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唯「無銭飲食列伝!」

  1. 名前: 管理人 2010/11/09(火) 09:04:32
    4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 22:41:47.88
    ――――どうして

    「はあっ、はああ……!唯ぃ、もう限界かあ……?」
    「りっちゃん、こそ……顔、真っ赤だよ……?」

    どうして、どうしてこんなことになってしまったんだろう。
    両の瞳に映るのは、想像を絶する苦しみに身を焼かれながら闘い続ける唯先輩と律先輩の姿。
    尊敬する先輩として、同じ放課後ティータイムのメンバーとして……ずっと、仲良しのままでいられると思っていた。

    「唯先輩、律先輩……」

    不意に視界が歪む。
    歓声と怒号が飛び交う中、私は知らず知らずのうちに涙を流していた……


    5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 22:43:20.28
    ……

    始まりは、本当に些細なことだった。

    律「ごはんはおかずってのも、よく考えると変な歌詞だよな~」

    唯「え~?そんなことないよー、りっちゃんは分かってないなあ」

    律「何だと~?このこの~っ」

    唯「きゃ~♪」

    いつものティータイムの時間。
    律先輩のちょっとした発言から始まった、普段通りのじゃれ合い。

    澪「まったく、あいつらは……」

    紬「うふふ、りっちゃんと唯ちゃんは仲良しね♪」

    梓「練習……」

    澪先輩もムギ先輩も、当然私も……いつも通りのことだと切り捨て、気にも留めなかった。
    実際、最初は二人ともふざけ合っていただけだった。
    ……それが、間違い。

    6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 22:45:14.68
    唯「だいたいりっちゃんはさ、いつもいつも……」

    律「何?それを言うなら唯だって……」

    澪「ムギ、新しい曲の歌詞を書こうと思ってるんだけど……どうかな?」

    紬「新曲……いいわね!どういう曲にしようかしら……」

    梓「私はバラード調の曲がいいと思います」

    澪「バラードか、いいな」

    少しずつ、何かが狂い始めていた。
    私たちは愚かにも唯先輩と律先輩の言葉に棘が混ざり始めていたことに気付くことが出来ず……

    8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 22:48:22.96
    律「炭水化物と炭水化物を一緒に食べるなんてありえねーよ!」

    唯「はいっ!?まさかりっちゃんが、そんなに頭が固いなんて思わなかったよっ!」

    ……この時、誰かが……私が気付いていれば。
    二人に声をかけていれば、あんなことにはならなかったのかもしれない。
    しかし、この期に及んでもまだ私たちは唯先輩たちの異変に気付けなかった。
    新しい曲の話に、そんなつまらないものに夢中になってしまって……

    律「あーあー分かった!唯、お前は普段の食生活がおかしいんだよ!」

    唯「おかしくないもんっ」

    律「いーやおかしい。だからごはんはおかず(笑)とか言い出すんだよ」

    唯「ふふん……私の家では憂がご飯を作ってるんだよ?りっちゃん、憂の料理の上手さ……知ってるよねえ?」

    律「あっ!?」

    9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 22:51:21.70
    唯「あれあれ~?やっぱりおかしいのはりっちゃんなんじゃな~い?普段何食べてるのさ」

    律「ぐう……っ」

    紬「ゆ、唯ちゃん……ど、どうしたの?」

    澪「な、何怒ってるんだよ律ぅ……」

    そして、ようやく異変に気づいて止めに入った。
    しかし、

    唯「ムギちゃんたちは引っ込んでてよ!」

    律「私は唯と話しているんだ!」

    しかし、時すでに遅し。
    怒りの感情は時として人を支配し、我を忘れさせてしまう。
    それが例えいつも周りを気遣い、明るくさせようと考えている律先輩であっても……
    おおよそ怒りという感情とは無縁であると思われていた、純真無垢な唯先輩であっても。

    10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 22:54:08.18
    紬「唯ちゃんが……そんな……」

    澪「り、律!落ち着けってば!」

    律「うるさい、引っ込んでろって言ってるだろ!」

    澪「な……。さっきから、何だよその言い草は」

    唯「待って。私は澪ちゃんにも言いたいことがあるんだよ」

    澪「何だよ唯」

    唯「ごはんはおかずのさ、2番の歌詞……澪ちゃんの意見を入れたからあんなのになっちゃったんだよね?」

    澪「はあっ!?」

    唯「キムチだの納豆だの……普通にごはんに合うよ、当たり前だよ。ごはんはおかずっていう主張が思いっきりぶれてるじゃん」

    11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 22:58:14.94
    澪「いや、それはだな」

    唯「やっぱりごはんは主食だねって何。開き直り?私は純粋に炭水化物と炭水化物のコラボレーションは素晴らしいって伝えたかっただけなのに……」

    澪「う……」

    律「何だ何だ、唯の考えは明らかに間違ってるけど澪にも原因あんのか。まあ澪はいつもあんな腐った食品ばっか食ってるからなあ」

    澪「はあっ!?今のは聞き捨てならないぞ律っ!」

    律「何だよ、何か文句あるのかっ!?」

    唯「りっちゃんも澪ちゃんもダメダメだね、食の何たるかが全然分かってないよ!」

    そして、怒りは周囲に伝播する。
    宥める側であったはずの澪先輩までが言い争いに加わってしまい、もはや手のつけようがなくなって来ていた。

    12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 23:01:45.29
    紬「み、みんな落ち着いて~……」オロオロ

    梓「先輩……」

    ムギ先輩も私も、ヒートアップする三人を止めることができない。
    あれだけ仲が良かった先輩たちがこれほどお互いを罵り合うなんて……実際に目の当たりにしてなお、私には信じられない。
    これは夢じゃないのかとさえ感じる。
    しかし、これは現実だ。

    唯「じゃあもう今日はウチにおいでよ!ごはんはおかずの意味、教えてあげるからさ!」

    律「ほ~、いい度胸だ。教えてもらおうじゃないか」

    澪「まあ唯ごときに教わることなんか何一つないけどな」

    唯「ふん、今のうちに言っておくんだね。すぐに何も言えなくなるよ」

    私とムギ先輩がオロオロしている間に何やら話はついたようだ。
    ただし、仲直りした……ということではない。

    紬「だ、大丈夫かしら……心配だわ」

    梓「…………。ムギ先輩、私たちも行きましょう!早く仲直りしてもらわないとっ」

    紬「ええ、そうね」

    14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 23:05:29.71
    ……

    その後の三人の行動は……仲直りに至るには程遠いものだった。
    まずは唯先輩の家。
    出てきたのは、憂が作った誰もが認める美味しい料理の数々。

    しかし。
    律先輩と澪先輩は料理を食べ始めるやいなや……暴走した。

    唯「ち、ちょっと二人とも!何やってるの!?」

    律「……」ガツガツムシャムシャ

    澪「……」パクパクモグモグ

    憂「え、えっと……」

    無言。ひたすら無言。
    そして食べ進めるスピードだけは驚異的に早い。
    二人は競い合うように料理を食べ進めるて行き、あっという間に食事を終えた。
    私たちは、その様子を茫然と眺めることしか出来なかった。

    15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 23:09:50.86
    律「……」

    澪「……」

    憂「ど、どうでしたか?」

    恐る恐る、といった感じで感想を求める憂。
    しかし先輩たちは無表情のまま、ただ声を合わせて『ごはんはおかずじゃない』とだけ答えた。

    唯「……」ビキビキ

    ああ。
    唯先輩の怒りが振り切れそうになっている。
    食後も重苦しい沈黙と、たまにネチネチとした口撃が行われるくらいで、仲直りさせるには程遠かった。

    16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 23:14:05.57
    翌日。
    澪先輩の行きつけの喫茶店にて。

    澪「オレンジペコといちごパフェを下さい」

    律「澪と同じの」

    唯「澪ちゃんと同じの」

    澪「……!」

    澪「すいません、追加お願いします。シュークリームと水出しコーヒー、あとスパゲッティ・マヨネーズしょうゆ」

    律「澪と同じの」

    唯「澪ちゃんと同じの」

    澪「……」ピキピキ

    まるで、何かにつけて勝負を挑んでいるかのような態度。
    当初の『食の何たるかを教える』とかいう大義名分は、すでに捨て去られ始めていた。

    17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 23:18:08.66
    梓(……うん、おいしい)

    私とムギ先輩はいちごパフェしか頼まなかったので、先に食べ始めた。
    悪くない、さすがは澪先輩行きつけの店。
    いちごは新鮮な感じがするし、チョコレートソースと生クリームの口どけも滑らかだ。

    紬「あ、美味しい」

    正面に座っているムギ先輩もご満悦のよう。
    このパフェは唯先輩辺りが好きそうだなあ……これで機嫌治してくれればいいのに。
    そんなことを思いつつ紅茶のカップに手を伸ばした時、何かの機械が決まったペースで動き続けているようなその音に気付いた。

    唯先輩と律先輩が、まさに機械のようにパフェを食べていた。


    18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 23:23:08.27
    唯「……」モグモグ

    律「……」モグモグ

    まるで昨夜の焼き増しを見ているような……いや、それ以上にひどい。
    二人は山盛りのパフェをざくざくと切り崩し、呆れるほどのペースで食べて食べて食べ続けている。
    「うまい」でも「まずい」でもなく全くの無表情でスプーンの先が容器に当たる「かち」「かち」「かち」という音は気味が悪いくらいに規則的だった。

    梓「……」

    紬「……」

    澪「……っ!!」

    私たちは、その様子を唖然として見守ることしかできない。
    遅れて澪先輩も猛然と食べ進める。

    19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 23:30:12.31
    他のメニューが届いても同じ。
    無表情で、ただひたすらに相手より早く食べることだけを望んでいるようだった。

    唯「……」

    澪「……」

    律「……」ピキピキ

    そして勝者は、敗者を無表情で見据える。
    ドヤ顔さえしない。
    そのことがさらに、怒りのボルテージを高めているようだった。

    紬「もうやめて……」

    ムギ先輩から力ない呟きが漏れる。
    その言葉には何の意味もなさない。
    今さら後には引けず、絶対に怯んではならず、一歩たりとも譲ってはならず――――そんな感情が、三人を支配しているようだった。

    21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 23:36:02.68
    ……

    律「ここだ」

    澪「ふーん、汚い店だな」

    唯「下品な店……まありっちゃんにはお似合いかもね」

    律「言ってろ。いいか、引き返すなら今のうちだぜ?」

    唯「……」

    澪「……」

    律「……ふん」

    翌日。
    律先輩に連れられて私たちがやってきたのは、油じみた中華料理店だった。
    人の出入りが途絶えないところを見ると、そこそこ繁盛してはいるようだが……

    23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 23:39:47.85
    紬「こ、ここに入るの?」

    隣のムギ先輩は不安げに辺りを見渡す。
    そこには『喧嘩上等』などと書かれた白い軽トラが止まっていたり、見るからに族上がりと思しき従業員が何かを運んでいたり……
    一言で言えば、ガラが悪い。

    梓「大衆向けの食堂、と言えばいいんでしょうか……?」

    『鉄人屋』
    そう書かれた看板が下げられたその店は、とても私たちのような女子高生が入る場所とは思えない。
    しかし唯先輩たちは構わず中に入って行ったので、私たちも慌ててついて行った。

    「っしゃい――――――――!」

    紬「ひっ!?」

    梓「うわ……」

    中に入ると同時に、従業員たちが一斉にけんか腰のような声を張り上げる。
    半分ほど埋まっている客席の奥へと進み、丸いテーブルを陣取った。
    三人がにらみ合う間もなく、一人の従業員が注文を取りにきた。

    26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 23:45:25.05
    「っしゃいませご注文はあ」

    律「鉄人定食3つ」

    従業員の表情が、凍りついた。
    律先輩たちをまじまじと見つめ、いきなり素の口調になって、

    「いや、あのねお客さん。一応説明しとくとさ、うちの鉄定は」

    澪「鉄人定食3つ」

    「だからね、」

    唯「てつじんてーしょく3つ!」

    従業員は、3人の間に漂うただならぬ気配にようやく気付いた。
    ぎろぎろとした喉仏をごくりと鳴らす。
    何だ。
    先輩達はいったい何を注文したというのだ。

    従業員は「どうなっても知らねえぞ」という最後の一瞥を残し、ヤケクソのように声を張り上げた。

    「鉄定三丁ぉ入りました――――――っ!」

    29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 23:48:14.83
    ……

    鉄定三丁。
    その注文が届くと、厨房はまたか……といった空気に包まれた。
    鉄人屋の店長――如月十郎さえもその一人。

    (また、か……。今度は女子高生だあ?)

    少し前までは、鉄人屋の鉄人定食といえば聞く者が聞けば震い上がるほどのメニューだった。
    数多の大食い自慢たちを打ち砕き、屈強な自衛官やアメリカ兵ですらあまりのボリュームに声を失う。
    完食出来るのは、ほんの限られた――――そう、鉄の胃袋と鋼の意思を持った野獣のような猛者のみ。

    鉄人屋の入口から入って正面の壁、そこには黒々と油煙にまみれた大きな張り紙が出ている。
    曰く、

    ――無銭飲食列伝――
    鉄人定食……\4,000(鉄人ラーメン+鉄人餃子+鉄人中華丼)
    完食されたらお代は頂きません。制限時間は60分。
    途中で席を立った場合、周囲を見苦しく汚した場合は失格となります。

    以下、鉄人定食を完食した鉄の胃袋の持ち主たちの氏名年齢職業が写真つきで張り出されているわけだが……先日完食に成功した二人が問題だった。
    女子中学生二人。もちろん最年少記録だ。
    その二人は如月十郎を持ってしても舌を巻かせるほどの、驚くべき胃袋と根性を持ち合わせていたのだが……

    30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 23:51:42.33
    それを見て、勘違いする客が増えてしまったのだ。
    「この子たちが完食出来るのなら、私(俺)にも出来るのではないか?」と。
    馬鹿げている、と如月十郎は思う。

    勘違いしてはいけないが、如月十郎は覚悟を持って臨み、その上で完食出来なかったのならば構わないと考えている。
    もちろん完食出来るのならそれが一番いいことには違いないが。
    しかし最近では、覚悟が全く足りない挑戦者が多すぎる。
    今日の客も同じようなものだろう。

    「鉄定も舐められたもんだ……」

    「親方、どうします?女子高生って……ラーメンだけ作って、安井医院に連絡しときましょうか?」

    「んバカやろうぅ!!そんな手抜きが出来るか!注文された以上、全力で作れぇ!」

    『は、はいっ!』

    これは、料理人として譲れないことだ。
    たとえ半分すら食べず、大量に残されて返ってくるとしても。

    31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 23:55:12.74
    ……

    待つこと十分。
    にらみ合う先輩たちの前に、最初のメニューである鉄人ラーメンが運ばれてきた。
    縮れ麵に具はナルトとメンマと炒めたモヤシ、チャーシューは薄く数が多い。
    至極オーソドックスな醤油ラーメンに見える。

    ……そう。
    量という一点を除けば、であるが。

    紬「……!」

    隣で見ていたムギ先輩が息を呑んだ。
    私自身も信じられないものを見たからか、鉄人ラーメンから目が離せない。

    梓「あんなの、人間が食べられるんですか……?」

    思わず疑問が口から漏れた。
    まず巨大なドンブリからして暑苦しい。
    バカバカしい容積いっぱいに麵とスープが満ち満ちており、ほぼ同じ量の具がその上に山と盛られていて、横から見ると半球状のはずのドンブリが丸く見える。
    ……何だこれ。

    32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/08(月) 23:59:54.15
    紬「ゆ、唯ちゃんたち大丈夫なのかしら……?」

    梓「あれを食べきれるとも思えませんが……何だか落ち着いてますね、三人とも」

    唯「……」

    律「……」

    澪「……」

    あの化け物ラーメンが現れても、三人とも無表情を崩さない。
    一体何を考えて……

    「……では、鉄人定食のご注文を承りました新見と申します。当卓の仕切りを勤めさせて頂きます」

    新見と名乗った従業員は小さく一礼し、首にストップウォッチをかけた。

    33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:03:46.75
    「60分以内に完食出来なかった場合、途中で席を立った場合、卓を見苦しく汚した場合にはそこで終了とし金四千円を申し受けます。ようござんすね?」

    唯先輩も律先輩も澪先輩も動かない。
    客の一人が鋭く口笛を吹いて囃し立て、カウンター席のおしさんが「いいかあ、半分くらいは食べるんだぞお」とヤジを飛ばす。

    紬「……」

    何かに引っ張られるような感じを受けたので横を向くと、ムギ先輩が私の服の端をギュッと掴んでいた。

    「それでは始めたいと思います。卓から手を離して――――どうぞ!」

    律「っ!」

    その開始の合図と同時に、律先輩が動いた。
    素早く箸を掴み、猛然と巨大ドンブリに挑みかかる。

    36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:07:01.26
    紬「りっちゃん早いっ」

    梓「凄いスピードです……!」

    律先輩はモヤシをガンガン切り崩し、口へ運んで行く。
    モヤシの層に穴が空き、麵が見えると目を見張る量を一気にすすり込む。
    山盛りの具が雪崩のように崩れて穴を塞いでしまうと、再び具だけをガツガツと食べ進み……それを、延々と繰り返す。
    凄まじいスピードで。

    律「はむっ、んぐっ!」バクバク

    その女子高生とは思えないあっぱれな食べっぷりに、店の客たちは手を叩いて大喜びだ。

    唯「んんっ、あむあむ!」

    澪「……!」パクパク

    対する唯先輩と澪先輩は、律先輩と比べると一見地味だ。
    しかし、二人とも確実に具を切り崩して食べ進めている。
    特筆すべきは唯先輩だ。

    37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:11:05.43
    唯「むぐむぐ……」

    紬「唯ちゃん、苦しくないのかしら?」ハラハラ

    律先輩と澪先輩は麵と具、交互にバランス良く食べ進めているのに対し、唯先輩は具のみをほっぺたがパンパンになるまで詰め込み、咀嚼している。
    具ばかりを食べ続けるのに苦痛を感じないのだろうか……その消費はあくまでも「上から順に」だ。
    唯先輩の動きは派手に食べ進める律先輩や機械のように正確で素早く箸を動かす澪先輩と比べると緩慢に映るが、一口の量が尋常ではなく、また無駄がない。
    たちまち唯先輩のラーメンに乗っていたはずの具の山は姿を消し、箸が麵を捉え始めた。

    律「……!」

    澪「……!」

    それを横目で見た二人は、さらにスピードを上げる。
    鬼気迫る表情、とはこのことを言うのだろうか。

    40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:20:00.49
    そして私たちが――――周囲にいた野次馬たちが事の重大さに気付き始めたのは、スタートして15分を経過しようとしていた頃だった。

    「お、おい、全部食っちまうぜ……」

    誰かがそう呟いた。
    まずは律先輩が、ドンブリに手をかけてスープを飲み干しにかかった。
    十秒ほど遅れて唯先輩が、さらに数秒遅れて澪先輩がそれに続く。

    紬「す、凄い……」

    ムギ先輩の感嘆の言葉と共に、ドンブリの中身がどんどん減って行く。
    そして――――ドンッと、ドンブリを机に置く音が店内に響いた。

    42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:22:40.24
    ……

    一服つけるか……
    厨房全体の作業に睨みを効かせていた如月十郎は、腕組みを解いて白衣のポケットを探った。
    ――鉄人定食を頼んだ連中は、そろそろギブアップする頃だろうか。

    「お、親方あっ!すげえ、すげえっすよあいつら!」

    「んバカやろうぅ!」

    煙草を探り当てると同時に厨房に飛び込んできた雑工の顔面に、如月十郎はカウンターを浴びせた。
    雑工はカエルのようにひっくり返る。

    「てめえ、お客を捕まえて『あいつら』たあどういう言い草だ!」

    「いつつ……そ、それより親方!早く餃子を出して下さい!もうじきラーメン完食っす!」

    「なにい?」

    そして、客席から津波のような歓声が押し寄せてきた。
    ここしばらく聞かれなかった歓声だ。
    如月十郎の表情が静止する。

    43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:25:39.45
    「おいおい、マジかよ……」

    「まだ15分経ってないぜ」

    「どんな化け物が来たんだ?」

    「いや、女子高生三人らしいぞ」

    厨房で鍋や包丁を振るっていた料理人たちもどよめいた。
    無理もない、開始15分にしてラーメン完食……これは過去の記録に照らし合わせても最速の部類である。

    「親方、鉄定の客ってどんな奴なんすか?」

    「プロレスラーや関取みたいな女っすか、それともギャル○根みたいな……」

    「うるぁ!喋ってないで手ぇ動かせ!それとドンブリをとっとと下げて来い!」

    如月十郎が一喝した。
    厨房にいた全員が飛び上がり、各々の仕事に慌てて戻って行く。

    「親方、鉄人餃子三丁上がりました!」

    如月十郎はスイングドアを肩で押し、客席を覗いた。
    野次馬たちの中心にいる、三人の客。
    ふん、と鼻を鳴らす。
    最近は情けない客ばかりを相手にしていたので、どうやらこちらの目が曇ってしまっていたらしい。

    44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:29:10.22
    「なるほど、いい面構えしてるじゃねえか……」

    「親方、餃子出します!」

    「……待て、器が戻って来てからだ」

    そう。
    次の料理を出すのは、前の料理が戻って来てから。
    鉄人定食における鉄の掟である。

    これは挑戦者にとっては決して些事ではない。
    器の上げ下げなどせいぜい一分もかからないし、その間はストップウォッチも止められる。
    だが、「途中で嫌でも休まなければならない」というのは大食い早食いにおいては重大な悪影響を及ぼす。
    休んでいる間にも血糖値は上がり続けて満腹中枢が悲鳴を上げるし、集中力が途切れるのも痛い。

    「根性、見せてもらおうじゃねえか……」

    過去の挑戦者たちの多くも食べている最中ではなく、この「休み時間」の終わり際にギブアップしている。
    どうしようもない満腹感に苛まれる中、「さあ次はこれだ」と次の料理を突き付けられて気持ちが一挙に挫けてしまうのだ。

    45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:31:30.20
    ……

    唯「……」

    律「……」

    澪「……」

    静かだ。
    食べ終わった直後は荒い息を吐いていたが、今は三人とも椅子に身を預けて深呼吸を繰り返している。

    紬「りっちゃん、こっち向いて。ほら、澪ちゃんも……」

    澪「……ん」

    梓「唯先輩、失礼します」

    唯「うん……」

    私とムギ先輩は、二人がかりで唯先輩たちのお世話をしていた。
    大量の汗や顔にかかったスープを優しく拭き、飛び散った具を拾っていく。
    少しでも熱くなった体を冷ませるよう、必死に扇いで風を送る。

    46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:35:02.82
    梓「風、来てますか?」

    律「ああ……」

    もうこの三人の闘いを止めることは、私たちには出来ない。
    ならば――――せめて、自分たちの出来ることしよう。
    そして、見届けよう。

    「おいおい、まさかこんな娘たちが鉄人ラーメンを食っちまうなんてな……」

    「すげえ根性だ、なかなかいないぜ」

    「おい、誰に賭ける?」

    野次馬たちは大騒ぎだ。
    全員が席を立ち、テーブルの周囲には分厚い人垣が出来ていた。
    賭けが始まっており、壁に掲げられた黒板の「本日のおすすめ」は勝手に消されてオッズが書き込まれていた。
    わずかに律先輩が有利なようだ。

    梓「……」

    紬「……」

    不謹慎だとは思うが、私もムギ先輩もそんなことに構っている余裕はない。

    48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:38:50.04
    ……

    薄く目を閉じ、必死に心を落ち着ける。
    ――――大丈夫、まだ行ける。
    私はまだ、食べられる。

    律「……」

    目を開き、澪と唯を見つめる。
    別に目的は鉄人定食を完食することではない。
    心の中で自らを鼓舞する。

    目的は、唯と澪に勝つことだ。
    目的は、唯と澪がゲロを吐いてもう勘弁して下さいと頭を下げる時まで食べ続けることだ。
    食べきることではなく、食べ続けることだ。

    51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:40:50.67
    律「……ムギ、水を貰えるか?」

    紬「はい、りっちゃん」

    律「ありがと」

    水を少しだけ飲み、集中力を高める。
    ……ムギと梓には悪いことしてるな、これが終わったらしっかり謝ろう。
    でも、今だけは。
    絶対に、譲ってやるつもりはない。

    律「ふう……」

    ゆっくりと、息を吐く。
    何故こんな勝負になってしまったのかは、自分でもよく分からない。
    しかし。
    今さら後には引けず、絶対に怯んではならず、一歩たりとも譲ってはならない。

    52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:43:18.92
    ……

    左手のどこかでスイングドアが大きく軋む音がして、周囲の野次馬たちが悲鳴にも似た声を上げた。
    どうやら、次のメニュー……鉄人餃子とやらが、その姿を現したらしい。

    梓「ムギ先輩……」

    紬「ええ……」

    私とムギ先輩は、唯先輩たちの介抱を止めて一歩下がる。
    ただ見ているだけしか出来ない自分が口惜しい。
    テーブルの上に、いくつもの巨大な皿が並べられた。

    紬「ひっ!?」

    梓「こ、これは……!」

    その姿を見た瞬間、私は「少ないな」と思った。
    ……しかし、それはひどい勘違いだった。

    よくは知らないが、大食いメニューにおける餃子の数の相場はどれくらいなのだろうか?
    私は、何となくだが50個や100個くらいが妥当だと思う。
    しかし、これはどうだ。

    53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:46:58.72
    紬「あ、ああ……」ガタガタ

    梓「落ち着いて下さい、ムギ先輩っ!大丈夫、大丈夫です」ギュッ

    紬「梓ちゃん……でもあれは……」

    梓「……」

    でかい。
    信じられないくらい、でかい。
    皿に乗っている餃子の数は、わずか5個。
    しかし、それが意味することは――――

    紬「あ、あれは何?オムレツなの?」

    梓「……いえ、あれは大きいけど餃子ですよ」

    紬「ぎ、餃子って箸で掴んで小皿のタレをつけて食べるのよね?」

    梓「私の記憶が正しければ、そうだったと思います」

    54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:49:08.09
    紬「あの餃子……箸で掴めるとは到底思えないんだけど……」

    梓「……」

    一口で食べきれる大きさではあり得ない。
    二口でも絶対に無理だ。
    「皿の上の5つの餃子」というのは視覚的な錯覚を起こしやすいが、この鉄人餃子とやらはもう正気の沙汰とは思えないサイズだ。

    唯「……」

    律「……」

    澪「……」

    先輩たちは三人とも、鉄人餃子を前にしても身じろぎ一つしない。

    「鉄人餃子、お待ちどうさまでした。それでは卓から手を離して――」

    周囲のざわめきが沈黙に飲み込まれていく。
    私とムギ先輩も、固唾を飲んで見つめる。

    「どうぞっ」

    先輩たちがゾンビのように身を起こし、ピラニアのように餃子に襲いかかって行った。



    56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:51:28.08
    突然だが、もし自分の前にオムレツのような巨大餃子が現れたら、どうやって食べるだろうか。
    その答えの一つが――いや、おそらく一般人なら誰もが取る答えが、澪先輩のやり方だろう。

    澪「はむ、はむっ!」カチャカチャ

    タレを直接かけて、スプーンを使って食べる。
    澪先輩はこれを実践し、正確かつ凄まじいスピードで食べ進める。
    ところが、唯先輩と律先輩は。
    第三の道を、選択した。

    唯「あむっ!」

    律「んぐぐ……!」

    紬「ひっ!?りっちゃん唯ちゃん、熱くないの!?」

    二人はスタートと同時に……箸を、捨てた。
    油ぎらぎらの巨大餃子を素手で掴み、かぶりついたのである。
    まさかの出来事に野次馬たちは悲鳴を上げ、瞬く間に消えていく餃子を茫然と見つめた。

    57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:58:27.71
    唯「むぐ……えほっ、えほっ!」

    律「はあ、はああ……あむっ!」

    開始30秒足らずにして、もう一つ目がなくなろうとしている。
    信じられない早さだ。
    あの澪先輩が置いて行かれようとしている。

    澪「く……!」ガチャガチャッ

    そのことに気付いたのか、滅茶苦茶にスプーンを動かす澪先輩。
    しかし、唯先輩と律先輩の勢いは止まらない。

    唯「はぐっ!」ブチュッ

    「ぎゃあーーーーっ!?あぢあぢあぢあぢぢぢぢぢ!」

    唯先輩が3個目に喰らいついた時、思わぬ悲劇が起こった。
    餃子の分厚い皮に封じ込められていた肉汁が噴き出し、野次馬の一人に直撃した。
    その野次馬は床を転げ回り、人垣がわずかに後退したが……こちらはそれどころではない。

    梓「先輩っ!手は、手は大丈夫なんですか!?」

    58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 00:59:35.70
    ……

    大丈夫じゃないよ、あずにゃん……
    返事が出来ないので、心の中で可愛い後輩の問いかけに答える。

    唯「はぐっ、はふはふっ!」

    手のひらがぢんぢんする。
    口の中の感覚が鈍い。
    それでも食べ続ける。

    紬「っ!……っ!」

    梓「唯先輩……!……っ!」

    あずにゃんとムギちゃんが何かを叫んでいるけど、何を言っているのか分からない。
    ただただぬるぬるした餃子の皮を歯で食い破る。
    肉汁のあまりの熱さに、気が遠くなりそうだ。

    ……あれ?
    そもそも私、どうしてこんなことをしているん、だっけ……?
    確か、りっちゃんにごはんはおかずを否定されて……

    61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:04:18.80
    唯「んんんっ!?」

    食べている最中に余計なことを考えたのが悪かったのか。
    お腹の中で何かがぐるりと痙攣し、喉が「いやいや」をした。

    唯「んむ~~~っ!」

    止めようとしたけど、無駄だった。
    何もかもが逆流した。
    反射的に唇を固く窄め、何とか戻すことは阻止したけど……口の中にまだたっぷりと残っていたものが胃液に塗れたようだ。

    唯「ぐっ、んんぐう……」

    苦しい。
    血の気が引き、全身から冷汗が噴き出しているようだ。
    涙が溢れる。
    もうやめたい。
    もう楽になってしまいたい。

    62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:06:43.91
    唯「……!」

    律「むぐぐ……!」

    澪「はむはむっ!」

    涙で歪み、滲み、霞んだ視界の中、りっちゃんと澪ちゃんの姿が目に入った。
    ――――負けたくない。
    絶対に、負けたくない!

    唯「んんっ!」

    慌てて私に近寄って来ていたあずにゃんとムギちゃんを振り払う。
    鼻から息を吸い込み、意地のすべてを注ぎ込んで喉の動きを制御する。

    唯「むぐ……んぐっ、ごくんっ」

    ゆっくりと、しかし確実に口の中のものを飲み下して行く。
    5回ほど喉を動かし終えたところで大きく息を吐く。
    口の中には、もう何も残っていなかった。

    唯「はあ、はあ……あむっ!」

    すぐさま食べるのを再開。
    周囲の野次馬たちが大歓声を上げている。
    うるさいなあ。

    64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:09:44.17
    ……

    ――――信じられない。
    唯も律も、もう食べ終わりそうだ。

    澪「……」

    私ももう少し、ではあるのだが。
    どうしてなのか……私の手は、ぴくりとも動いてはくれなかった。
    いや、手だけではない。

    澪「う……」

    声を出すことが出来ない。
    身じろぎすることも出来ない。
    視界はぼやけ、今にも意識を手放してしまいそうになっている。
    これ以上食べようものなら――――自分がどうなってしまうのか、見当もつかない。

    65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:13:01.42
    紬「澪ちゃん、お願い!もうやめて!」

    ムギが何かを叫んでいる。
    泣くなよムギ……

    澪「あ、ああ……」

    体が震え始める。
    歓声が聞こえた。
    どうやら、唯と律が完食したらしい。

    紬「澪ちゃん!澪ちゃん……!」

    ははっ、すごいな二人とも。
    私より小さいのにさ。
    あ、そういえば私ダイエットしてたんだっけ……どうしよ、絶対に増えたなこれ。

    梓「澪先輩……!ギブアップして下さい!」

    梓も泣いている。
    気力を振り絞って顔を上げると、辛そうな唯と律の顔が見えた。
    ……負けたよ、二人とも。
    私はもう、食べられない。

    66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:16:42.77
    澪「でも……」

    このまま終わるわけにはいかない。
    私だけ、頑張らないわけにはいかない。
    意地を見せつけないわけには、いかないんだっ!

    紬「澪ちゃん!?」

    梓「ちょ、澪先輩!?」

    スプーンをゆっくりと掲げる。

    澪「今日死んでも、悔やまないってくらい――」

    狙いはもちろん、この皿に残っている餃子だ。
    見ててくれよ、みんな……

    澪「――――全力で、生きたいんだ!」

    最後の力を注ぎ込み……かきこんだ。
    意識が、途絶えた。

    68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:21:09.88
    ……

    ――――おもしれえ。
    如月十郎はスイングドアの隙間から頭を引っ込め、厨房に戻った。
    何があったのかは知らないが、凄まじい意地と意地のぶつかり合いだ。

    (一人脱落しちまったが……)

    その脱落した黒髪ロングの娘の最期も壮絶だった。
    何と意識を失いながら、食べきった後も執念でスプーンを動かし続けたのである。
    あまりのことに静まり返った店内に響くかち、かちというスプーンの音には、身震いさせられた。
    その娘は奥の部屋で休ませてある。

    (まさか、俺が最後の鍋を振る気になるなんてな……!)

    一人脱落し、残りの二人ももう限界に近いだろう。
    しかし、手を抜くつもりは全くない。
    久しぶりに心を震わせてもらった礼に――――鉄人定食が、そこらの雑な大食いメニューとは違うことを自分の手で見せてやろうではないか。

    69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:26:06.45
    ……

    餃子の皿が厨房に戻された。
    倒れた澪先輩は私とムギ先輩で必死に介抱し、今は店の奥で休ませてもらっている。
    ムギ先輩は今も澪先輩に付きっきりのはずだ。

    唯「ひゅー……ひゅー……」

    律「…………」

    梓「しっかりして下さい、先輩たち……」

    私は唯先輩と律先輩の介抱だ。
    二人とも汗の量が尋常ではない。
    目も虚ろで、いつ澪先輩のように倒れてもおかしくはない状況だ。

    野次馬たちは増殖し続け、大きく開かれた店の入口から通りにまで見物人で溢れている。

    ――おい、いい勝負だな
    ――ああ、全くナイスファイトだ
    ――だが見てな、最後にはこっちのカチューシャの子が勝つぜ。見るからに根性がありそうだ
    ――バカ言うな、こっちのヘアピンの子さ。そっちは残念ながら体が小さすぎる
    ――ああ?何言ってんだてめえ。そっちはさっきゲロ吐きそうになってたじゃねえか
    ――やんのかコラあ。俺たちの天使を侮辱してんじゃねえぞ

    70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:29:28.67
    何故だか背後で喧嘩が始まったようだ。
    ……うるさい、こっちはそれどころじゃないんだ。

    梓「……」パタパタ

    風を送り、おしぼりを二人の顔に乗せる。
    こんなことで二人の苦しみを減らせるのかも分からないが、居ても立っても居られないのだ。

    梓「……!」ゾクッ

    その時、ひどい悪寒が私の体を駆け巡った。
    何かが、来る。

    「きたあっ!中華丼が来たあっ!うわあーーーーっ!」

    それは、恐怖の叫びだった。
    最後の料理が、信じがたいものが近づいて来る。
    それを目にした誰もが恐怖と驚愕に顔を歪め、逃げ惑うようにして道を開けた。

    梓「ひっ――――」

    二つの器が、どかりとテーブルに置かれた。
    もう悲鳴さえ出ない。
    異常だ。

    71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:33:51.74
    梓「おかしい……こんなの間違ってます!」

    普通、中華丼に入っているのはウズラの卵であって、間違っても鶏の卵がゴロゴロ入っていてはならないはずだ。
    器はまさに洗面器の如しであり、大量のご飯の上にかけられたマグマのような灼熱の餡の中で具が身をよじるその姿からは得体の知れない悪意すら感じてしまう。
    なぜ人は戦うのか、なぜ人は憎しみ合うのか……そんな疑問が私の頭の中に浮かんできた。

    「仕切り代わります、当店の頭を勤めます姓は如月名は十郎と発します。笑っても泣いてもこれにて最後の一皿、思い残しなきように。それでは卓からお手を離して――」

    大男が現れ、ストップウォッチを握る。
    だけど、もう気にしてはいられない。

    梓「唯先輩、律先輩……!」

    「どうぞっ!!」

    歓声が爆発し、ぐったりとしていた二人が跳ね起き、再び猛然と巨大ドンブリに挑みかかった。
    しかし。

    唯「はむっ、んぐんぐ……あむっ!」

    律「う、く……」

    実際に食べ始めたのは、唯先輩だけ。
    ラーメンの時と同じように、熱々のはずの具のみをどんどん口に入れていく。
    律先輩の動きは……完全に止まっていた。

    73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:38:06.54
    ……

    私は、絶望的な気分で唯を見つめていた。
    レンゲを持った手が、動かない。

    律「ぐ……」

    執念で手を動かし、中華丼を口に運ぶ。
    咀嚼するのも一苦労。
    周りの野次馬たちが悲鳴を上げているのがひどく耳障りだ。

    唯「……!」

    そして唯は、私が食べ始めたことに気がついたのか……さらに、ペースを上げた。
    はは、化け物かよお前……
    食べ続ける唯は、私から片時も視線を外さない。

    律「あむ……」

    負けたくない。
    負けたくない。
    炭水化物と炭水化物を一緒に食べる奴なんかに絶対負けたくない。

    75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:41:57.43
    律「はむ、んぐ……」

    必死に追いすがっていた手が再び動かなくなる。
    口の中がひりひりする。
    もう何を食べているのかも分からない。
    ただのぐちゃぐちゃした固形物としか認識できなくなったそれを腹に詰め込むと、救いようのないほどの吐き気を感じた。

    律「あぐっ、ひっぐ」

    涙が止まらない。
    苦しい。
    ここは地獄だ。
    生前に食べ物を粗末にした奴は、きっとこのテーブルに落とされることだろう。

    律「あぐぐ……はむっ」

    76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:43:51.21
    梓「律先輩、もう……もう十分です!食べるのを止めて下さいっ!」

    もう十分?
    何を言っているんだ梓、私はまだ……
    あれ?
    まだ、なんだ?

    律「…………」

    梓「りつ、せんぱい……?」

    あれ?
    何で私、大食い勝負なんかしてるんだ?

    律「もう、いいかもな……」

    そう考え出したらもう止まらなかった。
    ――どうやって負けたら情けなくないだろうか?
    ――このままトイレにでも駆け込むか?
    ――4000円払うのは嫌だなあ
    ――いっそ周りで騒いでる野次馬たちの頭から反吐でもかけてやろうか

    77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:45:23.94
    律「負けるが、勝ちか」

    もういいや。
    最後に一口だけ反吐の材料をかき込んだら、もう我慢するのはやめよう。
    最後に、もう一度だけ、唯の様子を見ておこう。

    唯「はむっ、んむむ……」

    唯は、相変わらず食べ続けていた。
    視界がぼやけているからか、唯は普段通りに見える。

    唯「げぼっ!?」

    そして、唐突に限界が訪れた。

    79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:46:36.10
    ……

    梓「唯先輩いいいいっ!」

    私は悲痛な声を上げ、唯先輩に駆け寄った。
    着々と中華丼を食べ進めた唯先輩がいきなり痙攣し、口の中のものを吐き出して倒れたのだ。
    顔を巨大ドンブリの中に突っ込んだまま、ピクリとも動かない。

    梓「唯先輩、唯先輩っ……!」

    周りが騒がしい。
    従業員が駆け寄ろうとして来るのを大男が怒鳴って追い払っている。
    私は唯先輩を抱き起そうとして……

    梓「え……?」

    腕を、掴まれた。
    ――――唯先輩に。

    唯「けほっ、えほっ」

    唯先輩は、私を見ていなかった。
    唯先輩は、自らを苦しめる中華丼を見ていなかった。
    唯先輩は――――ただ、律先輩を真っ直ぐに見つめていた。

    81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:49:19.28
    唯「……負けない」

    律「……!」

    顔は米粒まみれでベトベト。
    肩は震えが止まらず、呼吸は乱れに乱れている。
    顔は発熱したかのように真っ赤で、今にも倒れてしまいそうだ。

    でも、唯先輩の言葉は。
    表情は。

    唯「りっちゃんには、絶対に負けない!」

    これまでに見たことがないくらい……いや、そんな言葉で形容してはいけないくらい、必死だった。

    律「……上等おっ!」

    もうギブアップ寸前だったはずの律先輩が、生気を取り戻した。
    食べ始める。
    野次馬たちが、一際大きな声援を送った。

    82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:51:18.27
    梓「何で……?もう、限界のはずなのに……」

    視界がぼやける。
    ああ、私も泣いているんだ……

    唯「りっちゃん、手が動いてないよ……?」

    律「はは……何言ってんだ、唯こそさっきから食えてないぞ……」

    先輩達は、どうして食べ続けるのだろう。

    紬「梓ちゃん……」ギュッ

    梓「ひっぐ……むぎ、せんぱい……?」

    紬「目を離しちゃダメよ、そして二人を応援しましょう」

    梓「……はいっ」

    長い長い時が流れたような気がした。
    唯先輩と律先輩は、お互いを罵り合い、励まし合いながら食べ進める。
    先に食べ終わったのは律先輩だった。

    83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:53:00.72
    律「がはっ……はあはあ、えほっ!」

    ドンブリの中には何も残っていない。
    大歓声が上がる。
    しかし律先輩は気にも留めない。
    視線はただ、意識が朦朧としているのかふらふらと頭を揺らしている唯先輩へと……

    律「唯っ!何やってんだ!あと少しだ、あとはご飯だけじゃないか!」

    律先輩が叫ぶ。
    唯先輩のドンブリの中の具は綺麗さっぱりと消え、あとは少しのご飯を残すのみとなっていた。

    唯「あ、う……」

    もう時間がない。
    唯先輩はもう――――

    紬「ごーはんーはー、すーごいーよー……」

    歌が、聞こえた。

    84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:57:44.40
    梓「ムギ先輩……?それって……」

    ごはんはおかず。
    それはこの争いの火種となった曲であり……
    唯先輩が、自らの思いを注いだ歌だった。

    紬「なんでも合ーうよホカホカ……」

    唯「……!」ピクッ

    ムギ先輩の声が届いたのか。
    唯先輩の指が、確かに動いた。
    そうだ、歌おう。

    紬「ラーメーン、うーどんーにー」

    梓「おー好みー焼きーこれこれ♪」

    律「唯、あとちょっとだ!頑張れ!」

    85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:58:42.14
    唯「う……」

    紬「たーんすーい、かぶつーとーたーんすーい、かぶつーのー♪」

    梓「ゆーめの♪」

    夢の!

    紬・梓「コーラーボーレーション☆」

    アツアツ ホカホカ!

    歌う、歌う。
    私とムギ先輩で、歌う。
    律先輩が、唯先輩を叱咤激励する。

    何度も歌っているうちに、いつの間にかコーラスがつく。
    手拍子がつく。
    唯先輩、頑張れ……!

    86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 01:59:59.33
    ~ごはんはおかず~

    作詞:平沢唯  作曲:琴吹紬
    歌:中野梓&琴吹紬  コーラス:『鉄人屋』従業員と常連客の皆さん

    ごはんはすごいよ なんでも合うよ ホカホカ
    ラーメン うどんに お好み焼き これこれ
    炭水化物と炭水化物の
    夢のコラボレーション☆
    (アツアツ ホカホカ)

    ごはんはすごいよ ないと困るよ
    むしろごはんがおかずだよ
    関西人ならやっぱりお好み焼き&ごはん

    でも私 関西人じゃないんです
    (どないやねん!)
    1・2・3・4・GO・HA・N!
    1・2・3・4・GO・HA・N!

    87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 02:02:07.32
    ……

    夢中で歌った。
    気付いた時には、ストップウォッチの残り時間が0となっていて……
    唯先輩は、器のちょうど真ん中に顔を押し付ける形で倒れ込んでいた。

    梓「――――っ!」

    何かを叫んだ。
    律先輩もムギ先輩も同じだ。
    そして、唯先輩の体がずるりと床に滑り落ちると――――

    ドンブリの中には、ごはんの一欠けらも残っていなかった。

    ものすごい大騒ぎになった。
    おでこにナルトをくっつけたおじさんが、泣きながら跳びはねていた。
    客の一人らしい大柄の男性が興奮のあまり照明器具に頭から突っ込んだ。
    二人のコックさんが腕を交差させて、お互いの口の中に紹興酒の瓶を突っ込んでいた。

    律「へへ……やったな、唯」

    そして、唯先輩の完食を見届けた律先輩が、唯先輩に折り重なるように倒れた。

    梓「ムギ先輩っ!」

    紬「梓ちゃんっ!」

    90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 02:04:13.62
    ……

    律「う……」

    「おう、起きたか」

    律「んん……ひっ!?」

    目を覚ますと、すぐ近くに大男がいた。
    だ、誰だこいつはっ!?

    「おいおい、寝ぼけてるのか?まあいい、そこに胃薬あるから飲んどけ。ゲロ吐くなら洗面器な」

    律「あ、はい……」

    そうだ、私たち鉄人屋に来て……

    律「あの、みんなは……?」

    「髪を二つ縛りにしているのと、金髪の奴は黒髪ロングの付き添いだ。最後に完食した奴はほれ、お前の隣だ」

    唯「う~ん……」

    律「あ……」

    慌てて隣を見ると、唯が寝ていた。

    「起きたら胃薬飲ませとけよ」

    91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 02:07:07.66
    律「は、はいっ!あの、それでお金は……」

    「いらねえよ」

    律「えっ?でも、少なくとも澪は……」

    「いいんだよ、久しぶりにいいもん見せてもらったしな。いいからほら、休んでろ。連れもすぐ戻ってくるさ」

    にたりと笑ってそう言い残し、大男はどすどすと音を立てて厨房へと戻って行った。

    律「……」

    唯「……」

    静かだ。
    相変わらず胃は苦しいけど、何だか心地いい。

    93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 02:09:10.15
    律「唯」

    唯「ん……」

    律「ふふっ」

    唯の頭を撫でる。
    あ~あ、何で私たちってあんなつまんないことで言い争ってたんだろうな。
    後でみんなに謝らないと。

    唯「う~ん、くるしい~……」

    律「……ぷっ」

    うんうん唸りながら布団の上を転がる唯を見ていると、今までのことが本当にバカバカしく感じられた。
    ツンツンお腹を突っつき、遊んでやる。
    うわあ、人のことは言えないけどお腹パンパンだ……

    律「ふわあ……」

    何だか眠くなってきた。

    94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 02:11:31.51
    梓「澪先輩、大丈夫ですか?」

    澪「うっぷ……苦しい……」

    紬「だ、大丈夫?背中さする?」

    梓たちの声が、まどろみの向こうで聞こえてくる。
    起きたら、謝って……いつも通りの、放課後ティータイムに戻らなきゃな……

    唯「ん……」

    唯の意見も、まだ納得はできないけど聞いてやろう。
    あ、憂ちゃんの手料理はもう一回きちんと味わって食べたいな。
    澪のお気に入りの店にももう一度連れて行ってもらわないと。

    でも、とりあえず今は……

    律「おやすみ、唯……」

    95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 02:15:28.31
    ……

    数日後。
    鉄人屋に飾られている鉄人定食完食者の写真に、久しぶりの追加が行われた。
    桜が丘女子高等学校3年、平沢唯。
    同じく、田井中律。

    そして、二人の願いによって秋山澪、琴吹紬、中野梓の名も。
    「私たちの力だけじゃ到底無理でした。みんながいたから、完食出来たんです!」
    写真には、少し照れくさそうな……それでいて、仲睦まじい様子の少女たちの姿があった。

    「……ふん」

    如月十郎は満足気に一つ息を吐くと、気を引き締めなおす。

    「うらあっ!チンタラやってんじゃねえぞおっ!」

    『はいっ!』

    鉄人屋は、今日も大繁盛だ。
    ……ちなみに。
    写真が飾られてから、さらに無謀な挑戦者たちが増えて如月十郎の頭を悩ませることになるのだが……
    それはまた、別のお話。

    96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 02:18:03.46
    終わり!

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過去の名作たち

唯「あずにゃん…ずっと一緒だからね…」
唯「がりれお!」
唯「憂。ちょっとこっち来なさい」
  1. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/11/09(火) 16:11:28 URL [ 編集 ]
    Listen!!ウケた
  2. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/11/10(水) 01:55:23 URL [ 編集 ]
    イイハナシダナー
  3. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/11/10(水) 08:24:37 URL [ 編集 ]
    イリヤ懐かしいなーw
  4. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/11/26(金) 17:58:00 URL [ 編集 ]
    なつかしいwwwwwwwwwでもワロタ

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