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唯「がれっとでろわ?」
- 名前: 管理人 2011/01/02(日) 02:30:34
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:06:07.27
紬「今日のおやつはガレットデロワよ」
唯「がれっとでろわ?」
律「何だそれ?」
紬「フランスの伝統的なパイでね、とっても甘くておいしいの」
唯「へー、食べてみたい! 早く!」
紬「待っててね、今五等分するから」
ナイフで切れ目を入れていく紬。
紬「じゃあ、各自好きなのを取っていって」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:07:52.82
唯「私この大きいのねー!」
律「あー、ずるいぞ唯! それ私が食べようとしていたやつなのに!」
唯「早い者勝ちだよ!」
律「あ、梓二番目に大きいの取りやがって!」
梓「早い者勝ちです」
律「あー! 一番小さいのしか残ってない…………ちぇー」
唯「いただきまーす!」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:08:46.94
紬「あ、唯ちゃん! まだ食べないで!」
唯「え? う、うん。何で?」
紬「この五個に分けられたガレットデロワのどれか一つにだけ、フェーブと言うものが入っているの」
唯「ふぇーぶ?」
紬「ええ。トンちゃんの八分の一サイズくらいある人形よ」
唯「そのふぇーぶがどうかしたの?」
紬「フェーブが入っているガレットデロワを食べた人はね、その日限りの王様になれるの」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:09:37.76
律「あれか、要するに王様ゲームみたいなものか」
紬「ええ。そしてね、そのフェーブを当てた人は、……自分の好きな人を選んで、その人とキス出来るの!」
唯「き、キス!?」
紬「そう! キス!」
律「へぇ、面白そうだな。じゃあ食べようぜ!」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:10:43.07
紬「ほら、梓ちゃんも食べて食べて」
梓「あ、はい……」
唯「うーん、私のには入ってないよー」
律「私も入ってなかったぞ? 誰だ? フェーブが入ってるのを食べてるのは」
紬「あ、残念。私のにもなかったわ」
律「すると……澪か梓か」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:11:38.37
澪「…………あ」
律「どうした? 澪」
澪「フェーブって……これ?」
紬「あ、それ! 澪ちゃんおめでとう~」
澪「何か……あまり嬉しくない」
紬「澪ちゃん、じゃあ誰とキスする?」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:12:42.05
澪「……え? 本当にするのか?」
紬「当たり前じゃない」
澪「え、えぇ!?」
紬「ほら、澪ちゃん早く」
澪「うーん…………」
澪(誰を選んでも、あとで気まずくなりそうだよなぁ……)
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:13:29.45
律「…………………………」(無言で目をそらす)
唯「…………………………」(無言で目をそらす)
梓「…………………………」(無言で目をそらす)
紬「誰にする? 誰にする?」
澪「…………じゃあ、りt 和「練習中悪いんだけど、講堂の使用申請書、まだ出ていないわよ」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:14:14.08
律「おぉ、和」
和「律。また申請書出し忘れてたわね。はやく書いて」
律「あー、悪い悪い」
澪(和なら……キスしても平然と受け流してくれそうだよな)
澪(…………律より、和のほうがいいんじゃないかな)
澪「…………なあ、ムギ」
紬「なぁに? 澪ちゃん」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:15:34.86
澪「相手は別に、軽音部のメンバーじゃなくてもいいんだよな?」
紬「ええ、いいわよ」
澪「なぁ、和」
和「なに? 澪」
澪「キスしないか?」
和「……え?」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:16:30.95
澪「いや、ほら、ちょっと罰ゲームみたいのでさ、誰かとキスしなきゃいけなくなったんだ」
和「…………いいけど」
澪「そうか! 引き受けてくれるか! ありがとう」
和「じゃあ……早く済ませてね」
澪「ああ。わかった」
和は目をつぶった。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:17:28.13
澪(…………和、こうして見ると綺麗だな……)
和「…………澪、早く」
澪「ああ、うん」
澪「じゃあ、行くぞ?」
和「ええ」
澪も目をつぶる。そして、顔と顔を近づけていく――。
そして二人はふれ合うような、短いキスをした。
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:18:30.07
和「……………………」
澪「……………………」
和「……………………」
澪「……………………」
律「ほーら、いつまで顔寄せ合ってんの。和、書いたぞ。これでいいか?」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:19:16.39
和「あ、ええ。今度はちゃんと出し忘れないようにしてね」
律「わかってるって」
和はすたすたと去って行く。
ふと、音楽室のドアの前で立ち止まった。それから、律達の方を振り向く。
澪と眼が合う。
和は頬を赤くした。
澪「!」
和は視線を外し、音楽室の外へと出た。
唯「和ちゃんのファーストキスは澪ちゃんだね!」
唯が余計なことを言った。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:20:09.38
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翌日 放課後
紬「今日もガレットデロワよ~」
澪「きょ、今日もキスするのか?」
紬「今日はちょっとルール変えようと思うの」
澪「キスはやめてくれよ?」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:20:51.02
紬「ええ。今回は……フェーブを当てた人が、軽音部のメンバー全員に一つずつ命令が出来るってルールにするわ」
律「例えば?」
紬「私がフェーブを当ててね、りっちゃんは明日猫耳を付けて学校に来ることって言ったら、りっちゃんはその通りにしなくてはいけないの」
律(……ムギにだけはフェーブが当たりませんように)
紬「じゃあ、はい。五等分したガレットデロワを持っていって」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:21:54.10
唯「じゃあ、私この一番小さいの選ぶね」
律「あ、唯ずるい! 昨日みたいに大きいの取って行けよ!」
唯「えー、フェーブが入っていたら困るもん」
律「だからってずるいぞ! あー! 梓も二番目に小さいの取って行きやがって!」
梓「早い者勝ちです」
律「くぅー、あ、一番大きいのしか残って無いじゃん!」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:23:00.02
唯「いただきまーす!」
律「まあ、甘くて最高に美味しいんだけどなあ……」
梓「緊張感があって、味なんかどうでもよくなっちゃうんですよね……」
澪「あ、よかった……私のにはなかった」
紬「あら。残念、私のにもなかったわ」
律「おー、私もセーフ。唯か梓のどちらかにあるんだな」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:24:02.05
梓「……あ、私もなかったです」
唯「あれ? 私の中にこんなのがあったよー」
紬「それがフェーブよ」
唯「えぇー、私?」
紬「唯ちゃんね。王様は」
唯「ちぇー、一番小さい奴選んだのに……」
紬「じゃあ唯ちゃん、誰に何を命令する?」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:26:09.32
唯「一人ずつに命令するの?」
紬「ええ」
唯「そんじゃーねー、ムギちゃんに命令! 明日からはシュークリームとかを持ってきて! ガレットデロワじゃなくて」
紬「そう……惜しいけど、命令は絶対だものね。わかったわ、そうする」
唯「明日はシュークリームがいいな~。あ、これは命令じゃないよ? 願望だよ」
紬「そうね、うん。じゃあシュークリーム用意しておくわ」
唯「本当? やったー!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:27:00.55
唯「澪ちゃんは、えーと、あ、和ちゃんにデートの申し込みしてきて!」
澪「え!? わ、私が和に?」
唯「うん! だって昨日、二人ともとっても仲よさそうだったよ? 恋人みたいだったもん。ラブラブで」
澪「え、唯! それはないだろ!」
紬「駄目よ、澪ちゃん、王様の命令は絶対よ」
澪「で、でも」
紬「澪ちゃんが守らないなら、私明日からもガレットデロワ、持ってくるわよ?」
澪「……分かった、和にデートを申し込むよ……」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:27:46.57
唯「えーと、りっちゃんは……」
律「なあ唯、私たちって友達だろ?」
唯「え? う、うん」
律「友達にさ、ひどい命令なんてするものじゃないと思うんだ」
唯「うん……そうかも」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:28:32.09
律「だからさ、『りっちゃんには特に命令することはないよー』って、言ってくれないか?」
唯「そうだね……りっちゃんはじゃあ、おでこに『肉』って書いて」
律「……唯?」
唯「なに? りっちゃん」
律「あとで覚えておけよ?」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:29:32.87
唯「じゃあ、あずにゃんにはねえ……」
梓(律先輩をスルーした!)
唯「あずにゃんは、えーと、好きな人を選んでキスして!」
律(ネタが切れたな……)
梓「え、私が選ぶんですか?」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:30:30.70
唯「うん。誰がいい?」
梓(……誰にしよう……?)
梓(あとで余計ないざこざが生まれたら嫌だし)
梓は唯達を見やる。
紬「…………………………」(さっと目をそらした)
澪「…………………………」(さっと目をそらした)
律「…………………………」(さっと目をそらした)
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:31:32.53
唯「誰を選ぶ? あずにゃん?」
梓「…………じゃあ、唯先輩で」
梓の答えに、唯は驚く様子も見せず。
唯「え? 私? しょうがないなー、あずにゃんは」
梓は唯の肩を掴む。
梓「じゃあ、いきますよ」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:32:33.35
唯「うん。いつでもオーケーだよ」
梓「…………じゃあ、いきますよ」
唯「わかったから早く」
梓「……………………じゃあ、いきますよ」
唯「もう、あずにゃん。じらさないでよ」
梓「……はい」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:33:21.48
ゆっくりと、梓は唯に顔に詰め寄る。
唯の吐息を感じられるくらい近くなり、やがて唇が重なり合った。
梓(唯先輩の唇……少し湿ってて温かい…………)
唇が離れる。
唯「えへへ、あずにゃんに唇奪われちゃった」
梓「唯先輩がやれって言ったんじゃないですか」
唯「でも、選んだのはあずにゃんでしょ?」
梓「まあ、そうですけど」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:34:07.37
紬「こっちも終わったわよ~」
唯「え? 何が?」
紬「りっちゃんのおでこに『肉』って書くの」
唯「えー、本当? 見せて見せて!」
律「………………もう、お嫁にいけない」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:35:33.54
唯「……ぷっ! 筋肉マンだよ! あずにゃん、見てほら!」
律「どうとでもいってくれ…………」
梓「り、律先輩、そ、そんなに変じゃな、ないですよ」
律「フォローは笑いをこらえながらしても意味がないぞー…………」
澪「ここまで消沈している律を久しぶりに見た…………」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:36:34.02
律「…………私はもう、駄目かもしれない」
澪「あ、あれだぞ? 意外と格好良く見えるぞ? 律」
律「うるせー、フォローになってねぇよぉ……うぅ」
澪「突っ込みにも覇気がない……」
紬「あ、澪ちゃん?」
澪「なんだ? ムギ」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:37:35.50
紬「澪ちゃんも忘れないでね? 和ちゃんにデートを申し込むの」
唯「澪ちゃん、付いていってあげようか?」
澪「ひ、一人で出来る! そ、それにまだ和も生徒会で忙しいだろ? だから、部活終わってからの方がいいと思うんだ」
唯「まあ、いいけど。和ちゃんにデートのお誘いするの忘れないでよ?」
澪「ああ……わかってるよ」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:38:28.05
部活終了後 生徒会室前
和「あら……澪」
澪「……あの、さ。唐突で悪いんだけど……デートしないか?」
和「………………え?」
澪「い、いやさ、あの、ゲームでさ、和にデートを申し込むことになっちゃって」
和「………………そう」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:40:00.33
澪「断ってもいいんだぞ? 罰ゲームの内容は、飽くまで申し込むだけだからさ。デートする必要はないし」
和「…………いえ、せっかく頼まれているのにそれを反故にするのは気がひけるわ」
澪「…………へ?」
和「いいわよ。デートしましょう」
澪「…………本気?」
和はこくりと頷いた。
和「もちろん、本気よ」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:40:59.38
外
和「それで、どこに行くの?」
澪「え、どこって――、普通に一緒に帰るだけじゃ駄目か?」
和「デートというのは夜景の見えるレストランで食事したり、二人で観覧車に乗ったりすることなのよ」
澪「そ、そうなのか」
和「ええ。だから、どこかに行きましょ」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:41:45.08
澪「でも……私、そんなにお金ないんだけど……。夜景が見えるレストランなんてどこにあるか知らないし……」
和「……そう。じゃあ、夜の街を散歩するってのはどうかしら」
澪「まぁ……それくらいなら」
和「なら、手を繋ぎましょ」
澪「え、な、何で?」
和「デートするってことは恋人同士ってことよ。恋人同士なら、手を繋ぐのが普通よ」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:42:33.45
澪「そ、そうか。なら……繋ぐか」
和「ええ」
和が差し出した手を、澪は静かに握った。
澪(…………何だか、こうしていると本当に恋人みたいだな)
澪(……って、私は何を考えているんだ!)
澪(……唯のやつ、何考えてるんだ。和をデートに誘えなんて。まったく)
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:43:25.42
和「澪」
澪「え? な、何?」
和「何かお話しながら歩いたほうが、自然じゃない?」
澪「ま、まぁ……そうかな」
和「じゃあ、澪。ひとつ訊いていい?」
澪「ああ、何だ?」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:44:14.79
和「澪って、好きな人とかいたりするのかしら?」
澪「え、な、何でそんな、え、え?」
和「答えて。澪」
澪「え、うーん。いない……かな」
和「……………………そう」
澪「あれ、ちょっと和? 私の手を握る力が強くなっていってないか?」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:45:15.33
和「気のせいよ」
澪「気のせいって…………痛い痛い痛い痛い! 和、ストップ! ストォップ!」
和「澪、もうひとつ訊くわね」
澪「あ、あぁ」
和「昨日、私にキスをしたのは何で? 本当に、そういうゲームだったの?」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:47:25.94
澪「ああ、……自分の好きな人を選んで、キスをしなきゃいけないっていうゲーム、かな?」
和「…………好きな人、と?」
夜の中でもわかるほどはっきりと、和が顔を赤くした。
澪「あ、ああ。そう、だ…………あ」
澪(うわー! 言い方が悪かった! これじゃ私の好きな人が和っていう解釈に!)
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:48:13.00
和「…………そう」
澪「…………ああ」
和「……………………」
澪「……………………」
気恥ずかしくて、双方黙り込む。
それでも手だけは、繋いでいた。
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:48:59.62
****************************************
翌日 放課後
澪「…………絶対和に誤解された…………」
律「…………油性ペンで肉って書きやがって…………消せねえじゃねえか……」
唯「なんでりっちゃんと澪ちゃんはいつもより元気がないの?」
梓「…………そっとしておいてあげましょうよ」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:49:45.31
紬「みんな~、お菓子よ」
唯「今日はガレットデロワじゃないよね!?」
紬「ええ。シュークリーム5つにしたわ」
唯「シュークリーム! やったー!」
紬「ただし、この5つの中に1つだけ、フェーブが入っているのよ」
唯「え」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:50:31.09
梓「きょ、今日もやるんですか? 王様ゲームみたいなこと」
紬「ええ」
唯「今日は、フェーブをあてないようにしよう……」
梓「じゃあ私はこの真ん中の奴にします」
唯「私は右端―」
梓「律先輩たちはどれにしますか?」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:51:34.62
律「…………どれでもいい」
澪「…………私もどれでもいい」
唯「じゃあ澪ちゃんは一番焦げ目が多いやつ、りっちゃんは左端のね」
全員の元にシュークリームが置かれる。
唯「いただきまーす!」
紬「……あら、また私のにはなかったわ」
梓「……よかった。私のにもありませんでした」
唯「私のにもなかった! りっちゃんか澪ちゃんかのどちらかだね」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:52:26.40
律「え、マジで!?」
澪「…………誰かに命令したりするのは嫌だな……仲が険悪になりそうで」
律「私もだ…………。まあ、いいや。食べようか」
澪「…………」ムグムグ「あ、私のにはなかった」
律「…………フェーブって、これか?」
紬「あ、りっちゃんおめでとう!」
律「何か……全然喜べねえ」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:53:20.94
紬「ほら、何か命令して? みんなに一つずつ」
律「えーと、じゃあムギ! 明日からは普通のお菓子を持ってきてくれ。フェーブ入りとかじゃないやつ」
紬「……王様の命令だからしょうがないわよね。わかったわ」
律「それから……唯には昨日ひどいこと命令されたしなー、どうしようかなー」
唯「りっちゃん! 私たち友達だよね?」
律「うるせー! おでこに肉って書かせるような奴は友達でも何でもねー!」
唯「りっちゃんひどい!」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:54:16.54
律「唯は……、えーと、ああ、ほっぺたに渦巻き書いてくれ」
唯「ええー、そんなぁ」
律「はい次ー。梓は、じゃあ……。なにも思いつかないから、梓も頬に渦巻きで」
梓「え、唯先輩と同じですか?」
律「そう。おそろい」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:55:10.61
唯「えへへ。あずにゃんと一緒だねー」
梓「ほっぺたに渦巻きなんて……今時の小学生すらやらなそうなことを」
律「えー最後に澪は…………。和に好きだと告白すること」
澪「は?」
律「いや、だから和に告白」
澪「な、何で私だけそんなんなんだ!?」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:55:58.22
律「いや、面白い命令が浮かばなかったから」
澪「そ、そんな……」
律「それはそうと、ムギ、油性ペン貸して」
紬「はい、りっちゃん。油性ペン」
律「サンキュー」
梓「え」
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:56:48.77
梓「ちょ、ちょっと! 油性ペンで渦巻き書く気ですか?」
律「私のおでこの肉も、油性ペンで書かれたからな。恨むんなら唯を恨め」
唯「いいじゃんあずにゃん。いつかは消えるだろうからさ」
梓「いやですよ! 頬にぐるぐるマークがあったら外に出れなくなりますよ!?」
律「さーて、そろそろ書くぞ」
梓「いやだー! バカボンみたいになるのは嫌です!」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:57:47.20
律「観念しろ! 梓!」
律は梓を抑え込むと、両頬に渦を描いていった。
律「はーい、完成」
紬「はい、梓ちゃん。鏡」
梓「…………本当に書かれている…………ご丁寧に太いほうのマジックで……」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:58:31.46
律「次は唯な」
唯「うん。綺麗に書いてよ!」
律「はいはい」
数十秒かけて、渦を唯の頬にも描く。
紬「はい、唯ちゃん。鏡」
唯「おー、あずにゃんと同じになった!」
梓「…………明日から外出れない…………。その前に家に帰れない……」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 22:59:46.48
唯「一緒だね、あーずにゃん!」
梓「一緒でも嬉しくないです……」
唯「えへへ、私は嬉しいよ~?」
その言葉を聞いた梓は、不思議と悪い気分ではなくなった。
澪「………………和に告白………………」
紬「頑張って、澪ちゃん! 私応援してるから!」
澪「………………和に告白………………」
律「澪、私が付いていってやろうか?」
澪「いい………………一人で出来る」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 23:00:42.17
****************************************
部活終了後 生徒会室前
和「あら……今日もどうしたの? 澪」
澪「い、いや、あの……律にしろって言われたんだけどさ」
和「ええ」
澪「これは、あのさ、私も仕方なくやっていることだから、本気で受け取らないでほしいんだけど……」
和「わかったわ。それでなに?」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 23:01:27.50
澪「……和、好きだ」
和「………………え?」
澪「いや、律に告白しろって言われてさ、いやー、あいつには困ったもんだよ」
茶化すように言う澪。
澪「うん。まぁ、告白は終わったからさ。突然変なこと言ってごめん」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 23:02:22.95
和「……私も好きよ、澪」
澪「…………は?」
澪が頓狂な声を出すと、和は笑って。
和「冗談よ。――少なくとも、今はね」
その笑顔に一瞬、澪は見とれてしまう。
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 23:03:07.67
澪「あ、あはは、冗談だよな。うん、わかってたよ」
動揺を隠すように澪は笑う。
和「そうだ、澪。せっかくだから一緒に帰らない?」
澪「あ、あぁ。いいかもな」
そして、二人は足並みをそろえて校舎の外へと向かった。
ゆっくりと、ゆっくりと。
終わり
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過去の名作たち
- 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/02(日) 05:15:59 URL [ 編集 ]
- 律澪くると思ったんだがまさかの澪和とは…。
- 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/02(日) 07:15:27 URL [ 編集 ]
- 唯梓かな、と期待させて澪和になったか……
- 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/02(日) 08:34:25 URL [ 編集 ]
- 王様ゲームとかラビリンスとか英語禁止ゲームとかのSSすごく好きだから
これもどうせならゲームに徹して欲しかったかもな~
- 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/03(月) 01:52:20 URL [ 編集 ]
- まさかの澪和美味しいです
これはいいSSだわ
- 名前: けいおん!中毒 ◆- 2011/01/03(月) 05:18:56 URL [ 編集 ]
- 沢庵がどうやって当てさせたのかを後日談で示せば更に良くなるものを
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