。

    ムギちゃんも可愛い。
    澪ちゃんも可愛い。
    りっちゃんだって可愛い。
    もちろんあずにゃんも可愛い。

    でも憂の可愛いとはどこか違っていた。
    憂の可愛いは特別だ。

    122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 01:40:34.90
    唯「もうお腹いっぱいですー」

    紬「お粗末さま」

    律「ムギが沢山ご飯持ってて助かったな。唯は」

    唯「ムギちゃんは天使だよー」

    紬「あら、そうかな」

    残りのお昼休みをみんなと談笑して過ごした。
    とても楽しいひとときだ。

    みんなの笑顔が見れる。
    笑顔を見れば私にも笑顔が戻った。


    123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 01:47:09.23
    そして午後の授業。
    午前中みたいに憂の写真を横に置きながら過ごした。

    憂はお昼ご飯どうしたんだろう。
    購買で何か買ったのかな。
    あずにゃんに何か聞かれたかな。
    あの子は友達思いだし、案外鋭いからね。
    いつもと違う様子と思われる憂を心配しているかな。

    うん。そうだね。謝らないと。憂に。

    部活を終わらせて、早く憂に会おう!
    会ってあやまらなきゃ……!

    124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 01:52:17.07
    ――キーンコーンカーンコーン

    終わりの鐘が鳴った。

    唯「よし!部活行こう!」

    澪「お、何だずいぶんとやる気だな」

    律「唯からやる気のオーラが出てやがる」

    澪「良いことじゃないか。よし今日は目一杯練習するか!」

    律「ええーーー。お茶しようぜお茶に」

    紬「あら、たまにはいいんじゃない?お茶なら後でもできるし」

    澪「そういうこと」

    律「がーーん!」

    125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 01:56:44.43
    そんなみんなのやり取りを見て私は笑った。
    この高鳴る気分を維持して憂に会おう。
    いつまでもウジウジしてちゃいけないしね。

    そしてみんなと一緒に教室を出て
    廊下を歩き、階段を上り、音楽準備室の前まで来た。

    その扉の前に一人の少女。
    私よりちっちゃくて、真っ黒いツインテールで
    可愛い私の後輩。

    唯「あー、あずにゃ――」

    梓「唯先輩、ちょっと来てください」

    梓「ちょっと先輩をお借りしますね」

    律「あ、ああ」


    127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 02:00:09.51
    あずにゃんに手を引っ張られ人気の居ない教室へ。
    何か怒っているような、呆れてるような、そんな顔だった。

    梓「唯先輩。どうしてここに連れてこられたか分かりますか?」

    唯「えっと……。お説教?」

    梓「まあ、お説教ですね」

    唯「私……何か悪いことしたかな――」

    嘘。本当は分かっているくせに。
    あずにゃんがここにつれてきた理由。怒っている理由を。

    でも、ちょっとこわかった。
    憂のこと聞くのも、聞かれるのも。

    あずにゃんに――みんなに私が憂に抱いている想いを聞かれるのが。

    128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 02:06:50.52
    梓「はぁー。やっぱり唯先輩はバカですよ」

    呆れ顔で物を言った。少しぐさりと胸に突き刺さった。

    唯「うぅ……」

    梓「分かっていますよね。憂のことですよ」

    唯「…………うん」

    梓「まったく、朝から様子がおかしいから……」

    梓「お昼休みに事情を聞きましたよ」

    ドキッと心臓が跳ねる。

    唯「ご、ごめんね」

    目から涙が溢れ、ぽろぽろと床に零れていった。

    梓「私に謝ってどうするんですか」

    梓「しっかりしてくださいよ」

    唯「うん、うん……」

    130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 02:14:18.28
    梓「別に憂は怒ってなんかいませんよ」

    唯「ほ、ホント?」

    梓「ええ、落ち込んでたのは別の理由です」

    唯「別の?」

    梓「はい」

    唯「それって……?」

    梓「後は本人に聞いてください」

    そう言い、あずにゃんは私の後ろを目をやった。

    憂が少し俯きながら立っていた。

    131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 02:18:28.00
    唯「あ……、うい……」

    憂「……」

    梓「それでは私はこれで」

    あずにゃんは私の横をすり抜け憂の隣に行った。
    そして少し背伸びをして憂に耳打ちをした。

    何を言ってるのかな。気になるけど聞ける雰囲気じゃない。

    そして教室を出て行った。
    出る直前に少し振り向き、ちょっと笑っていた気がした。

    憂「……」

    唯「……」

    133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 02:22:54.08
    教室に沈黙が流れる。
    声が出なかった。

    聞こえるのは部活中の人達の声と
    自分の心臓から伝わる鼓動だけだった。

    唯「うい」
    憂「お姉ちゃん」

    ほぼ同時に言った。

    唯「あ……」
    憂「あ……」


    唯「ういからどうぞ……」
    憂「お姉ちゃんから……」

    また同時だった。

    134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 02:28:23.20
    唯「……ふふふ」

    憂「……えへへ」

    何だかおかしくて笑いが出てしまった。
    少しの間教室にこだまする私達の笑い声。

    緊張もほぐれたと思う。私も憂も。

    唯「私から言うね」

    こくりと憂は頷く。

    よしいくよ。
    深く深呼吸して気持ちを一新させた。

    唯「うい。ごめんね!」

    135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 02:32:52.14
    返事が無かった。
    嫌な汗が出るのが分かった。
    やっぱり嫌われたのだろうか。
    少し気持ち悪くなってくる。

    嫌だ。自分が嫌だった。こんなことした自分が。

    憂「なんで……」

    唯「え?」

    憂「何であやまるの?」

    唯「だって……私、今朝ういに」

    憂「うん。びっくりした」

    憂「お姉ちゃんの顔、ちょっとこわくて」

    こわいと言う言葉が胸に刺さる。
    憂が私を怖がらせたことなど一度も無いのに。

    お姉ちゃんの私が怖がらせて本当に――バカだ。

    136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 02:36:52.13
    唯「うん、ごめんねごめんね」

    またぽろぽろと涙が零れた。
    妹の前でこんなに子どもみたいに泣いて。

    情けなかった。

    憂「泣かないでお姉ちゃん」

    憂はハンカチで頬を伝う涙を、目に溜まる涙をキレイに拭いてくれた。

    ――そして頬にキスをしてくれた。

    唯「……え」

    憂「えへへ、昔、泣いていたお姉ちゃんにお母さんがやってたことだよ」

    憂「ほら、お姉ちゃん泣きやんだ」

    いつの間にか私は泣き止んでいた。
    そんな私を見て憂はクスクスと笑った。

    138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 02:41:43.11
    憂「私ね。嫌じゃないよ。お姉ちゃんにキスされたの」

    唯「ふぇ」

    憂「ただ……急にだったからちょっとビックリしちゃって」

    憂「顔もね、いつものお姉ちゃんじゃ……なかった……から……」

    だんだんと声が暗くなっていき最後には憂の目から涙が溢れていた。

    唯「うい……ないちゃダメだよ……」

    泣く憂の頭を優しく撫でて、ハンカチで憂と同じ様に拭いてあげた。

    ――そして同じ様に頬にキスをした。

    139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 02:45:33.20
    唯「泣き止んでくれた」

    憂「うん……お姉ちゃんのおかげ」

    憂は満面の笑みで言う。
    その笑顔は薄暗くなってきた教室を照らしてくれるようだった。

    唯「えと、ちょっと聞きたいことが」

    憂「うん?」

    唯「えと、ね。さっきの嫌じゃないってのは……?」

    憂「あ……」

    ドンドン紅くなる憂の顔。
    目は落ち着かずキョロキョロと動いている。
    手や足をもじもじさせて私を上目遣いで見詰めた。

    141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 03:00:33.59
    憂「えとね……」

    唯「うん、落ち着いて」

    憂「ふー」

    憂「その、昔から……お姉ちゃんといつかキス、出来たら……いいなぁって思ってたから」

    私は耳を疑った。
    私とキス?昔から??本当に???

    少し足元がくらくらと揺らいだ。
    顔も混乱で固まっているだろう。

    けど、そう言った憂の顔は私とは違い今日一番の紅い顔をしていた。
    さっきからその上目遣いが艶かしく
    けど、キレイで目が離せなくて私の胸の鼓動を早くするばかりだった。

    そして私は知らず知らずのうちにアノ言葉を発していた。

    唯「可愛い」

    142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 03:03:39.13
    憂「えっ」

    唯「あっ」

    はっと顔を上げた憂は目が点になっていた。
    そして頭から湯気が出そうなくらいに顔を真っ赤に染めた。

    憂「かっ、か、かわ……ぃぃって……」

    そう言うと顔を両手で覆ってしまう。

    ――ダメ。私に見せて。

    私は憂の顔を覆う両手を解いた。

    憂「あっ……」

    唯「うい……」

    この顔が。この可愛い顔が私を動かした。
    激しい情動に呑まれるが今度は大丈夫。

    憂を泣かせない、怖がらせないと誓ったから。

    143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 03:10:03.58
    唯「うい……キスしたい……ういにキスしたい」

    憂「おねぇ……ちゃん」

    唯「いい……?」

    憂「……いいよ」

    憂を強く抱きしめた。
    柔らかく、良い匂いがして、とてもあったかかった。
    今朝のような震えはもう無い。
    今度は優しく上手にやろう。

    憂「私ね。今朝のがファーストキスだったんだ」

    憂「でも、あんな無理矢理は嫌」

    憂「忘れさせて。今朝のこと忘れるくらいのキスを……ください……」

    憂「本当のファーストキスを……」

    そう言い憂は目を閉じた。

    146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 03:15:30.02
    ファーストキス。憂のファーストキス。
    女の子にとって、とっても大事な初めてのキスを無理矢理奪ってしまった。

    けど、後悔の念より
    憂の気持ちに応えるべくやる気となったこの気持ちのが勝っていた。

    私は小さく息を吐いた。
    そして憂の肩に手を置く。

    憂の顔。
    頬を紅く染め、少し顔を上に上げ、唇は薄く開いている。
    緊張のためか、手は胸の前でぎゅっと握られていた。

    ――怖がらないで、緊張しないで。
    ――ほぐしてあげる。
    ――後はお姉ちゃんに任せて。



    そして私は憂の頬に手を添え、優しく口付けをした。

    148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 03:19:33.71
    少し夕日が差し込むこの教室で。
    私達は唇を通じて一つになった。

    今度こそ憂にとって本当のファーストキスだ。
    それも私も同じだった。

    私達は長い間口付けを交わす。
    今はただ優しく触れるだけだ。
    これでいい。今はこれでいい。

    この優しく甘いキスが私達のファーストキス。

    この上ない幸せが私達を包んでくれた気がした。


    憂……大好きだよ。

    150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 03:23:57.11
    唯「ふぁ……」

    憂「んん……」

    長い長い口付けを終え、顔を離す。

    憂「よかった……」

    唯「……よかった」

    唯「ういー」

    力強く抱いた。
    腕に再び残る憂のぬくもり。
    それはいつでも、どんな時でも心地よかった。

    憂「さっ、お姉ちゃん帰ろう」

    憂「今日は記念日。何か美味しいもの作るから」

    唯「あっ。まだ部活が……」

    憂「えへへ……部活はいいの」

    憂はニコッと笑う。
    部活――ああ、あずにゃんが何か言ってるかな。

    そして私達は手をつないで家へと向かった。
    夕日が眩しく私達を紅く染める。
    それは手をつないで、少し頬が紅くなっているのを隠すように染めてくれた。

    152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/19(火) 03:27:15.03
    憂「お姉ちゃん、今日は何が食べたい?」

    唯「んー憂の好きな物!」

    憂「じゃあ、お姉ちゃんの好きな物だね」

    唯「うん、そうだねー」

    私達は笑いあった。
    今日笑いあえたから、明日も笑いあえる。その次の日も。
    私達だから笑いあえるんだ。

    だって、私の妹はこんなにも可愛いから。

    誰だって笑顔になるよ。
    そして私は特別に笑顔になるんだ。

    だって憂のことが好きだから。
    憂もだよね。

    唯「うーいー」

    憂「なーにー」

    唯「可愛いよ」

    憂「お姉ちゃんも」

                                 おしまい

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