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過去の名作たち

  1. 名前: ◆- 2010/12/28(火) 00:57:54 URL [ 編集 ]
    面白かったけどBADENDの連続で気が重くなった
    それなりに覚悟して読むべし
    話としての完成度は高いと思う
    けど、もはやけいおんじゃないかなww
  2. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 01:19:43 URL [ 編集 ]
    凄く良く出来た話だった。久々の良作。最後感動した。
  3. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 01:23:48 URL [ 編集 ]
    怖えよ・・・
  4. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 01:56:37 URL [ 編集 ]
    これだけ書けるならオリジナルで作品やってもって気がしないでもない。
    律バッドの最後澪のセリフには戦慄した。すごいセンス。
  5. 名前:    ◆- 2010/12/28(火) 04:27:42 URL [ 編集 ]
    おもしろ。ゲームとかにもできそうなくらい完成度高いな
  6. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 04:45:30 URL [ 編集 ]
    同じ時系列の修正(Back To The Future等)とパラレルワールド(ドラゴンボール等)がごっちゃになってるけど、各編ともエンディングは秀逸!特にラスト!!
  7. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 05:17:23 URL [ 編集 ]
    ちょっと怖かったが最後は良かった
    未来あずにゃんがエロ爺の話聞いて過去あずにゃん殺しそうで怖かった
  8. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 11:50:04 URL [ 編集 ]
    最初のタイムマシーンはどこから出てきたのかモヤモヤする
  9. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 12:30:46 URL [ 編集 ]
    BADENDの話は救われない感じのが多かったけど、ラストがあったからすっきりした気分で終われた。
    長い文章は苦手だが、面白かったからサクサク読めた。
  10. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 14:08:43 URL [ 編集 ]
    あれ?これってシュタゲのパロじゃないの?
  11. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 20:50:20 URL [ 編集 ]
    すごい!感動した!
    でも最後未来あずにゃんが
    結局どうなって唯たちもどうなったのか知りたい
    あと未来梓がどうやって過去に来たのか気になる
  12. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/31(金) 04:07:42 URL [ 編集 ]
    鳥肌と涙と冷や汗が止まんない。

    読んでて、さりげなくすべてのパートが関連してて、特に、元をたどればムギがマシンの開発者になってたところとか(タイムマシンのイニシャルT.K)もうすごい興奮した。

    映画はこれでいいとガチで思う・・・
  13. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/31(金) 11:42:52 URL [ 編集 ]
    今年最後にこのSSに巡り会えて本当によかった。

    BADEND一つ一つの話が深く、メインの話とも関わりがあってよく作り込まれていることがわかる。

    神SSだったよ、乙
  14. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/01(土) 19:16:12 URL [ 編集 ]
    めっちゃおもしろかった!!
  15. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/03(月) 13:47:27 URL [ 編集 ]
    さわこのロック吹いたw

    全部のENDに意味があって繋がってて寒気がしたわ
    すごくよかった
  16. 名前: けいおん!中毒 ◆UvwUpwt2 2011/01/04(火) 22:37:08 URL [ 編集 ]
    > 11
    土台はそうなんじゃない?
    たしか>>1がインスパイアされたSSがシュタゲパロだった気がする
  17. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/07(金) 02:49:28 URL [ 編集 ]
    これにリアルタイムで遭遇してたんだが
    この話の後日談?的なものもあったらしいんだよ(気になるんだがきっともう投下されないだろうな…)
    だからちょっともやっとする人も居ると思う

    でもそれを差し引いても文句なしの神SSだった!
  18. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/08(土) 20:50:34 URL [ 編集 ]
    >>18
    後日談なのかはわからないよな
    当人はおまけだってことしか書いてなかったから

    リアルタイムで見かけたレスで、UFOエンド(ネタ的エンド)はないのかって聞かれてたから、その期待にこたえるためにそういった物を用意していたのかもしれんし
  19. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/09(日) 20:25:57 URL [ 編集 ]
    実際時間の移動をすればその瞬間にルーツが存在しなくなりそうで怖いわ。
    まぁ、だからこそ同じ未来を辿らなかった場合にパラレルワールドが生まれて調整されるんだろうけど…

  20. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/10(月) 12:54:40 URL [ 編集 ]
    エバー17思い出した
  21. 名前: 2011/08/28(日) 04:56:52 URL [ 編集 ]
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  22. 名前: 2012/01/21(土) 20:22:28 URL [ 編集 ]
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唯「放課後てぃーたいむとらべらー」

  1. 名前: 管理人 2010/12/27(月) 21:48:28
    2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 21:56:07.79
    「はぁ、はぁ……」

    唯「あずにゃん!? あーずにゃはーん! もぉー、いつからそこにいたの?」ギュッ

    梓「うわっ!?」

    唯「探したんだよ? いきなり消えちゃったからびっくりしちゃった!」

    梓(懐かしい匂い……)

    梓「ん……いきなり? ま、いいか」

    バッ

    梓「唯先輩、ちょっとすみません!」タタタ…

    唯「そっちは物置だよー?」


    3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:02:39.75
    ガサゴソ…

    梓「えっと、えっと」

    唯「うわわ! か、勝手に漁ったらまずいよっ」

    梓「あった!」ガチャ

    唯「うっ、埃臭い……あれ? またそのギター弾くの?」

    梓「また……?」

    唯「あずにゃんさっきもそのギター弾いてたじゃん。そしたらあずにゃんどっか行っちゃって」

    梓「えーっと……ていうか今日はいったい何年の何月何日なんですか!? はやく教えてください!」

    唯「え、えっと! 2009年の9月…5日?」

    梓「そ、そうですか。じゃあ話しても無駄かな……」

    唯「?」


    6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:05:37.27
    唯「日付がどうかしたの? それにさっきからあずにゃん顔色悪いよ……?」

    梓「なんでも……ないです」

    梓「唯先輩、いいですか。私がいいって言うまで目を瞑っていてください」

    梓「お願いします。絶対に目を開けないでくださいね……」

    唯「うーん……わ、わかったよぉ」

    唯「あずにゃんまだー?」

    梓「まだ!」ピーン、ティーン、ピーン

    梓「……さよなら、唯先ぱ――」

    唯「ギター弾いてるの? ねぇ、弾いてるとこみたいなぁ……」

    唯「あずにゃーん?」

    律「唯、そんなとこで何してんの?」

    唯「え?」


    7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:08:12.00
    律「ていうか何で目瞑ってんだよ」

    唯「あずにゃんがいいって言うまで開けちゃダメなんだー」

    律「梓? 梓もう来てるのか?」

    唯「え、そこにいるでしょ?」

    律「は? いないけど……」

    唯「え!?」パチ

    唯「あれれー!? あずにゃんどこー? またかくれんぼー?」

    律「……唯、お前そうとう寝ぼけてるな」

    唯「ち、違うよ! 本当にあずにゃんが」

    律「わかった、わかった。それより澪とムギがもうすぐ来るから隠れて脅かしてやろうぜー」

    唯「んー?」


    9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:12:05.02
    2010年5月7日 軽音部室

    澪「あわわわっ」

    律「梓が……」

    紬「消えちゃった……」

    唯「どどどどうしようっ」

    ヒュッ

    梓「はぁ、はぁ……」

    紬「梓ちゃん!?」

    梓「ここは何年何月何日!?」

    澪「あ、梓?」

    梓「何年の! 何月何日ですか!?」


    10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:15:05.67
    律「に、2010年の5月7日……」

    梓「や、やっと戻ってこれた!」

    梓「はぁー……」ヘナヘナ、ペタン

    唯「あずにゃん急に消えちゃってびっくりしたんだよ!? どうしたの!?」

    律「そ、そうだ。澪なんか物凄くパニクってたんだからな!」

    澪「お前らもだろ!」

    梓「タイムスリップ」

    「え?」

    梓「タイム、スリップ……してきました」


    11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:18:07.79
    数分前

    律「掃除めんどくちゃい」

    澪「こら、サボるな。……そういえば律」

    澪「お前、私の机の中に変な落書き書いた紙入れただろ? いきなり見つけてびっくりしたんだぞ!」

    律「は? 知らないよ、そんなの」

    紬「あら?」

    紬「ねぇ、これ見て」

    唯「ムギちゃん?」

    澪「これは……古いギターみたいだな。物置にあったの?」

    紬「うん。奥の方に隠れてて」

    ガチャリ

    梓「すみません、遅れちゃいま……」

    梓「そのギターは!」

    「?」


    12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:21:14.97
    梓「SGですよ! かなり年期が入ってますけど……わぁ」

    唯「あずにゃん目が光ってる」

    澪「よっぽど良いギターみたいだな」

    梓「…弾きたい」

    梓「弾いてみても…いいですか!?」

    律「どうぞ」

    澪「お、おい。勝手に弾くのはまずいんじゃないか?」

    律「いいじゃん。あんなところにしまわれてたぐらいなんだし」

    澪「でもっ」

    梓「ひ、弾きます!」

    唯・紬「わくわく……」

    ポーン、ポーン、ピーン

    律「やっぱ弦が錆びてんのか良い音じゃねーなぁ」


    14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:24:46.09
    唯「私、替えの弦余分に持ってるよー」

    律「じゃあ替えちゃうか!」

    澪「だからそんな勝手に……」

    紬「梓ちゃん?」

    紬「梓ちゃーん」

    澪「どうしたムギ?」

    紬「梓ちゃんは…どこにいっちゃったの?」

    「……」

    「!?」


    15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:28:04.91
    現在にいたる

    澪「タイムスリップなんて……そんなバカな」

    律「なぁ」

    梓「現に私は過去へいきました!」

    紬「でも梓ちゃんそのギター弾いた後、いきなり消えちゃったし」

    唯「タイムスリップ……つまりあずにゃんはタイムトラベラーってやつになったんだね!」

    梓「うぅ、人が恐い思いしてきたというのにそんな呑気な……」

    律「でもギターがタイムマシンっておかしいよ」

    唯「えー? かっこいいよぉ」

    紬「だったらティーカップ型のタイムマシンとかないかなぁ」

    澪「それなら私はだな……」

    梓「だめだ……全然信じてくれてない……」


    16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:32:06.67
    梓「そうだ……そういえば私、過去の唯先輩と一度話したんですよ!」

    唯「ほんと!? すっごーい!」

    律「そのころの唯、どうだった?」

    梓「いや、別に変わりありませんけど……1年前の9月5日の唯先輩にです」

    澪「へぇ……」

    律「過去に会ったってのなら、もしかして覚えてるとか?」

    紬「どう? 唯ちゃん」

    唯「んー」

    唯「わかんないです」

    梓「……」イラッ


    17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:35:05.63
    澪「他に過去に飛んだっていう証拠は?」

    梓「えっと……たぶん、ないかも」

    律「ダメじゃん」

    梓「そんな余裕なかったんです!」

    梓「とにかく元の時間に戻るために悪戦苦闘してたんですからね!?」

    紬「どうやって戻ってきたの?」

    梓「……話すと長くなりますよ」

    梓「まぁ、このギター…タイムマシンでわかってること教えます。それ聞けばだいたい想像つくと思いますから」

    梓「……かなり色々と試したので」


    18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:38:21.21
    梓「いいですか? 最初弾いたとき私が鳴らしたのはここと、ここと、ここ……つまり六弦から四弦を単音弾きしたんです」

    梓「実はこれがタイムスリップする鍵」

    梓「六弦目で過去に戻る年数…つまり1フレットなら1年、2フレットなら2年」

    梓「次に五弦目、これは月数です。ここで戻る月を指定することができます」

    澪「つまり1フレットなら1月、5フレットなら5月を指定できるってことか?」

    梓「はい。それで間違いないです」

    唯「……頭痛い」

    律「わ、私も……」

    紬「大丈夫?」

    澪「その二人は放っておけ、ムギ」


    19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:43:16.66
    梓「残る四弦。これは日数……これも五弦同様にフレットで日にちを指定します」

    唯「あれ?」

    紬「唯ちゃんどうしたの?」

    唯「このギター、フレットが22フレットまでしかないの」

    澪「……あ! そうか!」

    唯「フレットで日にちをしてい? するなら22日までしかできないよ?」

    梓「それについては私もかなり苦戦しました。ですけど」

    梓「22日以降の日にちは…例えば25日を選びたいとします」

    梓「その場合、最初に2フレットを弾き、次に四弦の開放弦を弾くんです。その後に5フレット。これで25日を選択、ということになるみたいです」

    梓「開放弦は0、あるいは十の位に移行させるものみたいですね」

    律「あ、あ……」

    唯「りっちゃんの頭から煙が!」

    澪「あ、梓! ちょっとストップ!」


    20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:47:05.14
    律「ふひー……ったく、なにわけわかんない話してんだよぅ!」

    梓「そ、そんなこと言われても」

    紬「ところで梓ちゃん」

    梓「はい?」

    紬「時刻は選べないの?」

    梓「はい。時刻……と場所は指定できないみたいです。ですので、跳んだ時刻と、場所は元のものと変わりません」

    澪「つまり2009年の5月6日の15:00に3年教室に跳びたいとしても、跳ぶ前の時刻が16:00。場所がこの部室だとしたら」

    梓「16:00のまま、場所も部室のままですね」

    唯「本当に頭痛いー、なんか複雑だよぉ」

    律「唯は私の仲間だからな」

    唯「ぶー!」

    澪「過去への行き方はわかったよ。でもそれからどうやって梓は元の時間に戻ってこれたんだ?」

    梓「あぁ、忘れてた……それはですね」


    21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:50:46.72
    梓「六弦とは逆に一弦で年数を指定するんです。2009年に跳んで2010年に戻りたいってときは一弦の1フレットを弾いて…後は五、四弦をさっき言った通りに」

    梓「って感じです。残った二、三弦は使わないみたいですね。まだよく分からないけど」

    紬「……なんだか」

    澪「まだ半分信じられないな」

    唯「そうかなぁ?」

    梓「まぁ、私自身も信じられないぐらいですよ……正直」

    律「ならもっかいタイムスリップしてくりゃいいんじゃね?」

    梓「いや! 絶対いやです!!」

    律「何もそこまで」

    梓「律先輩は何も体験してないからそんなこと言えるんです! 私、私、本当に……ううっ」

    律「わ、悪かったよ…」

    梓「あんな恐ろしい目、二度と遭いたくないです……」


    22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:54:16.95
    律「てなわけでタイムスリップしてみたい人! はーい!」

    唯「はいはい!」

    紬「私も~」

    澪「ちょっと怖いけど……はい」

    梓「恐ろしいって言ったばっかりでしょうが!?」

    律「だーって、タイムマシンだぜ? 使うっきゃないっしょ」

    紬「私、憧れてたの~」

    梓「そんな……」

    唯「でもこれで実際過去に行くことができたらさっきあずにゃんが言ったことも証明されるんだよ?」

    梓「それは……まぁ」

    律「なら文句ないな。よし、ここはくじ引きで決めよう!」

    唯・澪・紬「乗った!」

    梓「……」

    23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 22:57:15.87
    律「はーい! 私で決定!」

    唯「ずるいよりっちゃん! ズルしたでしょー」

    澪「そうだ、そうだ!」

    律「してませーん。不正はなかったでーす」

    律「てなわけで……よっ、と」

    ス…

    律「どれどれー、えっと…」

    梓「ちょ、ちょっとストップ!」

    律「なんだよ?」

    梓「言い忘れてましたけど、跳んだ先の時間は過去です。つまりまだこのギターは物置の奥底……」

    律「戻ってくるときは一々奥から取り出さなきゃいけないのか!? 面倒だなぁ……」


    24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:00:03.90
    澪「……ん? そういえば行った先の過去にもう一人の律がいたりするのかな」

    唯「どういうこと?」

    澪「つまり今の…現在の律がこれから過去へいくんだろ? そしたらその時間にいた過去律はどうなる?」

    唯「……ああ、そっか! どうなの? あずにゃん」

    梓「えっと、わかりません…私は過去の私と一度も会ったり、見かけたりしませんでした」

    梓「もしかしたら偶然会うことがなかっただけかもしれないし、いないのかもしれません」

    律「いないなんてことありえんのかぁ?」

    紬「ん……ありえないとは思うけど、過去へ行った現在をA、過去のをBとして、AはBとしての存在に置き換えられちゃうのかしら?」

    唯「つまりBは消えちゃうってこと? なんかおっかない……」


    26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:03:12.40
    律「……あー! ぐだぐだ言っててもしょうがないって! さっさとやるぞ!」

    澪「待って、一応跳ぶ先を部室にするのは止そう」

    律「なんでさ」

    澪「もし部室に私たちがいたらどうするんだ。特にもう一人の律が」

    澪「いきなり部室に現れてみろよ。パニックになる」

    律「あ、あー……なるほど」

    梓「そういうことを配慮して、私もできるだけ部室からはタイムスリップをしませんでした。トイレとか学校裏からとか」

    唯「それじゃあトイレでやってみようよ~」

    律「ん、そだな」


    27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:07:03.95
    女子トイレ

    律「……」

    律「なんか緊張してきた」

    澪「見てる方もな……」

    梓「くれぐれも行動に気をつけてください。。過去で何かとんでもないことしちゃったら゛今゛が変わっちゃうかもしれません」

    律「お、おう……」

    律「それじゃあ」

    ピーン、ピーン、ティーン

    律「行ってき――――」

    「……」

    唯「ぎゃー! りっちゃんが消えたよー!?」

    澪「律ー!?」


    28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:10:10.37
    2010年5月4日 女子トイレ

    律「―――ます。……?」

    律「あれ、みんな?」

    律(いない! ってことはまさか……)

    「でねー、○○先生ってば」

    律「お、おいっ」

    「きゃあ! な、なんですか」

    律「今日は何年の何月何日!?」

    「え……えっと、2010年5月の……4日?」

    律「たしかなんだな!?」

    「け、携帯で確認すればいいじゃないですか」

    律「あ、それもそうか」


    29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:13:14.13
    パカッ

    律「5月7日。ちょっと! 全然違うじゃん」

    「は?」

    律「なーんだ、何がタイムスリップだよ。梓のやつ適当な……」

    律(でもあの時、梓突然消えて、現れてたりしてたよな。わけわかんないぞ)

    「あの、もう行っていいですか」

    律「ちょっと君の携帯の方を見してくれない? どうも私のおかしいみたいでさ」

    「……はい」パカッ

    律(こっちは5月4日! どうなってんだ!?)

    律「も、もういいよ。ありがとね……それじゃ!」

    「なんだったの……?」


    30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:16:38.56
    タタタ…

    律「みんな、みんなに会えば一発だ……!」

    律(い、いや! 待って、ストップ!)

    律「もし部室の中に私がいたらどうする……」

    律「……いや、待てよ」

    律(そもそも私って、三日前の私(現在の)と会わないんじゃないか?)

    律(過去があるっていうのなら、未来もあるだろ? それなら現在の私たちから見た先にいる未来の私たちもタイムマシンを見つけて使えてるはずだよね?)

    律(現在の私をA、未来の私をBとして……Bが5月7日にタイムマシンを使って4日に跳んだとする。つまり今の私と同じ状況だ)

    律(Aは5月4日のAだとすると……うん、BはAと会ってない。間違いないはずだ!)

    律「いや、でも待てよー。未来の私がかならずしも今の私と同じ行動をとったわけじゃないかもしれないし……え~」

    律「ああああ!! 頭が爆発するわっ! もういい、適当にうろつこっと!」


    31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:20:02.61
    ・・・

    律「そっか、ありがとね」

    「ううん。それじゃあ」

    律(やっぱり誰に訊いても今日は2010年の5月4日だ)

    律(教室の日めくりカレンダーを確かめてもそうだった)

    律「これってやっぱり確定、だよな」

    律「う……う……」

    律「うおー!! やたー!! 私は過去にとんだぞー!!」

    律「は、ははは……ほんと、夢みたいだ。えへへ」


    32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:23:13.12
    3年教室

    ガチャリ

    律「しっつれいしま~す……」

    律「お、誰もいないじゃん。うししっ」

    律「とりあえず私が過去に来たという証拠を残す!」

    律「ってことで澪ちゅわんの机の上に~。いや、机の中にかな」

    律「紙を一枚拝借っと……うーん、何書こう」

    律「未来から参上! うーん、違う。タイムトラベラー田井中律! ううーん……」

    律「面倒臭いからてきとうに落書き書いちゃえ」カキカキ……

    スタスタスタ…

    「――でねー、あずにゃんが」

    「ふふ、そうなの」

    律「だ、誰かくるっ!? わわわわ……」


    33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:26:19.22
    ガチャリ

    唯「あり? だーれもいないやぁ」

    和「もうこんな時間だし、下校してるか部活動してるかどっちかでしょ」

    和「そういえば今日は軽音部の活動はないの?」

    唯「うん。今日はりっちゃんが澪ちゃんから勉強見てもらうからって」

    和「ああ、そうなの。ところで忘れ物は? 見つかった?」

    唯「うーん、机の奥かなぁ……」

    ―掃除用具入れの中―

    律(……な、なんで隠れたりしたんだ? 私)

    34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:30:01.21
    律(別にあいつらに会ったって何か悪いことが起きるわけじゃないんだぞ?)

    律(まぁ、今さらここから出てきてもおかしいけど……)

    唯「あ、そういえば!」

    和「ん?」

    唯「私、りっちゃんに貸してたんだよ~! 世界史のノート!」

    唯「どーりで見つからないわけだ。うんうん」

    和「……やれやれ。それじゃあ律のところにいきましょう?」

    唯「りっちゃんどこにいるかわかんなぁい」

    和「はぁ、電話すればいいだけでしょ?」

    唯「あ、そっか!」

    律(ははは、やっぱ唯はバカだなぁ~。そんなことも思いつかないなんて)

    唯「電話、電話ぁ……っと」ピッ、ピッ…

    律(……あれ、ちょっと待てよ)


    35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:33:14.72
    律(この場合、現在の私と4日の私。どっちに唯の電話がかかるんだ?)

    律(私の携帯はこの通り、タイムスリップしても無事に動いてるし……)

    律(てかそもそも! 4日の私って本当にこの時間にいるのか? 私が同じ時間に二人ってのがそもそもおかしいし……やっぱ、ムギがさっき言ってたみたいに現在の私は過去の私に置き換えられてたりとか……え? えぇ?)

    唯「りっちゃんにかけるよー」

    和「別に宣言しなくていいわよ」

    律(うっ、うわー! うわぁー!! どうなんだこれ!? どうなっちゃうんだ!? うわわわわ!?)


    36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:36:18.42
    唯「あ、もしもし? りっちゃーん?」

    律(……あ)

    唯「うん、そう。世界史のノート。えー? まだ書き写してない? もぉ~」

    唯「それじゃあ明日でいいよぉ……。うんちゃんと返してねー。ばいばーい」

    和「それじゃ、帰りましょうか」

    唯「ん」

    ガチャリ……ガチャ、バタッ

    律「唯……ちゃんと私と会話してた」

    律(世界史のノート……そういえば4日にそんな電話が唯から来た覚えが)

    律「ということはこの時間に私は二人、いちゃうわけなんだ……あ、あはは」

    律「そうだ、たしかこの日は澪と市民図書館に……そりゃ、学校で会わないわけだ」

    律「てかなにパニクってんだよ私……ふぅ」


    37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:40:04.49
    律「も、もうあの二人行ったよな?」

    律「……よし、もういない」

    律「にしてもタイムスリップした証拠がこんな落書き一枚だけってのはなんか――ん?」

    ――「お前、私の机の中に変な落書き書いたルーズリーフ入れただろ? いきなり見つけてびっくりしたんだぞ!」

    律「!!」

    律「まさか、これのことか!」

    律「ということは……やっぱり未来の私も同じ行動をとってたんだ!」

    律「いや、私が同じ行動してるのかな? んー……ま、いっか」

    律「さてと。色々と楽しんだことだし。そろそろ……」

    Prrr、Prrr…


    39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:43:26.48
    律「うわわ!?」

    律「な、なんだ電話か。驚かせんなよなぁ……ん」

    律「電話!?」

    律「だ、誰から……唯!? え、でっ、でも……!」

    律「……ごくりっ」

    ピッ

    律「も、もしもし……」

    『りっちゃーん!』

    律「あ、ああ……」

    『繋がったのか!?』『うそ!』

    律(え?)

    『えええ、えっと! 確認します! あ、あなたは2010年5月7日から4日にとんだりっちゃんですか?』

    律「そ、それじゃあ……まさかそっちは5月7日の……?」


    40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:46:11.82
    『きゃー! 本当に繋がってるわー!』『す、すごいよ! すっごぉ~い!』

    律「お、おい?」

    澪『そうだよ! 5月7日の私達だよ! 律!』

    律「マジかっ!?」

    梓『大マジです! これってすごいことですよ!?』

    律「でも何だって電話なんか……」

    唯『物は試しって言うじゃん? それだよ!』

    紬『ほとんど唯ちゃんの思いつきでなの。りっちゃんに電話したらどうなるのかって』

    梓『私がタイムスリップしたときは携帯を部室に置いたままでしたので、これについては何もわからなかったんですけど……びっくりですよ』

    律「そういえば携帯置きっぱなしだったな。……あ、そういえば!」

    律「澪、お前の机の中に入ってた落書き、やっぱり私の仕業だったぞ!」

    澪『なっ、やっぱり……』

    律「でも私であって私じゃないんだ! 未来の私なんだよ!」

    澪『……は?』

    律「つまりだな――――」


    41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:50:18.05
    澪『なるほど』

    律「な? すごくない!?」

    唯『りっちゃんの悪戯もたまには役に立つね』

    梓『ですね』

    律「おいおいっ」

    紬『りっちゃん。心配だし、そろそろ戻ってきて』

    澪『うん。何があるかわかったもんじゃないしな……』

    律「大丈夫。ちょうど今帰るところだったよ」

    梓『帰り方は、覚えてますよね?』

    律「うん。それじゃそろそろ切るぞ」

    梓『はい。それじゃあくれぐれも気をつけて』

    ピッ


    42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 23:55:39.14
    軽音部室

    ガチャリ…

    律「いない。よしっ」

    律「たしかあのギターは……お、見っけ!」

    律「あとは帰るだけかぁ、無事に帰れるかな。大丈夫かなぁ」

    律「なんかやり残したことってあるっけ……」

    律「……」

    律(そういえば、もし私が未来の私と違った行動をここでとっちゃったらどうなるんだろ)

    律「たとえば……トンちゃんを水槽から出しておくとか、窓ガラス破ってみるとか」

    律「この二つは現在の時間じゃ起きていないことだから……」

    律「あれ、なんか私って頭良かったのかな。すっげぇ面白いこと考えてると思うんだけど」

    律「……そうだなぁ、試しに一つやってみよっか?」

    44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 00:02:58.89
    律「いやいや、きっとみんな心配してるはずだ。今日のところは帰ろう」

    律「あ、今日じゃなくて一昨日か~なんつって」

    律「……」

    律「さっさと帰るか。なんか寂しくなってきたよ」

    律「えっと、5月の7日だから……」

    ポーン、ポーン、ピーン

    律「こ――――」


    45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 00:04:57.19
    2010年5月7日 軽音部室

    律「――うかな?」

    澪「律!?」

    律「うおっ」

    唯「りっちゃんいつのまに!」

    紬「び、びっくりしたぁ」

    梓「ほんとにいきなり消えたり、現れたりなんですね……」

    唯「りっちゃんおかえりー」

    律「お、おう……」

    紬「どうだった? 初めてのタイムトラベル」

    律「どうもこうも、なんて言うかな……」

    梓「変な感じ?」

    律「うん」

    澪「曖昧な……」


    46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 00:08:02.42
    唯「よし、それじゃあ次は私が……」

    澪「待った、唯。今日はもう遅いしやめておこう」

    唯「えー! りっちゃんばっかずるいっ」

    梓「どっちにせよ、今の時間で過去へ行ってもやることないと思いますよ?」

    唯「色々あるよ。色々」

    律「はい、例えば」

    唯「……そうだなぁ」

    澪「その時点でやっぱり何も考えてなかったじゃないか!」

    唯「いやぁ、うふふ」


    47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 00:11:06.32
    紬「うーん」

    梓「ムギ先輩? どうかしました?」

    紬「あのね、あのタイムマシン……できればもう使わない方がいいんじゃないかなって」

    梓「え、どうして」

    紬「これって面白いけど、まだまだわからないことだらけでしょ?」

    梓「だから使うのは危ない?」

    紬「簡潔に言っちゃうと……そうなるね」

    澪「たしかに、ムギの言うことにも一理あるよ」

    律「じゃあこれしまっちゃうのか? そんなの宝の持ち腐れだろ~」

    唯「うんうん!」

    紬「でも何かあってからじゃ遅いと思うの」

    梓「まぁ、そうですね……下手に使って大変な事になっちゃったら……」

    唯「多数決!」


    48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 00:14:08.82
    「?」

    唯「多数決で決めよう! それなら恨みっこなしで文句なしだよ」

    澪「そうだな。私は唯に賛成」

    紬・梓「私も」

    律「えー……わかったよ。じゃあそうしよう」

    唯「それでは! この紙に使う、使わないどっちか書いてください!」ス

    律(私はもちろん、使う……っと)

    紬(使わない、使わない。みんなの安全第一だもの)

    唯(使う一択~)

    澪(ムギの話を聞いたらなんか不安になっちゃったし……使わない、と)

    梓(私は……どうしよう?)

    >>49
    使ってたい? やっぱり使わない方がいい?

    51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 00:17:33.10
    梓(少し興味でてきたし……うんっ)

    唯「それじゃあみんな書けたねー? いっせーので見せるよ。せー……のっ!」

    サッ

    澪「唯が使う、ムギが使わない、律が使う、梓が使う、私が使わない……ということで」

    律「使うにけってー!」

    唯「パチパチパチ~」

    澪「梓がそっち側だったとは……」

    梓「す、少し気になっちゃって。ごめんなさい、澪先輩!」

    澪「いや、文句なしなんだから別にいいって」

    紬「でもどうする?」

    「ん?」


    52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 00:20:45.36
    紬「ただ過去に戻ったってやることは特にないし」

    律「なんかはあるだろー? ……うーん、たぶん」

    紬「今まで自分が起こしたミスを回避するように仕向けるとか?」

    律「おぉ、それいいな!」

    梓「そんなのずるいですよ!」

    律「でも使い道としてはそうなんじゃないかぁ?」

    唯「昔の私たちを見てくるとかは!? うーんとちっちゃい頃の!」

    律「それ、面白そう!」

    澪「でもそれだともしかしたらタイムマシンがその時間になかったりするんじゃないかな」

    澪「このタイムマシンはいつから存在したのかわからないし」

    澪「これと一緒にタイムスリップできるんじゃないんだろ? だったらこの時間に戻ってくることができないかもしれない」

    「うーん……」


    53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 00:25:13.50
    2010年5月8日 軽音部室

    梓「そういえば律先輩」

    律「ん?」

    梓「4日に行って唯先輩と和さんを見たんですよね?」

    律「え、うん。それが?」

    梓「それでその唯先輩はその時間の律先輩と電話越しに会話していた」

    律「ああ……」

    梓「てことは同じ時間に律先輩は二人いることになるわけですね」

    律「そうだけど」

    梓「その二人が偶然会っちゃったりしたら……」

    律「それって、前も話さなかったっけ?」


    56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 00:28:46.61
    澪「パニックになるよな、ふつう」

    紬「でも待って」

    唯「ムギちゃん?」

    紬「本来、りっちゃんがもう一人と会うことなんて考えられない」

    紬「ていうか、その時間にりっちゃんが二人いる時点でおかしいのよ」

    律「あ~!! もう何が言いたいんだよ!」

    紬「矛盾が生まれるの」

    澪「あ!」

    梓「ですよね……?」

    唯「え? え?」


    57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 00:33:51.44
    澪「でもそれ言っちゃうと、過去に行って無事帰ってきた律と梓は何なんだってことになるよな」

    紬「うん……」

    唯「つまり、つまり! あのタイムマシン太は変ってこと?」

    律「タイムマシン太ぁ?」

    唯「名前です!」

    梓「いつのまに……」

    紬「あれを否定するつもりはないけど、色々とありえないと思う」

    梓「現在から過去に電話が通じちゃったりしてますもんね……」

    唯「私のお手柄だよねー」

    梓「はいはい」


    58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 00:36:32.08
    ガチャリ

    さわ子「ふぃ~、ひと段落ついたわぁ」

    律「お、さわちゃん」

    紬「お疲れ様です。先生」

    さわ子「お茶、頼めるー?」

    紬「すぐに用意しますね」

    さわ子「いやぁ、やっぱり自分のクラス持つと大変ねー」

    唯「肩揉んだげる」モミモミ

    さわ子「あ、あーっ!! そこ、そこぉ~ん!」

    梓(ばば臭い……)

    澪「……!」

    澪(なぁ、梓)ヒソヒソ

    梓「?」


    60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 00:41:50.38
    澪(もしかして、さわ子先生……あのタイムマシンのこと知ってるとかないかな)

    梓(え! そんなまさか……)

    澪(でもここの物置から出てきたわけだし、ギターだし)

    梓(ギターってとこ、関係ありますか)

    澪(さわ子先生はここのOGなんだよ)

    梓(え~!? し、知らなかったっ)

    澪(……まぁ、そこは置いておいて。とにかく何か知ってるかもしれない)

    梓(聞くんですか?)

    澪(なにかわかるかもだろ?)

    梓(まぁ……)

    律(それについては止めておいた方がいい!)

    澪・梓(!?)


    61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 00:46:45.33
    澪(律! お前いつのまにっ)

    律(あのギター、勝手に箱から出して弾いちゃったりしてんだ)

    律(もしさわちゃんに、そんなことまでしておいて都合よく何なのか聞こうなんて思ったら……ぞぞぞ)

    澪・梓(……)

    律(それに没収されちゃったらどうすんだよ)

    梓(たしかに……)

    律(てことで、この作戦は却下)

    さわ子「あんたたち、何ひそひそ話してるのよ?」

    律・澪・梓「なんでもないでーす!」

    さわ子「んー? ……変なの」


    62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 00:52:48.36
    さわ子「それじゃあ私、また用があるから。何かあったら職員室にね」

    「はーい」

    律(息抜きにきただけかよっ)

    ガチャリ

    唯「で、どうすんの?」

    梓「どうするって……」

    紬「そうねぇ……」

    律「私思ったんだけどさ、あれってその気になれば未来にもいけるよね。たぶん」

    「!」

    澪「そうか……そうだった」

    梓「過去に行ってから現在へ戻るってのは別の見方をすれば、その時間から未来へ行くってことですもんね……」

    紬「過去、過去って考えてて全然思いつかなかった……」

    律「え、なに? 私お手柄? きゃっほう~!」


    63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 00:58:32.07
    唯「じゃあ未来の私たちに会いに行く!?」

    梓「でも未来の自分に会うのって、なんだか怖くありません?」

    唯「へ? どうして?」

    梓「……死んでたらいやじゃないですか」

    唯「うっ……」

    律「でも面白そうだよ!」

    澪「まぁ、うん」

    紬「そうねぇ」

    梓「え、えー……」


    64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 01:03:06.84
    律「てことで未来行き決定!」

    唯「わぁーい!」

    梓「いいのかなぁ……」

    紬「まぁ、行ってみなきゃ何もわからないし」

    梓「わからないのが不安なんですっ」

    澪「とりあえず1日後に行かない? だいぶさきだと怖いし」

    律「なんだよー、澪は臆病だなー」

    澪「お、臆病とかそういうのじゃなくて!」

    紬「でも実験としては澪ちゃんの言うとおりにした方がいいと思うな」

    律「ん、ムギがそう言うなら……」

    澪「なんなんだよっ」

    唯「まぁまぁ~」


    65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 01:06:59.73
    紬「とりあえず、私と梓ちゃんがこっちに残るってことでいいわね」

    唯・律「異議なーし」

    澪「本当にいいのか、梓?」

    梓「自分の未来なんて怖くて見られません。たとえ明日のことだとしても」

    律「チキンー、あずチキンー」

    唯「おいしそうだねぇ……じゅるり」

    梓「や、やめてください!」

    澪「とりあえず行こうか。それじゃあ律、先手は任せた」

    律「おっけ~」

    唯「あれ、ここからタイムスリップしていいの?」

    律・澪「あ……」


    66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 01:11:30.15
    女子トイレ

    ポーン、ポーン、ピーン

    律「それじゃ、行ってきま――――」ヒュッ

    澪「律ぅ!」

    唯「もぉ、大げさだなぁ。そいじゃ、次私だねー」

    ポーン、ポーン、ピーン

    唯「ターイムスリッ――――」ヒュッ

    澪「ゆ、唯も消えた……よ、よし!」

    梓「気をつけてきてくださいね? 向こうについたら電話、忘れないでください」

    澪「う、うん!」

    ポーン、ポーン、ピーン

    澪「あわわわわ――――」ヒュッ

    梓「大丈夫かなぁ……」


    67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 01:15:52.26
    2010年5月9日 女子トイレ

    澪「―――……んん!」

    澪「あ、あれ?」

    唯・律「……せーのっ」

    唯・律「ようこそ! 一日後へー!」

    澪「うわわぁっ!?」

    唯・律「あははははっ」

    澪「お、驚かせるなバカっ!」

    唯「えへへー。あ、そうだ電話、電話……」

    Prrr…

    紬『もしもし、唯ちゃん? こちら2010年5月8日です』

    唯「繋がったよ!」

    律「やっぱほんとに繋がるのかぁ……」


    68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 01:19:58.85
    澪「もしもし、ムギ? 唯と変わった。こっちは無事に9日に来れたみたい」

    紬『そう、よかった。それにしても本当に未来にも行けちゃうのね。とりあえず梓ちゃんと変わるね』

    梓『先輩方! 無事ですか!』

    律「無事、無事ぃ~。ぴんぴんしてるぜー!」

    梓『よかった……それじゃあ、さっき言ったことを忘れずに行動してくださいね』

    律「何だったっけ?」

    澪「おいっ」

    梓『もし、もう一人の私たちを見つけても絶対に接触しない! 変な事はしない!』

    梓『……大丈夫かな』

    唯「大丈夫! 心配ご無用だよ、あずにゃん!」

    梓『……心配で仕方がないですよ。それでは』

    プツッ


    69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 01:25:17.46
    律「さて」

    澪「最初は何するんだ?」

    唯・律「9日の私たちを探す!」

    澪「おい!?」

    律「だって過去の私たちは普通にいたろ? だったら未来の私たちはどうなのかなって」

    澪「……つまり、この時間でも私たちが本当に二人存在することになるか確かめにいくと?」

    唯・律「いえーす」

    澪「そうだな、いいかも。でも見つけても約束通り下手に接触しないで遠目から見るだけだからな? 話しかけに行ったりするなよ?」

    唯「そんなヘマしないってー」

    律「おう」

    澪「……じゃあ部室を覗きに行こう。今の時間いるとしたらそこしかないはずだ」

    唯・律「りょうかーい!」


    70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 01:28:33.27
    軽音部室前

    「でもどうするの?」

    「そうだなぁ」

    「やっぱり……とか?」

    「いやいやいや」

    コソコソ…

    律「ふつうにみんないるな……お茶してる」

    澪「タイムマシンのことについてでも話してるのかな……」

    唯「私たちっていつもあんなことしてたんだねー、練習全然してないねぇ」

    律・澪「うっ……」

    澪「それはそうと、見つかったら大変だ。もう行こうよ」

    律「もうちょっと! もうちょっとだけ!」

    唯「見てみて~! あずにゃんのほっぺにシール貼ってあるよ~」

    澪「いいからいくぞっ!」


    71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 01:33:31.16
    ・・・

    律「で? 次はどうすんの」

    唯「特にないね」

    澪(なにも考えてなかった……)

    唯「あ、そういえば今日雑誌の発売日だったよー!」

    律「いつも立ち読みしてるやつの?」

    唯「うん! ねぇねぇ、何もないならそれ読みにいきたいなっ」

    律「そうだなぁ……澪もそれでいいか?」

    澪(どうしよう?)

    >>74
    いいんじゃない? ダメに決まってるだろ!

    76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 01:44:13.75
    あら、じゃあダメな方で

    澪「ダーメ」

    唯「えー!」

    律「澪はケチだなぁ」

    唯「ねー」

    澪「ケチで結構。それに変なことして大変なことになったらどうするんだ?」

    律・唯「ん~」

    澪「というわけで、学校のどこかで大人しく時間が経つのを待つぞ」

    律・唯「ぶー!」

    澪「いいなっ」

    律・唯「はーい……」


    77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 01:49:05.66
    2010年5月8日 軽音部室

    シュッ

    唯「ただいまー」

    紬・梓「!?」

    梓「い、いきなり帰ってこないでくださいよ!」

    律「ふひー」シュッ

    澪「……」シュッ

    唯「いやぁ、驚かそうかなって思ってねぇ」

    梓「……」

    澪「い、いや! 私は止めたんだぞ!?」

    紬「まぁ、何事もなくてよかったわ」

    律「変なことは何一つしてきてないからな!」

    梓「偉そうに言わないでくださいよっ」


    78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 01:53:55.22
    2010年5月22日

    律「じゃあまた明日なー!」

    唯「ほーい。んじゃ、あずにゃん。帰ろう?」

    梓「はい」

    唯「いやぁーにしても今日も平和だったねぇ」

    梓「まぁ、いつも通りですよね。それにしてもタイムマシンは結局使い道が見つかりませんでしたね」

    唯「なんだかんだでそうなっちゃったねぇ。でもま、これでよかったんじゃない?」

    梓「そうですかぁ……?」

    …ブゥゥーン

    唯「じゃ、私こっちだから! ばいばーい!」タタタ…

    梓「あ、はい。お疲れ様でし――――」

    ドンッ

    グチャ

    79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 01:59:04.80
    梓「……え」

    梓「……」

    「きゃあぁー!!」「誰か轢かれたぞっ」

    梓「え……え……?」

    梓「ゆい、せんぱ――」

    ヨロヨロヨロ…ペタン

    梓「……ゆいせんぱい?」

    唯「    」

    梓「ね、ねぇ? ゆいせんぱい……ゆいせんぱいってば……」ユサユサ

    唯「    」

    梓「あ……あ…………」




    梓「いやぁああああああああぁあぁああああああぁああああああぁぁあああああああああ!!!!?」

    BADEND4


    83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 02:08:12.05
    BADENDでした、いきなりごめんね
    とりあえずどこかの分岐へとばそうかと思いますけど
    どこからがいい?

    >>84
    律のやつ。梓のやつ。澪のやつ。

    86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 02:13:46.67
    梓(私は……どうしよう?)

    梓(やっぱりあんなもの使わない方がいいに決まってる。何が起きるかわかったもんじゃないし)

    唯「それじゃあみんな書けたねー? いっせーので見せるよ。せー……のっ!」サッ

    澪「唯が使う、ムギが使わない、律が使う、梓が使わない、私が使わない……ということで」

    梓「あのギターはまた物置行きですね」

    唯・律「え~……ぶー! ぶー!」

    澪「恨みっこなしで文句なしって言ったやつはどこのどいつだ!」

    唯「ちぇー」

    紬「それじゃあ、さっそくしまってきましょうか」

    律「隠れてこっそり使っちゃおうか、唯」

    唯「いいねー!」

    澪「おい!!」


    87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 02:16:37.01
    紬「ってことで、使わない組がこれをどこかに隠してきまーす」

    律「ずるいぞー!」

    唯「そうだそうだー!」

    澪「さっきバカなこと言ったのが悪いんだろ。反省してここで大人しく待ってなさい」

    唯・律「きぃー!」

    澪「お・と・な・し・く。わかりましたか?」

    唯・律「……いえす」

    梓「それじゃあ行きましょうか」

    紬「どこがいいかしら」

    澪「そうだなぁ……」

    >>89
    校舎内のどこかへ隠そうよ。
    いやいや、ここは校舎外のどこかへ隠すべきだ。


    91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 02:22:17.62
    澪「てことで外まで来ちゃったけど」

    梓「私的には先生(さわ子)へ預けるのがベストかと思っていたんですけど」

    紬「まぁまぁ、もしものことを考えてのことよ」

    紬「このへんでいいかしら」

    ザック、ザック、ザック…

    梓「本当に埋めちゃうんですか?」

    澪「他に隠しようもないしな」

    サッ、サッ…

    紬「これでよしっ、と」

    澪「うん、上出来。それから……」

    澪「ここに埋めたってことは私たち自身も忘れなきゃな」


    92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 02:27:02.14
    澪「せっかく隠したのに覚えていちゃ元もこうもない」

    梓「だから預けようって……」

    紬「私たち3人だけの秘密ね! こういうのってドキドキしちゃう!」

    梓「む、ムギ先輩っ」

    紬「大丈夫。ちゃんと忘れるから」

    梓「ならいいんですけど……」

    澪「とにかく、これは絶対に使わないようにしなきゃ」

    澪「よし、それじゃあ部室にもどろっか」

    紬・梓「うん(はい)」


    93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 02:33:52.35
    ・・・

    律「おかえりー。どこに隠したー?」

    澪「言うわけないだろっ」

    紬「唯ちゃんとりっちゃんには内緒~」

    唯「ムギちゃんのいじわるぅ」

    紬「ごめんなさいねー」

    梓「ていうかもう遅くなっちゃいましたね……外真っ暗です」

    律「それじゃ、今日はもう帰ろうぜ」

    澪「練習……とか言ってる場合じゃない一日だったな」

    梓「あはは、本当ですよ」

    94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 02:38:33.45
    タイムマシンを見つけてからひと月が経ちました。
    唯ちゃんとりっちゃんはもちろん。隠した組の私たちですらアレについては忘れ始めている頃でした。
    ……いいえ、私は片時もアレのことを忘れることはなかった。
    いつも頭の端っこにはアレのことがあり、暇さえあれば考えていたの。

    紬「……」

    私の好奇心は薄らぐことを知らなかった。
    アレはどういった原理で動くのか。
    なぜギターの形状なのか。
    本当に過去へいけているのか。もしかすれば未来へもいけるんじゃないか。
    そもそも……なぜ軽音部の物置に存在していたのか。

    紬「よし」

    走り出した好奇心は止まりませんでした。


    96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 02:43:10.02
    2010年6月12日 職員室

    紬「失礼します。さわ子先生はいらっしゃいますか」

    さわ子「あら、琴吹さん? どうしたの、何か用?」

    紬「はい」

    さわ子「進路について?」

    紬「ええ、まぁ。ですけど少し場所を移してお話ししたいんです」

    さわ子「内緒のお話?」

    紬「だめですか?」

    さわ子「ううん、大丈夫。それじゃあ、行きましょうか」

    紬「ありがとうございます」

    99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 02:48:44.18
    さわ子「随分人気がないところまで来ちゃったけど……はっ、まさか……ムギちゃん?」

    紬(こんな離れまで来る必要はなかったかな)

    さわ子「だ、だめよ! 教師と生徒が……しかも同姓なのにっ」

    紬「え?」

    さわ子「え? あ、違うの?」

    紬「えっと、なにが……」

    さわ子「な、なんでもないのよっ!」

    紬「はぁ……それじゃあ、お話ししますね」


    102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 02:51:46.90
    私は5月7日に物置の掃除をしてアレを見つけたこと。
    みんなで興味半分ふざけ半分で使ってしまったことを全て話した。
    するとさわ子先生は、

    さわ子「そう、そうなの……」

    紬「アレは軽音部のOGの人たちの物なんですか。それとも」

    さわ子「……アレは私の物よ。一応」

    紬「一応?」

    さわ子「貰ったのよ」

    紬「誰から」

    さわ子「さぁ、誰なのかしらね」

    イジワルそうに私に笑って見せたさわ子先生。
    そんなことお構いなしにと私は疑問次々とをぶつけていく。


    104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 02:56:20.28
    紬「アレで過去にいけるということは?」

    さわ子「知ってるわ。もちろん」

    紬「……」

    そんな物をあんなところへ放置していた。
    この人は何を考えてそんな事をしたのだろう。

    さわ子「さて」

    紬「?」

    さわ子「アレはまだ物置にしまってあるの? また使ったりした?」

    紬「いいえ、適当なところに埋めて隠してきちゃいました。ごめんなさい、断りもなくそんなことして」

    さわ子「……ううん、いいのよ。そう、隠しちゃったの」

    さわ子「それで良かったのかもしれない。よければ埋めた場所を教えてくれない? 確認しに行きたいし」

    紬「はい――」

    さわ子先生へ私たちが隠した秘密の場所を伝える。
    結局、アレがいったい何なのかを先生は詳しく教えてくれなかった。
    私にこれ以上知ってもらいたくないのかもしれない。
    ということは、私が自分でアレを調べるしか知る術はないということ。

    好奇心が止まらない。


    106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 03:00:14.19
    ・・・

    紬「たしか……」

    当てずっぽうにスコップで土を掘り返す。
    正確に埋めた場所を覚えていなかったからこうするしかない。

    紬「あった!」

    カツン、とスコップの先が当たる音。
    見つけた。この箱だ。
    乱暴に箱のふたを開けて中身を確認する。
    アレは変わりなく、そこに入っていた。
    まわりに誰もいないことを確認して持参してきたギターケースにアレを移す。
    箱をもとの場所へ埋め返し、逃げるように私はこの場を後にした。

    紬(みんな、ごめんね)


    107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 03:04:19.51
    家に帰ると執事の斎藤がいつものように私を迎え、夕食ができていると言う。
    「今日はお腹が減っていない」と食事を断り、すぐに自室へ籠った。
    背負ったギターケースを机に置き、中身をもう一度確認する。

    紬「よかった……」

    持ってきているあいだにも、これがどこかへ消えてしまうのではないかと気が気ではなかった。
    どうしてここまで私は固執してしまっているんだろう。
    答えは一つ、このタイムマシンが私の好奇心をくすぐる。
    これは何なのだろうという純粋な思いが私を突き動かす。

    紬「よ、よぉし……」

    ドアがノックされたことに気がつくことなく、私はタイムマシンを解体し始めた。


    108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 03:08:18.53
    解体作業を始めてから数時間が経つ。
    作業をしているあいだ、時間が淡々と過ぎていくことなんてまるで気にならなかった。

    紬「……」

    私はこういった物に関しては全くと言っていいほど知識がない。
    タイムマシンの中身はいたって普通のギターと変わりがない……なんてことはなかった。
    複雑な構造に見たこともない機械。

    紬「なんだろう、これ」

    ボディの内側に2020/12/4 T.K.と彫られていることに気づく。


    113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 03:13:01.95
    2010年6月14日

    部屋に籠り続けて2日経った。
    学校には風邪を引いたと、斎藤に休みをとらせ、私はタイムマシンの構造を調べ続けた。
    唯ちゃんたちが私を心配してお見舞いに来てくれても「風邪がうつってしまうから」と追い返させた。
    タイムマシンを使ってないにしろ、みんなに内緒でこんなことをしているのだから会わせる顔がないのだもの。

    斎藤「お嬢様。これ以上は専門家が必要では」

    斎藤にはとうに私が部屋に籠って何をしているのかバレていた。
    ううん、バレた。
    それからはこの作業に斎藤を加え、私と二人でひたすらこれの解明を試みた。

    紬「……そう思う?」

    斎藤「はい」

    紬「なら斎藤。頼めるかしら」

    斎藤「はい」


    114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 03:17:07.15
    紬「ごめんなさい、斎藤。妙な事に付き合わせてしまって」

    斎藤「今さら何をおっしゃいますか。この斎藤、お嬢様が望むのなら……」

    紬「優しいのね」

    斎藤「むしろ、甘いのかもしれません」

    紬「そうね……ありがとう、斎藤」

    次の日、斎藤が数人の研究者(学者)たちを連れてきた。
    研究者たちにアレを見せると興味深そうに中身を見て、話合っている。
    「場所を変えた方がいい」一人が私に向かってそう提案する。
    たしかに。この部屋でできることは既にないに等しい。
    私たちはとある大学の研究室を借り、そこで解析を進めることにした。


    115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 03:21:01.53
    2010年7月1日

    斎藤「紬お嬢様。もう7月になります。そろそろ学校の方へ行かれては」

    紬「……せっかく面白くなってきたところなのよ。そんなところへ行っている場合じゃない」

    あれから彼らの協力もあって随分と解析が進んだ。
    私もタイムマシンの正体に近づくにつれ、以前より熱中して研究に取り組むようになった。
    当然のごとく、学校には顔を出さずに。

    斎藤「ですが、ご友人も心配していられますよ」

    紬「……」

    唯ちゃんたちは毎日のように私の家に訪れてきてくれているらしい。
    友達そっちのけで研究ばかりの私を心配してくれている……。
    なんていい友人たちを持ったのかしら、私は。
    みんな、何してるのかな。

    斎藤「それに学業も大切です。将来のことを考えたとしても」

    紬「……そうね。わかった」

    久しぶりにみんなの顔が見たい。
    部室でティータイムを楽しみたい。


    117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 03:25:45.01
    2010年7月2日 軽音部室

    唯「でもよかったよぉ、久しぶりにムギちゃんの顔が見られて」

    澪「ほんと。病気はもう大丈夫か?」

    紬「ええ。おかげさまで」

    律「ムギがいないからティータイムもずぅっとお預け状態だったんだぜー」

    梓「律先輩、けっこう楽しみにしてましたもんね」

    唯「私もだよ!」

    梓「そうですね」

    みんな何も聞かずにこんな私を明るく迎えてくれた。
    変わらない。とってもいい子たち。
    私は人数分のカップにお茶を淹れ、お菓子を運ぶ。
    1ヶ月ぶりとはいえ、随分長いことこんなことをしてなかったんだなとあらためて感じた。
    席に着くと、みんなは私がいない間に起きた出来事を楽しげに話してくれた。

    紬「あらあら、うふふ」


    119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 03:28:07.52
    ふいに唯ちゃんが立ちあがり、私に抱きつく。
    とても柔らかくて、暖かくて、優しくて……黙ってじっと唯ちゃんを感じた。

    唯「ムギちゃん、痩せたね……」

    紬「そう?」

    律「病気だったんだもんな。大丈夫か?」

    澪「私のお菓子、あげるよ」

    梓「私も」

    紬「え」

    律「じゃあ私もだ」

    唯「私の分もどうぞ! はい!」

    私の目の前におかれるチョコレート味のパウンドケーキ。

    紬「みんな……」


    120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 03:31:01.44
    紬「こんなに食べたら、太っちゃう。ふふっ」

    律「澪ぐらい肉つけなきゃ!」

    澪「おい!?」

    澪「……ぷっ」

    唯「えへへっ」

    梓「くすっ」

    室内に明るい笑い声が響きわたる。
    ああ、こんなにもここは暖かったんだ。居心地が良かったんだ。
    ごめんなさいみんな。私にはあんな物よりも優先することがあったのね。

    紬「大好き……みんな大好き」

    唯「私もだよ! ううん、私たちもだよ。ムギちゃん!」


    121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 03:35:07.45
    2010年9月6日

    あれからまた学校に今までどおり通いつめていた。
    研究には以前よりは熱を注ぐことはなくても毎回立ちあってはいたし、解明しようと頑張った。
    でもそんな時にある事件が起きてしまった。
    タイムマシンが研究者たちもろとも消えてしまった。
    ううん、盗まれた。持ち逃げされてしまった。

    斎藤「申し訳ございません。こんな事態に陥ってしまうとは……この斎藤、一生の不覚です……っ」

    紬「……」

    許す、と言うことができなかった。
    別に斎藤が悪いわけじゃない。
    ショックだったの。これでも彼らを信頼していたから。

    紬「今までのデータも……持っていかれちゃったのね」

    斎藤「……申し訳ございません」

    紬「あと少しだったのにね……残念よ……」

    斎藤「……もうしわけ――」

    紬「もういいっ!!」


    126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 04:00:19.60
    紬「もういい! 謝らなくていい!」

    斎藤「お嬢様……」

    紬「斎藤、二度と私の前に現れないで! 出ていって! ここから!」

    斎藤「……」

    斎藤「かしこまりました」

    次の日、斎藤は執事をやめてウチを出ていった。
    お父様からは何度も引きとめられていたけど、決心は変わらないと。
    本当のことを言えば斎藤にはここを出ていってほしくなかった。
    傍にいて欲しかった。
    じゃあなんであんなバカなことを言ってしまったのかしら。


    127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 04:05:07.33
    斎藤は私のことがなんでもわかってる。
    幼少のころからずっと私の傍にいてくれた。
    良き理解者でもあって、いつも家にいない父の代わりでもあった。

    私にとって斎藤はお父さん。

    だから、出ていってって言ったことが本心じゃないと見抜いてくれて、嫌だと言ってくれると思っていた。
    無茶よね……そんなの。
    斎藤を探して謝ろう。
    そして戻って来てもらおう。

    紬「お父様、お願いがあるの……――」


    130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 04:10:14.10
    お父様に斎藤の捜索を頼んだ。
    嫌な顔することなく、私の頼みを引きうけてくれた。
    すぐにも斎藤の捜索が始まった。
    数日経って、お父様が私の部屋へ訪れ、斎藤が見つかったと報告してくてた。
    斎藤はアパートの一室を借り、一人で住んでいたみたい。
    お父様からそう教えられ、すぐにもアパートへ行こうとするが止められた。
    そして悲しげな顔で私にこう告げた。

    「斎藤は自殺していた」

    紬「え」

    紬「なんて……?」

    「……死んでいたんだよ、紬。本当に……残念だっ」

    紬「あああ……あああ……あああああ―――――」


    133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 04:15:06.07
    2010年10月23日

    私はあれから自分を責め続けた。

    自室に籠り続けてどれくらい経ったのだろう。
    もう声の出し方がよくわからないぐらいなんだ、1年も過ぎたかなぁ。

    紬(斎藤……)

    頭の中はいつも斎藤のことばかり。
    あの時、斎藤にあんなことを言わなければ……。
    すぐに追いかけてごめんなさいと言っていれば……。

    紬「……!!」

    紬(そうよ……戻ればいいんだわ。あの時に……!)

    過去へ戻る。
    普通はそんな発想思いつかない。
    でも私は違う。
    過去へ戻ることができるそれを知っている。


    134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 04:20:06.65
    紬(でもアレはあいつらが……)

    そうだ、盗まれたんだ。
    アレはもう私の手元にない。

    紬(……だめよ! 無理だ……)

    紬「……」

    紬(ううん、無理なんかじゃない……)

    紬(私がっ、作ればいいのよ……っ)

    データは盗まれてわからず仕舞いだけど、直接手にとって何度も何度もアレを見てきた。
    少しなら中身のことは覚えているし、機械のことだって。
    やれる……私にはできる。作れる!

    紬(待ってて、斎藤!)


    135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 04:25:06.24
    必要なものは家の使用人たちに集めて持ってこさせた。
    何を使って作ればいいかはわからない。
    それでも私は諦めずに作り続けた。
    学校へはもうしばらく行っていない。
    行く暇があればタイムマシンを作っている。
    そんな私を心配してお父様は何度も私に悩み打ち明けて欲しいと懇願してきた。
    そんなお父様を尻目に、タイムマシンを作り続けた。
    いつかはお父様も私を心配することを止めてしまった。

    ……当然よね。でもね、お父様。

    斎藤なら絶対に諦めずに私を心配し続けてくれるのよ。

    斎藤なら。


    137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 04:30:06.68
    「なに、家を出る?」

    しばらくして私は家を出たいとお父様へ伝えた。
    部屋に引きこもってあやしげな物を作り続けている娘がいるだなんてお父様に迷惑がかかるだろうと思って。
    これ以上この家に迷惑をかけるわけにはいかない。

    「勝手にしろ」

    呆れるようにそう言って許してくれたお父様。
    生きる為に必要な分のお金をいただき、私は家を出た。
    学校ももう止めた。

    もう私を縛るものは何もない。

    タイムマシンを作り続けるだけ。


    139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 04:35:04.80
    2020年12月4日

    アパートの一室。私は歓喜の声をあげた。

    紬「でき、た……!」

    今、私の目の前にあるのはギター型のタイムマシン。
    10年前に私が見たアレと見た目もほぼ同じだ。

    あれからとても長い時間が経った。
    この時を、この瞬間を夢見て一心不乱に私はタイムマシンを作り続けてきた。
    最近では食事や睡眠よりも優先させ、自分の体に鞭打って無理矢理と言っていいほど。

    紬「ちょうど今の時間から飛べば……」

    タイムマシンを手に取り、一本一本の弦を慎重に鳴らしていく。

    紬(2010年9月7日……斎藤がウチを出ていった日)

    ポーン、ポーン、ピーン…

    紬(待っていて、斎藤。あなたを行かせはしないから……)


    140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 04:40:02.76
    2010年9月7日

    紬「……!」

    さっきまで手に持っていたタイムマシンが消えていた。

    今の自分の部屋からタイムスリップしたからどうなることかと思っていたけれど、
    幸いこの時この部屋を借りていた人はいなかったらしい。
    部屋を後にして、すぐにもとの私の家へ急ぐ。

    紬「斎藤……斎藤っ!」


    141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 04:45:01.89
    「本当に出ていってしまうのかね?」

    斎藤「ええ」

    「気持ちは……変わらないか。きっと紬が悲しむ」

    斎藤「そうでしょうか」

    「ああ、あの子は君を大変気に入っている。誰よりもね」

    斎藤「ははは……では、悲しむ紬お嬢様の顔を見る前に斎藤はここを去らせていただきます」

    「寂しくなるな……元気でな、斎藤」

    斎藤「……では」

    斎藤(さて、私に残されたものはもう何もない……)

    斎藤「長くも短い人生だったか……ふふふ」

    「――さ……さいとう……斎藤!」

    斎藤「うん?」


    144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 05:00:04.44
    紬「ああ、斎藤……」

    斎藤が目の前にいる。
    あのときのままだ。
    私はつたない足取りで斎藤へ近づく。

    紬「ずっと、ずっと……会いたかった」

    斎藤の頬に触れる。
    ずっと触れたかった……斎藤に。

    紬「斎藤……」

    斎藤「……失礼ですが、どなたですかな?」

    紬「え……」


    147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 05:05:06.31
    斎藤「生憎ですが、私はあなたに見覚えがないのです。申し訳ない」

    足が震える。
    喜びが絶望へ変わった。
    そうだ、あれから10年の歳月が流れたんだ。
    少なからず私の見た目も変わる。
    それに加えてここ何年か煙草に依存してたこともあって、声が少ししゃがれてしまった。
    私は斎藤の知る私ではなくなっていたんだ。

    紬「あ……あ……」

    斎藤「……失礼」

    斎藤が行ってしまう。
    待って、あなたにまだ言っていないことがあるの。
    待って、斎藤。

    紬「待って!!」

    斎藤「……」

    紬「私は……私はここよ。斎藤……お願い、気づいて……」


    149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 05:10:05.61
    斎藤「……まさか」

    斎藤「紬、お嬢様……?」

    紬「あ……あは。やっと気づいてくれた……」

    斎藤「そんな……そんなバカな」

    目を丸くして私を見つめる斎藤。
    そんな姿に私は気を魅かれ、斎藤の胸へ飛び込んだ。

    斎藤「お、おお……」

    紬「……会いたかった」

    何も言わずに私を抱きしめてくれた。
    そしてしわしわのあたたかい手で頭を優しく撫でてくれた。


    150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 05:15:06.39
    斎藤「お嬢様、お美しくなられたようで」

    紬「そう、かな」

    斎藤「ええ、ええ。斎藤はとても嬉しゅうございますよ」

    紬「……」

    紬「あのね、斎藤」

    斎藤「はい」

    紬「私、斎藤に謝らなければならないことがあるの」

    紬「ごめんね。あの時は出てけなんて酷いこと言ってしまって……」

    斎藤「……」

    紬「本心じゃなかったのよ……本当はそんなつもりなかったし、斎藤にはずっといてほしかった」

    斎藤「……」


    151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 05:21:07.66
    紬「だから、まだ間に合う……斎藤、もう一度私の傍にいてあげて」

    紬「執事をやめないで……」

    斎藤「……」

    紬「ごめんなさい。いつもワガママ言って困らせちゃって」

    斎藤「私は」

    紬「え?」

    斎藤「紬お嬢様には甘いですから。お嬢様の言うことなら何でも聞いてしまうのです」

    紬「斎藤……」

    斎藤「ですから、お嬢様がそう言うのでしたら……斎藤はまたお嬢様の執事へと戻らせていただきます。よろしいですか?」

    紬「だめなんて……言うはずないじゃない……」


    152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 05:26:09.81
    斎藤の胸の中はとても暖かかった。
    そういえば斎藤に抱きしめてもらうなんて初めてだったかもしれない。

    紬「ねぇ、斎藤」

    斎藤「はい」

    紬「私ね、斎藤のこと……本当のお父さんのように慕ってたの」

    斎藤「それはまた……お父様にこんなところを聞かれてしまっては」

    紬「私には二人の父がいるのね……とっても贅沢よ」

    斎藤「ふふふ」

    紬「ねぇ、斎藤……」

    斎藤「はい」

    紬「お父さん……って呼んでいいかな」

    斎藤「……はい」


    154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 05:31:04.50
    斎藤――お父さんはもう一度私の頭を撫でる。
    まるで父親が娘にそうするように。

    紬「大好きよ、お父さん……」

    斎藤「ええ、ええ。知っていましたよ」

    紬「もう、お父さんのいじわるっ……ふふ」

    斎藤「はははは」

    紬「……それじゃあ、私」

    斎藤「ん?」

    紬「もう行くわね……――――」

    ゆっくりとお父さんの手の中から逃れ、私は後ろを振り返ることなくそこから去った。
    後ろからお父さんが呼ぶ声が聞こえても、振り返らない。

    さようなら、お父さん――ううん、斎藤。


    157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 05:36:15.97
    私にもといた時間へ戻る手段はない。

    あのタイムマシンはこの時にはもう私のもとになかったのだから。
    持ち逃げした研究者たちの行方がわかれば帰ることも叶うかもしれないけど、それはまず無理だと考えられる。

    このままひっそりとこの時間の中を過ごしていくことは私にはできない。
    斎藤へ会って謝るという目的を果たした今、私にするべきことはもう何も残されていないのだから。

    流れた時間は戻ってこない。
    全てを犠牲にして目的を果たしたことに悔いはない。

    紬「……さようなら」

    足元の台を蹴り、私は天井からのばされた縄に吊るされた。


    BADEND3


    164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 05:43:32.93
    >>158
    BADENDですぜ

    >>159
    イニシャル

    もう限界だ・・・寝る・・・
    起きたら続きはきっちり書く・・・
    とりあえず次の分岐の安価出しておきます。ごめんね

    >>165
    律のやつ、どこに隠すか、澪のやつ

    181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 11:52:20.43
    澪「そうだなぁ……」

    澪「校舎内に隠すか」

    梓「でもどこに?」

    澪「……ムギ」

    紬「そうねぇ」

    紬「ここは裏をかいてもとの場所に隠すってのはどう?」

    梓「物置にですか」

    紬「うん」

    澪「そうだな。でもまだ部室にはあの二人がいるから……」

    梓「それなら帰る時にでも私がちょっくら隠してきますよ」

    澪「そう? それじゃあ梓、任せた」

    梓「任せてください」


    182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 11:57:06.65
    ・・・

    律「おかえりー。どこに隠したー?」

    澪「言うわけないだろっ」

    紬「唯ちゃんとりっちゃんには内緒~」

    唯「ムギちゃんのいじわるぅ」

    紬「ごめんなさいねー」

    律「さて、三人とも戻ってきたし、そろそろ帰るかぁ」

    唯「うわっ、もう外真っ暗なんだねー」

    澪(それじゃあ、梓)ヒソヒソ

    梓(はいっ)ヒソヒソ


    183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 12:00:17.41
    律「ふいー、なんか冷えるなぁ」

    唯「5月なのにねー」

    梓「あ! すみません、私部室に忘れ物してきちゃったみたいです」

    紬「本当? それじゃあすぐに取りに行かないと」

    唯「私も付き合うよ、あずにゃん」

    梓「あ、いえ。すぐに取ってきますので! 一人で大丈夫ですよ」

    唯「そう?」

    梓「それじゃあちょっと行ってきまーす」

    律「さっさと戻ってこいよー」


    185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 12:09:14.33
    軽音部室(物置)

    ガサゴソ、ガサゴソ

    梓「奥に、押し込んで……っと」

    梓「これじゃあ見えちゃうかな。だったらこれで隠して……」

    梓「よし! こんなもんかな」

    ・・・

    梓「お待たせしました!」

    律「おそーい!」

    紬「まぁまぁ、それじゃあ帰りましょう?」

    唯「お腹ペコペコだよ~」

    澪(梓、うまくやってくれたか?)ヒソヒソ

    梓(ええ。バッチリです!)ヒソヒソ


    187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 12:14:03.32
    2010年5月14日

    純「いよいよ中間テストかぁ」

    憂「そうだね。勉強した?」

    純「私が? まさかぁ」

    純「……まぁ、一応したけど自信ない」

    憂「あはは……」

    憂「梓ちゃんは?」

    梓「……純と同じく」

    純「梓が? 珍しいじゃない」

    梓「好きなライブのDVD見てたら勉強厳かになっちゃって」

    純「なんで期間中にそんなものを……」

    梓「ど、どうしても見たかったんだもん!」

    憂「あ、先生来るよ。席につかなきゃ」


    188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 12:19:03.83
    私はよく背伸びしたがる性格だとまわりから言われる。

    それについては自分でも少しは自覚してるつもり。
    でも、今さらこの性格が直るとは思ってはいない。
    負けず嫌いでプライドが高い。
    子供っぽいんだなぁ、私は。
    だから――

    純「やった! やったぁー!」

    憂「おめでとう! 純ちゃん!」

    梓「うそぉ……」


    190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 12:24:06.95
    2010年5月19日

    先週行った中間テストの成績が配られた。
    答案用紙に書かれた数字に私は愕然。

    梓(酷過ぎる……それに赤点が3つも……)

    憂「梓ちゃんどうだった?」

    梓「ひっ……ま、まぁまぁの結果かな……」

    憂「そっかー。それより純ちゃんすごいね~」

    憂「勉強してないだなんて言っておいて、ほとんどが高い点数だったんだよ」

    梓「そそそ、そうなんだぁー……へー……」

    純「私、天才少女? あはははは」

    梓(っぐ……!)


    193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 12:29:08.87
    梓(どうしよう……最悪だよっ)

    梓「……そうだ」

    純「え? どうした、梓?」

    憂「?」

    梓「ちょっとトイレ行ってくる!」

    憂・純「いってらっしゃーい」


    194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 12:32:11.19
    軽音部室

    梓「たしかここに……あった。隠したときのままだ!」

    私は返された中間テストの答案用紙たちをポケットに突っ込み、
    物置から取り出してきたギターもといタイムマシンを担ぐ。

    梓(答案用紙には正しい答えも書き写した。これを過去の私に渡せば……)

    正直せこいとかずるいとか、そんなことは一度もこの時思わなかった。
    けれども、寸でのところで私のプライドが働いた。

    梓「ほんとに……こんなことしていいのかな」

    梓「それにこれは先輩たちとも使わないって決めたんだよ?」

    梓「なのに……」


    196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 12:37:25.41
    でも赤点はいや! あんな点数は認めたくない!

    梓「つ、次のテストで頑張ればいいじゃない……」

    梓「……」

    無意識に私はギターの弦を弾いていった。
    無意識に、無意識になんだ。
    これは私の本心とは関係ないの。

    梓「ちょっとぐらい……いいよね――――」


    198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 12:42:06.30
    2010年5月12日

    梓「――……ん。ちゃんと来れたかな」

    部室を出た私はてきとうな教室に入り、日めくりカレンダー見る。
    2010年5月12日……成功だ。
    日付を確認したあと、すぐに下駄箱へ行き、私の靴の中へ答案用紙を押し込む。

    梓「さすがに直接手渡すわけにもいかないしね」

    梓「……そうだ、一応メモを残しておこう。こんな物はいってたら不審に思うだろうし」

    ―私は未来の中野梓です。タイムマシンのことを知っているあなたならわかりますよね?
     この答案は明後日から始まる中間テストのものです。見ての通り点数は最悪。
     あなたもこのままではこんな悲惨な点数を取ってしまうでしょう。
     そこで未来からの助け船です。答案には正しい答えを書き写しておきました。
     さすがにこれでテスト中にカンニングすることは勧めませんが、
     今日と明日にこの答えを丸暗記してしまえばテストはバッチリなはずです。
                         
                          以上。未来の私から、12日の私へ―

    梓「……と、こんなもんでいいかな」


    199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 12:47:06.99
    2010年5月19日

    梓「ただいま」

    純「おかえりー」

    憂「遅かったね、何かあったの?」

    梓「えへへ、ちょっとねー」

    純「にしてもやっぱり梓はすごいよねー」

    梓「え?」

    憂「ほんとだよー。全教科高得点で学年1位になっちゃうんだもん」

    梓「!」


    202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 13:00:08.06
    梓「本当!?」

    憂・純「?」

    純「本当って、あんたが一番わかってることじゃない」

    憂「机の中にさっき返された答案、入ってるんじゃない?」

    梓「あ、うん……ほ、本当だ!! すごい!!」

    やった、やったんだ。

    上手く過去を変えることができた。
    12日の私はしっかり私が残した答案に気づいてくれたんだ。

    梓(グッジョブ! 過去の私!)


    206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 13:05:17.71
    自宅

    梓「あれ、これ……」

    部屋に帰るとゴミ箱の周辺に千切られた紙片の一枚が落ちていた。
    中野と書かれてある。

    梓「これ、テストの答案用紙じゃない」

    気になってゴミ箱の中身を覗くと、バラバラに千切られた答案用紙が入っていた。
    それらをゴミ箱から回収して、並べてみると。

    梓「やっぱり……私が12日の私に渡した答案用紙だよ、これ」

    これのおかげで私は学年1位になれたはず。
    なのにどうしてこんな。

    梓「こんな点数をとった私が許せなかったから……とか?」

    まぁ、とにかく。
    無事になんとかすることができて本当によかった。


    207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 13:10:03.72
    この出来事を境に私は調子に乗った。

    週に何回かある小テストでも前日へタイムスリップして答えを下駄箱の中へ入れてきた。
    結果は満点。先生からも、まわりからもすごいと褒められた。

    テスト以外じゃなくても小さな失敗を起こしたときだってタイムスリップしてアドバイスを書いたメモを下駄箱に入れてきた。
    結果は……失敗は回避されなかった。そのままの結果が現在に残っていた。
    テスト以外のメモには興味がなくて目を通してくれなかったのかな。
    それから、渡した答案とメモは全部、いつも私の部屋のゴミ箱に千切って捨てられていた。

    梓「明日か、期末テスト!」

    7月22日、今度は期末テストだ。
    今日も前日も勉強はてきとうに軽くすませただけでほぼ手をつけてない。

    梓「待っててね。また答案を持ってくからね、私」


    210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 13:15:04.67
    2010年7月20日

    梓「さて、と」

    さっき返された期末テスト、結果は酷いものだった。
    すぐに正しい答えを書き写すと、私は期末テスト実施日の2日前にやってきた。
    答案とメモを握りしめて下駄箱へ急ぐ。

    梓「これで今回も学年1位だよ。やったね」

    靴の中へそれを入れようと手を伸ばすと……。

    梓「……なにこれ」

    靴の中に手紙が入れてあった。
    まるで誰かがこの靴を取ることを予測していたかのように。
    可愛らしい封筒の中から手紙を取り出して広げると、こう書かれてあった。

    梓「未来の私へ……」


    211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 13:20:04.13
    梓「……」

    ―初めまして、未来の私。たぶん今日にでもまたテストの答案を置きに来るだろうと思ってこの手紙を書きました。
     どうしてかというと、もう私に干渉してもらいたくないからです。
     あなたのしていることはとても卑怯で最低です。
     これが未来の私なのかと思うと呆れて物も言えませんし、腹が立ちました。―

    梓「そんな……」

    梓「でも私のおかげで私は――」

    ―でも、私はあなたにとても感謝しています。
     悪い点数の答案、小さなミスから大きなミス、全部に。
     これらのおかげで私はもっと頑張ろうって気持ちになれたし、ミスを気にせずに乗り越えてくることができました。
     
     最初から、あなたには何も頼っていなかったんです。
     答えの書いた答案も、ミスを回避する方法が書かれたメモも全部参考にしないでゴミ箱に千切って捨てていました。
     ミスは全て受け入れました。自分が起こしたことなんだから。―

    梓「……うそ」


    213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 13:25:02.78
    手紙にはまだ続きがある。

    ―未来の私。もう一度書きます。
     もう私に干渉しないでください。
     私は私、あなたはあなた。私はこれからも自分の未来のために頑張ります。
     だから、あなたは過去を振り向かずにあなた自身の未来のために頑張って。―

    梓「あ……あ……」

    ―追伸。
     タイムマシンは二度と使わないでね。
     先輩たちと約束したでしょ?
     約束は守らなきゃ。―

    梓「ああ……」

    下駄箱の前で私は崩れ、泣いた。
    今までの自分の愚かな行為に後悔した。
    手に持った手紙はくしゃくしゃになって、涙が落ちた部分が滲む。

    梓「……ごめんなさい、ごめんなさい。過去の私」

    ここで謝ったって過去の私へ届くことはないけど、謝らずにいられなかった。
    何度も何度も謝った。
    その後は靴の中に答案も手紙も入れることなく、何もしないでもとの時間へ帰った。


    215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 13:30:15.57
    2010年7月27日

    私は本当にプライドが高くて負けず嫌いだったんだ。

    それを自分自身に気づかされるのは何だかとても不思議な気分だった。
    自分の失敗を過去の私に尻拭いさせていた私は卑怯者だ。
    でも、今日で卑怯な私とはお別れしよう。
    真面目な私になるように努力しようと思う。

    純「今回も梓はすごいね~! 友人としても鼻が高いよ!」

    憂「ふふっ、そうだね」

    テストの結果はまた学年1位。
    やっぱり、過去の私は頑張っていたんだ。本当に。

    ふと、机に書かれた真新しい落書きを見つける。

    ―どうだ、まいったか! by,私―

    梓「……あ、ふふっ」

    頑張ろう、私も。過去の私に負けないぐらい!


    BADEND2

    220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 13:35:49.44
    本当はあずにゃん殺しちゃおうかと思ったが無理矢理感があったんでやめちゃったんだぜ。ごめんね
    次、いきたいと思います

    >>224
    律のやつ? 澪のやつ?

    226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 13:40:47.42
    澪(どうしよう?)

    澪(どっちみち、部室からみんながいなくならないとタイムマシンも使えない……時間もあるし、それぐらい……)

    澪「いいよ」

    唯「やったー!」

    律「それじゃ、コンビニ行くか」

    澪「うん。そういえば私も見たい雑誌があった」

    唯「ならちょうどよかったね~」

    澪「ふふ、そうだな」

    澪「一応ムギたちに連絡を」

    律「いいって、いいって! 大丈夫だよ。立ち読みくらい」

    澪「……まぁ、それもそっか」


    227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 13:45:07.02
    ・・・

    唯「あははは! おもしろ~い」

    澪「こら、お店の中で大声出すな」

    唯「だってー、あはははっ」

    澪「もう……ふふふっ」

    律「なんだ、澪。それ面白いのか?」

    澪「うんっ、なかなか……あはははっ」

    律「私読むもんねーなぁ。つまんなーい」

    唯・澪「もうちょっと、もうちょっとだけ……ぷぷぷっ」

    律「ぶー!」


    229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 13:50:05.08
    唯に勧められた雑誌の漫画はそれはもう私のツボを抑えた面白いものだった。
    漫画なんて久しぶりに読んだけど、たまにはこういうのもいい。

    澪「あ、終わっちゃった」

    律「また来週の楽しみってことだ。さぁ、そろそろ部室からみんな帰った頃だし、私たちも行くぞー」

    澪「そうだな。唯ー」

    唯「……ん~」

    澪「どうした?」

    私に話しかけられたことにも気づかず、顎に手を当てて考え中のポーズをとっている。
    数秒して「はっ」と声をあげると、私に向かってこう言った。

    唯「私いいこと考えちゃった! 1週間後に行けばすぐに続きが見れるんだよ!」


    232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 14:04:09.04
    澪「……おぉ!」

    律「おぉ! じゃねーよ。だめに決まってんだろ」

    唯「え~! どうして?」

    律「ムギたちに心配はかけられないだろ?」

    唯「……うん。それもそうかぁ」

    律「澪も、な?」

    澪「ちょ、ちょっとだけ! ちょっとだけだから!」

    律「澪ぉ?」

    澪「うぅ……」


    233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 14:09:11.53
    コンビニから戻ってきた私たちは再び外側から部室の中を確かめた。
    6時も回っていたことか部室の中には誰もいなかった。
    そんなこと、部屋に電気がついているかぐらいで判断できるけど、念には念を入れての行動だ。

    律「なーんで私たちの部室なのにコソコソしなきゃいけないかなぁ」

    物を壊したりとかこの時間に支障をきたすような行動があってはならないと慎重に動いた。
    しばらくして律が物置からタイムマシンを持って来ると

    律「唯、ムギたちには電話で連絡したな?」

    唯「バッチリだよ~。今から戻るってちゃんと伝えた」

    律「よし、んじゃまた私から行くぞ。二人は後から着いてきて」

    弦が鳴る音が部室に響くと、律の姿は瞬く間に消えた。
    この瞬間は今だに慣れない。まるで二度と会えなくなっちゃうんじゃないかと思ってしまう。

    唯「次は私だね。お先に~」

    律にならって弦を鳴らすと、唯も消えた。
    私で最後か……。

    澪「……」


    235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 14:14:30.62
    よからぬ考えが頭を過った。

    間違えたフリして1週間後へ飛んでしまえ。
    もちろんそんなことしたら律には怒られるだろう。
    というか、みんなに心配をかけてしまうことになるに違いない。

    澪「……」

    躊躇した。

    そんなことしてしまって本当にいいのかな。
    梓だって言ってた。
    もし未来の自分が死んでいたとしたら?

    澪「う……」

    澪(どうしよう……)


    236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 14:20:34.25
    澪「い」

    澪「いいよね、これぐらい」

    漫画の続きを読んでくるだけだ。
    大したことない。
    すぐに戻ってくればいいだけだ。

    躊躇することは止めた。

    手に持ったタイムマシンの弦を一本一本鳴らしていった。

    澪「えへへ……――――」


    238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 14:25:35.46
    2010年5月16日

    澪「あはははっ」

    澪(続きはこんな感じだったのか! あいかわらず面白い!)

    1週間後へついた私はさっそくさっきのコンビニへ行き、漫画を開いた。
    買って行こうって考えもあることにはあるけれど、未来の物を持ってきたらどうなるかわからなかったから、立ち読みで済ませることにした。

    澪「ふぅ、面白かったなぁ」

    さすがにまた続きが気になるだなんて言っていたら、キリがない。
    残念だけど、そろそろみんなのところへ帰らないと。
    コンビニを出てすぐ、制服の中の携帯が震えていることに気づく。

    電話だ。律から。

    恐る恐る通話ボタンを押して、耳元へ携帯を持っていく。

    澪「も、もしも――」


    240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 14:30:34.64
    律『澪!! 無事か!!』

    間髪いれずに聞こえてきた律の大きな声。
    その声色からは私を心配していることがわかる。

    律『無事なのか!! おい!? 澪っ!!』

    澪「り、律……」

    律『ああ、澪っ! よかった……』

    律『さっきから電話かけてたのになんで出なかったんだよ!? 何かあったのか!』

    きっと漫画に集中していて携帯に気がつけなかったんだ。

    澪「あ、ああ……実は戻る時間を間違えちゃって……」

    澪「それでついた時間でさわ子先生に捕まっちゃってさ……ははは」

    嘘をついた。
    ついてから自分が最低だということを自覚した。

    律『なんだよ……妙な心配させんなっ! ったく……』

    澪「みんなは? みんなはいるの?」

    律『いるよ。みんなお前を心配してる。代わるか?』

    澪「いや、すぐに戻ってくるからい――――」


    241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 14:36:55.83
    一瞬、あまりの出来事に固まってしまった。

    私だ。そこには私がいた。

    律『澪? 澪!? どうした!』

    律の声が頭に入らない。

    澪「私……私だ。私がいる……」

    律『え!?』

    あ、目があった。私と。
    向こうもなにが起きたかわからないと言った表情で私を凝視する。

    澪「あ、あの……っ」

    身振り手振りで何かを説明しようとした。

    でも何を……?


    244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 14:41:06.64
    未来の私はようやく事態に気づくと、手に持っていた買い物袋をその場にほうり投げて、
    私に背を向けて走り出した。いや逃げた。
    私も携帯片手にそれを追う。

    どうして追ったのかはわからない。けどなんとかしなきゃって思ったんだ。
    携帯からは律……だけじゃない、みんなの声が漏れる。
    必死に私の名前を呼んでいるんだ、みんな。

    澪「待って、待って!」

    「来ないでぇー!!」

    どうして、どうして逃げるんだ!
    別に何もしやしないのに!
    私が誰なのかわかるでしょ!?

    「いやあぁ――――あ」

    ――ドンッ

    鈍い音があたりに響いた。


    246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 14:46:14.26
    澪「あ……ああ……」

    信じられない……。

    目の前で私が車に轢かれた。
    もう一人の私は数メートル先にふっとび、地面に横たわるとピクリともしない。

    澪「ううう、うそだ……」

    『どうしたんだよ!? 澪! 澪ぉぉーっ!!』

    澪「うそだ……う、うそだ……」

    『澪! 澪! 返事してくれっ!!』

    澪「きゃああああああああああ!!!!」

    ・・・

    ・・・

    ・・・

    ・・・

    ・・・


    247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 14:51:02.98
    澪「――あれ、私……」

    澪(こんなところで何ボーっとしてるんだろ)

    澪(はやくお使いすまして家に帰らなきゃ……あれ?)

    澪「私、もう買い物したよね? え?」

    澪(でも買い物袋も何も持ってない……)

    澪「……あっ、ぐ」

    澪「う、あ……ううう……!」

    澪「あ、あたまっ、いたいっっ」

    澪(ママには悪いけど……このまま帰ろう)


    250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 15:00:06.37
    自室

    澪母「大丈夫? 頭痛薬持ってこようか?」

    澪「い、いい。大丈夫、少し横になれば治まるよ」

    澪母「そう? それじゃあ、ゆっくり休んでいなさいね……」

    ガチャリ

    澪「はぁ……いやだな、風邪かなぁ」

    澪「でも熱はないし……どこかに頭打ったとか……」

    ――『来ないでぇー!!』

    澪「え?」

    ――『いやあぁ――――あ』

    澪「うっ……!?」


    252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 15:05:04.97
    誰かの悲鳴が幻聴のように聞こえたと同時に、頭の中に鮮明な映像が浮かぶ。

    誰かが車に撥ねられて、そのまま地面に倒れている。
    頭からは血が溢れてて――

    澪「あっ、う……ああああっ」

    ゛誰か゛を思いだそうとすると頭に激痛が走る。

    澪「だ、れだ……だれなの……っ」

    少しずつ゛誰か゛のイメージがはっきり見えてくる。
    黒くて長い髪――

    澪「!!」

    私だ。゛誰か゛は私だった。
    私が夥しい量の血を頭から垂れ流して……死んでいる。

    澪「あ゛あああああ!! あ゛あああああ!!」


    253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 15:10:14.47
    死んでいるのは私だ。それじゃあ私は誰なんだ。

    まるで頭の中を滅茶苦茶にかき回されているかのような気分になって、
    気持ち悪いとか、そういうもんじゃない……。
    今の自分を自分自身に否定されている。

    わけがわからなかった!

    助けて! 誰か助けて!

    ――Prrr、Prrr

    その時、机の上に置いていた携帯が音を立てて、振動した。
    誰でもいい、誰かの声が聞きたいと、ガタガタと震える腕を携帯へ伸ばす。

    澪「もしもしっ!! もしもしっ!! だれ!? だれなのっ!?」

    『澪!! 澪ぉっ!!』

    私を、私を呼ぶ声だ。


    255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 15:15:04.57
    電話の後ろでは「繋がった!?」とか「帰ってきて!」だとかそんな声が。
    私を呼ぶ声は絶えなかった。

    『澪!! 帰ってこい! 澪っ!!』

    澪「だれよおぉっ!! わあああぁぁっっ!!」

    自分がわからない。電話の相手もわからない。
    私はこの世界で一人だ。わからない。一人なのかさえ分からない。

    『私だよ!! 律だよ!! 澪ぉっ』

    りつりつりつりつりつりつりつりつりつりつりつりつりつりつ
    りつりつりつりつりつりつりつりつりつりつりつりつりつりつ
    ……りつ、律?

    澪「り、つ?」


    256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 15:20:04.62
    私は知っていた。
    電話の相手を。

    澪「律!?」

    律『そうだ! 私だ!』

    澪「あ……ああ……」

    思いだした。
    私は秋山澪で電話の相手は田井中律、私の親友だ。
    平沢唯、琴吹紬、中野梓、顧問の先生に山中さわ子。
    そうだ、みんな思いだした。

    澪「私は2010年の5月8日からタイムスリップしてきた……?」

    紬『そう! そうよ! 澪ちゃんっ』

    電話の相手は律からムギへ代わっていた。
    次に唯、梓と順々に。
    みんな私を心配してくれていたんだ。


    258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 15:25:07.52
    律『ばか! 澪のばかっ!』

    澪「ごめん……」

    私はわざと5月16日へタイムスリップしたことを話した。
    それを聞いて律はすごく怒ってくれた。
    そうしてもらえることで私は今ここにいるんだと感じさせられ、ありがたかった。

    律『今すぐ帰ってこい!』

    唯『でももう学校も閉まってるんじゃないかなぁ』

    澪「え? だったらみんなは今どこにいるんだ?」

    梓『私たちは今唯先輩の家です』

    澪「そうか……」

    時間を見ると、もう8時を回っていた。
    こんなに遅い時間なのに、みんなは私を……。

    律『……じゃあ戻ってくるのは明日でいいから。こっちのほうの心配はしなくていい。私たちが何とかする』


    259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 15:30:05.73
    唯『澪ちゃんは私のウチで寝ちゃって帰れそうもないから、今日は泊めるって澪ちゃんのお母さんに言っておくよ』

    澪「あ、ありがとう。唯」

    澪「それじゃあ、そろそろ電話切るね」

    紬『澪ちゃん、待って!』

    澪「え?」

    紬『さっき、澪ちゃんはもう一人の澪ちゃんに会ったのよね?』

    澪「……うん」

    紬『その後……その後はどうなったの?』

    澪「……死んだ。車に撥ねられて死んだはずだ」

    『!?』


    260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 15:36:03.01
    梓『そ、そんな……だったら澪先輩は……』

    律『うそ、だろぉ……』

    唯『やだ、やだよ! そんなのっ! そんなのいやだっ!!』

    そうか、今気づいた。
    私は16日に死ぬ運命なんだ。
    車に撥ねられて……。

    澪「……」

    不思議とパニックになることもなく、悲しくもなかった。
    頭はとても鮮明で、クリアな状態だった。

    紬『……それで、その亡くなった澪ちゃんはどうしたの?』

    澪「ああ、それが……」

    あれ?

    なんだこの感覚……。

    澪「それが……えっと…………え?」

    紬『澪、ちゃん?』

    澪「わ……わからない! 未来の私が死んでからどうなったのかわからない!」


    261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 15:41:09.91
    澪「どうして!? 私の死体が見えてから何も覚えてない!!」

    そうだ、そこからの記憶がすっぽり抜けてる。
    気がついたときには道に立っていて、お使いで頼まれたものを……。

    澪「何がどうなってるの!?」

    紬『澪ちゃん落ち着いてっ』

    律『澪! 落ち着けっ、深呼吸しろっ』

    澪『はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!』

    どうなっているんだ。

    私はいったいどうなっているんだ。

    私が死んでからの私はいったいどうなっているんだ。


    262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 15:48:00.72
    梓『――ということは、前のことは何も覚えてなくて、別の行動をとろうとしていたってことですか?』

    澪「ああ……」

    唯『でもそれって変な話だよね?』

    律『それどころか全く意味わかんないよ……ともかく、澪! お前は明日こっちに戻ってくればいい。それだけなんだっ』

    澪「う、うん」

    紬『でも……澪ちゃんがこっちに帰ったとしたら亡くなった澪ちゃんは?』

    紬『亡くなった澪ちゃんはどこへ行っちゃったの……?』

    そうだ。そして今気づいた。
    道で立っていたときの私、制服じゃなくて私服だった。
    そんなのありえないはずだ。私はタイムスリップしてから一度も着替えた覚えはない。
    そういえば、あのとき見かけたもう一人の私……私服姿だった。
    それに手には買い物袋があった。

    澪「……いや、そんなはずはない。そんなはずはっ」

    紬『澪ちゃん?』

    澪「な、なんでもない。とりあえず明日、そっちになんとか帰ってみせる」

    唯『絶対だよ! 絶対だからね!?』

    澪「うんっ」


    265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 16:00:34.53
    紬『……澪ちゃん。最後に一つ』

    紬『日記でもノートでもメモでもなんでもいいから、とにかく必ず目がいくところに自分が過去からきた自分だって書いておいて』

    紬『そしてそのことを絶対に忘れないようにして』

    澪「どうしてそんな……」

    紬『なんだか、いやな予感がするの……』

    律『ムギ、考えすぎじゃないか』

    紬『そうだといいのだけれど……とにかく澪ちゃん』

    澪「ああ、わかったよ。それじゃあ」

    ……そう言ったにもかかわらず、私は自分から電話を切れなかった。
    ……怖かった。
    これを切ってしまったら、二度とみんなと話せなくなってしまうんじゃないかと。

    唯『澪ちゃん、電話切らないの?』

    澪「そっちで……切ってくれないか」

    唯『え? あ、うん。じゃあね澪ちゃん……待ってるよ』

    電話が切れた。
    そしてその後、酷く孤独を感じた。


    267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 16:05:03.97
    ムギに言われた通り、すぐに机の上にあった適当なノートを広げてペンを走らせた。

    ―私は2010年5月8日から来た秋山澪。この時間の私じゃない。―

    こう書くことによって私は私だと実感することができた。
    ノートは文章を書いたページを広げたままにしておき、いつでも目につくようにした。

    澪「……」

    5月16日、私は死ぬ。
    たとえもとの時間に戻れたとして、この死を回避することはできるのだろうか。
    私は、みんなにどんな顔して「ただいま」と言えばいいだろうか。

    澪「……明日に備えて、今日はもう寝よう」

    おやすみ、私。

    忘れないで、私はこの時間の私じゃないってことを。


    271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 16:10:02.08
    >>266 あれに影響されてこのSS書いたのよ

    2010年5月8日 平沢家

    唯「ていうか」

    「?」

    唯「その気になれば、私たちが16日に行って澪ちゃんを連れ戻してこれるんじゃない?」

    「!」

    梓「き、気がつかなかった……」

    紬「わけが分からないことが続いたんだもの、混乱してそんな発想ができなかったのね」

    律「だったら今すぐにでも!」

    紬「待って、もう校門閉まっちゃってるし、学校には入れないと思う」

    紬「澪ちゃんがどうしても帰ってこれないって場合に私たちが行くことにしましょう?」

    律「……そう、だな」

    梓「無事でいてくれるといいですね」

    唯「大丈夫だよ。絶対」

    272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 16:15:05.21
    2010年5月17日

    澪「それじゃあ行ってきまーす」

    澪母「気をつけてねー」

    ガチャリ

    澪「ん~、今日もいい天気だなぁ。暖かいし」

    「澪~!」

    澪「あ、律。おはよう」

    律「おう、おはよう! いやー、昨日は聡と夜通しでゲームしててさぁ」

    澪「あいかわらず仲良いんだ」

    律「ぜーんぜん仲良くねぇよぅ」

    律「あいつってば私が何かしてやろうとするとすぐに嫌がってさ、素直じゃねぇの」

    澪「聡だってもう中学生なんだし、そりゃあ意地も張りたくなるよ」

    律「そうかなぁ……」

    澪「うん。ほらもうすぐ学校着くぞ。入ろう?」


    273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 16:20:03.78
    唯「あ、りっちゃんと澪ちゃんおはよー!」

    紬「おはよう」

    律「おー……って、なにしてんの?」

    唯「ムギちゃんの髪で遊んでました」

    澪「そんなことして変なクセついちゃったらどうするんだ」

    紬「大丈夫。私の髪ってクセまくりだし」

    律「なんじゃそりゃ」

    唯「ほれほれ~二人もムギちゃんの髪触ってごらん? ふわふわで気持ちいいんだよー」

    紬「唯ちゃんほどでもないよ」

    唯「えー、そうかなぁ。ちょっと澪ちゃん、私とムギちゃんの触って比べてみて」

    澪「え? 私が?」

    唯・紬「さぁ、さぁ!」

    澪「し、仕方がないなぁ……」


    274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 16:25:06.16
    ・・・

    律「お、タコ型ウインナーはっけーん!」

    唯「憂が作ってくれたんだよぉ」

    紬「ふふ、かわいい」

    律「いただきっ」パクッ

    唯「ああっ!! ……はぅ」

    澪「こら、律! 唯にあやまれっ」グリグリ

    律「あいだだだ!? か、勝手にとってごめんな……おわびに」

    唯「ふぇ?」

    律「これをあげよう」

    唯「なぁにこれ? ミートボール?」ヒョイ

    紬「でもなんか大きいね?」

    律「まぁまぁ、ちょっとかじってみ」


    276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 16:30:05.22
    唯「? ……あむっ」

    唯「お」

    唯「ウズラの卵がはいってた!」

    紬「すごーい!」

    律「えへへ、面白いだろ~」

    澪「律が作ったの?」

    律「そだよ。うちの両親、今旅行行っちゃっててさ」

    唯「じゃあ私のとこと同じだね!」

    律「あはっ、そうだな」

    澪「ははは…………」

    ズキンッ

    澪「っ」


    277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 16:35:04.00
    澪(いてて、何だ? 急に頭痛が……)

    澪「うう……」

    紬「澪ちゃん?」

    律「なんだ、どうかした?」

    澪「ちょ、ちょっと頭痛が……」

    唯「え、大丈夫? 澪ちゃんっ」

    紬「つらかったら保健室行った方がいいと思うよ?」

    澪「そう、だな……ちょっと行ってくる……」

    律「私、付き添うよ」

    澪「あ、ありがとう……」


    282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 16:40:16.62
    澪「っっ……」

    律「なんかフラフラしてんな……大丈夫? 肩貸すぞ?」

    澪「いい。一人で歩けるから……」

    澪(急にどうしたんだろ……なんだか……)

    頭に痛みが走るたび、何かの記憶が断片的に思いだされる。
    律、唯、ムギ、梓……戻る……タイムマシン……5月16日……死……。
    ……5月8日。

    澪「!!」

    284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 16:45:47.97
    澪(そうだ……私は……)

    律「澪?」

    立ち止まっている私を心配して律が顔を覗きこんできた。
    ――Prrr、Prrr

    澪「!」

    律「携帯、鳴ってるけど……電話じゃない?」

    澪「あ、ああ……すぐ出るよ」

    携帯を取り出し、通話ボタンを押してから耳元へ近づける。

    『澪、澪っ! やった、繋がったぞ!』

    澪「え?」

    『お前なにしてるんだよっ、さっさとこっちに戻ってこい!』

    律だ。
    おそらく8日……いや、もう9日かもしれない。
    とにかく私の時代の律だった。

    澪「ちょ、ちょっと待ってくれ……あ、あ、えっと」

    律「誰と話してるんだ?」


    285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 16:50:30.92
    目の前の律が私に尋ねる。
    ここでさすがに電話の相手がお前自身だ、なんて言えるわけがない。
    ……いや、でもこの時間でもおそらくタイムマシンは存在するんだ。
    うまく事情を説明することができれば……いや、だめだ。
    そんなことしたらこの時間の私はどこへ行ったと聞かれて、面倒なことになる。

    律「澪?」

    澪「り、律。ごめんっ、ちょっと大事な電話なんだ! あっちで話してくるよ!」

    てきとうにはぐらかして、トイレの中へ逃げ込む。
    この会話を聞かれるわけにはいかない。

    律『澪! どうしたんだ!?』

    澪「ご、ごめん。ちょっとあってさ……それで?」

    律『それでじゃねぇよ!! 早くこっちに戻ってこいって言ってるんだ!』

    澪「そ、そうだな。でもさ……私もついさっき、私がこの時間の私じゃないって思いだせたみたいで……」

    律『はぁ?』

    紬『それって、もしかして今日起きたときには何も覚えていなかったってこと?』

    澪「うん……」


    286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 17:00:04.88
    唯『ど、どういうこと? なんで忘れちゃったの?』

    澪「わからない……何事もなく普通に学校に来て、みんなと喋ったりしてた。いつもみたいに」

    律『どういうことだよ!』

    紬『……澪ちゃん。私たちね、朝から何度も澪ちゃんに電話したの。着信履歴に残ってたりしなかったかな』

    携帯を朝何気なく弄っていたときはそんなもの残ってなかった。
    学校に来てから開いてもそんなもの残ってなかった。
    電話なんて今のが今日初めてかかったものだ。

    澪「残ってなかった」

    紬『それはたしか?』

    澪「ああ……」

    紬『これは仮に考えたものなんだけど、もしかしてこっちの時間との電話のやり取りって澪ちゃんのもとの記憶がはっきりしてるときじゃなければ繋がらない……とか』

    澪「え……」


    287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 17:05:04.32
    律『いや、でも! タイムスリップしたときは携帯ももとの時間の日付とかだったじゃんか!?』

    律『それに例えば澪から私に電話したらこっち側に通じるはずじゃないか!?』

    唯『日付どうだったの? 澪ちゃん?』

    そんなこと一々確認していない。
    でも携帯を何度か開いたんだから無意識に日付も見ているはずだ。

    思いだせ……思いだして、私。

    澪「……17日、だった気がする」

    『!』

    澪「そっちは今何日?」

    唯『9日だよ』

    澪「やっぱり一日進んでるんだ……」


    288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 17:10:07.66
    律『とにかく何でもいいっ! 澪、覚えているうちに早くこっちに戻ってこい!』

    律『それで全部済む! 一応、私も今からそっちに行くから心配するな。いいな?』

    澪「そ、そうだな……お願いするよ」

    澪「……悪いけど、またそっちから電話切ってくれ」

    律『うん。澪、大丈夫だからな……きっと戻ってこれるから』

    電話が切られる。
    また私は孤独だ。
    トイレを出るとすぐに律が私に駆け寄ってきた。

    律「終わった? それじゃあ保健室に……」

    澪「いや、頭痛は止まったみたい。それで私、ちょっと用事思い出しちゃったみたいだから」

    律「用事?」

    澪「律は教室に戻ってて。すぐに戻るよ」

    律「そうか? ……だったら、うん。そうするよ」

    さよなら、この時間の律。
    私はもとの時間に帰るよ。


    290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 17:15:05.57
    軽音部室

    部室のドアをあけるとそこには

    「……よぉ、心配させやがって」

    澪「律……」

    律がいた。

    こっちの律は9日の律ってことでいいはず。

    律「色々言うことはあるけど、とにかく帰ろう」

    タイムマシンを物置からすでに取り出してきていた律は、それを私に手渡す。
    帰れる……帰れるんだ。

    澪「これで、やっと……」

    安堵の息をつくと、弦を鳴らしていく。

    これで――


    291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 17:20:05.72
    澪「……」

    澪「ここは9日?」

    目の前にいる律が口をあんぐり開けて首を横に振る。

    ……どういうこと?

    律「も、もう一度だ……もう一度弾いて」

    澪「う、うん……」

    もう一度同じように弦を鳴らす。
    ……変わらない。なにも変わっていない。

    律「どうなってんだ!? なんでお前タイムスリップしないんだ!?」

    澪「あ……あ……」


    293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 17:25:35.87
    律「壊れたわけじゃないよなぁ……」

    律「私がちょっと試してみる! 大丈夫、行ってもすぐに戻ってくるから!」

    同じように律は弦を鳴らす。
    ……消えた。律は消えた。
    タイムスリップしたんだ。

    澪「うそ……」

    澪「どうして律はできて私は……」

    澪「あわわわわ……――――」

    澪「――あれ」

    澪「なんで私ここに?」

    澪(たしか、みんなと昼ご飯食べてて……それで)

    澪「……なんだっけ?」

    キーンコーンカーンコーン

    澪(あ、チャイム鳴っちゃった。 すぐに教室戻らないと……)


    297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 17:30:06.68
    ガチャリ

    唯「あ、戻ってきた!」

    律「澪。用事済ましてきたのか?」

    澪「用事?」

    律「用事あるって途中で別れたじゃん。保健室行く途中で」

    澪「……保健室?」

    紬「澪ちゃんさっき頭痛がするって保健室に向かったでしょう? でも治ったのよね?」

    澪「頭痛? 治った?」

    「……?」

    律「ま、まぁ、いいか。とりあえず授業始まるし座っとこうぜー」

    澪「んー?」


    298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 17:35:07.41
    ・・・

    梓「けっきょく、タイムマシンも使い道がなければどうしようもないですね」

    律「そうだなぁ」

    唯「なんか面白いことに使えないかな~」

    紬「そうねぇ」

    澪「やっぱりあれは使わないでおいた方がいいかもな」

    律「んー、そだな」

    唯「1週間近く話しあった末がそれ!? なんかつまんないよー!」

    紬「あはは……」

    律「そんなこと言ったって仕方がないっしょ?」

    唯「うー……」


    300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 17:40:03.20
    紬「今日はチョコムース持ってきてみましたー」

    唯「わぁい!」

    梓「すごい……なんか金箔のってますよ!」

    澪「よっぽど高級なお菓子なんだな……」

    律「いっつも高級なもんだろ、感覚麻痺してんじゃないか?」

    澪・梓「うっ……」

    紬「どうせあまりものだし、何も気にしないで食べていいのよ」

    唯「そーだ、そーだ」モグモグ

    律「食うの早っ」


    301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 17:45:08.37
    2010年5月9日 軽音部室

    律「なんでだよっ」

    律「なんで17日にいけないんだ!? マジで壊れちゃったのか!? これ!!」

    紬「でも現にりっちゃんは向こうから戻ってこれてるわ……」

    唯「澪ちゃんに何かあったのかな……」

    紬「もしかしてタイムスリップできる回数は限られているとか?」

    律「うそだろっ!? そんなバカなっ……!」

    紬「でもわからない……」

    律「なんなんだよっ」

    唯「……そうだ!」

    律・紬「え?」


    304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 18:00:07.75
    ちょっとご飯買ってくる

    唯「今日って過去から私たちが来るよね!?」

    律「はぁ? なに言って……」

    紬「昨日の唯ちゃんたちね?」

    唯「うん!」

    律「あ、そうか! そういえば9日に3人でタイムスリップしたんだっけ」

    律「でもそれが?」

    唯「だからっ、その私たち……というか澪ちゃんに16日に絶対行っちゃダメって教えてあげればいいんじゃないかな!?」

    律「……そうか。そうか! その手があった!! でかしたぞっ、唯!」

    唯「えへへー」

    紬「……でもそれって」

    さわ子「そんなことしても、助かるのはその澪ちゃんだけよ。私たちが知っている澪ちゃんの現状はなにも変わらない」


    311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 18:29:20.39
    律「さわちゃん!?」

    唯「いいい、いつのまに!?」

    さわ子「それどころか、この私たちが生きている時間が消えてなくなる可能性があるわ」

    さわ子「8日の澪ちゃんが助かるということは、9日……今の私たちの時間には澪ちゃんがいないわよね? ということは矛盾が生まれる」

    さわ子「そうするとね、その矛盾をなくすためにこの時間が消えるかもなのよ」

    紬「……」

    律「……な、なに言ってるの?」

    唯「……さわちゃーん?」

    さわ子「……どうも様子がおかしいと思っていたら、とんでもないことしでかしてくれたみたいね。あなたたち」

    さわ子「タイムマシン、使ったでしょう?」


    312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 18:32:17.70
    2010年5月17日

    唯「それじゃ、また明日ねー」

    梓「お疲れ様でした」

    紬「さよならー」

    律「おう、じゃあなー!」

    律「それじゃ、私らも帰ろうぜ」

    澪「うん」

    律「あ、そうだ。澪、明日うち来なよ」

    澪「なんだ突然?」

    律「私が手作り料理をふるまってしんぜよう」

    澪「それまた突然……」

    律「まぁ、暇だからってだけなんだけどさ。いい?」

    澪「ああ、いいよ。楽しみにしてる」


    313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 18:37:51.21
    2010年5月9日 軽音部室

    さわ子「……話はだいたいわかった」

    さわ子「すごく厄介よ、これ……」

    律「澪は、澪は戻ってこれるよな!?」

    さわ子「……」

    律「なんとか言えよぉっ!!」

    紬「りっちゃん!」

    唯「さわちゃん。あのタイムマシン、さわちゃんのなんだよね?」

    梓「そうだったんですか!?」

    さわ子「今はそんなこと関係ない。澪ちゃんをどうやって救うかだけ考えなさい」

    唯「う、うん……」


    315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 18:43:44.80
    さわ子「16日に行った澪ちゃんは、たしかに自分が死ぬところを見た。これは間違いないのね?」

    紬「はい」

    さわ子「その後の記憶は抜けていて、気がついたらその場に立っていた」

    梓「変な話ですよね……」

    律「まったくだよっ」

    さわ子「……おそらく、澪ちゃんは――――」

    Prrr、Prrr…


    318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 18:53:15.73
    2010年5月9日 自宅

    澪「ただいまー」

    澪母「おかえりなさーい。もうすぐ晩ご飯できるからね」

    澪「はーい」

    ガチャリ

    澪「ふぅ、今日も一日いつも通りだったなぁ」

    澪「ん?」

    澪「なんだこのノート?」

    澪「えっと……私は2010年5月8日から来た秋山澪。この時間の……」

    澪「私じゃ、ない……?」


    319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 18:56:03.05
    ノートにそう記された文章を読むと、突然の頭痛が私を襲う。

    ……そして、

    澪「ああぅっ……」

    澪「っ、はぁ、はぁ……で、電話……電話しなきゃ、律に……」

    疼く頭を押さえて携帯へ手を伸ばし、律へ電話をかける。
    ものの数秒もしないうちに電話に出てくれた。

    律『澪!!』

    澪「り、つ……まただ……」

    律『え!?』

    澪「律がタイムスリップしたあと……また、忘れた」

    澪「私を、忘れたんだ……っ」


    320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 19:00:03.53
    律『そんな……』

    澪「みんなは、みんなはそこにいる?」

    律『あ、ああ。それで澪……』

    律『私たち、さわちゃんにタイムマシンのことばれた』

    澪「え」

    律『あのタイムマシンはさわちゃんの物だったんだよ。それでさわちゃん、あれについて色々知ってた』

    あのタイムマシンがさわ子先生の物だった。
    そんな気はしていたけれど、まさか本当だったなんて。
    電話の相手が律からさわ子先生へと変わった。

    さわ子『澪ちゃん、いい? 落ち着いてよく聞きなさいね』

    さわ子『その時間の澪ちゃんは死んだ。そしてそこに偶然あなたが居合わせた』

    さわ子『でもね、その澪ちゃんは事故死したわけじゃなくて、あなたに間接的に殺されたと私は考えるわ』

    澪「え……」

    澪「え……?」


    321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 19:05:08.83
    さわ子『あなた、逃げた自分を追ったのでしょう? そして逃げている最中に車に撥ねられて死んだ』

    さわ子『あなたにその気はなくても、世界はあなたがあなた自身を殺したと判断したのかもしれない』

    澪「い、言っている……意味が」

    さわ子『澪ちゃん。タイムスリップして自分が過去、もしくは未来の自分を殺すとどうなると思う?』

    澪「わ、わかりませんよ。そんなの……」

    さわ子『詳しくは私もわからないけど』

    さわ子『……入れ替わってしまうの。殺した方が殺された方に』

    澪「入れ替わる?」

    さわ子『そう。入れ替わった後のことはわからないけれど。たぶん入れ替わったその人の記憶が自分の記憶となって、もとの自分を忘れてしまうのかな』


    323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 19:10:08.01
    唯『でも、澪ちゃんは自分のことをまだ覚えてるよ?』

    さわ子『……殺すと思って殺したわけじゃなかった。澪ちゃんが澪ちゃんを殺したのは言わば事故だったと考えましょう。つまり入れ替わるつもりも何もなかった』

    梓『だから、覚えている? でもそれって色々と無茶が……』

    さわ子『そうね。正直言うと、どうしてなのかはわからない。もとの時間によっぽどの執着があるから……とか色々考えられるわ』

    澪「あの……それと」

    澪「死んだ私って、どこに行っちゃったんですか?」

    さわ子『たぶん、消えた』

    さわ子『あなたがそっちの時間のあなたに入れ替わったことで、存在が上書きされたのだと思う』

    律『そんな、ゲームのセーブデータじゃないんだぞ!?』

    さわ子『物の例えよ。でも消えたことは確かだと思う。ていうか、今私たちが話している澪ちゃんが17日の澪ちゃんになったの』

    澪「……」


    324 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 19:15:06.22
    正直理解できなかった。
    頭が上手くまわらないんだ。
    今私が置かれている状況がとんでもないことだけはよくわかる。
    でも……ただそれだけで……。

    紬『でも私たちの時間の澪ちゃんが17日の澪ちゃんになったというなら……私たちの時間の澪ちゃんは?』

    さわ子『そう、そこが問題なの』

    さわ子『私の予想だと……澪ちゃんが完全にあっちの存在になってしまったら』

    さわ子『私たちから、澪ちゃんが存在したという記憶が消える。記憶どころか痕跡も消えるんじゃないかしら』

    律『はぁ!? なんだよそれ!?』

    さわ子『都合よく新しい澪ちゃんが出てくるとも考えられないしね。たぶん私たちのこの世界からは秋山澪という存在が初めからなかったことにされる』

    梓『でも、未来の17日には澪先輩が存在するんじゃ……』

    さわ子『そう、だからこっちとそっちの世界はズレる。澪ちゃんがいる世界といない世界。いわゆるパラレルワールドってやつね』


    325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 19:20:10.72
    唯『そんなのいやだよっ、澪ちゃんがいてくれなきゃいや!』

    梓『私だってっ!』

    紬『そんなの、認めたくない』

    律『澪はちゃんといるんだ、消させてたまるかよ……』

    澪「みんな……」

    まただ。また私はみんなに心配をかけさせている。
    いつも、いつも、迷惑ばかりかけて……私は。

    さわ子『そうね、私だってそんなことになってもらいたくないわ』

    さわ子『だから、今は私たちにできる事を精一杯考えましょう?』

    さわ子『澪ちゃんは……自分を見失わないこと。いい? 完全に思いだせなくなったらそれでもう終わりなの』

    澪「……」

    さわ子『とにかく、自分をいつでも思いだせるように手の甲にでもなんでもいいから何か記しておきなさい』

    さわ子『つらいかもしれないけど、あなたはそうするしかないの……』

    澪「……はいっ」


    326 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 19:25:04.72
    電話が切れるとすぐに私は机に向かった。

    開かれたノートに次々と自分が自分であることを書き連ねていった。

    ―私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃない。これを忘れるな。
     私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃない。これを忘れるな。
     私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃない。これを忘れるな。
     私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃない。これを忘れるな。
     私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃない。これを忘れるな。
     私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃない。これを忘れるな。―

    澪「まだだ、もっと書くんだ。書き続けるんだ」

    ノートだけに懲りず、メモにも同じように書いて部屋の壁に貼りつけた。
    1枚2枚だけで終わることなく、何枚も、何枚も。
    ママに呼ばれたことに気づくことなく、部屋中に文章を書いたメモを貼り付ける作業をし続けていた。

    澪「部屋に貼りつけるだけじゃダメだ……持ち物にも、全部に」

    自分にほっとさせる時間を与えちゃいけない。

    そんなことしてしまっては私はまた忘れてしまう。

    頭を休ませるな。


    329 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 19:30:25.34
    澪「私は、私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃない……」

    うわ言のようにずっとそう呟き続けた。
    口にすることで頭に刻み続ける。
    視界には常に例の文が書かれたものを入れておく。

    澪「私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃない……私はか」

    気が狂いそうになるくらい私は足掻いた。
    壊れてしまいそうになるくらい私は必死だった。
    このままみんなに会えずにこの世界に一人ぼっちだなんていやだ。
    正確には一人ぼっちじゃないのかもしれない。
    でも私にとってここは私の時間じゃなくて1週間先の未来の私の時間。
    同じようで違うんだ。

    澪「私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃない」


    331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 19:35:44.57
    2010年5月18日

    一日中あの作業をし続けた。

    気を抜けばすぐに意識がどこかへ飛んでいってしまいそうになる。
    睡眠もとらずに、自分を休ませることなく。
    そのお陰かどうかはわからないけれど、私は私のままであり続けられた。

    澪(私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃない)

    家の中でもそうだったように、学校の中でも同じようにしている。
    さすがに口に出すことはなかったけど、頭の中では何よりも優先させてこの文章を暗唱し続けた。

    「秋山さん、話があるのだけど」

    澪「ごめん。具合悪いからまた今度にして」

    極力、この時間の人たちとの会話も避ける。
    少しでも気を許してしまっては意識が持っていかれそうな気がしたから。


    332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 19:40:41.38
    唯「澪ちゃん、具合悪いの?」

    唯たちだってそうだ。
    むしろこいつらとこそ会話を避けるべきなんだ。

    紬「澪ちゃん……」

    ダメ、ダメだ。気を許しちゃダメなんだ。
    心配してくれるみんなの声を聞くたびに、罪悪感が溜まっていく。
    無視し続けることがとてもつらい、苦しい。

    梓「澪先輩、顔色悪いですよ……心配です」

    私に構わないで。私に構わないで。私に構わないで。
    こいつは、こいつらは違う。違うんだ。
    こいつらは偽物だ。こいつらは偽物なんだ。
    みんなと同じ顔した偽物なんだ。

    澪(私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃない……私は)

    律「みーお」

    澪「っ……」

    335 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 19:45:23.93
    2010年5月10日

    ポーン、ポーン、ピーン

    唯「どう? タイムスリップできた?」

    律「いや……」

    唯「あぅ……そんなぁ」

    律「……やっぱりダメだ。澪のいる時間にだけタイムスリップできないどころか、他の時間にも行けないよ」

    梓「どうしてなんでしょうか」

    紬「さわ子先生、何かわかりますか?」

    さわ子「……わからない」

    梓「そんな無責任なっ」

    さわ子「……ごめんなさい」

    337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 20:00:08.77
    律「なんだよそれ……」

    紬「例えばですけどっ、澪ちゃんがこっちに戻って来たとしても、あっちの世界の澪ちゃんがいなくなってしまうだけじゃない……それに向こうはまだわからない未来のことなんだから矛盾は生じないはずです!」

    さわ子「……ムギちゃん、落ち着いて」

    紬「っ……」

    さわ子「言ったでしょう? もうこっちの澪ちゃんはあっちの時間の澪ちゃんなんだって」

    唯「え、でもそうするとこっちの澪ちゃんはどこなの?」

    さわ子「……えっと、つまり……こっちの澪ちゃんの肉体はあっちにあって、でも意識があっち側に染まりつつあるけど、こっちの意識も残っていて……」

    さわ子「あー……熱が出そうよっ。わけわかんないっ」

    梓「し、しっかりしてください」


    338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 20:05:02.64
    さわ子「……世界ってワガママなのよ、きっと。思ったとおりに動いてくれないものでしょ?」

    唯「たとえば?」

    さわ子「例えばって……色々よ」

    唯「ふーん……」

    さわ子「だから、澪ちゃんを助けたいという私たちの意志も、世界が澪ちゃんを助けることを許さないというのなら……無理、とか」

    律「おい!?」

    さわ子「私たちって案外ちっぽけなのよ……」

    律「ふざけないでくれよ!! 澪は絶対に助けるっ、さわちゃんもそうだろ!?」

    梓「そうですよ! 先生があきらめてしまったら私たち……」

    さわ子「何も、何も思いつかないのよ! これでもある知識全て振り絞って考えたわ! でも、何も思いつかないの。方法がないの」

    紬「……」

    律「くそっ、私はあきらめないからな!!」

    唯「りっちゃん……」


    340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 20:10:33.14
    さわ子「何をする気なの?」

    律「電話だよっ、少しでもあいつに私たちの声を聞かせてやるんだ!」

    梓「そんなことしたって……」

    律「うるさい!」

    紬「りっちゃん、私たちじゃもう……」

    律「うるさぁいっ!」

    唯「無理しちゃやだよ、りっちゃん……」

    律「うるさいって言ってるだろぉっ!?」

    律「くそっ、くそくそっ……! どうして出てくれないんだ!?」

    律「電話に出ろよぉっ、澪ぉぉっ!!!!」


    341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 20:16:04.39
    2010年5月18日 田井中家

    律「ほら、できたよ」

    テーブルに次々と置かれていく律の手作り料理。
    ハンバーグにコンソメスープ、ポテトサラダにほかほかご飯。
    もちろん私はそれに手をつけることはなかった。

    律「いつも同じ物ばっかり作る、とかいうツッコミはなしで頼むな」

    エプロンをほどきながら律はそう言う。
    いつもはガサツでうるさい律もこういったところは家庭的なんだ。
    私は陰ながらそんな律にあこがれのような物を抱いてきた。

    律「なんだよ、食べないのか?」

    澪「……」

    律「遠慮すんなよ」

    澪「……」

    律「もしかしてお腹減ってないの?」

    澪「……」

    律「結構自信作なんだけどなぁ」

    澪「……っ」


    343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 20:21:02.30
    目の前にいるのは律だ。
    それには変わりない。
    私にとって偽物だ。でもこの時間としてはこっちが本物だ。
    さっきから必死に余計な事を考えないように例の文章を暗唱し続けた。
    でも……

    律「冷めちゃうよー?」

    律「まさか……具合悪いのか?」

    律「また頭痛? もしかしてお腹?」

    律の手が私へ伸ばされる。
    その手を払いのけた。
    そうされた律はとても驚いていて、とても悲しそうな顔をしていた。

    澪(私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃない。私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃない。私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃないっ)

    最初からこんな所へ来るべきじゃなかった。律の誘いを断っていればよかったんだ。
    そうだ、なんで私はここに来てしまったんだ。

    律「み、澪……」

    澪「私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃないっ! 私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃないっ!」


    346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 20:26:38.37
    律「み――」

    澪「私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃないっ!!」

    両耳を手で押さえて律の声を遮断した。
    聞いちゃダメなんだ。
    私にはもとの時間で本当の律が待っていてくれている。
    みんなが待っていてくれる。

    澪「私は過去から来た秋山澪、こ――」

    ……抱きしめられた。

    何も考えられなくなった。

    律「澪、大丈夫だ。大丈夫……」

    澪「か、か……」

    律「私が傍にいるからな」


    ――Prrr、Prrr


    349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 20:31:02.63
    携帯が鳴っている。私のだ。

    しばらくしてポケットから携帯が床に滑り落ちた。
    ブーブー、と唸りをあげる携帯が音を立ててゆっくりと床の上を動く。
    誰からの電話だろう……。
    もうどうでもいいのかな、そんなの。

    律「澪」

    律「安心して」

    澪「あうっ、あ……」

    律「ずーっと私が傍にいてあげるからな」

    ――私は過去から来た秋山澪、この時間の秋山澪じゃない。



    なんだっけ、それ――――


    350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 20:36:03.31
    2010年5月19日

    律「みーお!」

    澪「うわっ、律!?」

    澪「あ、朝から驚かせるなよっ」

    律「えへへ~、澪はあいかわらずビビりだなぁ」

    澪「叩くぞ?」

    律「いやーん!」タタタ…

    澪「あ、こら! 待て、律ー!」タタタ…

    律「捕まえてみろよ~!」

    澪「このっ、ばか律ー!」


    354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 20:41:11.43
    ・2010年5月11日 軽音部室

    律「あれ」

    律「梓、なんでそっちの椅子に座ってんの?」

    梓「なんでって、いつもここに座ってませんでしたっけ?」

    紬「私の隣じゃなかったかな?」

    唯「そうだっけ?」

    律「そうだろー」

    梓「じゃあ、はい」ス

    律「さぁて、そろそろベース弾ける部員を見つけなきゃな」

    梓「3年目にしてやっとですか……」

    唯「まぁ、のんびりいこうよぉ」


    BADEND5


    362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 20:48:49.83
    残り分岐、律のやつのみ
    その前にちょっと待ってほしい。一旦風呂に入らせておくれ



    372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 21:26:07.23
    律「……そうだなぁ、試しに一つやってみよっか?」


    律「うん、ここまで来たんだし何かやってみるべきだよ」

    律「ってことで何を……どうせならわかりやすいように何か大きなことを」

    律「……」

    律「てきとうでいいかな。とりあえずホワイトボードの落書き全部消しとくか」

    ス…

    「やめろ!」

    律「え?」


    373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 21:31:11.12
    律「だれ―――――っ!?」

    律「う、うそだろ……」

    「いいか、それを消すなよ……絶対に消すなよ」

    律「フリ……? ってそれどころじゃない!」

    律「お前なんなんだよ!?」

    「……」

    律「その顔……」

    「私は未来から来たあんただよ。田井中律」

    律「うそ……」

    「うそじゃない。それよりも」

    「それを……落書きを絶対に消すな」


    374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 21:36:12.30
    律「な、なんだよ……いきなり現れてそんなこと言われても」

    「黙って言うとおりにしてさっさと元の時間に帰れ!」

    律(むかっ)

    律(いくら相手が私とはいえ、あんなキツイ言い方しなくてもいいだろっ)

    律「へー、消したらなんかまずいんだ?」

    「……」

    律「……えいっ」フキフキ

    「っっ!? や、やめろぉっ!」ガシッ

    律「なんだよっ、落書き消してるだけだろ!? はなせよっ!」ドン

    「っ!?」

    律「ぜーんぶ消してやるからな!」フキフキ

    「か、体が……うごかっ……!」


    377 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 21:41:08.98
    律「ほい、ぜんぶ綺麗に消しちゃったぜー」

    「なんてこと……してくれてんだよ」

    「ああああああああっっ!!」

    律「ひっ」

    「もう一度……もう一度戻らなきゃ……」

    律「お、おい? 未来の私?」

    「待ってろよ……かならず、助けるからな……」

    ピーン、ピーン、ポーン

    律「行っちゃった……なんだったんだ、今の」

    律「まぁ、とりあえず私も帰るかな。みんなが心配してるだろうし」


    380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 21:45:57.29
    2010年5月7日

    ヒュッ

    律「お」

    律「戻ってきたのか?」

    唯「り、りっちゃん!? いつのまに!」

    澪「律ー!」

    律「どうやら戻ってこれたみたいだなぁ」

    紬「おかえりなさい、りっちゃん。どうだった? 初めてのタイムトラベルは」

    梓「変な感じだったでしょう?」

    律「そうだなぁ……色々と不思議だったし、パニクったけど、悪くはなかったかな?」

    唯「ほぉほぉ、それじゃあ次は私が」

    澪「待って、唯! これ……できればもう使わない方がいい気がする」


    382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 21:51:40.59
    唯「ほえ、どうして?」

    澪「いや、なんとなくなんだけどさ……」

    紬「私も澪ちゃんに賛成。面白いけどこのタイムマシンってわからないことばかりだもの」

    紬「これはまた物置の奥にしまっておこう?」

    唯「えー、せっかく面白くなってきたところなのにー」

    梓「たしかに何か起きてからじゃどうしようもありませんもんね。そうしましょう。律先輩もそれでいいですよね?」

    律(ホワイトボードの落書き……ほんとに消えてる。タイムスリップする前はちゃんとまだあったはずなのに……)

    律(てことは私がこれを過去で変えてくることができたってことか)

    梓「律先輩?」

    律「え? あ、うん。それでいいんじゃないか」

    梓「というわけで決定ですね」


    383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 21:55:26.34
    澪「これでよし、っと」

    唯「うえーっ、タイムマシン太がぁ……」

    梓「名前つけてたんですか……」

    律「よし、んじゃ今日のところは帰るか!」

    紬「今日はティータイムできなかった、残念……」

    律「んなの明日すりゃいいことだって」

    澪「あ、私明日用事あって部活いけない」

    唯「用事?」

    澪「うん、ちょっとね」


    384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 22:00:08.98
    2010年5月8日

    律「さーて、放課後だー! 部室いくぞー!」

    澪「あ、私は」

    紬「そういえば澪ちゃんには用事があったのよね」

    澪「うん」

    唯「澪ちゃんがいない……おぉ、なんと寂しきかなっ」

    律「ふっ、私がいるだろ。唯……」

    唯「きゅんっ! り、りっちゃーん……」

    律「唯……」

    澪「なにバカなことしてるんだ……それじゃ、私はここで」

    律「おう、それじゃあな」

    紬「じゃあね、澪ちゃん」

    唯「ばいばーい!」


    385 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 22:05:02.90
    軽音部室

    律「お、ムギー。コップ一つ多いぞー。今日は澪がいないからな」

    紬「あ! うっかりしてた」

    唯「もぉ~、ムギちゃんのうっかり屋ぁ」

    紬「えへへ」

    梓「澪先輩もいないし、今日は練習もできませんね」

    唯「今日もじゃないの?」

    梓「うっ……」

    律「それじゃあ、お茶飲み終わったら今日はてきとうにそこら遊び歩くか!」

    唯「あ、いいねぇ~!」

    梓「そうですね。たまにはいいかもです」

    紬「たまには?」

    梓「もうっ、さっきからイジワルしないでください!」


    387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 22:10:08.59
    ・・・

    律「いやぁ、楽しかった。もうこんな時間かよ……」

    ガチャリ

    律「ただい――」

    律母「はい、はい、そうですか……ええ、では……」

    律「電話? なんかあったの?」

    律母「律……」

    律母「……いい? 落ち着いて聞きなさいね。律」

    律「な、なんだよ……」

    律母「澪ちゃんが――――」


    390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 22:15:04.90
    澪が死んだ。

    下校途中、変質者か何かに刺されたらしい。

    信じられなかった。

    澪はさっきまであんなに元気だったじゃないか。

    嘘なんでしょ……ねぇ、澪。

    律母「ちょっと、しっかり!? 律!」

    律「だい、だ……大丈夫……大丈夫だ、よ」

    律母「少し横になって休もう? ね」

    律「いいよ……いい、大丈夫」

    律「わ、私が悪いんだ……澪を一人で帰らせた私が……」

    律母「そんなことないよ。あんたはなにも悪くない」

    律「っ……」


    391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 22:20:03.31
    2010年5月11日 葬式会場

    律「……」

    唯「み、おぢゃあんっ……」

    憂「お姉ちゃん、ハンカチ……はい」

    唯「ああぁぁっ」

    和「どうしてこんなことが起きちゃったのかしらね。こんな……」

    紬「私、犯人が許せないっ」

    梓「私だって、私だってそうです……」

    律「……」

    唯「りっちゃ、りっちゃんは悲しくないの……?」

    律「え?」


    393 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 22:25:10.77
    唯「だってさっきから黙ってなんか考えてるみたいで……」

    律「……そうか?」

    唯「うん」

    律「気にすんなよ。私のことなんか」

    唯「気にするよ……こんなときなんだもん」

    律「っ」

    律「うるさいな! ほっといてくれよ!!」

    唯「!」

    和「唯、律は落ち着きたいのよ。だから、ね?」

    唯「う……うん、ごめんね。りっちゃん」

    律「……」

    律(澪、お前は私がかならず助けるから……)


    395 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 22:30:03.86
    2010年5月11日 軽音部室

    律「……あった」

    物置の奥深くにしまいこまれたタイムマシン。
    私は迷いなくそれを手にとる。

    律(今の時間から飛べばちょうど授業が終わる頃だ)

    そういえば唯たちはタイムマシンで時間を遡って澪を助けようと思ってはいないのだろうか。
    突然のことでそんなこと、頭に思い浮かばなかったのかな。

    律「どっちにせよ、澪を助けるのは私だよ。私が澪を……」

    律「待ってろよ……かならず、助けるからな……」

    ポーン、ポーン、ピーン


    399 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 22:38:37.65
    2010年5月8日

    澪「なにバカなことしてるんだ……それじゃ、私はここで」

    律「おう、それじゃあな」

    紬「じゃあね、澪ちゃん」

    唯「ばいばーい!」

    ・・・

    澪「……」

    律「……澪」

    澪「!?」

    澪「り、律! お前、どうしてっ」

    律「一緒に帰ろうぜ」

    澪「帰るって……みんなは?」

    律「いいからいいから」

    澪「ちょ、ちょっと!?」


    401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 22:43:05.41
    >>400 ・・・見てみたいのかい?

    律「……」

    澪「……」

    律(たしか、澪はこの先の道で刺されたんだよな)

    律「澪、こっちから帰ろう」

    澪「な、なんだ、いきなり口開いたと思ったら……そっちからだと遠回りになっちゃうだろ?」

    律「たまにはいいでしょ? な」

    澪「あのなぁ、用事があるって……」

    律「お願い」

    澪「……り、律?」

    律「こっちから、帰ろう?」

    澪「……仕方がないなぁ。わかった」


    403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 22:48:14.89
    律(これで澪は刺されずに済んだ! 助かるぞ!)

    澪「なにニヤけてるんだよ、気持ち悪いな」

    律「へへ、ちょっとな~」

    澪「? へんな律……」

    澪「っと」

    律「どうしたの?」

    澪「靴ひもが……さき歩いてて」

    律「ん? ああ、うん……」

    ――グシャァッ。

    律「え?」


    407 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 22:54:10.46
    律「あ、あれ……澪」

    律「澪!? 澪どこ!?」

    「きゃあああああ!!」「ひぃっ……」

    律「……みお?」

    すぐそこに大きな看板が落ちていた。
    看板の下からは血が流れてきている。

    澪、澪はどこにいるの?

    澪……みお……?

    律「   」

    「女の子が看板の下敷きになってるぞ!!」「救急車! 救急車を!」

    「はやく助けてあげてえっ!!」

    律「……」

    律「あ」

    律「あああああああああああああぁぁぁぁぁぁっっっっ」


    412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 23:00:03.91
    「せーのっ!」

    ギギギギ、軋んだ音を立てて看板は男の人たちに持ちあげられる。

    「う、うあ……」「ダメだ……これは……」

    律「澪ぉっ!! みおぉぉっっ!!」

    「き、きみっ、ダメだ! 来ちゃいけない!」

    律「はなせっ! はなせって言ってんだろぉぉ!? うわああああ!!」

    律「なんでだよ!? なんで死んだんだよぉっ!?」

    律「どう……どうして――――」

    体に力が入らない。
    その場に崩れた私は目の前の血塗れた澪を見つめた。
    大好きな綺麗な顔はすでに綺麗な顔じゃなくなっていた。

    律「やめてくれよ……やめてくれよぉ……」


    416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 23:05:40.46
    2010年5月9日

    律「はぁ、はぁ……」

    部室には幸い誰もいなかった。
    澪が死んで次の日だ。当然と言えば当然だけど。
    ギターを取り出してきた私は慣れた手つきで弦を一本、一本弾いていく。

    ポーン、ポーン、ピーン

    律「あきらめないからな! 絶対死なせないからな!」

    律「澪――――」


    418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 23:10:07.03
    2010年5月8日

    律「こっちから帰ろう、澪」

    澪と一緒に下校するまでの流れは同じだ。
    今度はまた別の道を通ることにした。

    澪「こっちって……」

    澪「律。私、あんまりもたもたしてる暇ないんだぞ」

    律「大丈夫だよ。走ればすぐだ」

    澪「は、走るってそんな……って、ええっ!?」

    澪の手をとって走り出す私。
    今度は澪から離れない。
    この手を離すもんか。絶対に。


    421 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 23:15:02.94
    律「はぁ、はぁ……!」

    澪「り、律! ストップ!」

    澪「信号! 赤になってる!」

    律「え? あ、ああ……そうだな」

    澪「こっちは信号がたくさんあるからあんまり通りたくなかったのに」

    律「悪い」

    澪「別に、気にしてないけど」

    信号が変わるのを待つ時間すら今の私にはとても煩わしかった。
    こうしている間に澪がしん……ううん。

    しばらくして青になった信号。

    律「よし、また走るぞ。ほら、用事に遅れちゃ大変だろ」

    澪「あ、うん!」


    423 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 23:20:53.18
    急いで横断を済ませようと駆け出す私と澪。
    もちろん手は離していない。

    ――ドンッ。

    背中を突き飛ばされた。私が。

    振り返ると同時に今度は大きくドンッ、と鈍い音が聞こえた。

    律「え――」

    バイクだ。バイクが人を撥ねたんだ。

    誰を……撥ねたんだ?

    澪「あ……あぁ……」

    「大丈夫か!?」

    律「澪!?」


    424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 23:25:28.51
    倒れている澪に駆け寄った男を押しのけて、澪のところへ。
    まだ意識はあるみたい。だけど……目の焦点があってない。意識が朦朧としている。

    澪は「あ、あ」とかすれた声を絞り出している。
    頭からは血が止めどなく溢れていて……。

    律「澪! 澪ぉ!」

    澪「り……つ……?」

    律「死なないでっ!! 澪っ!! 嫌だよぉっ!!」

    澪「だ……だめだ、ぞ……? ちゃんと……まわり、みなきゃ……」

    そうだ、さっき私を突き飛ばしたのは澪だったんだ。
    私がバイクに撥ねられそうになったのを澪が助けて……庇って。

    死んだ。

    澪はピクリとも動かなくなった。相変わらず血は溢れたまま。

    「きゅ、救急車を……」

    律「どうして……澪……」


    426 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 23:30:06.34
    2010年5月8日

    澪「……」

    律「……み、お」

    澪「ひっ!? ってなんだ律か……なに暗い声だしてるんだ?」

    またタイムスリップしてきた。
    いつ澪が死んでしまうのか気が気でない。
    澪に話しかけることだって今の私には怖かった。

    律「帰るの……?」

    澪「さっきもそう言ったじゃないか。用があるって」

    律「用って? 用ってなんなんだ?」

    この用事のせいで澪は帰らなきゃいけなくなるんだ。
    澪が死ぬのはこの用事のせいだ。ということはその用事を澪から断てばいいんだ。

    澪「律に言う必要ないだろ」

    律「教えろっ!!」

    澪「!」


    427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 23:35:03.91
    澪「り、律……怖いよ……」

    律「悪かった。ごめん……」

    律「でも、教えてくれないか? どうしても知っておきたいんだ」

    澪「えー……んん」

    律「頼む」

    頭を下げて必死に懇願する私。
    澪は困ったように私を見て。

    澪「別に、大した用じゃないよ」


    428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 23:40:06.07
    澪の用事は本当に些細なことだった。

    髪を切りにいく。

    長髪に飽きたというか、イメチェンを図ろうとしていたんだ。

    澪「美容院に予約入れといたんだ。だから急いでたんだよ」

    律「そんな……」

    私にとってこれは些細なことなんかじゃない。
    私は澪の長くて艶がある髪が大好きだった。

    律「いいじゃんか! 長いままで!」

    澪「これが意外と面倒なんだよ。それに昔からずっとこのままだったし」

    律「……いつ美容院に予約したんだ?」

    澪「一昨日の夜かな。それじゃあ、そろそろ私……」

    律「ほ、本当に切っちゃうのか? やめようよ……」

    澪「律には関係ないだろ、私の髪のことなんて。それじゃあ」

    律「あ……」

    私の言うことを適当にあしらって澪は行ってしまった。


    429 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 23:45:04.87
    2010年5月6日

    8日からタイムスリップしてきた。もう日も暮れてきている。

    部室から出た私はすぐに澪の家へ向かった。
    呼び鈴を鳴らすと、しばらくして澪が現れる。

    澪「律、どうしたの?」

    律「あ、えっと……」

    澪「?」

    律「わ、私ね……澪の」

    澪「私の?」

    律「長い髪が……大好き」

    澪「はぁ?」


    433 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 23:50:17.13
    澪「とにかく上がりなよ」

    何も聞かずに私を家の中へ通してくれる澪。
    部屋に着くと私はベッドの上に座った。ここが私のいつものポジションなんだ。

    澪「で?」

    律「え……?」

    澪「さ、さっきの……その、私の髪が……なんたら……」

    赤面してもじもじとする澪。
    あいかわらず照れ屋だ、澪は。

    律「澪、その髪……切る気だろ?」

    澪「え!? 律に話したっけ?」

    律「あ……その、なんとなく」

    澪「?」

    律「ほ、ほら! 幼馴染……だし」

    澪「……そっか」

    一言そう言って、微笑んでくれる澪が眩しかった。


    437 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/25(土) 23:59:52.99
    律「なにか悩みでもあったのか? し、失恋?」

    澪「ううん、別に」

    澪「ただイメージ変えてみたいな、って」

    澪が話してくれたことはタイムスリップ前に私に言ってくれたこととまったく同じだった。
    澪は雑誌を手にとって広げ、私に可愛らしい髪型をしたモデルの写真をにこにこと見せてきた。

    律「澪は、こんな髪型が好きなんだ」

    澪「いいと思わない? ……似合わないかなぁ」

    律「そんなことないよ。澪はなんでも似合うと思う」

    言ってからハッとした。これじゃあ髪型を変えることに賛成してるようなものじゃないか。
    私からそう言われた澪を満更でもなさそうに喜んでくれた。

    澪「律がそう言うなら――――」

    律「でも!」

    439 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 00:05:08.04
    澪「え?」

    律「でも」

    律「私はやっぱり、今の長い髪のが……好きだし、似合ってると思う」

    澪「……そう?」

    律「……うん」

    澪はしばらく、じっと黙って考え、私を見てこう言った。

    澪「じゃあこのままにしとくよ」

    律「え」

    澪「なんだよ、ダメなのか?」

    律「ダメとか……いや、その」

    律「いいの? 私からそんなこと言われただけでやめちゃうなんて……」

    澪「律のセンスに任せるってことだ」

    人指し指をピンと立て、そう私に言ってみせる澪。
    偉そうにしているその姿がやけに愛らしくて、抱きしめたくなった。

    442 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 00:10:02.17
    律「……澪、お前って」

    澪「うん?」

    律「かっわいいなっ!」

    澪「ななな、なにっ、いきなり!?」

    律「でも本当によかったのか?」

    澪「しつこいなぁ。いいよ、切らない」

    澪「律が切らないで、って言ってるんだし」

    律「そっ、か……澪は単純だな!」

    澪「なんだと!」

    律・澪「……ぷっ」

    律・澪「あはははははっ」


    448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 00:15:02.24
    澪「ほんとに帰っちゃうのか?」

    律「うん。もう遅いし。家の人にも迷惑かけちゃうだろ」

    澪「そんなことは」

    律「それじゃ、澪! おやすみ。また明日な!」

    軽く手を振って、その場を後にする。

    これで、澪の明後日の用事はなくなった。
    一人で帰ることなく、私たちと一緒にいつもの変わらない時間を過ごせる。
    助かるはずだ。今度こそ。

    律(しっかし……)

    律「自分んちに帰るわけにはいかないよな」

    この時間には私が二人いることになる。もちろんこの時間から見れば私の存在の方が異端だ。
    なにせ未来から来たんだからな。

    ……つまり、私には今帰る家がない。


    450 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 00:18:01.93
    澪が無事に9日を過ごすことを確認しなきゃ、もとの時間に帰るに帰れない。

    律(11日だったよな、元の私がいた時間は)

    律「とりあえず9日までどこかに……」

    サイフを忘れてきた私にホテルに泊まる、という手段はなかった。
    誰かの家に泊めてもらうにしても、もしものことを考えるとそんなことはできない。
    とすると……。

    律「野宿、か」

    そこらの公園に入ると、トンネルが掘られた小山を見つけた。
    ここなら雨風も少しは凌げるし、人目にもつかないはず。
    トンネルに入って腰を下ろした私は一息ついて、澪の家での出来事を思い出す。

    律「澪の笑顔はやっぱり好きだ」

    澪の笑顔を思い浮かべると、同時に澪の死に顔も浮かんだ。
    それを忘れようと必死に頭を振った。

    律「あんなの認めない! 澪は死なないんだ。絶対……」

    膝を立てて、体を丸めた私は溢れる涙を止めようと腕に目頭を押さえつける。
    漏れる泣き声を押し殺し、涙を静かに流し続ける。止まらないんだ、これが。
    この日の夜は流れる時間がとてもゆっくりに感じた。


    452 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 00:23:05.11
    2010年5月9日

    私はこの日が来るまで待ち続けた。
    澪の運命が決まる日だ。

    放課後になったことを見計らって学校にこっそり忍び込み、部室をドアガラスから覗く。
    いた……澪がいた。私たちと楽しげに談笑している。
    その姿が見れただけでも私は安心することができた。

    律(澪……よかった)

    すると、中から澪の声が「ちょっとトイレに」
    その声を聞くとすぐに私は階段を下り、隠れた。
    しばらくすると澪が一人で階段を下りてきて、トイレに向かったのが見えた。
    私はこっそり澪の後を追い、トイレの前で待ち伏せた。
    出てきた澪を驚かせやろうという魂胆だ。

    律(澪のやつ、きっと驚いて腰抜かすぞー。あ、でもショック死したりしないよな……)


    453 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 00:28:03.88
    しばらくして、澪がトイレから出てきた。
    水場で手を洗って、部室に戻ろうとしたところを……

    律「みーおっ」

    澪「律? どうしたの」

    律「ちょっとねー」

    澪「なんだよ?」

    律「えへへ……」

    澪「変な律。ほら、部室に戻るぞ」

    律「え、ああ、うん」

    さすがにこのまま一緒に戻るわけにはいかない。
    てきとうなところで逃げだそう。

    ……よかった、澪が無事で。


    454 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 00:33:09.27
    澪「……」

    律「?」

    突然澪が立ち止まり、無言になる。
    そんな澪の顔を覗き込むと――

    澪「っ」

    澪が胸を抑えて、こと切れた様にその場で崩れた。
    どさっとした音に何が起きたかわからなかった私は唖然とする。

    律「澪……?」

    澪「  」

    律「おい、私を驚かせようってか? 変な冗談はよせよ」

    澪「  」

    律「もういいって、わかったよ。驚いたって。私の負けだよ」

    澪「  」

    律「だから……起きてくれ……ねぇ、みおぉ……」


    458 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 00:38:08.51
    澪はまた死んだ。

    澪の死を確認した私は朦朧としながら、時間が流れるのをてきとうな教室で待ち、
    部室へ戻った。
    もちろんまたタイムスリップするためだ。

    澪を助けるため、私は何度でも時間を遡って、考えうる手段全てを試した。

    ……全部だめだった。

    澪は助からなかった。

    何をしても助かることはなかった。

    だけど、何度も澪の死を確認してあることに気がついた。


    461 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 00:43:30.53
    >>460 書いてない

    澪が死ぬ時間は決まって16時14分。

    これを知ったと同時に私は絶望した。
    どうあがいても澪が死ぬ運命に。

    律「どうして澪がこんな目に……」

    冷たくなった澪をやさしく抱えてすすり泣く。

    律(私が今までしてきたことは全部無駄だったのかな)

    ――Prrr、Prrr

    私のポケットの中から着信音が鳴り響く。
    携帯を取り出して無意識に通話ボタンを押して、片耳に携帯をあてる。

    『もとの時間に一度帰って来なさい。教えることがあるの』

    どこか聞き覚えがあるような声だ。
    その言葉を頼りに私は私の時間へ跳んだ。


    462 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 00:48:01.51
    2010年5月11日 軽音部室

    戻ってきた私を迎えてくれたのは

    さわ子「おかえり、りっちゃん」

    さわちゃんだった。

    律「……なんだよ」

    さわ子「よく今まで頑張れたなと思うわ。あなたのこと」

    無表情のまま私を見据えて、淡々と喋るさわちゃん。
    その姿からはいつものさわちゃんを感じさせられなかった。

    さわ子「でもね、そもそもの原因はあなたなの。りっちゃん」

    私?

    さわ子「あなたが自分で、澪ちゃんが死んでしまう世界へ変えてしまったの」

    さわ子「なにもしないで過去から帰ればよかったのに。好奇心に負けてしまったあなたは」

    何を言っているかわからない。

    さわ子「――ホワイトボードの落書きを消してしまった」

    律「!!」


    463 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 00:53:03.70
    思いだした。
    あの時……5月4日私はもう一人の私と会った。
    そこで言われたことを思い出す。

    「落書きを絶対に消すな」

    さわ子「あなたがもといた時間と過去で矛盾が生じるとね、その矛盾を消すためにもう一つの世界が生まれるの。そしてその世界へ移る、いわゆるパラレルワールドよ。運が悪かったことにあなたが辿り着いた世界は澪ちゃんが5月9日16時14分に死ぬという運命が存在していたの」

    律「た、たった落書きを消すだけの行動ってだけで!?」

    さわちゃんは何も言わずにこくりと頷く。

    律「それだったら私は――ううん、未来の私だって澪の机の中に落書きを書いた紙を!」

    さわ子「もちろん。その行動でだって十分パラレルワールドができるわ。つまり、あなたが何もしなくても未来のあなたがすでに……」

    律「そんな……」

    さわ子「そして追い打ちにあなたはホワイトボードの落書きを消した」

    律「……いや、でもおかしいぞ!」

    律「私が落書きを消す前に未来の私が現れたんだ! それはどういうことだよ!?」


    464 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 00:56:41.01
    さわ子「消す前に現れた、ということはもう既にあなたはそれを消すということが確定していたの。だからこの未来のあなたが現れた」

    さわ子「すぐにもとの時間へ帰らなかった時点でもう……」

    律「あ……ああ……」

    なんてことだ。
    澪を殺したのは他でもない――

    律「――私、だったんだ」

    その場に崩れた私は全てを知った様に語るさわちゃんに縋った。

    律「助けて、助けて……さわちゃん」

    さわちゃんは何も言わずに悲しげに首を横に数回振る。
    そして、

    さわ子「あなたのせいだなんて言ってごめんなさい。全ては私の責任だった……私がいけなかったのね……」

    悲しげにタイムマシン……ギターを見つめ、一筋の涙を流す。

    律「……どういうこと、だよ」

    さわ子「……」

    それ以上さわちゃんが口を開くことはなかった。


    465 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 01:00:01.39
    無言で立ちあがった私は、タイムマシンのもとへ。

    さわ子「無駄よ」

    無視する。

    さわ子「もうやり直せないの」

    無視する。

    さわ子「落書きを消す自分を止めにいくんでしょう」

    律「ちょうど今の時間ぐらいにそうしようとしてたからね」

    さわ子「止められないわ。絶対」

    律「やってみなきゃわからないだろ!?」

    さわ子「わかってるの」

    律「うるさい!!」

    慣れた手つきで弦を一本、一本鳴らしていく。

    ポーン、ポーン、ピーン…

    さわちゃんの声が聞こえた。
    「ごめんなさい」って。


    470 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 01:05:11.70
    2010年5月4日 軽音部室

    「とりあえずホワイトボードの落書き全部消しとくか」

    いた、私だ。
    なんてバカなことをしようとしているんだ。
    それは澪を殺すことなんだぞ。

    やめろ……やめろ……

    律「やめろ!」

    「え?」

    何マヌケな声だしてんだ。

    「だれ―――――っ!?」

    私だよ。

    「う、うそだろ……」

    うそじゃねーよ。

    律「いいか、それを消すなよ……絶対に消すなよ」

    「フリ……?」


    472 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 01:11:14.69
    今思い出した、和ちゃん誕生日おめでとう!

    「ってそれどころじゃない!」

    そうだよ、それどころじゃないんだ。

    「お前なんなんだよ!?」

    律「……」

    こいつっ。

    「その顔……」

    律「私は未来から来たあんただよ。田井中律」

    「うそ……」

    律「うそじゃない。それよりも」

    律「それを……落書きを絶対に消すな」

    ジリジリと過去の私に近づきながら、制止を試みる。

    「な、なんだよ……いきなり現れてそんなこと言われても」

    うるさい! 黙れ!

    律「黙って言うとおりにしてさっさと元の時間に帰れ!」


    474 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 01:15:03.18
    そう言われた過去の私は顔をしかめる
    ……と思いきや悪だくみでも考えた様な顔で、

    「へー、消したらなんかまずいんだ?」

    まずい。まずいんだ。

    律「……」

    「……えいっ」

    やつはホワイトボードの落書きの一つをさっと消した。

    律「っっ!? や、やめろぉっ!」

    飛びかかり、やつとの取っ組み合いの形になる。
    ここでこいつを止めなきゃ、澪は……澪は……!

    「なんだよっ、落書き消してるだけだろ!? はなせよっ!」

    取っ組み合いの末、肉体的にも精神的にも疲れ切っていた私はやつからあっさり突き飛ばされた。
    床に思いっきり体を打ちつけると同時、全身に痛みが走る。


    477 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 01:20:07.05
    律「っ!?」

    こんな痛みぐらいと体を動かそうとすると、なんでかな。
    体の自由がまったく効かなかった。まるで誰かに押さえつけられてるみたいに。

    「ぜーんぶ消してやるからな!」

    突き飛ばした私を見るやいなや、勝ち誇った顔で落書きを次々と消していった。

    消される……澪が…………澪が消される!

    律「か、体が……うごかっ……!」

    動け、動けよ私の体!
    どうしたんだよ!?

    澪が……澪が――――

    「ほい、ぜんぶ綺麗に消しちゃったぜー」

    479 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 01:25:05.44
    律「なんてこと……してくれてんだよ」

    お前は大切な、大好きな、親友を今殺したんだぞ……。
    なにへらへら笑ってんだよ……。

    律「ああああああああっっ!!」

    「ひっ」

    まだだ、まだ私はやれる。

    澪のためなら、私はまだやれる。

    律「もう一度……もう一度戻らなきゃ……」

    「お、おい? 未来の私?」

    すぐにタイムマシンを手に取った私は御馴染の動作で1日前へ飛ぶ。
    先回りして何とかするんだ。大丈夫、なんとかやれるさ……。

    律「待ってろよ……かならず、助けるからな……――――――」

    480 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 01:30:04.17
    結果は何度やったって同じだった。

    私は私を止めることができなかった。

    先回りしたって無駄だった。
    どんなことをしたって最終的には私にホワイトボードの落書きを消される。
    力づくで止めようとすればまた何かの力に押さえつけられて終わる。

    律「……」

    疲れた。

    もう疲れたよ、澪。

    私もうダメだ。何しても無駄みたい。
    もういいよね、澪。私、がんばったよね。

    律「みお、みお、みお、みお、みお、みお、みお、みお、みお……」

    ピーン、ピーン、ポーン



    482 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 01:35:03.71
    2010年5月3日

    唯「じゃあね~」

    梓「また明日!」

    紬「ばいばいー」

    律「おー、んじゃ帰ろっか、澪!」

    澪「そうだな」

    律「……そうだ、忘れてた!」

    澪「え?」

    律「明日さ、私に勉強教えてくれよ」

    澪「あー、テストも近いしなぁ」

    澪「それじゃあみんなも呼んで――」

    律「いや! 澪と私の二人っきりがいい~」ギュッ

    澪「ばか。……まぁ、たまにはいいか」

    律「やりぃー!」


    486 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 01:40:23.35
    律「それじゃあ明日頼んだからな~!」

    澪「ふふ、うん。わかったから真面目に勉強しろよ?」

    律「まっかせとけって!」

    澪「不安……じゃあな、律。また明日」

    律「おう! じゃあな!」

    律「言ったからには真面目にやらないとな。よし、がんばるぞ――」

    ――ガシッ。

    律「!」

    「お前はいいよな。そんな風にいられてさ」


    487 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 01:45:03.67
    律「だ、だれ……だよっ?」

    問いかけに答えることなく、そのまま人目がない場所へ連れていく。

    律「な、なにする気だよ……大声だすぞっ」

    強がってそう言っているものの、その声は震えていた。
    目にも涙が浮かんできている。
    所詮女か。

    律「か、顔見せろよっ……卑怯だぞ……」

    私は今、深く帽子を被って俯き加減だ。目元ぐらいなら隠せているだろう。

    律「あああ、雨も降ってないのになんでレインコートなんて着てるんだよ……!?」

    そう、レインコートを羽織っている。安物だけど、汚れから身を守る程度なら十分だ。

    律「その……その、手に……持ってるシャベルは……?」

    「もうわかってるだろ」

    律「ひっ……」

    「返せよ、澪の隣は私のもんだ……お前のじゃない。返せよ」

    「返せよっ!!」

    被っていた帽子が落ち、私の顔が露わになる。


    490 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 01:50:48.72
    律「!!」

    律「わ、わたし…………?」

    「返せぇっ!」

    ――ガツンッ。

    手に持ったシャベルで頭に一撃。嫌な感触がシャベルを伝って手に伝わった。
    「ぐぇ」と短く言葉にすると、その場でふらつきながら地面にへたり込む。

    律「やっ、め……」

    「私の場所だぁっ!」

    ――ガツンッ。

    もう一撃。
    殴られた箇所は赤黒く滲み、じわりと血が垂れる。

    「邪魔だぁっ! お前は邪魔だぁっ!」

    ――ガツンッ、ガツンッ、ガツンッ。

    ピクピクと痙攣しているにも関わらず、私はこいつを殴り続けた。

    律「あぐ……げ……」

    「はぁ、はぁ……」


    493 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 02:00:23.23
    すぐにその場に穴を掘り、こいつを羽織っていたレインコートごと穴の中へ放りこんだ。
    レインコートは所々に血がついている。汚いなんてもんじゃない。

    律「あ……ああ……」

    「もう虫の息ってところだな。どうだよ、自分に殺される気分は」

    返事はない。目だけをを朦朧と動かして私を探している。

    「……」

    私は澪だけじゃなくて、私すら殺してしまうのか。

    だけどこいつを殺せば私がホワイトボードの落書きを消すことがなくなる。

    「つまり、澪も助かるってわけだ……」

    律「み……お……み、お……?」

    澪、という単語に反応したのか。
    虚ろな状態でこいつは澪と呼び続けた。

    「安心しろよ。これからも私が澪と一緒に過ごすからさ……」

    土を被せて、埋めていく。
    まだ微かに息はあるみたいだけど、しばらくしたらこいつは死ぬだろう。

    「あばよ、大バカ」


    495 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 02:05:15.35
    帽子もシャベルもそこらの雑木林に投げ捨てた。
    落ちているバッグを拾い、背負う。

    「これでよかったんだ。これで――――」

    ・・・

    ・・・

    ・・・

    律「あれ、私……」

    ふと気がつくと見知らぬ場所に一人でポツンと突っ立っていた。

    律「こんなとこで何してんだ?」

    携帯で時間を確認するとだいぶ遅い時間だった。

    律「げっ、そろそろ帰らないと」

    律「……」

    この薄暗くて不気味な場所から早く逃げ出したいと思った。
    ここは嫌だ、気分が悪くなってくる。

    律「……帰ろっと」


    500 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 02:10:05.50
    2010年5月4日 市民図書館

    律「澪ー、全然わかんないんだけど」

    澪「だから教えてやってるんだろ……いいか、ここは」

    律「……えへへ」

    目の前にいる澪の長くて綺麗な髪を撫でる。
    窓から入る日の光が髪に当たって、とてもキラキラしているように見えた。
    澪はばつの悪そうな顔をするけど、黙ってほっぺたを薄ら赤く染めて、私にされるがまま髪を撫でさせた。

    澪「……なんだよ」

    律「別に~」

    私と澪だけのあたたかい時間がゆっくり、ゆっくりと過ぎていく。
    そのゆっくりでさえ、私には早く感じてしまうけれど。
    このまま時間が止まっちゃえばいいのになぁ。

    澪「――――ねぇ、律の手……」

    律「え?」




    澪「血の匂いがする――――」

    BADEND1

    506 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 02:19:10.38
    >>77から続く

    2010年5月8日 平沢家

    『ドラえもーん!』

    『そうだ! タイムマシンを使おう!』

    憂「そんなものが本当にあったら便利なのにね」

    唯「むふふぅ」

    憂「ん?」

    唯(それがあるんだなぁ♪ でもみんなには内緒にしろって言われてるから)

    憂「どうかした?」

    唯「いいえー(ごめんねぇ憂)」

    唯「きっとタイムマシン、いつかできると思うよ!」

    憂「うふふ、だったらいいなぁ」


    509 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 02:23:02.50
    唯「憂はタイムマシンがあったら何がしたいの?」

    憂「一昨日のスーパーのバーゲンセールに行きたいかも」

    唯「えー、そんなもん?」

    憂「だめかな?」

    唯「過去でも未来でも、どこでも行けるんだよ? もっと色々あるって」

    憂「じゃあ未来にいってお姉ちゃんの子どもでも見てこよっかな」クスッ

    唯「いるかなぁ」

    憂「どうだろうね。きっと可愛いと思うよ」

    唯「でも私じゃなくて父親のほうに似てたら?」

    憂「それでも可愛いよ」

    唯「そっかぁー、よかったぁ」


    514 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 02:26:49.38
    ・・・

    ガチャリ

    唯「ふぁ~……憂とお喋りしてたらもうこんな時間になってたとは」

    唯「寝ちゃお、寝ちゃお~!」

    唯「あ、でも歯磨きちゃんとしておかないと」

    唯「虫歯は無視できない、なんちゃってー……」

    ガチャリ

    シュッ

    ?「こ、ここは……」

    518 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 02:31:11.02
    申し訳ないが寝させてちょうだい。ごめんね。
    早く起きて朝からちょっとやることがあるの
    続きは明日の11時あたりには投下する予定です


    549 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 11:06:21.75
    ガチャリ

    唯「よし寝るよー!」

    「お休みの前に少しお話させてもらってもいいですか」

    唯「……え」

    梓「……えっと、こんばんは。唯先輩」

    唯「あずにゃーん! あーずにゃーん!」ギュッ

    梓「ちょ!?」

    唯「寝る前にあずにゃんに抱きつけるとは幸せですなぁ、むふふ」

    唯「……あれ」

    唯「でもなんであずにゃんが今ここにいんの!?」

    梓「気づくの……遅いです」


    550 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 11:10:06.52
    唯「まさか窓から忍び込んだとか! えー、うっそー!」

    梓「勝手に変な想像しないでくださいよ!」

    梓「いいですか? 私は未来から来た中野梓です。タイムスリップして」

    唯「未来あずにゃん!?」

    梓「……」

    梓「話、進めてもいいですか?」

    唯「あ、ごめん! どうぞどうぞ!」

    梓「……まずはどうしてここに私が現れたのかを説明します」

    梓「私の時間のタイムマシンはもうガタがきてて、ていうか壊れちゃったというか……まぁ、よくわかってないんですけど」

    梓「年月日に場所と時間、それらが指定できずにランダムに跳ばされてしまう状態なんです」

    唯「……へぇー」

    梓(絶対この人理解してない)


    552 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 11:15:18.16
    梓「さっき、勝手に申し訳なかったですけど唯先輩の携帯の日付を確認させてもらいました……2010年の5月8日、間違いないですよね?」

    唯「もうすぐ9日になるよ」

    梓「それはいいから! 間違いないんですよね!?」

    唯「えー……うん」

    梓「……ここまでたどり着くまで予想外に苦労しませんでしたよ。運よく最初に辿りつた時間がタイムマシンが正常なときでしたから。あとはある程度皆さんがタイムマシンについて知識があった時間に跳んできたんです」

    梓(でもおかしいんだよね……あの時間のタイムマシンは確かに正常だったはずなのにどうしてこんな夜に、しかも唯先輩の部屋に来ちゃったのかな)

    唯「……もしかして、あずにゃん。とんでもなく危ないことしてたってこと?」

    梓「はい。かなりの賭けだったと思います。でもそれぐらいの覚悟は……」

    ギュッ

    唯「よかったぁ……あずにゃんが無事でよかったぁ……」

    梓「また抱きつく……もぉ、唯先輩は変わりませんね……」


    553 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 11:20:13.39
    唯「でも」

    唯「そこまでしてタイムスリップしてやりたかったことって何なの?」

    梓「……はい」

    梓「そもそも、私は未来の私と言ってもそう遠くに存在する中野梓じゃないんです」

    梓「2010年5月24日から来ました」

    唯「あれ、ほんとにそこまで遠くないかも」

    梓「ここからが重要です。ていうか……これから私が話すこと、信じてくれますか」

    唯「あずにゃんがここまで来てウソつくはずないもん。信じるよぉ」

    梓「……ありがとうございます」

    梓「唯先輩。それに、律先輩に澪先輩、ムギ先輩は……」

    梓「5月22日に……4人ともそれぞれ死んでしまいます」

    唯「はい?」


    555 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 11:25:21.47
    唯・梓「……」

    梓「唯先ぱ――」

    唯「またまたぁ~あずにゃんったら冗談キツいんだからぁ~」

    梓「冗談じゃありませんっ!!!!」ドンッ

    唯「!」

    梓「……信じてください」

    唯「う、うん……」

    梓「このままじゃ、先輩方は死んでしまうんです。死因は……もう覚えてません」

    唯「覚えてないって?」

    梓「何度も何度も救おうと22日にタイムスリップして皆さんの様々な死に方を見てきましたから……」

    唯「うげっ……」


    557 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 11:30:34.14
    梓「22日に死ぬことはもう決まった運命みたいなものなんです。だから救いようもない」

    唯「じゃ、じゃあ私たちこのまま死んじゃうのを待ってることしかできないの!?」

    梓「そうさせないために私がわざわざ苦労してタイムスリップしてきたんですよ。唯先輩」

    唯「あ……そっか! じゃあ方法があるんだね!」

    梓「ええ。ただ成功するかはわかりませんけど」

    唯「ダメじゃん!」

    梓「それしか方法がないから仕方がないでしょう!? グダグダ言わないでっ」

    唯「ううっ……」

    梓「とにかく、やっとこの話をまともに話すことができる時間の先輩に会えたんです。もうやってもらうしかありません」

    唯「い、今すぐ?」

    梓「ううん。明日、先輩方にまとめてもう一度この話をしてからです。さすがに唯先輩だけに任せるのは不安だから」

    唯(このあずにゃん、いつにもましてビシビシ言ってくるよぉ……)


    559 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 11:35:51.53
    梓「……ごめんなさい。急に色々言われたって混乱しちゃいますよね」

    唯「まぁ、よくわかんないけど」

    唯「あずにゃんが一生懸命私たちのために頑張ってくれてるんだもん! だったら先輩としてちゃんとそれに応えなきゃ」

    梓「唯先輩……」

    唯「そういえばみんなに会って大丈夫なの? 未来のあずにゃんが」

    梓「タイムマシンのことをこちらの皆さんは既に知ってることだし、大丈夫だとは思いますけど」

    梓「ていうか今さらそんなこと気にしてられないし……というかこうして唯先輩に会っちゃってるし」

    唯「あ」

    梓「心配することはありません。もちろんこの時間の私と会うことになるのも覚悟してます」

    梓「私ならきっと大丈夫なはず……はず」

    唯「自信ないのぉ?」

    梓「うーん……」


    560 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 11:40:17.29
    梓「ところで、私しばらくこの家に寝泊まりしても構わないでしょうか?」

    梓「このままじゃ帰るにも帰れなくて……」

    唯「うん! いいよ! ていうか大歓迎!」

    梓「あ、ありがとうございます!」

    唯「でも憂に見つかると色々面倒かなぁ」

    梓「見つからないようなところで寝ればいいんです。例えばクローゼットの中とか」

    唯「そんなのあずにゃんがかわいそうだよ……いい。一緒に寝よう? 憂に見つかったら私がなんとかしてあげるし、憂だって話せばわかってくれるよ」

    梓「まぁ、それはそうかも……ていうか一緒に?」

    梓「同じベッドの上で……並んで寝るってことですか?」

    唯「あったりめーよ!」


    561 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 11:45:16.23
    ・・・

    梓(けっきょく)

    梓(こうなっちゃうか……)

    唯「あずにゃーん、すりすり~」

    梓「い、いい加減寝てくださいよぉ……」

    唯「もちょっと、もちょっとー」

    梓「むぅ……」

    唯「……ね、あずにゃん」

    梓「え?」

    唯「今まで寂しい思いさせちゃってごめんね」


    562 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 11:50:34.65
    梓「そんな……別に……。ていうかこっちの時間の唯先輩は関係ないじゃないですか……」

    唯「まぁ、それはそうなんだけど……」

    唯「あずにゃんは私たちのためにいっぱい頑張ってくれたんだよね。私、よくわかんないけどほんとに嬉しいんだよ?」

    梓「……」

    唯「ぜったい、ぜったいのぜったい。私は、ううん、私たちは」

    梓「……」

    唯「あずにゃんを一人ぼっちになんかさせないから、安心して」

    梓「……」

    梓「あの」

    唯「うん?」

    梓「……抱きしめて、唯先輩」

    唯「うん」ギュッ


    565 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 12:00:07.05
    2010年5月9日

    憂「お姉ちゃーん、朝だよ。起きて」

    唯「ん、んー……」

    憂「ほら、遅刻したら大変だよ?」

    唯「あずにゃ……あーずにゃん…………はっ!」

    唯「う、憂!」

    憂「え?」

    唯(もしかして、あずにゃん見つかっちゃったかな)

    唯「ねぇ、憂。あずにゃん」

    憂「うん?」


    566 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 12:05:09.81
    憂「梓ちゃんがどうかした?」

    唯「え、あ……あれ?」ガサ

    唯(なにこのメモ?)

    ―やっぱり憂にバレて色々説明するのも面倒だと思うので、さきに外に出ていますね。どこかで時間を潰そうと思います―

    唯「ありゃ」

    憂「なに? そのメモ」

    唯「な、なんでもない!」

    唯「それより朝ご飯食べようよぉ。私、お腹ぺこぺこ!」

    憂「そうだね。じゃ、早く起きてきてね」

    唯「はーい」


    569 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 12:10:01.27
    2010年5月9日 教室

    唯(未来あずにゃん、どこ行ってるのかなぁ)

    紬「唯ちゃん?」

    唯「ほえ?」

    紬「あの、タイムマシンはこれからどうなっちゃうんだろねって」

    唯「そうだねぇ……ムギちゃんはどうなってほしいの?」

    紬「誰かの幸せのために使えたらなー……なんて」

    紬「本当のこと言っちゃえば、全然わかんない」

    唯「私もかな、えへへ」

    紬「ふふっ」

    紬「タイムマシンって……誰が作ったのかしら?」

    唯「へ?」


    572 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 12:15:05.24
    澪「唯、ムギ、おはよう」

    律「二人でなに話してたー?」

    唯「おはよー。えっと、なに話してたんだっけ」

    紬「別に大した話じゃないわ」

    律「そう? そういやさ、さっき梓に会ったの。あ、学校の外でな」

    紬「えっと、それが?」

    律「うん。とりあえず声かけたんだけどさ、私と澪の姿見た瞬間すんごい嬉しそうにして」

    澪「ふふ、可愛かったな」

    唯「まさか!」

    律「ん?」

    唯「あ、なんでもないっ」


    573 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 12:20:02.44
    律「んでんで、今度は放課後大事な話があるから覚悟しててくださいって、すんごい真面目な顔して言ってきたのよ」

    紬「大事な話……何かしらぁ」

    澪「最近部活真面目にしてないから、梓怒ってるのかな」

    唯「そ、そんなことないと思う!」

    澪「そう?」

    律「どうだかなぁ。とりあえずその後梓どっかに走ってっちゃって……あいつ、学校サボる気なのかね」

    紬「梓ちゃんはそんなことする子だとは思わないけれど」

    律「まぁねぇ……なんだったんだろ、梓のやつ」

    唯(たぶんそのあずにゃんって未来あずにゃんだよね……?)


    574 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 12:25:18.25
    軽音部室

    ガチャリ

    梓「あ……」

    紬「あら、梓ちゃんが一番だったのね」

    律「梓はやいなぁ、気合い十分ってところか」

    澪「梓ごめんな。私たち真面目に練習するから」

    梓「え?」

    唯「あ、あずにゃん!」

    梓「はい!?」

    唯「あの話、みんなちゃんと信じてくれるかなぁ」ヒソヒソ

    梓「は……?」

    梓「……あの、皆さん。さっきからいきなりどうしたんですか?」

    「え?」


    575 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 12:30:30.11
    澪「大事な話があるとか朝言ってただろ?」

    唯「そうだよ! とっても大切な話でしょ!?」

    梓「え? えぇ?」

    紬「梓ちゃん?」

    梓「む、ムギ先輩?」

    唯「あーもうっ! 大丈夫だよ! みんなあずにゃんの話、きっちり聞くから!」

    梓「えぇー……」

    梓(この人たち……私に何を求めているんだろう)

    梓(ま、まさか! 私、試されてる!?)

    梓「えっと、えっと……」アタフタ

    ガチャリ

    梓「遅くなっちゃったかな……あ、みんないる」

    律・澪「え」

    紬「あ、あれ……あれ?」

    梓「私!? 私がもう1人!?」


    577 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 12:35:11.83
    ・・・

    律「つまり」

    律「お前は未来の梓なのか」

    梓「はい」

    澪「ということは私たちが朝会った梓は」

    梓「私ですね」

    唯「もうっ、紛らわしいよぉ」

    梓「でしょうね……ごめんなさい」

    紬「そ、それよりこっちの梓ちゃんが」

    梓「あわわわわ……」

    律「ん? こっちは今の時間の梓でいいんだよね?」

    梓「はっ、はい!」

    律(本当に紛らわしいな……)


    578 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 12:40:02.28
    唯「そうだ!」

    「?」

    唯「じゃんじゃじゃーん!」

    梓「シールですか?」

    紬「それがどうかしたの?」

    唯「これを未来あずにゃんのほっぺに貼りつけると……ほら!」

    澪・律・紬「おぉ~」

    み梓(未来)「わかりやすくなったのはいいですけど、別にシールじゃなくたって」

    唯「でも可愛いよぉ~」

    律「似合ってるな、たいへんよくできましたシール」

    み梓「……」ムカッ

    梓「あ、あの、私のこと忘れてませんよね……?」


    580 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 12:49:34.60
    み梓「それで、皆さん」

    梓「それって私も含む?」

    み梓「うん」

    梓「ほっ……」

    律「で、なんだよ? あるんだろ? 大事な話が」

    唯「う……」

    澪「どうした唯?」

    み梓「唯先輩には昨日の夜に説明したんです」

    梓「唯先輩の家に行ったの!?」

    み梓「それも含めて話すから黙って聞いてて」

    梓「うっ……」


    582 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 13:00:07.16
    ・・・

    澪「――わ、私たちが死んじゃうって……冗談はやめてくれよっ」

    み梓「冗談だったらわざわざ未来から来ません」

    唯「私は信じてるからね!」

    み梓「ふふ、昨日も聞きましたよ」

    律「梓がウソをつくとは思えないし、私も信じるよ」

    紬「私も」

    澪「……うん」

    み梓「皆さん……」

    律「よかったなぁ、梓。普段からいい子にしてたからこんなこと言われてんだぜー?」

    梓「な、なんで私に言うんですか!?」

    唯「それで、未来あずにゃん。どうやったら私たちは助かるの?」


    584 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 13:05:07.73
    み梓「えっと、ですね。難しい話になりますけど、とりあえず聞いていてください」

    唯・律「はーい!」

    み梓(大丈夫かな……)

    み梓「これはハッキリとわかっていることじゃなんですけど、恐らく、タイムマシンを初めて使ってから過去でみなさんが色々してきたことで、世界が変わったんだと思います」

    澪「変わったって?」

    み梓「もちろん。22日に先輩方が死んでしまう世界に」

    律「過去を変えたら世界が変わるってのはどういうことなんだ?」

    み梓「それについては……まぁ、詳しい人がいますから後で教えてもらってください」

    律「詳しい人……?」

    み梓「とにかく、どう考えても4人がその日にそれぞれで死んでしまうなんて偶然、おかしいんです。……まぁ、私見も入っちゃってますけど」

    み梓「だから、今までに行ってきた過去にもう一度行って、世界を変えてしまった原因を取り除いてくるんです。そうすることができればもしかすると助かる、かも……」

    587 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 13:10:16.89
    紬「確証は持てないのね?」

    み梓「で、ですけど! これしか方法はないんです!」

    律「なら試してみるっきゃない!」

    律「黙って何もしないよりはマシだろ? な?」

    み梓「は、はい!」

    紬「ところで未来の梓ちゃん。その知識はどこから……」

    み梓「それは――」

    澪「す、すとっぷ!」

    唯「どったの澪ちゃん?」

    澪「そろそろ過去の私たちがこの時間に来ると思うんだけど……」


    590 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 13:15:12.15
    唯「え、なんで?」

    澪「忘れたのか、私たち部室覗きに行っただろ?」

    律「そういえば……って、だったらここに梓が二人いたらまずくないか!?」

    梓「え?」

    紬「梓ちゃんちょっとそこの物置きに隠れて!」グイグイ

    梓「ちょ、ちょっと! 私は未来の私じゃ……!」

    律「んなのどっちでもいい!」

    ガチャリ

    紬「ふぅ……」

    み梓「な、なんかすいません」

    唯「気にしないでいいってー」

    律「それよりなんかこれだと不自然だな……みんな! とりあえず席につけ!」


    591 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 13:20:09.17
    唯「……んで?」

    澪「とりあえずいつものティータイムみたいな会話をしようっ」

    唯「いつも何話してるっけ~」

    律「自然体だ! 自然体!」

    唯「でもどうするの?」

    澪「そうだなぁ」

    紬「やっぱり今後の部活の方針を決める会話とか?」

    律「いやいやいや」

    み梓「こんな感じのグダグダで十分だと思いますよ」


    592 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 13:25:03.71
    ・・・

    律「も、もういいかな?」

    澪「たぶん……」

    み梓「さすがに30分も様子見なんてしてないと思いますけど」

    紬「とりあえずお茶にしよっか」

    唯「さんせー!」

    澪「なんか喉渇いちゃったな」

    律「お菓子は? 今日のおっかしはー!」

    紬「ちゃんとありますよー」

    律「いえっす!」

    み梓(なんだか……ほっとするなぁ)

    梓「誰か忘れてませんか!?」ガチャ

    「あ」


    594 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 13:30:19.86
    梓「ひどいですっ、あんまりですっ……」グスン

    唯「よしよし、いい子じゃあずにゃん」

    澪「しばらくしてからまたあの私たちが戻ってくるからそれまでにはこの部室から離れなきゃな」

    唯「なんで?」

    澪「なんでって、もとの時間に無事帰らせるために決まってるだろ」

    律「そっか。いやー自分たちのこととはいえ、面倒だな」

    紬「それで、未来の梓ちゃん。さっきの話の続きなんだけど」

    み梓「あ、はい」

    み梓「今さっき皆さんに話したことは全てある人から教わったことなんです」

    律「ま、まさかタイムマシン太を作った人か!?」

    澪「タイムマシン太で定着したのか……」

    梓「それで? ある人って? もったいぶらないで早く言ってよ」ムスッ

    み梓「さわ子先生」

    律・唯「さわちゃん!?」


    595 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 13:35:04.95
    澪「どうしてさわ子先生……まさか」

    律・唯「タイムマシン太作ったのはさわちゃん!?」

    澪「じゃなくて、あれはさわ子先生の物だったんじゃないか? 梓?」

    梓「へ?」

    み梓「はい」

    梓(あ、そっちか)

    み梓「私が過去へ行って先輩たちの死を回避しようと何度も挑戦していたときに先生が話してくれたんです」

    み梓「このままでは絶対に助けられないって。そこからタイムマシンのこと、それを所持していた自身のことを話してくれました」

    律「びっくり……」

    紬「正直、私も……」


    597 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 13:40:15.99
    唯「だったら私たちもさわちゃんから詳しく話聞いたほうがいいよね」

    澪「そうだな。なにもわからないよりはマシだし」

    さわ子「呼んだ?」ガチャリ

    唯・澪「ナイスタイミング……」

    さわ子「……うん?」

    さわ子「ひー、ふー、みー……ねぇ、うちの部員って何人いるんだっけ?」

    律「6人だよ~。忘れちゃったのかよぅ」

    紬「り、りっちゃん」

    さわ子「ウソおっしゃい。5人でしょ? 人数少ないんだからすぐわかるわよ」

    さわ子「……じゃあ、なんでここに6人いるのかしら? ま、まさか……」

    澪「あわわわわ……」ガタガタ

    律「おい」


    598 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 13:45:13.86
    梓・み梓「あ、あの! 先生!」

    さわ子「あらぁ……? 梓ちゃんが二人……」

    唯「さて、どっちが本物のあずにゃんでしょう!」

    さわ子「よくできたマスクねぇ。ていうか体の大きさもそのまんま」グイグイ

    梓「あいてててっ」

    さわ子「胸も、むふふ……ぺったんこねぇ……」ペタペタツンツン

    み梓「っ!?」バッ

    律「エロオヤジいいかげんにせいっ」ペチンッ

    さわ子「あぁんっ」

    さわ子「……まぁ、冗談はこれぐらいにしておいて」

    澪・紬(冗談だったんだ)

    さわ子「説明してちょうだい。梓ちゃんが二人いるわけを」


    600 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 14:00:03.23
    さわ子「――なるほどねぇ」

    唯「ウソだって思わないの?」

    さわ子「例のタイムマシンの話が出てきてしまったんですもの」

    さわ子「作り話にしてはできすぎてるしね」

    律「まぁ、なぁ……」

    さわ子「それで、未来の梓ちゃん。どうして未来の私はあなたと一緒にこっちに来なかったのかしら?」

    さわ子「大事な教え子のピンチだっていうのに……」

    み梓「これは私が勝手にやってることなんです。だから先生には内緒で来ました」

    み梓「どのみち、一緒に来れる確率も低いと思います」

    紬「そっか、タイムマシンが壊れていたから……」

    さわ子「だとしても……まぁ、そのぶん私がしっかりするしかないか」


    603 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 14:05:07.25
    唯「それにしてもこのタイムマシン、ほんとにさわちゃんのだったんだねぇ」

    梓「だからここの物置にしまっていたんですね」

    さわ子「まぁ、ね」

    さわ子「自宅で保管しておくべきだったわ……」

    澪「先生のもとにあった前はタイムマシンはどこに」

    さわ子「私の叔父さんがゆずってくれたのよ。まぁ、本人はわかってないで渡したと思うんだけど」

    律「その人、一度もあれに触ってないってこと? でもそれって変じゃないか?」

    律「普通は一度弾いてみたりしないか?」

    唯「大事にしてたんじゃない?」

    澪「ギターコレクターとか」

    律「うーん……」


    604 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 14:10:15.74
    み梓「今はそんなことは関係ありません。とにかく早くなんとかしなきゃ」

    さわ子「そうね」

    紬「でも世界が変わってしまった原因がわからなきゃどう動けばいいかわからないんじゃ」

    み梓「それは……まぁ」

    律「虱潰しに過去へ跳べばいいんじゃないか? それでその時間に跳んできた別の私たちを見張って」

    唯「あ、それいいね! りっちゃん隊長さっすがぁ」

    律「だろぉ?」

    澪「となると、5月4日……からだよな?」

    紬「そうね」

    梓「あ、でも!」


    606 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 14:15:02.68
    梓「初めてタイムマシンを使ったのって私じゃないですか」

    律「あ! ていうことはもっと前の時間で梓か何かしちゃった場合もあるってことか!」

    み梓「ま、まさか私が原因で唯先輩たちを……」

    唯「そんなことない! そんなことないよっ」

    み梓「でも……」

    紬「梓ちゃん。行った時間は覚えてる?」

    梓「……あのときは何もわからない状態で色々跳んでてたので」

    澪「まさか……」

    梓「覚えて、ないんです……ごめんなさい」

    澪「そんな……」

    さわ子「……」

    さわ子「……あんな物を私が受け取らなければこんなことは起きなかったのね」

    さわ子「そして……」

    唯「さわちゃん?」


    611 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 14:20:17.84
    さわ子「私もね、世界を変えてしまったのよ。私の友達が死ぬ世界に」

    梓「先生も!?」

    さわ子「興味本意で過去でキッカケを作ったのが悪かったのね……許されない罪よ、これは」

    律「き、気持ちはわかるよ。こんな物があったら誰だって……」

    さわ子「……」

    さわ子「少し、お話しましょっか」

    唯「さわちゃん……」

    澪「そ、その前に一回ここからでませんか? 過去の私と唯と律がそろそろ……」

    唯「あ、すっかり忘れてた!」

    さわ子「もぉ、空気読めないわねぇ……」


    612 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 14:25:35.14
    「あっちにいきなり戻ったらムギたち驚くだろうな~」

    「やめろってば! やっぱり一度電話したほうが」

    「もうおそ――――」シュッ

    「ば、ばかりつぅ~……」

    「澪ちゃーん。次私ね~」シュッ

    「ゆ、唯! ま……行っちゃった」

    「もういいや……――――」シュッ

    …ビリッ、バチバチバチッ…シュ~……

    ガチャリ

    律「行った……みたいだな。よし、もう入っても大丈夫ー」

    唯「ふぃ~……」

    梓「それじゃあさっきの先生のお話、聞かせてもらえますか?」

    さわ子「ええ」


    614 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 14:32:53.60
    2000年4月28日 教室

    紀美「へー、SGかぁ」

    さわ子「おじさんがね、譲ってくれて」

    紀美「よかったじゃん! これでDEATH DEVIL結成ね」

    さわ子「ちょ、ちょっと気が早すぎない?」

    紀美「そんなことないって。さぁて、今日からさっそく練習だからねー」

    さわ子「ふふっ、はいはい」


    615 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 14:37:17.08
    2000年4月28日 軽音部室

    ガチャリ

    さわ子「私が一番乗りかぁ」

    ガサゴソ、ストッ

    さわ子「……ちょっと見てみよっか」

    ジィーッ、ピッ

    さわ子「よっこいしょ、っと」

    さわ子「ふふっ、私のギターだ……」

    パサッ…

    さわ子「ん? なにこれ、メモ?」ス

    さわ子(タイムマシン取扱についての注意……?)


    618 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 14:42:01.53
    さわ子「タイムマシンって……ぷっ」

    さわ子「なによそれ。何のこと?」

    さわ子(えっと、このギターはタイムマシン。取扱いには注意すること……)

    さわ子「……このギターがタイムマシン?」

    さわ子(六弦で戻る年数、五弦で……)

    さわ子「へー……おじさんも面白いこと考えるわ」

    さわ子「試しに昨日へ戻ってみたりして」

    ポーン、ポーン、ピーン

    さわ子「やだこれ変なお――――」


    619 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 14:47:07.29
    2000年4月27日 軽音部室

    さわ子「――と」

    さわ子「!!」

    さわ子(な、なにいまの変な感じ!?)

    ガチャリ

    紀美「あれ? さわ子」

    さわ子「の、紀美……」

    紀美「あんた今日は家の用事あったんじゃなかったっけ? 親戚の家に行くとか」

    さわ子「家の、用事?」

    紀美「違うの?」

    さわ子「ちょ、ちょっと待って紀美……話が」

    さわ子「……あれ? ギター」

    紀美「え?」


    622 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 14:52:20.88
    さわ子「ね、ねぇ! ギターは!? 私のギターはどこいったの?」

    紀美「ギター? あんたギターまだ持ってないじゃない」

    さわ子「うそ!? 今日紀美にも見せたじゃない! ほら、SGって……」

    紀美「さわ子。あんた大丈夫?」

    紀美「ちょっと保健室に……」サ

    パシッ

    さわ子「私はおかしくないっ」

    紀美「さ、さわ子っ」

    さわ子「っ……!」

    ガチャッ、タタタ…

    紀美「あの子、どうしちゃったんだろう?」


    623 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 15:00:04.28
    さわ子(なんなのよ……なんだってのよ……)

    さわ子「……なんか、紀美に悪いことしちゃったかな」

    ドン

    堀込「おっと!」

    さわ子「ご、ごめんなさっ……なんだ、先生」

    堀込「山中! なんだとは何だ。ちゃんと前向いて歩けよ?」

    さわ子「……」

    堀込「山中? おーい」

    さわ子「先生、今日は何月の何日でしたっけ……」

    堀込「うん? 5月27日だが」

    さわ子「……え」


    624 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 15:05:08.05
    さわ子「27、ですか?」

    堀込「あ、ああ……山中、お前顔色悪いぞ? 大丈夫か?」

    さわ子「へ、平気ですっ。なんでもありませんっ」

    さわ子「し、失礼します……!」

    タタタ…

    堀込「お、おい!? ったく……」

    さわ子(おかしい! 今日は28日なはずよ? 27日は昨日!)


    625 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 15:10:01.70
    さわ子「教室のカレンダーも27日……」

    さわ子「まさか、あのギター本当に……」

    さわ子「……」

    さわ子(本当に過去に来れたっていうなら、私すごいよね?)

    さわ子(だ、だってタイムトラベルしてきたのよ!? よくわからなかったけど……)

    さわ子「えっと……あった」ガサゴソ

    さわ子(メモ、一応ポケットに突っ込んでおいて正解だったわ)

    さわ子(タイムマシンは夜になってから私の部屋にこっそりいけば使えるはず……)

    さわ子「……ふふっ!」


    626 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 15:15:08.86
    「あれ、さわ子。なんか嬉しそうじゃん。どうかしたの?」

    さわ子「ちょっとね~」

    さわ子(どうせなら帰る前に色々しておきましょっか!)

    さわ子「ねぇ、○○さん。もし、あなたがタイムマシンで過去へ1日前に行ったら何する?」

    「は? なによ急に……」

    さわ子「いいから、いいから」

    「そう、ねぇ……過去を変えたら未来も変わるよね?」

    さわ子「え?」

    「だってそうじゃない? 例えば、そこの窓がタイムマシンを使う前は割れてなかったとする」

    「で、タイムマシンでそこの窓を割って、もとの時間に戻ってくるとすると……」


    628 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 15:20:05.80
    さわ子「本来割れてなかった窓が割れてる?」

    「たぶん」

    さわ子「つまり○○さんは過去へ行ったら未来を変えたいってこと?」

    「面白そうじゃない?」

    さわ子「……そう、ね!」

    さわ子「いいかも! ありがと、○○さん!」タタタ…

    さわ子(そうね、そういうのも悪くないかもしれない! だったら……!)


    629 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 15:23:55.95
    教室

    さわ子「えっと、紀美の机は」

    さわ子「あった、あった」

    さわ子(さっきは悪いことしちゃったし、なんだか面と向かって謝るのも恥ずかしいから……)カキカキ

    さわ子(紀美、ごめんね……っと)

    さわ子「ん、これだけじゃちょっと物足りないか。少しつけたして」

    さわ子「……by.タイムトラベラーさわ子、っと」カキカキ

    さわ子「机にこんなに大きく書いて、紀美怒ったりしないよね?」

    さわ子(さて、あとは夜になるまでそのへんでうろつこうかなぁ、ふふっ)


    631 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 15:28:19.61
    2000年4月28日 自室

    さわ子「――ぶないっ」

    さわ子「あ……無事戻ってこれた?」

    さわ子(もう少しで27日の私に見つかるところだったわ……ふぅ)

    さわ子(でもメモのとおりにしたら無事に帰ってこれたし)

    さわ子「色々不思議だったけど、いい体験にはなったかな」

    さわ子「あ! でもこれだったら普通の楽器として使えないじゃない!」

    さわ子「あー……もうっ、バイトしてお金貯めようかなぁ」


    このときは自分がバカなことをしてきただなんて思いもしなかった。

    後悔することになるなんて思いもしなかった。


    632 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 15:33:02.85
    2000年4月29日 軽音部室

    紀美「はい、さわ子のギター」

    さわ子「ちゃんと保管しててくれたんだ!」

    紀美「誰にも指一本触れさせてないから、安心しな」

    さわ子「ありがとう紀美!」

    紀美「でも昨日はギター放っておいてどこ行ってたのさ? しかも帰ってるし」

    さわ子「ちょ、ちょっと急用で……」

    紀美「そうなの? じゃあ、しゃーないね。さてとじゃあ……」

    さわ子「あ! それと……このギター、やっぱり返さなきゃいけないことになったの」

    紀美「えぇ~!? もらって2日で返すの!?」

    さわ子(演奏するたびにタイムスリップしてたら……ちょっと、ね)


    634 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 15:38:04.75
    ・・・

    「それじゃあまた明日~」

    「さわ子、紀美! ばいばーい!」

    紀美「おーう」

    紀美「さて、私らもそろそろ帰るか」

    さわ子「うん」

    紀美「ところで私の机の上にあれ書いたのってあんた?」

    さわ子「あ、わかった?」

    紀美「ていうかあんたの名前書いてあったしね。んで、なにがごめんねなの? 謝られる覚えないんだけどな」

    さわ子「……あの、ほら、私一昨日、部室で紀美に変なこと言って困らせちゃったじゃない? だから……」

    紀美「ん? ……あー! 思いだした! うん、変だったよ! さわ子!」

    紀美「ていうかあの日はなんで用事あったのにすぐ帰んなかったのさ?」

    さわ子「えっとー……あ!」


    635 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 15:43:09.31
    紀美「どうしたの!?」

    さわ子「ギター……部室に忘れてきちゃった」

    紀美「こ、ここまで来て今さら気づくかぁ、普通……」

    さわ子「あんまりギター背負って帰るのに慣れてなくて、へへへ」

    さわ子「ちょっと学校戻るから紀美はさきに帰ってて!」

    タタタ…

    さわ子(さすがに二日も学校に置きっぱなしにはできないよね……)

    …ブゥゥーーン


    640 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 16:00:06.69
    紀美「さわ子っっ!!」

    さわ子「え――」

    ドン!

    さわ子(押された……!?)

    キキィーッッ

    さわ子(なにが――)

    ドンッ

    グシャァッ

    さわ子「……」

    さわ子「のり、み」

    さわ子「のりみ……?」ガタガタ



    紀美「   」

    641 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 16:03:30.29
    紀美はトラックに撥ねられたその日に死んだわ。
    頭を強く打ちつけたのが原因だったのかしらね。

    ……ううん、原因は私。

    私が過去で未来を変えたせいで、紀美が29日に死ぬ運命が待つ世界へと変えてしまった。

    偶然だったかもしれない?

    そうだとしても、私があのとき紀美を殺してしまったことには変わりはない。
    もっと車に気をつけていればよかったのにね……。

    紀美はなんであのとき私を庇って助けてくれたのかしら。
    私が轢かれていればよかったのに。


    644 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 16:06:19.36
    紀美が亡くなってからしばらくは部屋から出ることができなかったわね。
    目の前で人が死んだというショックと友達が死んだというショック。
    あの頃の私にはとても重かった。……まぁ、今でも変わりはないけど。

    話を戻すわ。

    学校に今まで通り通えるようになった頃に、私はタイムマシンの存在を思い出したの。
    そして思った。
    過去へ戻って紀美を助けることができるんじゃないか、って。
    でも未来の梓ちゃんは知っていると思うけれど、一度起きた死はそう簡単に回避することができない。

    変えてしまった世界はそう簡単に戻すことができないの。
    何も知らないそのときの私は何度も何度も紀美を助けようとした。無駄だということを知らずにね。


    646 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 16:09:17.51
    さすがに繰り返し、親しい人の死を見ると精神的につらかった。

    ついには耐えきれなくなった私は紀美を救うことを中断して、おじさんのもとに向かった。
    タイムマシンを譲ってくれたのはおじさん。なら、なにか知っているんじゃないかと思ってね。
    何かわかれば紀美も救えるかもしれないって。

    ……何もわからなかった。

    それどころかおじさんはタイムマシンのことも知らなかったの。
    話を訊いたときはとても笑われたわ。冗談にしてはよくできた話だって。

    でもね、おかしいのよ。


    648 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 16:14:07.01
    さわ子「タイムマシンを入れていたケースの中にあったメモはどう見てもおじさんが書いた文字だったの」

    紬「似てただけだったとか……」

    さわ子「かもしれないと最初は思ったわ。でももう一つのメモを見て確証したの」

    梓「もう一つって……使い方を書いたメモ一枚だけじゃなかったんですか?」

    さわ子「ええ。あとになって見つけたのだけど……それにはタイムトラベルについての注意とか、今までみんなに説明したようなことが書いてあった」

    み梓「パラレルワールドのこと、とか?」

    さわ子「そう。そしてそのメモの裏にね、おじさんの名前が書いてあったの」

    さわ子「名前と一緒に、゛自分を忘れるな゛という文も添えてね」

    律「自分を忘れるな?」

    唯「どういう意味?」

    澪「自分を見失うな、とかじゃないのかな」


    650 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 16:19:04.13
    律「ていうか、さわちゃんのおじさん。もしかしたらトボケてるだけじゃないの?」

    さわ子「そう思うでしょ? でも本当にわかっていない感じなのよ」

    唯「ほんとかなぁ」

    さわ子「ええ」

    み梓「どっちにせよ、まずは先輩たちを救うことが先決です。それができてからこのことについて調べてくれませんか?」

    さわ子「……そうね」

    さわ子「私が行くわ。私ならもし過去でもう1人の私と会っても説明要らずだし」

    律「でもさわちゃんは私たちがしでかしてきたことが何かよくわからないだろ」

    律「だったら直接私たちが行ったほうが早いよ」

    澪「私も律と同意見です」

    さわ子「……言い忘れてたことがあった」

    梓「え?」


    653 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 16:22:12.44
    さわ子「紀美の机に字を書いたってのはさっき話したわよね?」

    唯「ごめんね、ってでしょ?」

    さわ子「あれが世界を変えた原因だと思った私は過去へ行ってあれを消そうとしたの」

    紬「原因を取り除くことができれば、もしかしたら紀美さんは死なずにすんだかもしれないからですよね」

    さわ子「そう。でもね、消せなかった」

    律「は? なんでだよ?」

    さわ子「消すことができなかったのよ……。紀美の机に近づけなかった」

    律「近づけなかったって……まわりに誰かいたから、とか?」

    さわ子「違う。近づこうとすると何かに押し出されるの」

    さわ子「実態のない。なにか……よくわからない力、みたいな。なんというか……」

    さわ子「何をしようと、どう近づこうと机には近寄れなかった」


    654 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 16:27:05.67
    み梓「原因を取り除くことができなかった……ううん、取り除くことが許されなかった?」

    唯「どういうこと?」

    み梓「これ、私の時間の先生から聞いた話なんですけど、一度過去で何かを変えてしまうと戻すことが困難になる、みたいなこと言ってたんですよ」

    さわ子「困難と言うか、ほぼ無理なのかもしれない」

    み梓「え!?」

    さわ子「それもおじさんのメモに書かれていた注意事項の一つよ。きっと梓ちゃんを気遣ってそんなこと言ったのね。私は」

    み梓「そんな……」

    梓「で、でもやってみなきゃわかんないよ!? まだ確定ってわけじゃないかもしれないしっ」

    み梓「う、うん……」


    655 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 16:32:24.23
    紬「……世界を変えた原因」

    紬「もしかしてっ」

    唯「どったのムギちゃん?」

    紬「ほら、りっちゃんが澪ちゃんの机の中に落書きを書いた紙を入れてたじゃない!」

    澪「あ……ああぁぁ!!」

    紬「ほかに私たちの中で過去に行ったのは梓ちゃんが最初のトラブルで過去へ行ったことを除けばりっちゃんしかいないし!」

    律「そういえば……」

    梓「でもそれが違ったらやっぱり私が過去でなにか……」

    紬「それを悔やむのはりっちゃんの落書きをどうにかしてから」

    梓「うう……」

    梓「もし先輩方を殺してしまったのが私のせいだったら……私……」

    唯「大丈夫、大丈夫だよぉ」ギュッ

    梓「慰めなんていらないです……」


    656 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 16:40:48.79
    律「ていうか私だって原因作ってたのが私だってのなら……けっこうへこむ」

    律「結果的にみんなが死ぬし」

    澪「そのときはお前も死んじゃうんだから、気にするな」

    律「それは慰め? 慰めてるつもりなのか!?」

    梓・み梓「ふふっ……」クスッ

    唯「とりあえず! やるだけやってみようよ!」

    さわ子「そうね、もしかしたら上手くいくかもしれない」

    律「もしかしたらじゃなくて絶対上手くいくの!」

    澪「よし、じゃあ原因作ったお前が行ってこい。律」

    律「え~……」


    665 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 17:16:57.54
    唯「はい、りっちゃん! タイムマシン太だよ!」ス

    律「うおっ、準備いいな……」

    律「えっと、たしか4日でいいんだよね?」

    紬「そうよ。4日ならここから跳んでも大丈夫ね」

    律「部活は休みってことになってたし、誰もいなかったしな」

    梓「そういえば前に4日に跳んだときもこの時間帯でしたよね?」

    さわ子「じゃあもう1人のりっちゃんに会わないように気をつけてね」

    律「へいへい……」

    澪「4日には3人の律がいることになるのか……ん?」


    666 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 17:20:38.51
    澪「ねぇ、未来の梓」

    み梓「はい?」

    澪「梓のときも、こうやって未来から梓が来て、お前みたいに私たちが死んじゃうからなんとかしなきゃ、みたいな話したの?」

    み梓「いいえ? ……それがなにか?」

    澪「あ、いや……なんでもないよ」

    み梓「?」

    律「話は済んだぁー? あと、私行くぞー?」

    澪「あ、ああ」

    唯「りっちゃんファイト!」

    梓「しっかり原因取り除いてきてください」

    律「わかってるって。……では!」

    ポーン、ポーン、ピーン


    667 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 17:25:56.39
    「……」

    律「……ん」

    律「……」パチクリ

    唯「りっちゃん?」

    律「な、なんで! 部室に誰もいないはずなのになんでみんないるの!?」

    梓「あの、落ち着いて。律先輩」

    み梓「ど、どういうことなの……なんで……」

    律「え? え?」

    律「今日は5月4日だよね? そうなんだろ?」

    澪「律……5月9日だ……ていうか」

    紬「タイムスリップしてない……?」


    668 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 17:30:39.28
    ・・・

    ポーン、ポーン、ピーン

    唯「……どう!? タイムスリップできた?」

    紬「ううん」

    唯「だめかぁ」

    さわ子「今までにこんなことは?」

    律「なかったと思うけど……。なんでだよぉ? さっき過去の私たちが帰るときはちゃんと動いてたじゃんか」

    み梓「あの、皆さん聞いてください」

    「?」

    み梓「もしかしたら、壊れたかもしれません」

    梓「タイムマシン?」

    み梓「……うん」

    澪「う、うんって……」


    669 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 17:35:11.75
    み梓「私の時間のタイムマシンが壊れてて上手く時間を飛び越えることができないって話、しましたよね?」

    澪「ああ」

    唯「聞いたよー」

    み梓「実は壊れたのは先輩たちが死んでから私がその死を回避しようと奮闘してるときなんです。かなり唐突でした」

    紬「それってまさか」

    み梓「ええ。こんな状況です」

    み梓「そのタイムマシンが壊れたのはもっとさきになるんです。9日には一度もこんなことになりませんでした」

    さわ子「未来から梓ちゃんが来たことで、壊れるまでの日にちが縮まったのかもしれないわね」

    紬「それってまた世界が変わったってことですよね? だったら22日私が死んじゃうって未来がなくなったりは?」

    さわ子「そんなことはその日が来るまでわからないわ。もしかしたら助かるかもしれないし、22日の死は回避できずそのままかもしれない」

    さわ子「ていうか回避されているのならここにいる未来の梓ちゃんの存在は? 持っている記憶は?」

    紬「……」


    671 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 17:43:07.51
    ピーン、ポーン、ピーン

    梓「未来にもいけませんね」

    律「ああ……ん? ていうか」

    律「未来の梓ぁ。なんでタイムマシン壊れてたのにお前は使えたんだよ? 動かなくなったんだろ?」

    み梓「……タイムマシンが動かないことに私が苛立ってですね」

    み梓「タイムマシンを蹴ったんです」

    律「え……」

    み梓「あ、でもほんのちょっと。かるーく……そしたら」

    澪「にしても蹴るってそんな……」

    み梓「つ、続けますよっ」

    672 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 17:49:32.58
    み梓「蹴ったらすぐにタイムマシンが放電したんです」

    紬「放電!?」

    梓「ちょ、ちょっとそれってまずいんじゃ」

    み梓「もちろん私はあんまりにも突然のことにパニックになって……」

    澪「梓ぁ……」

    み梓「うっ……」

    唯「それでどうしたの?」

    み梓「しばらくしたら放電は止まって……。恐る恐るタイムマシンを調べて、もしかしたらって過去に跳べるか試すために、弦を鳴らしたら……」

    さわ子「できた、と?」

    み梓「ですが、跳んだ時間は指定した月日と時間、場所通りじゃなかったんです」

    律「それがわかるってことは、変なところに行かなかったんだな」

    み梓「……不幸中の幸いですね」


    673 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 17:57:23.15
    澪「結果からいうと、タイムマシン太がおかしく……」

    唯「えへへ~」

    澪「どうした唯?」

    唯「澪ちゃんもタイムマシン太って言ってくれて嬉しいなぁって」

    澪「……と、とにかくっ」

    律「おかしくなったのは梓のせいだということだな」

    澪「まぁ、おかしくする前にもともと壊れてたんだろ」

    み梓「……まぁ、私がこうしてここに来ることができたのも蹴ってまた動かしたから」

    紬「結果オーライねぇ」

    律「……よし、じゃあ私もこれを蹴って」

    さわ子「ちょ、ちょっと待ちなさい!」ガシッ


    674 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:00:42.83
    律「離せー! 止めるなさわちゃーん!」ジタバタ

    さわ子「こっちのタイムマシンまでおかしくさせる必要はないでしょっ」

    律「じゃあどうしろってんだよっ」

    さわ子「……私のおじさんに会いに行きましょう 」

    梓「でも、先生のおじさんは」

    さわ子「ダメもとでも何でも、やれることは全部やるべきだわ」

    さわ子「もしかしたら……何かわかるかもしれないし、この状況を打破できるかもしれない」

    唯「おぉ、さわちゃんが頼もしいよ」

    さわ子「それっていつも頼りないってこと!?」

    紬「ま、まぁまぁ……」


    675 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:06:23.23
    さわ子「というわけだから明日さっそく行くことにしましょう。明日はちょうど土曜日だし」

    澪「そうですね」

    律「それじゃあ今日は一旦お開きってことで」

    唯「色々考えたから頭いっぱいいっぱいだよぉ」

    紬「ところで未来の梓ちゃんはどうするの?」

    み梓「え?」

    紬「帰る家よ」


    677 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:11:09.16
    唯「それなら大丈夫だよー。私の家に泊めるから」

    み梓「ごめんなさい唯先輩。迷惑かけちゃって」

    梓「……」

    「いいなぁ、未来の私……唯先輩と一緒に」

    律「寝ることができて。あーんなことやこーんなこととかしちゃうのかなぁ!」

    澪「おぉ……似てる」

    梓「か、勝手に私の声真似で変なこと言わないでくださいっ!!」

    律「違いますぅー心読んだだけですぅー」

    梓「きーっ!!」


    679 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:16:12.64
    2010年5月9日 平沢家

    憂「さぁ、梓ちゃん。いっぱい食べてね」ニコニコ

    み梓「こ、こんなにいっぱい……なんかごめんね、急にお邪魔しちゃって」

    唯「昨日もいたくせにぃ~」ヒソヒソ

    み梓「唯先輩っ!!」

    憂「え、どうかした?」

    み梓「……な、なんでもないよ」

    唯「うぇっへっへっ……」ニヤニヤ

    み梓(ぐぬぬ……)ギリギリ

    憂「?」


    680 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:21:45.08
    憂「ところで梓ちゃん。ふふっ、さっきから気になってたんだけどほっぺにシールついてるよ?」

    み梓「え? あ……(すっかり忘れてた!)」

    憂「大変よくできました、だって」クスッ

    み梓「す、すぐ剥がすっ」

    唯「えー! そのまんまがいいよー」

    み梓「ずっとシール肌に貼りつけてたら肌がはれちゃいますよっ」

    唯「じゃあ、いいや」

    唯(明日になったらまた貼ればいいしね)フンス

    憂・み梓「ん?」


    681 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:26:12.44
    ・・・

    ガチャリ

    み梓「ふぅ、お風呂まで借りちゃってなんだか申し訳ないです」

    唯「気にしないでよぉ。さーて、今日のところはもう寝ちゃお寝ちゃお~」

    み梓「明日早いですしね」

    唯「ささっ、私のお隣においで。未来あずにゃん」サ

    み梓(けっきょく一緒に寝ることにはなるんだ……)

    み梓「で、でも憂がせっかく布団しいてくれたんだし」

    唯「いいからいいから」グイッ

    み梓「ちょ!? ……もうっ」


    683 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:32:28.86
    「……」

    唯「まだ起きてる?」

    み梓「寝ました」

    唯「起きてるじゃん……ねぇ、私たちうまくいくかなぁ」

    み梓「大丈夫ですよ。絶対なんとかなります」

    唯「あずにゃん強気だねぇ」

    み梓「ここまで来て助けられなかったら私が来た意味、ありませんもん」

    唯「そうだねぇ……」


    685 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:40:58.96
    唯「ねぇ、私たちが助かっちゃったらあずにゃんはもとの時間に帰っちゃうの?」

    み梓「そりゃあ帰りますよ、なんとかして。ずっとここにいれるわけないじゃないですか」

    唯「そっか……ときどき遊びに来てね?」

    み梓「へ、変なこと言いますね……私が来なくてもこっちにもう1人の私がいるじゃないですか」

    唯「そりゃそうだけど……それはそれ、これはこれだよぉ」

    み梓「えー……」

    唯「ね?」

    み梓「……気が向いたら、遊びに来ます」

    唯「えへへぇ」

    み梓「ふふっ」


    686 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:44:42.10
    2010年5月10日 

    さわ子「みんな集まったわね」

    律「あれ? 車変えたの、さわちゃん」

    さわ子「借りたのよ。こんなに大人数が乗るんだから私の車じゃ入りきらないし」

    紬「あら、今日は別のシールなのね!」

    み梓「……///」

    唯「ネコのシールだよぉ。角度によっては、ほら光るの」

    澪「帽子被るとかすればいいのに。まぁ、制服だから一発でわかるけど」

    梓「まぁ、いいんじゃないですか?」

    律「他人事だと思って安心してるなぁ? あ、でもこの場合他人じゃないか」

    さわ子「ほら、もう行くわよ? さっさと車に乗って」


    687 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:48:24.32
    2010年5月10日 さわ子おじの家

    ピンポーン

    おじ「おぉ、よく来た」ガチャリ

    さわ子「おじさん。お久しぶりです」

    おじ「いやぁ、さわ子ちゃんはいつ見てもベッピンさんで……むふふ」

    律「なんかエロおやじだなぁ……」ヒソヒソ

    澪「こら! そんな失礼なこと言うなよっ」ヒソ

    おじ「後ろにいるのが今の教え子たちかい?」

    さわ子「ええ。今日は無理言ってごめんなさい」

    おじ「ははは、気にするなよ。さぁ、上がりなさい。男1人の家だから散らかっているのは気にしないでくれよ?」

    さわ子「お邪魔します」
    「おじゃましまーす」


    691 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:00:19.47
    おじ「おぉ、おぉ……こんなに可愛い子たちが俺の家を訪ねてくれるなんて嬉しいこと極まりない」ニコニコ

    律「やっぱエロおや……」

    澪「ふんっ」ゴンッ

    律「ったぁ!?」

    唯「すごーい! 本がいっぱいだよー」ウロウロ

    紬「ゆ、唯ちゃんっ」

    さわ子「こら! ごめんなさい、騒がしくて……」

    おじ「いや、気にせんでいいよ。お嬢ちゃんは本が好きなのかい?」

    唯「難しい本は嫌いです!」

    さわ子「……///」

    唯「でも漫画とかは大好きだよ」

    おじ「はっはっはっ! 素直でいい子だね君は。いい生徒さんを持ったじゃないか、さわ子ちゃん」

    さわ子「は、はぁ……おほほほほ……」


    693 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:05:13.69
    梓「唯先輩ったら……もう」

    み梓「私はある程度は覚悟してた……」

    おじ「それで? 俺に話って何だい? 用があるから来たんだろう」

    さわ子「は、はい……コホンっ」

    さわ子「単刀直入にお聞きします。私に譲ってくれたあのギター型のタイムマシン……なにか知っていることがあるのでは?」

    おじ「……ぷっ」

    律・澪・紬「!」

    おじ「ははは、またタイムマシンの話か! 何年か前もその話は聞かれたぞ!」

    さわ子「冗談じゃありません! 真面目な話です……っ」

    おじ「ははは……あー、悪いが本当に俺はなにも知らなくて」

    おじ「そもそもあのギターがなんでこの家にあったのかすら覚えてないんだなぁ」

    さわ子「え……?」


    698 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:15:06.19
    律「おじさん、本当なんですか?」

    おじ「ああ。きっと以前自分が買ったことを忘れていただけだとは思うんだがね。だが、なんだか自分のもとに置いておきたくなくなって、さわ子ちゃんに譲ったんだが」

    梓・み梓「一度も触ったり、弾いたりしなかったんですか!?」

    おじ「おや、そちらさんは双子ちゃんかな。可愛らしいね」

    梓「あ、えっと……はい、どうも」

    おじ「確かに触らなかったよ。ケースにしまったままにしておいた」

    紬「さわ子先生に渡すまで?」

    おじ「ああ」

    さわ子「でもおじさん。あのケースの中にはメモが2枚入っていたの。しかもそのうち1枚にはおじさんの名前が書かれていたわ」

    さわ子「ちょうど今日2枚とも持ってきました。これを……」ス


    700 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:19:16.36
    おじ「……タイムマシン?」

    さわ子「それ、おじさんの執筆と同じだと思うの」

    おじ「確かに俺の字と似ているが」

    澪「じゃあやっぱり……!」

    おじ「しかし、面白いな。ここに書かれていることは」

    おじ「さわ子ちゃん。俺の仕事は覚えてるかい?」

    さわ子「○大で物理を専門としている教授でした……よね」

    梓「物理学者?」

    おじ「そんなところさね」

    おじ「俺はね、タイムマシンってやつにも少しは知識……いや、興味はあるんだな」

    さわ子「……初耳ですよ?」

    おじ「聞かれなかったしね」


    702 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:25:38.36
    おじ「そんな俺から言わせてみるとだな。ここに書かれてること、面白いけど」

    おじ「まずありえないんじゃないかな」

    「!」

    律「でも現に私たちは過去へ行ったり未来へ行ったりした!」

    おじ「証拠は?」

    律「……」

    唯「こ、こっちのあずにゃんは未来から来たんだよ!」バッ

    み梓「え!?」

    紬「そうですっ、双子なんかじゃないんです!」

    おじ「……確かに似ている。瓜二つだな。で、証拠あるかい?」

    み梓「えっと……ご、5月19日に高速道路でトラックが横転して大きな事故が起こりますっ」

    おじ「ふむ、それじゃあ19日にその事故が起きたら証拠になるね。それじゃあその日になるまで……」

    み梓「そ、そんな悠長に構えている暇は……」


    703 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:30:18.81
    澪「……そうだ!」

    律「どうした澪?」

    澪「さわ子先生、もう1つのメモの裏に゛自分を忘れるな゛って書いてあるんですよね?」

    さわ子「え? ええ……それがどうかしたの?」

    澪「それだけでもいいから、心当たりがないか聞きいてみませんか?」

    さわ子「……そうね」

    さわ子「おじさん。そっちのメモの裏を見て」

    おじ「ん?」

    さわ子「あなたの名前と一緒に一つの文が書かれているはず……それに覚えは?」

    おじ「おお、本当だ。俺の名前じゃないか……?」

    おじ「自分を忘れるな?」

    おじ「自分を……忘れるな……」

    唯「おじさん?」


    704 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:35:21.39
    おじ「!」ガタッ

    おじ「ううっ、あ……っぐ」

    律「どうした!?」

    さわ子「おじさんしっかりして!」

    おじ「お、俺は! おれは! おれはっ」

    澪「な、なに!? ひぃっ」

    さわ子「おじさんっ!!」

    おじ「…………」

    おじ「は、はは……」

    梓「こ、壊れた?」

    紬「いったいなにが……」

    おじ「うははははははは!」ゲラゲラ

    おじ「くくっ……っ、笑いすぎて腹が痛むぞっ、ははは……!」


    705 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:40:18.44
    さわ子「し、しっかりして!」

    おじ「ああ、大丈夫だ。正気だよ。気違えてなんてない……」

    み梓「じゃあ何がおかしくてそんなに」

    おじ「思い出したんだよ……! 俺は……」

    おじ「タイムマシンを使って2010年から2000年にタイムスリップしてきたんだ……」

    「!?」

    紬「ま、待って! どういうことですか!? 2010年は今ですよ!?」

    おじ「要するに……君たちとは別の世界。パラレルワールドから来たということになるのかな」

    律「はぁ!?」

    み梓「じゃあ2000年のあなたはどこへ行ったんですか!? あなたの言うことが正しければあなたは二人存在することに……!」

    おじ「殺したよ」

    さわ子「……え?」


    706 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:46:30.17
    おじ「俺が殺した。そういう実験だったからね」

    律「殺したって……あんたが過去のあんた自身をか?」

    おじ「そう」

    律「んなバカな話信じられるかよ!?」

    おじ「いやぁ、そうでもないさ。聞いたことないかい?」

    おじ「タイムマシンで今の自分が過去へ行って、その時間に生きている自分を殺したら……存在自体が消滅ってやつをさ」

    澪「小説とか漫画とかでは……」

    おじ「そいつがさ、本当なのかを確かめる為に俺は自分の身を持って実験したわけさ」

    唯「でもおじさんは消えてないよね? ってことは」

    おじ「そいつは違っていたってことかね。まぁ、その代わり、殺した俺自身が過去の俺となったようだが」

    さわ子「つまり、予期しない入れ替わりが起きた?」

    おじ「いや、俺のもしもの予想の1つにはあったさ。こういう事ってのはわからないことだらけだから」


    709 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:51:36.56
    さわ子「ということは、私がタイムマシンを受け取ったときにはもう既に……ん?」

    さわ子「ちょっと待って。なぜタイムマシンをおじさんが持っていたの!?」

    梓「たしかにタイムスリップしてもタイムマシンは一緒に時間を越えてきませんもんね」

    おじ「タイムマシンも俺と一緒にタイムスリップしていたら?」

    唯「いっしょ?」

    おじ「もともとあのギター型のタイムマシンは俺……俺と助手たちが作った物じゃあない。ある人物が所持していたのを……その、パクってね」

    さわ子「な……!?」

    おじ「その人らはなにも知らない素人みたいなもんだったよ。まぁ、最初に調べていたのはその人らで、俺たちは後から加わったんだが」

    おじ「そんな価値もわからない連中が所持しているくらいならとね」

    唯「どろぼー!」

    おじ「まぁ……認めるさ」


    712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:56:16.96
    おじ「盗んだあとは俺たちがしっかりと調べさせてもらったさ」

    おじ「そして、作らせてもらった。もう1つのタイムマシンを」

    紬「もう1つって……」

    律「またギターみたいな形のか?」

    おじ「いや、しっかりしたそれこそもっとメカメカしいやつだったね」

    おじ「それで後はそいつを使ってさっき言った通りさ」

    澪「タイムマシンをタイムマシンで過去へ送るって……」

    み梓「どうしてタイムマシンも持っていったんですか?」

    おじ「もとの時間へ帰るために決まっているだろう。俺たちが作った物も既存したタイムマシン同等、片道限定だった」

    み梓「だから帰り用にギター型の物を……」

    おじ「今となっては無意味だったがね。こんなメモまで残しておいたのに、記憶が過去のものになってしまった俺はタイムマシンに一切触れずに、しかもさわ子ちゃんに受け渡してしまっていた」


    715 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:01:37.30
    紬「そこから色々と繋がるわけね」

    澪「でもそれがわかったからなんだって感じになるんだけれど」

    律「まぁな」

    唯「おじさん。私たちが使っていたタイムマシン、どうも壊れちゃったみたいでして」

    おじ「なに?」

    唯「だからおじさん直せないかなぁ……って」

    さわ子「おじさんだけが頼りなの……お願い」

    梓(こんな人に頼むのもなんか癪だけど……今は我慢しなきゃ)

    おじ「……どうにかしてやりたいのも山々だが、修理するにもここでは設備がまず整っていないし、まずどう直していいのやらわからん」

    律「あんたたちだって作ったんだろ!? だったら」

    おじ「あのタイムマシンをバラして見よう見真似で作ったんだ。詳しいところは今一つわからんかったさ」

    律「はぁ!? そんことってあるかよ……どうするんだよ……」


    717 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:06:29.53
    おじ「俺ももとの時間へもど……いや、戻れるのか? はたして」

    おじ「どうも今の2010年は俺がいた時間と少し違うようだからな。というかパラレルワールドか」

    おじ「こいつはどうしようもないな。だが、タイムマシンが使えないことで君たちが困ることが何かあるのかい?」

    み梓「とてもありますっ!! あれが使えなきゃ先輩たちは……先輩たちは……」

    澪「梓……」

    おじ「弱ったなぁ」

    紬「……あ!!」

    唯「どしたのムギちゃん?」

    紬「電話……電話通じないかしら!?」


    721 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:11:20.90
    さわ子「どういうこと?」

    梓「そ、そっか! 過去へ行っても未来へ行っても通じましたもんね!」

    おじ「お、おい。説明してくれっ」

    唯「えっとね、例えば今こっちの時間から誰かが過去にタイムスリップしたとするでしょ? んで、こっちの時間から過去に行った人に電話かけても通じちゃうんだよ」

    おじ「……なんだって? そんな馬鹿なっ」

    唯「その、ぱられるわーるどってのと繋がるかはよくわかんないけど」

    おじ「だが今まで俺が電話をかけても俺のもといた時間に繋がることはなかったぞ」

    紬「それはあなたがもといた時間の人ではなくて、過去の、こっちの時間の存在になっていたからじゃないでしょうか?」

    おじ「……納得がいかない。それだと意識の問題ということになるんじゃ……」

    律「ものは試しだよ! 一回あんたの助手の人たちに電話してみろって!」

    おじ「あ、ああ……」


    723 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:16:42.40
    おじ「あれから何年も経っているんだ……繋がるかどうか……」ピッピッピ

    …プルルルル

    おじ「つながった……!」

    さわ子「うそ!?」

    律「な! 言った通りだったでしょ!?」

    おじ「す、少し静かにしていてくれ……」

    『……はい、もしもし?』

    おじ「!!」

    おじ「じょ、助手Aか……?」

    『まさか……○○先生ですか!?』

    おじ「あ、ああ……そうだ。こっちは今2010年の5月10日……そっちは?」

    『2020年12月27日……です』

    おじ「10年……経ったのか」


    724 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:21:28.37
    唯「10年経ったって……2020年! すっごーい!」

    澪「唯っ、静かに」

    『先生がいつになっても帰ってこないから実験は失敗に終わったのだと思っていましたよ』

    おじ「いや、成功さ。俺が存在したという記憶はそっちで消滅していなかったんだからな!」

    『ですがなぜ今になって……』

    おじ「そんなことはいい。それより問題が発生した。例のギター型タイムマシンが故障した」

    『なんですって! だからこちらに帰って来ることができなかったんですね……ですが安心してください。先生は運がいい!』

    おじ「……どういうことだ?」

    『実は偶然にもタイムマシンを回収しましてね。発見したのはアパートの一室だったのですが、それが……以前、先生と一緒にそちらへ送ったタイムマシンそのままなんですよ』

    おじ「なに……?」

    『とにかくそちらにすぐにでも送りますよ。場所は……』

    おじ「俺の家だ。すぐに頼む」

    律「なんか……なんとかなりそうだぞ!?」

    澪「ああ……ああ! そうだな!」


    727 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:26:03.68
    おじ「ん、でも待てよ」

    おじ「おい、そっちとこっちはおそらくパラレルワールドだ。送ったとしても届くのは……」

    『ええ。ですからもっと前の時間……こちらとそちらの世界が別れる、つまりパラレルワールドになるであろう前の時間に、2000年に先生の家の倉庫へ送らせていただきました』

    おじ「ぐ、グッジョブだ! おい、さわ子ちゃん! すぐにここの倉庫の中を見てきてくれ!」

    さわ子「え? あ、はい!」タタタ…

    『おそらくどこかにはあると思います。間違いありません』

    おじ「そうか……ふぅ」

    み梓「どうなったんですか!?」

    おじ「ああ、タイムマシンはなんとかなりそうだ」

    唯「よ、よかったぁ……」

    紬「やっぱりここに来てよかったね」

    唯「うん!」


    728 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:34:48.57
    さわ子「あったわ! タイムマシン!」

    律「おぉ! ってほこりっぽい……うっ」パタパタ

    澪「げほげほっ」

    おじ「タイムマシンを確認できた。ありがとう助手A」

    『いえいえ。ですが……先生。先生はもうこちらに帰ってくることは……』

    おじ「ああ、無理だと思う。俺が2020年に行ったとして、そこはお前たちが待つ世界ではない」

    おじ「これで、これでいいんだ俺は。とくに不自由なこともないしな」

    さわ子「おじさん……」

    律「さわちゃん、忘れんなよ。あの人は自分を殺したって一応の犯罪者でもあるし、そんな狂った実験をした人でもあるんだから」

    さわ子「……」


    729 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:38:52.59
    み梓「全ての元凶はタイムマシンを持ってきたあの人……私、少し許せません」

    紬「でも使ったのは私たちよ。私たちも悪いとは思う」

    み梓「っ……」

    澪「とにかく無事にタイムマシンが手に入ったんだ。これで」

    唯「にしてもほんとそっくりだよねー」

    梓「私たちが最初に使っていた物と同じですよね」

    律「まぁ、細かいことはいいっしょ」

    おじ「……じゃあな、元気でやるんだぞ」ガチャ、ツーツー

    おじ「……さて、俺はいつまでこうやってもとの自分を覚えていられるかな」

    さわ子「どういうこと?」

    梓「また未来から来た自分を忘れてしまうかもしれないってことですか?」

    おじ「確証はも――――」

    おじ「……うん?」


    730 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:43:02.70
    車内

    「……」

    唯「おじさん、寂しくないのかな」

    紬「あの大きな家に1人だったもんね」

    梓「……ていうかよく考えると、この世界で1人ぼっちって見解もできますよね」

    さわ子「あの人、ああ見えて案外1人になるのが好きな人なのよ」

    澪「あ、案外って……」

    さわ子「それだけ強い人ってこと。なんせ自分を……殺しちゃってる人だし」

    律「あ、あははは……それはあんまり笑えないや」

    さわ子「とにかく、今やるべきことだけあなたたちは考えていなさい」

    み梓「……」

    梓「……心配?」

    み梓「べ、別にっ!」


    731 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:48:02.72
    ・・・

    律「なんで今日さっそくやらないんだよ? 善は急げって言うじゃん」

    さわ子「色々あったし、あなたたちも疲れているでしょ?」

    み梓「そんなことは!」

    さわ子「無理しないの。とにかく、やるのは明日、学校で。ね?」

    み梓「……」

    紬「それじゃあ今日のところはおうちに帰ろっか?」

    澪「そうだな」

    唯「私、色々考えたから頭いっぱいいっぱいだよぉ」

    梓「それ昨日も言ってましたよね」

    唯「そだっけ?」

    さわ子「とりあえず、私がタイムマシンを預かっておくわね。それじゃあまた明日」ブロロロ…

    律「行っちゃったぁ……私らも帰るか」

    732 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:00:08.68
    平沢家

    み梓「ごめんね、二日も連続で泊っちゃって……」

    憂「ううん、全然気にしなくていいよ。私も梓ちゃんがうちにいてくれて楽しいもん」

    唯「私もだよ~」

    み梓「そ、そっか……えへへ」

    憂「このままうちの子になっちゃおっか! 梓ちゃん」ニコニコ

    み梓「ど、どこぞのお母さんみたいなこと言わないでよっ」

    唯「平沢梓も悪くないと思うんだぁ。名前の響き的に」

    憂「私は中野の方が似合ってると思うんだけどなぁ」

    み梓(こ、この姉妹は……)


    734 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:04:01.62
    ・・・

    チャポン

    み梓「はぁ……」

    み梓「やっと、かぁ……」

    み梓(長かったようで短かったような)

    ――――……

    梓「唯先輩っ! 唯先輩起きて!! 死んじゃダメ!」

    唯「あ……あ……」

    「君、離れて!」

    梓「いや、いやぁっ!! どうして!? どうして助けられないの!?」

    梓「澪先輩も律先輩もムギ先輩も……どうして私を1人にして死んじゃうのよ!?」

    梓「1人に、しないでよ……私を1人ぼっちにしないでよぉ…………」

    ……――――


    み梓「……」


    735 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:08:10.34
    み梓「あんなこと、認めない」

    み梓「絶対に……」

    ガチャリ

    唯「おっす、未来あずにゃん」

    み梓「ゆ、唯先輩!? な、なんで……」

    唯「たまには裸のお付き合いもいいじゃなーい」ゴシゴシ

    唯「いやだった?」

    み梓「はい」

    唯「あ、あーずにゃあぁん……」


    738 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:12:07.60
    俺も一旦風呂へ

    み梓「冗談ですよ。それに泊めてもらっている身でそんな生意気なこと言えません」

    唯「律儀だなぁ。別にそんなこと気にしなくていいのに」

    み梓「……ねぇ、唯先輩」

    唯「ん?」

    み梓「私……もう1人ぼっちになることなんて……ないですよね」

    み梓「あ! こ、こんなこと言ってもわけわかんないですよねっ。ごめんなさい」

    唯「大丈夫だよ」

    唯「1人ぼっちだなんて寂しいことにはぜっっったいならないよ!」

    み梓「……」

    唯「いくらいた時間が違っても、未来あずにゃんは私の大切な後輩」

    唯「だから大丈夫! ねっ」

    み梓「……」クスッ

    み梓「なんですかそれ。わけわかんないです」

    唯「えー、わかんないかなぁ?」ゴシゴシ


    744 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:44:43.10
    ・・・

    唯「くーっ、風呂のあとのアイスは格別ですなぁ!」

    憂「お姉ちゃんおやじくさい~」クスクス

    み梓「……おいひぃ」モグモグ

    唯「天下のハーゲンダッツさんだからね!」

    み梓「さん?」

    唯「ほら、ガリガリくんはガリガリくんでしょ?」

    唯「だからハーゲンダッツさん!」

    み梓「憂、唯先輩大丈夫?」

    憂「あはは……いつもどおりだよ……」

    み梓「そ、そっか」


    746 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:48:15.92
    ガチャリ

    唯「さーて、今日も早めに寝るよー」

    み梓「はい」

    唯「今日で未来あずにゃんと寝るのも最後かなぁ……?」

    み梓「そうですね」

    唯「あ、最後じゃないや!」

    み梓「え?」

    唯「また未来あずにゃんが遊びに来てくれたときにうちに泊ってくれればいいんだよ」

    唯「だから最後じゃない!」フンス

    み梓「……」

    み梓「ふふふ、あはははっ」

    み梓「あはははは!」

    唯「あ、あずにゃん? どっかに頭打っちゃった?」


    749 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:51:09.82
    み梓「あ、あー……お腹痛い、ふふふっ」

    唯「未来あずにゃん?」

    み梓「ご、ごめんなさい! でもおかしくって」

    み梓「……遊びに来れたらいいなぁ」

    唯「来れるよぜったい!」

    み梓「ふふっ、そうですね。来れますよね、ぜったい」

    唯「ほら、おしゃべりは終わりだよ。もう寝ないと!」

    み梓「……はい」

    唯「さっきの、約束だからね!」

    み梓「はいはい」クスッ


    751 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:54:01.53
    2010年5月11日 軽音部室

    澪「い、いよいよだな」

    梓「これでどうもできなかったら打つ手なし……」

    紬「かどうかはまだよくわからないわよね。今までもなんとかなってきたし」

    み梓「む、ムギ先輩……結構楽観視してるんですね」

    紬「えへっ」

    律「まぁ、これぐらいのほうが気楽でいいよ」

    唯「だねぇ~」

    さわ子「いや、ちょっと気楽過ぎるのもよくないわよ……適度に緊張感持ってよね。あなたたちのこれからのためなんだから!」

    唯・律「はーい」

    澪「大丈夫かな……」


    752 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:57:08.58
    梓「それで、誰が4日に行くんですか?」

    律「前に決めたとおり、私でいいっしょ。原因作ったの私かもしれないんだし」

    唯「りっちゃんかっくいいー!」

    澪「一応は責任感じてるんだ?」

    律「当たり前だろ!」

    さわ子「本当は私がやってあげたいのだけれど……」

    律「いいよ、さわちゃん。これは私たちの問題だよ」

    さわ子「またそうやって除け者にするっ」

    み梓「私たちの中に……私って含まれますか?」

    唯「もっちろーん!」

    梓「除外してほしかったの?」

    み梓「と、とんでもないっ。むしろ……よかった」

    律「そんなことよりさっさと始めるぞー!」


    755 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:00:02.19
    2010年5月4日 教室

    「うん。それじゃそろそろ切るぞ」

    「さて、みんな待ってることだし! そろそろ帰ってやるかぁ。にしてもビックリしたな……」タタタ…

    ガチャリ

    律「よし、うまく行った」

    澪『あとは落書きを処分するだけだな』

    唯『ゴミ箱にポイするだけでいいの?』

    紬『それだとちゃんと処分できたことにならないかもしれない』

    梓『焼却処分しちゃえばいいんじゃないですか?』

    律「えー、面倒くさいなぁ……」

    澪『ここまで来て面倒くさがることはないだろ? やれることはやってきなさい』

    律「ちぇー……はいはい。んじゃ、電話切るぞー」ピッ


    758 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:08:47.81
    律「さてと、確か澪の机の中に入れたんだったよな」スタスタスタ…

    律「よいしょっと」

    律「お、見つけた! ったく、過去の私も面倒なことしてくれたなぁ……」

    ス…

    律「……ん?」

    ス…

    律(あ、あれ? おかしいな、机の中に手を入れられない……)

    ス…

    律「んんっ!? なんで!?」

    律「……こ、このぉっ!」シュッ…

    ドンッ

    律「!?」ヨロヨロ…ドテッ

    律「え……え……?」

    律(お、押された……? でも誰もいないぞ!?)

    律「そんな……」


    759 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:13:05.48
    律「も、もしもし!」

    澪『どうした律? 上手くいったのか!?』

    律「それが……」

    梓『ま、まさか……』

    律「手がのばせないんだ……机の中に……」

    律「ていうか押されたんだ! よくわかんないけどこっち来んなーって感じで!」

    み梓・さわ子『……』

    紬『り、りっちゃん! 落ち着いてっ』

    律「おかしいんだよっ!? なにもできないんだ! ど、どうして!? え!?」

    唯『りっちゃん! りっちゃんてば!』

    さわ子『りっちゃん!!』

    律「!」

    さわ子『一度……こっちに戻ってきなさい』

    律「……うん」


    761 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:18:02.51
    2010年5月11日 軽音部室

    律「……」

    唯「り、りっちゃん。気にしないで……?」

    律「……気にするよ。ダメだったんだ」

    澪「……律が悪いわけじゃない」

    律「悪いよ。全部私のせいだ……」

    紬「お、お茶でも!」

    律「いらない」

    紬「ううっ……」

    梓「いや、いやあぁぁ……」ガクン


    762 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:23:22.48
    律「……さわちゃんの言うとおりだったな。簡単にはいかないって」

    さわ子「そう、ね……」

    律「ダメだった。私ダメだったよ、ははは」

    律「はぁ……」

    さわ子「落書きを処分しようとして、力が働かれたということはそれが原因でたぶん間違いないわ。つまり……」

    梓「打つ手なし、ですか」

    紬「私たち、死んじゃうのね」

    澪「やだ……死にたくないっ、死にたくないっ、死にたくないっ!!」ブルブル

    唯「わ、わたしだ、って……や、だよぉおお……まだいき……で、だい゛……」ポロポロ

    律「っっ……」




    み梓「まだ諦めるのは早いですよ」


    764 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:28:04.72
    唯「ふぇ……?」

    紬「いまなんて……」

    み梓「諦めるのは早いって言ったんです」

    律「でも、もう……」

    み梓「弱気になるなんてらしくありませんよ。律先輩」

    梓「ひっ、ぐ……あうっ……」

    み梓「ほら、もう1人の私も。泣かないで」

    澪「なんで、なんでそんな……」

    み梓「諦めない限り、なんとかなります。絶対に」

    さわ子「なにか他に原因を取り除く方法があるっていうの?」

    み梓「……はい」


    768 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:33:10.79
    み梓「世界を変えた原因を取り除こうとすれば確実に妨害される。なら、取り除くんじゃなくて」

    み梓「また変えてしまえばいいんです」

    紬「逆転の発想……?」

    律「でもそんなことしてまた変なことになったらどうするんだよ!?」

    み梓「最後まで話を聞いてください」

    み梓「変えるといってもタイムマシンがもともと存在しなかった世界に、です」

    唯「……どういうこと?」

    さわ子「まさか……」

    み梓「そう。過去へ行ってタイムマシンを壊すんです。二度と使えないように」


    769 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:38:26.22
    み梓「そしたらそのスクラップはどこかに埋めてしまいましょう。それで全部終わりです」

    紬「たしかにタイムマシンがなければりっちゃんが作った原因……というか過去に行ったという事実がなくなるもんね! それにさわ子先生のお友達も死なずに済むわ!」

    澪「でも……壊すのはいいんだけど、どうやってもとの時間に戻ってくるんだ?」

    律「そっか、あれがなきゃ戻るに戻れないもんな」

    み梓「……私が行ってきます」

    唯「そ、そんなのダメだよ!」

    み梓「でもこれしか方法は……!」

    さわ子「あわてる必要はないわ」

    み梓「え?」

    さわ子「私がタイムマシンを学校に初めて持ってきた日……この日にタイムスリップして過去の私にタイムマシンの破壊を頼んでから戻ってくればいいの」


    773 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:44:20.74
    さわ子「私がタイムマシンを使ってから壊すんじゃ、タイムマシンがあったという記憶が私に残るでしょ? だから壊すならその前……」

    さわ子「おじさんの方は過去の自分を殺してタイムマシンのことを忘れているから……申し訳ないけど」

    さわ子「それにあの人の家まで行くには相当の距離を行かなきゃいけないし、どちらにせよタイミング的にはこっちの方がいいわ」

    梓「確かにそれならなんとかなりますけど……」

    律「見ず知らずの人間にいきなりお前の持っているギターを壊せって言うのか? ちょっと無理あるんじゃ」

    さわ子「大丈夫よ! 私なんだから」

    み梓「ほ、ほんとですか……」

    唯「でもこれしかないってのなら、やるっきゃないよ!」

    澪「そう、だな……私もそう思う!」


    775 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:49:10.92
    さわ子「ていうか私が行かせてもらうわ。これ以上あなたたちを危ない目に会わせるわけにはいかない!」

    み梓「いえ、やっぱり私が!」

    唯「待って!」

    さわ子・み梓「?」

    唯「わ、私が行くよ!」

    律「お前が!?」

    梓「無茶言わないでくださいよっ」

    唯「うぅ……でも」

    唯「みんなこんなに頑張ってるのに、ぼーっとしてるだけだなんて我慢できないの」

    紬・澪・梓(それ言うなら私もそうなんだけど……)

    唯「だから行かせて?」

    み梓「で、でも……」

    律「行ってこい! 唯隊員!」

    澪「律!?」


    778 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:54:01.58
    梓「そんな簡単に託さないでくださいよ!」

    澪「律! お前なぁ……」

    律「隊長命令だから、絶対な」

    さわ子「りっちゃん。ふざけな――」

    律「ふざけて言ってるわけじゃないよ。唯がやるって言ってるんだから私は唯の意思を尊重してるの」

    唯「りっちゃぁん……」

    律「行ってこい。こんなの誰が行ったって同じだよ。だったら私は唯に全てを委ねてしんぜよう!」

    紬「そうね、私もりっちゃんに賛成」

    梓「……もう好きにしてください」

    澪「唯、いいのか? ほんとにいいのか?」

    唯「まっかせなさーい!」


    780 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:00:04.88
    唯「よっこいしょっと……」

    唯「準備おっけー。いつでもいけるよー」

    さわ子「あっちに着いたらすぐに私に会うと思うわ。いい? 私はとても慌てると思うけど焦らずに事情を話してあげて。でもタイムマシンについては言わないように」

    さわ子「たぶん、わかってくれるかもしれないから」

    梓「たぶんでかもですか……不安だなぁ」

    澪「唯、がんばって。お前が私たちの希望なんだ」

    唯「あいよー!」

    澪「……あぁ、やっぱり心配すぎるっ」

    紬「み、澪ちゃんっ」

    唯「も、もう行ってよろしい……?」


    782 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:03:21.67
    み梓「唯先輩……」

    唯「お、未来あずにゃーん」

    唯「あ! そういえば!」ガサゴソ

    み梓「どうしたんですか?」

    唯「ほい!」ペタン

    み梓「なっ!?」

    唯「今日のシール、貼り忘れたよぉ。あ、でもあとみんなシールなくてもどっちがどっちだか区別ついてたね」

    み梓「そういえば、そうですね……」

    唯「でもこれがあっての未来あずにゃんって感じだから。今日は温泉マークシールだよぉ」

    み梓「ど、どうも……」


    784 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:08:04.38
    律「よし、みんな! 重大な任務を果たしてくる唯隊員にむけて~」

    律「敬礼!」ビシッ

    唯「敬礼っ」ビシッ

    「……」

    律「だぁーっ! みんな乗り悪いなぁ。ここはやっとくべきだろ!?」

    澪「いや、それは恥ずかしい」

    梓・み梓「同じく」

    紬「あははは……」

    さわ子「バカなことやってないでさっさと行ってきなさい!」

    唯「は、はいぃ!」

    ポーン、ポーン、ピーン


    785 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:13:03.87
    2000年4月28日 軽音部室

    ガチャリ

    さわ子(過去)「私が一番乗りかぁ」

    唯「あのぉ」

    さわ子「きゃあ!?」

    唯「お、驚かせちゃってごめんね!」

    さわ子(上級生? でもこんな人いたっけ?)

    さわ子「あの、もしかして軽音部に入部希望とか……?」

    唯「えっと、ていうか既に入部してるんだけどね」

    さわ子「え? でも……」

    唯(な、なんて説明しましょうかぁ……)ウズウズ


    786 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:18:16.62
    さわ子「上級生の方、ですよね? 名前は?」

    唯「平沢唯だよー」

    唯「そ、そんなことより! あのね!」

    唯「それ!」ビシィッ

    さわ子「え……?」

    さわ子「このギターですか?」

    唯「それは……えっとね」

    唯「呪いのギターなんだよ!」

    さわ子「……はい?」

    789 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:23:02.60
    唯「あ、えっと、えっとぉ……」

    唯(勢いで言っちゃったけど変だったかなぁ!)

    さわ子「ふふっ」

    唯「え?」

    さわ子「面白い人ですね。平沢先輩」

    唯「あ、よく言われるよ。それ」

    さわ子「あはははっ」

    さわ子「呪いのギターでも、私にとってはこれはおじさんから譲ってもらった大事なギターなの」

    唯「そ、そっかぁ。でもね、それ使っちゃったら大変なことになるんだよ……」

    さわ子「大変なこと?」

    唯「さわちゃんの友達がね、死んじゃうの」

    さわ子「わ、私の?」


    795 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:31:22.48
    さわ子「ていうかさわちゃんって……私のこと知ってるんですか?」

    唯「うん。だってさわちゃんは先生でもあって、軽音部の顧問でもあるんだもん」

    さわ子「先生? 顧問? あの、人違いじゃ……それに私、まだ学生ですよ」

    唯「今はそうだけど、さわちゃんは先生になるの。この学校の音楽の先生」

    さわ子「な、なんでそんなこと言えちゃうんですか?」

    唯「それは私がみら――――」

    唯「なななな、なんでもない! やっぱなんでもないよ!?」

    さわ子「えぇー……」

    さわ子「ていうか私の友達が死んじゃうっていうのは……」

    唯「紀美さん、だっけ。その人が事故で……亡くなっちゃうの」

    さわ子「え!? 紀美!?」


    798 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:35:02.10
    さわ子「じょ、冗談でも言っていいことと悪いことがあるわっ!!」

    唯「ご、ごめんね! でも本当なのっ、信じてっ」

    さわ子「初対面の人をそう簡単に信じられると思えますか!?」

    さわ子「おまけにさっきから変なことばかり言うしっ」

    唯「へ、変じゃないよぉ……」

    さわ子「出ていってください! 」

    唯「そういうわけにもいかないの!」

    さわ子「出ていって!」

    唯(さ、さわちゃんのばかぁ! 全然分かってくれないじゃんっ)

    唯「ど、どうしよう……」

    Prrr…


    802 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:40:05.78
    さわ子「ん?」

    唯「あ、携帯……ちょっとごめんね」ピッ

    さわ子(携帯って……なんでそんな……)

    唯「はいはい、もしもし?」

    さわ子『もしもし、唯ちゃん』

    唯「あ、さわちゃーん!」

    さわ子(過去)「え?」

    唯「あ、そっちのさわちゃんじゃなくて……と、とりあえず気にしないで!」

    さわ子(過去)「?」

    唯「さわちゃん大変だよ、こっちのさわちゃん私の言うこと全然信じてくれないっ」ヒソヒソ

    さわ子『そっか……電話かけて正解だったわ』

    律『やっぱりなんとかならないじゃん』

    唯「ほんとだよっ」プンスカ

    さわ子(過去)(本当になんなのこの人……)


    804 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:43:01.58
    唯「でもどうするの? このままじゃ」

    さわ子『唯ちゃん。ちょっとそっちの私と電話代わって』

    梓『そ、それって大丈夫なんですか!?』

    さわ子『たぶん大丈夫よ。タイムマシンのことさえ言わなければいいんだから』

    唯「……んじゃあ、代わるよ? おーい、さわちゃん。電話代わってだって」クイクイ

    さわ子(過去)「え、私!? だ、誰からですか……?」

    唯「それは出てからのお楽しみ」サ

    さわ子(過去)「……も、もしもし」

    さわ子『もしもし』

    さわ子(過去)「どなたですか……?」

    さわ子『山中さわ子よ』


    805 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:46:22.59
    さわ子(過去)「あ、同じ名前……」

    さわ子『そりゃそうよ。私はあなた、あなたは私なんだから』

    さわ子(過去)「は?」

    さわ子『私は未来のあなたよ』

    さわ子(過去)「またそんな冗談を……だれ? なんのつもり?」

    さわ子『私はね、今桜高の教師やってるのよ。びっくりでしょ?』

    さわ子(過去)「……平沢さんから聞きました。それがなんですか」

    さわ子『DEATH DEVILは色々あって続かなかったのよねぇ……ちょっと残念だけど』

    さわ子(過去)「な、なんでまだ誰にも教えてないバンド名をあなたが!?」

    さわ子『ふふふ……(なんかちょっと面白くなってきたかも)』


    809 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:51:05.29
    さわ子『まだ信じられない? 私が未来のあなたなんだってこと』

    さわ子(過去)「あ、あたり前ですっ」

    さわ子『じゃあ今度は振られた男の数でも言っちゃおうかな~?』

    さわ子(過去)「いっ!? や、やめてぇっ」

    唯(なんかよくわかんないけど学生さわちゃんが押されてる……!)

    さわ子『じゃあ信じてくれるわね?』

    さわ子(過去)「信じる! 信じるからっ!」

    さわ子『そう、よかった。じゃあまた唯ちゃんに電話代わって?』

    さわ子(過去)「……はい」ス

    唯「ほえ?」


    811 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:56:16.02
    さわ子『もしもし唯ちゃん。上手くいったわ。これでだいぶ話は聞いてくれるとは思う』 

    唯「ほんとぉ!? さっすがさわちゃん先生~」

    さわ子(過去)「あの……」

    唯「ん?」

    さわ子(過去)「まさか、平沢さんも未来の人だとか……言いませんよね?」

    唯「そのまさかです!」

    さわ子(過去)(あ、頭痛くなってきた……)フラ

    さわ子(過去)「どうやって未来からここに来たんですか。まさかタイムマシンとか?」

    唯「それは内緒ー。それ言っちゃダメって言われてるからね」

    さわ子(過去)「……じゃあ、なんで未来からわざわざ? 何か用でも?」

    唯「そのギターに用事があって来たんだよ」

    さわ子(過去)「呪いのギター?」

    唯「ああ……それもう忘れてよぉ……」

    813 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:00:05.55
    さわ子(過去)「まさか、このギターをよこせとか言いだすんじゃないでしょうね?」

    唯「ううん。ぶっ壊してほしいの」

    さわ子(過去)「……」

    さわ子(過去)「……は?」

    唯「だから――」

    さわ子(過去)「ちょ、ちょっと待って! 本当にあなた私をばかにしてるんですか!?」

    さわ子『ゆ、唯ちゃん。ちょっともう一度私と電話代わってくれるかしら?』

    唯「え? あ、うん。はい、さわちゃん」ス

    さわ子(過去)「……もしもし、どういうこと!? 説明して!」

    さわ子『あのね、落ち着いて聞きなさい。あのギターについて詳しいことは教えられないけど、とにかく今、私たちの時間で大変なことが起きてしまいそうなの』

    さわ子(過去)「あのギターが原因でってこと……?」

    さわ子『そう。それにあれをあなたが使うことで紀美が死んでしまうのよ』

    さわ子(過去)「また紀美……」


    814 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:04:04.02
    さわ子(過去)「本当、なんですか? にわかには信じがたいですよ」

    さわ子『本当よ。ウソじゃない。……とりあえずあのギターを絶対に弾かないで』

    さわ子『それだけでも紀美の死は回避できるわ』

    さわ子(過去)「だったらわざわざ壊さなくても……」

    さわ子『……あれがあると、私の教え子が死ぬのよ。そこにいる唯ちゃんがその1人』

    さわ子(過去)「え……」

    唯「ん?」ヒョコ

    さわ子『あなたがおじさんから譲ってもらったあのギターこそが全ての元凶。あれを壊して二度と使えなくすることで、おそらく唯ちゃんたちの死は回避される』

    さわ子(過去)「どうしておじさんから貰ったって……」

    さわ子『何度も言わせないで頂戴。とにかく、あとはそこにいる唯ちゃんの言うことをしっかり聞いて。……それじゃあ』ブチッ、ツーツー

    さわ子(過去)「え、あ、ちょっ……まだ聞くことが……」


    815 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:08:04.69
    さわ子「はい、電話。返します」

    唯「あれ? さわちゃん電話切っちゃったの?」

    さわ子「私じゃなくて、向こうの私が切りました……それより」

    さわ子「あのギターを壊さなきゃ、あなた死んじゃうんですか?」

    唯「んー……まだよくわかってないけど、そうみたいだよ。あはは……」

    唯「それ教えてくれたのは未来から来たあずにゃんなんだけどね。あ、あずにゃんっていうのは私たちの後輩の1人で」

    さわ子「そこまで聞いてない。……あなた、私の教え子にあたる生徒さんだったんですね」

    唯「そだよぉ~。さわちゃんはねぇ、なんだかんだ言っていい先生なんだよ! あ、最近だと彼氏が全然できないって泣いてた」

    さわ子「……そういうことは教えなくていいですっ!! それで軽音部の顧問と?」

    唯「あんまり顧問らしいことしてないけどね。あ、でもギターすごく上手くて私も色々教えてもらったよぉ。歯ギターとか!」

    さわ子(未来の私はいったい何をしているの……!?)


    818 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:13:16.88
    唯「でもね」

    さわ子「え?」

    唯「みんなさわちゃんのこと大好きだよ」

    さわ子「……あ、ありがとう」

    さわ子「って、私に言ったんじゃなくて未来の私ですよね……あ、でも私には変わりないのか」

    唯「ふふふっ」

    さわ子「な、なに?」

    唯「さわちゃん若いなぁって。さわちゃんも私たちと同じときがあったんだなって思って」

    さわ子「そりゃ、誰だって学生のときはありますよ」

    唯「でもなんか変な感じして、えへへ」

    さわ子「……ふふっ」


    821 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:18:02.49
    さわ子「それで? 私はなにをすればいいの?」

    唯「え?」

    さわ子「あなた、何のために未来からやってきたんですか」

    唯「あ、そだったね。えっと……」

    さわ子「やるなら早くしたほうがいいと思います。もうすぐここに誰か来ちゃうかもしれないし」

    唯「そ、そだね! それじゃあ……」

    唯(まずギターケースに入ってるおじさんが書いたメモを……)ジィーッ、ガサゴソ

    さわ子「?」

    唯「あった! えっとこれを……どうしよう?」

    さわ子「なんですかそのメモ?」

    唯「み、見ちゃダメだよ!」


    823 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:22:02.33
    さわ子「でもそれ……」

    唯(ど、どうやって処分しよう……そうだ!)

    唯「あむっ」パクッ、ムシャムシャ

    さわ子「は!? え、ちょっと!? なに食べてるんですか!」

    唯「ほうふふひははいんはほ~(こうするしかないんだよ~)」

    ゴクン

    唯「はぁ……まずっ」

    さわ子「と、とんでもない人……」

    唯「よし、メモはこれでおっけー。後は」ガシッ

    さわ子「こ、今度はなんですか?」

    唯「ちょっとこのギター使わせてもらうねぇ。あ、見られないようにしなきゃダメか」

    唯「物置部屋借りるよー!」

    さわ子「え? えぇっ?」


    824 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:27:11.18
    さわ子「あ、あのちょっと!」

    唯「いい? 今から3分ぐらい経ったらここ開けてギター持っていって」

    唯「そしたら何があってもかならずギターぶっ壊しちゃってね! いい? かならずだよっ」

    さわ子「壊すのはわかりましたけど……なんでそんな」

    唯「それと、私と会ったことは忘れてね!」

    さわ子(こんな強烈なキャラ中々忘れられないと思うけど……)

    唯「んじゃね! 頼んだよ、学生さわちゃん!」

    ガチャリ

    さわ子「あ! も、もぉ……なんなのよ……」

    829 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:31:25.63
    唯「ふぅ、疲れたぁ……」

    唯(あとは私がみんなのところに帰ってタイムマシン太が壊れるのを待つだけだね)

    唯「よーし、んじゃ――」

    唯「……」

    唯「待って、タイムマシン太壊れちゃったらたしかに世界変わるけど……」

    唯「……」


    832 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:34:21.68
    Prrr…

    唯「もしもし」

    澪『唯? どうした』

    唯「ちょっと未来あずにゃんに代わって」

    澪『え? あ、うん』

    み梓『もしもし、今代わりました。どうしました?』

    唯「タイムマシン太壊れちゃったら……未来あずにゃんこっちにまた来れなくなるじゃん」

    み梓『そうですね』

    唯「……約束したじゃん。遊びに来てくれるって」

    み梓『……そうですね』


    834 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:38:01.62
    唯「来れないどころか、タイムマシン太ない世界になっちゃったら……私たちの今までの思い出ってどうなっちゃのかな」

    み梓『もともとなかったことになるんだから、タイムマシンを見つけてからの記憶はたぶんなくなるかと』

    唯「そうなると……未来あずにゃんってどうなっちゃうの?」

    み梓「そもそもタイムマシンのせいで先輩たちが死んだという世界から私は来たんですから……たぶん消えちゃったり、とか」

    唯「そ、そんなのやだよ……!」

    み梓「じゃあこのままにして唯先輩たちが死んじゃってもいいんですか」

    唯「あう……」

    み梓『私はそんなのいや。耐えられません。もう1人の私だってそうです』

    唯「……」

    み梓『電話切りますよ。……早く戻ってきてください』

    ブチッ、ツーツー


    837 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:43:00.47
    唯「……」

    唯「……」

    唯「……」

    唯「……」

    唯「……」

    唯「……っ」


    >>840
    戻る? 戻らない?

    844 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:47:45.05
    唯「無理だよ……そんなことできない」

    未来あずにゃんが消えちゃうだなんて悲しいこと、私には耐えられない。

    だって、そうだよ。

    未来から来たって未来あずにゃんはあずにゃんに変わりはないんだもん。
    みんなだってきっとそう思うに違いない。
    私たちが死んじゃうか、未来のあずにゃんが消えちゃうか。
    どっちかを秤にかけて、さぁどっちを選ぶって言われても……

    唯「選べるわけ、ないよぉ……」

    そうだ、もう一度電話をかけてみんなと相談を――

    『3分経った。よし、開けますよー』

    外から学生さわちゃんの声が。

    もう3分経った……!?


    849 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:51:33.41
    ドアを開けて部屋に入って来たさわちゃんは不思議そうな顔で私を見た。

    さわ子「いったい中でなにしてたんですか?」

    唯「……」

    なんて言えばいいんだろう。
    言ったところでわかってくれるのかな。

    さわ子「それじゃあ約束通り、壊しましょう……不本意ですけど」

    唯「ま、待って! だめ! 壊しちゃだめぇっ!」

    タイムマシン太を庇うように抱いた。
    でもそんな行為も無意味だったみたい。

    さわ子「……なんとしてでも壊せって言ったのは平沢さんじゃないっ」

    ひったくるようにして無理矢理タイムマシン太を奪われた。


    853 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:54:13.61
    唯「か、返して……!」

    さわ子「ダメです! やれって言われたことはきちんとやるわ」

    唯「ダメなのっ、壊しちゃったら未来あずにゃんが消えちゃう!」

    さわ子「またわけのわからないことを……そもそもこれを壊さなかったらあなたが死んじゃうんでしょう!?」

    唯「それは……」

    さわ子「だったら尚更壊さなきゃダメです。あなたが死んじゃったら未来の私が悲しむもの! それに私だって……!」

    唯「でも……」

    ダメだ。
    話を聞いてくれない……。


    856 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:57:08.60
    一息つくと、タイムマシン太のネックを持って、学生さわちゃんは上に振り上げた。

    だめ! やめて!

    唯「壊さないで! お願いさわちゃんっ」

    さわ子「……」

    無視だ。
    もうあれを壊すって決心をきめた顔をしてる。
    だめ。あれを壊したらあずにゃんが。
    私は考えるよりもさきにさわちゃんを押さえつけにかかった。

    さわ子「なにをするの!?」

    唯「だめぇーっ!」

    さわ子「っ……!」


    860 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:00:04.70
    さわ子「邪魔、しないでっ!」

    学生さわちゃんは腕に絡みついていた私を強引に払いのけた。
    バランスを崩した私はそのまま壁に叩きつけられる。
    痛いっ、痛いよさわちゃん……。

    さわ子「おじさん……ごめんねっ――」

    唯「やめて……っ」

    ――ゴンッ。

    壁に思いっきり叩きつけられたタイムマシン太はボディが傷つき、塗装がはげていた。
    壁から離されると、パラパラと小さな破片が床に落ちる。

    まだ、まだ完全に壊れてない……!
    なんとかしなきゃ……なんとかしなきゃ……

    唯「壊さな――」

    ――バキィッ。


    865 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:03:10.98
    さわ子「はぁ、はぁ……お、折れた……!」

    二撃目。もう一度同じようにして壁に叩きつけられていた。
    今度はネックが折れ、ボディもズタズタ。

    唯「やめ、て……」

    さわ子「……次で」

    ボディを持って窓辺に歩いていくさわちゃん。

    まさか……。

    窓を開けると、持っていたタイムマシン太を……外に向かって放り投げた。

    唯「あ、あ……ああ…………」

    しばらくして、外から大きな音が―――――――――――

    ・・・

    ・・・

    ・・・


    867 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:06:02.99
    ?年?月?日 ?

    眠りから覚めると、知らない天井がまず最初に目がついた。
    体を起こしてまわりを見渡せばこれまた知らない部屋。

    どこなんだろう、ここは。

    「あ、起きたんですね! 急に倒れて気を失っていたからビックリしちゃいましたよ」

    眼鏡をかけた女の子だ。
    髪は長くて艶々。きれいだと思う。

    「さっきはごめんなさい。でもあれを壊さなきゃって思ったら必死になっちゃって……」

    「窓から投げちゃったし……おかげで先生にも怒られちゃって。でも安心して! きちんと壊れましたよ。あのギター」

    なんの話かな?
    覚えがないよ。
    あなたはだぁれ?

    「え、なに言ってるんですか? 山中さわ子ですよ。さっきまでさわちゃんって私のこと呼んでたじゃない……」

    さわちゃん?


    869 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:09:06.53
    「ど、どうしちゃったんですか? 何か、様子が変……」

    どうもこうも、よくわかんないんだよ。

    「わからないって……なにが?」

    何もかも。なーんにもわかんないんだぁ。
    ねぇ、ここはどこ?

    「ちょ、ちょっと……平沢さん?」

    ヒラサワさん?
    だれ?

    「誰って、あなたの名前……」

    私の名前?


    870 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:12:02.37
    私はヒラサワ?

    「自分でそう言ってたでしょ!? 本当にどうしちゃったんですか!」

    「やっぱりさっき頭打ったときにでも……ほ、保健室に行きましょう!」

    えー、やだよ。

    「やだとかそういうのじゃなくて!」

    どうしてここに私はいるの?
    どうして私はこうしてさわちゃんと話してるの?
    私は本当にヒラサワなの?
    どうして? ねぇ、どうして?

    「いいから保健室に――」

    いや! 離して!

    「ちょっ、どこへ行くの!? 待って!!」


    874 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:15:02.17
    ?年?月?日 

    あの場所から抜け出してからどれくらいの時間が経ったんだろう。
    1日? 3日? それとも一週間かな。

    とても長い時間に思えた。

    ……私はだれなんだろう。

    私はあそこで何をしていたんだろう。
    何にもわからない。
    何にもわからないの。


    879 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:18:10.89
    ?年?月?日

    あれから何年かの時間が過ぎていった。

    未だに私は何も思い出すことができない。

    だけど、そんな私を支えてくれる人が現れた。

    彼は数年前、路頭に迷っていた私に声をかけてくれて、優しく接してくれた。
    それから私は彼のアパートに住まわせてもらっている。
    彼は私のことを気味が悪いとか頭がおかしいんだと嘲笑うことなく、私を命一杯愛してくれた。
    私も彼の愛に応えようと精一杯頑張った。

    私には今彼だけ。彼の存在だけが私の全て。


    881 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:21:05.19
    ?年?月?日

    私は彼と結婚した。

    親族がわかっていない私のことを察して、式は挙げずに戸籍上のみの結婚だ。
    結婚をきっかけにアパートから一軒家を立て、住むことになった。
    とてもいい家だと思う。

    彼の趣味は外国旅行。
    私も彼に着いていって、あちこちの国へ行った。
    結婚した今でもよく旅行をする。
    そのたびに新婚旅行の気分になって、私と彼はいつまでも愛しあえる気がした。


    885 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:24:11.60
    ?年?月?日

    ついに彼との間に子どもを授かった。

    私たちはそのことをとても喜んだ。
    1人目は女の子。
    とても可愛らしい女の子。
    もしかしたら彼は男の子を欲しがっていたんじゃないかと私は心配した。
    だけど娘に優しく接している笑顔の彼を見て、それは杞憂だったんだなと思った。

    1年後、もう1人の子が生まれた。
    また女の子。
    最初に生まれた子とまるでそっくり。
    彼は、どちらの子も君によく似てとても愛らしいと言ってくれた。

    私も彼同様に、子どもたちを可愛がり、命一杯の愛情を注いで育てた。


    890 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:27:03.14
    2010年5月26日 公園

    今日はとても天気がよくて、ついつい子どもたちを連れて公園へ足を伸ばしてしまった。
    彼は仕事で夜まで帰って来ることはない。

    「今日はいい天気だね、お姉ちゃん」

    「そだねぇ~。お昼寝日和だよー」

    「もうお姉ちゃんったら」

    ベンチに座って子どもたちとうたた寝をしていると、向こうから二人の女の子がやってきた。
    二人ともよく似ている。まるで双子のよう。

    「あいてっ」

    あ、こけた。

    「お姉ちゃんっ。だ、大丈夫!?」

    「あいててて……大丈夫だよぉ」

    「よかったぁ……」

    なんて微笑ましい姉妹なんだろう。
    私はその光景に自然と笑みを浮かべた。


    892 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:30:04.10
    「あ、見てみて~。ほら、あの赤ちゃんたち可愛い~」

    「ほんとだ……ふふっ」

    姉妹は私の娘たちに気がついたのか、こっちに近寄り、私に挨拶をした。
    挨拶を返すと間髪いれずに姉の女の子が、

    「可愛い~可愛いよぉ~……」

    うっとりと眺め、娘の1人と遊び始めた。

    「ご、ごめんなさい。でも本当に可愛いですね」

    ありがとう、と返すと。

    「名前はなんていうの、お姉さん? この子たちの名前」

    なまえ?

    そっちが唯で、こっちが憂っていうの。

    「すごーい! 私たちと同じ名前だね、憂!」



    BADEND6


    896 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:33:04.13
    >>837から

    2010年5月11日 軽音部室

    シュッ

    唯「……」

    律「唯ー! 無事だったな! よかったぁ……」

    澪「みんなすごく心配してたんだからな?」

    唯「そう、なんだ」

    紬「お疲れ様、唯ちゃん」

    梓「これで一安心ですね!」

    さわ子「あっちの私にタイムマシンの破壊は頼んだのよね?」

    唯「うん、バッチリ……」

    律「あとは壊してくれるのを待つだけか!」

    み梓「そうですね」

    唯「……ねぇ、未来あずにゃん」


    902 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:36:25.33
    み梓「はい」

    唯「本当にこれでいいの!? 消えちゃうかもしれないんだよ!?」

    「……」

    み梓「……はい」

    み梓「私の目的はそもそも先輩たち死なせないことです。その目的のために壊れちゃったタイムマシンでわざわざ時間を越えて来たんですから」

    み梓「一種の賭けでしたよ。まぁ、無事につけなかったことなんて微塵にも考えてませんでしたけど」

    梓「そんな……」

    さわ子「どうして未来の私はそれを止めなかったの?」

    み梓「内緒で来たんです。言えばどうせ止められると思ってましたし」

    さわ子「……ばか」


    905 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:39:03.72
    紬「そこまでして私たちのことを」

    み梓「だって私、先輩たちのこと」

    み梓「大好きですから」

    梓「ちょ、ちょっとっ……///」

    澪「梓……」

    律「なんか、照れるな」

    ギュッ

    唯「あ、ずにゃあ……ん……」

    み梓「はい」

    唯「ごめん、ごめんね、ごめんねぇ……っ」

    み梓「唯先輩はなにも悪くありませんよ」ナデナデ

    唯「だっ、でぇっ……」


    907 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:42:12.82
    み梓「それになにも悲しむことないじゃないですか。そこに私はいるんだから」

    梓「あ……」

    み梓「私も、そっちの私も、同じ中野梓ですよ」

    唯「おん、なじ……だけどっ、ちがうんだよぅ……っ」

    澪「……」

    律「……」

    紬「……」

    さわ子「……そろそろかしらね」

    唯「やああぁぁっ! やだよおおぉっ!」

    梓「ワガママ言わないでください!!」

    唯「!」


    913 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:45:16.44
    梓「そんなに、そんなに言われちゃったら……つらくなっちゃうじゃないですか」

    唯「あずにゃん……?」

    み梓「ありがと、私」

    梓「別にっ」

    梓「……私ね、正直あなたに嫉妬してた。あなたが来てからみんな私を見てくれなくなっちゃったんだもん」

    紬「あ、梓ちゃん。そんなことは」

    梓「私が勝手にそう思い込んでいただけかもしれない。でも……」

    み梓「ごめん……気づかなかった……」

    梓「でも許す! 私の方こそごめんなさいっ」

    み梓「そんな、謝らなくたって……」

    梓「ううん、謝らせてっ」


    916 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:48:36.07
    み梓「なんか、ごめんなさい。私のせいで皆さんに」

    さわ子「いいのよ、気にしなくて。あなたは唯ちゃんたちを助けてくれたんだから」

    み梓「大したことしてませんよ。伝えに来ただけみたいなものです」

    律「でもタイムマシン壊すって考えはお前の発想なんだぞ」

    律「なにもできないと思ってた私たちにお前は希望くれたんだ。ちゃんと助けられたよ」

    み梓「……えへへ」

    唯「……未来あずにゃん。私、待ってるからね。遊びに来てくれるの」

    み梓「そう、ですね……約束しましたもんね」

    唯「……指きりげんまんウソついたら針千本のーますっ、ゆ……ゆびきっ、たぁ」

    唯「やく、そく…………だよぉっ……?」

    み梓「……」

    み梓「はい! ……約束です!」


    917 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:51:28.64
    2000年4月28日 軽音部室

    さわ子「平沢さん……どこに消えちゃったのかしら?」

    さわ子「言われたとおり待ってて開けたらいないんだもん……まさか未来に帰った?」

    さわ子「と、とりあえず壊すんだっけ」ガシッ

    さわ子(うっ……いざとなったら……なんだか)

    紀美「さわ子、そんなとこでなにしてんの?」

    さわ子「ひっ、きゃあああっ!!?」シュッ…

    ズガァァンッ!

    紀美「いっ!? な、なにしてんの!?」

    さわ子(こ、壊しちゃった……)

    紀美「それおじさんからもらったギターでしょ!? な、なんつーことを……!」

    さわ子「……こ」

    紀美「え?」

    さわ子「これが私のロックなんだよおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」ドカン、ドカンッ、バキィッ

    紀美「ちょ、ちょっと!? さ、さわ子ぉっ!!」

    921 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:55:06.11
    ・・・

    ・・・

    ・・・

    2010年5月25日

    さわ子「ふふっ、ほんと久しぶりよね」

    紀美「さわ子が先生になってからだいぶ会う機会減ったからねぇ」

    紀美「どう? しっかり先生やれてんのかよっ、キャサリン」

    さわ子「おうっ! じゃなくて、ええ。生徒たちのハートもがっしり掴んでるわ」

    紀美「そりゃあおっかないね」クスッ

    さわ子「えぇ~! なんでよっ、いい方で掴んでるのよ? 美人でおしとやかで優しい先生ってな感じで!」

    紀美「ふふっ、そりゃあいつ本性がバレるか今から楽しみだね~」

    さわ子「もうっ……!」


    922 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:58:09.94
    2010年5月25日 軽音部室

    梓「……」

    梓「……んんっ」

    梓「……」

    梓「すぅーっ…………」

    梓「……」ジャンジャンジャンジャカ、ジャン

    梓「ふぅ……」

    梓「……」

    梓「はぁ……」

    ガチャリ

    梓「あ!」

    925 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 02:01:02.41
    唯「あ~ずにゃん!」ギュッ

    梓「ひっ」

    唯「1人ぼっちで寂しかったかぁい~?」スリスリ

    梓「いっ、いきなり抱きつかないでくださいよっ!」

    唯「今さら何を言うかぁ、このこのぉっ」スリスリ

    梓「うぇー……」グニグニ


    928 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 02:04:52.58
    澪「お、梓が一番乗りだったのか」

    紬「遅れちゃってごめんねぇ」

    梓「い、いえ! そんな気にしないでください」

    紬「すぐにお茶の用意しちゃうから」

    梓「は、はぁ……」

    唯「あずにゃんのほっぺプニプニぃ~」スリスリ

    梓「あぅぅ……」

    律「お前らまたやってんのかよー? あいかわらず仲良いですこと」

    梓「ち、違いますっ」

    唯「え!? 違うのぉ……?」

    梓「あ、いや! えっと……」


    929 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 02:09:43.65
    紬「はい。今日は紅茶とクッキー」

    律「お、シンプルにきたぞ」

    澪「美味しそう……は、でも」

    律「なんだよ、またダイエット? だったら澪の分も私がもらっちゃおー」

    澪「や、やめろ!」

    紬「いっぱいあるから慌てなくていいわよぉ」

    唯「あ、あずにゃん! 私たちも食べいこっ」

    梓「え!? あ、はいっ」

    唯「ティータイム~、ティータイム~♪」

    梓「それもいいですけど。練習、そろそろ真面目に頑張りましょうね?」

    唯「気が向いたらするよ~」

    梓「……はぁ」

    932 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 02:13:27.17
    唯「あ、そういえば聞いてよー」

    澪「なんだ?」

    唯「昨日いい夢みたんだぁ」

    律「なんだよ、夢の話か……」

    紬「どんな夢を見たの?」

    唯「あずにゃんがうちに遊びに来たって夢」

    律「おーおー、中野ぉ。好かれてんのぉ?」

    梓「う、うるさいですっ!」

    933 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 02:18:07.43
    唯「えへへぇ」

    澪「……もしかしてそれだけ?」

    唯「そうだよ?」

    律「おっもしろくねー! どうでもいいっての」

    紬「まぁまぁ」

    梓「……それで、私はなんで唯先輩のところへ遊びに来たんですか?」

    唯「えっとね」

    唯「約束通り、ちゃんと遊びに来たって言ってた」

    梓「約束? 約束してたんですか?」

    唯「うん!」



    おしまい

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過去の名作たち

唯「ヌヌネネヌヌネノ ヌヌネネヌヌネノ」
唯「きゃあ!あ…あずにゃん…」 梓「おっぱい可愛い…」ペロ
憂「リラック唯」
  1. 名前: ◆- 2010/12/28(火) 00:57:54 URL [ 編集 ]
    面白かったけどBADENDの連続で気が重くなった
    それなりに覚悟して読むべし
    話としての完成度は高いと思う
    けど、もはやけいおんじゃないかなww
  2. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 01:19:43 URL [ 編集 ]
    凄く良く出来た話だった。久々の良作。最後感動した。
  3. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 01:23:48 URL [ 編集 ]
    怖えよ・・・
  4. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 01:56:37 URL [ 編集 ]
    これだけ書けるならオリジナルで作品やってもって気がしないでもない。
    律バッドの最後澪のセリフには戦慄した。すごいセンス。
  5. 名前:    ◆- 2010/12/28(火) 04:27:42 URL [ 編集 ]
    おもしろ。ゲームとかにもできそうなくらい完成度高いな
  6. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 04:45:30 URL [ 編集 ]
    同じ時系列の修正(Back To The Future等)とパラレルワールド(ドラゴンボール等)がごっちゃになってるけど、各編ともエンディングは秀逸!特にラスト!!
  7. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 05:17:23 URL [ 編集 ]
    ちょっと怖かったが最後は良かった
    未来あずにゃんがエロ爺の話聞いて過去あずにゃん殺しそうで怖かった
  8. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 11:50:04 URL [ 編集 ]
    最初のタイムマシーンはどこから出てきたのかモヤモヤする
  9. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 12:30:46 URL [ 編集 ]
    BADENDの話は救われない感じのが多かったけど、ラストがあったからすっきりした気分で終われた。
    長い文章は苦手だが、面白かったからサクサク読めた。
  10. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 14:08:43 URL [ 編集 ]
    あれ?これってシュタゲのパロじゃないの?
  11. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/28(火) 20:50:20 URL [ 編集 ]
    すごい!感動した!
    でも最後未来あずにゃんが
    結局どうなって唯たちもどうなったのか知りたい
    あと未来梓がどうやって過去に来たのか気になる
  12. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/31(金) 04:07:42 URL [ 編集 ]
    鳥肌と涙と冷や汗が止まんない。

    読んでて、さりげなくすべてのパートが関連してて、特に、元をたどればムギがマシンの開発者になってたところとか(タイムマシンのイニシャルT.K)もうすごい興奮した。

    映画はこれでいいとガチで思う・・・
  13. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2010/12/31(金) 11:42:52 URL [ 編集 ]
    今年最後にこのSSに巡り会えて本当によかった。

    BADEND一つ一つの話が深く、メインの話とも関わりがあってよく作り込まれていることがわかる。

    神SSだったよ、乙
  14. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/01(土) 19:16:12 URL [ 編集 ]
    めっちゃおもしろかった!!
  15. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/03(月) 13:47:27 URL [ 編集 ]
    さわこのロック吹いたw

    全部のENDに意味があって繋がってて寒気がしたわ
    すごくよかった
  16. 名前: けいおん!中毒 ◆UvwUpwt2 2011/01/04(火) 22:37:08 URL [ 編集 ]
    > 11
    土台はそうなんじゃない?
    たしか>>1がインスパイアされたSSがシュタゲパロだった気がする
  17. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/07(金) 02:49:28 URL [ 編集 ]
    これにリアルタイムで遭遇してたんだが
    この話の後日談?的なものもあったらしいんだよ(気になるんだがきっともう投下されないだろうな…)
    だからちょっともやっとする人も居ると思う

    でもそれを差し引いても文句なしの神SSだった!
  18. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/08(土) 20:50:34 URL [ 編集 ]
    >>18
    後日談なのかはわからないよな
    当人はおまけだってことしか書いてなかったから

    リアルタイムで見かけたレスで、UFOエンド(ネタ的エンド)はないのかって聞かれてたから、その期待にこたえるためにそういった物を用意していたのかもしれんし
  19. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/09(日) 20:25:57 URL [ 編集 ]
    実際時間の移動をすればその瞬間にルーツが存在しなくなりそうで怖いわ。
    まぁ、だからこそ同じ未来を辿らなかった場合にパラレルワールドが生まれて調整されるんだろうけど…

  20. 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/10(月) 12:54:40 URL [ 編集 ]
    エバー17思い出した
  21. 名前: 2011/08/28(日) 04:56:52 URL [ 編集 ]
    承認待ちコメント
    このコメントは管理者の承認待ちです
  22. 名前: 2012/01/21(土) 20:22:28 URL [ 編集 ]
    承認待ちコメント
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