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ガチャガチャ! 律『これからも仲間だから』

  1. 名前: 管理人 2010/11/08(月) 21:28:35
    2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/05(金) 23:11:54.74
    ――――― ――
    紬「え?」

    唯「ごめん、今なんて?」

    澪「……律が軽音部、辞めるって」

    もうそろそろ夏休みという頃。
    突然の報せに、皆一様に驚きを隠せなかった。
    明るいオレンジに照らされた部室がしんと静まる。


    3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/05(金) 23:15:20.88
    梓「な……なんでですか!?」

    澪「私にだって何も言って無いんだよあいつ!」

    梓「!」ビクッ

    澪「あ……ごめん」

    思わず叫んでしまった澪は、
    気まずそうに目を逸らした。

    紬「でもりっちゃんに直接聞いたんじゃないんなら、その話、誰に聞いたの?」

    唯「もしさわちゃんならその話は嘘かも……!」

    澪「本当の話。さわ子先生に律の退部届け、見せてもらったから」

    13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 08:09:02.36
    唯「私も行くよ、澪ちゃん」

    紬「私も」

    梓「けど律先輩、今どこにいるか……」

    紬「今日りっちゃん、学校休んでるの」

    澪「だから直接律の家に行く」

    梓「いいんですか?」

    唯「このままここでじっとしてるわけにもいかないから」

    14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 08:17:04.26
    田井中家!

    ピンポーン
    ガチャッ

    律母「はーい……あ、澪ちゃん。あと……」

    澪「こんにちは。軽音部のメンバーです」

    澪「(おばさん、少しやつれた?)」

    唯「あの、りっちゃんは……」

    15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 08:26:02.20
    律母「えっと……。ごめんね、今あの子……」

    紬「りっちゃん、私たちに何も言わずに部活辞めちゃったんです!」

    梓「ちょっと、ムギ先輩!」

    紬「あ……」

    律母「ごめんね……。今、律は誰にも会いたくないって部屋に閉じこもってるから」

    澪「え?」

    律母「良かったら、また明日、来てもらえないかしら?明日も学校行けないけど……」

    四人は顔を見合わせた。
    澪が皆を代表して頷く。

    律母「ありがとう」

    疲れたように、律の母親は微笑んだ。

    16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 08:33:28.91

    唯「りっちゃん、どうしたのかなあ……。昨日までは普通だったのに。
    まさか誰かに振られた!?」

    澪「誰にだよ!」

    紬「じゃあじゃあケンカしたとか?」

    梓「誰とですか。ていうか、そんなことで普通部活辞めませんよ」

    唯・紬「あ……」

    澪「おばさん、明日も律が学校行かないってわかってたみたいだし……。
    おばさん自身疲れてたみたいだから律ん家で何かあったのかも」

    梓「まさか、引越しとかないですよね?」

    18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 08:44:15.50
    唯「お父さんがリストラ!?」

    紬「借金にまみれて夜逃げ!?」

    梓「ふざけないでください!」

    唯「……ごめん」

    紬「こうしてないと不安で仕方なくて……」

    立ち止まると、唯と紬は俯く。
    夕日は既に明日へと消えていた。

    澪「……とりあえず、今日はもう帰ろう」

    19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 08:46:16.84

    布団を頭まで被り、外の世界から自分を遮断した。

    誰の声も聞きたくない。
    誰の笑顔も見たくない。
    幸せな奴なんて皆、いなくなってしまえばいい。

    何で私なんだよ。
    何で他の奴じゃないんだよ。

    何で私が――



    20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 08:49:39.43
    次の日!

    唯「あ、澪ちゃんおはよう!」

    澪「おはよ」

    紬「りっちゃんは……。今日も休みみたいね……」

    澪「うん……。来る前に律ん家寄ってみたんだけど、先行っててって言われた」

    唯「そっか……」

    キーンコーンカーンコーン
    ガラガラ

    さわ子「はーい、皆席着いて」

    21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 09:27:41.20
    唯「さわちゃんに後で聞いてみる?りっちゃんが休みの理由」

    澪「うん、そうだな……」

    朝のホームルームが淡々と進んでいく。
    それが終わると、さわ子は何かを避けるように急ぎ足で教室を出て行こうとした。

    紬「先生!」

    唯「さわちゃん!」

    それを引きとめようと唯たちが名前を呼ぶと、さわ子は
    びくっと肩を震わせて立ち止まった。

    さわ子「あ、えっと、どうしたの?」

    23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 09:41:03.94
    澪「律のことなんですけど……」

    さわ子「あぁ、田井中さんね。今日も休みよ。あなたたちは早く次の授業に……」

    唯「何で!?風邪じゃないんだよね!?」

    紬「それにりっちゃんが部活辞めちゃった理由だって聞いてません!教えてください!」

    詰め寄る三人に、さわ子は溜息をついた。
    長い髪を鬱陶しそうに後ろに払う。

    さわ子「私の口からは言えないわ。言わないで欲しいって頼まれたから」

    澪「律にですか?」

    さわ子「お母さんに。りっちゃんとはきちんと話してないわ」

    24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 09:51:33.57
    紬「どうしても話せないことなんですか?」

    さわ子「……まあね。本人が知られるのを嫌がってるみたいだから」

    そう言うと、さわ子は「教室戻りなさいよ」と無理矢理話を締めくくって
    職員室へと逃げるように去っていった。

    唯「……どうする?」

    紬「帰り、またりっちゃん家に寄るしかないよね」

    澪「……」



    25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 09:58:15.87
    放課後!

    梓「……さわ子先生も何も言ってくれないんですか」

    唯「うん……」

    紬「今日はりっちゃんに会えるかな……」

    澪「さあ……」

    トコトコ

    唯「あ!」

    梓「どうしたんですか?」

    唯「ほら、向こう!あれ、りっちゃんたちじゃない!?」

    唯が指差す先には、確かに律たち親子の姿があった。
    向こうも唯たちに気付いたらしく、立ち止まった。

    26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 10:04:58.55
    心なしか、律の顔色が悪いように見えた。
    律の母親は「先家に入ってるね」と玄関に消えていった。
    律もそれに続こうとする。

    澪「律、待てよ!」

    唯「りっちゃん、どうして部活辞めちゃったの!?」

    紬「学校にも来ないし……」

    梓「何かあったんですか?」

    矢継ぎ早に質問されて、
    律は振り向かずに立ち止まった。

    律「関係ないだろ」

    27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 10:12:48.50
    その声はあまりにも刺々しかった。
    だが、それに負けずに澪が言い返す。

    澪「関係ある!お前部長だろ!?何で何も言わずに辞めるんだよ!?」

    律「……それは悪かったよ」

    唯「りっちゃん、本当にどうしちゃったの?」

    梓「もし何かあったんなら、私たち相談に乗りますし……」

    律「いいよ別に」ハァ

    紬「りっちゃん……」

    律「辞めた理由、聞きに来たわけ?いいよ、答えてやるよ。辞めたのは私の
    ドラムが皆の足を引っ張ってるから。これでいいだろ?」

    28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 10:24:38.39
    唯「そ、そんなこと……」

    律「あるよな。私は澪やムギ、梓みたいに周りが唸るほど上手くないし、唯みたい
    に天才肌なわけでもない。私じゃ吊り合わないんだよ」

    澪「ふざけるなよ!一緒にバンドやろうって言ったのお前だろ!?」

    律「ふざけてねーよ。いいからもう帰れよ。ちゃんと答えただろ」

    澪「帰らない、律が辞めるの取り消すまで帰らない!」

    律「……帰れって。お前等の顔、見たくない」

    29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 10:32:06.17
    澪「……お前!」

    律「もうすぐ私は死んじゃうんだよ」

    澪「……え?」

    梓「死ぬ、って……」

    律「頭に変なの、できてんだってさ」

    自分の頭を指差しながら、律は力なく笑った。
    そのまま、動けない澪たちを残して家の中へ入っていった。

    31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 10:41:26.68
    ――――― ――

    さわ子「そう、りっちゃんに聞いたのね」

    澪「……はい」

    さわ子「数ヶ月前から調子悪かったみたいだけど、随分我慢してたんですって。
    それで病院行ったら脳腫瘍が見付かったらしくてね」

    唯「治るよね、さわちゃん!?」

    さわ子「私は音楽教師でお医者様じゃないからわからないわよ……」

    紬「でも悪性腫瘍じゃなければ……」

    さわ子「ムギちゃん、りっちゃんの様子見て、わかったでしょ?」

    紬「……」コク

    33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 10:51:25.93
    梓「先生、律先輩、学校はどうするんですか?」

    さわ子「明日から暫く入院するそうだけど、学校は辞めないって言ってたわ。
    ただ、部活は行けないから迷惑かけるし辞めるって言って……」

    梓「そうですか……」

    さわ子「……私も吃驚したわよ、ほんと。どうしたらいいかわからないわ。
    りっちゃん自身、今凄く動揺してるらしいし……」

    澪「先生」

    さわ子「なに、澪ちゃん?」

    澪「律の入院する病院って、どこなんですか?」

    さわ子「行くつもり?」

    澪「はい」

    さわ子「やめときなさい」

    37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 12:49:55.03
    迷いなく頷いた澪に、
    さわ子は静かに言った。

    さわ子「私は重い病気になったことないからわからないけど、きっと誰にも会いたく
    ないわよ、落ち着くまでは。だからりっちゃんのことちゃんと考えてあげてるんなら
    やめときなさい」

    澪「違います」

    さわ子「どういうこと?」

    澪「私の、私たちのために、律に会いに行きたいんです。どれだけ律が首を振ったって
    何言ったって、律は軽音部の部長ですから。勝手に辞めさせるわけにはいきません」

    さわ子「……」

    梓「……あんなふうに言われてまだ腹の虫も収まりませんし」

    紬「まだちゃんと謝ってもらってません」

    唯「だからさわちゃん、私たちはりっちゃんに会いたいの」

    さわ子「……まったく。あんたたちは……」フウ

    38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 12:58:55.56

    「それじゃあ今日からここが、君の病室だ」

    白衣を被ったただの禿げたオヤジが、私を真っ白い部屋へと案内する。
    私はただ、それに着いて行くだけ。
    ベッドに寝かせられると、オヤジは「何かあったらすぐにこのナースコールを押して」
    と言って出て行った。

    「律、とりあえず一旦家に帰ってまた戻ってくるから」

    母さんも病室を出て行く。
    私は独りになった。
    広い病室にただ独り。

    寂しくはなかった。ただ、私はこの部屋で死んでいくんだと、そう思うと怖くなった。



    41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 14:26:47.83
    病院!

    唯「りっちゃんりっちゃん、りっちゃんの病室は……」

    梓「唯先輩、静かにして下さいよ。ここ、病院なんですから」

    紬「私、病院ってあんまり来たこと無いの」ハワアァ

    澪「……ムギ、あんまり喜ぶとこじゃない」

    紬「そうね、ごめんなさい」

    唯「あ、ここだよね。田井中律って名前書いてある。個室?」

    病室の前に着くと、四人は立ち止まった。
    誰も中々中に入ろうとしない。

    梓「……入院したばかりで個室って、珍しいんじゃなかったでしたっけ」

    澪「……入ろ」

    ドア スー

    紬「病院のドアって音、しないのね……」

    45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 16:57:53.51
    澪「律、いる?」

    律母「澪ちゃん!?何でここに……」

    病室に顔を覗かせると、ベッドに寝転ぶ律と、その母親の姿が見えた。
    律の母親は、驚いたように腰を浮かせると、律のほうを見て言った。

    律母「……、今、薬のせいで眠ってるから、ちょっと場所を移さない?」


    待合室!

    律母「ごめんね、澪ちゃん。あと……」

    唯「平沢唯です!」

    紬「琴吹紬です、あ、こちらは後輩の中野梓ちゃんです」

    梓「どうも……」

    律母「平沢さんに琴吹さんに、中野さん?……いつも律と仲良くしてくれてありがとね」

    46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 17:17:28.48
    唯「えっと……」

    律母「あの子、高校入ってから、ほんとに毎日楽しそうで。あ、別に中学生や小学生
    の頃が暗かったとか楽しくなかったとか、そういう意味じゃなくって!」

    澪「へ?わ、わかってます!」

    律母「それで……。それってやっぱり、学校でバンド組んでたからだと思うの。
    家に帰ってからも、ご近所迷惑だからやめなさい、って言っても雑誌とか叩いて
    練習してたりして……」

    唯「……」コク

    律母「本当に、だから多分、軽音部のこと嫌いになったとか、そういうわけじゃないと
    思うの。ただ今は、ショックを受けてるだけだから……」

    梓「はい……」

    律母「勢いで辞めちゃったのかも知れないし……。だけど……、こんなこと、
    私が言うのもなんだけど、ずっと律の友達でいてやってほしいの」

    紬「は、い……」

    律母「それにね、あなたたちならきっと、律も心を開くと思うの。今は、誰にも乱暴な
    口調だし、無愛想だけど……。ほんとは律、すごく不安だろうし、律の傍にいてあげてほしい」

    47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 17:46:57.97
    そこまで言うと、律の母親は頭を抱え込んで何も話さなくなってしまった。
    だけど、そこにいる全員、何も掛けられる言葉が見付からずに、律とよく似たその人の
    震える背中を見詰めるしかなかった。

    律母「……ごめんなさいね、こんなところ見せてしまって」

    暫く経つと、律の母親は目元を拭って恥ずかしそうに笑った。
    気まずい空気になる。

    律母「絶対治らない病気じゃないから。手術すれば、なんとかなるらしいし……。だけど
    あの子、絶対手術は受けたくないって」

    梓「どうしてですか!?」

    律母「それは……」

    答えようとする律の母親の声を、誰かが「もういいだろ」と遮った。

    澪「律!」

    50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 19:52:00.69
    律「何で澪たちがいんだよ」

    律母「そういう言い方はやめなさい」

    律「母さん、澪たちに教えたの?病院のこと」

    澪「教えてくれたのはさわ子先生だ!」

    律「……あ、そ」

    律母「話は病室でしたら?」

    律「……」

    わかったよ、と不貞腐れた様に背を向けて歩き出す律に、
    澪たちもぞろぞろと着いて行く。
    律の母親は、「お願いね」とその場に立ち止まったままだった。

    53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 21:41:06.31

    律「それで、何しに来たわけ?」

    澪「律の退部を取り消すために」

    律「私はもう軽音部に戻んねえ」

    梓「だめです!」

    唯「りっちゃんがいないと放課後ティータイムじゃないよ!」

    紬「私たちを誘ったのもりっちゃんでしょ!」

    律「……」

    澪「何とか言えよ、律」

    律「……さわちゃん、もう退部届け受取ったんだよ。もう私は戻れない」

    唯「そんなのまた入部届け書けばいいじゃん!」

    律「それに!私はもう、学校に行けないかもしんねーんだよ。それなのに部活なんて
    やってられっかよ」

    54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 21:44:45.42
    澪「わかった。律はどうしても辞めたいんだな?」

    律「あぁ」

    澪「それならドラムは違う奴を誘う。それでいいな?」

    律「……あぁ」

    澪「帰ろう、皆」フイッ

    梓「ちょ、澪先輩!」

    澪「いいから」グイッ

    廊下!

    唯「澪ちゃん、どうしてあんなこと……!」

    澪「今のあいつ、何言ったって無駄だよ。あんな律、初めて見た……」

    紬「りっちゃんも、相当辛いもんね……」

    梓「けど、こんなこと言っちゃったら律先輩、よけいに塞ぎこんじゃうかも……」

    55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 21:47:59.35
    >>54
    ミス。

    梓「けど、あんなこと言っちゃったら律先輩、よけいに塞ぎこんじゃうかも」
    脳内変換お願いします。

    57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 21:59:23.53
    澪「でも、今の律には荒療治が必要だと思う」

    紬「私も賛成よ。りっちゃん、あくまでも私見だけど、もう病気を治す事、
    諦めてるみたいだもの。あんなのりっちゃんらしくないし、私も見たくない」

    唯「……、そうだよね。私もあんなりっちゃんやだ」

    梓「同感です。私も、調子が狂っちゃいます」

    澪「……律」グッ

    澪「(私だって辛いよ、律。だけど律の苦しみのほうが、もっと酷いってわかってる。
    だから、私は出来る限りのことをする。いつも律が私を笑顔にさせてくれたように、
    今度は私が律を笑顔にしたい)」



    58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 22:00:34.51
    >>56
    言われて気が付いたwww
    何でだ……?

    今更ですが、ID変わってるけど本人です。

    60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 22:09:19.29
    皆が帰って行った病室は、寒々しい。
    カーテンの隙間から漏れていた太陽の光も、もうとっくになくなっていた。

    『わかった。律はどうしても辞めたいんだな?』

    どうしてあの時。

    『それならドラムは違う奴を誘う。それでいいな?』

    素直に言えなかったんだろう。

    やっぱり辞めたくないと。
    やっぱりドラムをやりたいと。

    でも、もう私は叩けない。
    皆と音を合わすことも出来ない。

    だから、これでいいんだ、これで。

    寂しくも、悲しくも、ない。
    ちゃんと決めたことなんだから。
    私はもう、ダメになってしまうんだから。

    「頭、痛い……」

    胸の辺りが気持ち悪い。
    さっき食べた味の薄い病院食が、喉を通って戻ってこようとする。
    私はゲホゲホと咳き込みながら、「何でだよ」と誰にともなく呟いた。

    ――――― ――

    61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 22:23:41.36
    数日後!
    病院の廊下!

    律母「あ、澪ちゃんたち!」

    澪「おばさん、こんにちは」ペコッ

    律母「中々来なかったからどうしちゃったのかなって……。あ、別に絶対来てほしい
    とか、そういうわけじゃないんだけど……!」

    梓「すいません……」

    律母「気にすることないわよ。また来てくれただけで嬉しいわ。高校生だし、学校とか
    色々あるもんね。皆が来てくれて、きっと律も嬉しいと思う」

    唯「えへへ」

    紬「あ、そうだ」

    律母「どうしたの?」

    紬「あの、病院って、音楽流してもいいんですか?」

    手に持っていたCDプレイヤーを少し上に上げて、紬は訊ねる。
    律の母親は、病室の扉に掛けていた手を離して振り向いた。

    律母「たぶん大丈夫だと思うけど……。CDプレイヤー……?」

    澪「うるさいこととかはしません。ただ、律にちょっと聴いてほしいものがありまして」

    62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 22:26:50.30
    ドア スー

    律「!」パァ

    律「な、何でまた来たんだよ?新しいドラムの紹介か?」フイッ

    律母「(今ちょっと嬉しそうな顔、してたわね……)」

    澪「まあそんなところ」

    律「……」

    律母「私、外に出とくわね?皆、ゆっくりしていって」

    梓「あ、ありがとうございます」

    ドア スー

    律「……で、新しいドラムはどこだよ」

    63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 22:34:21.23
    母親のいなくなった病室で、律は訊ねた。
    誰も何も言わなかった。

    ただ、紬が持っていたCDプレイヤーをテーブルに置くと、コンセントに差込み
    電源をONにした。

    律「なに?新しい曲でも作ったわけ?」

    だけど、流れてきた曲は新しい曲でも、誰かが好きなバンドの曲でもなかった。
    懐かしい音楽が、病室を包んだ。

    律「……ふわふわ時間?」

    けど、何か変だった。
    サビに差し掛かったとき、漸く律は気付いた。ドラムがない。

    澪「お前のドラムがなきゃ、私たちの曲はこんなんなんだ」

    紬「もう曲になってないよね?」

    唯「ぐだぐだよー」

    梓「律先輩のドラムは、走りすぎてますけど……でも、それでも私たちの音楽の、
    ちゃんとした土台だったんです。その土台がなくなると、私たちの音楽じゃなくなっちゃいます」

    64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 22:39:52.84
    律「でも……他のドラムの奴、誘うって……」

    澪「誘わないよ。誘ったとしても、たぶん合わなかったと思う」

    唯「私たちには、りっちゃんのドラムしかないんだよ」

    紬「りっちゃんじゃなきゃだめ」

    律「そんなこと……」

    梓「だから、戻ってきてください、律先輩」

    澪「治療だって辛いと思う。病気は苦しいと思う。でも……頑張ろうよ律。
    私たち皆、律が病気治して戻ってくるの待ってるからさ」

    律「……」グスッ

    唯「諦めちゃうのなんて、りっちゃんらしくないよ……?いつでもりっちゃんは
    こんなのへっちゃらだ!って笑ってなきゃ」

    梓「律先輩がそんなんじゃ、治るものだって治りません!」

    紬「……私たちも出来る限りのことはするから。病気の治療はお医者様に任せる
    しかないけど……」



    65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 22:50:21.45
    律「……ごめん」

    皆の優しい言葉に、律は知らず知らずのうちに呟いていた。
    涙が止まらなかった。

    律「皆、ごめん……。私、最低だな、自分のことしか、考えて、なかった……。
    何でこんな病気になったんだって、何で私なんだって……怖くて仕方なくって……。
    それで、誰の顔も見たくなくって……。本当は軽音部だって続けたかったけど、
    脳腫瘍って聞いて、あぁもう私はだめなんだって思って……」

    澪「……泣いていいよ、律」

    律「……うっせーよ、バカ澪」ヒック

    唯「りっちゃん、ごめんね、私たちちゃんとりっちゃんの気持ち考えないで……」

    律「いいよ、ほんとは、帰れとか言っちゃったけど、心の底じゃ、皆に来てもらえたり、
    辞めるなって言ってもらえて、嬉しかったから……。私、やっぱり生きたいよ……。
    それで、また皆と音楽がしたい、バンドがやりたい……!」

    梓「できますっ!絶対できます!」

    紬「だから早く元気になって、りっちゃん!」

    66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 22:52:40.27
    澪「それじゃあもう、これは必要ないな?」

    ピラッ

    律「え?……私の退部届け?」

    澪「まだ正式にはちゃんと受取ってなかったんだよ、さわ子先生」

    驚いた様子の律を見て、澪は満足げに笑うと、
    突然それを破り捨てた。
    律が澪を、軽音部に誘ったときのように。

    澪「これで、律の退部の話はなくなった。いつでも戻ってこれるよ、律」

    律「……皆、ありがとな……」

    律はそう言って、今まで堪えていたものを全て吐き出すように、
    泣き出した。

    ――――― ――

    67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 22:57:19.13
    とりあえず第一部はここで終わり。

    96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 12:13:07.77
    まだ誰もいない病室は静かだ。
    入院して一ヶ月。
    だいぶこの静けさには慣れたけど、皆が学校へ行っているであろうこの時間帯は
    寂しい。
    そんな寂しさを埋めてくれたのは、やっぱり音楽だった。

    病気で学校へ行けないからといって、澪たちが持って来てくれるノートの写しや
    プリントをやろうという気はしない。
    誰もいなくて寂しいとき、だから私は母さんが持って来てくれたドラムスティックで
    リズムを刻んだ。
    そうすると、心が落ち着いて安心できる。

    今日もまたドラムスティックで積んであった教科書を叩いていると、
    ドアが音もなく開いた。

    「りっちゃん、検査の時間」と看護師さんが入ってくる。
    私は慌ててスティックを布団の下に隠そうとしたけど、遅かった。

    97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 12:16:41.31
    「また叩いてたの?まったく、いくら個室だからって、隣の病室に音聞こえ
    るんだからね」
    「すいましぇん……」
    「ほんとに好きなのね、叩くこと」
    「その言い方ちょっと如何わしい気もするんだけど」

    でも、私は確かに大好きだ。
    ドラムを叩くこと。

    「まあ、皆と一緒に合わす方がもっと好きなんだけどな」
    「それなら早く治さなきゃね」
    「うん。約束もしたし。絶対治して武道館一緒に行こうなって」

    99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 12:37:38.44
    落ち込んで一時期は辞めてしまった軽音部の皆が、私を励ましてくれた。
    頑張って、と。一緒に頑張ろう、と。
    そう言ってくれたから、私はこうして明るい未来を見れる。

    「随分前向きになったのね。入院してきたときなんて、凄く暗い顔してたのに」
    「……私、今生きてるし。澪たちのため為にもちゃんと治さなきゃって。だって私、部長だもん」

    看護師さんは、「はいはい」と笑うとドアのほうへと歩いていった。
    それから振り向くと、「検査行くよ」

    「忘れてくれてて良かったのに……」
    「早く治すためにはちゃんと検査もしないとね」

    ――――― ――

    100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 12:42:42.95
    ドア スー

    唯「おいーっす!りっちゃん調子どう?」

    律「おっす。今日はだいぶ良いぜ」

    澪「良かった。昨日は凄いしんどそうだったし……」

    律「ごめんな、昨日は……」

    紬「でも治療をちゃんとしてるってことでしょ?」

    梓「放射線治療は大変だって聞きますし……」

    律「うん、まあな……」

    澪「髪、だいぶ抜けちゃったな」

    律「う、うっせー」バッ

    101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 12:46:04.94
    唯「そんなりっちゃんにプレゼント!」ババーン

    律「へ?」

    紬「千羽鶴じゃないけど、クラスの皆でりっちゃんが早く治るように願いを
    込めて編んだ帽子よ」

    梓「ちなみに私も編ませて貰いました」

    律「……あ、ありがと……」ジワッ

    “プレゼント”を受取りながら、律は涙声でお礼を言った。
    唯たちは顔を見合わせほっとしたような表情をする。

    澪「最近涙脆いな、律」ポンッ

    律「言うなっ」グスッ

    103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 13:24:07.26

    一方その頃。
    診察室。

    律母「先生、どうでしょう?」

    医者「うーん……」カルテペラッ

    医者「精神的に律ちゃんは落ち着いたみたいだから、良くはなってきてますね」

    律母「そうですか……」ホッ

    医者「ただ、やはり放射線治療ばかりでは律ちゃんの身体は持たないのでもう一度、
    手術のこと考えてもらえませんかね?」

    律母「はあ……。私も何度もあの子にその話を持ちかけてるんですが……。やりたくないの
    一点張りで」

    医者「……最初にあのことを言わない方が良かったのかも知れませんなあ」

    律母「はい……」

    医者「とりあえず、まだ油断は出来ませんが経過は順調ですのでこのまま放射線治療を続けて様子を見ましょう」

    律母「ありがとうございます」ガタッ、ペコ

    106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 13:56:33.99
    律「……ふう」トコトコ

    溜息をつきながら律のいる病室へと向かう。
    病室の前に着くと、中から声が聞こえた。
    今日も唯たちが来ているとわかって、律の母親は病室に入ることを止めた。

    唯「りっちゃん、りっちゃん!教科書積み上げて即席ドラム作ってみましたぞ!
    腕が落ちてないか試してみてくだされ!」

    律「バーカ、私の腕が落ちるわけないだろー!やってやる!」

    タタンッ、タタンッ

    律母「……」ズキン

    律母「(……あんなに楽しそうに……。私は、あんたの命も、あんたの好きなものも
    守ってやりたいのに……。どうすればいいの……)」

    110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 15:52:04.48

    澪「ふーん……。確かに腕は落ちてないな」

    律「だろっ!?」

    梓「……律先輩。学園祭、一緒に出られませんか?」

    律「え?」

    唯「私たち、五人でライブやりたいよ。それに、あずにゃんにとっては二回目だけど、
    私たちにとっては高校最後のライブだよ?」

    律「うん……。けどその日、外出許可が出ないと……」

    紬「まだ夏休みは始まったばかりだし、頑張って治しましょう!」

    律「あ、そっか。今日から皆夏休みだっけ」

    111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 15:55:21.68
    唯「そうだよう、だから今日から毎日りっちゃんのお見舞いに来れるよう!」

    律「唯は私の貰ったお菓子食べちゃうから来なくていいや」

    唯「う」

    梓「そんなこと言って、ほんとは嬉しいんでしょ?顔、にやけてます」

    律「う」

    澪「……っ!」プッ

    紬「澪ちゃん?どうしたの?」

    澪「あはっ、あはは!やっぱ場所が違っても、私たちは私たちなんだなって……!」ククッ

    一同「……」

    一瞬静まり返ったが、次第に皆に澪の笑いが伝染していった。
    律が元気よく手を振り上げる。

    律「よーっし、待ってろよ学園祭!りっちゃん隊員が絶対に到達してやる!」



    112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 15:58:35.45
    律母「学園祭?」

    律「うん、いいだろ?」

    律母「それはまあ……。けど先生に聞かなきゃ」

    律「あの先生怖いんだよなあ……」チラッ

    律母「無理。外出したいんなら自分で言いなさい」

    律「うぅ」

    律母「それより律。やっぱり手術……」

    律「だーかーら。しないってば。何度言えばいいんだよ」

    律母「けど……」

    律「けどもくそもねーよ。大体今の治療でも治ってきてるんだろ?それでいいじゃん」ガバッ

    律母「(手術の話になると、突然不機嫌になっちゃう)」ハァ

    律「寝るから出てって」

    律母「はいはい。お休み」

    律「……うん」

    113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 16:00:08.75
    ――――― ――

    ほんとは自分でも、そろそろ身体が限界に来ていることはわかっていた。
    主治医の先生や、仲良くなった看護師さんにも何度も「手術したほうがいい」と
    勧められていた。

    けど、手術をしたら、私はあまりに大きいものを失ってしまうかも知れない。
    それだけは、死ぬのと同じくらい嫌だった。

    114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 16:01:59.64
    だから踏ん切りがつかない。
    このまま治ればいいのに、と柄にもなくカミサマに祈ってしまう。

    誰もいなくなった暗い病室で、また酷い頭痛に襲われた。
    コールボタンを押しかけた自分の手を、必死で止める。
    今誰かを呼んでしまったら、学園祭に行けなくなってしまうかも知れない。

    早く寝てしまおう。
    大丈夫、眠ったらこんな痛み、きっと忘れてる。

    ――――― ――

    115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 16:04:33.18
    ピリリリリ♪

    澪「ん……。こんな朝早くに誰だよ……」ゴソゴソ

    『着信:さわ子先生』

    澪「さわ子先生……?」カチャッ

    澪「はい、もしもし?」

    さわ子『澪ちゃん!?』

    澪「は、はい!どうしたんですか!?」

    澪「(まさか……!)」

    さわ子『今りっちゃんのお母さんから、りっちゃんの容体が急変したって連絡があったの!』

    116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 16:23:54.14
    澪「そんな……。昨日はすごく元気そうだったのに……!」

    さわ子『他の皆には私が伝えとくわ。澪ちゃんは早く病院に……!』

    澪「律……!」

    返事もせずに、澪は電話を切った。
    近くにあった服に着替えると、震える足で家を飛び出した。



    117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 16:31:55.66
    病院!

    唯「あ、澪ちゃん!」

    澪「唯!」

    唯「澪ちゃんもさわちゃんから!?」

    澪「う、うん……」

    入口から中へと急ぐ。
    もうすっかり覚えてしまった律のいる病室へと走っていく。

    病室の前に着くと、二人は立ち止まった。

    唯「……り、りっちゃん……?」

    澪「嘘だ……」

    愕然と、二人は顔を見合わせた。
    病室には、誰の姿もなかった。

    120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 16:57:40.51
    「澪ちゃん、唯ちゃん!」

    突然名前を呼ばれ、文字通り澪たちは飛び上がった。
    振り向かずとも、その声の主は紬だとわかった。

    澪「ムギ、律は……!」

    唯「……大丈夫、みたいだね」

    振り向いて見た紬の顔を見て、
    澪たちはほっと溜息をついた。

    紬「りっちゃん、熱が高くて今、集中治療室にいるわ。熱が下がれば明日か明後日にはまた、
    個室に戻れるって」

    唯「そっか……」

    澪「梓は?」

    紬「もう来てるわ。車で病院に来てたときに、梓ちゃんを見かけたから乗せて来たの」

    唯「そっか……」

    121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 17:02:48.69
    紬「……、梓ちゃん、お医者様に必死でお願いしてた」

    澪「え?」

    唯「お願いって、何の?」

    紬「りっちゃんの病気をちゃんと治してあげて下さいって。それで、学園祭のライブの
    ステージに立たせてあげて下さいって。……お願いしたってどうにもならないことは、
    梓ちゃん自身、知ってるはずなのにね」

    唯「……あずにゃん」

    澪「バカ律……」

    紬「とりあえず、りっちゃんのところへ行きましょう?梓ちゃんもそこにいるはずだから」

    123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 17:12:14.73

    梓「あ、先輩方……!」

    近付いてきた先輩三人の姿を見ると、
    梓は座っていた椅子から今にも泣き出しそうな顔で立ち上がった。

    その前には、ガラス越しからではあるが、律の姿が見えた。
    色々な医療機器が、律の身体を取り囲んでいた。

    唯「あずにゃん、大丈夫?」

    梓「そういう言葉は、律先輩に言わなきゃだめです……」

    唯「……うん、そうだね。でもあずにゃんも凄く泣きそうな顔、してるよ?」

    梓「私は、泣いちゃ、だめなんです……。泣くのは、先輩たちが四人で、学校を卒業
    していくときだけなんです。だから、泣いちゃ、だめなんです……!」グッ

    唯「……、りっちゃん、きっと治るよ、大丈夫」ギュッ

    澪「律は生命力、強いからな。こんなことじゃへこたれないよ」ポンッ

    紬「皆で学園祭でライブするって、りっちゃん自身言ってたんだもの。りっちゃんは
    約束を守ってくれるよ」ナデナデ

    梓「……はい」

    125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 17:20:08.97
    ガラスの向こう側で、確かに律は必死で生きようとしていた。
    自分達はただ、それを「頑張れ」と言って見ているしかない。

    梓「(それでも、律先輩の役に立ってるんなら……。私はいくらでも叫びます、
    律先輩頑張れって。またもう一度……五人揃って演奏したいよ、律先輩……)」

    ドア スー

    ドアが開いて、白衣を着た医者禿げ頭の医者が出てきた。
    それと同時に、駆けて来るさわ子の姿も見えた。

    さわ子「みんな、りっちゃんは!?」

    律母「山中先生!」

    医者の後から出てきた律の母親は、さわ子に駆け寄って行った。
    そして、しきりに頭を下げている。
    唯たちが首を傾げて見ていると、律の母親と一緒にいた男の人が、唯たちに近付いてきた。

    126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 17:25:03.50
    澪「あ、おじさん、お久し振りです!」ペコッ

    唯「おじさん?」

    律父「澪ちゃん、久しぶり。それから軽音部の皆さんは始めまして。律の父親です。
    いつも娘がお世話になっているそうで」

    紬「いえっ、そんな!」

    律父「今回は本当に危険だったんだ。もしかしたら、もう命はなかったかも知れない」

    梓「……え」

    律父「けど、君たちが来てくれると励ましたら、何とか持ち直してね。本当に律は、
    軽音部が大好きなんだな」

    澪「……そうだと、嬉しいです」

    128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 17:36:39.31
    律父「……本当にこんな朝早くに。律は愛されてるんだなあ、と思ったよ。ありがとう」

    唯「だ、だめです!」

    律父「え?」

    唯「今私たちにお礼言っちゃ、だめですよ!」

    澪「ちょ、唯!?」

    唯「りっちゃんが元気になったときに、りっちゃんに言ってあげてください!
    私たちじゃなくって!今そんなこと言っちゃ、死亡フラグ立ってるみたいじゃないですか!」

    紬「唯ちゃん……」

    唯「すいません……、変なこと言っちゃって……」ジワッ

    律父「……。そうだな、すまなかった」

    129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 17:39:28.45
    唯「い、いえ、私こそ……!」

    律父「だけど、言わせてくれないか?本当にありがとう」

    唯「……っ」

    律父「……君たちには伝えておかないといけないことがある」

    梓「どういう、ことですか……?」

    律父「今、持ち直したとしても、律の命は長くないらしい」グッ

    ――――― ――

    134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 17:51:06.67
    >>132
    自分でも思ったwww
    唯ちゃんはそれだけ動揺していたということにしておいてくださいww

    136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 17:57:01.04
    頭の奥が呆として、ズキズキ痛む。
    身体が重くて、思うように動かせない。

    目を開けてみた。
    暗い部屋に、幾つもの機械がピコピコと動いていて、身体が動かせないのは
    病気のせいではなくその機械に繋がれているからだと悟った。

    もう、ダメなのかなあ。

    そんなことを思って、ハッとした。
    何を考えてるんだ、私は。

    ちゃんと治して、生きるって決めたんだ。
    生きなきゃいけない!

    なのに……。
    どうしてこんなにも、私の身体は、熱いんだろう。

    朦朧とした頭は、次第に私の考える気力さえも奪って行った。
    私は再び、深くて真っ暗な眠りの底に堕ちて行く。

    ――――― ――

    137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 18:10:20.73
    次の日!

    ザワザワ

    律「……んっ……」

    澪「律!」

    唯「りっちゃん、大丈夫!?」

    律「……澪、唯?」

    紬「気分はどう?」

    梓「変な感じ、しませんか?」

    律「ムギに梓まで……どうしたんだよ皆、こんな早くに」

    梓「こんな早くって、もう昼回ってますよ」

    律「え?……ほんとだ」

    澪「……なあ律。学園祭の話なんだけどさ」

    律「やる!先生にも外出できるように頼むから!」

    澪「……やっぱり止めよう。私たちもライブしない」

    138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 18:18:40.47
    律「……は?な、何でだよ!?」

    梓「律先輩、落ち着いてください」

    律「これが落ち着いてられるかよ!」

    紬「……りっちゃん、私たちだってライブ、したかったよ?でも、りっちゃんと一緒じゃ
    なきゃ、意味ないから」

    律「なんだよそれ!だから私は……!」

    唯「りっちゃん!」

    突然の唯の大声に、
    律はびくっとして唯を見た。

    唯「りっちゃん、手術して」

    139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 18:25:10.56
    律「……!」

    唯「手術しなきゃ、りっちゃんは死んじゃうんだよ!?お願いだから、私たち、
    もう一緒に学園祭出ようとか、軽音部続けてとか、言わないから!」

    梓「律先輩が今まで手術しなかったのは、腕が動かなくなるからなんですよね!?
    ドラムが続けられないから、そうなんですよね!?私たちだって、律先輩のドラム聴けなく
    なるのは嫌です、だけど律先輩がいなくなっちゃうのはもっと嫌なんです!」

    律「……んだよ、それ……!意味わかんねーよ、私が死ぬわけないだろ!?
    ちゃんと治すって言ったじゃんか!なのに何でそんなこと言うんだよ!
    学園祭、絶対出るから!絶対だ!」

    澪「律……」

    140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 18:39:07.32


    律母「……そう」

    律父「どうしても出るって言って聞かないそうだ」

    医者「……」

    医者「よし、わかった」

    律母「え?」

    医者「お母さん、お父さん。確かに昨日、手術をしたら何とかなるかも知れないとは言いましたが、
    娘さんの命が絶対に長くなるとは限りません」

    律父「……はい」

    141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 18:39:54.82
    医者「賭けてみませんか。律ちゃんのお友達に」

    律母「どういう……?」

    医者「学園祭のステージに、立たせてあげましょう。あの子のお友達なら、きっと
    律ちゃんを無理させないはずだろうし、一日くらい、任せたって安心だ。それに、
    学園祭が終われば律ちゃんも手術を受けると言い出すかも知れませんし」

    律父「……」

    医者「どうです?」

    律母「でも、そうすることでよけいに酷く……」

    律父「わかりました。賭けてみましょう」

    律母「そんな!」

    律父「どうせもう、長くない命だ。律に好きに使わせてやりたいだろ」

    142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 18:45:04.15
    ――――― ――

    胸の辺りがむかむかする。
    何で学園祭に出るななんて言うんだよ……。

    「律」

    低い声が私の名前を呼んだ。
    布団から顔を覗かせると、父さんがいた。

    「調子はどうだ」
    「最悪」

    そう答えると、父さんは「そうか」と笑った。

    「なあ、律。学園祭に、どうしても出たいのか?」
    「……うん」

    何で父さんがその話を持ち出すのか。
    軽音部のことなんて、何も興味なかったくせに。

    「父さんが先生に頼んできた」
    「……え?」
    「学園祭の日の外出許可が出たぞ」

    私は父さんの言葉に吃驚して飛び起きた。
    父さんは、優しい顔をして私を見ていた。

    ――――― ――

    144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 18:52:07.37
    ちょっと飯食ってくる。

    147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 19:14:36.42
    ドア スー

    「……」コソコソ

    律「何こそこそしてんだよ皆」

    澪「うっ」

    唯「だ、だって昨日の今日だし……」

    紬「りっちゃんまだ怒ってるかなーって……」

    律「もう怒ってねーよ。それより医者から外出許可が出たんだ!だから……」

    149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 19:18:26.04
    律「へえ?まあこれで、学園祭の件は一件落着!ちゃんと練習しなきゃな」

    澪「それなんだけど、学園祭の日までは律は絶対安静な」

    律「はあ!?」

    梓「張り切りすぎて熱とか出されたら困りますから」

    紬「りっちゃんも元気な状態で出たいでしょ?」

    律「……わかったよ」ムウ

    唯「暇なときは私が相手してあげるよ、りっちゃん!」

    澪「逆にお前は練習しろ」

    唯「ほーい……」

    150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 19:19:12.89
    澪「あと律。ちゃんとした練習はしちゃだめだけど、譜読みくらいはしておけよ」ピラッ

    律「ん?何これ。新曲?」

    唯「りっちゃんにちょっと早い誕生日プレゼントと思って受取ってよ!」

    律「いや、思えないし。『ごはんはおかず』って、絶対誕生日プレゼントの歌詞に思えないし」

    唯「むう」

    澪「それじゃ、私たちは練習するために帰るな。絶対じっとしとくんだぞ?」

    律「おう!」



    151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 19:27:13.78
    廊下!

    澪「(本当に、これでいいのかな……)」テクテク

    紬「澪ちゃん」

    澪「え、なに?」ピタッ

    紬「大丈夫よ、きっと」

    澪「……ムギ」

    152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 19:28:28.37
    紬「りっちゃん、元気になってくれるんじゃないかなあ、ライブで皆と演奏したら。
    何となく、そんな気がするの。だから大丈夫よ」

    澪「……うん、そうだよな。ライブ終わったらまた、手術するように言えばいいし。
    とりあえず今は、律にとっても、私たちにとっても、最高のライブにするように頑張らないとな!」

    唯「みおちゃーん、ムギちゃーん、早く学校行こうよー!」

    梓「置いて行っちゃいますよー!」

    紬「すぐ行くわー!」

    クルッ

    紬「そうよ澪ちゃん、りっちゃんの分もちゃんと練習して、それで学園祭、皆で
    笑いましょう」

    澪「……うん!」



    153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 19:33:06.37
    それから暫くの間、澪たちは病院に来なかった。
    私は一人、黙々と譜読みを進めた。

    たまに手や足を動かして確認してみる。
    早くドラムを叩きたくて仕方がなかった。
    早く、皆と演奏したくて仕方がなかった。

    『ごはんはおかず』と『U&I』
    どちらの新曲も、唯が作詞らしい。
    なんだかなあ、唯らしくあり唯らしくない。

    「U&Iとかムギか梓の歌詞に思える……ケホケホッ」

    最近、咳が止まらない。
    風邪じゃないといいけど。
    ちゃんと早く寝なきゃな。

    学園祭まであとちょっとなんだから。

    ――――― ――

    154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 19:38:15.15
    学園祭当日!

    唯「りっちゃん、最近病院行けてなくてごめんね。学校始まって色々忙しくて……」

    律「いいよ別に!」

    澪「随分ご機嫌だな」

    律「当たり前だろ!」ニッ

    澪「……うん」

    医者「それじゃあ律ちゃん。何かあったらすぐ病院に戻ってくること。いいね」

    律「はーい」

    紬「ライブは昼からだし、その間、どこか回る?それとも練習する?」

    律「練習しよう!」

    梓「いつもは練習しようなんて言わないくせに……」

    律「久しぶりなんだもん、仕方ないだろー。ほら、早く学校行こうぜ!」フラッ

    156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 19:47:43.73
    梓「律先輩!」

    律「……っ!……あー、大丈夫大丈夫」ヘラ

    律母「やっぱりやめといたほうが……」

    医者「……そうですね」

    律「!い、行かせてよ!学園祭出たいんだよ!」

    医者「……しかし、それで君の体調が悪くなっても僕は責任を持てないよ」

    律「っ!」

    157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 20:01:23.49
    てすてす

    158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 20:04:23.13
    梓「お願いします!」バッ

    唯「わ、私からも!」バッ

    紬「私も!」バッ

    律「皆……」

    澪「何かあったらすぐに病院に連絡します!だからお願いします!」バッ

    医者「……元々この提案をしたのは僕だ」ハァ

    律「じゃあ!」パアッ

    医者「但し、予定は変更だ。ライブが終わったらすぐに戻って検査。後、学校へは
    歩いてではなく、車で行きなさい」

    律「はいっ!ありがとうございます!」

    160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 20:16:59.10
    >>159
    というか手術とかしない人のほうが多いみたいだよ。
    悪性だと諦める人が多いみたい。
    実際自分もよく知らないんだけどな……。
    「腕が動かなくなる」とかは、ストーリー的に。頭手術するわけだからそういう
    こともあるんじゃないかなと。

    161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 20:23:40.74

    部室!

    紬「りっちゃん、久しぶりの部室、どう?」

    律「なんか……帰ってきたなあ、って感じ」

    澪「なんだよそれ」ククッ

    唯「りっちゃん、それじゃあ早く練習しよう!」

    律「おう!」

    梓「……大丈夫そうですね、律先輩」コソッ

    澪「……うん」

    ガチャリ!

    さわ子「皆、揃ってる!?」

    律「おっす、さわちゃん!」

    さわ子「……揃ってるわね」フフッ

    安心したようにさわ子は笑うと、
    どこから取り出したのか、『放課後ティータイム』と書かれた自作であろうTシャツを
    みんなの前に広げた。

    162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 20:29:36.61
    さわ子「みんなのために一夜漬けで作ったのよ!」

    一同「……」

    さわ子「あれ?」

    律「やるじゃんさわちゃん!」

    唯「すごーい、可愛い!」

    澪「最後の年にやっとまともなの作ってくれたな……」

    さわ子「(あー、これ、これなのー!)」フルフル

    キガエキガエ

    律「よっしゃ、準備万端だな!」

    唯「いえっさー、りっちゃん隊員!」

    律「そんじゃあ、行くぞー!」

    一同「おー!」



    163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 20:37:08.26
    律「……なんか緊張してきたな……」

    唯「えー、りっちゃんがー?」

    律「私だって緊張するっつーの!……ケホケホッ」

    澪「律、大丈夫か!?」

    律「ただの咳だよ、大袈裟すぎ」

    梓「……あ、幕が開きます!」

    ザアアアアア

    律「よっしゃあ!……って、あれ?」

    唯「何これ……」

    梓「皆私たちと同じTシャツ着てる……」

    165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 20:47:02.58
    >>164
    すまん、ためしにやってみたらなんか立ってしまった。
    あと、さっきさる食らってたから他に書き込むスレもなかったし、
    向こうとこっち交互に書こうかなと。

    とりあえず今日中には終わらせる。

    167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 20:54:56.75
    和「さあ皆さん。お待ちかね、桜高の目玉イベント……放課後ティータイムの演奏です!」

    澪「和!?」

    梓「どういうことですか!?」

    和「落ち着いて。Tシャツは山中先生が作ってくれて、始まる前に私たちで配ったの」

    唯「ありがとうございますっ!山中先生っ!」

    和「それじゃあ頑張って。律も」

    律「……おう!」

    ギターを構えなおす唯と梓。ムギは大きく頷く。澪も、律を振り向くと、頷いた。

    律「行くぞ、1、2、3、4!」



    169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 21:06:06.48
    唯「終わった……」

    澪「終わっちゃったな……」

    紬「ちゃんと練習出来てたかまったく覚えてないわー」

    梓「ていうかTシャツのサプライズで全部吹っ飛びました」

    律「……」

    唯「りっちゃん……?」

    澪「律!?」

    紬「大変、救急車……!」

    梓「落ち着いてください、先輩方!律先輩、眠ってるだけじゃないですか?」

    律「」スースー



    170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 21:09:24.89
    澪「……あ、ほんとだ」ホッ

    カチャッ

    さわ子「みんな、お疲れ様!……りっちゃん、疲れて寝ちゃった?」

    唯「そうみたい」ヘラ

    さわ子「……最高の演奏だったわよ、皆」ボソ

    唯「……うん、すっごく楽しかった」

    梓「律先輩のドラム、今日は最高に良かったです!」

    澪「良かったよな、これで!良かったよな!」

    紬「うん、とっても良かった!」

    唯「りっちゃんも、きっと良かったって思ってるよね!?」

    さわ子「大丈夫、思ってるわよ。見て、この幸せそうな寝顔」フフッ



    171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 21:15:45.91
    目を覚ますと、いつのまにか学校じゃなく、病院に居た。
    ベッドに寝かされている。

    「あれ……?」

    重い頭を持ち上げて、身体を起こす。
    きょろきょろとしていると、主治医の先生が入ってきた。

    「目が覚めたかい?」
    「……はあ」
    「身体のほうはどう?しんどくない?」
    「うん……」

    頷くと、主治医は「そうか」とだけ言って出て行こうとした。
    私が「検査は?」と呼び止めると、「もう終わったよ」と暗い声で言った。

    ――――― ――

    174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 21:43:42.42
    律母「……え?」

    律父「手遅れ、ですか……?」

    医者「……手術は出来ません」

    律母「な、なんでなんですか!?」

    医者「落ち着いてください、お母さん」

    律父「どういうことですか、先生」

    医者「……律ちゃんの身体は、だいぶ無理したようで、体力が残っていません。
    しかし、手術はある程度の体力も必要です。今の律ちゃんでは、到底耐え切れないでしょう」

    律母「でも、それならある程度体力が戻れば……!」

    医者「出来ません。今の医療技術では、出来ません……」

    177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 21:49:58.01
    律母「そんな……」

    医者「律ちゃんの脳にもう一つ、転移していたんです」

    律父「……!」

    医者「もう、持ってあと数ヶ月でしょう」



    183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 22:00:22.58
    澪「あ、律、目が覚めたか?」ヒョコッ

    律「お、澪。ライブの後寝ちゃってたみたいだな。ごめんな?」

    澪「いや、別にいいよ」

    律「あれ、他の皆は?」

    澪「……外だよ」

    律「そっか」

    何となく、沈黙が訪れる。
    澪は、さっきからずっと俯いていた。律の母親が泣いていた。
    その光景を見て、何があったのかは聞かずともわかってしまっていた。
    他の皆は、律の父親に呼ばれていた。澪だけ、律の傍にいてやってくれと言われて、
    今ここにいる。

    律「なあ澪」

    澪「……ん?」

    律「私、もうすぐ死ぬのかな」

    187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 22:12:41.13
    澪「……え?」ドキッ

    律「……なーんてな!んなわけねーだろ!私元気いっぱいだし!」

    澪「うん……そうだよ、律が死ぬわけ、ないよ!」

    律「澪」

    澪「……なに?」

    律「私、ライブやったこととか全然後悔してないから。寧ろやらなかったほうが
    ずっと後悔したし。だからやってよかったよ」

    澪「……うん」

    190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 22:26:02.30
    律「生きてて良かった、って思った。落ち込んでる時、澪たちが私を励ましてくれないと、
    今私、生きてなかったかも知れない。だからありがとな、澪」

    澪「……なんでそんなこと、今言うんだよ」

    律「言えるうちに言っとこうかなって思ってさ」

    澪「!」

    律「澪?」

    澪「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる」ダッ

    律「……ん」



    192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 22:33:06.63
    廊下!

    唯「あ……、澪ちゃん」

    澪「!」

    紬「……ヒック」

    梓「……先輩……」グスッ

    病室を出ると、ドアの付近に三人が座り込んでいた。
    皆、肩を震わせ泣いていた。

    澪「……皆、どうしたの……?」

    怖いのに、澪は聞いていた。
    本当はわかってるのに。藁にも縋る思いで、違う答えを言ってほしくて。

    唯「りっちゃん、ね……」ヒック

    紬「あとちょっと、しか……生きられないって……」

    澪「……」

    何も言えずに、澪はその場に足から崩れるようにして座り込んだ。
    梓が、もう堪えることが出来なくなったのか、すすり泣きから人目を憚らずに
    大きな声で泣き始めた。

    澪「……嘘だ、そんなの……」

    194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 22:37:25.84
    >>192
    ごめん、またミス。

    梓が、もう堪えることが出来なくなったのか、すすり泣きから人目を憚らずに
    大きな声で泣き始める。

    195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 22:43:49.12
    澪「嘘だ……!」

    誰かに嘘と言って欲しかった。
    だけど、誰も言ってはくれなかった。
    皆の泣き声が、本当なんだと澪に思い知らせた。

    ――――― ――

    そろそろ夜が明ける。
    私は、中々眠れなかった。
    昼間眠ったせいもあるけど、いつもの頭痛の倍くらいの痛みが私を襲っていたから。

    「……死ぬ、かあ……」

    私は呟いてみた。
    自分が死ぬなんて思っていない。だけど、もし死んだらどうなるんだろう。

    考えただけで、怖くなる。

    196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 22:47:53.41
    目の前が霞んできた。
    バカだな私、変なこと考えるから……。

    「死にたくない……っ、死にたくない……!」

    溢れ出てくる涙を堪え、私は暗い部屋で呟いた。

    ――――― ――

    199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 22:56:49.64
    ドア スー

    梓「こんにちはー」

    律「あれ?今日は梓一人?」

    梓「はい、学園祭も終わりましたから、皆さん受験勉強頑張ってるみたいです」

    梓「(ほんとは、きっと来にくいんだと思うけど……)」

    律「最近あいつら来ないからさー。寂しかったぞー、梓!」

    梓「すいません……」

    律「いいけどさ。ほら、座りなって」

    梓「はい……」ガタッ

    律「そうだ、梓」

    梓「なんですか?」

    202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 23:03:47.61
    律「新しい部員、まだ見付からない?」

    梓「あ、はい」

    律「そっか……。もっとちゃんと勧誘しとけばよかったな」

    梓「……はあ」

    律「もうすぐ私ら卒業しちゃうしさ、梓一人寂しいもんなあ……」

    梓「……そんなこと」

    律「あるだろ?」

    梓「……」

    何も答えない梓の頭を、
    律も何も言わずにぽんっと叩いた。

    律「我慢しなくていいんだぞー?」

    梓「うぅ……」

    律「梓はもっと、素直になって、甘えていいんだよ」

    229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 02:25:35.43
    あれ?
    いつの間に私は眠っちゃったんだろう…

    確か梓と話していたはず…

    「いたっ…!!」

    頭が激しく痛む…
    あぁそうか、またこれのせいで気を失っていたのか

    せっかく来てくれた梓に迷惑かけちゃったな

    まったく…私ってやつは…
    「ははっ…」
    自然と涙が流れてくる

    死んでしまう前にあれだけはやっておかないと…

    231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 02:39:53.89
    時計は零時を回ったあたり…

    「気付かれないように陽が昇るまでには戻らないと」

    私は誰にも見つからないように病院から抜け出した

    ある人に会うために…
    こんな時間じゃ迷惑だろうが私には時間がない、明日が必ず来るという保証はないんだから…

    「あの家だ…」

    233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 02:45:53.76
    よかった…明かりはついている

    まだ寝てはないみたいだな

    私は迷惑を承知で呼び鈴を鳴らす

    出てくるのを恐る恐る待っていた私に優しく微笑み歓迎してくれた

    私は自分の今の状況をすべて説明した…学園祭でライブを行ったこと、大切な仲間がいること、
    そしてもうすぐ死んでしまうこと…

    すべて黙って聞いてくれたその人はただ一言、こう言ってくれた…


    遊助「がんばんべ」


    ――――完――――

    289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 16:33:32.94

    律「あ、そうだ」

    それはある寒い日のことだった。
    まだ心の整理ができていなかった澪たちが、暗い顔で病室を訪れた時、律は突然、
    そう言った。

    梓「お願い、ですか?」

    律「そう、お願い」

    唯「りっちゃんのお願いなら何でも聞いちゃうよ!」

    律「へへっ、なら何でも……」

    唯「あー、嘘嘘!やっぱり叶えられる範囲で!」

    紬「それで、なんのお願い?」

    律「あ、うん。あのな、放課後ティータイムの曲をさ、カセットに残さない?」

    290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 16:43:05.14
    澪「どういうこと?」

    律「ほら、もうすぐ私たち卒業じゃん?だから、寂しがり屋の梓のために……」

    梓「私は寂しがり屋じゃないですっ!」

    律「あー、はいはい。まあ、それでな、私たちの曲カセットに残したら、寂しくないと
    思うし、いつも繋がってるって思わない?」

    紬「そうね……。それ、いいかも!」

    澪「でもちょっと待てよ!どうやってするんだよ?第一律は……」

    律「そう、私は入院中だ!そこで、だ!私が外出許可を取れるように一緒に頼んで
    欲しいというのが、お願い!」

    唯「えぇ……」

    紬「でも、りっちゃん……」

    律「後悔したくないんだよ、私。今やらなきゃ、だめな気がするから」

    唯「……!」

    律「だから、やろうぜ?久しぶりにドラムも叩きたいし」ニッ

    澪「……わかった」

    291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 16:52:24.62
    それからその次の日、律は外出許可が出た。
    病院から学校へと直行する。

    律「まずは何から録る?やっぱふわふわかな」

    梓「初めはアップテンポの曲がいいんじゃないですか?」

    澪「そうだな、アップテンポので」

    唯「それじゃあ早速やろう!」

    紬「待って、その前にお茶にしましょう」

    いつもの部活のようだった。
    律はずっと、笑顔だった。
    皆の表情も、次第に笑顔に変わっていった。



    最後の曲が終わると、律はまた病院に戻ることになっていた。
    その曲が終わった帰り際、律は梓が先に部室を出て行ったのを確認すると、
    帰る準備をしていた澪たちに声を掛けた。

    律「あのさ。あともう一曲だけ、やりたい曲があるんだけど」

    292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 16:56:58.77
    ――――― ――

    もういないはずの律先輩の叩くドラムの音の上に、
    澪先輩のベースが、ムギ先輩のキーボードが、唯先輩のギターが、乗っかっていって、
    切ない旋律を紡ぎだす。

    「この曲の歌詞は、律が作ったんだ」

    「結局、最後まで歌詞書けなくて、私たち全員で書いたんだけど」

    「りっちゃんや私たちの想いがいっぱい詰ってる曲なんだよ、あずにゃん」

    ――――― ――

    294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 17:12:06.37
    律「これ」ピラッ

    紬「天使に、ふれたよ……?」

    律「うん、まだ歌詞は途中なんだけどさ……。ムギ、作曲頼んで良いか?」

    紬「……うん」

    律「それでまた今度、梓がいないときにこの曲をカセットに録音しない?歌詞は
    ちゃんと考えとくから。卒業式のとき、これ聴かせたら梓、絶対泣いちゃうだろうなあ」ククッ

    唯「そ、卒業式の日に一緒に演奏すればいいじゃん!」

    律「……卒業式出られるかどうかわかんないからさ。一応、念のために」

    澪「でも、何で急に……」

    律「急にじゃねーよ。澪たちが受験勉強とかなんとかで来なかったときにさ、梓一人で
    見舞いに来てくれてたんだよ。そん時、梓すっげー寂しそうな顔しててさ?
    だから何かしてやりたいって思ったの」

    唯「りっちゃん……」

    律「それに……、こうしたらまた、澪たちと演奏、できるだろ?」

    296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 17:32:01.67
    律「私、やっぱり皆で演奏すること、好きなんだなって改めて思った。いつまでも
    演奏してたいくらい。……それは無理なんだけど」

    『私のこと、忘れないで欲しい』
    『ずっとずっと、いなくなっても覚えておいて欲しい』

    律の目が、声が、そう言っていた。

    律「……ほんとはさ……、私が皆の心に残してやりたいんじゃなくって、
    残りたいのかもな……」

    律はそう言って、咽び泣いた。
    澪たちはただ、律の身体を抱き締めた。
    その頃にはもう既に、律の身体はぼろぼろだった。

    澪「なあ律」

    律「……ん?」

    澪「『これからも仲間だから』」

    297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 17:55:29.50
    律「……え?」

    澪「この歌詞の空白の部分」

    澪「(ずっと我慢してたんだ、律だって、ううん、律が一番辛いはずなのに)」

    唯「(なのに皆のことをちゃんと考えてくれてた)」

    唯「ここは『離れてても同じ空見上げて』とかどう?」

    紬「(私たちこそ、りっちゃんの為に何かしたい!)」

    紬「曲、浮かんで来ちゃった!その次は『ユニゾンで歌おう』とかどうかしら?」

    律「……みんな……」

    律「――ありがとな」

    298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 18:01:33.67
    ――――― ――

    律先輩がいなくなった喪失感に囚われていた。
    先輩たちが卒業しちゃうことを意識して、よけいに寂しくなった。

    寂しさや悲しさや、そんなものが色々ごちゃまぜになって疲れていた私の心に、
    その音楽は響いてきた。

    枯れたはずの涙が、また溢れ出てくる。

     「でもね 会えたよ!素敵な天使に」

    三人の歌声が、綺麗にハモっていく。

     「卒業は終わりじゃない」
      『これからも仲間だから』

    そして、先輩たちの声に、もう一人の歌声が重なった。
    律先輩の声だった。

    299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 18:10:28.42
    ――――― ――

    『天使にふれたよ!』をカセットに録音し終えたその日の夜、
    律は突然逝ってしまった。
    最期は母親と父親、そして弟に看取られて、眠るように死んでいったらしい。

    桜、澪や皆と一緒に見たかったな。

    律が息を引き取る直前、律はそんなメールを送ってきた。
    病院で携帯の使用は禁止されているのに。

    律が死んだと聞かされた後、混乱していた澪は呆然と、
    もう一度律から送られてきたメールを開いた。

    それにはもう一つ、軽音部の皆へのメッセージが添えられていた。

    ――――― ――

    301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 18:26:14.25
     駅のホーム、河原の道 離れてても 同じ空 見上げて
     ユニゾンで歌おう

    先輩たちも、泣いていた。
    だけど、それでも最後まで歌い続けてくれた。

     でもね 会えたよ!素敵な天使に
     卒業は終わりじゃない これからも仲間だから

     『大好きって言うなら 大大好きって返すよ』

    先輩たちの演奏が、律先輩の歌声が、教えてくれる。

    私は決して一人じゃないと。
    これからも仲間だから、と。

    曲が終わってしまう。
    私は立ち上がった。

    ねえ、律先輩。
    私、今なら素直になれる気がします。

    だけど。

    「あんまり上手くないですね!」

    今はまだ、律先輩が居た頃の自分でいます。
    だって、まだ、律先輩は私にとっての部長だから。
    私たちの、仲間だから。


    302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 18:29:23.17
    ――――― ――

    『忘れ物 もうないよね』

    私は、母さんから借りた携帯をゆっくり閉じると、
    目を瞑った。

    さっきから凄く眠気がする。
    頭の中で、皆と演奏した曲が、次々と流れていく。

    頭がぼんやりしてくる。
    最後の力を振り絞って、私は歌った。

    「ずっと、永遠に一緒だよ」


    終わり。

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唯「ういぃぃぃぃぃぃぃいぃいぃいぃいぃいいいいいッッッ!!!!!」
憂「お姉ちゃんの起こし方」
唯「私の」
  1. 名前: 評論家 ◆- 2010/11/08(月) 23:37:18 URL [ 編集 ]
    久々に感動した…
  2. 名前: ◆NkOZRVVI 2010/11/09(火) 01:33:27 URL [ 編集 ]
    鳥肌たった。
    良い。
  3. 名前: 2010/11/09(火) 05:44:27 URL [ 編集 ]
    管理人のみ閲覧できます
    このコメントは管理人のみ閲覧できます
  4. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/11/09(火) 14:19:46 URL [ 編集 ]
    誰かが死なないと感動する話は書けないのか?
    こんなの糞だろ。
  5. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/11/11(木) 20:20:30 URL [ 編集 ]
    5は偉そうなこと言ってないで自分で書けば?
  6. 名前: ke-on love to azunyan ◆- 2011/01/19(水) 23:47:12 URL [ 編集 ]
    感動した
    感動した
    こんなに感動したのは
    本編の(原本)卒業以来だよ
  7. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/03/04(金) 00:55:32 URL [ 編集 ]
    >>233が余計なことしなきゃ最高だった
  8. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/03/04(金) 14:51:42 URL [ 編集 ]
    ガチャガチャ!ってタイトルたまに見るけどなんなの?
    書いてる奴の歯並び?
    とりま自己主張の強い書き手のSSは読む気しないんでパス

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